(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
自動車には多種多様な電子機器が搭載されている。これら多種多様な電子機器に電力供給及び信号伝達を行うために、前記自動車には、複数の電線が束ねられて構成されたワイヤハーネスが複数配索されている。また、前記自動車には、ワイヤハーネスの相互接続に用いられる電気接続箱が適宜箇所に配置されている(例えば特許文献1を参照。)。
【0003】
図11は、従来のワイヤハーネス配索構造の一例を示す説明図である。同図に示すように、ワイヤハーネス配索構造201は、ケース207を有する電気接続箱210と、ケース207内を通されたワイヤハーネス203とから成る。
【0004】
上記ケース207は、複数の電子部品が装着されたケース本体205と、ケース本体205の上面を覆ったアッパーカバー204と、ケース本体205の下面を覆ったロアカバー206と、で構成されている。また、前記電子部品及び該電子部品に接続されたワイヤハーネスは図示を省略している。
【0005】
つまり、
図11中に示されたワイヤハーネス203は、電気接続箱210のケース207内を通されて配索されるワイヤハーネスであり、ケース207内の電子部品とは電気的に接続されていない。また、このワイヤハーネス203は、複数の電線が一束に束ねられて構成されており、束の外周にビニルテープが巻き付けられている。
【0006】
このように、自動車にワイヤハーネス203を配索する際に配索スペースを確保できない場合は、ワイヤハーネス203を、該ワイヤハーネス203と別の電気回路を構成する電気接続箱210のケース207内を通して配索することがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したワイヤハーネス配索構造201においては、電気接続箱210のケース207内をワイヤハーネス203が通されることにより、ケース207の高さ寸法(矢印Y方向の寸法)が、ワイヤハーネス203の一束に束ねられた部分の直径分大きくなってしまい、ケース207が大型化してしまうという問題があった。そして、ケース207が大型化することにより、電気接続箱210を自動車に搭載することが困難になってしまうという問題があった。
【0009】
また、上述したワイヤハーネス配索構造201の他に、ワイヤハーネスをケースの外面に這わせるようにして配索することも従来から行われていたが、その場合、ワイヤハーネスをケース外面に固定するプロテクタ等を電気接続箱の構成に追加する必要があり、電気接続箱が大型化してしまうという問題があった。
【0010】
したがって、本発明は、ワイヤハーネスが電気接続箱のケース内を通されるかまたはケースの外面に這わされて配索されるワイヤハーネス配索構造において、電気接続箱の大型化を抑制できるワイヤハーネス配索構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明は、複数の電線が束ねられて構成されたワイヤハーネスと、ケースを有する電気接続箱と、から成るワイヤハーネス配索構造であって、前記ワイヤハーネスは、その一部が、一束に束ねられていない状態で、前記ケース内を通されるかまたは前記ケース外面に這わされており、前記電気接続箱が、前記ワイヤハーネスの前記ケース内を通される部分または前記ケース外面に這わされる部分を一束に束ねていない状態で、該部分の配索経路を規制する経路規制手段を有し
、前記ワイヤハーネスの前記ケース外面に這わされる部分に対する前記経路規制手段が、前記ワイヤハーネスの前記ケース外面に這わされる部分を前記ケース外面との間に挟むプロテクタで構成され、前記プロテクタの高さが、前記ワイヤハーネスの一束に束ねられた部分の直径よりも小さく形成されていることを特徴とするワイヤハーネス配索構造である。
【0012】
請求項2に記載された発明は、
複数の電線が束ねられて構成されたワイヤハーネスと、ケースを有する電気接続箱と、から成るワイヤハーネス配索構造であって、前記ワイヤハーネスは、その一部が、一束に束ねられていない状態で、前記ケース内を通されるかまたは前記ケース外面に這わされており、前記電気接続箱が、前記ワイヤハーネスの前記ケース内を通される部分または前記ケース外面に這わされる部分を一束に束ねていない状態で、該部分の配索経路を規制する経路規制手段を有し、前記ワイヤハーネスの前記ケース外面に這わされる部分に対する前記経路規制手段が、前記ワイヤハーネスの前記ケース外面に這わされる部分を収容する、前記ケース外面から凹の溝と、該溝から前記ワイヤハーネスが出ることを規制する規制手段と、で構成され、前記溝の深さが、前記ワイヤハーネスの一束に束ねられた部分の直径よりも小さく形成されていることを特徴とするワイヤハーネス配索構造である。
【0013】
請求項3に記載された発明は、請求項1または請求項2に記載された発明において、
前記ワイヤハーネスの前記ケース内を通される部分に対する前記経路規制手段が、前記ワイヤハーネスの前記ケース内を通される部分を複数に分けて固定する複数の固定バンドと、前記ケースに設けられ、前記各固定バンドを位置決めする複数の固定バンド位置決め部と、で構成されており、前記固定バンドが、一本の電線または電線の束を固定することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載された発明によれば、前記ワイヤハーネスは、その一部が、一束に束ねられていない状態で、前記ケース内を通されるかまたは前記ケース外面に這わされており、前記電気接続箱が、前記ワイヤハーネスの前記ケース内を通される部分または前記ケース外面に這わされる部分を一束に束ねていない状態で、該部分の配索経路を規制する経路規制手段を有し
、前記ワイヤハーネスの前記ケース外面に這わされる部分に対する前記経路規制手段が、前記ワイヤハーネスの前記ケース外面に這わされる部分を前記ケース外面との間に挟むプロテクタで構成され、前記プロテクタの高さが、前記ワイヤハーネスの一束に束ねられた部分の直径よりも小さく形成されているので、ワイヤハーネスを一束に束ねた状態でケース内を通すまたはケース外面に這わせる場合と比較してケースの大型化を抑制することができる。よって、電気接続箱の大型化を抑制できるワイヤハーネス配索構造を提供することができる。
また、請求項1に記載された発明によれば、前記ワイヤハーネスの前記ケース外面に這わされる部分に対する前記経路規制手段が、前記ワイヤハーネスの前記ケース外面に這わされる部分を前記ケース外面との間に挟むプロテクタで構成され、前記プロテクタの高さが、前記ワイヤハーネスの一束に束ねられた部分の直径よりも小さく形成されているので、ワイヤハーネスを一束に束ねた状態でケース外面に這わせる場合と比較してケースの大型化を抑制することができる。よって、電気接続箱の大型化を抑制できるワイヤハーネス配索構造を提供することができる。
【0016】
請求項2に記載された発明によれば、
前記ワイヤハーネスは、その一部が、一束に束ねられていない状態で、前記ケース内を通されるかまたは前記ケース外面に這わされており、前記電気接続箱が、前記ワイヤハーネスの前記ケース内を通される部分または前記ケース外面に這わされる部分を一束に束ねていない状態で、該部分の配索経路を規制する経路規制手段を有し、前記ワイヤハーネスの前記ケース外面に這わされる部分に対する前記経路規制手段が、前記ワイヤハーネスの前記ケース外面に這わされる部分を収容する、前記ケース外面から凹の溝と、該溝から前記ワイヤハーネスが出ることを規制する規制手段と、で構成され、前記溝の深さが、前記ワイヤハーネスの一束に束ねられた部分の直径よりも小さく形成されているので、ワイヤハーネスを一束に束ねた状態でケース内を通す場合と比較してケースの大型化を抑制することができる。よって、電気接続箱の大型化を抑制できるワイヤハーネス配索構造を提供することができる。
また、請求項2に記載された発明によれば、前記ワイヤハーネスの前記ケース外面に這わされる部分に対する前記経路規制手段が、前記ワイヤハーネスの前記ケース外面に這わされる部分を収容する、前記ケース外面から凹の溝と、該溝から前記ワイヤハーネスが出ることを規制する規制手段と、で構成され、前記溝の深さが、前記ワイヤハーネスの一束に束ねられた部分の直径よりも小さく形成されているので、ワイヤハーネスを一束に束ねた状態でケース外面に這わせる場合と比較してケースの大型化を抑制することができる。よって、電気接続箱の大型化を抑制できるワイヤハーネス配索構造を提供することができる。
【0017】
請求項3に記載された発明によれば、
前記ワイヤハーネスの前記ケース内を通される部分に対する前記経路規制手段が、前記ワイヤハーネスの前記ケース内を通される部分を複数に分けて固定する複数の固定バンドと、前記ケースに設けられ、前記各固定バンドを位置決めする複数の固定バンド位置決め部と、で構成されており、前記固定バンドが、一本の電線または電線の束を固定するので、ワイヤハーネスを一束に束ねた状態でケース内を通す場合と比較してケースの大型化を抑制することができる。よって、電気接続箱の大型化を抑制できるワイヤハーネス配索構造を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかる「ワイヤハーネス配索構造」を
図1〜4を参照して説明する。
【0021】
図1に示すように、本発明のワイヤハーネス配索構造1Aは、複数の電線2a,2bが束ねられて構成されたワイヤハーネス3Aと、ケース7Aを有する電気接続箱10Aから成る。本発明の電気接続箱10Aは、自動車に搭載されて、前記自動車に搭載された電子機器に対して電力供給及び信号伝達を行うものである。また、本発明では、ジャンクションブロック(ジャンクションボックスとも言う。)、ヒューズブロック(ヒューズボックスとも言う。)、リレーブロック(リレーボックスとも言う。)を、総称して以下電気接続箱と呼ぶ。
【0022】
上記ケース7Aは、
図1,2に示すように、ケース本体5と、ケース本体5の上面を覆ったアッパーカバー4と、ケース本体5の下面を覆ったロアカバー6Aと、で構成されている。これらケース本体5、アッパーカバー4、ロアカバー6Aは、合成樹脂で構成されている。ケース本体5は、枠状に形成されており、内側にカセットブロック8が取り付けられる。カセットブロック8には、リレーやヒューズ等の複数の電子部品が装着される。また、
図1,2において、前記電子部品及び該電子部品に接続されたワイヤハーネスは図示を省略している。
【0023】
上記ワイヤハーネス3Aは、
図3に示すように、その一部が一束に束ねられていない状態で、ケース7A内を通される。また、ワイヤハーネス3Aのケース7A外に位置付けられる部分は、複数の電線2a,2bが一束に束ねられ、束の外周にビニルテープが巻き付けられている。また、ワイヤハーネス3Aは、本実施形態においては、ケース本体5とロアカバー6Aとの間に通される。また、ケース本体5及びロアカバー6Aには、互いに組み付けられることによりワイヤハーネス3Aの出入口18を構成する切り欠き18a,18bが形成されている。
【0024】
また、上記ワイヤハーネス3Aは、車体に配索されるためだけに電気接続箱10Aのケース7A内を通されるワイヤハーネスであり、ケース7A内の電子部品とは電気的に接続されていない。
【0025】
さらに、上記電気接続箱10Aは、ワイヤハーネス3Aのケース7A内を通される部分を一束に束ねていない状態で、該部分の配索経路を規制する経路規制手段11Aを有している。この経路規制手段11Aは、
図3,4に示すように、ワイヤハーネス3Aのケース7A内を通される部分を複数(本実施形態では3つの束)に分けてロアカバー6Aに固定する複数の固定バンド12と、ロアカバー6Aに設けられ、各固定バンド12を位置決めする複数の穴13(請求項の「固定バンド位置決め部13」に相当する。)と、で構成されている。この穴13は、1つの固定バンド12に対して4つ設けられている。
【0026】
上記固定バンド12は、合成樹脂で構成されており、帯状に形成されたバンド部12bと、バンド部12bの一端に設けられたバンド係止部12aと、を有している。バンド係止部12aは、バンド部12bが挿通可能に形成されており、挿通されたバンド部12bの任意の位置に係止可能に形成されている。各固定バンド12は、上述した4つの穴13に通されることにより、ロアカバー6Aの所定の位置に位置決めされる。
【0027】
また、ワイヤハーネス3Aにおけるケース7A内で複数の束に分けられた各束は、外周にビニルテープが巻き付けられているが、本発明では、必ずしも各束にビニルテープが巻き付けられていなくても良い。また、ワイヤハーネス3Aのケース7A外に位置付けられる部分は、外周にビニルテープが巻き付けられているが、本発明では、必ずしも該部分にビニルテープが巻き付けられていなくても良く、例えば、結束バンドで一束に束ねられていても良いし、コルゲートチューブが外装されていても良い。
【0028】
上記構成のワイヤハーネス配索構造1Aは、ワイヤハーネス3Aのケース7A内を通される部分が、経路規制手段11Aによって複数に分けられてロアカバー6Aに固定されるので、
図3に示すように、ワイヤハーネス3Aのケース7A内を通される部分の高さ、すなわち各束の直径D2、が、ワイヤハーネス3Aの一束に束ねられた部分の直径D1よりも小さくなる。したがって、ワイヤハーネス3Aを一束に束ねた状態でケース7A内を通す場合と比較して、ケース7Aが高さ方向(
図1に示す矢印Y方向)に大型化することを抑制できる。
【0029】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態にかかる「ワイヤハーネス配索構造」を
図5〜7を参照して説明する。また、
図5〜7において、前述した第1の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0030】
図5に示すように、本発明のワイヤハーネス配索構造1Bは、複数の電線2a,2bが束ねられて構成されたワイヤハーネス3Bと、ケース7Bを有する電気接続箱10Bから成る。
【0031】
上記ケース7Bは、
図5,6に示すように、ケース本体5と、ケース本体5の上面を覆ったアッパーカバー4と、ケース本体5の下面を覆った合成樹脂製のロアカバー6Bと、で構成されている。
【0032】
上記ワイヤハーネス3Bは、
図6に示すように、その一部が一束に束ねられていない状態で、ケース7Bの外面に這わされる。また、ワイヤハーネス3Bは、本実施形態においては、ロアカバー6Bの外面、すなわちケース7Bの下面、に這わされる。また、ワイヤハーネス3Bは、車体に配索されるためだけにロアカバー6Bの外面に這わされるワイヤハーネスであり、ケース7B内の電子部品とは電気的に接続されていない。
【0033】
さらに、上記電気接続箱10Bは、ワイヤハーネス3Bのロアカバー6B外面に這わされる部分を一束に束ねていない状態で、該部分の配索経路を規制するプロテクタ9(請求項の「経路規制手段」に相当する。)を有している。プロテクタ9は、合成樹脂により、断面形状がコ字状の樋状に形成されており、ロアカバー6Bに係止する係止爪9aを複数有している。このプロテクタ9は、
図5に示すようにロアカバー6Bに組み付けられて、ワイヤハーネス3Bのロアカバー6B外面に這わされる部分をロアカバー6B外面との間に挟むことにより、該部分の配索経路を規制する。
【0034】
また、ワイヤハーネス3Bのプロテクタ9外に位置付けられる部分は、複数の電線2a,2bが一束に束ねられ、束の外周にビニルテープが巻き付けられている。ワイヤハーネス3Bのプロテクタ9内に位置付けられる部分は、ビニルテープやバンド等で結束されておらず、複数の電線2a,2bがバラされている。
【0035】
また、
図7に示すように、ロアカバー6Bには、その外面から凹に形成され、内側にプロテクタ9を位置付ける凹部20と、プロテクタ9の各係止爪9aが係止する係止部21が複数設けられている。そして、この凹部20の深さ及びプロテクタ9の高さH1が、ワイヤハーネス3Bの一束に束ねられた部分の直径D1よりも小さく形成されている。
【0036】
上記構成のワイヤハーネス配索構造1Bは、ワイヤハーネス3Bのロアカバー6B外面に這わされる部分が、ケース7Bの高さ方向(
図5に示す矢印Y方向)と直交する方向にバラされた状態でロアカバー6Bとプロテクタ9との間に挟まれるので、ワイヤハーネス3Bを一束に束ねた状態でロアカバー6B外面に這わせる場合と比較して、ケース7Bが高さ方向に大型化することを抑制できる。
【0037】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態にかかる「ワイヤハーネス配索構造」を
図8〜10を参照して説明する。また、
図8〜10において、前述した第1,2の実施形態と同一構成部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0038】
図8に示すように、本発明のワイヤハーネス配索構造1Cは、複数の電線2a,2bが束ねられて構成されたワイヤハーネス3Cと、ケース7Cを有する電気接続箱10Cから成る。
【0039】
上記ケース7Cは、
図8に示すように、ケース本体5と、ケース本体5の上面を覆ったアッパーカバー4と、ケース本体5の下面を覆った合成樹脂製のロアカバー6Cと、で構成されている。
【0040】
上記ワイヤハーネス3Cは、
図8,9に示すように、その一部が一束に束ねられていない状態で、ケース7C内を通されるとともにケース7Cの外面に這わされる。すなわち、複数の電線2aがケース7C内を通され、2本の電線2bがケース7Cの外面に這わされる。また、電線2bは、電線2aよりも径が大きい電源線である。また、ワイヤハーネス3Cのケース7C外に位置付けられる部分は、複数の電線2a,2bが一束に束ねられ、束の外周にビニルテープが巻き付けられている。また、複数の電線2aは、本実施形態においては、ケース本体5とロアカバー6Cとの間に通され、2本の電線2bは、ロアカバー6Cの外面、すなわちケース7Cの下面、に這わされる。また、ワイヤハーネス3Cは、車体に配索されるためだけにケース7C内を通されるとともにケース7Cの下面に這わされるワイヤハーネスであり、ケース7C内の電子部品とは電気的に接続されていない。
【0041】
さらに、上記電気接続箱10Cは、ロアカバー6C外面に這わされる2本の電線2bの配索経路を規制する経路規制手段11Cを有している。この経路規制手段11Cは、
図9,10に示すように、2本の電線2bのロアカバー6C外面に這わされる部分を収容する、ロアカバー6C外面から凹の溝14と、該溝14から2本の電線2bがはみ出ることを規制する規制手段15と、で構成されている。
【0042】
上記溝14は、その深さH2が、電線2bの直径D3の2倍よりも小さく形成されている。この溝14は、2本の電線2bを、ケース7Cの高さ方向(
図8に示す矢印Y方向)と直交する方向に並べた状態で収容する。
【0043】
上記規制手段15は、複数のバンド17と、該バンド17が通される複数の穴16と、で構成されている。この穴16は、1つのバンド17に対して2つ設けられている。これら2つの穴16は、
図10に示すように、溝14の両側面の対向する位置に貫通形成されている。また、バンド17は、上述した固定バンド12と同様の構成であり、帯状に形成されたバンド部と、バンド部の一端に設けられ、バンド部が挿通可能なバンド係止部と、を有している。各バンド17は、ロアカバー6Cの外側から内側に向かって一方の穴16を通され、ロアカバー6Cの内側から外側に向かって他方の穴16を通され、そして、溝14内に収容された2本の電線2bよりも溝14の開口部側の位置で、前記バンド部が前記バンド係止部に係止されることにより、溝14から2本の電線2bがはみ出ることを規制する。
【0044】
上記バンド17は、2本の電線2bを束ねるものではなく、上述したようにその一部が2本の電線2bよりも溝14の開口部側に位置することにより、溝14から2本の電線2bがはみ出ることを規制するものである。すなわち、本発明の「規制手段」は、溝14の開口部の少なくとも一部を塞ぐ構成のものであれば、バンド17以外のものであっても良い。例えば、溝14の開口部を覆う板状のカバーであっても良い。
【0045】
また、複数の電線2aのケース本体5とロアカバー6Cとの間に通される部分は、ビニルテープやバンド等で結束されておらず、バラされた状態でケース本体5とロアカバー6Cとの間に通されている。
【0046】
上記構成のワイヤハーネス配索構造1Cは、ワイヤハーネス3Cの複数の電線2a,2bが、ケース7C内とケース7C外とに分けて配索され、かつ、ロアカバー6C外面に這わされる2本の電線2bが、ケース7Cの高さ方向と直交する方向に並べられた状態で溝14の底面に固定されるので、ワイヤハーネス3Cを一束に束ねた状態でケース7C内を通す場合及びロアカバー6C外面に這わせる場合と比較して、ケース7Cが高さ方向に大型化することを抑制できる。
【0047】
本発明では、上記第3の実施形態で説明したように、ワイヤハーネス3Cの複数の電線2a,2bを、ケース7C内とケース7C外とに分けて配索しても良く、上記第1の実施形態で説明したように、ワイヤハーネス3Aの全ての電線2a,2bをケース7A内を通しても良く、上記第2の実施形態で説明したように、ワイヤハーネス3Bの全ての電線2a,2bをケース7B外面に這わせても良い。
【0048】
また、上記第1の実施形態の変形例として、ワイヤハーネス3Aの一部を、ケース本体5とアッパーカバー4との間に通し、該部分を複数の束に分けてアッパーカバー4に固定するようにしても良い。
【0049】
また、上記第1の実施形態の他の変形例として、ワイヤハーネス3Aの一部をケース本体5とロアカバー6Aとの間に通し、該部分を細い電線2aと太い電線(電源線)2bとに分けて、細い電線2aを束ねて固定バンド12でロアカバー6Aに固定し、太い電線2bを一本ずつ固定バンド12でロアカバー6Aに固定するようにしても良い。
【0050】
また、上記第2の実施形態の変形例として、ワイヤハーネス3Bの複数の電線2a,2bのうち数本をロアカバー6B外面とプロテクタ9との間に挟み、残りの数本をケース本体5とロアカバー6Bとの間に通す場合は、ケース本体5とロアカバー6Bとの間に通す部分を、第1の実施形態のように、複数の束に分けてロアカバー6Bに固定しても良い。
【0051】
また、上記第2の実施形態の他の変形例として、ワイヤハーネス3Bの一部を、一束に束ねられていない状態で、アッパーカバー4の外面またはケース本体5の外面に這わせ、該部分をアッパーカバー4の外面またはケース本体5の外面とプロテクタ9との間に挟むようにしても良い。
【0052】
また、上記第3の実施形態の変形例として、複数の電線2aのケース本体5とロアカバー6Cとの間に通される部分を、第1の実施形態のように、複数の束に分けてロアカバー6Cに固定しても良い。
【0053】
また、上記第3の実施形態の他の変形例として、ワイヤハーネス3Cの全ての電線2a,2bをロアカバー6C外面に這わせるとともに、これら電線2a,2bを溝14内に収容する場合は、該溝14の深さを、ワイヤハーネス3Cの一束に束ねられた部分の直径D1よりも小さく形成し、ワイヤハーネス3Cの溝14内に収容される部分を一束に束ねていない状態で収容すれば良い。
【0054】
また、上記第3の実施形態のさらに他の変形例として、溝14をアッパーカバー4の外面またはケース本体5の外面に形成し、この溝14内にワイヤハーネス3Cの一部を、一束に束ねられていない状態で収容するようにしても良い。
【0055】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。