(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取り付け移動体又は取り付けスライド体は、前記手すりパイプ又は接続パイプを移動可能又はスライド移動可能に挟んでこの手すりパイプ又は接続パイプに取り付けられる開閉可能な一対の取り付け部を有し、
前記ブレーキ部は、一対の前記取り付け部のそれぞれに前記手すりパイプ又は接続パイプと向き合うように形成され、
前記バネ手段は、前記一対の取り付け部を開く方向に付勢するための開き用バネ手段であり、
前記作動部は、前記一対の取り付け部に設けられた、前記開き用バネ手段のバネ力に抗して前記一対の取り付け部を閉じるように作動させるリンク機構であって、このリンク機構の先端部には、前記安全帯との前記接続部が設けられている、ことを特徴とする請求項1記載の安全帯連結具。
前記取り付け移動体又は取り付けスライド体は、前記手すりパイプ又は接続パイプを移動可能又はスライド移動可能に囲んでこの手すりパイプ又は接続パイプに取り付けられる取り付け部を有し、
前記ブレーキ部は、前記取り付け部に揺動可能に設けられた揺動ブレーキを有し、
前記バネ手段は、前記揺動ブレーキの先端部が前記手すりパイプ又は接続パイプから離れる方向にこの揺動ブレーキを付勢するための揺動用バネ手段であり、
前記作動部は、前記取り付け部に設けられた、前記揺動用バネ手段のバネ力に抗して前記揺動ブレーキの先端部が前記手すりパイプ又は接続パイプに押し付けられるように前記揺動ブレーキを揺動させるリンク機構であって、このリンク機構の先端部には、前記安全帯との前記接続部が設けられている、ことを特徴とする請求項1記載の安全帯連結具。
前記接続部は、支持部と、この支持部に揺動可能に取り付けられた、後端部に前記安全帯の取り付け部を有するレバーと、このレバーの先端部と前記リンク機構の後端部とを連結する作動紐又は作動ワイヤと、を有している、ことを特徴とする請求項2、3、4又は5記載の安全帯連結具。
前記手すりパイプ又は接続パイプの連結部にはストッパ継手が設けられていて、このストッパ継手は、前記パイプ本体に挿入して接続された継手本体と、この継手本体の外周に周方向の位置を変えることができるように設けられた補助レール部と、を有し、前記補助レール部は、接続されている前記手すりパイプ又は接続パイプの前記レール部とは異なる周方向位置で前記継手本体に固定できる、ことを特徴とする請求項7、8、9又は10記載の安全帯連結構造。
前記手すりパイプ又は接続パイプの分岐部にはガイドパイプを有する回転ガイドが設けられ、前記安全帯連結具を移動させる2本の前記手すりパイプ又は接続パイプに前記ガイドパイプを接続できるように構成されている、ことを特徴とする請求項7、8、9、10又は11記載の安全帯連結構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたようなフックは手すりパイプ上を自由にスライド移動するため、
安全帯の連結具としてこのようなフックを用いていると、例えば建設作業者が仮設足場から足を踏み外したときに
安全帯が移動してしまい、踏み外し位置に建設作業者を保持できない可能性がある。仮設足場を踏み外したときに建設作業者を踏み外し位置に保持できないと、建設作業者が仮設足場に激しく衝突して大怪我を負うといったおそれもある。特に、仮設足場の昇降個所では手すりパイプが傾斜しているために、建設作業者が足を踏み外した際にフックが手すりパイプ上を数メートルも滑り落ち、安全帯が落下防止機能を全く果たさないといった事態も発生する。
【0006】
そこで本発明は、仮設足場上又は作業通路上などの建設作業者を十分に管理保護できる安全帯連結具及び安全帯連結構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するための本発明の安全帯連結具は、手すりパイプ又は
安全帯を連結する接続パイプ(手すりパイプ等)に安全帯を連結するための安全帯連結具であって、前記手すりパイプ等に移動可能又はスライド移動可能に取り付けられる取り付け移動体又は取り付けスライド体と、前記取り付け移動体又は取り付けスライド体に設けられたブレーキ部と、前記安全帯に引っ張られて前記ブレーキ部を作動し、このブレーキ部を前記手すりパイプ等に押し付ける作動部と、前記安全帯の端部又は一端部が接続されるように構成された、前記作動部に前記
安全帯を連結するための接続部と、を備えているものである。手すりパイプ等上を自由に移動又はスライド移動するように取り付け移動体又は取り付けスライド体を構成しておいても、例えば仮設足場から建設作業者が足を踏み外すと、
安全帯に引っ張られて作動部が作動し、ブレーキ部を手すりパイプ等に押し付ける。したがって、安全帯連結具は手すりパイプ等に移動しないように若しくはスライド移動しないように又は移動しにくいように若しくはスライド移動しにくいように固定される。ブレーキ部を手すりパイプ等から離れる方向に付勢するためのバネ手段をさらに備えることができ、作動部は、例えば、バネ手段のバネ力に抗してブレーキ部を手すりパイプ等に押し付けるように作動する。取り付け移動体又は取り付けスライド体には、例えば、手すりパイプ等を支えている支持部を通過させる通過部が形成される。
【0008】
取り付け移動体又は取り付けスライド体は、手すりパイプ等を移動可能又はスライド移動可能に挟んでこの手すりパイプ等に取り付けられる開閉可能な一対の取り付け部を有し、ブレーキ部は、一対の取り付け部のそれぞれに手すりパイプ等と向き合うように形成され、バネ手段は、一対の取り付け部を開く方向に付勢するための開き用バネ手段であり、作動部は、一対の取り付け部に設けられた、開き用バネ手段のバネ力に抗して一対の取り付け部を閉じるように作動させるリンク機構であって、このリンク機構の先端部には、
安全帯との接続部が設けられている、といったように構成できる。手すりパイプ等を自由に移動するように又はスライド移動するように一対の取り付け部を構成しておいても、例えば仮設足場から建設作業者が足を踏み外すと、
安全帯に引っ張られて作動部が作動し、一対の取り付け部が閉じてブレーキ部が手すりパイプ等に押し付けられるので、安全帯連結具は手すりパイプ等に移動しないように若しくはスライド移動しないように又は移動しにくいように若しくはスライド移動しにくいように固定される。ここでは、取り付け部を開く方向(広がる方向を含む)に付勢するバネ手段が設けられ、作動部は伸長することによりこのバネ手段のバネ力に抗して取り付け部を閉じるように作動させるリンク機構として構成されている。例えば、一対の取り付け部の間の隙間が手すりパイプ等を支えている支持部を通過させる通過部を形成する。
【0009】
また、取り付け移動体又は取り付けスライド体は、手すりパイプ等を移動可能又はスライド移動可能に囲んでこの手すりパイプ等に取り付けられる取り付け部を有し、ブレーキ部は、この取り付け部に揺動可能に設けられた揺動ブレーキを有し、バネ手段は、揺動ブレーキの先端部が手すりパイプ等から離れる方向にこの揺動ブレーキを付勢するための揺動用バネ手段であり、作動部は、取り付け部に設けられた、揺動用バネ手段のバネ力に抗して揺動ブレーキの先端部が手すりパイプ等に押し付けられるように揺動ブレーキを揺動させるリンク機構であって、このリンク機構の先端部には、
安全帯との接続部が設けられている、といったように構成することもできる。手すりパイプ等を囲む取り付け部には、例えば、手すりパイプ等を支えている支持部を通過させるスリット状の通過部が形成される。
【0010】
取り付け部には手すりパイプ等上を走行する走行用車輪又はローラを設けることができる。このように構成することにより取り付け部のスライド性を向上させることができるが、取り付け部が手すりパイプ等上を滑り過ぎないように走行用車輪又はローラに回転制御部材を取り付けることができる。
【0011】
接続部は、支持部と、この支持部に揺動可能に取り付けられた、後端部に安全帯の取り付け部を有するレバーと、このレバーの先端部とリンク機構の後端部とを連結する作動紐又は作動ワイヤと、を有するように構成できる。
【0012】
また、この目的を達成するための本発明の安全帯連結構造は、手すりパイプ等に安全帯連結具を移動可能又はスライド移動可能に取り付けた安全帯連結構造であって、前記手すりパイプ等は、パイプ本体と、このパイプ本体の外周面から突出するレール部と、を有し、前記
安全帯連結具は、前記パイプ本体を移動可能又はスライド移動可能に挟んで又は囲んで前記手すりパイプ等に取り付けられた取り付け部と、前記取り付け部に設けられた、前記安全帯に引っ張られて前記取り付け部を閉じるように作動させる作動部と、前記作動部に前記
安全帯を連結するための接続部と、前記取り付け部に設けられた、前記レール上を走行する走行用ローラと、を備えているものである。取り付け部を開く方向に付勢するバネ手段を備えるように構成でき、作動部は伸長することによりバネ手段のバネ力に抗して取り付け部を閉じるように作動させるリンク機構とすることができる。手すりパイプ等を自由に移動又はスライド移動するように取り付け部を構成しておいても、例えば仮設足場から建設作業者が足を踏み外すと、
安全帯に引っ張られて作動部が作動し取り付け部が閉じるので、安全帯連結具は手すりパイプ等に移動しないように若しくはスライド移動しないように又は移動しにくいように若しくはスライド移動しにくいように固定される。ここでは、例えば取り付け部を開く方向(広がる方向を含む)に付勢するバネ手段が設けられる。作動部は伸長することによりこのバネ手段のバネ力に抗して取り付け部を閉じるように作動させるリンク機構とすることができる。
【0013】
この目的を達成するための本発明の安全帯連結構造は、より具体的には、建設用仮設足場や工場等の作業通路などの手すりパイプ等に安全帯連結具を移動可能又はスライド移動可能に取り付けた安全帯連結構造であって、前記手すりパイプ等は、パイプ本体と、このパイプ本体の外周面から突出するレール部と、を有し、前記
安全帯連結具は、前記パイプ本体を移動可能又はスライド移動可能に挟んで前記手すりパイプ等に取り付けられた開閉可能な一対の取り付け部と、前記一対の取り付け部を開く方向に付勢するための開き用バネ手段と、前記一対の取り付け部に設けられ、伸長することにより前記開き用バネ手段のバネ力に抗して前記一対の取り付け部を閉じるように作動させるリンク機構と、このリンク機構の先端部に設けられた、前記
安全帯との接続部と、前記取り付け部に設けられた、前記レール部上を走行する走行用ローラと、を備えているものである。
安全帯に引っ張られるとリンク機構が伸長し、一対の取り付け部が閉じるように作動する。例えば、一対の取り付け部はそれぞれ挟み部又は挟み凹部を有し、一対の挟み部又は挟み凹部が手すりパイプを挟んで対向するように構成される。一対の取り付け部の挟み部又は挟み凹部の大きさを手すりパイプ等の外径に近付けておいても、走行用ローラによって手すりパイプ等に対する良好な移動性を確保できる。例えば、一対の挟み部又は挟み凹部は手すりパイプ等に押し付けられてブレーキ部として機能する。走行用ローラを一対の取り付け部のそれぞれに設け、レール部を挟み付けるようにそれぞれの走行用ローラをローラ用バネ手段で付勢しておくことができる。
【0014】
手すりパイプ等の連結部にストッパ継手を設け、このストッパ継手を、パイプ本体に挿入して接続された継手本体と、この継手本体の外周に周方向の位置を変えることができるように設けられた補助レール部と、を有するように構成し、補助レール部を、接続されている手すりパイプ等のレール部とは異なる周方向位置で継手本体に固定できるという構造を採用することができる。補助レール部は、例えば、接続されている手すりパイプ等のレール部と同一の周方向位置で継手本体に固定できるように構成される。また、手すりパイプ等の分岐部にガイドパイプを有する回転ガイドを設けておき、安全帯連結具を移動させる2本の手すりパイプ等にガイドパイプを接続できるようにしておくことが得策である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、手すりパイプ又は安全帯を連結する接続パイプ上での移動性を阻害することなく、仮設足場上や作業通路上などの作業者を十分に管理保護できる安全帯連結具及び安全帯連結構造を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
まず、
図1乃至
図3を参照して本発明に係る安全帯連結具の全体構成を説明する。
【0019】
安全帯連結具1は、一対の保持プレート3、5(取り付け部)と、それぞれの保持プレート3、5に取り付けられた走行用ローラ装置7、9と、一対の保持プレート3、5の後端部に接続された閉作動リンク機構11と、この閉作動リンク機構11に取り付けられたリンク作動規制部13と、このリンク作動規制部13の後端部に取り付けられたリンク操作部15と、を備えて構成されている。
【0020】
一方の保持プレート3は、長方形状のプレート体の先端側かつ内側に半円状の取り付け凹部(挟み部又はブレーキ部)17を形成し、プレート体の外側にコ字状のバネ受け20を固定して構成したものであり、他方の保持プレート5は、間隔をあけて平行に配置された2枚の長方形状のプレート体の先端側かつ内側に半円状の取り付け凹部(挟み部又はブレーキ部)19を形成し、プレート体の外側にコ字状のバネ受け21を固定して構成したものである。一方の保持プレート3と他方の保持プレート5は、取り付け凹部17、19が向き合うように間隔をあけて配置されていて、一方の保持プレート3と他方の保持プレート5とが閉じるように又は取り付け凹部17、19同士が接近するように作動したとき、一方の保持プレート3が他方の保持プレート5の2枚のプレート体の間に入り込むように構成されている。
【0021】
走行用ローラ装置7は、バネ受け20を横切って又は通過して配置された支持プレート23と、この支持プレート23のそれぞれの端部に設けられた一対のローラ支持部25と、このローラ支持部25の先端部間に回転可能に取り付けられて一方の保持プレート3の表面側及び裏面側に配置された一対の走行ローラ27と、一方の保持プレート3を表面側及び裏面側から挟むように支持プレート23の内側の中央部に設けられ、一方の保持プレート3に設けられたガイド29に沿って相対的にスライド移動可能なスライド部31と、を有していて、支持プレート23とバネ受け20との間には圧縮コイルスプリング33(開き用バネ手段)が配置されている。走行用ローラ装置9は、バネ受け21を横切って又は通過して配置された支持プレート35と、この支持プレート35のそれぞれの端部に設けられた一対のローラ支持部37と、このローラ支持部37の先端部間に回転可能に取り付けられて他方の保持プレート5の表面側及び裏面側(一方のプレート体の表面側及び他方のプレート体の裏面側)に配置された一対の走行ローラ39と、他方の保持プレート5を表面側及び裏面側から挟むように支持プレート35の内側の中央部に設けられ、他方の保持プレート5に設けられたガイド38に沿って相対的にスライド移動可能なスライド部40と、を有していて、支持プレート35とバネ受け21との間には圧縮コイルスプリング41(開き用バネ手段)が配置されている。走行用ローラ装置7の走行ローラ27と走行用ローラ装置9の走行ローラ39は、圧縮コイルスプリング33、41に押されて、一方の保持プレート3と他方の保持プレート5との間の中間位置に対応する位置で当接している。走行用ローラ装置7、9は、スライド部31の間隔よりもスライド部40の間隔が大きい点を除いて同一の構成を有している。
【0022】
閉作動リンク機構11は、一方の保持プレート3の後端部に先端部が固定された第1のアーム43と、他方の保持プレート5の後端部に先端部が固定され、第1のアーム43と交差するように配置されて中間部が第1のアーム43の中間部に回転可能に連結された第2のアーム45と、第1のアーム43の後端部に先端部が回転可能に連結された第3のアーム47と、第2のアーム45の後端部に先端部が回転可能に連結され、後端部が第3のアーム47の後端部に伸長用ボルト49を介して回転可能に連結された第4のアーム51と、を有している。
【0023】
リンク作動規制部13は、第1のアーム43と第2のアーム45の交差部分又は回転可能な連結部分の外側に嵌められて、
図1の状態よりも第1のアーム43及び第2のアーム45が開くのを阻止し、
図1の状態に一対の保持プレート3、5の間隔を維持する環状の開き規制部53と、この開き規制部53から後方に延びる一対のガイドプレート55と、を有し、ガイドプレート55の後端部には第3のアーム47の後端部と第4のアーム51の後端部を回転可能に連結している伸長用ボルト49の端部をそれぞれ収容する長孔57が形成されている。
【0024】
リンク操作部15は、ガイドプレート55の後端部に固定されたスプリング部59と、このスプリング部59の後端部に固定されたレバー部61と、を有して構成されている。
【0025】
スプリング部59は、先端部がガイドプレート55の後端部に固定されて後方に長く延び、先端から後方に延びるスリット63がそれぞれに形成されている一対の側壁プレート65と、この一対の側壁プレート65の後端部同士を連結する後端面部67と、を一体的に備え、一対の側壁プレート65のスリット63内にそれぞれの端部がスライド可能に入れられた圧縮片69を有していて、圧縮片69と後端面部67との間に圧縮コイルスプリング71を収容している。圧縮片69と伸長用ボルト49とは第1の作動紐又は作動ワイヤ73で連結されている。
【0026】
レバー部61は、一対の側面プレート75と、この一対の側面プレート75の先端部同士を連結し、スプリング部59の後端面部67に連結環76で回転可能(
図1の矢印X参照)に取り付けられている先端面部77と、を一体的に備え、一対の側面プレート75の先端部の間に掛け渡されている支持ボルト79に回転可能又は揺動可能に取り付けられたレバー81を有している。レバー81の先端部には第2の作動紐又は作動ワイヤ83が接続され、この第2の作動紐又は作動ワイヤ83はレバー部61の先端面部77及びスプリング部59の後端面部67を回転可能に連結している連結環76の中心孔84を貫通し、圧縮コイルスプリング71内を通って圧縮片69に接続されている。レバー81の後端部の接続孔82(安全帯の取り付け部)には、後端が建設作業者に接続された
安全帯85の先端部が接続されている。
【0027】
次に、
図4を参照して安全帯連結具1の作動態様を説明する。
【0028】
安全帯85に引っ張られてレバー81が揺動して傾くと、第2の作動紐又は作動ワイヤ83に引っ張られて圧縮片69が圧縮コイルスプリング71を押し縮めながらスリット63に沿って後退する。圧縮片69が後退すると、第1の作動紐又は作動ワイヤ73に引っ張られて伸長用ボルト49が長孔57に沿って後退し、閉作動リンク機構11が伸長する。閉作動リンク機構11が伸長すると、第1のアーム43の先端部と第2のアーム45の先端部との間の間隔が狭まり、一対の保持プレート3、5が圧縮コイルスプリング33、41を押し縮めながら接近して、取り付け凹部17、19により形成される円形孔の幅が短くなる。ここでは、支持プレート23及びスライド部材31は変位せず又はほとんど変位せず、保持プレート3が支持プレート23及びスライド部材31に対して内側に移動し、また、支持プレート35及びスライド部材40は変位せず又はほとんど変位せず、保持プレート5が支持プレート35及びスライド部材40に対して内側に移動する。なお、一対の保持プレート3、5が図示の状態よりも接近すると、一方の保持プレート3が他方の保持プレート5のプレート体の間に入り込む。
【0029】
図5及び
図6を参照して仮設足場の手すりパイプ又は
安全帯を連結する接続パイプに
安全帯連結具1を取り付けた状態を説明する。
【0030】
仮設足場の手すりパイプ又は接続パイプ(手すりパイプ等)87は、断面円形のパイプ本体89と、このパイプ本体89の外周に水平に突出するように全長にわたって一体的に形成されたプレート状のレール部91と、を備えている。手すりパイプ等87のパイプ本体89には適当な間隔で支持部90が固定されていて、この支持部90が仮設足場の枠体又は枠組み(図示せず)に接続されることにより手すりパイプ等87は支持されている。
安全帯連結具1は、一対の保持プレート3、5の一対の取り付け凹部17、19がパイプ本体89を緩く囲み、一方の保持プレート3に配置された走行ローラ27と他方の保持プレート5に配置された走行ローラ39がレール部91を挟み付けるようにして手すりパイプ等87に取り付けられる。レール部91の介在により走行ローラ27と走行ローラ39との間は広がるので、走行用ローラ装置7は圧縮コイルスプリング33を押し縮めて一方の保持プレート3上を外側にスライド移動し、走行用ローラ装置9は圧縮コイルスプリング41を押し縮めて他方の保持プレート5上を外側にスライド移動する。
安全帯連結具1は、仮設足場上で移動する建設作業者に装着された安全帯85に引っ張られると、走行ローラ27、39のレール部91上での回転により手すりパイプ等87に沿って移動するが、一対の保持プレート3、5の一対の取り付け凹部17、19は走行ローラ27、39の姿勢維持機能によりパイプ本体89に接触しないようにあるいは強く接触しないように構成されているので、
安全帯連結具1の手すりパイプ等87に沿った移動はスムーズである。なお、リンク操作部15のスプリング部59に配置された圧縮コイルスプリング71のバネ力を、建設作業者の移動によって圧縮コイルスプリング71が押し縮められてしまわないように強めに設定しておくことが好ましい。また、一対の保持プレート3、5の先端内側同士の間は通過部92として形成されていて、この通過部92が支持部90を通過するようにして
安全帯連結具1を手すりパイプ等87に沿って移動させることができる。
【0031】
図7を参照して建設作業者が仮設足場から足を外して落下する場合を説明する。
【0032】
建設作業者が仮設足場から足を外して落下すると、
安全帯85はレバー81を下向きに引っ張るので、リンク操作部15のレバー部61は回転し、レバー81は後端部が下側となるように揺動する。そうすると、一対の保持プレート3、5がパイプ本体89を強く挟み付けるので
安全帯連結具1は手すりパイプ等87に沿って移動できなくなる。
【0033】
図8乃至
図10を参照して手すりパイプ等87の連結に用いるストッパ継手の構造を説明する。
【0034】
手すりパイプ等87は運搬可能な長さを有するように形成される。したがって、仮設足場を組み立てるには手すりパイプ等87を継手により連結していく必要がある。ところが、次の手すりパイプ等87の接続作業に際して既存の手すりパイプ等87の先端から
安全帯連結具1が抜けてしまう場合も起こり得る。そこで、手すりパイプ等87の連結には
図8に示されたようなストッパ継手92を用いるのが好ましい。このストッパ継手92は、手すりパイプ等87に挿入できる外径を有する継手本体93と、この継手本体93の中間部の両側外周に嵌められて固定された一対の挿入規制環95と、一対の挿入規制環95の間で継手本体93の外周に回転可能に嵌められたストッパ環97と、を備え、それぞれの挿入規制環95の外周には、レール部91と同一の厚さ及び突出長さを有する固定側レール片99が同一の周方向位置に形成され、ストッパ管97の外周には、レール部91と同一の厚さ及び突出長さを有する回転側レール片101(補助レール部)が形成されている。ストッパ継手92を手すりパイプ等87に接続するには、継手本体93に形成された一対の係合溝94に手すりパイプ等87内に掛け渡されて設けられた係合ピン96が抜け止め係合するように継手本体93を手すりパイプ等87に挿入して回転させる。ストッパ環97は90度離れた周方向の2個所で係合孔103を有し、継手本体93にはバネで突出方向に付勢されたストッパ突起105が設けられていて、ストッパ突起105をストッパ環97のいずれかの周方向個所の係合孔103に嵌め込むことにより、回転側レール片101を固定側レール片99と一致させた状態(仮想線で示す状態)と回転側レール片101を固定側レール片99から90度ずらした状態(図示の状態)とに切り換えてストッパ環97を継手本体93に固定できるように構成されている。
【0035】
手すりパイプ等87を連結する場合には、既存の手すりパイプ等87の先端部に、固定側レール片99の周方向位置が既存の手すりパイプ等87のレール部91の周方向位置と一致するように、ストッパ継手92の一端側を挿入し、ストッパ継手92を既存の手すりパイプ等87に接続する。このとき、回転側レール片101が固定側レール片99から90度ずれて位置するようにストッパ環97を継手本体93に固定しておく。そして、ストッパ継手92の他端側を、固定側レール片99の周方向位置が次の手すりパイプ等87のレール部91の周方向位置と一致するように、次の手すりパイプ等87の後端部に挿入して接続する。既存の手すりパイプ等87と次の手すりパイプ等87とをストッパ継手92で接続できたら、回転側レール片101が固定側レール片99と一致するようにストッパ環97を回転させて継手本体93に固定する。ここでは、手すりパイプ等87の接続作業中は回転側レール片101が一方の保持プレート3又は他方の保持プレート5に当接して
安全帯連結具1が抜け止めされるが、手すりパイプ等87の接続作業が終了したら、回転側レール片101及び固定側レール片99を通過させて次の手すりパイプ等87に
安全帯連結具1を移動させることができる。
【0036】
図11及び
図12を参照して手すりパイプ等87の分岐部分の通路設定構造を説明する。
【0037】
仮設足場では手すりパイプ等87が分岐している場合があり、このような手すりパイプ等87の分岐部分では、
安全帯連結具1をスムーズに所定の分岐側に移動させることが可能な通路設定構造が必要となる。
図11に記載された通路設定構造は、支持体107と、この支持体107に回転可能に取り付けられた回転ガイド109と、この回転ガイド109に支持軸部材110を介して設けられた、パイプ部111及びレール部113を一体的に有するガイドパイプ115と、を備えている。
図12に示すように、
安全帯連結具1は支持軸部材110が保持プレート3、5の先端間の通過部92を相対的に移動するようにしてガイドパイプ115を通過できる。回転ガイド109を回転させてもとの手すりパイプ等87と移動先の手すりパイプ等87とを連結できる場合には、ガイドパイプ115をもとの手すりパイプ等87と移動先の手すりパイプ等87との間に位置させて
安全帯連結具1を移動先の手すりパイプ等87に移動させる(
図11の実線部分参照)。ガイドパイプ115によって、もとの手すりパイプ等87と移動先の手すりパイプ等87とを直接連結できない場合には、ガイドパイプ115をもとの手すりパイプ等87に接続し(
図11の実線部分参照)、
安全帯連結具1をガイドパイプ115に移動させ、その後、回転ガイド109を回転させてガイドパイプ115と移動先の手すりパイプ等87とを接続し(
図11の仮想線部分参照)、
安全帯連結具1を移動先の手すりパイプ等87に移動させる。なお、回転ガイド109はラチェット機構を介して支持体に取り付けられ、一方向にのみ回転可能に構成されている。
【0038】
図13乃至
図16を参照して本発明に係る別の安全帯連結具の全体構成を説明する。
【0039】
別の安全帯連結具201は、手すりパイプ等の外周に嵌められるように形成された環状の保持部材203(取り付け部又は囲い取り付け部)と、保持部材203に取り付けられた一対の揺動ブレーキ片205と、この一対の揺動ブレーキ片205の後端部又は外端部に接続された開作動リンク機構207と、保持部材203に設けられ、開作動リンク機構207の後端部が接続されたリンク操作部209と、このリンク操作部209の後端部に取り付けられたレバー部211と、を備えて構成されている。
【0040】
保持部材203は断面四角形の保持枠又は保持環状枠213(
図13及び
図14では一方の側面プレート部237を除去して又は切り欠いて表示している)を有し、この保持枠213のそれぞれのプレート部の内面に走行用キャスタ215を備えている。保持枠213の先端側プレート部233(固定プレート部)には幅方向中央にスリット状の通過部216が全長にわたって形成されている。保持枠213のそれぞれのプレート部の内面に取り付けられた走行用キャスタ215は、走行用ローラ217と、この走行用ローラ217を支える保持部219と、プレート部の内面から立ち上がって延び、保持部219がスライド可能に取り付けられている複数のガイドピン221と、保持部219及びプレート部の間に配置された圧縮コイルスプリング223と、を備え、それぞれの保持部219は、ガイドピン221の先端の抜け止め部に当たるまでガイドピン221に沿って前進でき、かつ、ガイドピン221に沿って圧縮コイルスプリング223のバネ力に抗しプレート部側に移動又は後退できるように構成されている。なお、図示の実施の形態では、表示を省略した一方の側面プレート部237とこの一方の側面プレート部237と対向する他方の側面プレート部237に設けられた走行用キャスタ215はそれぞれ、側面プレート部237に固定された保持部219とこの保持部219に支えられた走行用ローラ217とから構成され、圧縮コイルスプリング223を備えていない。
【0041】
保持枠213の後端側プレート部225(ベースプレート部)の長さ方向両側にはそれぞれ、幅方向中央で収容凹部227が形成されていて、この収容凹部227の底部に沿って又は底部と平行に延びるようにベースプレート部225の内面に揺動軸部229が回転可能に支えられている。揺動ブレーキ片205はそれぞれ、内側に向かって間隔が狭くなる「ハ」の字状を呈するように揺動軸部229に固定されることによりベースプレート部225に揺動可能に設けられていて、先端側又は内端側の間隔が広がるように揺動した時、外端部231が収容凹部227内に深く入り込むように構成されている。ベースプレート部225と対向して設けられている、保持枠213の固定プレート部233の内面には、一対の走行用キャスタ215の幅方向両側にブレーキ壁部235が設けられていて、このブレーキ壁部235の内端は走行用キャスタ215の走行用ローラ217の内端よりも引っ込んで位置している。なお、ベースプレート部225と固定プレート部233との間に設けられている、保持枠213の一対の側面プレート部237に取り付けられた走行用キャスタ215の走行用ローラ217はギヤボックス239に接続されていて、走行用ローラ217の回転時にこのギヤボックス239内のギヤによって走行用ローラ217に多少の負荷がかかるように構成されている。
【0042】
開作動リンク機構207は、それぞれの揺動ブレーキ片205の外端に先端部が回転可能に接続された一対の作動アーム241を有し、この一対の作動アーム241の後端部同士は回転可能に接続されている。
【0043】
リンク操作部209は、ベースプレート部225の外面から立ち上がり、外端部間又は後端部間に後端面プレート部243が形成された一対の側壁プレート部245を備え、この一対の側壁プレート部245はベースプレート部225の長さ方向で間隔を有して配置され、幅方向がベースプレート部225の長さ方向と直交するように設けられている。それぞれの側壁プレート部245には側壁プレート部245の長さ方向に延びるようにスリット247が形成され、一方の作動アーム241の後端部は一方の側壁プレート部245のスリット247内にスライド移動できるように差し込まれ、他方の作動アーム241の後端部は他方の側壁プレート部245のスリット247内にスライド移動できるように差し込まれていて、作動アーム241の後端部同士は一対の側壁プレート部245の間でボルト又はボルト部材249を用いて回転可能に接続されている。
【0044】
一対の作動アーム241の後端部同士を接続するボルト部材249には作動部材251が取り付けられている。作動部材251は、側壁プレート部245のスリット247と平行な接続片253及びこの接続片253の外端又は後端に接続片253と直交するように固定された引っ張り片255を有し、接続片253の先端側部又は中間部は一対の作動アーム241の後端部の間でボルト部材249に接続されていて、ボルト部材249の一端部と引っ張り片255との間には係合爪部材257が固定されている。係合爪部材257は、ボルト部材249の一端部と引っ張り片255との間に固定された収容部259及びこの収容部259から突出するようにスプリングで付勢された係合爪261を有し、係合爪261はスプリングのバネ力に抗して収容部259の収容溝260内に押し込むことができるように構成されている。係合爪261は先端側に向かって突出高さが漸次大きくなるように形成されている。また、一対の側壁プレート部245の間には長さ方向中央位置で引掛けストッパ263が取り付けられている。なお、引っ張り片255と後端面プレート部243との間には閉動作用コイルスプリング265(バネ手段)が配置されている。
【0045】
後端面プレート部243には通しパイプ267が貫通して固定され、この通しパイプ267の後端部の外周には環状のベアリング269の内輪が固定されている。
【0046】
レバー部211は、先端に先端面プレート部271が設けられた一対の側方プレート部273と、この一対の側方プレート部273の後端部間に掛け渡された接続ボルト275と、この接続ボルト275に回転可能に取り付けられたレバー277と、を有して構成され、先端面プレート部271はベアリング269の外輪279の後端に固定され、ベアリング269の内輪の内側と連通する通し孔部281を有している。レバー277は長さ方向に長い長孔283を有していて、この長孔283を接続ボルト275が貫通する状態で接続ボルト275に回転可能に接続されている。レバー277の内端部と引っ張り片255との間には、閉動作用コイルスプリング265、通しパイプ267、ベアリング269の内輪孔及び通し孔部281を通って作動紐又は作動ワイヤ285が接続され、レバー277の後端部には
安全帯85が接続されている。
【0047】
次に、
図18を参照して安全帯連結具201の作動態様を説明する。
【0048】
安全帯85に引っ張られてレバー277が揺動して傾くと、作動紐又は作動ワイヤ285に引っ張られて引っ張り片255又は作動部材251が閉動作用コイルスプリング265を押し縮めながら一対の側壁プレート部245の間で後退する(矢印Y参照)。作動部材 251が後退すると、一対の作動アーム241の後端部はそれぞれ、側壁プレート部245のスリット247内を外側又は後側に向かってスライド移動し、その結果、一対の作動アーム241の先端部同士の間隔が狭まって、それぞれの揺動ブレーキ片205はベースプレート部225に対して垂直に近づくように揺動する。揺動ブレーキ片205がベースプレート部225に対して垂直に近づくように揺動すると、一対の揺動ブレーキ片205の内端部はベースプレート部225から離れるように、あるいは固定プレート部233側に移動する。係合爪部材257の係合爪261の背部はベースプレート部225側に向かって漸次突出量が大きくなるように形成されているので、作動部材251が後退すると、係合爪261の背部が引掛けストッパ263に当接する。作動部材251がさらに後退すると係合爪261は引掛けストッパ263に押されて収容部259の収容溝260(
図17参照)内に徐々に押し込まれるが、係合爪261が引掛けストッパ263を通過すると係合爪261はバネ力により収容部259の収容溝260から突出し、係合爪261(係合爪261の先端部287(
図17参照))は引掛けストッパ263(引掛けストッパ263の後端)と係合する。したがって、手作業によって係合爪261を収容部259の収容溝260内に押し込んで係合爪261と引掛けストッパ263との係合を解除しない限り、作動部材251は後退位置に保持され、揺動ブレーキ片205の内端部は内側に突き出た状態に維持される。
【0049】
図19及び
図20を参照して仮設足場の手すりパイプ又は
安全帯を連結する接続パイプに
安全帯連結具201を取り付けた状態を説明する。
【0050】
仮設足場の手すりパイプ又は接続パイプ(接続パイプ等)289は断面正方形状又は長方形状に形成されている。
安全帯連結具201は、保持部材203が手すりパイプ等289の外側に走行可能に嵌め付けられることにより手すりパイプ等289に移動可能に取り付けられる。ここでは、それぞれの走行用キャスタ215の走行用ローラ217が手すりパイプ等289上を走行することとなるが、ベースプレート部225及び固定プレート部233に設けられている走行用キャスタ215では、保持部219が圧縮コイルスプリング223を押し縮めるようにガイドピン221に沿って後退していて、それぞれの走行用ローラ217が圧縮コイルスプリング223に付勢されて手すりパイプ等289の外面に押し付けられた状態となっている。また、揺動ブレーキ片205の内端部は手すりパイプ等289から浮き上がり、プレート壁部235の先端又は内端は手すりパイプ等289から離れて位置している。手すりパイプ等289には適当な間隔で支持部290が固定されていて、この支持部290が仮設足場の枠体又は枠組み(図示せず)に接続されることにより手すりパイプ等289は支持されている。
安全帯連結具201は、固定プレート部233の一対の走行用キャスタ215の間及び固定プレート部233の通過部216が支持部290を通過するようにして
安全帯連結具201を手すりパイプ等289に沿って移動させることができる。
【0051】
図21及び
図22を参照して建設作業者が仮設足場から足を外して落下する場合を説明する。
【0052】
建設作業者が仮設足場から足を外して落下すると、
安全帯85はレバー277を下向きに引っ張るので、レバー部211は回転し、レバー277は後端部が下側となるように揺動する。そうすると、揺動ブレーキ片205の内端部が手すりパイプ等289に当接し、保持枠213を、固定プレート部233が手すりパイプ等289に接近する方向にずれ動かす。したがって、揺動ブレーキ片205とブレーキ壁部235とが手すりパイプ等289を挟み付け、
安全帯連結具201を手すりパイプ等289に固定する。
【解決手段】安全帯連結具1を、一対の保持プレート3、5と、それぞれの保持プレート3、5に取り付けた走行用ローラ装置7、9と、一対の保持プレート3、5の後端部に接続した閉作動リンク機構11と、この閉作動リンク機構11に取り付けたリンク作動規制部13と、このリンク作動規制部13の後端部に取り付けたリンク操作部15と、から構成する。案全帯に引っ張られてリンク操作部15が作動すると閉作動リンク機構11が伸長し、一対の保持プレート3、5が閉作動を行なう。