(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開昭60−136111号公報に記載の方法でエナメル線を製造する場合、乾燥用の誘導加熱コイルに印加する周波数や、硬化用の加熱ヒータに印加する電流などを個別に調整する必要があり、製造装置の構成が複雑になっていた。
【0007】
本発明は、上記のような課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成で導体の加熱制御が可能な絶縁電線の製造装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る絶縁電線の製造装置は、複数の竪沿コイルと、移動部とを備えている。複数の竪沿コイルは、それぞれが導体の移動方向に沿って延在する直線部分を有する。複数の竪沿コイルのうち少なくとも1つは、導体と直線部分との距離が変化可能である可動竪沿コイルである。移動部は、導体と可動竪沿コイルの直線部分との距離を自動的に変化させるためのものである。
【0009】
本発明に係る絶縁電線の製造装置は、複数の竪沿コイルを有しており、複数の竪沿コイルのうち少なくとも1つは、導体と直線部分との距離が変化可能な可動竪沿コイルである。これにより、複数の竪沿コイルに同じ電源を接続しても、可動竪沿コイルにおいて直線部分と導体との距離を変化させることで、導体の加熱条件を変えることができる。それゆえ、電源共有化により設備コストを低減することが可能であり、かつ竪沿コイルごとに加熱条件を変更することが可能である。
【0010】
上記の絶縁電線の製造装置において好ましくは、移動部を制御するための制御部をさらに備える。これにより、竪沿コイルの直線部分と導体との距離を精度良く調整することができる。
【0011】
上記の絶縁電線の製造装置において好ましくは、可動竪沿コイルの直線部分の温度を測定するための温度センサをさらに備える。制御部は温度センサにより測定された可動竪沿コイルの直線部分の温度に基づいて可動竪沿コイルの直線部分を導体に対して移動可能である。これにより、竪沿コイルの直線部分と導体との距離をより精度良く調整することができる。
【0012】
上記の絶縁電線の製造装置において好ましくは、塗布部と、乾燥部と、硬化部とをさらに備える。塗布部は、導体に絶縁塗料を塗布するためのものである。乾燥部は、絶縁塗料が塗布された導体を、絶縁塗料に含まれる溶剤の沸点未満の温度に加熱するためのものである。硬化部は、乾燥部によって加熱された導体を、溶剤の沸点以上の温度に加熱するためのものである。乾燥部および硬化部の少なくとも一方は可動竪沿コイルを含む。
【0013】
上記の絶縁電線の製造装置よれば、乾燥部の竪沿コイルおよび硬化部の竪沿コイルが互いに電気的に接続されている。それゆえ、乾燥部の竪沿コイルおよび硬化部の竪沿コイルに電圧を印加するための電源を共有することができるので、絶縁電線の製造装置の構成が簡易になる。
【0014】
上記の絶縁電線の製造装置において好ましくは、第1の塗布部と、第1の加熱部と、第2の塗布部と、第2の加熱部とを備える。第1の塗布部は、導体に第1の絶縁塗料を塗布するためのものである。第1の加熱部は、第1の絶縁塗料が塗布された導体を加熱するためのものである。第2の塗布部は、第1の加熱部により加熱された導体に第2の絶縁塗料を塗布するためのものである。第2の加熱部は、第2の絶縁塗料が塗布された導体を加熱するためのものである。第1の加熱部および第2の加熱部の少なくとも一方は、可動竪沿コイルを含む。
【0015】
上記の絶縁電線の製造装置よれば、第1の加熱部の竪沿コイルおよび第2の加熱部の竪沿コイルが電気的に接続されている。それゆえ、第1の加熱部の竪沿コイルおよび第2の加熱部の竪沿コイルに電圧を印加するための電源を共有することができるので、絶縁電線の製造装置の構成が簡易になる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本発明によれば、簡易な構成で導体の加熱制御が可能な絶縁電線の製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。なお本発明はこの形態に限定されるものではない。
【0019】
図1を参照して、本実施の形態の絶縁電線の製造装置10は、導体11に絶縁塗料を塗布することで絶縁電線を製造するためのものであり、複数の塗布部6と、複数のダイス7と、複数のストッパー8と、複数の加熱部9と、搬送部13と、制御部15と、温度センサ16とを主に有している。複数の加熱部9は、竪沿コイル200を有している。
【0020】
複数の塗布部6の各々は、たとえばポリアミドイミド樹脂ワニス、ポリイミド樹脂ワニスなどの絶縁塗料が充填されるものであり、導体11が塗布部6内を通過することで導体11の外周面に絶縁塗料を塗布できるように構成されている。
【0021】
複数のダイス7の各々には、テーパー状の貫通孔が設けられており、当該貫通孔を導体11が通過することにより、外周面に塗布された絶縁塗料の厚みを調整可能に構成されている。ダイス7は、導体11の移動方向に沿って移動可能に構成されている。
【0022】
複数のストッパー8の各々は、複数のダイス7の各々よりも下流側に設けられており、複数のダイス7の各々の移動を制限するためのものである。なお、ここで下流とは、導体11の移動方向に対して下流側であることを意味する。
【0023】
複数の加熱部9の各々は、導体11上に塗布された絶縁塗料を乾燥または硬化させるためのものである。本実施の形態において、複数の加熱部9の各々は、導体11の進行方向に沿って配置された竪沿コイル200である。複数の竪沿コイル200は、たとえば接続部17を介して互いに電気的に接続されている。
【0024】
図2(A)、(B)、(C)を参照して、竪沿コイル200は、導体11の導体11を挟み込みながら導体11に沿って直線状に延びる2つの直線部分200aと、その2つの直線部分200aの各端部に接続された湾曲部分200bとを有する1本の銅管からなっている。この湾曲部分200bは導体11に干渉しないように導体11の周囲を回り込むように湾曲されている。湾曲部分200bは好ましくは可撓性を有する。
【0025】
図1を参照して、電源14は竪沿コイル200に電流を印加するためののもである。本実施の形態において、複数の竪沿コイル200が直列に接続されている。それゆえ、1つの電源14で複数の竪沿コイル200に電圧を印加することができる。
【0026】
竪沿コイル200はたとえば銅管からなる。銅管は管状を有しており内部に空洞が形成されている。当該空洞に冷却液が導入されるように銅管が冷却可能に構成されている。本実施の形態において、冷却液供給口21から竪沿コイル200をなす銅管の空洞に冷却液が導入され、冷却液排出口22から冷却液が排出されることで竪沿コイル200は冷却可能に構成されている。
【0027】
複数の竪沿コイル200のうち少なくとも1つは、竪沿コイル200の直線部分200aと導体11との距離が変化可能に構成された可動竪沿コイル20である。本実施の形態の絶縁電線の製造装置10は、たとえば1つの可動竪沿コイル20を含んでいる。
【0028】
可動竪沿コイル20は、直線部分20a、可撓部分20b、および移動部12を有している。直線部分20aは導体11の移動方向に沿って延在する部分である。可撓部分20bは直線部分20aと連接して設けられており可撓性を有する。移動部12は、直線部分20aを導体11の移動方向に対して交差する方向(たとえば導体11の移動方向に対して垂直方向)に移動させるための部分である。移動部12は、たとえば直線部分20aの両端付近に設けられている。
【0029】
図5を参照して、1つの直線部分20aの上下に移動部12a、12cが設けられており、他の直線部分20aの上下に移動部12b、12dが設けられている。移動部12a〜12dはたとえば、保持面121およびスライド面122を有している。保持面121は可動竪沿コイル20の直線部分20aを保持している。スライド面122はレール19をスライド可能に設けられている。レール19は、直線部分20aの延在方向と垂直な方向に延在して設けられている。これにより、移動部12a〜12dは、直線部分20aが延在する方向(言い換えれば導体11の進行方向)と垂直な方向に移動可能である。たとえば、移動部12aおよび移動部12cが図中左側に移動可能であり、移動部12bおよび移動部12dが図中右側に移動可能である。なお、可撓部分20b、20cは伸縮可能に構成されている。以上のように、移動部12a〜12dは、直線部分20aを導体11に対して移動可能に構成されている。
【0030】
図1を参照して、本実施の形態の絶縁電線の製造装置10は、移動部12を制御するための制御部15を有している。たとえば可動竪沿コイル20の直線部分20aと導体11との距離をコンピュータに入力することにより、制御部15は移動部12を所定の位置に自動的に移動させることが可能である。
【0031】
本実施の形態の絶縁電線の製造装置10は、可動竪沿コイル20の直線部分20aの温度を測定するための温度センサ16を有している。制御部15は、温度センサ16により測定された直線部分20aの温度に基づいて、直線部分20aを自動的に導体11に対して移動できるように構成されている。たとえば、直線部分20aの温度が所定の温度よりも高い場合、移動部12は直線部分20aを導体11から離す方向に自動的に移動する。
【0032】
搬送部13は、導体11を上流側から下流側に搬送するためのものである。搬送部13によって、導体11が塗布部6や加熱部9などを通過することができる。
【0033】
後述するように、塗布部6によって、導体11に対して絶縁塗料が塗布され、ダイス7によって絶縁塗料の厚みが制御され、加熱部9によって絶縁塗料が乾燥、硬化されるという一連の動作が行われる。塗布部6と、ダイス7と、ストッパー8と、加熱部9とを一組の塗布ユニットとした場合、本実施の形態の絶縁電線の製造装置10は、複数組の塗布ユニットを有している。これにより、導体11に対して絶縁塗料を複数回塗布することができる。
【0034】
次に、可動竪沿コイルの動作について説明する。
図6を参照して、可動竪沿コイル20は、直線部分20aと可撓部分20b、20cとを有している。直線部分20aの上側および下側に移動部12が設けられている。たとえば、移動部12を制御するための制御部15に、直線部分20aと導体11との距離が入力される。当該入力された距離に基づいて、移動部12が移動することにより、直線部分20aと導体11との距離が調整される。
【0035】
具体的には、
図6を参照して、左側の直線部分20aの上側および下側に設けられている移動部12が左側に移動する。また、右側の直線部分20aの上側および下側に設けられている移動部12は右側に移動する。これにより、左側の直線部分20aは左側へ移動し、右側の直線部分20aは右側へ移動する。結果として、2つの直線部分20a、20aの間の幅が、幅WAから幅WBに変化する。このようにして、導体11と直線部分20aとの距離が変化する。
【0036】
次に、本実施の形態に係る絶縁電線の製造方法について説明する。
図1を参照して、まず導体11は、導体11の移動経路の最上流に位置する塗布部6を通過することにより、導体11の外周面に第1層目の絶縁塗料が塗布される。その後、第1層目の絶縁塗料が塗布された導体11が、ダイス7に形成されたテーパー状の貫通孔を通過することにより、導体11の外周面に塗布された第1層目の絶縁塗料の厚みが一定に制御される。その後、ダイス7の貫通孔5を通過した導体11は、加熱部9に移動する。加熱部9において、導体11上に塗布された絶縁塗料が乾燥、硬化される。
【0037】
1層目の絶縁塗料が塗布された導体11は、2つ目の塗布部6へと移動する。2つ目の塗布部6では、第1層目の絶縁塗料の上に第2層目の絶縁塗料が塗布される。第1層目の絶縁塗料とその上に第2層目の絶縁塗料が塗布された導体11は、2つ目のダイス7の貫通孔5を通過する。2つ目のダイス7の貫通孔5のサイズは、1つ目のダイス7の貫通孔5のサイズよりも大きくなっている。導体11が2つ目のダイス7の貫通孔5を通過する。
【0038】
第1層目の絶縁塗料とその上に第2層目の絶縁塗料が塗布された導体11は、加熱部9を通り、2層目の絶縁塗料が乾燥、硬化される。塗布、乾燥、硬化が所定回数(n回:たとえば10回)繰り返されることにより、導体11の外周面にn層の絶縁塗料が塗布される。以上のようにして、導体11に絶縁塗料が塗布されることにより絶縁電線が製造される。
【0039】
なお、本実施の形態に用いられる絶縁塗料24としては、たとえばエナメル被覆の構成樹脂を溶剤で溶解したものが用いられる。この構成樹脂は、絶縁性が高く、耐熱性が高い樹脂であれば特に限定されない。具体的には、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステルイミド樹脂などが好適に使用され得る。また溶剤としてはN−メチル−2−ピロリドンやクレゾールを利用することができる。
【0040】
また、導体11の具体例としては、たとえば銅線、銅合金線、錫めっき銅線、アルミニウム線、アルミニウム合金線、鋼心アルミニウム線、カッパーフライ線、ニッケルめっき銅線、銀めっき銅線、銅覆アルミニウム線などが挙げられる。
【0041】
次に、本実施の形態の絶縁電線の製造装置の変形例について
図3および
図4を用いて説明する。
【0042】
図3を参照して、本実施の形態の変形例1に係る絶縁電線の製造装置10の加熱部9は、乾燥部3および硬化部4を有している。
【0043】
乾燥部3は、導体11上に塗布された絶縁塗料を主に乾燥させるために導体11および絶縁塗料を加熱するためのものであり、ストッパー8よりも下流側に設けられている。ここで絶縁塗料の乾燥とは、絶縁塗料に含まれる溶剤を気化させる温度であって、絶縁塗料が硬化しない温度に加熱することを意味する。この乾燥部3は、たとえば誘導加熱型の可動竪沿コイル20である。
【0044】
乾燥部3は、2つの直線部分20aと、当該2つの直線部分20aを連結する可撓部分20bとを有している。直線部分20aの両端には移動部12が設けられている。移動部12は、直線部分20aと導体11との距離d1を変化可能に構成されている。
【0045】
硬化部4は、導体11上にて絶縁塗料を主に硬化させるために導体11および絶縁塗料を加熱するためのものである。ここで絶縁塗料を硬化させるとは、絶縁塗料を硬化させる温度以上に加熱することを意味する。この硬化部4は、たとえば誘導加熱型の可動竪沿コイル20である。
【0046】
硬化部4は、2つの直線部分20aと、2つの可撓部分20cとを有している。直線部分20aの両端には移動部12が設けられている。移動部12は、直線部分20aと導体11との距離d2を変化可能に構成されている。
【0047】
ここで、乾燥部3における直線部分20aと導体11との距離d1は、硬化部4における直線部分20aと導体11との距離d2よりも大きくなるように構成されている。これにより、乾燥部3における導体11の温度は、硬化部4における導体11の温度よりも低くなる。
【0048】
図4を参照して、本実施の形態の変形例2に係る絶縁電線の製造装置10は、塗布部6と、ダイス7と、ストッパー8と、加熱部9とを一つのユニットとした場合、複数のユニットを有している。具体的には、変形例2に係る絶縁電線の製造装置10は、第1の塗布部6aと、第1のダイス7aと、第1のストッパー8aと、第1の加熱部9aとを有する第1のユニットと、第2の塗布部6bと、第2のダイス7bと、第2のストッパー8bと、第2の加熱部9bとを有する第2のユニットと、第3の塗布部6cと、第3のダイス7cと、第3のストッパー8cと、第3の加熱部9cとを有する第3のユニットとを有している。
【0049】
第1のユニットの第1の塗布部6aは、導体11の表面に最初の絶縁塗料(第1の絶縁塗料)を塗布するための部分である。第1の加熱部9aは、第1の絶縁塗料が塗布された導体11を加熱するための部分である。本実施の形態において、第1の加熱部9aは、可動竪沿コイル20からなる。可動竪沿コイル20は、導体11の移動方向に沿って延在する直線部分20aと、可撓部分20bと、直線部分20aの両端に設けられた移動部12とを有する。
【0050】
第2のユニットの第2の塗布部6bは、第1の加熱部9aによって加熱された導体11に第2の絶縁塗料を塗布するための部分である。より具体的には、導体11に塗布された第1の絶縁塗料の上に第2の絶縁塗料が塗布される。なお、第2の絶縁塗料は、第1の絶縁塗料と同じ材料であってもよいし、異なった材料であってもよい。
【0051】
第2の加熱部9bは、第2の絶縁塗料が塗布された導体11を加熱するための部分である。本実施の形態において、第2の加熱部9bは、可動竪沿コイル20からなる。可動竪沿コイル20は、導体11の移動方向に沿って延在する直線部分20aと、可撓部分20bと、直線部分20aの両端に設けられた移動部12とを有する。
【0052】
同様に、第3の加熱部9cは、第3の塗布部6cによって第3の絶縁塗料が塗布された導体11を加熱するための部分である。本実施の形態において、第3の加熱部9cは、可動竪沿コイル20からなる。可動竪沿コイル20は、導体11の移動方向に沿って延在する直線部分20aと、可撓部分20bと、直線部分20aの両端に設けられた移動部12とを有する。
【0053】
第1の加熱部9aと第2の加熱部9bとは接続部17において電気的に接続されており、第2の加熱部9bと第3の加熱部9cも接続部17において電気的に接続されている。つまり、第1の加熱部9a、第2の加熱部9bおよび第3の加熱部9cは直列に接続されている。
【0054】
また本実施の形態の第1の加熱部9aにおける直線部分20aと導体11との距離d3は、第2の加熱部9bにおける直線部分20aと導体11との距離d4よりも大きくなるように構成されており、第2の加熱部9bにおける直線部分20aと導体11との距離d4は、第3の加熱部9cにおける直線部分20aと導体11との距離d5よりも大きくなるように構成されている。たとえば、距離d3を1mm、距離d4を1.5mm、距離d5を2mmとして、φ3mmのパイプである可動竪沿コイルに対して200Aの電流を印加した場合、φ2.6mmの銅線である導体11の昇温速度は、それぞれ毎秒86℃、毎秒55℃および毎秒45℃となる。
【0055】
なお、本実施の形態において、第1の加熱部9a、第2の加熱部9bおよび第3の加熱部9cは全て可動竪沿コイル20を有しているが、第1の加熱部9a、第2の加熱部9bおよび第3の加熱部9cのうち少なくとも1つが可動竪沿コイル20であればよい。
【0056】
次に、本実施の形態に係る絶縁電線の製造装置の作用効果について説明する。
本実施の形態に係る絶縁電線の製造装置10は、複数の竪沿コイル200を有しており、複数の竪沿コイル200のうち少なくとも1つは、導体と直線部分との距離が変化可能な可動竪沿コイル20である。これにより、複数の竪沿コイル200に同じ電源を接続しても、可動竪沿コイル20において直線部分20aと導体11との距離を変化させることで、導体11の加熱条件を変えることができる。それゆえ、電源共有化により設備コストを低減することが可能であり、かつ竪沿コイル200ごとに加熱条件を変更することが可能である。
【0057】
また本実施の形態に係る絶縁電線の製造装置10は、導体11と可動竪沿コイル20の直線部分20aとの距離を自動的に変化可能である。それゆえ、導体11の加熱条件を所望の条件に調整することができる。
【0058】
さらに本実施の形態に係る絶縁電線の製造装置10は、移動部12を制御するための制御部15を有している。これにより、可動竪沿コイル20の直線部分20aと導体11との距離を精度良く調整することができる。
【0059】
さらに本実施の形態に係る絶縁電線の製造装置10は、可動竪沿コイル20の直線部分20aの温度を測定するための温度センサ16をさらに有している。制御部15は温度センサ16により測定された可動竪沿コイル20の直線部分20aの温度に基づいて可動竪沿コイル20の直線部分20aを導体11に対して移動可能である。これにより、可動竪沿コイル20の直線部分20aと導体11との距離をより精度良く調整することができる。
【0060】
さらに本実施の形態に係る絶縁電線の製造装置10は、乾燥部3の可動竪沿コイル20および硬化部4の可動竪沿コイル20が互いに電気的に接続されている。それゆえ、乾燥部3の可動竪沿コイル20および硬化部4の可動竪沿コイル20に電圧を印加するための電源を共有することができるので、絶縁電線の製造装置10の構成が簡易になる。
【0061】
さらに本実施の形態に係る絶縁電線の製造装置10は、第1の加熱部9aの可動竪沿コイル20および第2の加熱部9bの可動竪沿コイル20が電気的に接続されている。それゆえ、第1の加熱部9aの可動竪沿コイル20および第2の加熱部9bの可動竪沿コイル20に電圧を印加するための電源を共有することができるので、絶縁電線の製造装置10の構成が簡易になる。
【0062】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。