(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、この実施形態の構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態にかかる衝突回避システムの機能ブロック図である。
図1において、本実施形態にかかる衝突回避システム1は、車両に設けられるものであり、運転者状態検出部21と、環境検出部22と、制御装置30と、車外警報装置40と、車内警報装置50とを備えている。
【0020】
運転者状態検出部21は、自車の運転者の状態を検出する。運転者状態検出部21は、例えば、運転者の居眠り状態を検出する。
【0021】
運転者状態検出部21は、運転者の脳波を検出する脳波センサを含み、運転者の脳波に基づいて、運転者の居眠り状態を検出するようにしてもよい。脳波のシータ波およびアルファ波の少なくとも一方に基づいて、運転者の居眠り状態を検出するようにしてもよい。なお、脳波とは、頭皮上あるいは頭蓋骨におかれた電極から検出したその下に存在する神経細胞集団の電気的な変化の総和である。
【0022】
また、運転者状態検出部21は、運転者の筋電図を取得する筋電センサをさらに含み、運転者の脳波および筋電図に基づいて、運転者の居眠り状態を検出するようにしてもよい。例えば、筋電図、脳波のシータ波およびアルファ波に基づいて、運転者の居眠り状態を検出するようにしてもよい。なお、筋電図とは、筋肉の収縮に伴う電気的な変化の総和である。
【0023】
運転者状態検出部21は、運転者の画像を検出する撮影部を含み、運転者の画像に基づいて、運転者の居眠り状態を検出するようにしてもよい。例えば、運転者の顔を撮影し、その画像を解析して居眠り状態か否かを判定してもよい。より具体的には、運転者の開眼時間よりも、閉眼時間の方が長い場合に、運転者は居眠り状態であると判定できる。
【0024】
運転者状態検出部21は、運転者の脳の血液動態変化を計測する生体光計測装置を含み、運転者の脳の血液動態変化に基づいて、運転者の居眠り状態を検出するようにしてもよい。例えば、特許第3599426号公報に記載の生体光計測装置を用いて運転者の居眠り状態を検出するようにしてもよい。
【0025】
環境検出部22は、自車の走行に関する環境を検出する。
【0026】
環境検出部22は、自車が走行している道路の路面の状態を検出してもよい。路面の状態については、例えば、発光素子と受光素子とを自車の車体の下部に設けておき、路面からの反射光の偏光度が「1」に近ければ湿潤路面であり、拡散反射によって偏光度がゼロに近ければ乾燥路面である、と検出できる。
【0027】
環境検出部22は、自車が走行している道路の路面の凍結可能性を検出してもよい。例えば、自車の車体に温度計を設けておき、気温が0℃に近く、かつ、自車の走行時間帯が冬期で早朝であれば、路面が凍結している可能性がある、と検出できる。
【0028】
環境検出部22は、自車の走行する地域の気象情報を入手し、自車の走行する路面の状態を検出してもよい。例えば、自車の走行する地域に降雨しているという気象情報を取得することにより、路面が濡れている可能性がある、と検出できる。また、例えば、自車の走行する地域に降雪しているという気象情報を取得することにより、路面に雪が付着している可能性がある、と検出できる。さらに、自車のワイパーの動作状態により、降雨または降雪を検出できる。
【0029】
環境検出部22は、自車の走行速度を検出してもよい。自車の走行速度は、速度計によって検出できる。
【0030】
以上のように、環境検出部22は、自車の走行する路面の状態と、自車の走行時間帯と、自車の走行する地域の気象情報と、自車の走行速度と、の少なくとも1つを検出する。
【0031】
制御装置30は、運転者状態判定部31と、車外警報装置制御部32と、車内警報装置制御部33と、時間設定部34と、時間判定部35とを備えている。
【0032】
運転者状態判定部31は、運転者状態検出部21の検出結果に基づいて、運転者の状態を判定する。運転者状態判定部31は、例えば、運転者状態検出部21の検出結果が所定の範囲外である場合、運転者は居眠り状態であるものと判定する。
【0033】
車外警報装置制御部32は、車外警報装置40を制御し、自車の周囲を走る他車に向けて警報に関する警報動作を行う。車内警報装置制御部33は、車内警報装置50を制御し、自車の運転者に対して警報に関する警報動作を行う。
【0034】
時間設定部34は、環境検出部22が検出した環境に基づいて、所定時間を設定する。なお、時間設定部34が設定する所定時間は、車外警報装置40による警報動作を行った時刻から、車内警報装置50による警報動作を行う時刻までの時間となる。
【0035】
時間設定部34は、環境検出部22が検出した結果に基づいて、時間判定部35が判定する所定時間を設定する。時間設定部34は、自車の走行する路面の状態と、自車の走行時間帯と、自車の走行する地域の気象情報と、自車の走行速度と、の少なくとも1つに基づいて、時間判定部35が判定する所定時間を設定する。
【0036】
時間設定部34は、自車が走行している道路での制動距離が長くなるような路面状態であれば所定時間を長く設定する。例えば、環境検出部22により、湿潤路面であることが検出された場合、時間設定部34は乾燥路面の場合よりも所定時間を長く設定する。こうすることにより、車外への警告から車内への警告までの時間を十分に確保でき、自車の周囲を走行する他車の操作時間を十分確保できる。これにより、衝突の回避可能性を高めることができる。
【0037】
また、環境検出部22により、路面が凍結している可能性があることを検出すると、時間設定部34は路面が凍結していない場合よりも所定時間を長く設定する。こうすることにより、車外への警告から車内への警告までの時間を十分に確保でき、自車の周囲を走行する他車の操作時間を十分確保できる。これにより、衝突の回避可能性を高めることができる。
【0038】
自車が高速で走行していることを環境検出部22が検出した場合、時間設定部34は、自車が低速で走行していることを検出した場合よりも所定時間を長く設定する。こうすることにより、車外への警告から車内への警告までの時間を十分に確保でき、自車の周囲を走行する他車の操作時間を十分確保できる。これにより、衝突の回避可能性を高めることができる。
【0039】
なお、上記所定時間は、時間設定部34が設定するほか、運転者が設定値を変更できるようにしてもよい。
【0040】
時間判定部35は、車外警報装置40による他車への警告を行った時刻から経過した時間を判定する。時間判定部35は、車外警報装置40による他車への警告を行った時刻から、時間設定部34が設定した所定時間が経過したとき、車内警報装置50を起動し、自車の運転者への警告を行う。
【0041】
車外警報装置40は、自車の周囲を走る他車に向けて警報に関する警報動作を行う。車外警報装置40は、警告表示部41と、警告音出力部42と、警告信号送信部43とを備えている。
【0042】
警告表示部41は、例えば、ランプの点灯や画像の表示による警告を行う。ここで、ランプは、交通法規を満たすためにもともと車両に設けられているランプに限定されない。画像の表示は、ランプの点灯の他、ランプの点滅(例えば、ブレーキランプの点滅)を行ってもよい。画像の表示は、例えば、周知のLEDによる表示装置や液晶ディスプレイによって所定のメッセージを表示することによって行う。
【0043】
警告音出力部42は、警告音を出力することにより、警告を行う。警告音には、合成音声を含む。
【0044】
警告信号送信部43は、後続車など他の車両内に設けられた他の警報装置を動作させるための警告信号を、その車両へ無線で送信する。
【0045】
警告信号送信部43から警告信号を受信した車両は、自車内に設けられた警報装置を動作させ、自車の運転者に警告を行う。
【0046】
車内警報装置50は、自車の運転者に対して警報に関する警報動作を行う。車内警報装置50は、警告表示部51と、警告音出力部52と、警告振動部53とを備えている。
【0047】
警告表示部51は、例えば、ランプの点灯や画像の表示による警告を行う。画像の表示は、例えば、周知のLEDによる表示装置や液晶ディスプレイによって所定のメッセージを表示することによって行う。自車がナビゲーション装置を搭載している場合には、画像の表示をナビゲーション装置の液晶ディスプレイに行ってもよい。
【0048】
警告音出力部52は、警告音を出力することにより、警告を行う。警告音には、合成音声を含む。
【0049】
警告振動部53は、自車の車内の装備を振動させることにより、警告を行う。例えば、運転者が握っているステアリングハンドルの一部分を振動させて、運転者に警告を行う。
【0050】
図2は、本実施形態にかかる衝突回避システムが設けられる車両の例を模式的に示す図である。
図2を参照すると、本実施形態において、自車10は、四輪車両である。自車10は、前輪12Fを2つ有し、後輪12Rを2つ有する。自車10は、運転者が搭乗する運転室を有する。なお、自車10は、四輪車両以外の車両であってもよい。
【0051】
図3は、本実施形態にかかる衝突回避システムによる動作を模式的に示す図である。
図3において、自車10は矢印Y1の方向に走行し、後続車100は矢印Y2の方向に走行する。
【0052】
自車10において、制御装置30が車外警報装置40を起動すると、車外警報装置40は、警告動作を行う。車外警報装置40が行う警告動作は、警告表示部41によるランプの点灯や画像の表示による警告、警告音出力部42による警告音の出力による警告、警告信号送信部43による警告信号の送信による他車の警報装置での警告、の少なくとも1つである。
【0053】
警告表示部41によるランプの点灯や画像の表示による警告は、後続車100の運転者の視覚に訴える警告である。
【0054】
警告音出力部42による警告音の出力による警告は、後続車100の運転者の聴覚に訴える警告である。
【0055】
警告信号送信部43によって送信される警告信号は、後続車100の警告信号受信部110によって受信される。これにより、後続車100において、運転者の視覚または聴覚に訴える警告を行うことができる。
【0056】
なお、後続車100に限らず、自車10の左側の横または右側の横(斜め前方および斜め後方を含む)を走る並走車に対して警告を行ってもよい。後続車100または自車10の左側の横または右側の横(斜め前方および斜め後方を含む)を走る並走車は、さらに後方を走行する他車に対して警告を行ってもよい。
【0057】
図4は、本実施形態にかかる衝突回避システムの自車の周囲を走行する他車の例を模式的に示す図である。
図4は、他車が後続車である場合の例を示す図である。
【0058】
図4を参照すると、本実施形態において、後続車100は、四輪車両である。後続車100は、前輪12Fを2つ有し、後輪12Rを2つ有する。後続車100は、運転者が搭乗する運転室を有する。後続車100は、車体11に、警告信号受信部110と、制御装置130と、車内警報装置150とを備えている。なお、後続車100は、四輪車両以外の車両であってもよい。
【0059】
警告信号受信部110は、車体11の前部13Fに配置され、
図3の自車10が送信した警告信号を受信する。警告信号受信部110は、警告信号を受信すると、制御装置130を起動する。
【0060】
制御装置130は、警告信号受信部110によって起動され、車内警報装置150を制御して後続車100の運転者に対して警告を行う。
【0061】
車内警報装置150は、車体11の後部13Rに配置され、警告表示部151と、警告音出力部152とを備えている。警告表示部151は、ランプの点灯や画像の表示により、後続車100の運転者に対して警告を行う。警告音出力部152は、警告音を出力することにより、後続車100の運転者に対して警告を行う。警告音には、合成音声を含む。
【0062】
次に、本実施形態にかかる衝突回避システムの動作について説明する。運転者状態検出部21は、自車10の運転者の状態を検出する。運転者状態判定部31は、運転者状態検出部21が検出した運転者の状態が、居眠り状態か否かを判定する。
【0063】
運転者状態判定部31が、自車10の運転者が居眠り状態であると判定した場合、環境検出部22は、自車10の走行に関する環境を検出する。次に、時間設定部34は、環境検出部22が検出した環境に基づいて、所定時間を設定する。車外警報装置制御部32は、車外警報装置40を起動する。車外警報装置40は、他車に対して警告を行う。その後、時間判定部35によって、所定時間が経過したと判定された場合に、車内警報装置制御部33は、車内警報装置50を起動する。車内警報装置50は、自車の運転者に対して警告を行う。したがって、車外警報装置40が他車に対して警告を行い、所定時間経過後、車内警報装置50が自車の運転者に対して警告を行う。
【0064】
以上の動作により、居眠り状態など、自車の運転者の状態に基づき、自車の周囲の他車に警告を行い、所定時間経過後、自車の運転者に警告を行うことができる。先に運転者に対して警告を行うと、居眠り状態から覚醒した運転者が急ブレーキや急ハンドルの操作を行う可能性がある。上記動作のように、他車に警告を行った後、自車の運転者に警告を行うまでの時間を十分に確保することにより、車内警報装置50による警告を受けて居眠り状態から覚醒した運転者が急ブレーキや急ハンドルの操作を行った場合でも、その警告の前に車外警報装置40により他車に警告を行うため、他車が適切にブレーキもしくはアクセルの操作またはステアリングの操作を行うことが期待でき、衝突を回避することができる。
【0065】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態にかかる衝突回避システムの機能ブロック図である。
図5において、本実施形態にかかる衝突回避システム1は、
図1および
図2を参照して説明した第1実施形態にかかる衝突回避システムに、さらに、距離測定部23および距離判定部36を追加した構成である。
【0066】
距離測定部23は、車両(自車)と、自車の周囲を走行する他車との距離を非接触で測定する。自車の周囲を走行する車両とは、例えば、自車の後方を走る後続車、自車の横(左側または右側)を走る並走車、または後続車および並走車の両方である。距離測定部23の測定対象となる後続車は、自車の直後方を走る車両以外、例えば斜め後方を走る車両であってもよい。距離測定部23の測定対象となる並走車は、例えば斜め前方を走る車両であってもよい。距離測定部23による測定は、所定の周期(例えば、1秒ごと)で行われる。
【0067】
距離測定部23は、レーダ装置(ミリ波レーダ装置、ドップラーレーダ装置)を含む。レーダ装置は、電波(又は超音波)を発信して、物体で反射した電波(又は超音波)を受信して、自車と他車との距離を測定可能である。なお、距離測定部23が、レーザスキャナ及び3次元距離センサの少なくとも一つを含んでもよい。距離測定部23が、物体の光学像を取得して、その物体を非接触で検出可能な撮像装置(カメラ)を含んでもよい。距離測定部23が撮像装置を含む場合、撮影した画像に基づいて距離を測定するようにしてもよい。例えば、撮影した画像に含まれている他車の大きさに基づいて自車と他車との距離を得ることができる。距離測定部23による測定は、所定の周期(例えば、1秒ごと)で行われる。
【0068】
距離判定部36は、距離測定部23によって測定された、自車と自車の周囲を走行する他車との距離が、所定範囲内(例えば、20メートル以内)か否かを判定する。距離判定部36は、距離測定部23によって測定された、自車と他車との距離が、所定範囲内(例えば、20メートル以内)である場合に、車外警報装置制御部32および車内警報装置制御部33を起動する。車外警報装置制御部32は車外警報装置40による警告を行い、車内警報装置制御部33は車内警報装置50による警告を行う。
【0069】
距離判定部36は、距離測定部23によって測定された、自車と他車との距離が所定範囲内でない場合(例えば、20メートルを超えている場合)、距離判定部36は、車外警報装置制御部32および車内警報装置制御部33を起動しない。このため、車内警報装置制御部33は車内警報装置50による警告は行われない。
【0070】
図6は、本実施形態にかかる衝突回避システムが設けられる車両の例を模式的に示す図である。
図6を参照すると、本実施形態にかかる車体11は、
図2を参照して説明した構成に、距離測定部23を追加した構成である。すなわち、自車10は、車体11の後部13Rに配置された距離測定部23を備えている。このため、距離測定部23は、自車10から、自車10の後方を走る後続車までの距離を非接触で検出できる。なお、距離測定部23は、自車の直後方を走る車両以外、例えば斜め後方や横を走る車両までの距離を非接触で検出するようにしてもよい。
【0071】
なお、後続車など、自車10の周囲の他車の構成は、
図3および
図4を参照してすでに説明した構成と同様である。
【0072】
次に、本実施形態にかかる衝突回避システムの動作について説明する。運転者状態検出部21は、自車10の運転者の状態を検出する。運転者状態判定部31は、運転者状態検出部21が検出した運転者の状態が、居眠り状態か否かを判定する。
【0073】
運転者状態判定部31が、自車10の運転者が居眠り状態であると判定した場合、距離判定部36は、距離測定部23によって測定された、自車とその周囲を走行する他車との距離が、所定範囲内か否かを判定する。
【0074】
距離判定部36が、自車とその周囲を走行する他車との距離が所定範囲内であると判定すると、環境検出部22は、自車10の走行に関する環境を検出する。次に、時間設定部34は、環境検出部22が検出した環境に基づいて、所定時間を設定する。車外警報装置制御部32は、車外警報装置40を起動する。車外警報装置40は、他車に対して警告を行う。その後、時間判定部35によって、所定時間が経過したと判定された場合に、車内警報装置制御部33は、車内警報装置50を起動する。車内警報装置50は、自車の運転者に対して警告を行う。したがって、車外警報装置40が他車に対して警告を行い、所定時間経過後、車内警報装置50が自車の運転者に対して警告を行う。
【0075】
一方、距離判定部36が、自車とその周囲を走行する他車との距離が所定範囲内でない(所定範囲を超えている)と判定すると、車外警報装置制御部32、車内警報装置制御部33は、車外警報装置40、車内警報装置50を起動しない。このため、車外警報装置40および車内警報装置50は、警告を行わない。
【0076】
以上の動作により、居眠り運転によって自車が走行していると判定された場合に、自車と自車の周囲の他車との距離が所定範囲内であれば、他車に警告を行った後、自車の運転者に警告を行うことができる。したがって、車内警報装置50による警告を受けて居眠り状態から覚醒した運転者が急ブレーキや急ハンドルの操作を行った場合でも、その警告の前に車外警報装置40により後続車などの他車に警告を行うため、他車の運転者が適切にブレーキもしくはアクセルの操作またはステアリングの操作を行うことが期待でき、衝突を回避することができる。
【0077】
第2実施形態にかかる衝突回避システムでは、第1実施形態と異なり、自車と他車との距離が所定範囲を超えている場合には、衝突事故が起こる可能性がほとんどないと考えられ、警告を行う必要がないため、車外警報装置40および車内警報装置50による警告は行われない。このため、無駄な警告を行うことを防止できる。
【0078】
次に、本実施形態にかかる衝突回避システムの変形例について説明する。
【0079】
(変形例1)
運転者状態検出部21および運転者状態判定部31は、運転開始時刻からの経過時間を検出及び判定してもよい。例えば、自車10がレンタカーである場合、運転開始直後(運転開始時刻からの経過時間が短い)だと、運転者が自車10の運転に慣れていないことがあり、そのような場合に他車への警告を行うことにより、他車が適切にブレーキもしくはアクセルの操作またはステアリングの操作を行うための時間を十分に確保することができ、衝突を回避することができる。また、自車10がレンタカーである場合、時間設定部34が設定する所定時間を、自車10がレンタカーでない場合よりも長く設定してもよい。
【0080】
(変形例2)
運転者の属性に応じて他車への警告を行うようにしてもよい。例えば、運転歴、運転免許証の色(ゴールド免許かそれ以外かなど)、免許の種別(大型免許を持っているか否かなど)を運転者が予め入力しておき、時間設定部34が設定する所定時間を調整するようにしてもよい。
【0081】
(変形例3)
運転中の携帯電話機やスマートフォンに着信があった場合に、他車への警告を行うようにしてもよい。着信音が鳴ったことに反応して(驚いて)、運転者が急ブレーキや急ハンドルの操作を行った場合でも、車外警報装置40により他車に警告を行った後に、車内警報装置50により自車10の運転者に警告を行うため、他車が適切にブレーキもしくはアクセルの操作またはステアリングの操作を行うことが期待でき、衝突を回避することができる。着信音は、車内にマイクロフォンを設けておくことによって検出できる。
【0082】
(変形例4)
運転者状態検出部21および運転者状態判定部31は、居眠り状態に限らず、他の運転者状態を検出し、判定するようにしてもよい。例えば、運転者のわき見状態、運転者の持病(例えば、てんかん)の発作の発生状態を検出して、車外警報装置40により他車に警告を行った後に、車内警報装置50により自車10の運転者に警告を行うようにしてもよい。運転者のわき見状態は、運転者の顔を撮影して解析することによって検出できる。また、運転者の持病の発作は、例えば筋電図によって検出できる。
【0083】
(衝突回避方法)
図7は、本実施形態にかかる衝突回避システムによる衝突回避方法の例を示すフローチャートである。
図7において、運転者状態検出部21は、自車10の運転者の状態を検出する(ステップS101)。運転者状態判定部31は、運転者状態検出部21が検出した運転者の状態が、居眠り状態か否かを判定する(ステップS102)。
【0084】
運転者状態判定部31が、自車10の運転者が居眠り状態であると判定した場合(ステップS102においてYes)、距離判定部36は、距離測定部23によって測定された、自車とその周囲を走行する他車との距離が、所定範囲内か否かを判定する(ステップS103)。
【0085】
距離判定部36が、自車とその周囲を走行する他車との距離が所定範囲内であると判定すると(ステップS103においてYes)、環境検出部22が、自車の走行に関する環境を検出する(ステップS104)。さらに、環境検出部22が検出した環境に基づいて、時間設定部34は所定時間を設定する(ステップS105)。
【0086】
車外警報装置制御部32は、車外警報装置40を起動し、警告を行う(ステップS106)。
【0087】
その後、時間判定部35は、時間設定部34が設定した所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS107)。時間判定部35が、所定時間が経過したと判定した場合(ステップS107においてYes)、車内警報装置制御部33は、車内警報装置50を起動し、警告を行う(ステップS108)。
【0088】
その後、本システムによる処理が終了か否か判定される(ステップS109)。本システムによる処理が終了である場合(ステップS109においてYes)、本システムによる処理は終了となる。本システムによる処理が終了でない場合(ステップS109においてNo)、本システムは処理を継続する。
【0089】
ステップS102において、運転者状態判定部31が、自車10の運転者が居眠り状態ではないと判定した場合(ステップS102においてNo)、ステップS103において、距離判定部36が、自車とその周囲を走行する他車との距離が所定範囲内ではないと判定した場合(ステップS103においてNo)、ステップS101に戻り、本システムは処理を継続する。
【0090】
ステップS107において、時間判定部35が、所定時間が経過していないと判定した場合(ステップS107においてNo)、ステップS107に戻り、時間判定部35は判定処理を継続する。
【0091】
なお、ステップS103による処理は行っても行わなくてもよい。ステップS103による処理を行わない場合(第1実施形態に相当)は、運転者状態判定部31が自車10の運転者が居眠り状態であると判定した場合に(ステップS102においてYes)、自車とその周囲を走行する他車との距離にかかわらず、自車の走行の環境を検出して(ステップS104)、所定時間を設定した後(ステップS105)、車外警報装置制御部32が車外警報装置40を起動して警告を行い(ステップS106)、所定時間経過後に(ステップS107においてYes)、車内警報装置制御部33が車内警報装置50を起動して警告を行う(ステップS108)。
【0092】
ステップS104による処理およびステップS105による処理は、ステップS101による処理の前に行ってもよい。その場合、運転者の状態にかかわらず、環境検出部22が検出した環境に基づいて時間設定部34が所定時間を設定するので、運転者の状態が居眠り状態などであることが検出されてから車外警告装置40による警告を行うまでの時間をより短くすることができる。
運転者状態検出部によって自車の運転者の状態を検出する。例えば、運転者の居眠り状態を検出する。環境検出部によって自車の走行に関する環境を検出する。検出した環境に基づいて、時間設定部は、所定時間を設定する。車外警報装置により、自車の周囲を走る他車に向けて警報に関する車外警報動作を行う。その後、時間判定部によって、所定時間が経過したと判定された場合に、車内警報装置により、自車の運転者への警報に関する車内警報動作を行う。