(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5879999
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月8日
(54)【発明の名称】ディーゼルエンジンの異常燃焼防止システム及び内燃機関
(51)【国際特許分類】
F02D 13/02 20060101AFI20160223BHJP
F02D 19/02 20060101ALI20160223BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20160223BHJP
F02M 21/02 20060101ALI20160223BHJP
【FI】
F02D13/02 L
F02D19/02 A
F02D45/00 345A
F02D45/00 301A
F02D45/00 301M
F02D45/00 312B
F02D45/00 360D
F02M21/02 301Z
F02D45/00 360Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2011-272062(P2011-272062)
(22)【出願日】2011年12月13日
(65)【公開番号】特開2013-124549(P2013-124549A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年9月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一
(74)【代理人】
【識別番号】100066854
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 賢照
(74)【代理人】
【識別番号】100117938
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 謙二
(74)【代理人】
【識別番号】100138287
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 功
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(74)【代理人】
【識別番号】100068685
【弁理士】
【氏名又は名称】斎下 和彦
(72)【発明者】
【氏名】原 崇
【審査官】
二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2002/084088(WO,A1)
【文献】
特開平07−034913(JP,A)
【文献】
実開平01−125827(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 13/00−28/00
F02D 43/00−45/00
F02N 1/00−99/00
F02B 43/00−45/10
F02M 21/00−21/12
F02F 1/00− 1/42
F02F 7/00
F01L 1/34− 1/356
F01L 1/00− 1/32
F01L 1/36− 1/46
F01L 9/00− 9/04
F01L 13/00−13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化ガスを燃料とするディーゼルエンジンの気筒に設置された噴射ノズルから燃焼室内への燃料リークに起因する異常燃焼を防止するディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムであって、
互いに行程が180°位相が異なる一対の気筒を接続する連結管と、前記連結管と前記一対の気筒との接続部をそれぞれ開閉する逃がし弁と、それら両方の逃がし弁を操作する開閉手段と、前記開閉手段を制御する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記ディーゼルエンジンの始動要求を受けると、スタータでクランク軸を回転駆動させるとともに、前記一対の気筒のうち片方の気筒が少なくとも圧縮行程にあるときに前記開閉手段により前記両方の逃がし弁を開弁し、所定の期間後にそれらの逃がし弁を常時閉弁する制御を行うことを特徴とするディーゼルエンジンの異常燃焼防止システム。
【請求項2】
前記連結管の途中に逆止弁を取り付けた請求項1に記載のディーゼルエンジンの異常燃焼防止システム。
【請求項3】
前記連結管を両端部が合流する2本の支管から構成するとともに、それらの支管に互いに逆向きになるように逆止弁をそれぞれ取り付けた請求項1に記載のディーゼルエンジンの異常燃焼防止システム。
【請求項4】
前記ディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムが燃料リーク検知手段を有し、
前記制御手段は、前記燃料リーク検知手段が前記液化ガスの燃料リークを検知した場合にのみ、前記一対の気筒のうち片方の気筒が少なくとも圧縮行程にあるときに前記開閉手段により前記両方の逃がし弁を開弁し、所定の期間後にそれらの逃がし弁を常時閉弁する制御を行う請求項1〜3のいずれかに記載のディーゼルエンジンの異常燃焼防止システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記両方の逃がし弁を前記片方の気筒の2〜3サイクル後に常時閉弁する請求項1〜4のいずれかに記載のディーゼルエンジンの異常燃焼防止システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムを搭載したことを特徴とする内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムに関し、更に詳しくは、液化ガスを燃料とするディーゼルエンジンにおける燃焼室内への燃料リークによるエンジン始動時の異常燃焼の発生を、低コストで防止することができるディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジンの排ガスによる大気汚染の対策として、従来からの燃料である軽油の代わりに、ジメチルエーテル(DME)などの液化ガスを使用することが検討されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この液化ガスは、燃焼室内に燃料を噴射する噴射ノズルのシート部からガス状となって外部へリークしやすいという性質がある。更に、液化ガスは軽油よりも粘度が低いので、噴射ノズルのシート部が摩耗しやすくなるため、外部へのリークが助長されることになる。
【0004】
特に、エンジン停止時においては、噴射ノズル内に残留した液化ガスが、圧力の低下により気化することで、シート部から燃焼室内へのリークが発生する。このようにエンジン停止時に液化ガスの燃料リークが発生すると、エンジン始動時に初爆で異常燃焼を起こして、最悪の場合にはシリンダライナやピストンリングが破損するおそれがある。このことは、高圧で燃料を噴射するコモンレール式の噴射装置を用いた場合に一層顕著になる。
【0005】
このような問題を解決するためには、エンジン始動時に吸排気バルブを開閉させて燃焼室内に滞留する液化ガスを掃気することが考えられるが、可変動弁機構の追加やそれを制御する制御ロジックが必要となるため、エンジンの構成が複雑となってコストが大幅に増加することになる。
【0006】
そのため、液化ガスを燃料とするディーゼルエンジンについて、エンジン始動時の異常燃焼の発生を、簡易な構成と機能によって低コストで防止することができるシステムが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−239651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、液化ガスを燃料とするディーゼルエンジンにおけるエンジン始動時の異常燃焼の発生を、低コストで防止することができるディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成する本発明のディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムは、液化ガスを燃料とするディーゼルエンジンの気筒に設置された噴射ノズルから燃焼室内への燃料リークに起因する異常燃焼を防止するディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムであって、互いに行程が180°位相が異なる一対の気筒を接続する連結管と、前記連結管と前記一対の気筒との接続部をそれぞれ開閉する逃がし弁と、それら両方の逃がし弁を操作する開閉手段と、前記開閉手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、
前記ディーゼルエンジンの始動要求を受けると、スタータでクランク軸を回転駆動させるとともに、前記一対の気筒のうち片方の気筒が少なくとも圧縮行程にあるときに前記開閉手段により前記両方の逃がし弁を開弁し、所定の期間後にそれらの逃がし弁を常時閉弁する制御を行うことを特徴とするものである。
【0010】
上記のディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムにおいては、連結管の途中に逆止弁を取り付けることにより、一対の気筒のうち特定の気筒を対象にして異常燃焼を防止することができる。
【0011】
また、上記の連結管を両端部が合流する2本の支管から構成するとともに、それらの支管に互いに逆向きになるように逆止弁をそれぞれ取り付けることで、燃料リークにより気筒内に貯留する液化ガスの予混合気を効果的に掃気することができる。
【0012】
ディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムが燃料リーク検知手段を有し、制御手段は燃料リーク検知手段が液化ガスの燃料リークを検知した場合にのみ、一対の気筒のうち片方の気筒が少なくとも圧縮行程にあるときに開閉手段により両方の逃がし弁を開弁し、所定の期間後にそれらの逃がし弁を常時閉弁する制御を行うことで、ディーゼルエンジンの始動が遅れるのを防ぐことができる。
【0013】
また、制御手段は、両方の逃がし弁を気筒の2〜3サイクル後に常時閉弁することで、燃料リークにより燃焼室内に貯留する液化ガスの予混合気を完全に掃気できるとともに、始動後のディーゼルエンジンの運転に影響を与えないようにすることができる。
【0014】
本発明のディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムは、液化ガスを燃料とする一般の内燃機関に好適に用いられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムによれば、エンジン始動時において一対の気筒の片方が少なくとも圧縮行程にあるときに、その燃焼室内の気体を互いに行程が
180°位相が異なる他方へ移動して外部へ排気させるようにしたので、燃料リークにより片方の気筒内に貯留している液化ガスの予混合気が、外部へ掃気されて圧縮着火が抑制されるため、異常燃焼の発生を防止することができる。
【0016】
また、異常燃焼防止システムの構成及び機能が簡易であるため、コストの増加を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態からなるディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムの構成図である。
【
図2】
図1における一対の気筒部分の構成を示す拡大図である。
【
図3】
図2において1番気筒が圧縮行程にあるときの説明図である。
【
図4】第1の実施形態における制御手段の機能を示すフロー図である。
【
図5】
図2において3番気筒が圧縮行程にあるときの説明図である。
【
図6】
図1における一対の気筒部分の構成の別の例を示す拡大図である。
【
図7】
図6において1番気筒が圧縮行程にあるときの説明図である。
【
図8】
図1における一対の気筒部分の構成の更に別の例を示す拡大図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態からなるディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムの構成図である。
【
図10】第2の実施形態における制御手段の機能を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1、2は、本発明の第1の実施形態からなるディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムを示す。
【0020】
このディーゼルエンジンの異常燃焼防止システム(以下、「異常燃焼防止システム」という。)が装備されるディーゼルエンジン1では、ジメチルエーテル(DME)などの液化ガス2が、高圧ポンプ(図示せず)によりコモンレール3内で蓄圧され、ECU(エンジンコントロールユニット)4により制御された噴射ノズル5を通じて複数(
図1では4個)の気筒6A〜6Dの燃焼室7内の圧縮空気中にそれぞれ噴射されて燃焼・膨張することで、シリンダ8内のピストン9を往復動させるようになっている。それら4個の気筒6A〜6Dは、1番気筒6A→3番気筒6C→4番気筒6D→2番気筒6Bの順に液化ガス2が自着火する。
【0021】
燃焼後のガスは、排気弁10の開放時に燃焼室7から排気管11へ送られて大気中へ放出される。その一方で、吸気弁12の開放時に吸気管13から燃焼室7内へ空気が導入されてピストン9により圧縮される。
【0022】
エンジン始動時においては、スタータ14のセルモータ15により回転駆動されたピニオン16が伸長してリングギア17に嵌合させることで、クランク軸18を回転させてクランキングを行うようになっている。
【0023】
本発明の異常燃焼防止システムは、互いに行程がクランク角度で
180°位相が異なっている一対の気筒6、具体的には1番気筒6Aと3番気筒6Cの組み合わせ、及び2番気筒6Bと4番気筒6Dの組み合わせにおける燃焼室7同士を接続する連結管19と、その連結管19と気筒6A〜6Dとの接続部に取り付けられて開閉手段20により操作される逃がし弁21と、制御手段22とから構成される。
【0024】
逃がし弁21の開閉手段20としては、油圧又は空圧を利用したアクチュエーターやモータなどが例示される。制御手段22は、記憶部を備えたCPU(中央演算処理装置)から構成され、開閉手段20、スタータ14、気筒6A〜6Dの行程状態を検知する回転位置センサ23及びECU4のそれぞれに信号線(一点鎖線で示す)を通じて接続している。なお、
図1の構成では、制御手段22とECU4とを別体としているが、ECU4に制御手段22の機能を持たせて一体化するようにしてもよい。
【0025】
このような構成を有する異常燃焼防止システムの機能を、
図3に示す1番気筒6A及び3番気筒6Cの組み合わせを例にして、
図4のフロー図を基に以下に説明する。
【0026】
制御手段22は、停止状態にあるディーゼルエンジン1に対して始動要求が発せられたことがECU4から入力されると(S10)、スタータ14のセルモータ15でピニオン16を回転駆動するとともに、そのピニオン16を伸長してリングギア17に嵌合させてクランク軸18を回転させる(S20)。なお、このとき1番気筒6A及び3番気筒6Cにおける逃がし弁21a、21cは両方とも閉弁している。
【0027】
次に、各気筒6A〜6Dの行程を回転位置センサ23から検知し(S30)、1番気筒6Aが圧縮行程にあるときに、開閉手段20a、20cにより逃がし弁21a、21cを両方とも開弁する(S40)。その結果、ピストン9aの上昇により生じたシリンダ8a内の圧力増加により、1番気筒6Aの燃焼室7a内の気体は、連結管19を通じて3番気筒6Cの燃焼室7cへ移動して、排気管11cから外部へ排気されることになる。従って、エンジン停止時に噴射ノズル5aから1番気筒6Aの燃焼室7a内に液化ガス2の燃料リークがあった場合には、燃焼室7a内に滞留する液化ガス2の予混合気の少なくとも一部が、連結管19を通じて3番気筒6Cの排気管11cから外部へ掃気されることになる。そして、所定の期間後に両方の逃がし弁21a、21cを常時閉弁した状態にする(S50)。
【0028】
なお、上記では1番気筒6Aが圧縮行程にあるときを例示したが、他方の3番気筒6Cが圧縮行程にあるときには、
図5に示すように、ピストン9cの上昇により生じたシリンダ8c内の圧力増加により、エンジン停止時に噴射ノズル5cから3番気筒6Cの燃焼室7c内に液化ガス2の燃料リークがあった場合には、燃焼室7c内に滞留する液化ガス2の予混合気の少なくとも一部が、連結管19を通じて1番気筒6Aの燃焼室7aへ流れて、排気管11aから外部へ掃気されることになる。
【0029】
このように、エンジン始動時において、互いに行程が
180°位相が異なる一対の気筒6A、6Cのうち片方の気筒6Aが少なくとも圧縮行程にあるときに、その燃焼室7a内の気体を他方の気筒6Cへ移動して外部へ排気させるようにしたので、燃料リークにより片方の気筒6A内に貯留している液化ガス2の予混合気が、外部へ掃気されて圧縮着火が抑制されるため、異常燃焼の発生を防止することができる。
【0030】
また、一対の気筒6A、6C間を連結管19で接続し、その両端に逃がし弁21a、21cを設けて単純制御するだけでよいため、異常燃焼防止システムの構成及び機能が簡易となるのでコストの増加を抑えることができる。
【0031】
逃がし弁21を常時閉弁するまでの所定の期間は、エンジン始動開始から気筒6の2〜3サイクル後とすることが望ましい。そのようにすることで、燃料リークにより燃焼室7内に貯留する液化ガス2の予混合気を完全にエンジン外部へ掃気できるとともに、ディーゼルエンジン1の運転に影響を与えないようにすることができる。
【0032】
逃がし弁21は、気筒6の圧縮行程以外の行程においても開弁するようにしてもよい。例えば、圧縮行程に続く膨張行程、排気行程及び吸気行程、つまり全行程で逃がし弁21を開弁することで、燃料リークにより燃焼室7内に貯留する液化ガス2の予混合気を完全に掃気することができるとともに、開閉手段20の制御をより容易に行うことが可能になる。
【0033】
上記の連結管19の途中には、
図6に示すように、逆止弁24を取り付けるようにしてもよい。なお、
図6では、上流側が1番気筒6Aに向くように、つまり1番気筒6Aから3番気筒6Cへ向けて連結管19内を気体が流れるように、逆止弁24を取り付けている。また、逆止弁24の形式としてボールキャッチ式の弁を例示しているが、これに限るものではない。
【0034】
このようにすることで、逆止弁24の取付方向を変えることにより、一対の気筒6のうち特定の気筒6を対象にして、エンジン始動時における異常燃焼の発生を防止する効果を及ぼすことができる。つまり、
図6のケースでは、3番気筒6Cの状態の如何にかかわらず、
図7に示すように、連結管19内の気体の流れが常に1番気筒6Aから3番気筒6Cへ向かうので、1番気筒6Aのみを対象としてエンジン始動時における異常燃焼の発生を防止できるのである。
【0035】
また、
図8に示すように、連結管19を、両端が合流する2本の支管25X、25Yから構成するとともに、それらの支管25X、25Yにそれぞれ逆止弁24X、24Yを互いに逆向きになるように取り付けるようにしてもよい。このようにすることで、1番気筒6Aからの予混合気が連結管19を通過するときに、3番気筒6Cからの逆流が発生しないため、1番気筒6Aの燃焼室7a内に貯留する液化ガス2の予混合気を効果的に掃気することができる。このことは、3番気筒6Cに貯留する液化ガス2の予混合気を掃気する場合も同様である。
【0036】
図9は、本発明の第2の実施形態からなるディーゼルエンジンの異常燃焼防止システムを示す。
【0037】
この異常燃焼防止システムは、
図1に示す実施形態について、各気筒6A〜6Dに連通する吸気管13及び排気管11のそれぞれに燃料リーク検知手段である酸素センサ26を取り付けて、制御手段22と信号線で接続したものである。
【0038】
このような構成を有する異常燃焼防止システムの機能を、
図3に示す1番気筒6A及び3番気筒6Cの組み合わせを例にして、
図10に示すフロー図を基に以下に説明する。
制御手段22は、停止状態にあるディーゼルエンジンに対して始動要求が発せられたことをECU4から入力されると(S10)、スタータ14のセルモータ15でピニオン16を回転駆動するとともに、ピニオン16を伸長してリングギア17に嵌合させることでクランク軸18を回転させる(S20)。なお、このとき両方の逃がし弁21a、21cは閉弁している。
【0039】
次に、吸気管13及び排気管11に取り付けられた酸素センサ26の測定値を比較し(S22)、その差が所定の値以上である場合には(S24)、エンジン停止中に燃焼室7内への液化ガス2の燃料リークがあったものと判断し、各気筒6A〜6Dの行程を回転位置センサ27から検知して(S30)、1番気筒6Aが圧縮行程にあるときに、開閉手段20により1番気筒6A及び3番気筒6Cにおける逃がし弁21a、21cを両方とも開弁する(S40)。そして、所定の期間後に両方の逃がし弁21a、21cを常時閉弁した状態にする(S50)。
【0040】
一方、酸素センサ26の測定値の差が所定の値未満である場合には(S24)、燃料リークがなかったものと判断し、両方の逃がし弁21a、21cを常時閉弁したままにする(S60)。
【0041】
このようにすることで、噴射ノズル5からの液化ガス2の燃料リークがなかった場合には、エンジン始動時の初爆が通常の圧縮比で正常に行われるため、ディーゼルエンジン1の始動が遅れる(もたつく)のを防ぐことができる。
【0042】
酸素センサ26の吸気管13及び排気管11における取付位置は特に限定するものではなく、例えば、各気筒6A〜6Dから延びる吸気管13及び排気管11がそれぞれ1本に収束する太径部であってもよい。
【0043】
本発明の異常燃焼防止システムの用途は、上述したような自動車用のディーゼルエンジン1に限るものではなく、液化ガス2を燃料とするその他の内燃機関にも適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 ディーゼルエンジン
2 液化ガス
3 コモンレール
4 ECU
5 噴射ノズル
6 気筒
6A 1番気筒
6B 2番気筒
6C 3番気筒
6D 4番気筒
7 燃焼室
8 シリンダ
9 ピストン
10 排気弁
11 排気管
12 吸気弁
13 吸気管
14 スタータ
15 セルモータ
16 ピニオン
17 リングギア
18 クランク軸
19 連結管
20 開閉手段
21 逃がし弁
22 制御手段
23 回転位置センサ
24 逆止弁
25x、25y 支管
26 酸素センサ