(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも、Laと、Siと、Alと、N(窒素)と、M元素(ただし、Mは、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、TmおよびYbからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素)と、必要に応じてO(酸素)とを含む無機結晶からなり、
前記無機結晶における前記Laの原子分率aと、前記Siの原子分率bと、前記Alの原子分率cと、前記Oの原子分率dと、前記Nの原子分率eと、前記M元素の原子分率fとは、
0.0001≦ a ≦0.03 ・・・・・・・・・・・(i)
0.1≦ b ≦0.2 ・・・・・・・・・・・・・・(ii)
0.25≦ c ≦0.4 ・・・・・・・・・・・・(iii)
0≦ d ≦0.1 ・・・・・・・・・・・・・・・・(iv)
0.4≦ e ≦0.55 ・・・・・・・・・・・・・・(v)
0.0001≦ f ≦0.02 ・・・・・・・・・・(vi)
を満たし、
前記無機結晶は、LaSi9Al19N32結晶または前記LaSi9Al19N32結晶の固溶体結晶を母体結晶とし、前記母体結晶を前記M元素で付活した結晶である、蛍光体。
250〜440nmの波長の光を発する発光光源と、発光光源の光を異なる波長に変換する蛍光体とから構成される照明器具において、前記蛍光体は、請求項1に記載の蛍光体を含む、照明器具。
【背景技術】
【0002】
蛍光体は、蛍光表示管(VFD(Vacuum−Fluorescent Display))、フィールドエミッションディスプレイ(FED(Field Emission Display)またはSED(Surface−Conduction Electron−Emitter Display))、プラズマディスプレイパネル(PDP(Plasma Display Panel))、陰極線管(CRT(Cathode−Ray Tube))、白色発光ダイオード(LED(Light−Emitting Diode))などに用いられている。これらのいずれの用途においても、蛍光体を発光させるためには、蛍光体を励起するためのエネルギーを蛍光体に供給する必要があり、蛍光体は真空紫外線、紫外線、電子線、青色光などの高いエネルギーを有した励起源により励起されて、可視光線を発する。しかしながら、蛍光体は前記のような励起源に曝される結果、蛍光体の輝度が低下し易く、輝度低下のない蛍光体が求められている。そのため、従来のケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、硫化物蛍光体などの蛍光体に代わり、輝度低下の少ない蛍光体として、サイアロン蛍光体、酸窒化物蛍光体、窒化物蛍光体などの、結晶構造に窒素を含有する無機結晶を母体結晶とする蛍光体が提案されている。
【0003】
このサイアロン蛍光体の一例は、概略以下に述べるような製造プロセスによって製造される。まず、窒化ケイ素(Si
3N
4)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化ユーロピウム(Eu
2O
3)を所定のモル比に混合し、1気圧(0.1MPa)の窒素中において1700℃の温度で1時間保持してホットプレス法により焼成して製造される(例えば、特許文献1参照)。このプロセスで得られるEu
2+イオンで付活したα−サイアロンは、450から500nmの青色光で励起されて550から600nmの黄色の光を発する蛍光体となることが報告されている。また、β−サイアロンに希土類元素を添加した蛍光体(特許文献2参照)が知られており、Tb、Yb、Agで付活したものは525nmから545nmの緑色を発光する蛍光体となることが示されている。さらに、β−サイアロンをEu
2+で付活した緑色の蛍光体(特許文献3参照)が知られている。
【0004】
酸窒化物蛍光体の一例は、JEM相(LaAl(Si
6−zAl
z)N
10−zO
z)を母体結晶としてCeで付活させた青色蛍光体(特許文献4参照)、La
3Si
8N
11O
4を母体結晶としてCeで付活させた青色蛍光体(特許文献5参照)が知られている。
【0005】
窒化物蛍光体の一例は、CaAlSiN
3を母体結晶としてEu
2+で付活させた赤色蛍光体(特許文献6参照)が知られている。
【0006】
電子線を励起源とする画像表示装置(VFD、FED、SED、CRT)用途の青色蛍光体としては、Y
2SiO
5を母体結晶としてCeを固溶させた蛍光体(特許文献7参照)やZnSにAgなどの発光イオンを固溶させた蛍光体(特許文献8参照)が報告されている。
【0007】
Srを含むサイアロンであるSrSi
9Al
19ON
31結晶の組成と構造とが報告されている(非特許文献1参照)。SrSi
9Al
19ON
31結晶にEuを固溶させた青色蛍光体(Srサイアロンポリタイポイドとも呼ぶ)が知られている(特許文献9参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
紫外LEDを励起源とする白色LEDやプラズマディスプレイなどの用途には、耐久性に優れ高い輝度を有する蛍光体として、赤色、黄色の他にも、紫色、青色や緑色発光する蛍光体が求められている。さらに、従来の酸窒化物を母体結晶とする蛍光体は絶縁物質であり、電子線を照射しても、発光強度が低い。このため、FEDなどの電子線励起の画像表示装置の用途には電子線で高輝度に発光する蛍光体が求められている。
【0011】
電子線励起で用いられる特許文献7に開示される酸化物の蛍光体は、使用中に劣化して発光強度が低下するおそれがあり、画像表示装置で色バランスが変化するおそれがあった。特許文献8に開示される硫化物の蛍光体は、使用中に分解が起こり、硫黄が飛散してデバイスを汚染するおそれがあった。
【0012】
本発明の目的は、このような要望に応えようとするものであり、従来の希土類付活サイアロン蛍光体または酸化物蛍光体に代替する蛍光体であり、中でも紫色、青色、緑色発光する蛍光体を提供しようというものである。さらに、電子線で効率よく発光する紫色、青色、緑色発光する蛍光体を提供しようというものである。加えて、高温での発光強度の低下が少ない蛍光体粉末を提供しようというものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者においては、かかる状況の下で、少なくともLaとSiとAlとNと、必要に応じてOの元素と、付活元素としてM元素(ただし、Mは、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、TmおよびYbからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素)とを含む無機結晶に着目し、中でもLaSi
9Al
19N
32結晶あるいはこの固溶体結晶を母体結晶として少なくともMイオンを固溶させた無機結晶について鋭意研究を重ねた結果、この無機結晶が蛍光体となることを見出した。さらに、特定の組成領域範囲、特定の固溶状態および特定の結晶相を有する無機結晶は、410nm以上550nm以下の範囲の波長に発光ピークを持つ紫色、青色、あるいは、緑色蛍光体となり、照明用途あるいは電子線で励起される画像表示装置に適することを見いだした。
【0014】
非特許文献1によれば、SrSi
9Al
19ON
31結晶の電子顕微鏡観察による結晶構造および組成は明らかになっている。また、特許文献9によれば、この結晶にEuイオンを添加すると青色蛍光体となる記述はあるが、LaSi
9Al
19N
32結晶については本発明者が初めて見いだした結晶である。
【0015】
この知見を基礎にしてさらに鋭意研究を重ねた結果、特定波長領域で高い輝度の発光現象を示す蛍光体と優れた特性を有する照明器具、画像表示装置を提供することに成功した。以下に、それぞれより具体的に述べる。
【0016】
本発明による蛍光体は、少なくとも、Laと、Siと、Alと、N(窒素)と、M元素(ただし、Mは、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、TmおよびYbからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素)と、必要に応じてO(酸素)とを含む無機結晶からなり、前記無機結晶は、LaSi
9Al
19N
32結晶または前記LaSi
9Al
19N
32結晶の固溶体結晶を母体結晶とし、前記母体結晶を前記M元素で付活した結晶であり、これにより上記課題を達成する。
【0017】
前記母体結晶は、LaSi
9Al
19N
32結晶であってもよい。
前記無機結晶は、La
1−xM
xSi
9Al
19O
yN
32−y結晶(ただし、xは、0.001≦ x ≦0.99、yは、0.001≦ y ≦0.99)であり得る。
【0018】
前記無機結晶は、La
1−xEu
xSi
9Al
19O
yN
32−y結晶(ただし、xは、0.001≦ x ≦0.99、x=y)であり得る。
【0019】
前記無機結晶は、La
1−xCe
xSi
9Al
19N
32結晶(ただし、xは、0.001≦ x ≦0.99)であり得る。
【0020】
前記無機結晶(La
aM
fSi
bAl
cO
dN
e、a+b+c+d+e+f=1)における前記Laの原子分率aと、前記Siの原子分率bと、前記Alの原子分率cと、前記Oの原子分率dと、前記Nの原子分率eと、前記M元素の原子分率fとは、
0.0001≦ a ≦0.03 ・・・・・・・・・・・・・(i)
0.1≦ b ≦0.2 ・・・・・・・・・・・・・・・・(ii)
0.25≦ c ≦0.4 ・・・・・・・・・・・・・・(iii)
0≦ d ≦0.1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(iv)
0.4≦ e ≦0.55 ・・・・・・・・・・・・・・・・(v)
0.0001≦ f ≦0.02 ・・・・・・・・・・・・(vi)
を満たしてもよい。
【0021】
前記Laの原子分率aと、前記Siの原子分率bと、前記Alの原子分率cと、前記Oの原子分率dと、前記Nの原子分率eと、前記M元素の原子分率fとは、
0.015≦ a ≦0.018 ・・・・・・・・・・・(vii)
0.13≦ b ≦0.16 ・・・・・・・・・・・・(viii)
0.29≦ c ≦0.33 ・・・・・・・・・・・・・・(ix)
0≦ d ≦0.03 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(x)
0.48≦ e ≦0.52 ・・・・・・・・・・・・・・(xi)
0.0005≦ f ≦0.01 ・・・・・・・・・・・(xii)
を満たしてもよい。
【0022】
本発明による蛍光体は、紫外線、可視光線、電子線またはX線の何れかである励起源の照射により、410nmから550nmの間の波長に発光のピーク波長を持ち得る。
【0023】
本発明による、250〜440nmの波長の光を発する発光光源と、発光光源の光を異なる波長に変換する蛍光体とから構成される照明器具は、前記蛍光体が上述の蛍光体を含み、これにより上記課題を達成する。
【0024】
本発明による、励起源と蛍光体とを含む画像表示装置は、前記蛍光体が上述の蛍光体を含む。
【発明の効果】
【0025】
本発明による蛍光体は、少なくとも、Laと、Siと、Alと、N(窒素)と、M元素(ただし、Mは、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、TmおよびYbからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素)と、必要に応じてO(酸素)とを含む無機結晶からなり、この無機結晶は、LaSi
9Al
19N
32結晶またはこの固溶体結晶を母体結晶とし、母体結晶をM元素で付活した結晶である。本発明による蛍光体は、紫色、青色または緑色に発光し、M元素の付活量を調整することにより発光強度および発光波長を制御できる。また、濃度消光も起こらないので、材料設計に極めて有利な蛍光体である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施例について詳しく説明する。
【0028】
本発明の蛍光体は、少なくともLaと、Siと、Alと、N(窒素)と、M元素(ただし、Mは、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、TmおよびYbからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素)とを含む無機結晶である。なお、上記無機結晶は、必要に応じてO(酸素)を含んでもよい。さらに、本発明の蛍光体は、LaSi
9Al
19N
32結晶またはLaSi
9Al
19N
32結晶の固溶体結晶を母体結晶とし、この母体結晶を上記M元素で付活している(Mイオンが母体結晶に固溶されている)。本発明の蛍光体をLaサイアロンポリタイポイドと呼ぶ。この結晶構造の模型図を
図1に示す。
【0029】
LaSi
9Al
19N
31結晶は、SrSi
9Al
19ON
31結晶(非特許文献1を参照)と類似の構造を持つサイアロン結晶である。
【0030】
LaSi
9Al
19N
32結晶またはその固溶体結晶は、X線回折または中性子線回折により同定することができる。SrSi
9Al
19ON
31結晶の結晶構造の詳細は、非特許文献1に記載されており(非特許文献1の内容は参照されてここに組み込まれる)、非特許文献1に記載された空間群、および、原子位置のデータにおけるSrサイトをLaで置き換えたモデルを用いて、LaSi
9Al
19N
32結晶またはその固溶体結晶のX線回折パターンは一義的に決定される。この結晶の構造パラメータを
図2に示す。本発明の生成物のX線回折結果をこのモデルを用いた計算値と比較することにより、LaSi
9Al
19N
32結晶であることを確認できる。また、純粋なLaSi
9Al
19N
32結晶の他に、構成元素が他の元素と置き換わることにより格子定数が変化したものも本発明の一部として含まれ、LaSi
9Al
19N
32結晶の固溶体結晶またはLaSi
9Al
19N
32結晶と同一の結晶構造を有する結晶と呼ぶ。
【0031】
本発明の蛍光体を構成する無機結晶のひとつとして、La
1−xM
xSi
9Al
19O
yN
32−y結晶がある。ここで、xは、0.001≦ x ≦0.99、yは、0.001≦ y ≦0.99である。この組成を持つ蛍光体は、発光効率が高く高輝度の蛍光体である。MはEuまたはCeであれば、発光強度が高く好ましい。また、x=yであってもよい。
【0032】
中でも、本発明の蛍光体を構成する無機結晶として、M元素がEuである、La
1−xEu
xSi
9Al
19O
yN
32−y結晶(ただし、xは、0.001≦ x ≦0.99、yは、0.001≦ y ≦0.99)は、高い発光強度を有するので、好ましい。発光効率および発光強度の観点から、より好ましくは、La
1−xEu
xSi
9Al
19O
yN
32−y結晶(ただし、xは、0.001≦ x ≦0.99、x=y)である。
【0033】
本発明の蛍光体を構成する無機結晶のひとつとして、M元素がCeである、La
1−xCe
xSi
9Al
19N
32結晶(ただし、xは、0.001≦ x ≦0.99)は、高い発光強度を有するので、好ましい。
【0034】
本発明の蛍光体を構成する無機結晶において、Laの原子分率a、Siの原子分率b、Alの原子分率c、Oの原子分率d、Nの原子分率e、M元素の原子分率fが、
0.0001≦ a ≦0.03 ・・・・・・・・・・・・・(i)
0.1≦ b ≦0.2 ・・・・・・・・・・・・・・・・(ii)
0.25≦ c ≦0.4 ・・・・・・・・・・・・・・(iii)
0≦ d ≦0.1 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(iv)
0.4≦ e ≦0.55 ・・・・・・・・・・・・・・・・(v)
0.0001≦ f ≦0.02 ・・・・・・・・・・・・(vi)
を満たす蛍光体は、発光強度が高く、好ましい。
【0035】
さらに、Laの原子分率a、Siの原子分率b、Alの原子分率c、Oの原子分率d、Nの原子分率e、M元素の原子分率fが、
0.015≦ a ≦0.018 ・・・・・・・・・・・(vii)
0.13≦ b ≦0.16 ・・・・・・・・・・・・(viii)
0.29≦ c ≦0.33 ・・・・・・・・・・・・・・(ix)
0≦ d ≦0.03 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・(x)
0.48≦ e ≦0.52 ・・・・・・・・・・・・・・(xi)
0.0005≦ f ≦0.01 ・・・・・・・・・・・(xii)
を満たす蛍光体は、特に発光強度が高く、好ましい。
【0036】
本発明の蛍光体は、紫外線、可視光線、電子線またはX線の何れかである励起源の照射により、410nmから550nmの間の波長に発光のピーク波長を持つため、紫外線、可視光線、電子線、X線で励起される紫色、青色、緑色の蛍光体として利用できる。
【0037】
本発明の蛍光体は、250〜440nmの波長で励起できるため、250〜440nmの波長の光を発する発光光源と、上記発光光源の光を異なる波長に変換する蛍光体とから構成される照明器具に利用できる。
【0038】
本発明の蛍光体は、紫外線、可視光線、電子線またはX線の何れかである励起源の照射により、410nmから550nmの間の波長に発光のピーク波長を持つため、励起源と蛍光体とを含む画像表示装置に利用できる。
【0039】
本発明の蛍光体は、La、Si、Al、N、M元素、O以外の元素を含んでもよい。なかでも、ホウ素および炭素は高温での合成中に炉体やるつぼから取り込まれることがあるが、500ppm以下ならば発光性能への影響は少ない。
【0040】
本発明の蛍光体を粉体として用いる場合は、樹脂への分散性や粉体の流動性などの点から平均粒径は、0.1μm以上20μm以下の範囲が好ましい。また、粉体をこの範囲の単結晶粒子とすることにより、より発光輝度が向上する。
【0041】
本発明の蛍光体は、250nm以上440nm以下の波長を持つ紫外線または可視光で励起すると、波長410nmから550nmの範囲の波長にピークを持つ光を効率よく発光するので、白色LED用途に好ましい。その発光する色は、組成により異なる。本発明の蛍光体は、真空紫外線や水銀原子が発する253.7nmの波長で発光するため、プラズマディスプレイ、蛍光灯、水銀ランプの用途に適している。
【0042】
さらに、本発明の蛍光体は、電子線またはX線によっても励起することができる。特に、電子線励起では、他の窒化物蛍光体より効率よく発光するため、電子線励起の画像表示装置の用途に好ましい。
【0043】
本発明の蛍光体は、上述した無機結晶に加えて、無機結晶とは異なる他の結晶相またはアモルファス相との混合物から構成されてもよい。他の結晶相またはアモルファス相は、例えば、導電性を持つ無機物質であり得る。例えば、VFDやFEDなどにおいて、本発明の蛍光体を電子線で励起する場合には、蛍光体上に電子が溜まることなく外部に逃がすために、ある程度の導電性を持つことが好ましい。導電性を持つ無機物質は、Zn、Ga、InおよびSnから選ばれる少なくとも1種の元素を含む酸化物、酸窒化物、窒化物、あるいは、これらの混合物である。なかでも、酸化インジウムとインジウム−スズ酸化物(ITO)は、発光強度の低下が少なく、導電性が高いため好ましい。
【0044】
本発明の蛍光体は、紫色、青色、あるいは、緑色に発色するが、黄色、赤色などの他の色との混合が必要な場合は、必要に応じてこれらの色を発色する無機蛍光体と混合することができる。他の無機蛍光体としては、酸化物、硫化物、酸硫化物、酸窒化物、窒化物結晶を母体結晶とするものなどを使用することができる。混合した蛍光体の耐久性が要求される場合は、酸窒化物または窒化物結晶を母体結晶とするものがよい。酸窒化物または窒化物結晶を母体結晶とする蛍光体は、α−サイアロン:Euの黄色蛍光体、β−サイアロン:Euの緑色蛍光体、α−サイアロン:Ceの青色蛍光体、CaAlSiN
3:Euや(Ca、Sr)AlSiN
3:Euの赤色蛍光体(CaAlSiN
3結晶のCaの一部をSrで置換したもの)、JEM相をホストとした青色蛍光体(LaAl(Si
6−zAl
z)N
10−zO
z):Ce)、La
3Si
8N
11O
4:Ceの青色蛍光体、AlN:Euの青色蛍光体などである。
【0045】
本発明の蛍光体は、組成により励起スペクトルと蛍光スペクトルとが異なり、これを適宜選択組み合わせることによって、さまざまな発光スペクトルを有するように設定することができる。その態様は、用途に基づいて必要とされる発光スペクトルを有するように設定すればよい。
【0046】
本発明の蛍光体の製造方法は、特に限定されないが、一例として次の方法を挙げることができる。
【0047】
原料混合物は、Laを含む金属、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物、酸窒化物またはそれらの組合せと、ケイ素を含む原料と、アルミニウムを含む原料と、M元素等の上述の母体結晶に固溶する元素を含む金属、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物、酸窒化物またはそれらの組合せとを含む。この原料混合物を、相対嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で容器に充填する。そして、0.1MPa以上100MPa以下の窒素雰囲気中において、1500℃以上2200℃以下の温度範囲で焼成する。このようにすることにより、LaSi
9Al
19N
32結晶またはその固溶体結晶に、少なくとも、M元素が固溶してなる本発明の蛍光体を製造することができる。最適焼成温度は組成により異なる場合もあり、適宜最適化することができる。一般的には、1700℃以上2000℃以下の温度範囲で焼成することが好ましい。このようにして高輝度の蛍光体が得られる。焼成温度が1500℃より低いと、固溶体結晶の生成速度が低いことがある。また、焼成温度が2200℃を超えると特殊な装置が必要となり工業的に好ましくない。
【0048】
ケイ素を含む原料としては、金属ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ素を含む有機物前駆体、シリコンジイミド、シリコンジイミドを加熱処理して得られたアモルファス体などであるが、一般的には窒化ケイ素であり得る。窒化ケイ素は、反応性に富み、高純度な生成物を得ることができることに加えて、工業原料として生産されており入手しやすい利点がある。窒化ケイ素は、α型、β型、アモルファス体、および、これらの混合物である。
【0049】
アルミニウムを含む原料は、金属アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミニウムを含む有機物前駆体などであるが、一般的には窒化アルミニウムおよび酸化アルミニウムの混合物を用いるのがよい。これらは、反応性に富み、高純度な生成物を得ることができることに加えて、工業原料として生産されており入手しやすい利点がある。窒化アルミニウムと酸化アルミニウムとの量は、目標とする本発明の母体結晶における酸素と窒素との割合から設計するとよい。
【0050】
焼成時の反応性を向上させるために、必要に応じて原料混合物に、焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物を添加することができる。無機化合物としては、反応温度で安定な液相を生成するものが好ましく、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Alの元素のフッ化物、塩化物、ヨウ化物、臭化物、あるいはリン酸塩が適している。さらに、これらの無機化合物は、単体で添加するほか2種以上を混合してもよい。なかでも、フッ化カルシウムおよびフッ化アルミニウムは合成の反応性を向上させる能力が高いため好ましい。無機化合物の添加量は特に限定されないが、原料混合物である金属化合物の混合物100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下で、特に効果が大きい。0.1重量部より少ないと反応性の向上が少なく、10重量部を越えると蛍光体の輝度が低下するおそれがある。これらの無機化合物を添加して焼成すると、反応性が向上して、比較的短い時間で粒成長が促進されて粒径の大きな単結晶が成長し、蛍光体の輝度が向上する。
【0051】
窒素雰囲気は0.1MPa以上100MPa以下の圧力範囲のガス雰囲気がよい。より好ましくは、0.5MPa以上10MPa以下がよい。窒化ケイ素を原料として用いる場合、0.1MPaより低い窒素ガス雰囲気中で1820℃以上の温度に加熱すると、原料が熱分解し易くなるのであまり好ましくない。0.5MPa以上であれば原料の熱分解を抑制できる。10MPaあれば原料の熱分解を確実に抑制でき、100MPa以上となると特殊な装置が必要となり、工業生産に向かない。
【0052】
原料混合物が粒径数μmの微粉末である場合、混合工程を終えた原料混合物は、粒径数μmの微粉末が数百μmから数mmの大きさに凝集した形態をなす(以下「粉体凝集体」と呼ぶ)。本発明では、粉体凝集体を嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で焼成する。さらに好ましくは嵩密度20%以下がよい。ここで、相対嵩密度とは、容器に充填された粉体の質量を容器の容積で割った値(嵩密度)と粉体の物質の真密度との比である。通常のサイアロンの製造では、加圧しながら加熱するホットプレス法や金型成形(圧粉)後に焼成を行なう製造方法が用いられるが、このときの焼成は粉体の充填率が高い状態で行われる。しかし、本発明では、粉体に機械的な力を加えることなく、また予め金型などを用いて成形することなく、混合物の粉体凝集体の粒度をそろえたものを、そのままの状態で容器などに嵩密度40%以下の充填率で充填する。必要に応じて、該粉体凝集体を、ふるいや風力分級などを用いて、平均粒径500μm以下に造粒して粒度制御することができる。また、スプレードライヤなどを用いて直接的に500μm以下の形状に造粒してもよい。また、容器は窒化ホウ素製を用いると蛍光体との反応が少ない利点がある。
【0053】
嵩密度を40%以下の状態に保持したまま焼成するのは、原料粉末の周りに自由な空間がある状態で焼成するためである。最適な嵩密度は、顆粒粒子の形態や表面状態によって異なるが、好ましくは20%以下がよい。このようにすると、反応生成物が自由な空間に結晶成長するので結晶同士の接触が少なくなり、表面欠陥が少ない結晶を合成することが出来ると考えられる。これにより、輝度が高い蛍光体が得られる。嵩密度が40%を超えると焼成中に部分的に緻密化が起こって、緻密な焼結体となってしまい結晶成長の妨げとなり蛍光体の輝度が低下するおそれがある。また微細な粉体が得られ難い。また、粉体凝集体の大きさは500μm以下が、焼成後の粉砕性に優れるため特に好ましい。
【0054】
次に、充填率40%以下の粉体凝集体を前記条件で焼成する。焼成に用いる炉は、焼成温度が高温であり焼成雰囲気が窒素であることから、金属抵抗加熱方式または黒鉛抵抗加熱方式であってよい。炉の高温部の材料として炭素を用いた電気炉が好ましい。焼成は、常圧焼結法やガス圧焼結法などの外部から機械的な加圧を施さない焼成方法によるのが、所定の範囲の嵩密度を保ったまま焼成するために好ましい。
【0055】
焼成して得られた粉体凝集体が固く凝集している場合は、例えばボールミル、ジェットミル等の工業的に通常用いられる粉砕機により粉砕する。なかでも、ボールミル粉砕は粒径の制御が容易である。このとき使用するボールおよびポットは、窒化ケイ素焼結体またはサイアロン焼結体製等が好ましい。粉砕は平均粒径20μm以下となるまで施す。特に好ましくは平均粒径20nm以上10μm以下である。平均粒径が20μmを超えると粉体の流動性と樹脂への分散性が悪くなり、発光素子と組み合わせて発光装置を形成する際に部位により発光強度が不均一になる。20nm以下となると、粉体を取り扱う操作性が悪くなる。粉砕だけで目的の粒径が得られない場合は、分級を組み合わせることができる。分級の手法としては、篩い分け、風力分級、液体中での沈殿法などを用いることができる。
【0056】
さらに、焼成後に無機化合物を溶解する溶剤で洗浄することにより、焼成により得られた反応生成物に含まれるガラス相、第二相、または不純物相などの蛍光体以外の無機化合物の含有量を低減すると、蛍光体の輝度が向上する。このような溶剤としては、水および酸の水溶液を使用することができる。酸の水溶液としては、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸、有機酸とフッ化水素酸の混合物などを使用することができる。なかでも、硫酸とフッ化水素酸の混合物は効果が大きい。この処理は、焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物を添加して高温で焼成した反応生成物に対しては、特にその効果が大きい。
【0057】
以上の工程で微細な蛍光体粉末が得られるが、輝度をさらに向上させるには熱処理が効果的である。この場合は、焼成後の粉末、あるいは粉砕や分級により粒度調整された後の粉末を、1000℃以上で焼成温度以下の温度で熱処理することができる。1000℃より低い温度では、表面の欠陥除去の効果が少ない。焼成温度以上では粉砕した粉体どうしが再度固着するため好ましくない。熱処理に適した雰囲気は、蛍光体の組成により異なるが、窒素、空気、アンモニア、水素から選ばれる1種又は2種以上の混合雰囲気中を使用することができ、特に窒素雰囲気が欠陥除去効果に優れるため好ましい。
【0058】
以上のようにして得られる本発明の蛍光体は、高輝度の可視光発光を持つことが特徴である。なかでも特定の組成では、紫色、青色、あるいは、緑色の発光をすることが特徴であり、照明器具、画像表示装置に好適である。これに加えて、高温にさらしても劣化しないことから耐熱性に優れており、酸化雰囲気および水分環境下での長期間の安定性にも優れている。
【0059】
本発明の照明器具は、少なくとも発光光源と本発明の蛍光体とを用いて構成される。照明器具としては、LED照明器具、蛍光ランプなどがある。LED照明器具では、本発明の蛍光体を用いて、特開平5−152609号公報、特開平7−99345号公報、特許公報第2927279号などに記載されているような公知の方法により製造することができる。この場合、発光光源は330〜420nmの波長の光を発するものが望ましく、中でも330〜420nmの紫外(または紫)LED発光素子またはLD発光素子が好ましい。
【0060】
これらの発光素子としては、GaNやInGaNなどの窒化物半導体からなるものがあり、組成を調整することにより所定の波長の光を発する発光光源となり得る。
【0061】
照明器具において本発明の蛍光体を単独で使用する方法の他に、他の発光特性を持つ蛍光体と併用することによって、所望の色を発する照明器具を構成することができる。この一例として、330〜400nmの紫外LEDまたはLD発光素子と、この波長で励起されて550nm以上600nm以下の波長に発光ピークを持つ黄色蛍光体と、本発明の蛍光体(例えば、青色発光)との組み合わせがある。このような黄色蛍光体としては特開2002−363554号公報に記載のα−サイアロン:Eu
2+や特開平9−218149号公報に記載の(Y、Gd)
2(Al、Ga)
5O
12:Ceを挙げることができる。この構成では、LEDまたはLDが発する紫外線が蛍光体に照射されると、青、黄の2色の光が発せられ、これの混合により白色の照明器具となる。
【0062】
別の一例として、330〜400nmの紫外LEDまたはLD発光素子と、この波長で励起され520nm以上550nm以下の波長に発光ピークを持つ緑色蛍光体と、600nm以上700nm以下の波長に発光ピークを持つ赤色蛍光体と、本発明の蛍光体(例えば、青色発光)の組み合わせがある。このような緑色蛍光体としては特開2005−255895号公報に記載のβ−サイアロン:Eu
2+を、赤色蛍光体としては、国際公開第2005/052087号パンフレットに記載のCaSiAlN
3:Eu
2+を挙げることができる。この構成では、LEDまたはLDが発する紫外線が蛍光体に照射されると、赤、緑、青の3色の光が発せられ、これの混合により白色の照明器具となる。
【0063】
別の手法として、330〜400nmの紫外LEDまたはLD発光素子と、この波長で励起され520nm以上550nm以下の波長に発光ピークを持つ緑色蛍光体と、この波長で励起されて550nm以上600nm以下の波長に発光ピークを持つ黄色蛍光体と、この波長で励起されて600nm以上700nm以下の波長に発光ピークを持つ赤色蛍光体と、本発明の蛍光体(例えば、青色発光)との組み合わせがある。このような緑色蛍光体としては特開2005−255895号公報に記載のβ−サイアロン:Eu
2+を、このような黄色蛍光体としては特開2002−363554号公報に記載のα−サイアロン:Eu
2+や特開平9−218149号公報に記載の(Y、Gd)
2(Al、Ga)
5O
12:Ceを、このような赤色蛍光体としては、国際公開第2005/052087号パンフレットに記載のCaSiAlN
3:Euを挙げることができる。この構成では、LEDまたはLDが発する紫外光が蛍光体に照射されると、青、緑、黄、赤の4色の光が発せられ、光が混合されて白色または赤みがかった電球色の照明器具となる。
【0064】
本発明の画像表示装置は少なくも励起源と本発明の蛍光体で構成され、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FEDまたはSED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)などがある。本発明の蛍光体は、100〜190nmの真空紫外線、190〜380nmの紫外線、電子線などの励起で発光することが確認されており、これらの励起源と本発明の蛍光体との組み合わせで、上記のような画像表示装置を構成することができる。
【0065】
本発明の蛍光体は、電子線の励起効率が優れるため、加速電圧10V以上30kV以下で用いる、VFD、FED、SED、CRT用途に適している。
【0066】
FEDは、電界放射陰極から放出された電子を加速して陽極に塗布した蛍光体に衝突させて発光する画像表示装置であり、5kV以下の低い加速電圧で光ることが求められており、本発明の蛍光体を組み合わせることにより、表示装置の発光性能が向上する。
【0067】
次に本発明を以下に示す実施例によってさらに詳しく説明するが、これはあくまでも本発明を容易に理解するための一助として開示したものであって、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0068】
原料混合物として、Si
3N
4、AlN、Eu
2O
3およびLaNを用いた。原料混合物が、La
1−xEu
xSi
9Al
19O
yN
32−y(ここで、0≦x≦1、y=x)の組成になるように混合した。La置換の原料には電荷補償のために窒化物を用いた。原料混合物を、ガス圧炉にて2000℃、4時間、窒素雰囲気、10気圧下で焼成した。
【0069】
具体的には、混合に用いた原料粉末は、比表面積11.2m
2/gの粒度の、酸素含有量1.29重量%、α型含有量95%の窒化ケイ素粉末(宇部興産(株)製のSN−E10グレード)と、比表面積3.3m
2/gの粒度の、酸素含有量0.85重量%の窒化アルミニウム粉末((株)トクヤマ製のFグレード)と、純度99.9%の窒化ランタン粉末(和光純薬工業(株)製)と、純度99.9%の酸化ユーロピウム粉末(信越化学製)とを用いた。これらの原料を、それぞれの純度を考慮しつつ、上記式:La
1−xEu
xSi
9Al
19O
yN
32−yにおいて、x=0、0.01、0.1、0.3、0.5、0.7、及び0.9(順に、実施例1、2、3、4、5、6、及び7)となるように、それぞれ、秤量し混合した。より詳しくは、酸素および水分の含有量が1ppm以下の窒素ガス雰囲気に調整されたグローブボックス中にて、これらの粉末を所定の混合組成となるように秤量し、窒化ホウ素製の乳棒と乳鉢を用いて10分間混合を行なった後に、得られた混合物を、500μmのふるいを通して窒化ホウ素製のるつぼに自然落下させて、るつぼに粉末を充填した。粉体の嵩密度は約25%〜30%であった。
【0070】
各混合粉末が入った各るつぼをガス圧炉にセットした。焼成の操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を10
−3Paの真空とし、室温から800℃まで毎時500℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.999体積%の窒素を導入して圧力を10MPaとし、毎時500℃で2000℃まで昇温し、その温度で4時間保持した。
【0071】
焼成して得られた生成物について、窒化ホウ素製の乳鉢を用いて粉砕し、CuのK
α線によるX線粉末回折装置を用いてX線回折プロファイルを測定し、結晶構造を同定した。X線回折プロファイル(実施例1、2、及び7について、
図3〜5に示す)からLaサイアロンポリタイポイドの存在が確認された。
【0072】
次いで、得られた生成物について、蛍光分光光度計を用いて励起・発光スペクトルを測定した。結果を
図6に示す。
【0073】
図6は、実施例2〜7の蛍光測定による発光スペクトルを示す図である。
【0074】
実施例1〜7で得られた生成物は、La
1−xEu
xSi
9Al
19O
yN
32−yである無機結晶からなる蛍光体であり、Euで付活された実施例2〜7の生成物は、青緑色の発光をすることを確認した。さらに、
図6によれば、Euの付活量の増加に伴い発光強度が単調増加し、かつ、発光波長が長波長化することが分かった。また、濃度消光が起こらず、Srサイアロンポリタイポイド(特許文献9参照)と同様にストイキオメトリックな蛍光体であることが分かった。発光波長は、Srサイアロンポリタイポイドと比較して有意な差は見られなかった。サイアロンポリタイポイドの母体元素の置換が与える発光特性への影響は小さいことが示唆された。
【0075】
原料粉末として、Si
3N
4、AlN、Eu
2O
3およびCaCO
3を用いた。具体的には、上述と同じ窒化ケイ素粉末、窒化アルミニウム粉末、酸化ユーロピウム粉末、及び、純度99.99%の炭酸カルシウム粉末(高純度化学製試薬級)を用いた。原料混合物が、Ca
1−xEu
xSi
9Al
19O
yN
32−y(ここで、0≦x≦1、y=1)の組成になるように混合した。実施例1〜7と同様に、原料混合物を、ガス圧炉にて2000℃、4時間、窒素雰囲気、10気圧下で焼成した。
【0076】
焼成して得られた生成物について、X線粉末回折装置を用いてX線回折プロファイルを測定し、結晶構造を同定した。X線回折プロファイル(図示せず)からα−サイアロン相の存在が確認され、Caサイアロンポリタイポイドの存在は確認されなかった。