特許第5881090号(P5881090)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5881090クロネッカー積に基づく空間的チャンネル状態情報フィードバックのための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881090
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】クロネッカー積に基づく空間的チャンネル状態情報フィードバックのための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H04J 99/00 20090101AFI20160225BHJP
   H04B 7/04 20060101ALI20160225BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20160225BHJP
   H04W 24/10 20090101ALI20160225BHJP
【FI】
   H04J15/00
   H04B7/04
   H04W16/28 130
   H04W24/10
【請求項の数】24
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-187874(P2014-187874)
(22)【出願日】2014年9月16日
(62)【分割の表示】特願2012-548082(P2012-548082)の分割
【原出願日】2011年1月5日
(65)【公開番号】特開2015-53681(P2015-53681A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2014年10月3日
(31)【優先権主張番号】61/282,275
(32)【優先日】2010年1月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509024525
【氏名又は名称】ゼットティーイー コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】ZTE CORPORATION
(73)【特許権者】
【識別番号】510279365
【氏名又は名称】ゼットティーイー (ユーエスエー) インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100148596
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 和弘
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ユアン, イーフェイ
(72)【発明者】
【氏名】リー, シューペン
(72)【発明者】
【氏名】フォ, デヴィッド
【審査官】 北村 智彦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/155707(WO,A1)
【文献】 特表2002−540538(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0085610(US,A1)
【文献】 特表2013−514703(JP,A)
【文献】 特表2013−516933(JP,A)
【文献】 Kaibin Huang et al,Space Division Multiple Access With a SumFeedback Rate Constraint,IEEE TRANSACTIONS ON SIGNAL PROCESSING, VOL. 55, NO. 7, JULY 2007,IEEE,2007年 7月,pp.3879-3891
【文献】 Motorola,Low-Overhead Feedback of Spatial Covariance Matrix, 3GPP TSG-RAN WG1#59 R1-094844,2009年11月 3日
【文献】 Alcatel-Lucent,DL MIMO Precoding and Feedback Issues, 3GPP TSG-RAN WG1#58 R1-093330,2009年 8月19日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04J 99/00
H04B 7/04
H04W 16/28
H04W 24/10
IEEE Xplore
CiNii
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−2
CT WG1
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置及び受信装置を有する多入力・多出力技術のための空間的チャンネル状態情報を与える方法であって、
前記受信装置において空間的チャンネル状態情報を測定して、CSIを生じさせる段階と、
前記CSIを分解して、少なくとも第1の成分CSI及び第2の成分CSIを生じさせる段階と、
複数のコードブックのうちの1つ以上を使用して前記第1の成分CSI及び前記第2の成分CSIを量子化し、少なくとも第1のインデックス及び第2のインデックスを生じさせる段階であって、前記第1のインデックス及び前記第2のインデックスの両方は、(i)前記複数のコードブックのうちの1つにおけるベクトル、又は、(ii)前記複数のコードブックのうちの1つにおけるマトリクス、を指し、前記量子化する段階は、
【数1】


段階と、
前記第1のインデックス及び前記第2のインデックスを前記送信装置へフィードバックする段階と、
を備える方法。
【請求項2】
前記CSIを分解する段階は、クロネッカー積を使用して前記CSIを分解することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記CSIを分解する段階は、前記第1の成分CSIをRULAとし、前記第2の成分CSIをRPolとし、Rを共分散マトリクスとすれば、
【数2】


に基づいて前記CSIを分解することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記CSIは、チャンネルマトリクスH又は共分散マトリクスRを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記チャンネルマトリクスH及び共分散マトリクスRの少なくとも一方が量子化される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記共分散マトリクスRを、4x4の第1の成分マトリクスRULA及び2x2の第2の成分マトリクスRPolへと分解する段階を更に備える、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記共分散マトリクスRを分解する段階は、クロネッカー積の混合積プロパティを適用することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の成分CSI及び前記第2の成分CSIを量子化する段階は、前記複数のコードブックのうちの異なるものを使用して前記第1の成分CSI及び前記第2の成分CSIを各々量子化することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記CSIは、2つのコードワードのクロネッカー積により表され、第1のコードワードは、4x1のベクトルであり、第2のコードワードは、2x1のベクトル及び2x2のマトリクスの一方である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の成分CSIは、ビーム成形アンテナの特性を表し、前記第2の成分CSIは、交差偏波アンテナの特性を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記ビーム成形アンテナの特性は、4つの素子を含む均一線形アレイ(ULA)により表され、前記交差偏波アンテナの特性は、2つのアンテナ素子によって表される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記送信装置において外積を計算する段階を更に備えており、
前記計算する段階は、
【数3】


請求項に記載の方法。
【請求項13】
多入力・多出力技術のための空間的チャンネル状態情報を与えるシステムであって、
受信装置において空間的チャンネル状態情報を測定して、CSIを生じさせる手段と、
前記CSIを分解して、少なくとも第1の成分CSI及び第2の成分CSIを生じさせる手段と、
複数のコードブックのうちの1つ以上を使用して前記第1の成分CSI及び前記第2の成分CSIを量子化し、少なくとも第1のインデックス及び第2のインデックスを生じさせる手段であって、前記第1のインデックス及び前記第2のインデックスの両方は、(i)前記複数のコードブックのうちの1つにおけるベクトル、又は、(ii)前記複数のコードブックのうちの1つにおけるマトリクス、を指し、前記量子化する手段は、
【数4】


、手段と、
前記第1のインデックス及び前記第2のインデックスを送信装置へフィードバックする手段と、
を備えるシステム。
【請求項14】
前記CSIを分解する手段は、クロネッカー積を使用して前記CSIを分解する手段を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記CSIを分解する手段は、前記第1の成分CSIをRULAとし、前記第2の成分CSIをRPolとし、Rを共分散マトリクスとすれば、
【数5】


に基づいてCSIを分解する手段を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記CSIは、チャンネルマトリクスH又は共分散マトリクスRを表す、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記チャンネルマトリクスH及び共分散マトリクスRの少なくとも一方が量子化される、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記共分散マトリクスRを、4x4の第1の成分マトリクスRULA及び2x2の第2の成分マトリクスRPolへと分解する手段を更に備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記共分散マトリクスRを分解する手段は、クロネッカー積の混合積プロパティを適用することを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記第1の成分CSI及び前記第2の成分CSIの量子化は、前記複数のコードブックのうちの異なるものを使用して前記第1の成分CSI及び前記第2の成分CSIを各々量子化することを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
前記CSIは、2つのコードワードのクロネッカー積により表され、第1のコードワードは、4x1のベクトルであり、第2のコードワードは、2x1のベクトル及び2x2のマトリクスの一方である、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1の成分CSIは、ビーム成形アンテナの特性を表し、前記第2の成分CSIは、交差偏波アンテナの特性を表す、請求項13に記載のシステム。
【請求項23】
前記ビーム成形アンテナの特性は、4つの素子を含む均一線形アレイ(ULA)により表され、前記交差偏波アンテナの特性は、2つのアンテナ素子によって表される、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記送信装置において外積を計算する手段を更に備えており、
前記計算する手段は、
【数6】


請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
[0001]2010年1月12日に出願された米国仮特許出願第61/282,275号の優先権を主張する。その開示は、参考としてここにそのまま援用される。
【技術分野】
【0002】
[0002]本発明の分野は、多入力・多出力技術により改善される移動通信のための空間的チャンネル状態情報(CSI)を与えることに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]多入力・多出力(MIMO)は、送信器、又は受信器、或いは送信器及び受信器の両方に複数のアンテナを使用し、空間的次元を利用して、データスループット及び送信信頼性を改善する一群の技術である。データスループットは、空間的マルチプレクシング又はビーム成形のいずれかによって高めることができる。
【0004】
[0004]空間的マルチプレクシングでは、特に、アンテナ(送信器及び受信器の両方の)間の空間的相関が低いダイバーシティアンテナの場合、MIMO設定において並列チャンネルを通して同じユーザに複数のデータストリームを同時に送信することができる。ビーム成形は、チャンネルの信号・対・干渉+雑音比(SINR)を向上させて、チャンネルレートを改善する上で助けとなる。このようなSINRの改善は、複数の送信アンテナに対して適切な重み付けをすることにより達成される。重みの計算は、ロングターム測定(例えば、開ループ)に基づき又はフィードバック(例えば、閉ループ)を経て行うことができる。閉ループの送信重み付けは、MIMO研究に関しては、しばしば、プレコーディングと称される。
【0005】
[0005]図1は、MxNの空間チャンネルマトリクスHを利用することによりM個のデータストリームu、・・・uが空間的にマルチプレクスされる単一ユーザ(SU)のためのプレコード型MIMOを示す。送信アンテナの数Nが受信アンテナの数Mより大きいので、マトリクスFとして表されるプレコーディングが適用される。
【0006】
[0006]又、プレコード型MIMOは、同じ時間及び周波数リソースを共有する複数のユーザにわたる合計レートを更に改善するために、マルチユーザMIMO(MU−MIMO)モードで動作することもできる。図2は、ビーム成形(例えば、プレコーディング)を使用して、2人のユーザを空間的に分離し(及びSINRを改善し)、一方、各ユーザに対して、2つのデータストリーム(明シェード及び暗シェード)を空間的にマルチプレクスする2ユーザMU−MIMOを示す。
【0007】
[0007]MU−MIMO、特に、ダウンリンクMU−MIMOは、2009年6月の3GPP TR 36.814、v1.1.1、“Further Advancements for E-UTRA, Physical Layer Aspects”に掲載された第三世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)ロングタームエボリューション−アドバンスト(LTE−アドバンスト)研究におけるホットな話題である。MU−MIMOは、更に、LTEシステムのデータスループットを向上させることができる。3GPP物理的レイヤワーキンググループ(RAN1)においてDL MU−MIMOのワークアイテムが生成された。
【0008】
[0008] プレコード型MIMOの仕様に影響する重要な観点は、閉ループプレコーディングに対して要求される空間的CSIフィードバックである。図1に見られる空間的チャンネルマトリクスHは、完全な空間的CSIを含む。或いは、次のように表されるNxNの共分散マトリクスRは、
【数1】


送信器のプレコーディングに対する充分な空間的情報を与えることができ、ここで、上付き文字“H”は、複素共役を表す。一般的に、各周波数帯域に通常かなりの数の複素係数を含むH又はRのフローティングポイントバージョンをフィードバックすることは非常にコストがかかる。それ故、フィードバックをより効率的なものにするために量子化が必要になる。
【0009】
[0009]受信器及び送信器の両方に知られたコードブックがしばしばCSI量子化に使用され、コードワードインデックスのみがフィードバックされるようにする。チャンネル容量を最大にするか、又はフローティングポイントCSIと量子化CSIとの間の距離を最小にするように、コードワードを選択することができる。
【0010】
[0010]コードブックの設計それ自体は、研究に富んだ話題である。というのは、良好なコードブックは、当該空間的スペース全体に効率的に広がらねばならないからである。その意味において、一般的なコードブックは、効率的であることが稀であり、実際に、コードブックは、異なるアンテナ構成及び展開シナリオに適合するように仕立てられる。一般的に述べると、アンテナ構成が複雑であるほど、コードブックの設計がより困難となる。
【0011】
[0011]テーブル1は、3GPP TS 36.211“Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E-UTRA); PhysicalChannels and Modulation”に示された3GPP RAN1 LTE標準仕様からの抜粋である。コードブックは、図1の場合のように、2つの送信アンテナ及び2つの受信アンテナ、M=2及びN=2、をもつ非常に簡単なMIMO構成に使用される。従って、(レイヤとも称される)マルチプレクスされるストリームの最大数は、2である。
【表1】

【0012】
[0012]単一ユーザMIMO(SU−MIMO)と比較して、マルチユーザMIMO(MU−MIMO)は、有効な空間的分離及びマルチプレクシング動作を遂行するため、より正確な空間的CSIフィードバックを要求する。その結果、MU−MIMOにおけるCSIフィードバック及びコードブック設計は、より挑戦的なものである。
【0013】
[0013]数学的に、
【数2】

【0014】
[0014]クロネッカー積は、コードブック設計に使用されており、例えば、3GPP、R1−094752“DL codebook design for 8T x MIMO in LTE-A”ZTE、RAN#59、ジェジュ、韓国、2009年11月、に示された交差偏波アンテナに使用されている。より詳細には、コードブックは、LTE Rel−8コードブック及び単一の2x2マトリクスのクロネッカー積により構成される。3GPP、R1−094752“DL codebook design for 8T x MIMO in LTE-A”ZTE、RAN#59、ジェジュ、韓国、2009年11月、に示されたアイデアは、単一のコードブックを有するべきものであり、フィードバックは、依然、コードブックの単一インデックスである。
【0015】
[0015]3GPP、R1−094844“Low-overhead feedback of spatial covariance matrix”モトローラ、RAN1#59、ジェジュ、韓国、2009年11月、に述べられたように、クロネッカー積は、大きな送信共分散マトリクスRを2つの小さなマトリクスRULA及びRPolへ分解して、フィードバックオーバーヘッドを減少できるようにするために使用される。
【数3】

【0016】
[0016]又、前記分解は、クロネッカー積の混合積プロパティを適用することにより固有ドメインでも機能する。
【数4】

【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
[0017]指摘すべき要点として、3GPP、R1−094844“Low-overhead feedback of spatial covariance matrix”モトローラ、RAN1#59、ジェジュ、韓国、2009年11月、に述べられたCSIフィードバックの設計原理は、送信共分散マトリクスをエレメントごとに直接量子化することである。このような解決策は、上述したコードブックベースの量子化とは著しく異なる。従って、クロネッカー分解の後も、フィードバックの内容は、コードブックインデックス(1つ又は複数)ではなく、依然、共分散マトリクス(1つ又は複数)である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
[0018]本発明は、フィードバックのオーバーヘッドをできるだけ低く保持しながら、MIMO動作のための正確な空間的CSIフィードバックを与えるワイヤレス通信方法及びシステムに向けられる。
【0019】
[0019]これらの方法及びシステムでは、受信装置において空間的チャンネル状態情報が測定され、CSIを生じさせる。ある実施形態では、CSIは、チャンネルマトリクス又は共分散マトリクスにおけるものであり、更に、コードブックの使用によって量子化される。
【0020】
[0020]CSIは、分解されて、成分CSIを生じる。各成分CSIは、ビーム成形アンテナ又は交差偏波アンテナの特性を表す。ビーム成形アンテナは、更に、均一線形アレイ(ULA)として表される。
【0021】
[0021]ある実施形態では、分解は、クロネッカー積を使用することにより行われる。更に、共分散マトリクスの分解は、クロネッカー積の混合積プロパティを適用することを含む。
【0022】
[0022]成分CSIは、更に、コードブック(1つ又は複数)を使用して量子化されて、インデックスを生じさせる。コードブックは、同じものでも異なるものでもよく、そしてインデックスは、コードブックにおけるベクトル又はマトリクスを指す。
【0023】
[0023]インデックスは、送信装置へフィードバックされ、外積が計算される。
【0024】
[0024]好ましい実施形態の説明から、改善の付加的な観点及び効果が明らかとなろう。
【0025】
[0025]本発明の実施形態が添付図面に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】最小平均二乗エラー(MMSE)受信器を伴うプレコード型SU−MIMOのブロック図である。
図2】交差偏波の至近離間アンテナを2セットもつ2ユーザMU−MIMOを示す図である。
図3】フィードバック設定及び本発明に関連したブロック図である。
図4】ビーム成形アンテナ及び交差偏波アンテナより成る8つの送信アンテナの実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[0030]3GPP、R1−094844“Low-overhead feedback of spatial covariance matrix”モトローラ、RAN1#59、ジェジュ、韓国、2009年11月、に述べられたクロネッカー分解が、コードブックベースのCSI量子化に適用される。この解決策は、複数の至近離間された交差偏波アンテナを含むアンテナ設定に特に適している。このような設定では、交差偏波アンテナ及びビーム成形アンテナの空間的相関統計値がかなり相違する。
【0028】
[0031]アンテナの異なる成分の異なる空間的特性を区別できるように、特定のアンテナ構成に対して適切なクロネッカー分解を最初に決定しなければならない。成分共分散マトリクスのサイズは、異なるものでよい。次いで、各成分共分散マトリクスに対して、成分アンテナ構成に適した適切なコードブックからコードワードのインデックスが選択される。
【0029】
[0032]前記プロセスは、量子化及びフローティングポイントの共分散マトリクスの間に最良の一致を生じる各成分共分散マトリクスに対するコードワードインデックスの集合を見出すように何回も繰り返される。コードワードインデックスの集合は、送信器へフィードバックされる。
【0030】
[0033]送信器において、成分共分散マトリクスの各量子化バージョンは、対応するコードブックにおけるコードワードインデックスをルックアップすることによって再構成される。全ての量子化成分共分散マトリクスのクロネッカー積により複合共分散マトリクスが合成される。
【0031】
[0034]より詳細には、フィードバック設定及び本発明に関するブロック図が、図3に示されている。図3は、2つの図として働き、一方は、エンティティブロック表示であり、他方は、プロセスのブロック図である。
【0032】
[0035]設定には、2つの主要エンティティがあり、進化型ノードB(eNB)は、ベースステーションを表し、ユーザ装置(UE)は、移動装置を表す。このダウンリンク実施例(eNBからUEへのデータ送信)では、フィードバックは、UEからeNBである。eNB及びUEは、両方とも、プレコード型MIMOのための複数のアンテナを有する。特に関心のあるのは、UEにおける受信アンテナの数がeNBにおける送信アンテナの数より少ない構成である。
【0033】
[0036]コードブックは、エアインターフェイス仕様に基づいてeNB及びUEの両方に知られ、規格において規定されたコードブックの部分集合であり得る。各成分CSIの実際のコードブックは、アンテナの構成及び配備環境に依存し、通常、ネットワークにより決定される。その情報は、半静的無線リソース制御(RRC)シグナリングを経てUEへ通知することができる。
【0034】
[0037]UEにおいて、空間的CSIが最初に測定される。この測定は、チャンネルマトリクスH、又は共分散マトリクスR、又は他のマトリクスにおいて直接的に行われる。本発明のある実施形態では、Rは、式(1)が示すように、直接推定できるか又は後で処理できる主たる関心事である。ここでは、表現を簡単化するため、測定された空間的CSI、例えば、Rは、フローティングポイントの精密さであるが、チップの具現化では、固定ポイント演算がしばしば使用される。換言すれば、チップの内部量子化は、フィードバックのための量子化より相当に微細であることが期待される。
【0035】
[0038]共分散マトリクスRが推定されると、マトリクスの分解を行うことができる。プロセスを更に例示するために、8つの送信アンテナ(N=8)の実施例が図4に示されており、各偏波(明シェード及び暗シェード)に4つのアンテナがある。4対の各々において、直交する偏波方向、+45/−45°、又はいわゆる交差偏波に沿って2つのアンテナがマウントされる。4素子ビーム成形を達成するには、隣接ビーム成形素子間の間隔が、通常、半波長である。アンテナ間隔が均一であるから、そのようなビーム成形設定は、均一線形アレイ(ULA)とも称される。
【0036】
[0039]このアンテナ構成では、4つの同じ偏波のアンテナ間に高い空間的相関が予想され、一方、異なる偏波アンテナ間に低い空間的相関が予想される。それ故、式(3)が示すように、ビーム成形アンテナと交差偏波アンテナとの間で空間的CSIを分解するのが合理的である。より詳細には、8x8の共分散マトリクスが、4x4の成分マトリクスRULA及び2x2の成分マトリクスRPolへと分解される。
【0037】
[0040]次いで、各成分共分散マトリクスに対して、量子化のために適当なコードブックが使用される。コードワードインデックスは、量子化共分散マトリクスとフローティングポイント共分散マトリクスとの間の距離を最小にするように選択できる。例えば、その距離は、次のように測定することができる。
【数5】

【0038】
[0041]図4に示すアンテナ構成では、おそらく、1つのインデックスが、RULAに対応する4x1ベクトル(コードワード)を指示する。数学的に、このような4x1ベクトルは、[1、ej2πθ、ej4πθ、ej6πθとして表され、ここで、θは、波長、隣接ULA素子間のアンテナ間隔、及びULAのボアサイトに対する移動体のデパーチャアングル(AoD)によって決定される。他のインデックスは、RPolに対応する2x1ベクトル(コードワード)又は2x2マトリクス(コードワード)を指示する。2x1ベクトルは、例えば、正規化定数が無視される場合には[1、αの形態でレイヤ数=1に対してテーブル1から選択することができる。又、2x2マトリクスは、例えば、正規化定数が無視される場合には[1、α;1、αの形態でレイヤ数=2に対してテーブル1から選択することができる。従って、空間的CSIフィードバックは、2つのインデックスを含む。
【0039】
[0042]UEからCSIフィードバックを受け取ると、一連の動作が行われる。先ず始めに、各量子化成分CSI、例えば、RULA又はRPolは、対応するコードブックにおけるフィードバックインデックスをルックアップし、次いで、外積、例えば、
【数6】


を得ることによって、再構成される。次いで、量子化複合CSI、例えば、Rは、量子化RULA及びRPolのクロネッカー積により導出される。最終的に、量子化複合CSIは、プレコーディングマトリクスを計算するのに使用される。
【0040】
[0043]又、送信器における前記複合空間的CSI再構成プロセスは、ビーム成形ULAのコードブック及び交差偏波のコードブックを合成することにより前処理することができる。原理は、ビーム成形ULA及び交差偏波の固有値のクロネッカー積である式(4)に従う。特に、合成は、交差偏波のコードワードベクトル又はマトリクス、例えば、[1、α又は[1、α;1、αと、ULAのコードワードベクトル、例えば、[1、ej2πθ、ej4πθ、ej6πθとのクロネッカー積により遂行される。合成されたコードブックにおける各コードワードは、ULA及び交差偏波についてまだ別々にインデックスされている間に、ランク=1では、[1、ej2πθ、ej4πθ、ej6πθ、α、αj2πθ、αj4πθ、αj6πθのような形態、或いはランク=2では、[1、ej2πθ、ej4πθ、ej6πθ、α、αj2πθ、αj4πθ、αj6πθ;1、ej2πθ、ej4πθ、ej6πθ、α、αj2πθ、αj4πθ、αj6πθのような形態をとる。
【0041】
[0044]本発明を図示して説明したが、当業者であれば、本発明の概念から逸脱せずに多数の変更がなされ得ることが明らかであろう。それ故、本発明は、特許請求の範囲以外のものに限定されない。
【符号の説明】
【0042】
H・・・空間的チャンネルマトリクス、F・・・マトリクス、R・・・共分散マトリクス、eNB・・・進化型ノードB、UE・・・ユーザ装置。
図1
図3
図4
図2