(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示された排気管構造では、駆動中の建設機械を急遽搬送する要請があった場合にその要請に応えることができないという問題がある。その理由は、以下の通りである。
【0009】
エンジンから排出される排気ガスの温度は、かなりの高温であるため、その排気ガスが通る排気管もかなりの高温となる。このため、駆動中の建設機械を急遽搬送する要請があったとしても、排気管の温度が低下するまで排気管に触れることができない。その結果、排気管を取り外したり、排気管を倒伏させたりする作業を行うことができず、搬送時の高さ制限をクリアすることができない。このため、駆動中の建設機械の緊急の搬送要請に応えることができない。
【0010】
また、上記特許文献2の排気管構造では、上部排気管を倒伏させた後、下部排気管の開口を通じて雨水等が浸入するのを防ぐために蓋を手動で倒してその開口を閉鎖する必要があり、また、上部排気管を起立させて下部排気管の上端に接続させるときには、蓋を手動で立てて下部排気管の上端の開口を開放する必要がある。このため、前記開口の開閉作業が煩雑である。
【0011】
この発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、その目的は、駆動中の建設機械の緊急の搬送要請に応えることが可能であるとともに、排気口に排気管を接続するための排気口の開放と排気口への雨水等の浸入を防ぐための排気口の閉鎖とに係る排気口の開閉作業の作業負担を削減することが可能な排気ガス導出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明による建設機械の排気ガス導出装置は、建設機械のエンジンから排気装置の
下部排気管の端部の排気口を通じて排出される排気ガスを前記建設機械の上方へ導出するための排気ガス導出装置であって、前記排気口から排出される排気ガスを上方へ導くための排気管と、前記排気管の基端部が前記排気口に接続される状態で前記排気管が上方へ延び、前記排気口から排出される排気ガスを当該排気管が上方へ導く姿勢である起立姿勢と、前記排気管の基端部が前記排気口から離脱するように前記排気管が前記起立姿勢から倒伏した姿勢である倒伏姿勢との間で前記排気管が第1回動軸回りに回動自在となるように当該排気管を支持する排気管支持部と、前記排気口を閉鎖するための排気口蓋と、前記排気口蓋が前記排気口を閉鎖するようにその排気口に装着される閉鎖姿勢と前記排気口を開放するようにその排気口から離脱するとともに前記排気管が当該排気口に接続されるのを許容するようにその排気口から退避する開放姿勢との間で当該排気口蓋が第2回動軸回りに回動自在となるように当該排気口蓋を支持する排気口蓋支持部と、前記排気管から離れた位置で特定方向における一方側とその反対側である他方側とに操作可能な操作部と、前記操作部の操作力を前記排気管と前記排気口蓋とに伝えて前記排気管と前記排気口蓋とを連動させる連動機構とを備え、前記連動機構は、前記操作部が前記一方側へ操作された場合には、前記排気管が前記倒伏姿勢をとるようにその排気管を回動させるとともに前記排気口蓋が前記閉鎖姿勢をとるようにその排気口蓋を回動させ、前記操作部が前記他方側へ操作された場合には、前記排気管が前記起立姿勢をとるようにその排気管を回動させるとともに前記排気口蓋が前記開放姿勢をとるようにその排気口蓋を回動させ
、前記排気口蓋は、筒状に構成された筒部を有していて、この筒部の軸方向の一端部は、前記排気口蓋が前記閉鎖姿勢をとったときに前記排気口が形成された前記下部排気管の端部に外嵌する(請求項1)。
【0013】
この排気ガス導出装置では、操作部が排気管から離れた位置で操作可能であるとともに、その操作部の操作に応じて連動機構が排気管を起立姿勢と倒伏姿勢との間で回動させるため、駆動中の建設機械の緊急の搬送要請に応えることができる。具体的には、この排気ガス導出装置では、排気管から離れた位置で操作部を操作することによって、排気管に触れることなく、排気管が倒伏姿勢をとるように当該排気管を倒伏させることができる。これにより、駆動中の建設機械を急遽搬送する要請があったときでも、高温となっている排気管の温度が低下するのを待つことなく排気管を倒伏させて搬送時の高さ制限をクリアし、建設機械を搬送することができる。このため、駆動中の建設機械の緊急の搬送要請に応えることができる。
【0014】
さらに、この排気ガス導出装置では、操作部の操作に応じて、連動機構が排気管を起立姿勢と倒伏姿勢との間で回動させるとともに排気口蓋を閉鎖姿勢と開放姿勢との間で回動させるため、排気管を起立させて排気口に接続する際の排気口の開放と、排気管を倒伏させることによって露出する排気口への雨水等の浸入を防ぐための排気口の閉鎖とを行うことができる。しかも、この排気ガス導出装置では、排気管の起立姿勢と倒伏姿勢との間での回動と排気口蓋の閉鎖姿勢と開放姿勢との間での回動とが連動機構によって連動して行われるため、排気管の倒伏姿勢への回動と排気口蓋の閉鎖姿勢への回動とを共通の一度の操作で行うことができるとともに、排気管の起立姿勢への回動と排気口蓋の開放姿勢への回動とを共通の一度の操作で行うことができる。このため、排気口の開閉作業に係る作業負担を削減することができる。
【0015】
上記排気ガス導出装置において、前記操作部に接続され、前記操作部を前記一方側と前記他方側とに駆動するための駆動装置と、前記駆動装置の駆動を遠隔制御するための制御装置とをさらに備えることが好ましい(請求項2)。
【0016】
この構成によれば、駆動装置により操作部が駆動されるため、操作部を手動で操作する場合に比べて、作業負担を削減することができる。さらに、この構成では、操作部を駆動する駆動装置を遠隔制御することができるため、排気管の回動及び排気口蓋の回動のために建設機械の上部まで登って高所作業を行う必要がない。このため、高所作業に係る労力を削減することができる。
【0017】
上記排気ガス導出装置において、前記第1回動軸と前記第2回動軸は、互いに平行であり、前記操作部は、前記第1回動軸及び前記第2回動軸に直交する方向において前記連動機構に操作力を与え、前記連動機構は、前記操作部からの操作力を受けて、前記第1回動軸と直交する方向において前記操作力を前記排気管に伝えてその排気管を前記第1回動軸回りに回動させるとともに前記第2回動軸と直交する方向において前記操作力を前記排気口蓋に伝えてその排気口蓋を前記第2回動軸回りに回動させることが好ましい(請求項3)。
【0018】
この構成によれば、連動機構が、操作部からの操作力の方向を大きく変更せずにその操作力を排気管及び排気口蓋に伝えてそれら排気管及び排気口蓋を回動させることができるため、連動機構の構成を簡素化することができる。具体的には、排気管の回動方向は第1回動軸に直交する方向であり、排気口蓋の回動方向は第2回動軸に直交する方向であるため、本構成では、連動機構が、第1回動軸及び第2回動軸に直交する方向の操作部の操作力をそれら両回動軸に直交する面内で排気管を回動させる力として排気管に伝えることができるとともにその面内で排気口蓋を回動させる力として排気口蓋に伝えることができる。仮に、操作部から連動機構に与えられる操作力の方向が互いに平行な第1回動軸及び第2回動軸と直交する方向ではない場合には、連動機構がその操作力を両回動軸と直交する方向の力に変換してから排気管と排気口蓋に伝えなければ、排気管の第1回動軸回りの回動及び排気口蓋の第2回動軸回りの回動をスムーズに行わせることが困難になる。このため、連動機構は、操作部の操作力を前記両回動軸に直交する方向の力へ変換する機構を具備する必要が生じ、その変換のための機構の分、連動機構の構成が複雑になる。本構成では、そのような操作力の変換が必要でないため、連動機構の構成を簡素化することができる。
【0019】
上記排気ガス導出装置において、前記排気口蓋は
、前記筒部の前記一端部と反対側の端部である他端部の開口を開閉可能となるように当該他端部に取り付けられ、前記排気口蓋が前記閉鎖姿勢をとった状態で前記排気口から排気ガスが排出された場合にはその排気ガスの圧力で押し上げられて前記端部の開口を開放する端板
部を含むことが好ましい(請求項4)。
【0020】
この構成によれば、排気口蓋が閉鎖姿勢をとって排気口を閉鎖しているときに誤ってエンジンが駆動された場合でも、排気ガスの圧力によって端板部が押し上げられて筒部の開口が開放されるため、その排気ガスを放出することができる。このため、この構成では、排気管が倒伏されて排気口が露出するときにその排気口を排気口蓋で閉鎖して排気口への雨水等の浸入を防ぎつつ、その閉鎖状態でエンジンから排気ガスが排出された場合でもその排気ガスを放出することができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、駆動中の建設機械の緊急の搬送要請に応えることができるとともに、排気口に排気管を接続するための排気口の開放と排気口への雨水等の浸入を防ぐための排気口の閉鎖とに係る排気口の開閉作業の作業負担を削減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0024】
まず、
図1及び
図2を参照して、本発明の一実施形態による排気ガス導出装置1が設けられるクローラクレーンの構成について説明する。なお、以下の説明において、「前」とは、
図1に示すように上部旋回体104が下部走行体102に対して配置された状態で運転室106の正面側を意味し、「後」とは、前方に対して反対側であり、
図1の状態でカウンタウェイト112側を意味する。また、「左」とは、
図1の状態で前方に向かって左方を意味し、「右」とは、
図1の状態で前方に向かって右方を意味する。
【0025】
本実施形態による排気ガス導出装置1は、
図1に示すような大型のクローラクレーンに設けられている。このクローラクレーンは、本発明の建設機械の概念に含まれるものである。このクローラクレーンは、クローラ式の下部走行体102と、その下部走行体102上に縦軸回りに旋回自在となるように搭載された上部旋回体104とを備えている。
【0026】
上部旋回体104は、その前端部に運転室106を備えている。また、上部旋回体104には、作業用アタッチメントを構成するブーム108やマスト110の各基端部が左右方向に延びる水平軸回りに回動可能となるように取り付けられている。上部旋回体104の後部には、クローラクレーンの動力源としての図略のエンジンや、図略の油圧ポンプ、カウンタウェイト112等が搭載されている。上部旋回体104の前後方向における中央部の左側部には、
図2に示す左側壁部114が設けられている。この左側壁部114は、上下方向に延びるとともに上部旋回体104の前後方向に延びるように設けられている。上部旋回体104のうち左側壁部114の内側(左側壁部114の右側)には、排気装置116が設けられている。この排気装置116は、エンジンに接続された消音装置としてのマフラー118と、そのマフラー118から延びる下部排気管120とを有する。エンジンの排気ガスは、マフラー118から下部排気管120を通じて排出される。
【0027】
マフラー118は、左側壁部114の高さ方向の略中間部から上部旋回体104の内側へ略水平に張り出すように設けられたマフラー取付台114a上に設置されており、左側壁部114に沿って略水平な姿勢で配置されている。マフラー118は、その後端部がエンジンと接続されており、その後端部の開口を通じてエンジンの排気ガスが当該マフラー118内に流入する。
【0028】
下部排気管120は、マフラー118のうちエンジンに接続された側と反対側の前端部に接続されており、その前端部から略水平に前方へ延びた後、上向きに屈曲して上方へ延びている。下部排気管120のうち上方へ延びる部分は、上方へ向かうにつれて徐々に左側壁部114に近づくように僅かに傾斜している。左側壁部114の上端近傍の位置には、当該左側壁部114の内側面(右側面)から上部旋回体104の内側へ略水平に張り出すように排気ガス導出装置取付台114bが設けられており、下部排気管120のうち上方へ延びる部分は、この排気ガス導出装置取付台114bに形成された開口を通って左側壁部114の上端よりも僅かに高い位置まで延びている。すなわち、下部排気管120の上端部120aは、左側壁部114の上端よりも僅かに高い位置に配置されている。下部排気管120には、マフラー118を通り当該マフラー118の前端部の開口から前方へ流出する排気ガスが流入し、当該下部排気管120は、その流入した排気ガスの流れを上方へ向ける。この下部排気管120の上端部120aの開口が、排気装置116の排気口となっている。
【0029】
本実施形態による排気ガス導出装置1は、上記のような構成のクローラクレーンに設けられており、排気装置116の下部排気管120の上端部120aの排気口を通じて排出される排気ガスをクローラクレーンの上方へ導出するためのものである。以下、本実施形態の排気ガス導出装置1の具体的な構成について説明する。
【0030】
本実施形態の排気ガス導出装置1は、
図2〜
図6に示すように、ベース部2と、上部排気管4と、排気管支持部6と、排気口蓋8と、排気口蓋支持部10と、操作部12と、操作部支持部14と、連動機構16と、駆動装置18と、駆動装置支持部20と、制御装置22とを備えている。
【0031】
ベース部2は、排気ガス導出装置取付台114b上に設置されており、下部排気管120の上方へ延びる部分の傾斜角度に対応した傾斜角度で僅かに左側へ傾くように設置されている。このベース部2は、下部排気管120の上方へ延びる部分の右側に配置されている。ベース部2は、固定部2aと、立設部2bと、支持部設置部2cとを有する。
【0032】
固定部2aは、排気ガス導出装置取付台114b上に固定される部分であり、長方形の平板状に形成されている。この固定部2aは、その長手方向が上部旋回体104の前後方向に沿うように配置されている。
【0033】
立設部2bは、固定部2aと一体的に形成されており、固定部2aの左端からその固定部2aの上面に対して垂直に立ち上げられている。この立設部2bは、右方から見て矩形状を呈する平板状に形成されており、固定部2aの左端縁に沿って固定部2aの前端から固定部2aの後端の手前の所定の位置に亘る範囲に設けられている。
【0034】
支持部設置部2cは、排気管支持部6と排気口蓋支持部10が設置される部分であり、立設部2bと一体的に形成されている。この支持部設置部2cは、立設部2bの左側面から左方へ突出するように設けられている。支持部設置部2cは、上方から見て略コの字状を呈している。この支持部設置部2cの高さは、立設部2bの高さよりも小さく、当該支持部設置部2cの上端は、立設部2bの上下方向の略中間の高さ位置に配置されている。支持部設置部2cは、立設部2bの後端部の位置から左方に突出するように設けられ、排気管支持部6が設置される排気管支持部設置部2eと、立設部2bの前端部の位置から左方に突出するように設けられ、排気口蓋支持部10が設置される排気口蓋支持部設置部2fとを有する。両設置部2e,2fは、前後方向において間隔をあけて配置されており、それらの上端面は、同じ高さ位置に配置されている。排気管支持部6は、排気管支持部設置部2eの上端面に設置され、排気口蓋支持部10は、排気口蓋支持部設置部2fの上端面に設置されている。
【0035】
上部排気管4は、下部排気管120の上端部120aの排気口から排出される排気ガスをクローラクレーンの上方へ導くためのものである。この上部排気管4は、本発明の排気管の概念に含まれる。また、上部排気管4は、起立姿勢(
図2及び
図5〜
図8参照)と倒伏姿勢(
図3及び
図9〜
図12参照)とをとり得るようになっている。起立姿勢は、上部排気管4の基端部(後述する直管部4eの基端部)が前記排気口に接続された状態で当該上部排気管4が上方へ延びる姿勢である。上部排気管4は、この起立姿勢をとることによって排気口から排出される排気ガスをクローラクレーンの上方へ導く。また、上部排気管4は、この起立姿勢をとっている状態では、
図2に示すように、クローラクレーンをトレーラ等で搬送する際の高さ制限よりも高い位置まで延びている。倒伏姿勢は、上部排気管4の基端部(後述する直管部4eの基端部)が下部排気管120の上端部120aの排気口から離脱するように上部排気管4が前記起立姿勢から後方へ倒伏した姿勢である。上部排気管4は、この倒伏姿勢をとることによって、
図3に示すようにクローラクレーンの搬送時の高さ制限以下の位置に配置され、それにより、クローラクレーンの搬送時の全高が高さ制限内に収まる。また、上部排気管4は、倒伏姿勢をとった時には、下部排気管120の上端部120aの排気口の上方の空間に存在せず、その空間の後方に配置される。上部排気管4は、筒状に構成された排気管本体4aと、その排気管本体4aに取り付けられ排気管支持部6によって支持される排気管被支持部4bとを有する。
【0036】
排気管本体4aは、筒状に構成されている。この排気管本体4aは、直線的に延びる円管状に形成された直管部4eと、その直管部4eの先端に繋がるフード部4fとを有する。
【0037】
直管部4eの基端部は、排気管本体4aの基端部となっており、上部排気管4が前記起立姿勢をとった時に下部排気管120の上端部120aの排気口に接続される。具体的には、下部排気管120の上端部120aの端縁は、それ以下の部分に比べてその外径がわずかに小さくなっており、この端縁に起立姿勢をとった上部排気管4の直管部4eの基端部が外嵌する。上部排気管4が起立姿勢をとった状態において、直管部4eは、下部排気管120の上方へ延びる部分と同軸となるように配置される。
【0038】
フード部4fは、上部排気管4が前記起立姿勢をとった状態で雨水等が排気管本体4a内に浸入しにくくするための部分であり、直管部4eの先端から連続して設けられている。フード部4fは、直管部4eと同径の円管状に形成されており、直管部4eから屈曲して直管部4eの軸方向に対して斜めに延びている。このフード部4f内の空間と直管部4e内の空間とは、連通しており、上部排気管4が起立姿勢をとった状態で下部排気管120の上端部120aの排気口から排出された排気ガスは、直管部4e内の空間とフード部4f内の空間を通って大気へ導出される。上部排気管4が起立姿勢をとった状態では、フード部4fは、
図2に示すように、直管部4eに対して水平寄りに寝た角度で左方斜め上へ延び、そのことに起因して雨水等が排気管本体4a内に浸入しにくくなり、ひいてはマフラー118内へ雨水等が浸入するのが抑制される。
【0039】
排気管被支持部4b(
図5及び
図6参照)は、直管部4eの基端部の外周面に固定されている。この排気管被支持部4bは、排気管取付板部4hと、排気管取付軸部4iとを有する。
【0040】
排気管取付板部4hは、略台形の平板状に形成されている。この排気管取付板部4hの周縁部は、直線的に延びる短辺4jと、その短辺4jと反対側の辺であり、その短辺4jと平行に延び且つ当該短辺4jよりも長い長辺4kとを有している。排気管取付板部4hは、その短辺4jの延びる方向が直管部4eの軸方向と同方向となるように配置され、その状態で当該排気管取付板部4hの短辺4j近傍の部位が直管部4eの下端部の外周面に溶接されることによって直管部4eに固定されている。排気管取付板部4hのうち長辺4k近傍の部位は、上部排気管4が起立姿勢をとった時に直管部4eの後端よりも後側に突出するように配置されている。この排気管取付板部4hの長辺4k近傍の部位のうち上部排気管4が起立姿勢をとった時に下端部となる部分には、当該排気管取付板部4hを厚み方向に貫通する図略の挿通穴が形成されている。
【0041】
排気管取付軸部4iは、排気管取付板部4hの長辺4k近傍の部位のうち長辺4kの延びる方向において前記挿通穴が形成された側と反対側の端部に設けられている。この排気管取付軸部4iは、排気管取付板部4hのうち直管部4e側と反対側の面から突出するようにその排気管取付板部4hに設けられている。また、排気管取付軸部4iは、その軸心が後述する第1回動軸と平行に延びるように配置されている。
【0042】
排気管支持部6は、上部排気管4が起立姿勢と倒伏姿勢との間で第1回動軸回りに回動自在となるように上部排気管4を支持するものである。第1回動軸は、下部排気管120及び直管部4eの軸方向に直交するとともに概ね左右方向に延び、その左右方向におけるベース部2の傾きと同様に傾斜している。排気管支持部6は、ベース部2の排気管支持部設置部2eの上面の左端部に立設された排気管支持本体6aと、その排気管支持本体6aに設けられた排気管支持軸6bとを有する。排気管支持軸6bは、上部排気管4が回動自在となるように上部排気管4を支持する軸であり、排気管支持本体6aから右方に突出するように設けられている。この排気管支持軸6bの軸心が前記第1回動軸に相当する。排気管支持軸6bは、排気管取付板部4hの前記挿通穴に挿通されており、これにより、上部排気管4が排気管支持軸6bを軸として第1回動軸回りに回動自在となっている。
【0043】
排気口蓋8は、下部排気管120の上端部120aの排気口を閉鎖するためのものである。この排気口蓋8は、前記排気口を閉鎖するようにその排気口に装着される閉鎖姿勢(
図3及び
図9〜
図12参照)と、前記排気口を開放するようにその排気口から離脱するとともに上部排気管4の基端部が当該排気口に接続するのを許容するようにその排気口上から退避する開放姿勢(
図2及び
図5〜
図8参照)とをとり得るようになっている。排気口蓋8が閉鎖姿勢をとった状態では、排気口(下部排気管120の上端部120a)から上方への当該排気口蓋8の突出量は小さく、当該状態における排気口蓋8の上端の高さ位置はクローラクレーンの搬送時の高さ制限以下に収まる(
図3参照)。また、排気口蓋8の開放姿勢は、前記閉鎖姿勢から排気口蓋8が前方へ回動した姿勢であり、この姿勢では、排気口蓋8は、下部排気管120の上端部120aの排気口の上方の空間に存在せず、その空間の前方に退避する。排気口蓋8は、蓋本体8aと、蓋被支持部8bとを有する。
【0044】
蓋本体8aは、前記排気口を閉鎖するときにその排気口に装着されるものである。この蓋本体8aは、筒部8cと、端板部8dと、蝶番8e(
図13参照)とを有する。
【0045】
筒部8cは、前記直管部4eと同等の内径を有する円筒状に形成されている。この筒部8cの軸方向の一端部8fは、排気口蓋8が前記閉鎖姿勢をとった時に前記排気口に装着される。具体的には、この筒部8cの一端部8fは、排気口蓋8が閉鎖姿勢をとったときに下部排気管120の上端部120aの端縁に外嵌する。排気口蓋8が閉鎖姿勢をとった状態において、筒部8cは、下部排気管120の上方へ延びる部分と同軸となるように配置される。
【0046】
端板部8dは、筒部8cの一端部8fと反対側の端部である他端部8gにその他端部8gの開口を開閉可能となるように蝶番8eを介して取り付けられている。蝶番8eは、筒部8cの一端部8fの端面のうち排気口蓋8が開放姿勢をとったときに最も上に位置する部位に取り付けられている。この端板部8dは、排気口蓋8が閉鎖姿勢をとっている状態でエンジンが停止されている場合には、筒部8cの他端部8gの上面に接触してその他端部8gの開口を閉鎖している。一方、排気口蓋8が閉鎖姿勢をとっている状態でエンジンが駆動されて前記排気口から排気ガスが排出された場合には、この端板部8dは、排気ガスの圧力で押し上げられて
図13に示すように筒部8cの他端部8gの開口を開放する。これにより、排気ガスは、筒部8cの他端部8gの開口から放出される。
【0047】
蓋被支持部8bは、(
図6、
図9及び
図10参照)は、筒部8cの外周面に固定されている。この蓋被支持部8bは、蓋取付板部8hと、蓋取付軸部8iとを有する。
【0048】
蓋取付板部8hは、排気管取付板部4hと同形の略台形状に形成されている。ただし、蓋取付板部8hは、排気口蓋8が閉鎖姿勢をとった状態で、上部排気管4が起立姿勢をとった時の排気管取付板部4hと前後対称となるように配置されている。具体的には、蓋取付板部8hの周縁部は、直線的に延びる短辺8jと、その短辺8jと反対側の辺であり、その短辺8jと平行に延び且つ当該短辺8jよりも長い長辺8kとを有している。蓋取付板部8hは、短辺8jの延びる方向が筒部8cの軸方向と同方向となるように配置され、その状態で当該蓋取付板部8hの短辺8j近傍の部位が筒部8cの外周面に溶接されることによって筒部8cに固定されている。蓋取付板部8hのうち長辺8k近傍の部位は、排気口蓋8が閉鎖姿勢をとった時に筒部8cの前端よりも前側に突出するように配置されている。この蓋取付板部8hの長辺8k近傍の部位のうち排気口蓋8が閉鎖姿勢をとった時に下端部となる部分には、当該蓋取付板部8hを厚み方向に貫通する図略の挿通穴が形成されている。
【0049】
蓋取付軸部8iは、蓋取付板部8hの長辺8k近傍の部位のうち長辺8kの延びる方向において挿通穴が形成された側と反対側の端部に設けられている。この蓋取付軸部8iは、蓋取付板部8hのうち筒部8c側と反対側の面から突出するようにその蓋取付板部8hに設けられている。また、蓋取付軸部8iは、その軸心が後述する第2回動軸と平行に延びるように配置されている。
【0050】
排気口蓋支持部10は、排気口蓋8が前記閉鎖姿勢と前記開放姿勢との間で第2回動軸回りに回動自在となるように排気口蓋8を支持するものである。第2回動軸は、前記第1回動軸と平行に延びている。排気口蓋支持部10は、ベース部2の排気口蓋支持部設置部2fの上面の左端部に立設された蓋支持本体10aと、その蓋支持本体10aに設けられた蓋支持軸10bとを有する。蓋支持軸10bは、排気口蓋8が回動自在となるように排気口蓋8を支持する軸であり、蓋支持本体10aから右方に突出するように設けられている。この蓋支持軸10bの軸心が前記第2回動軸に相当する。蓋支持軸10bは、蓋取付板部8hの前記挿通穴に挿通されており、これにより、排気口蓋8が蓋支持軸10bを軸として第2回動軸回りに回動自在となっている。
【0051】
操作部12は、上部排気管4及び下部排気管120から離間して配置されており、それらの排気管4,120から離れた位置で操作可能となっている。この操作部12は、上部排気管4及び排気口蓋8を回動させるときに操作されて連動機構16に操作力を与える。操作部12は、駆動装置側アーム部12aと、連動機構側アーム部12bと、操作部軸部12cとを有する。
【0052】
駆動装置側アーム部12aと連動機構側アーム部12bは、同形の部材からなり、特定方向に延びる細長い板状の部材によって形成されている。両アーム部12a,12bは、互いに直交する方向に延びるとともにそれらの板厚方向が同方向となるように配置された状態でその板厚方向において間隔をあけて配置されており、当該両アーム部12a,12bの長手方向の一端部がその板厚方向から見て互いに重なるように配置されている。そして、この両アーム部12a,12bの一端部同士が、それらの間に配置された操作部軸部12cによって連結されている。この両アーム部12a,12bと操作部軸部12cとは、相互に固定されている。
【0053】
操作部12は、操作部支持部14によって、前記第1回動軸及び前記第2回動軸と平行に延びる軸回りに回動可能となるように支持されている。操作部支持部14は、前後方向において排気管支持部6が設けられた位置と排気口蓋支持部10が設けられた位置とのちょうど中間の位置に配置されている。操作部支持部14は、ベース部2の立設部2bの上端面に設置された操作部支持本体14aと、その操作部支持本体14aに設けられた軸受け14bとによって構成されている。
【0054】
操作部支持本体14aは、前方から見て略L字状に形成されている。この操作部支持本体14aは、立設部2bの上端面に固定されるとともにその立設部2bの上端面から左方に突出する固設部14dと、その固設部14dの左端から上方へ立ち上げられた延設部14eとからなる。延設部14eには、当該延設部14eを左右方向に貫通する図略の軸受穴が形成されており、この軸受穴に軸受け14dが嵌め込まれている。操作部12の操作部軸部12cは、前記軸受穴を通じて左右方向に延びており、軸受け14dによってその軸回りに回転可能となるように支持されている。この状態で、操作部12の連動機構側アーム部12bと駆動装置側アーム部12aとは、延設部14eの左右に分かれて配置されている。操作部12は、操作部軸部12cを中心として一方側A(
図6及び
図8参照:左方へ向かって見て右回り)とその反対の他方側B(
図10及び
図12参照:左方へ向かって見て左回り)とに回動するように操作可能となっている。
【0055】
連動機構16は、操作部12の操作力を上部排気管4と排気口蓋8とに伝えて上部排気管4と排気口蓋8を連動させるためのものである。この連動機構16は、排気管側ロッド16aと、排気口蓋側ロッド16bと、連結軸16cとを有する。
【0056】
排気管側ロッド16aと排気口蓋側ロッド16bは、同形の細長い板状の部材によってそれぞれ形成されている。両ロッド16a,16bの長手方向の両端部には、それぞれ、その板厚方向に貫通する穴部が形成されている。排気管側ロッド16aの長手方向の一端部は、その一端部に形成された穴部に排気管取付軸部4iが挿通されることによって排気管被支持部4bに接続されている。排気管側ロッド16aは、排気管取付軸部4iの軸心回りに回動自在となるように当該排気管取付軸部4iによって支持されている。また、排気口蓋側ロッド16bの長手方向の一端部は、その一端部に形成された穴部に蓋取付軸部8iが挿通されることによって蓋被支持部8bに接続されている。排気口蓋側ロッド16bは、蓋取付軸部8iによって、前記第1回動軸及び前記第2回動軸と平行に延びる当該蓋取付軸部8iの軸心回りに回動自在となるように支持されている。また、排気管側ロッド16aの長手方向の一端部と反対側の端部である他端部と、排気口蓋側ロッド16bの長手方向の一端部と反対側の端部である他端部とは、それらの間に前記連動機構側アーム部12bのうち操作部軸部12cに結合した側と反対側の端部を介在させた状態で連結軸16cによって連結されている。具体的には、排気管側ロッド16aの他端部に形成された穴部と、排気口蓋側ロッド16bに形成された穴部と、連動機構側アーム部12bの端部に形成された穴部とに連結軸16cが挿通されることによって、それら排気管側ロッド16aの他端部と排気口蓋側ロッド16bの他端部と連動機構側アーム部12bの端部とが相互に連結されている。排気管側ロッド16aと排気口蓋側ロッド16bと連動機構側アーム部12bは、連結軸16cの軸心回りに相対的にそれぞれ回動可能となっている。連結軸16cは、操作部12の操作部軸部12cよりも低い位置に位置している。
【0057】
連動機構16では、
図6の状態から操作部12が前記一方側Aへ回動されるのに応じて、排気管側ロッド16aが排気管取付軸部4iを後方斜め下へ押すことで上部排気管4を排気管支持軸6bを中心として後方へ回動させて倒伏させるとともに、排気口蓋側ロッド16bが蓋取付軸部8iを後方斜め上へ引っ張ることで排気口蓋8を蓋支持軸10bを中心として後方へ回動させる。また、連動機構16では、
図10の状態から操作部12が前記他方側Bへ回動されるのに応じて、排気口蓋側ロッド16bが蓋取付軸部8iを前方斜め下へ押すことで排気口蓋8を蓋支持軸10bを中心として前方へ回動させるとともに、排気管側ロッド16aが排気管取付軸部4iを前方斜め上へ引っ張ることで上部排気管4を排気管支持軸6bを中心として前方へ回動させて起立させる。
【0058】
駆動装置18は、操作部12を前記一方側Aと前記他方側Bとに駆動するためのものである。この駆動装置18は、油圧シリンダ18aと、シリンダロッド18bと、シリンダロッド取付部18cと、駆動装置接続軸18dと、油圧供給装置18eとを有する。
【0059】
油圧シリンダ18aは、操作部12を駆動するためのアクチュエータである。油圧シリンダ18aは、筒状のシリンダ部18gと、そのシリンダ部18gの軸方向に移動可能となるように当該シリンダ部18g内に収容された図略のピストン部とを有する。
【0060】
シリンダ部18gの軸方向の一方の端部である基端部は、駆動装置支持部20によって支持されている。具体的には、駆動装置支持部20は、ベース部2に設けられた駆動装置支持部本体20aと、駆動装置支持軸20bとを有する。駆動装置支持部本体20aは、ベース部2の固定部2aの後端部の上面に立設されている。駆動装置支持軸20bは、その軸心が前記第1回動軸及び前記第2回動軸と平行となるように駆動装置支持部本体20aに固定されている。この駆動装置支持軸20bは、シリンダ部18gの端部に形成された挿通穴に挿通されており、それによってシリンダ部18gが当該駆動装置支持軸20bの軸心回りに回動可能となるように当該駆動装置支持軸20bによって支持されている。
【0061】
シリンダロッド18bは、その一端部がピストン部に結合されており、ピストン部がシリンダ部18g内で軸方向に移動するのに伴ってシリンダ部18gの前記基端部と反対側の先端端部から進出又はそのシリンダ部18g内に退避するようになっている。シリンダロッド18bのうちピストン部と結合された端部と反対側の端部である先端部は、シリンダロッド取付部18cに結合されている。このシリンダロッド取付部18cは、駆動装置接続軸18dを介して操作部12の駆動装置側アーム部12aに接続されている。具体的には、シリンダロッド取付部18cと駆動装置側アーム部12aには、挿通穴がそれぞれ形成されており、それらの挿通穴に駆動装置接続軸18dが挿通されている。駆動装置接続軸18dは、挿通穴から抜け出ないように抜け止めされている。駆動装置接続軸18dは、その軸心が前記第1回動軸及び前記第2回動軸と平行となるように配置されており、シリンダロッド取付部18cと駆動装置側アーム部12aとは、駆動装置接続軸18dを軸として相対的に回動可能となっている。
図10に示す状態からシリンダロッド18bが油圧シリンダ18aの駆動によって進出させられると、そのシリンダロッド18b及びシリンダロッド取付部18cにより駆動装置側アーム部12aが前方斜め上へ押されて操作部12が前記他方側Bへ回動させられる。また、
図6に示す状態からシリンダロッド18bが油圧シリンダ18aの駆動によってシリンダ部18g内に退避すると、そのシリンダロッド18b及びシリンダロッド取付部18cにより駆動装置側アーム部12aの端部が駆動装置接続軸18dを介して下側へ引っ張られて操作部12が前記一方側Aへ回動させられる。
【0062】
油圧供給装置18eは、油圧シリンダ18aを駆動するための圧油をその油圧シリンダ18aに供給する装置である。油圧供給装置18eは、シリンダ部18g内と油圧配管を介して接続されている。油圧供給装置18eは、シリンダ部18g内のうちピストン部に対してシリンダ部18gの基端部側の領域とシリンダ部18gの先端部側の領域とに圧油を供給可能となっている。
【0063】
制御装置22(
図4参照)は、駆動装置18の油圧シリンダ18aの駆動を遠隔制御するためのものである。具体的には、制御装置22は、上部排気管4と排気口蓋8の姿勢の切り換えを指示するための切換スイッチ22aと、切換スイッチ22aによって指示された姿勢に応じて油圧供給装置18eを制御することにより上部排気管4と排気口蓋8が前記指示された姿勢をとるように油圧シリンダ18aの駆動を制御する制御部22bとを備えている。
【0064】
切換スイッチ22aは、例えば運転室106内に設けられており、排気管倒伏−排気口蓋閉鎖指示位置と排気管起立−排気口蓋開放指示位置との間で切り換え可能となっている。
【0065】
上部排気管4が起立姿勢をとっているとともに排気口蓋8が開放姿勢をとっている状態(
図5〜
図8の状態)で切換スイッチ22aが排気管倒伏−排気口蓋閉鎖指示位置に切り換えられると、それに応じて、制御部22bは、油圧供給装置18eがシリンダ部18g内の空間のうちピストン部に対してシリンダ部18gの先端部側の領域に圧油を供給するようにその油圧供給装置18eを制御する。これにより、ピストン部は、シリンダ部18gの基端部側へ移動し、それに応じてシリンダロッド18bがシリンダ部18g内に退避する。その結果、操作部12が前記一方側Aに回動され、連動機構16の排気管側ロッド16aが排気管取付軸部4iを後方斜め下へ押して上部排気管4を後方へ回動させてその上部排気管4に倒伏姿勢をとらせるとともに連動機構16の排気口蓋側ロッド16bが蓋取付軸部8iを後方斜め上へ引っ張って排気口蓋8を後方へ回動させてその排気口蓋8に閉鎖姿勢をとらせる。これにより、
図9〜
図12に示すように、上部排気管4が倒伏姿勢となるとともに排気口蓋8が閉鎖姿勢となり、その排気口蓋8が下部排気管120の上端部120aの排気口に装着されてその排気口を閉鎖する。
【0066】
一方、上部排気管4が倒伏姿勢をとっているとともに排気口蓋8が閉鎖姿勢をとっている状態(
図9〜
図12の状態)で切換スイッチ22aが排気管起立−排気口蓋開放指示位置に切り換えられると、制御部22bは、油圧供給装置18eがシリンダ部18g内の空間のうちピストン部に対してシリンダ部18gの基端部側の領域に圧油を供給するようにその油圧供給装置18eを制御する。これにより、ピストン部は、シリンダ部18gの先端部側へ移動し、それに応じてシリンダロッド18bがシリンダ部18g内から進出する。その結果、操作部12が前記他方側Bに回動され、連動機構16の排気管側ロッド16aが排気管取付軸部4iを前方斜め上へ引っ張って上部排気管4を前方へ回動させてその上部排気管4に起立姿勢をとらせるとともに連動機構16の排気口蓋側ロッド16bが蓋取付軸部8iを前方斜め下へ押して排気口蓋8を前方へ回動させてその排気口蓋8に開放姿勢をとらせる。これにより、
図5〜
図8に示すように、上部排気管4が起立姿勢となるとともに排気口蓋8が開放姿勢となり、その上部排気管4が下部排気管120の上端部120aの排気口に接続されてその排気口から排出される排気ガスをクローラクレーンの上方へ導出可能な状態となる。
【0067】
以上説明したように、本実施形態による排気ガス導出装置1では、駆動装置18と制御装置22とによって操作部12を上部排気管4及び下部排気管120から離れた位置で遠隔操作可能であるため、排気管4,120に触れることなく、上部排気管4が倒伏姿勢をとるようにその上部排気管4を倒伏させることができる。これにより、駆動中のクローラクレーンを急遽搬送する要請があったときでも、エンジンからの排気ガスが内部を流通することによって高温となっている上部排気管4の温度が低下するのを待つことなく上部排気管4を倒伏させて搬送時の高さ制限をクリアし、クローラクレーンを搬送することができる。このため、駆動中のクローラクレーンの緊急の搬送要請に応えることができる。
【0068】
さらに、本実施形態では、操作部12の操作に応じて、連動機構16が上部排気管4を起立姿勢と倒伏姿勢との間で回動させるとともに排気口蓋8を閉鎖姿勢と開放姿勢との間で回動させるため、上部排気管4を起立させて下部排気管120の排気口に装着させる際のその排気口の開放と、上部排気管4を倒伏させることによって露出する下部排気管120の排気口への雨水等の浸入を防ぐためのその排気口の閉鎖とを行うことができる。しかも、本実施形態では、上部排気管4の起立姿勢と倒伏姿勢との間での回動と排気口蓋8の閉鎖姿勢と開放姿勢との間での回動とが連動機構16によって連動して行われるため、上部排気管の倒伏姿勢への回動と排気口蓋8の閉鎖姿勢への回動とを共通の一度の操作で行うことができるとともに、上部排気管4の起立姿勢への回動と排気口蓋8の開放姿勢への回動とを共通の一度の操作で行うことができる。このため、下部排気管120の排気口の開閉作業に係る作業負担を削減することができる。
【0069】
また、本実施形態では、駆動装置18により操作部12が前記一方側Aと前記他方側Bとに回動されるため、操作部を手動で操作する場合に比べて、作業負担を削減することができる。さらに、本実施形態では、制御装置22により駆動装置18を遠隔制御して当該駆動装置18に操作部12を回動させるため、上部排気管4の回動及び排気口蓋8の回動のためにクローラクレーンの上部まで登って高所作業を行う必要がない。このため、そのような高所作業に係る労力を削減することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上部排気管4の回動方向が前記第1回動軸に直交する方向であり、排気口蓋8の回動方向が第2回動軸に直交する方向であり、それら第1回動軸と第2回動軸とが互いに平行に配置されている。そして、連動機構16が、第1回動軸及び第2回動軸に直交する方向の操作部12の操作力をそれら両回動軸に直交する面内で上部排気管4を回動させる力として上部排気管4に伝えるとともにその面内で排気口蓋8を回動させる力として排気口蓋8に伝える。このため、本実施形態では、操作部から連動機構に与えられる操作力の方向が第1回動軸及び第2回動軸と直交する方向ではない場合のように操作部の操作力を両回動軸に直交する方向へ変換する必要がなく、そのような変換のための機構を連動機構16に組み込む必要がない。その結果、連動機構16の構成を簡素化することができる。
【0071】
また、本実施形態では、排気口蓋8の端板部8dが筒部8cの他端部8gの開口を開閉可能となっているため、排気口蓋8が閉鎖姿勢をとって下部排気管120の排気口を閉鎖しているときに誤ってエンジンが駆動された場合でも、排気ガスの圧力によって端板部8dが押し上げられて筒部8cの他端部8gの開口が開放される。このため、筒部8cの他端部8gの開口から排気ガスを放出することができる。従って、本実施形態では、上部排気管4が倒伏されて下部排気管120の排気口が露出するときにその排気口を排気口蓋8で閉鎖して当該排気口への雨水等の浸入を防ぎつつ、その閉鎖状態でエンジンから排気ガスが排出された場合にはその排気ガスを放出することができる。
【0072】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0073】
例えば、本発明の排気ガス導出装置は、上記実施形態で示したようなクローラクレーン以外の種々の建設機械にも適用することが可能である。
【0074】
また、上記実施形態では、駆動装置に油圧シリンダを用いたが、駆動装置に油圧シリンダ以外のアクチュエータを用いてもよい。例えば、空気シリンダや、電気シリンダや、電動モータ等を油圧シリンダの代わりに駆動装置に用いてもよい。
【0075】
なお、駆動装置にアクチュエータとして電動モータを用いる場合には、その電動モータの駆動軸を操作部の操作部軸部に当軸となるように接続し、その駆動軸の回転力を操作力として操作部軸部に与えるようにしてもよい。また、電動モータの駆動軸の回転力を、互いに噛合する複数の歯車からなる歯車機構を介して、操作部に当該操作部を回動させる操作力として付与してもよい。
【0076】
また、連動機構として、上記実施形態で示した構成のもの以外の種々の構成の連動機構を用いてもよい。例えば、互いに噛合する複数の歯車からなる歯車機構により、操作部を回動させる操作力を上部排気管と排気口蓋とにそれぞれ伝達して上部排気管を第1回動軸回りに回動させるとともに排気口蓋を第2回動軸回りに回動させてもよい。
【0077】
また、駆動装置を設けず、操作部を手動で操作するようにしてもよい。