(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1のネットワーク装置に接続された第1のトランシーバと、該第1のネットワーク装置以外の第2のネットワーク装置に接続されている第2のトランシーバと、を含み、該第1のトランシーバ及び第2のトランシーバ間で通信を行う通信システムにおいて、
前記第1のトランシーバ及び第2のトランシーバの双方又は片方が請求項1乃至6の何れか1項に記載のトランシーバであることを特徴とする通信システム。
第1のネットワーク装置に接続され、該第1のネットワーク装置以外の第2のネットワーク装置に接続されている他のトランシーバとの通信を行うトランシーバが行う通信方法であって、
前記他のトランシーバと、有線接続により通信を行う有線通信ステップと、
前記他のトランシーバと、無線接続により通信を行う無線通信ステップと、
前記第1のネットワーク装置に前記有線通信ステップによる通信を行わせている際に、該有線接続経路上での障害発生を検知した場合に前記無線通信ステップによる通信に切り替えると共に前記他のトランシーバに対して有線接続経路上での障害を検知した旨を送出する第1の障害検知ステップと、
前記第1のネットワーク装置に前記有線通信ステップによる通信を行わせている際に、前記他のトランシーバから有線接続経路上での障害を検知した旨を受信した場合に前記無線通信ステップによる通信に切り替える第2の障害検知ステップと、
前記第1のネットワーク装置に前記無線通信ステップによる通信を行わせている際に、前記有線接続経路上での障害発生を検知しなくなった場合又は前記他のトランシーバからの障害を検知した旨を検知しなくなった場合に前記有線通信ステップによる通信に切り替える障害検知制御ステップと、
を備えると共に、
当該トランシーバと前記他のトランシーバは共通する無線設定を有しており、該両トランシーバ以外の異なる無線設定を有する装置からの無線通信は拒否することを特徴とする通信方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
次に、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0022】
図2には本発明の実施形態であるSFPトランシーバ100の概要が表されている。SFPトランシーバ100は、2芯SFP光トランシーバに副回線用の無線LAN機能を加えたトランシーバである。
【0023】
具体的には、SFPトランシーバ100は、光回線部110、無線LAN(Local Area Network)回線部120、回線切替S/W130、障害検知部140、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)150及びSFPコネクタ160を含む。
【0024】
また、SFPトランシーバ100は、本体装置300のSFPポート310に挿入され、本体装置300が送受信するデータを処理する。SFPトランシーバ100のデータの送受信先は対向SFPトランシーバ200である。対向SFPトランシーバ200は、SFPトランシーバ100と同様の構成をしているため、その構成についての説明は省略し、図示に関しても一部省略する。また、対向SFPトランシーバ200もSFPトランシーバ100と同様に本体装置300以外の他の本体装置(図示は省略する)と接続されているものとする。
【0025】
今回の説明では、SFPトランシーバ100及び対向SFPトランシーバ200の形状及び電気信号などの仕様はSFP MSA(Small Form-factor Pluggable Transceiver MultiSource Agreement)に準拠するものとする。なお、本体装置300は具体的にはどのような装置であってもよい。また、SFPポート310の個数も任意の数であってよい。
【0026】
SFPトランシーバ100は、主回線として光回線部110を使用する。ここで、光回線部110は、光出力部111、光入力部112、デジタル/光信号変換部113、光/デジタル信号変換部114、光回線ベースバンドIC115及びLOS検知部116を含む。
【0027】
光回線部110は、本体装置300が出力するデジタル信号データをSFPコネクタ160及び回線切替S/W130を経由して受信する。そして、光回線部110は、受信したデジタル信号データをデジタル/光信号変換部113によって光信号データに変換し、光出力部111を介して対向SFPトランシーバ200へ送信する。
【0028】
また、光回線部110は、対向SFPトランシーバ200が出力した光信号データを光入力部112で受信する。そして、光回線部110は、受信した光信号データを光/デジタル信号変換部114によってデジタル信号データに変換し、回線切替S/W130及びSFPコネクタ160を経由して本体装置300へ出力する。光回線部110のLOS検知部116は、光信号の受信状況を監視する。そして、受信状態から、光回線上に物理的な障害が発生したことを検知する。障害発生を検知した際は、LOSシグナルを障害検知制御部143へ送信する。
【0029】
SFPトランシーバ100は、副回線として無線LAN回線部120を使用する。ここで、無線LAN回線部120は、アンテナ121、S/W122、トランスミッタ123、周波数コントロール部124、レシーバ125、デジタル/無線信号変換部126、無線/デジタル信号変換部127及び無線ベースバンドIC128を含む。
【0030】
無線LAN回線部120は、本体装置300が出力するデジタル信号データをSFPコネクタ160及び回線切替S/W130を経由して受信する。そして、無線LAN回線部120は、受信したデジタル信号データをデジタル/無線信号変換部126によって無線信号データに変換し、周波数コントロール部124及びトランスミッタ123で最適な周波数に変換してアンテナ121から対向SFPトランシーバ200へ送信する。
【0031】
また、無線LAN回線部120は、アンテナ121で受信した対向SFPトランシーバ200の無線信号データを周波数コントロール部124及びレシーバ125を変換する。更に、無線LAN回線部120は、変換したデータを無線/デジタル信号変換部127によってデジタル信号データに変換し、回線切替S/W130及びSFPコネクタ160を経由して本体装置300へ出力する。
【0032】
SFPトランシーバ100と対向SFPトランシーバ200の間で使用する無線LAN機能は、IEEE802.11標準規格のアドホックモード通信である。そのため、無線LANアクセスポイント等の中継装置を用いる必要はない。
【0033】
なお、この構成はあくまで一具体例に過ぎず、無線LANアクセスポイント等の中継装置を介さずにSFPトランシーバ100と対向SFPトランシーバ200の間で直接信号の送受信が実現できるのであれば、他の無線LAN規格に準拠するようにしてもよい。また、本実施形態では、無線LAN接続のアドホックモード通信に限らず、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信などの規格に準拠して通信を実現するようにしてもよい。
【0034】
SFPトランシーバ100と対向SFPトランシーバ200の無線LAN接続に必要な無線設定151は、SFPトランシーバの製造段階でEEPROM150に格納される。なお、今回の説明では、IEEE802.11標準規格のアドホックモード通信を想定しているので、無線設定151はESSID(Extended Service Set Identifier)と暗号キーの組合せとなる。
【0035】
SFPトランシーバ100が対向SFPトランシーバ200と無線LAN接続を確立する際に、無線設定151を使用する。SFPトランシーバ100の無線設定151と対向SFPトランシーバ200の無線設定251が同じ場合、無線LAN接続が可能になる。互いの無線設定が異なれば、SFPトランシーバ100と対向SFPトランシーバ200間の無線LANは正常に接続することができない。またEEPROM150の無線設定151は、本体装置300のコンソール上で閲覧・変更することが可能である。なお、無線LAN回線部120がEEPROM150の無線設定151を読み込んでいる最中は、本体装置300のコンソール上で無線設定151を変更することができない。
【0036】
回線切替S/W130は、主回線である光回線部110と、副回線である無線LAN回線部120を切り替えるスイッチである。回線切替S/W130は、障害検知制御部143から回線切替信号を受信した際に、使用回線を切り替える。
【0037】
障害検知部140は、障害検知パターン送出部141、障害検知パターン検知部142及び障害検知制御部143を有する。
【0038】
障害検知制御部143は、LOS検知部116からLOSシグナルを受信し、障害検知パターン信号を生成する。また、障害検知制御部143は、LOSシグナルを受信した場合、又は対向SFPトランシーバ200の障害検知パターン信号を受信した場合に、回線切替S/W130に光回線から無線LAN回線へ切り替えるよう回線切替信号を送信する。
【0039】
そして障害検知制御部143は、回線切替信号を送信後、LOSシグナル、又は対向SFPトランシーバ200の障害検知パターン信号を受信しなくなった場合には、回線切替S/W130に無線LAN回線から光回線へ切り替えるよう回線切替信号を送信する。なお、光回線の安定性を確認するために、LOSシグナル、又は障害検知パターン信号を受信しなくなって直ぐに回線切替信号を送信するのではなく、LOSシグナル、又は障害検知パターン信号を受信しなくなってから一定時間を経た後に回線切替信号を送信する。安定性を確認する時間については、LOSシグナル、又は障害検知パターン信号の送信間隔よりも長いものとする。すなわち、少なくとも複数回はLOSシグナル、又は障害検知パターン信号を受信しないことを確認するものとする。
【0040】
障害検知パターン送出部141は、障害検知制御部143で生成された障害検知パターン信号を対向SFPトランシーバ200の障害検知パターン検知部242に対して送信する。一方、障害検知パターン検知部142は、対向SFPトランシーバ200の障害検知制御部243で生成された障害検知パターン信号を受信し、障害検知制御部143へ通知する。
【0041】
EEPROM150は、SFPトランシーバの製造段階でメディアタイプ152、メーカ名153、無線設定151(ESSID・暗号キー)が格納される。EEPROM150内の情報は、本体装置300のコンソールで閲覧することができる。
【0042】
SFPコネクタ160は、本体装置300のSFPポート310との接続部である。SFPトランシーバ100は、SFPコネクタ160を介して本体装置300のSFPポート310と接続される。
【0043】
次に、本実施形態について具体的な事例を用いて説明する。今回の説明では、2つのSFPトランシーバ間をつなぐ2本の光ファイバケーブルのうち1本が切断された場合に、SFPトランシーバの使用回線が光回線から無線LAN回線に切り替わる例を示す。
【0044】
図3を参照すると、本例におけるSPFトランシーバの具体的構造が4面図により表されている。具体的には、SPFコネクタを有する面を正面27とした場合に、表面24、裏面25、側面26が表されている。
【0045】
無線アンテナ格納部24aは、無線アンテナの格納部であり、アンテナ23の格納部に相当する。2芯光ファイバケーブル接続部24bは、光ファイバケーブルとの接続部であり、光出力部111及び光入力部112に相当する部分と接続される。SFPコネクタ部24cの形状はSFP MSAに準拠しており、SFP160に相当する。
【0046】
図4は、本発明の実施形態であるSFPトランシーバ31の主回線から副回線の回線切替動作を表す図である。ネットワーク装置SWA28、SWB29及びSWC30は、各々の接続ポートに本実施形態のSFPトランシーバ31を搭載している。そして、各FPトランシーバ31は、2芯の光ファイバケーブルである光ファイバケーブル32で接続されている。また、主回線として光回線を使用し、副回線として無線LAN回線を使用する。
【0047】
1.まず、光ファイバケーブル37においてケーブル切断が発生したとする。
【0048】
2.この場合、SWA28のSFPトランシーバ34は、光ファイバケーブル37上の物理障害に起因してLOSシグナルを検知する。
【0049】
3.そして、SFPトランシーバ34は、使用回線を副回線の無線LAN回線へと切り替える。併せてSFPトランシーバ34は、対向SFPトランシーバ35向けへ障害検知パターン信号36を送信する。障害検知パターン36を受信した対向SFPトランシーバ35は、使用回線を無線LAN回線に切り替える。
【0050】
これにより、SFPトランシーバ34と対向SFPトランシーバ35は、無線LAN回線を使用して通信を継続する。無線LAN回線は、無線アクセスポイントを必要としない1対1接続のアドホックモード通信33を使用する。
【0051】
図5を参照して本実施形態における無線LAN回線接続について説明する。
【0052】
前提として、SFPトランシーバ40とSFPトランシーバ41が同じ無線設定を使用し、SFPトランシーバ42とSFPトランシーバ43が同じ無線設定を使用しているものとする。
【0053】
SFPトランシーバ40とSFPトランシーバ41の無線設定は、SFPトランシーバ42とSFPトランシーバ43の無線設定と異なるため、互いに無線LAN接続できない。そのため、主回線で接続されていないSFPトランシーバ間で無線LAN接続が確立してしまうような不都合は生じないこととなる。
【0054】
次に、本実施形態の動作を
図6、
図7及び
図8のフローチャート並びに
図9を参照して説明する。
【0055】
図6は、本体装置300からSFPトランシーバ100を経由してSFPトランシーバ200が搭載されている対向装置へデータを出力するフローを表す図である。
【0056】
まず、本体装置300が、SFPトランシーバ100に対向装置宛のデータを入力する(ステップS401)。
【0057】
そして、回線切替S/Wが使用回線に光回線を選択している場合(ステップS402において光回線)、デジタル信号データは光信号データへ変換され光回線経由で対向装置へ出力される。具体的には、光回線ベースバンドICによりデータを変調する(ステップS403)。変調後のデータを、デジタル/光信号変換部113にて光信号に変換する(ステップS404)。光出力部111から対向装置へデータを出力する(ステップS405)。
【0058】
一方、回線切替S/Wが使用回線に無線LAN回線を選択している場合(ステップS402において無線LAN回線)、デジタル信号データは無線信号データへ変換されアンテナ経由で対向装置へ出力される。具体的には、無線ベースバンドIC128によりデータを変調する(ステップS406)。変調後のデータを、デジタル/無線信号変換部126にて無線信号に変換する(ステップS407)。アンテナ121から対向装置へデータを出力する(ステップS408)。
【0059】
図7は、光回線から無線LAN回線に切り替わるフローを表す図である。
【0060】
まず、光回線を使用した通信を行う(ステップS501)。
【0061】
障害検知部140が光回線部110からLOSシグナルを検知した場合(ステップS502においてYes)、障害検知部140は障害検知パターン信号を光回線へ送信する(ステップS503)。
【0062】
また、障害検知部140は、回線切替S/W130に対し回線切替信号を送出する(ステップS504)。回線切替信号を受け取った回線切替S/W130は、使用回線を光回線から無線LAN回線に変更する(ステップS505)。
【0063】
一方、障害検知部が光回線からLOSシグナルを検知せず(ステップS502においてNo)、且つ、障害検知パターン信号を検知した場合(ステップS506においてYes)、障害検知部140は、回線切替S/W130に対し回線切替信号を送出する(ステップS504)。回線切替信号を受け取った回線切替S/W130は、使用回線を光回線から無線LAN回線に変更する(ステップS505)。
【0064】
他方、障害検知部が光回線からLOSシグナル及び障害検知パターン信号を検知しない場合(ステップS502及びステップS506の何れにおいてもNo)、回線切替S/W130の回線切替動作は発生しない。
【0065】
図8は、無線LAN回線から光回線に切り替わるフローを表す図である。
【0066】
まず、無線LAN回線を使用した通信を行う(ステップS601)。
【0067】
障害検知部140が光回線部110からLOSシグナルを検知した場合(ステップS602においてYes)、又は、障害検知パターン信号を検知した場合(ステップS603においてYes)、回線切替S/W130の回線切替動作は発生しない。
【0068】
光回線が一定時間安定しない場合も回線切替S/W130の回線切替動作は発生しない(ステップS604においてNo)。
【0069】
障害検知部が光回線からLOSシグナル及び障害検知パターン信号を検知しない場合で(ステップS602及びステップS603の何れにおいてもNo)、光回線が一定時間安定していれば(ステップS604においてYes)、回線切替S/W130に対し回線切替信号を送出する(ステップS607)。
【0070】
回線切替信号を受け取った回線切替S/W130は、使用回線を無線LAN回線から光回線に変更する(ステップS608)。
【0071】
また、対向SPFトランシーバ200の障害検知パターン送出部241ではなく、障害検知部140の障害検知パターン送出部141が障害検知パターン信号を光回線に送出している場合は(ステップS605においてYes)、回線切替S/W130に対し回線切替信号を送出する前に障害検知パターン信号を停止する(ステップS606)。
【0072】
図9は、上述の各動作の結果、LOSシグナル及び障害検知パターン信号の受信状況により、回線切替S/W130を切り替える使用回線をテーブルとして表した図である。
【0073】
次に、上述した本実施形態を変形した変形例について示す。
【0074】
[変形例1]
変形例1として、一般的なJ−45コネクタのメタル回線SFPトランシーバに無線LAN回線による通信機能を搭載した例を、
図10乃至
図13を参照して説明する。
【0075】
図10は、本実施例のSFPトランシーバ48,49,50,51の物理構成例を表す図である。
【0076】
図3を参照すると、本例におけるSPFトランシーバの具体的構造が4面図により表されている。具体的には、SPFコネクタを有する面を正面27とした場合に、表面24、裏面25、側面26が表されている。
【0077】
図11は、主回線にメタル回線を、副回線に無線LAN回線を持つSFPトランシーバ101が対向SFPトランシーバ201と1対1で接続する構成を表す図である。
【0078】
本変形例では、SFPトランシーバ100のように光回線を用いるのではなく、電話線等に代表される電気信号を通すメタル回線を使用する。そのため、SFPトランシーバ101は、光回線部101に代わり、メタル回線部170を有する。また、メタル回線部170は出力部171、入力部172及びメタル回線部IC173を有する。
【0079】
次に、
図12及び
図13のフローチャートを参照して本変形例の動作について説明する。
【0080】
図12は、メタル回線から無線LAN回線に切り替わるフローを表す図である。
【0081】
まず、メタル光回線を使用した通信を行う(ステップS701)。
【0082】
次に、障害検知制御部143は、対向SFPトランシーバ201から送られるメタル回線上の信号の有無を確認する。信号がなければ(ステップS702においてNo)、回線切替S/W55に回線切替信号を送信し、無線LAN回線に切り替わる。信号があれば、メタル回線の安定性を確認する一定時間を経て、回線切替S/W131に回線切替信号を送信する(ステップS703)。そして、回線切替S/W131が使用回線をメタル回線から無線LAN回線に変更する(ステップ704)。
【0083】
図13は、無線LAN回線からメタル回線の回線切替動作のフローを示す。本実施例の場合でも、本発明を適用できる。
【0084】
まず、無線LAN回線を使用した通信を行う(ステップS801)。
【0085】
障害検知部140がメタル回線からデジタル信号を検知しない場合(ステップS802においてNo)、回線切替S/W130の回線切替動作は発生しない。
【0086】
メタル回線が一定時間安定しない場合も回線切替S/W131の回線切替動作は発生しない(ステップS803においてNo)。
【0087】
障害検知部がメタル回線からデジタル信号を検知した場合で(ステップS802においてYes)、メタル回線が一定時間安定していれば(ステップS803においてYes)、回線切替S/W131に対し回線切替信号を送出する(ステップS804)。
【0088】
回線切替信号を受け取った回線切替S/W131は、使用回線を無線LAN回線からメタル回線に変更する(ステップS805)。
【0089】
[変形例2]
変形例2として、SFPトランシーバ内のEEPROM150の無線設定151に含まれるESSIDを任意に変更できるDIP S/W(Dual In-line Package switch)を更に追加した例を
図14と
図15に示す。
【0090】
図14のブロック図を参照すると、SFPトランシーバ102の無線設定151に含まれるESSIDは、DIP S/W154によって変更することができる。同様に対向SFPトランシーバ202の無線設定251に含まれるESSIDは、DIP S/W254によって変更することができる。互いのDIP S/Wにより、2つのSFPトランシーバのESSIDをあわせなければ、正常に無線LAN接続が確立できない。
【0091】
図15は、DIP S/W64を実装する本発明SFPトランシーバ63の物理構成例を表す図である。本例では、本体のコンソールがなくてもSFPトランシーバのDIP S/WでESSIDを変更することができるという効果を奏する。
【0092】
なお、上述した変形例1と変形例2を組み合わせるようにしてもよい。すなわち、副回線をメタル回線として、更にDIP S/Wを設けるようにしてもよい。
【0093】
また、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0094】
例えば、本発明の実施形態におけるトランシーバの形状は、SFPトランシーバに限らず、GBICトランシーバ、XFPトランシーバ、CFPトランシーバなどネットワーク装置で使用する他の規格のトランシーバにも適用できる。
【0095】
また、本発明の実施形態における無線接続は、無線LAN接続のアドホックモード通信に限らず、Bluetooth(登録商標)、赤外線などの無線技術にも適用できる。
【0096】
なお、上記のトランシーバは、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合わせにより実現することができる。また、上記のトランシーバにより行なわれる通信方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらに組合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0097】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0098】
以上説明した本発明の実施形態は、以下に示すような多くの効果を奏する。
【0099】
第1の効果は、装置のポートを有効活用することができることである。
【0100】
その理由は、一つのSFPトランシーバ内に主回線及び副回線を持つことで、副回線として使用していたポートを減らし、そのポートを他の用途で使用することができるからである。つまり、ポートを増設しなくても副回線を設けることができる。
【0101】
第2の効果は、SFPトランシーバ内の副回線を無線LANにすることで、副回線の配線管理をする必要がないことである。
【0102】
第3の効果は、副回線に無線LANのアドホックモード通信を使用することで、副回線に切り替わった場合でも有線接続と同じく1対1の接続を実現できることである。
【0103】
第4の効果は、SFPトランシーバ内に対向SFPトランシーバと無線接続するための設定を格納しているため、副回線の設定を意識する必要がないことである。
【0104】
第5の効果は、回線障害時の主回線と副回線の切替をシームレスに行うことができることである。有線回線上のLOSシグナル、障害検知パターン信号により障害/復旧を検知し、回線を切り替えるからである。
【0105】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0106】
(付記1) 第1のネットワーク装置に接続され、該第1のネットワーク装置以外の第2のネットワーク装置に接続されている他のトランシーバとの通信を行うトランシーバであって、
前記他のトランシーバと、有線接続により通信を行う有線通信手段と、
前記他のトランシーバと、無線接続により通信を行う無線通信手段と、
前記第1のネットワーク装置に前記有線通信手段による通信を行わせている際に、該有線接続経路上での障害発生を検知した場合に前記無線通信手段による通信に切り替えると共に前記他のトランシーバに対して有線接続経路上での障害を検知した旨を送出する第1の障害検知手段と、
前記第1のネットワーク装置に前記有線通信手段による通信を行わせている際に、前記他のトランシーバから有線接続経路上での障害を検知した旨を受信した場合に前記無線通信手段による通信に切り替える第2の障害検知手段と、
前記第1のネットワーク装置に前記無線通信手段による通信を行わせている際に、前記有線接続経路上での障害発生を検知しなくなった場合又は前記他のトランシーバからの障害を検知した旨を検知しなくなった場合に前記有線通信手段による通信に切り替える障害検知制御手段と、
を備えることを特徴とするトランシーバ。
【0107】
(付記2) 付記1に記載のトランシーバであって、
前記有線通信とは光信号を光回線上で送受信する通信方式であり、
前記光信号を受信する光入力手段と、
前記受信した光信号をデジタル信号に変換する信号変換手段と、
前記変換後の信号を監視することにより前記有線接続経路上での障害の検知を行うLOS検知手段と、
を更に備えることを特徴とするトランシーバ。
【0108】
(付記3) 付記1に記載のトランシーバであって、
前記有線通信とは電気信号をメタル回線上で送受信する通信方式であり、
前記電気信号を受信する入力手段と、
前記電気信号の有無を確認し、前記電気信号が存在しない場合に前記有線接続経路上で障害が発生したことを検知するメタル回線手段と、
を更に備えることを特徴とするトランシーバ。
【0109】
(付記4) 付記1乃至3の何れか1に記載のトランシーバであって、
前記第1の障害検知手段による前記障害を検知した旨の送出は、所定の送信間隔により定期的に行われ、
前記障害検知制御手段は、前記第1のネットワーク装置に前記無線通信手段による通信を行わせている際に、前記所定の送信間隔よりも長い時間前記他のトランシーバからの障害を検知した旨を検知しなくなった場合に前記有線通信手段による通信に切り替えることを特徴とするトランシーバ。
【0110】
(付記5) 付記1乃至4の何れか1に記載のトランシーバであって、
前記無線通信手段による前記他のトランシーバとの通信は、中継装置を介すことなく当該トランシーバと前記他のトランシーバとの間で行われる直接の通信であることを特徴とするトランシーバ。
【0111】
(付記6) 付記1乃至5の何れか1に記載のトランシーバであって、
当該トランシーバと前記他のトランシーバは共通する無線設定を有しており該両トランシーバ以外の装置からの無線通信は拒否することを特徴とするトランシーバ。
【0112】
(付記7) 付記6に記載のトランシーバであって、
当該トランシーバは複数の前記無線設定を記憶しており、無線通信において実際に利用する無線設定を前記複数の無線設定のなかから選択するためのスイッチを更に備えることを特徴とするトランシーバ。
【0113】
(付記8) 第1のネットワーク装置に接続された第1のトランシーバと、該第1のネットワーク装置以外の第2のネットワーク装置に接続されている第2のトランシーバと、を含み、該第1のトランシーバ及び第2のトランシーバ間で通信を行う通信システムにおいて、
前記第1のトランシーバ及び第2のトランシーバの双方又は片方が付記1乃至7の何れか1に記載のトランシーバであることを特徴とする通信システム。
【0114】
(付記9) 第1のネットワーク装置に接続され、該第1のネットワーク装置以外の第2のネットワーク装置に接続されている他のトランシーバとの通信を行うトランシーバが行う通信方法であって、
前記他のトランシーバと、有線接続により通信を行う有線通信ステップと、
前記他のトランシーバと、無線接続により通信を行う無線通信ステップと、
前記第1のネットワーク装置に前記有線通信ステップによる通信を行わせている際に、該有線接続経路上での障害発生を検知した場合に前記無線通信ステップによる通信に切り替えると共に前記他のトランシーバに対して有線接続経路上での障害を検知した旨を送出する第1の障害検知ステップと、
前記第1のネットワーク装置に前記有線通信ステップによる通信を行わせている際に、前記他のトランシーバから有線接続経路上での障害を検知した旨を受信した場合に前記無線通信ステップによる通信に切り替える第2の障害検知ステップと、
前記第1のネットワーク装置に前記無線通信ステップによる通信を行わせている際に、前記有線接続経路上での障害発生を検知しなくなった場合又は前記他のトランシーバからの障害を検知した旨を検知しなくなった場合に前記有線通信ステップによる通信に切り替える障害検知制御ステップと、
を備えることを特徴とする通信方法。