【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1記載のフライヤ装置には、次のような課題があった。
すなわち、従来のフライヤ装置は、調理籠の昇降操作と蓋の開閉(着脱)操作を、作業者が手動で行う必要があった。このため、作業者があらかじめ決められたマニュアルに沿って調理を行ったとしても、製品の出来上がりにムラが生じやすい。特に、複数の作業者が調理を行う場合、この傾向はより顕著になる。
【0007】
また、フライヤ装置において、特に蓋の開閉操作は、蓋の着脱により行うので、調理籠の上部開口部を全開するか全閉するかの二つの選択肢しかなく、蓋の開き具合の調節等はできない。このため、例えば被調理食材の種類に合わせ、調理後の食品がより美味しくなるように蓋の開閉のタイミングや開き具合を調節することは困難である。
【0008】
(本発明の目的)
本発明は、油揚げ調理の際に被調理食材を入れる調理籠を備えており、調理籠の上部開口部に開閉可能な蓋を有するフライヤ装置において、蓋を調理籠の昇降に伴い自動的に開閉させると共に、被調理食材の種類に合わせ、調理後の食品がより美味しくなるように蓋の開閉のタイミングや開き具合を調節できるフライヤ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明が講じた手段は次のとおりである。
(1)本発明は、
食品の油揚げ調理を行うフライヤ装置であって、
油槽と、
当該油槽内の調理油を加熱する加熱手段と、
前記油槽近傍に配され被調理食材を収容する調理籠と、
当該調理籠に設けられ、前記調理籠の上部開口部を開閉することができる蓋と、
前記調理籠を前記油槽内部の調理油内から調理油外の間で自動的に昇降させる昇降装置と、
前記調理籠の昇降動作に伴い前記蓋の開き具合を調節する蓋開度調節手段と、
を備えており、
前記蓋開度調節手段が、
前記蓋に設けられている係合具と、
装置の所要箇所であって前記係合具が昇降動する経路の近傍に設けられている受具と、
を備え、
前記調理籠の昇降動に伴う前記係合具と前記受具の係合又は係合解除によって蓋が開閉する、
フライヤ装置である。
【0010】
(2)本発明は、
食品の油揚げ調理を行うフライヤ装置であって、
油槽と、
当該油槽内の調理油を加熱する加熱手段と、
前記油槽近傍に配され被調理食材を収容する調理籠と、
当該調理籠に設けられ、前記調理籠に対し軸支部を中心として昇降回動することで前記調理籠の上部開口部を開閉することができる蓋と、
前記調理籠を前記油槽内部の調理油内から調理油外の間で自動的に昇降させる昇降装置と、
前記調理籠の昇降動作に伴い前記蓋の開き具合を調節する蓋開度調節手段と、
を備えており、
蓋開度調節手段が、
前記蓋の前記軸支部近傍に設けられている開用係合具と、
装置の所要箇所であって前記開用係合具が昇降動する経路の近傍に設けられ、前記蓋が閉じた状態の前記調理籠が調理油外へ出て上昇することで前記開用係合具と係合し、係合後、更に前記調理籠が上昇することで蓋を上昇回動させて開く開用上部受具と、
を備えている、
フライヤ装置である。
【0011】
(3)本発明は、
蓋が閉じた状態の調理籠が調理油内で調理高さより低い位置から調理高さまで上昇することで開用係合具と係合し、係合後、更に調理籠が上昇することで蓋を上昇回動させて開く開用下部受具を装置の所要箇所であって前記開用係合具が昇降動する経路の近傍に備えている、
前記(2)のフライヤ装置である。
【0012】
(4)本発明は、
蓋開度調節手段が、
蓋の軸支部近傍に設けられている閉用係合具と、
前記蓋が開いた状態の調理籠が調理油外において下降すると前記閉用係合具と係合し、係合後、更に前記調理籠が下降することで蓋を下降回動させて閉じる閉用受具と、
を備えている、
前記(2)又は(3)のフライヤ装置である。
【0013】
(5)本発明は、
開用上部受具における開用係合具と係合する部分の高さが調節自在である、
前記(2)、(3)又は(4)のフライヤ装置である。
【0014】
(6)本発明は、
昇降装置が、アクチュエータを含む構造を有している、
前記(1)、(2)又は(3)のフライヤ装置である。
【0015】
アクチュエータとしては、例えばエネルギーとして空気圧を利用するもの(エアシリンダー)、油圧を利用するもの(油圧シリンダー)、電気(磁力)を利用するもの(電動シリンダー)等があげられる。
なお、調理籠の蓋の開閉制御は、例えばエアシリンダーやサーボモータを使用することで、調理籠の昇降動とは別の制御で行うこともできる。
【0016】
(作用)
本発明に係るフライヤ装置の作用を説明する。
(1)フライヤ装置の調理籠を昇降装置によって上昇させ、あらかじめ決められた上昇位置で停止させると、調理籠の蓋は係合具と受具が係合することで開いた状態となる。
このように蓋が開いた状態で、調理籠の内部に適当な量の被調理食材を入れる。昇降装置によって調理籠を下降させると、係合具と受具の係合が解除される。それに伴って蓋は自身の重さで下降回動して閉じる。調理籠が更に下降し、調理高さまで下降すると停止する。この状態で、調理籠は下部側が調理油内に沈み、調理籠内の被調理食材が調理油内で揚げ調理される。
【0017】
二度揚げ調理を行う場合で説明すれば、一度目の揚げ調理が終了すると、昇降装置によって調理籠が蓋を閉じたままで調理油外まで上昇する。調理籠はこの高さで一定の時間保たれ、調理籠内の調理途中の被調理食材は、油切りが行われると共に、余熱によって加熱調理される。余熱による加熱調理が終了すると、昇降装置によって調理籠が蓋を閉じたまま、調理油内の調理高さまで下降し、二度目の揚げ調理が行われる。
【0018】
二度目の揚げ調理が終了すると、昇降装置によって調理籠は上昇し、調理籠の上昇に伴って蓋が係合具と受具が係合することで上昇回動して開く。そして、調理籠から出来上がった調理品を取り出し、入れ替わりに調理籠の内部に適当な量の被調理食材を入れ、前記と同様に揚げ調理を行う。
【0019】
(3)の蓋が閉じた状態の調理籠が調理油内で調理高さより低い位置から調理高さまで上昇することで開用係合具と係合し、係合後、更に調理籠が上昇することで蓋を上昇回動させて開く開用下部受具を装置の所要箇所であって前記開用係合具が昇降動する経路の近傍に備えているものは、前記のようにして調理籠を調理油外において昇降させて蓋を開閉することができ、揚げ調理中においても蓋を開けることができる。
【0020】
(4)の蓋開度調節手段が、蓋の軸支部近傍に設けられている閉用係合具と、蓋が開いた状態の調理籠が調理油外において下降すると閉用係合具と係合し、係合後、更に調理籠が下降することで蓋を下降回動させて閉じる閉用受具とを備えているものは、調理籠が下降したときに仮に何等かの理由で蓋が自重で閉じない場合でも、強制的に閉じることができる。
【0021】
(5)の開用上部受具における開用係合具と係合する部分の高さが調節自在であるものは、調理籠が上昇したときに蓋が開くタイミングを機械的に調節することができる。