(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、蓄電装置を具体化した第1の一実施形態を
図1〜
図4にしたがって説明する。
図1に示すように、蓄電装置としての二次電池10は、ケース11に電極組立体12が収容されている。また、ケース11には、電極組立体12とともに電解液も収容されている。ケース11は、有底筒状のケース本体13と、当該ケース本体13に電極組立体12を挿入する開口部を閉塞する平板状の蓋体14とからなる。ケース本体13と蓋体14は、何れも金属製(例えば、ステンレスやアルミニウム)である。また、この実施形態の二次電池10は、ケース本体13が有底四角筒状であり、蓋体14が矩形平板状であることから、その外観が角型をなす角型電池である。また、この実施形態の二次電池10は、リチウムイオン電池である。
【0013】
電極組立体12は、正極電極、負極電極、及び正極電極と負極電極を絶縁するセパレータを有する。正極電極は、正極金属箔(アルミニウム箔)の両面に正極活物質を塗布して構成される。負極電極は、負極金属箔(銅箔)の両面に負極活物質を塗布して構成される。そして、電極組立体12は、複数の正極電極と複数の負極電極を交互に積層するとともに、両電極の間にセパレータを介在した積層構造とされている。また、電極組立体12には、正極端子15と負極端子16が電気的に接続されている。これらの正極端子15と負極端子16の各一部分は、蓋体14からケース11外に露出している。また、正極端子15及び負極端子16には、ケース11から絶縁するためのリング状の絶縁リング17aがそれぞれ取り付けられている。
【0014】
また、ケース11の蓋体14には、ケース11(ケース本体13)内に電解液を注入するための注液孔18が穿設されており、その注液孔18は封止部材19によって閉塞されている。封止部材19は、蓋体14の表面14a(ケース外側の面)に固定されており、ケース11外に露出している。また、ケース11には、ケース11内の圧力が上昇し過ぎないように、ケース11内の圧力が所定の圧力である開放圧に達した場合に開裂し、ケース内外を連通させる圧力開放弁20が設けられている。この実施形態において圧力開放弁20は、ケース11の蓋体14に位置している。また、蓋体14において封止部材19(注液孔18)と圧力開放弁20は、並んで位置している。圧力開放弁20の開放圧は、ケース11自体やケース本体13と蓋体14の接合部に亀裂や破断などが生じ得る前に開裂し得る圧力に設定されている。そして、圧力開放弁20は、蓋体14の板厚よりも薄い薄板状の弁体21を有する。弁体21は、蓋体14の上面に凹設された凹部22の底に位置しており、蓋体14と一体的に成形されている。
【0015】
図2に示すように、圧力開放弁20は、円形状の周縁を有する。なお、弁体21は、圧力開放弁20の周縁に繋がっており、圧力開放弁20と同様に円形状である。
弁体21の表面21aには、交差溝23を有する。交差溝23は、2本の直線溝24,25と、凹溝26と、を有する。直線溝24,25は同一形状の溝であり、この実施形態ではV字形溝である。一方、凹溝26は、各直線溝24,25に沿って延長し、圧力開放弁20の周縁と交差する仮想直線Y1,Y2を想定したときに、交差溝23の中心位置となる仮想直線Y1,Y2の交差点Pを含む領域に位置する。凹溝26は、開口形状がほぼ四角形状の溝であり、直線溝24,25と同じ溝深さである。また、この実施形態において仮想直線Y1,Y2の交差点Pは、弁体21の中央に位置している。このため、凹溝26は、弁体21の中央を含み、その中央を囲む領域に凹設されている。
【0016】
図3及び
図4に示すように、凹溝26の開口幅27は、直線溝24,25の開口幅28に比べて広い。このため、この実施形態の交差溝23は、中心位置に凹溝26を有することによって交差溝23の中心位置(交差点P)側の開口幅が広く、中心位置から離れる位置に直線溝24,25を有することによって中心位置(交差点P)側とは反対側の開口幅が狭い。これにより、この実施形態の交差溝23は、弁体21の周縁から交差溝23の中心位置に向かって開口幅が広い。
【0017】
また、
図3及び
図4に示すように、圧力開放弁20は、凹溝26の底と弁体21の裏面21bとの間、及び直線溝24,25の底と弁体21の裏面21bとの間、に薄膜部29を有する。薄膜部29は、弁体21において交差溝23が形成されていない部位に比して、交差溝23の深さ分、薄くなっている。これにより、薄膜部29は、弁体21の板厚30よりも薄い。そして、凹溝26の開口幅を直線溝24,25の開口幅よりも広くしているので、ケース11の内側から加わる圧力は凹溝26内に位置する交差点Pを中心に集中し易く、交差点Pは弁体21が開裂を始める時の起点である開裂起点として想定される。
【0018】
以下、この実施形態の作用を説明する。
ケース11内の圧力は、弁体21の裏面21bが受圧面となることによって弁体21を外方に膨張させるように加わる。また、弁体21の交差溝23には、ケース11の内側から加わる圧力によって応力が発生している。
【0019】
この実施形態では、開裂起点として想定される交差溝23の交差点Pを囲むように開口幅を広くした凹溝26が位置している。このため、ケース11の内側から加わる圧力は凹溝26に集中し易く、凹溝26を起点として弁体21の開裂が始まり易い。
【0020】
そして、ケース11内の圧力が開放圧に達すると、凹溝26を起点として凹溝26が開裂するとともに、凹溝26の開裂によって直線溝24,25も開裂する。このように弁体21の表面21aに有する交差溝23が開裂すると、弁体21は、複数の領域に分断されつつ、外側にめくれ上がる。これにより、圧力開放弁20には、大きな開口が生じる。そして、ケース11内の圧力は、圧力開放弁20に生じた開口を通じてケース11外に開放される。
【0021】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)交差溝23の凹溝26を開裂が始まる位置として定めることができ、凹溝26を起点として開裂が始まり易い。その結果、圧力開放弁20の開口形状や開口面積のばらつきを低減させることができる。したがって、ケース11内の圧力を十分に開放できる。
【0022】
(2)交差溝23を有することで、開裂の初期には、交差溝23によって開裂を放射状に広げることができる。したがって、ケース11内の圧力を開放する場合の迅速性を向上させることができる。
【0023】
(3)交差点Pを弁体21の中央に位置させているので、弁体21をバランス良く、開裂させることができる。
(4)交差溝23は、直線溝24,25と凹溝26とを連通させた溝としている。このため、凹溝26を起点として開裂が始まった場合には、その開裂を迅速に直線溝24,25に伝えることができる。したがって、ケース11内の圧力を開放する場合の迅速性を向上させることができる。
【0024】
(第2の実施形態)
次に、蓄電装置を具体化した第2の実施形態を
図5にしたがって説明する。
なお、以下に説明する実施形態では、既に説明した実施形態と同一構成についてその重複する説明を省略又は簡略する。
【0025】
図5に示すように、この実施形態の圧力開放弁32は、平行な2つの直線部33,34を弧部35,36で繋いだトラック形状の周縁を有する。なお、圧力開放弁32の弁体37は、圧力開放弁32の周縁に繋がっており、圧力開放弁32と同様にトラック形状である。
【0026】
弧部35は、一方の端部が直線部33の一方の端部に繋がっているとともに、他方の端部が直線部34の一方の端部に繋がっている。弧部36は、一方の端部が直線部33の他方の端部に繋がっているとともに、他方の端部が直線部34の他方の端部に繋がっている。つまり、この実施形態において直線部33,34の一方の端部は、その全体を弧状とした弧部35で繋がっているとともに、直線部33,34の他方の端部は、その全体を弧状とした弧部36で繋がっている。圧力開放弁32において、直線部33,34の端部と弧部35,36の端部とが繋がる部位が、直線部33,34と弧部35,36の境界P1,P2,P3,P4となる。
【0027】
弁体37の表面37aには、溝を有する。溝は、交差溝23と、弧部35,36に沿う複数の弧状溝38,39と、直線部33,34に沿う複数の直線状溝40,41と、からなる。この実施形態において、弧状溝38,39と、直線状溝40,41とは、何れもV字形溝である。
【0028】
交差溝23は、第1の実施形態と同様に、2本の直線溝24,25と、凹溝26と、を有する。凹溝26は、各直線溝24,25に沿って延長し、圧力開放弁32の周縁と交差する仮想直線Y1,Y2を想定したときに、交差溝23の中心位置となる仮想直線Y1,Y2の交差点Pを含む領域に位置する。この実施形態において、仮想直線Y1は、境界P1,P3を結ぶ図中に二点鎖線で示す仮想線に交差するとともに圧力開放弁32の周縁である弧部35に交差する。また、仮想直線Y2は、境界P2,P4を結ぶ図中に二点鎖線で示す仮想線に交差するとともに圧力開放弁32の周縁である弧部36に交差する。そして、この実施形態において仮想直線Y1,Y2の交差点Pは、弁体37の中央に位置している。このため、凹溝26は、弁体37の中央を含み、その中央を囲む領域に凹設されている。
【0029】
凹溝26の開口幅、及び直線溝24,25の開口幅は、第1の実施形態で
図3及び
図4を用いて説明したように、凹溝26の開口幅が直線溝24,25の開口幅に比較して広い。また、この実施形態において、凹溝26の底と弁体37の裏面との間、及び直線溝24,25の底と弁体37の裏面との間には、第1の実施形態で
図3及び
図4を用いて説明したように薄膜部29を有する。また、この実施形態において、凹溝26内に位置する交差点Pは、弁体37が開裂を始める時の起点である開裂起点として想定される。
【0030】
また、弁体37の表面37aには、弧部35に沿う2本の弧状溝38を有するとともに、弧部36に沿う2本の弧状溝39を有する。弧状溝38,39は同一形状の溝であり、直線溝24,25と同じ溝深さである。2本の弧状溝38のうち、一方の弧状溝38は、直線溝24において境界P1側に位置する一方の端部に繋がっており、弧部35に沿って弧状に延在している。また、2本の弧状溝39のうち、一方の弧状溝39は、直線溝25において境界P2側に位置する一方の端部に繋がっており、弧部36に沿って弧状に延在している。なお、2本の弧状溝38のうち、他方の弧状溝38は、直線溝25において境界P3側に位置する他方の端部に繋がっており、弧部35に沿って弧状に延在している。また、2本の弧状溝39のうち、他方の弧状溝39は、直線溝24において境界P4側に位置する他方の端部に繋がっており、弧部36に沿って弧状に延在している。各弧状溝38,39は、直線溝24,25に繋がる端部とは反対側の端部の位置が、直線部33,34の延びる方向に直交する方向で二等分する図中に一点鎖線で示す二等分線L1から所定の距離を隔てた位置となる長さになっている。つまり、各弧状溝38,39は、弧部35,36の一部に沿って設けられている。これにより、弁体37は、直線溝24に繋がる各1本の弧状溝38,39を有するとともに、直線溝25に繋がる各1本の弧状溝38,39を有する。
【0031】
また、弁体37の表面37aには、直線部33に沿う2本の直線状溝40,41と、直線部34に沿う2本の直線状溝40,41を有する。直線状溝40,41は同一形状の溝であり、直線溝24,25と同じ溝深さである。2本の直線状溝40のうち、一方の直線状溝40は、直線溝24において境界P1側に位置する一方の端部に繋がっており、直線部33に沿って直線状に延在している。また、2本の直線状溝41のうち、一方の直線状溝41は、直線溝25において境界P2側に位置する一方の端部に繋がっており、直線部33に沿って直線状に延在している。なお、2本の直線状溝40のうち、他方の直線状溝40は、直線溝25において境界P3側に位置する他方の端部に繋がっており、直線部34に沿って直線状に延在している。また、2本の直線状溝41のうち、他方の直線状溝41は、直線溝24において境界P4側に位置する他方の端部に繋がっており、直線部34に沿って直線状に延在している。
【0032】
直線状溝40,41は、直線溝24,25に繋がる端部とは反対側の端部の位置が、交差点Pを通り、二等分線L1に垂直に交わる垂線L2から所定の距離を隔てた位置となる長さである。つまり、各直線状溝40,41は、直線部33,34の一部に沿って設けられている。これにより、弁体37は、直線溝24に繋がる各1本の直線状溝40,41を有するとともに、直線溝25に繋がる各1本の直線状溝40,41を有する。
【0033】
そして、弁体37の表面37aには、交差溝23に沿う仮想直線Y1,Y2を想定したとき、仮想直線Y1,Y2と圧力開放弁32の周縁によって囲まれる複数の領域S1,S2,S3,S4が想定される。領域S1は、仮想直線Y1,Y2の交差点Pと仮想直線Y1が弧部35に交差する交差点との間に位置する仮想直線Y1の部分と、交差点Pと仮想直線Y2が弧部36に交差する交差点との間に位置する仮想直線Y2の部分と、直線部33と、によって区画される領域である。また、領域S2は、交差点Pと仮想直線Y2が弧部35に交差する交差点との間に位置する仮想直線Y2の部分と、交差点Pと仮想直線Y1が弧部36に交差する交差点との間に位置する仮想直線Y1の部分と、直線部34と、によって区画される領域である。領域S1と領域S2は、交差点Pを対称の中心として点対称である。
【0034】
領域S3は、交差点Pと仮想直線Y1が弧部35に交差する交差点との間に位置する仮想直線Y1の部分と、交差点Pと仮想直線Y2が弧部35に交差する交差点との間に位置する仮想直線Y2の部分と、弧部35と、によって区画される領域である。また、領域S4は、交差点Pと仮想直線Y2が弧部36に交差する交差点との間に位置する仮想直線Y2の部分と、交差点Pと仮想直線Y1が弧部36に交差する交差点との間に位置する仮想直線Y1の部分と、弧部36と、によって区画される領域である。領域S3と領域S4は、交差点Pを対称の中心として点対称である。
【0035】
この実施形態において領域S1,S2は、直線部33,34を含む領域であり、直線部33,34の全体に接する一方で、弧部35,36に僅かに接する領域となる。一方、この実施形態において、領域S3,S4は、弧部35,36を含む領域であり、弧部35,36のほぼ全体に接する領域となる。この実施形態において領域S1,S2は弧部35,36に接する部分が少ない第2の領域となり、領域S3,S4は弧部35,36に接する部分が多い第1の領域となる。そして、弁体37の表面37aに有する4つの領域S1〜S4の面積は、弧部35,36に接する部分が多い領域S3,S4の方が、弧部35,36に接する部分が少ない領域S1,S2に比較して大きい。
【0036】
以下、この実施形態の作用を説明する。
この実施形態においても、2本の直線溝24,25と凹溝26とからなる交差溝23を有することで、第1の実施形態と同様に、ケース11の内側から加わる圧力は凹溝26に集中し易く、凹溝26を起点として弁体37の開裂が始まり易い。
【0037】
また、この実施形態では、凹溝26を起点として開裂が始まるとともに直線溝24,25の開裂が弧状溝38,39に繋がる端部に達すると、弧状溝38,39の開裂とともに、直線状溝40,41の開裂も始まる。この開裂により、弁体21は、領域S1〜S4を区画する各溝に沿って4つの領域S1〜S4に分断される。
【0038】
このとき、この実施形態では、弧部35,36に接する部分が多い領域S3,S4の面積を、直線部33,34に接する部分が多い領域S1,S2の面積に比較して大きくしている。つまり、領域S3,S4の方が、領域S1,S2に比較して受圧面積が大きい。このため、弁体37の裏面に対してケース11の内側から加わる圧力の受圧量は、領域S3,S4の方が領域S1,S2に比較して大きくなる。
【0039】
したがって、この実施形態によれば、第1の実施形態の効果(1)〜(4)に加えて、以下に示す効果を得ることができる。なお、効果(3)は、「弁体21」を「弁体37」と読み替えるものとする。
【0040】
(5)弧状溝38,39は、直線溝24,25に比較して開裂し難い。このため、弧部35,36に接する部分が多い領域S3,S4の面積を、弧部35,36に接する部分が少ない領域S1,S2の面積に比較して大きくすることで、領域S3,S4の受圧量が大きくなる。したがって、圧力開放弁32の開口を大きくするために弧部35,36に沿う弧状溝38,39を有する圧力開放弁32であっても、弧状溝38,39の開裂が促進されることで領域S3,S4が外側に開き易くなる。その結果、圧力開放弁32の開きのバランスが良くなり、圧力開放弁32の開口を大きくすることができる。つまり、ケース11内の圧力を迅速に開放させることができる。
【0041】
因みに、弧部35,36に接する領域S3,S4の受圧量が小さい場合には、弧状溝38,39の開裂が不十分になる虞がある。つまり、圧力開放弁32の開きのバランスが悪いと、弧状溝38,39が十分に開裂せず、その結果、圧力開放弁32の開口も小さくなる。したがって、ケース11内の圧力を開放する場合の迅速性が損なわれる。
【0042】
(6)交差溝23を2本の直線溝24,25としている。このため、弁体37の開裂の初期において直線溝24,25によって開裂が促進される。したがって、ケース11内の圧力を開放させる場合の迅速性を向上させることができる。
【0043】
(7)圧力開放弁32をトラック形状にすることで、圧力開放弁32を四角形状にする場合に比較して圧力開放弁32の開口を大きく設定することができる。したがって、ケース11内の圧力を開放させる場合の迅速性を向上させることができる。
【0044】
(8)直線溝24,25を境界P1〜P4の付近まで延在させているので、弧状溝38,39を弧部35,36に沿わせて配置することができる。したがって、弁体37の各溝が開裂した場合には、圧力開放弁32の開口を大きくすることができる。
【0045】
(9)直線溝24,25と弧状溝38,39を繋げているので、直線溝24,25の開裂後、速やかに弧状溝38,39の開裂に移行させることができる。圧力開放弁32は、直線溝24,25の開裂によって領域S1〜S4に分断されつつ、開裂の進行に合わせて弁体37が外側にめくれ上がることで開口が生じ、その開口から圧力がケース11外に開放される。このため、直線溝24,25から弧状溝38,39への開裂を速やかに移行させることで、圧力開放弁32の開口量を十分に確保することができる。
【0046】
(10)直線状溝40,41により、領域S1,S2が外側にめくれ上がることが促進される。つまり、直線状溝40,41の開裂により、領域S1,S2が外側に開き易くなる。その結果、圧力開放弁32の開きのバランスが良くなり、圧力開放弁32の開口を大きくすることができる。つまり、ケース11内の圧力を迅速に開放させることができる。
【0047】
(11)弧状溝38,39は弧部35,36の一部に沿うように設けている。また、直線状溝40,41は直線部33,34の一部に沿うように設けている。このため、弁体37は、各溝が開裂し、外側にめくれ上がっても、溝が設けていない箇所で繋がっている。したがって、弁体37の破片が飛散することを防止できる。
【0048】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○
図6(a),(b)に示すように、交差溝23の溝深さを変化させても良い。溝深さを変化させる場合には、開裂起点となる交差点P側に向かって深くなるように変化させると良い。
図6(a)は、この別例において
図2の3−3線断面を示するとともに、
図6(b)は、この別例において
図2の4−4線断面を示す。
図2及び
図6(a),(b)に示すように、溝深さは、弁体の周縁側が浅く、交差点P側が深い。このように交差点P側に向かって溝深さを深くすれば、溝の底に重なる薄膜部の厚みが交差点P側に向かって薄くなるので、ケース11の内側から加わる圧力は凹溝26にさらに集中し易く、凹溝26を起点として弁体21の開裂がさらに始まり易い。溝深さは、交差点P側に向かって一定に変化させることが好ましい。「一定に変化する」とは、交差溝23において、溝の深さが連続的にかつ変化量が一定に変化することだけではなく、溝の深さが段階的に変化し、かつ段階毎の変化量が一定であることを意味する。なお、凹溝26の溝深さは一定でも良いし、交差点Pに向かって深くしても良い。また、この別例は、第2の実施形態の交差溝23に適用しても良いし、後述する
図7に示す別例の構成に適用しても良い。
【0049】
○
図7に示すように、圧力開放弁20の弁体21の表面21aには、開裂起点を含む溝として交差していない非交差溝45のみを設けても良い。例えば、非交差溝45は、1本の直線溝46と、直線溝46の中央位置Xを含む位置に各実施形態と同様の凹溝47と、を有する。この別例では、中央位置Xが開裂起点として想定される。このように構成しても、ケース11の内側から加わる圧力は凹溝47に集中し易く、凹溝47を起点として弁体21の開劣が始まり易い。なお、この別例は、円形状の周縁を有する圧力開放弁20に限らず、第2の実施形態のようなトラック形状の周縁を有する圧力開放弁32にも適用できる。
【0050】
○
図8(a),(b)に示すように、弁体21の表面21aに有する交差溝23の凹溝26の形状を変更しても良い。
図8(a)は、凹溝26を円形とした例を示し、
図8(b)は、凹溝26を楕円形とした例を示している。凹溝26は、開裂起点を含む溝であれば、その形状は任意に変更することができる。この場合でも、実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、
図8(a),(b)の凹溝26の形状は、第2の実施形態の凹溝26に適用しても良いし、
図7の別例の凹溝47に適用しても良い。
【0051】
○ 交差溝23は、開裂起点に向かって開口幅が広くなれば良く、その開口幅の変化量を変更しても良い。例えば、交差溝23において、交差点Pの最も遠い部位(実施形態では直線溝24,25の部位)の開口幅を最も狭くし、交差点Pに近付く部位ほど連続的に開口幅を広くしても良い。また、交差溝23において、交差点Pの最も遠い部位(実施形態では直線溝24,25の部位)の開口幅を最も狭くし、交差点Pに近付く部位ほど段階的に開口幅を広くしても良い。なお、この別例は、
図7に示す別例の構成に適用しても良い。
【0052】
○ 交差溝23は、X字状に代えて、Y字状に変更しても良い。
○ 弁体21,37において溝は、裏面に設けても良い。
○ 各溝の断面形状を変更しても良い。
【0053】
○ ケース11の形状を変更しても良い。例えば、ケース11は円筒型でも良い。
○ 圧力開放弁20,32をケース11とは別体部品とし、その圧力開放弁20,32をケース11に接合しても良い。接合は、例えば溶接(例えばレーザ溶接)などで行う。
【0054】
○ 電極組立体12は、積層型に限らず、帯状の正極電極と帯状の負極電極を捲回して層状に積層した捲回型でも良い。
○ 二次電池10は、リチウムイオン二次電池であったが、これに限らず、他の二次電池であっても良い。要は、正極活物質層と負極活物質層との間をイオンが移動するとともに電荷の授受を行うものであれば良い。また、蓄電装置としてキャパシタでも良い。
【0055】
○ 二次電池10は、車両電源装置として自動車に搭載しても良いし、産業用車両に搭載しても良い。また、定置用の蓄電装置に適用しても良い。
○ 仮想直線Y1,Y2は、溝の開口幅の中央を通る線として規定しても良いし、溝の開口端を通る線として規定しても良い。何れの場合でも、仮想直線Y1,Y2は、溝に沿って延長される線となる。
【0056】
○ 第2の実施形態において、仮想直線Y1が境界P1,P4を結ぶ線となり、かつ仮想直線Y2が境界P2,P3を結ぶ線となるように、直線溝24,25を設けても良い。本別例のように仮想直線Y1,Y2が位置する場合でも、領域S3,S4の面積は、領域S1,S2の面積よりも大きくなる。この場合でも、実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
○ 第2の実施形態において、仮想直線Y1,Y2が弧部35,36に交差する位置を、各境界P1〜P4から弧部35,36側にさらに離れる位置とし、これらの仮想直線Y1,Y2に沿って直線溝24,25を設けても良い。この場合、仮想直線Y1,Y2は、直線溝24,25と同様に弧部35,36の周縁に交差する。なお、この場合には、弧部35,36に接する部分が多い領域の面積が、弧部35,36に接する部分が少ない領域の面積よりも大きくなるように領域S1〜S4を設ける。この場合でも、実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0058】
○ 第2の実施形態において、直線溝24,25は、弧部35,36に交差する仮想直線Y1,Y2線上に位置する場合に限らず、同一直線部33,34に位置する境界側の端部同士が近付く領域に位置していても良い。この場合の仮想直線Y1,Y2は、直線溝24,25に沿って延長され、直線部33,34と交差する。この場合でも、実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0059】
○ 第2の実施形態において、圧力開放弁32の形状は弧部を有する形状であれば、他の形状に変更しても良い。例えば、楕円形状でも良いし、円形状でも良い。また、直線部33,34の一方の端部を弧部で繋ぎ、他方の端部を直線部で繋いだ形状でも良い。また、直線部33,34の一方の端部に繋ぐ弧部と、直線部33,34の他方の端部に繋ぐ弧部の形状を異ならせても良い。この場合でも、実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0060】
○ 第2の実施形態において、直線溝24,25に対して、弧状溝38,39や直線状溝40,41を繋げずに設けても良い。この場合でも、実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
○ 第2の実施形態において、弁体37に設ける溝を、交差溝23と弧状溝38,39とし、直線状溝40,41を設けなくても良い。この場合において、交差溝23と弧状溝38,39は実施形態のように繋がっていても良いし、上記別例のように繋がっていなくても良い。この場合でも、実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ)前記溝の深さは、前記開裂起点側に向かって一定に変化し、深くなる。