【実施例】
【0031】
図1および
図2において、10は本発明の実施例1に係る圧力容器の蓋締結装置(以下、蓋締結装置)で、生ゴム(処理物)を加硫する圧力容器11の容器本体12の開口部12aと蓋体(鏡板)13とを、Oリング14を介してフランジ接合する際、互いを密封状態で締結するものである。
図1〜
図8に示すように、この蓋締結装置10は、容器本体12の開口部12aに周設された幅広の一方のフランジ15に、一方のフランジ15の全周にわたって所定間隔毎に取り付けられ、かつ外周へ膨出した頭部を有する複数の締結ボルト(蓋締結用突起)16と、蓋体13の外周部に周設された他方のフランジ17に、他方のフランジ17の全周にわたって所定間隔毎に形成され、かつ対応する締結ボルト16が挿通される複数のボルト挿通穴(突起挿通穴)18と、開口部12aと蓋体13とのフランジ接合時、対応するボルト挿通穴18から突出した各締結ボルト16の頭部16aと他方のフランジ17との隙間に抜き差し自在に挿入される複数のスペーサ19と、各スペーサ19が所定間隔毎に固定され、かつ手動操作によって各スペーサ19を、対応する隙間に一括して抜き差しするスペーサ操作部材20とを備えている。
【0032】
以下、これらの構成体を具体的に説明する。
図1〜
図4に示すように、この圧力容器11は、生ゴム(内容物)の加硫を行うP(MPaゲージ)×V(内容積)値が0.02を超える蓋吊下開閉方式の第一種圧力容器である。
容器本体12は、一端面に開口部12aを有する直径1200mmの横置き円筒形のものである。容器本体12は、横方向に所定間隔毎に対配置された支脚21aを有する架台21に搭載されている。
また、容器本体12の開口部12aには、幅広な一方のフランジ15が周設されている(
図3および
図4)。一方のフランジ15には、その周方向に30°ピッチで12個の締結ボルト孔22が形成されている。各締結ボルト孔22には、対応する締結ボルト16のねじ部16bが挿通される。締結ボルト16は大径な座金一体型の六角締結ボルトである。ただし、座金が別体のものでもよい。各ねじ部16bの先端部にはダブルナット23が螺合されている。また、一方のフランジ15には、その右端部と左端部とに、一対の小ボルト孔24が形成されている。
【0033】
一方のフランジ15の接合面の内周部には、断面台形状の環状溝25が周設されている(
図13)。環状溝25には直径10mmのシリコーン樹脂製のOリング14が嵌入されている。このとき、Oリング14の長さ方向に直交する断面において、環状溝25の開口から突出するOリング14の内周部分の長さは、3mmである。
容器本体12の開口部12aの
図1上の右側付近には、蓋吊下具(蓋吊り下げ移動手段)26が立設されている(
図1,
図2および
図5)。蓋吊下具26は、円筒状の旋回ガイド支柱27と、旋回ガイド支柱27に下部が回動自在に挿入された回動ポール28と、回動ポール28の上端部に片持ち支持された水平な旋回アーム29と、旋回アーム29の先端部に固定されたチェーンブロック30とを有している。蓋開閉時、チェーンブロック30により蓋体13を吊り上げ、その後、回動ポール28を中心にして、旋回アーム29と一体的に蓋体13を水平旋回させる(
図5)。
【0034】
次に、
図6および
図7を参照して蓋体13を説明する。
蓋体13は中央部が外方に突出した鏡板である。その外周部の上端部には、チェーンブロック30のチェーン30aが掛止される逆U字状の掛止リング13aが固定されている。また、蓋体13の外周部には、一方のフランジ15と同一形状、同一サイズの他方のフランジ17が一体的に周設されている。
他方のフランジ17には、その周方向に30°ピッチで12個のボルト挿通穴18が形成されている。各ボルト挿通穴18は、各締結ボルト16の頭部16aの対角距離より大径な円形穴である。また、他方のフランジ17の右端部と左端部とには、フランジ接合時、各小ボルト孔24と連通する他方の小ボルト孔24が形成されている。蓋体13の締結前およびその締結解除前において、合致した2対の小ボルト孔24に、締結ボルト16より小径で、かつ両フランジ15,17を仮締結する仮止め用締結ボルト(フランジ仮締結材)Bを挿通し、ナット31を介して両フランジ15,17をボルト締結する(
図1および
図5)。
また、他方のフランジ17の上端部および下端部には、内外一対のビス孔17aが、他方のフランジ17の周方向に離間した状態で2対ずつ形成されている。
【0035】
次に、
図1,
図2,
図8および
図9を参照して、前記スペーサ19と前記スペーサ操作部材20とを説明する。
図8および
図9に示すように、各スペーサ19は、正面視してコの字形の厚肉な炭素鋼(S45C)製の板材である。コの字の溝部19aの幅は、締結ボルト16のねじ部16bの直径より若干大きい。
スペーサ操作部材20は、鋼管を他方のフランジ17より大径な円環状に湾曲させたものである。スペーサ操作部材20の
図1左側の外周部には、ハンドレバー32が突設されている。
スペーサ操作部材20の内周部には、その周方向に30°ピッチで12個のスペーサ19が、各コの字の開口方向をスペーサ操作部材20の閉蓋方向(反時計回り)に向けて、それぞれ固着されている。
【0036】
また、他方のフランジ17の各内外一対のビス孔17aには、合計4つのスライドガイド支脚33がビス止めされている(
図1および
図2)。各スライドガイド支脚33は、ビス止めされる厚肉で細長い脚板34と、脚板34の先端部に固定され、かつ他方のフランジ17の外周面より外方に配置されて、スペーサ操作部材20をその周方向へスライド自在に掛止する、断面C字形のC字ガイド35とを有している。
したがって、大型の円環状のスペーサ操作部材20は、他方のフランジ17に4つのC字ガイド35を介して、その周方向へ向かってスライド自在に掛止されている。開蓋時、各スペーサ19は、対応する締結ボルト16を基準位置とし、それより時計回りの方向へ若干離間した待機位置に配置される(
図1および
図9)。また、閉蓋時、各スペーサ19は、対応する締結ボルト16に溝部19aが挿入される閉蓋位置に配置される。
この蓋締結装置10では、各締結ボルト16の長さを、フランジ接合時、締結ボルト16の頭部16aと他方のフランジ17とのあいだに36.5mmの隙間Gが形成される長さ(首下長さ:248mm)としている(
図10)。
また、各スペーサ19の厚さを、これらのスペーサ19が挿入される隙間Gの長さより短く、かつ生ゴムの加圧処理時、容器内圧により蓋体13が開蓋方向へ移動する距離を、使用されたOリング14の自封性が保たれる距離d(0.5mm)に止める厚さの36mmとしている(
図11および
図13(c))。なお、このOリング14の自封性が保たれる距離d(長さ)は、開蓋時(無負荷時)に前記Oリング14の内周部が環状溝25の開口から突出する長さd0(3mm)を基準とし、その基準値の17%である(
図13(a))。
【0037】
次に、
図1,
図2,
図5,
図9〜
図13を参照して、この発明の実施例1に係る圧力容器の蓋締結装置10の作動を説明する。
図1,
図2および
図5に示すように、圧力容器11により生ゴムを加硫する際には、まず所定量の硫黄を添加した生ゴムを容器本体12に挿入し、その開口部12aを閉蓋する。具体的には、チェーンブロック30のチェーン30aの下端部を蓋体13の掛止リング13aに掛止し、蓋体13の吊下後、その状態のまま、回動ポール28を旋回中心として、旋回アーム29と一体的に蓋体13を閉蓋方向へ水平旋回させる(
図5)。これにより、各締結ボルト16が対応するボルト挿通穴18に挿通され(
図10)、最終的にOリング14は押し潰されて両フランジ15,17が重なり、互いの接合面が当接する(
図9および
図13(b))。このとき、各締結ボルト16では、頭部16aと他方のフランジ17とのあいだに隙間Gが形成される。
その後、合致した2対の小ボルト孔24に2本の仮止め用締結ボルトBを挿通し、これらのねじ部にナット31をねじ込み、両フランジ15,17を堅固にボルト締結して仮止めする(
図1)。これにより、各締結ボルト16の頭部16aと他方のフランジ17とのあいだの隙間Gが、設定された通りの長さ、具体的には“スペーサ19の厚さに前記Oリング14の自封性が保たれる距離d(0.5mm)を加算した長さ”である、36.5mmとなる(
図10)。
【0038】
次に、作業者がハンドレバー32を握り、それを閉蓋方向(反時計回り)に引く。これにより、4つのスライドガイド支脚33を介して、スペーサ操作部材20が各スペーサ19と一体的に閉蓋方向へ所定角度(所定距離)だけスライドする。よって、各スペーサ19の溝部19aに各締結ボルト16を差し込んだ状態で、全てのスペーサ19が対応する隙間Gに一括して差し込まれる(
図11)。
その際、各隙間Gの幅(長さ)は、スペーサ19の厚さより(最大で)Oリング14の自封性が保たれる長さ分だけ長く設定されている。これにより、作業者はさほど大きな力を加えなくても、各スペーサ19を、対応する隙間Gに一括して差し込むことができる。
次に、2本の仮止め用締結ボルトBを外し、両フランジ15,17に対する挟持力を解除する。この状態で、圧力容器11の内圧を設定値まで高め、所定時間だけ生ゴムを加圧・加熱して加硫処理する。
その際、蓋体13は容器内圧に押され、各締結ボルト16をガイドにして開蓋方向へ移動する(
図12)。しかしながら、蓋体13の移動は、各スペーサ19を介して各締結ボルト16の頭部16aにより、Oリング14の自封性が保たれる距離dまでに止められる(
図13(c))。その結果、容器内流体は、容器本体12の開口部12aから外部へ漏出せず、かつフランジ周方向に所定間隔毎に配置された12本の締結ボルト16を介して、容器本体12の開口部12aは蓋体13により密封状態で堅固に閉蓋される。
【0039】
生ゴムの加硫処理後、圧力容器11の内圧を低下させ、圧力容器11から加硫処理された生ゴムを取り出す。具体的には、再び2本の仮止め用締結ボルトBにより両フランジ15,17を堅固に仮止めし、各隙間Gを設定値の36.5mmとする(
図9)。次いで、作業者がハンドレバー32を握り、それを開蓋方向(時計回り)に引く。これにより、各スライドガイド支脚33を介して、スペーサ操作部材20が各スペーサ19と一体的に開蓋方向へ所定角度(所定距離)だけスライドする。その結果、各締結ボルト16から各スペーサ19の溝部19aが外れた状態で、全てのスペーサ19が、対応する隙間Gから、一括して円滑に引き抜かれる。
【0040】
実施例1の蓋締結装置10は、このように構成したため、容器本体12の開口部12aをその全周にわたり略均等圧で密封することができる。また、容器本体12の開口部12aへの締結および締結解除を、レンチを使用せず手動で一括操作することができる。これにより、開口部12aの蓋開閉にかかる作業時間を短縮できるとともに、アクチュエータを有する従来の自動装置に比べて、設備コストおよびメンテナンスコストの低減を図ることができる。
また、スペーサ操作部材20を、他方のフランジ17に、スライドガイド支脚33を介して、その周方向へスライド自在に取り付けたため、蓋締結装置10のコンパクト化が図れ、設置スペースが小さい圧力容器11にも蓋締結装置10を適用することができる。また、各締結ボルト16の頭部16aと他方のフランジ17との隙間Gへのスペーサ19の出し入れ操作も、スペーサ操作部材20の例えば長さ方向への単純な押し引きでよいため、その作業性が高まる。
【0041】
さらに、蓋体13の締結前およびその締結解除前には、2本の仮止め用締結ボルトBを使用し、両フランジ15,17を堅固にボルト締結して、これらを仮止めする。これにより、各スペーサ19を対応する隙間Gに抜き差しする際、両フランジ15,17の位置ずれを防止できるとともに、各締結ボルト16の頭部16aと他方のフランジ17とのあいだに、対応するスペーサ19を円滑に出し入れ可能な設定長さの隙間Gを確保することができる。
さらにまた、スペーサ操作部材20を、全てのスペーサ19が固定された1本の環状体としたため、1回の手動操作により、全てのスペーサ19を、各締結ボルト16の頭部16aと他方のフランジ17との隙間Gに抜き差し自在とすることができる。
【0042】
次に、
図14〜
図23を参照して、本発明の実施例2に係る圧力容器の蓋締結装置を説明する。
図14および
図15に示すように、第2実施例の蓋締結装置10Aの特徴は、圧力容器11Aの蓋開閉方式が、容器本体12Aの開口部12aにヒンジ36を介して蓋体13Aが連結されたヒンジ開閉方式であり、また各締結ボルト16が、一方のフランジ15の外周部からその半径方向外側へ延出した上下4対のボルト取付用ラグ(突起取付用部材)37に取り付けられ、さらに各ボルト挿通穴18が、他方のフランジ17の外周部からその半径方向外側へ延出した上下4対の挿通穴形成用ラグ(挿通穴形成用部材)38に形成され、また実施例1のスペーサ操作部材20が、一部のスペーサ19が固定された上下一対の部分操作部材39からなる点である。
【0043】
以下、これらの点について具体的に説明する。
図14〜
図20に示すように、ヒンジ開閉方式の圧力容器11Aは、容器本体12Aの開口部12aの
図14上の右端部と、蓋体13Aの
図16上の右端部とを、軸支するヒンジ36を介して連結したものである。
ヒンジ36は、容器本体12Aの開口部12aの右端部に突設された上下に離間する一対の本体側軸受40と、蓋体13Aの右端部に突設された上下に離間する一対の蓋側軸受41とを、垂直方向に延びる大径な回動ピン42により連結したものである。蓋体13Aは、回動ピン42を中心にして水平回動することで、容器本体12Aの開口部12aを開閉する(
図18)。
【0044】
また、
図15〜
図17に示すように、ボルト取付用ラグ37は、容器本体12Aの開口部12aに周設された一方のフランジ15の上側部分に4つと、一方のフランジ15の下側部分に4つとの合計8つが、一方のフランジ15の外周縁上に、それぞれ所定間隔をあけて固定(溶接)されている。各ボルト取付用ラグ37は、一方のフランジ15の外周縁に固定され、かつ中央部に締結ボルト孔22が形成された横長矩形状の厚肉な上板43と、上板43の両側部に一体的に連結された左右一対の補強用の側板44とからなる。
さらに、
図14、
図15、
図19および
図20に示すように、各挿通穴形成用ラグ38は厚肉な矩形板で、蓋体13Aの外周部に周設された他方のフランジ17の上側部分と下側部分との各外周縁において、それぞれボルト取付用ラグ37と対峙する位置に、所定間隔をあけて固定(溶接)されている。各挿通穴形成用ラグ38には、その中央部一帯に正面視して逆U字形状のボルト挿通穴18がそれぞれ形成されている。
【0045】
また、他方のフランジ17の外周縁のうち、隣接する挿通穴形成用ラグ38の間には、アングル鋼からなる合計6つの支脚取付用ブラケット45が固定(溶接)されている。これらには、各スライドガイド支脚33がビス止めされている。
他方のフランジ17のうち、
図14上の左端部の外周縁上には、仮止め用ラグ46が固定(溶接)されている。仮止め用ラグ46の中央部には、大径で長尺な仮止め用締結ボルト(フランジ仮締結材)B1が螺合されるナット部47が埋め込まれている。仮止め用締結ボルトB1の先端部には、一方のフランジ15の左端部を他方のフランジ17に押し付けるクランプ爪48の基端部が周方向へ回動可能に装着されている(
図18)。
蓋体13Aの締結前およびその締結解除前、ナット部47に螺合された仮止め用締結ボルトB1をねじ戻し方向に回転させて行くことで、クランプ爪48の先端部と他方のフランジ17とにより、一方のフランジ15の左端部がクランプされる。こうして、両フランジ15,17が強固に仮止めされる。
【0046】
さらに、
図14、
図15および
図21〜
図23に示すように、各部分操作部材39は、鋼管を円弧状に湾曲させたもので、その円弧を形成する扇形の角度は約120°である。
各部分操作部材39の内周部には、その長さ方向に向かって各ボルト取付用ラグ37の形成間隔で4つのスペーサ19が固定されている。また、
図14上の各部分操作部材39の左端部には、それぞれハンドレバー32が取り付けられている。
【0047】
次に、
図14,
図15,
図18,
図22および
図23を参照して、この発明の実施例2に係る圧力容器の蓋締結装置10Aの作動を説明する。
図14,
図15および
図18に示すように、容器本体12Aの開口部12aの閉蓋時、ヒンジ36の回動軸を中心にして蓋体13Aを閉蓋方向に水平回動し、両フランジ15,17を面接触させて、この開口部12aを閉蓋する。これにより、各締結ボルト16が対応するボルト挿通穴18に挿通され(
図15および
図22)、最終的にOリング14は押し潰されて両フランジ15,17が重なり、互いの接合面が当接する。
その後、クランプ爪48の先端部を一方のフランジ15の左端部の裏側に配置し、ナット部47に螺合された仮止め用締結ボルトB1をねじ戻し方向に回転させて行くことで、クランプ爪48の先端部と他方のフランジ17とのあいだで、一方のフランジ15の左端部がクランプされ、両フランジ15,17が強固に仮止めされる(
図18)。これにより、各締結ボルト16の頭部16aと他方のフランジ17とのあいだの隙間Gが、設定された通りの、スペーサ19の厚さに前記Oリング14の自封性が保たれる距離dを加算した長さとなる。
【0048】
次に、上下の部分操作部材39において、作業者が各ハンドレバー32を握り、それを閉蓋方向(上側の部分操作部材39は反時計回り、下側の部分操作部材39は時計回り)に引く(
図14)。これにより、各3つのスライドガイド支脚33を介して、両部分操作部材39が各スペーサ19と一体的に閉蓋方向へ所定角度だけスライドする。よって、各スペーサ19の溝部19aに各締結ボルト16を差し込んだ状態で、全てのスペーサ19が対応する隙間Gにまとめて差し込まれる(
図14および
図23)。
その後、仮止め用締結ボルトB1をねじ込む方向に回転させ、クランプ爪48の先端部と他方のフランジ17とによる一方のフランジ15の左端部のクランプを解除し、一方のフランジ15の裏側からクランプ爪48を外す。
この状態で、圧力容器11Aの内圧を高め、生ゴムの加硫を行う。その際、蓋体13Aは容器内圧に押され、8本の締結ボルト16をガイドにして開蓋方向へ移動するものの、蓋体13Aの移動は、各スペーサ19を介して各締結ボルト16の頭部16aにより、Oリング14の自封性が保たれる距離dまでに止められる(
図13(c))。その結果、容器内流体は、容器本体12Aの開口部12aから外部へ漏出せず、かつフランジ周方向に所定間隔毎に配置された8本の締結ボルト16を介して、容器本体12Aの開口部12aは蓋体13Aにより密封状態で堅固に閉じられる。
【0049】
生ゴムの加硫後、圧力容器11Aから処理済みの生ゴムを取り出す際には、圧力容器11Aの内圧を低下させるとともに、再び仮止め用締結ボルトB1により両フランジ15,17を堅固に仮止めする(
図18)。
その後、上下の部分操作部材39において、作業者がハンドレバー32を握り、それを開蓋方向(上側のものは時計回り、下側のものは反時計回り)に引く。これにより、各スライドガイド支脚33を介して、各部分操作部材39が各スペーサ19と一体的に開蓋方向へ所定角度だけスライドする。その結果、全てのスペーサ19が、対応する隙間Gから円滑に引き抜かれる。
【0050】
このように、実施例2では、各ボルト取付用ラグ37を介して、各締結ボルト16を一方のフランジ15に間接的に配設し、また各挿通穴形成用ラグ38を介して、各ボルト挿通穴18を他方のフランジ17に間接的に形成するようにした。これにより、既存のフランジ接合方式の圧力容器にも本発明の蓋締結装置を適用することができる。
また、スペーサ操作部材20を、上下一対の部分操作部材39から分割構成したため、蓋締結装置10Aの製造・組み立てが容易となり、かつメンテナンス時、スペーサ操作部材20に損傷等が発見された場合、該当する部分操作部材39のみの修理、交換を行えば足りるものとなった。
その他の構成、作用および効果は、実施例1から推測可能な範囲であるため、説明を省略する。