(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、特許文献1では、ガスシリンダの取り付けは、ガスシリンダとカムとを所定の位置に手で持って保持しつつこれらとブラケットとに支軸を挿通し、次いで、操作レバーのクランク部をカムに嵌め込み、それから操作レバーの軸受けとなる押さえ部材を背フレームにビスで固定する、という手順を採ることになるため、ガスシリンダの組み付け作業が面倒であるという問題があった。
【0006】
また、ガスシリンダのロッドにはコ字形の金具がナットで固定されており、この金具の前後位置を変えることで、カムによるプッシュバルブの押し具合が適切になるように調節しているが、特許文献1では、カムは背フレームに設けたブラケットに連結されているため、ガスシリンダやカム等の各部材を組み付けてから金具の位置の調節をせねばならず、この調節作業も厄介であった。
【0007】
本願発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、組み付け及び調整が容易なガスシリンダ装置を提供すること等を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は椅子のガスシリンダとこれを備えた椅子とを含んでおり、ガスシリンダは請求項1,2で特定している。このうち請求項1の発明は、
まず、
「前記ガスシリンダは、シンリダ本体とこれに摺動自在に嵌め込まれたピストンロッドとを有しており、前記
ピストンロッドの先端からロック解除用のプッシュバルブが突出している一方、
前記操作部は、前記ピストンロッドに固定された支持ブラケットと、人が回転操作する操作レバーと、前記操作レバーの動きに連動して前記プッシュバルブを直接又は間接的に押動・後退動させる作動部材と、前記支持ブラケットに装着されたケースとを有している。
」
という構成になっている。
【0009】
更に、請求項1の発明では、前記支持ブラケットは背板と左右の側板とを有するコ字形であって、前記背板が前記ピストンロッドに固定されている一方、
前記作動部材は、前記支持ブラケットの左右側板に支軸で回動可能に連結されており、前記支軸の軸心回りに回動すること
により、前記ピストンロッドのプッシュバルブを押すフリー姿勢と
、プッシュバルブを戻し状態に保持するロック姿勢とに姿勢変更自在である。
【0010】
更に、請求項1の発明では、前記ケースは
複数の部材を重ねて構成されていて、このケースを、前記作動部材を覆った状態で前記支持ブラケットの左右側板に離脱しないように保持
させると共に、前記ケースに
、前記操作レバーを回転可能に保持
することにより、前記ガスシリンダと前記ケースと作動部材と操作レバーとが一体にユニット化されており、
前記操作レバーに、その回転によって前記作動部材をフリー姿勢とロック姿勢とに切り替える駆動部を設けている。
【0011】
請求項2の発明は請求項1の発明を具体化したもので、この発明は、 前記ケースの内部に、前記作動部材とプッシュバルブとの間に介在した中継片を、前記作動部材の回動によって撓み変形するように設けている。
【0012】
請求項3の発明は椅子に関し、この椅子は、
「脚支柱の上端に設けたベースと、前記ベースに後傾動自在に連結された背フレームと、前記背フレームで支持された背もたれと
、前記ベースと背フレームの間に配置したガスシリンダ装置とを備えており、
前記ガスシリンダ装置は、シンリダ本体に摺動自在に嵌め込まれたピストンロッの先端からロック解除用のプッシュバルブが突出している構成のガスシリンダに、前記プッシュバルブを操作する操作部が組み込まれた構成であって、
前記操作部は、前記ピストンロッドに固定された支持ブラケットと、人が回転操作する操作レバーと、前記操作レバーの動きに連動して前記プッシュバルブを直接又は間接的に押動・後退動させる作動部材と、前記支持ブラケットに装着されたケースとを有しており、
前記作動部材は、前記支持ブラケットの左右側板に支軸で回動可能に連結されていて、前記支軸の両端部は前記ケースの外側に露出しており、
更に、前記ガスシリンダのケース
と支軸の外向き露出部とが前記背フレームの凹所に嵌まり込んで
いて、前記支軸の露出部が前記背フレームの凹所で支持されている、」
という構成になっている。
また、請求項4の発明は、
「
ガスシリンダに操作部が組み込まれた構成であって、
前記ガスシリンダは、シンリダ本体とこれに摺動自在に嵌め込まれたピストンロッドとを有しており、前記ピストンロッドの先端からロック解除用のプッシュバルブが突出している一方、
前記操作部は、前記ピストンロッドに固定された支持ブラケットと、人が回転操作する操作レバーと、前記操作レバーの動きに連動して前記プッシュバルブを直接又は間接的に押動・後退動させる作動部材と、前記支持ブラケットに装着されたケースとを有しており、
前記支持ブラケットは背板と左右の側板とを有するコ字形であって、前記背板が前記ピストンロッドに固定されている一方、
前記作動部材は、前記支持ブラケットの左右側板に支軸で回動可能に連結されており、前記支軸の軸心回りに回動することにより、前記ピストンロッドのプッシュバルブを押すフリー姿勢と、プッシュバルブを戻し状態に保持するロック姿勢とに姿勢変更自在であり、
更に、前記ケースは、椅子のうち前記ピストンロッドの前方の部分に形成された凹所に入り込むものであって、前記ケースを、前記作動部材を覆った状態で前記支持ブラケットの左右側板に離脱しないように保持させると共に、前記ケースに、前記操作レバーを回転可能に保持することにより、前記ガスシリンダと前記ケースと作動部材と操作レバーとを一体にユニット化した状態で前記ケースを前記凹所に嵌め込むことが許容されており、
前記操作レバーに、その回転によって前記作動部材をフリー姿勢とロック姿勢とに切り替える駆動部を設けている」
というガスシリンダ装置である。
【発明の効果】
【0013】
本願発明では、ガスシリンダと操作レバーと作動部材とがケースを介して一体にユニット化されているため、椅子等への組み付けに際して
は、一々部材を手で保持しながら支軸を挿通するようなことは不要であり、このため組み付けをごく簡単に行える。また、ロッドと作動部材との関係も
、例えば
、テーブル上等の作業を行いやすいところで予め設定しておけるため、特許文献1のように椅子に組み付けてから調節するのに比べて、作業性を格段に向上できると共に、作業者の負担も軽減できる。この請求項2の場合、実施形態のように中継片に作動部材の姿勢保持機能を持たせるとより好適である。
【0014】
特許文献1の場合、カムでプッシュバルブを直接に押す構成であるため、カムのカム面に移行するにおいてプッシュバルブに曲げ力が強く作用して、操作のスムース性に欠けたりガスシリンダが故障しやすくなったりするおそれがある。これに対して本願請求項2の構成を採用すると、中継片の撓み回動を利用して作動部材の回動による力をプッシュバルブの軸方向に作用させることができるため、操作をスムースに行えると共に、ガスシリンダの耐久性も向上できる。
【0015】
請求項3の構成を採用すると、ケースと支軸とは背フレーム
の凹所に嵌め込むだけでセットされるため、ガスシリンダの組み付け
(背フレームへの取り付け)をごく簡単に行える。また、支軸は強度の点からスチール等の金属製にするのが好ましいが、支軸を金属製にて背フレームをアルミダイキャストのような金属製にした場合でも、支軸は樹脂製の受け部材で支持されているため、金属同士の擦れ音や衝突音を防止又は著しく抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では方向を特定するため「前後」「左右」の文言を使用するが、この前後左右の文言は着座した人を基準にしている。正面視方向は着座した人と対峙した方向であり、従って、正面視での左右と着座した人から見た左右とは逆になる。
【0018】
(1).椅子の概略
まず、椅子の概要を主として
図1〜4に基づいて説明する。本実施形態は
、事務用等に多用されている回転椅子に適用しており、
図1に示すように、椅子は、脚支柱1及びキャスタを有する脚装置2と、脚支柱2の上端に固定したベース3と、ベース3の上に配置した座4と、着座した人がもたれ掛かり得る背もたれ5とを有している。
【0019】
ベース3の上には、座4を支持する樹脂製の座アウターシェル(座受け部材)6が配置されており、座アウターシェル6が取り付けられている。座4は、樹脂製の座インナーシェル(座板)とその上面に重ね配置した座クッション材とを有している。
【0020】
図2に示すように、ベース3には
、背フレーム7が左右横長のパイプ製第1軸8によって後傾動自在に連結されており、この背フレーム7に背アウターシェル9が取り付けられている。
図2から把握できるように、背フレーム7は、略前後方向に延びる左右のサイドアーム10と
、その後端に一体に繋がった左右横長のリア部11と、リア部11の後端から立ち上がった背支持部12とを有しており、この背支柱部12に背アウターシェル9が取り付けられている。背アウターシェル9及び背支柱部12に、背もたれ5が取り付けられている。
図2(A)では、背もたれ5の主要要素である背インナーシェル13を表示している。
【0021】
図2,3から理解できるように、座アウターシェル6の前部は
、パイプ製第2軸14によってベース3に連結されており、座アウターシェル6の後部は、背フレーム7に設けた第3軸15に連結されている。
図2(B)に示すように、ベース3は、上カバー16と下カバー17とで上下から覆われている。
図3(B)に示すように、ベース3の後部には、支柱受け筒18が溶接されており、この支柱受け筒18に脚支柱1が下方から嵌着している。
【0022】
なお、
図3(B)に示すように、第1軸8は
、ベース3の後部下面で支柱受け筒19よりも手前の部位に溶接で固着されている。他方、背フレーム7を構成する左右サイドアーム10の前端部10aは
、第1軸8に連結される軸受け部になっている。
図3に示すように、第2軸14は
、ベース3の前部に装着したブッシュ20に前後スライド自在に嵌まっている。第2軸14の後退動は、コイル式のロッキングばね21に弾性的に支持されている。
【0023】
図4(B)に明示するように、ベース3の内部には、前部を下向きに折り曲げて前板と成したベースブラケット21が配置されており、このベースブラケット21には支柱受け筒18が溶接されていると共に、ベースブラケット21の前端で後部ばね受け22と弾力強弱調節用クサビ部材23とが支持されている。
【0024】
本実施形態の椅子は、人が背もたれ5にもたれ掛かると、第3軸15の引っ張りによって
、座アウターシェル6
が(従って座4
が)後退しつつ後傾する。そして、背もたれ5のロッキングは、ベース3と背フレーム7との間に配置したガスシリンダ装置23で制御される。すなわち、このガスシリンダ装置23により、背もたれ5は自在に後傾するフリー状態と、任意の後傾角度に保持されたロック状態とに切り替えられる。以下、ガスシリンダ装置23を説明する。
【0025】
(2).ガスシリンダ装置の全体構成
次に、
図5以降の図面も参照してガスシリンダ装置23を説明する。例えば
図4に示すように、ガスシリンダ装置23は、ガスシリンダ25と操作部26とを有する。ガスシリンダ25は従来から知られたものであり、シリンダ本体25aとこれに摺動自在に嵌まったストンロッド25bとを有しており、シリンダ本体25aの後端部(基端部)が
、左右横長の枢支ピン27でベースブラケット21に連結されている。従って、ガスシリンダ25は、枢支ピン27を中心にして上下回動する。ベースブラケット21の後端には下向き片21aを設け、これに平面視コ字形の軸受け板28が溶接されている。
【0026】
なお、ベースブラケット21の後端には、座アウターシェル6が上から当たる樹脂製のストッパー29を設けており、このストッパー29により、座アウターシェル6がストッパー29に当たることにより、背もたれ5の最大後傾角度が規定されている。
【0027】
図3に示すように、背フレーム7を構成する左右のサイドフレーム10は、その前後中途部において左右横長のジョイント部7aで繋がっており、このジョイント部7aに第3軸15を一体に設けているが、
図3(B)に示すように、ジョイント部7aの下面部は
、下向きに突出した左右横長のリブ7bで構成されており、このリブ7bの群に、ガスシリンダ25は当たらないように下向きに開口した逃がし溝7cを形成している。
【0028】
図4に示すように、操作部26は、ガスシリンダ25のピストンロッド25bの先端部に前後のナット30で固定されたコ字形の支持ブラケット31と、この支持ブラケット31の左右側板31aに挿通された支軸32と、ピストンロッド25bの先端から突出したプッシュバルブ33を押し操作するための作動部材34と、支持ブラケット31を後ろから覆うケース35と、人が手で回転操作する操作レバー36とを備えている。ケース35は、後ろに行くに従って上下幅がやや小さくなるような
、概ね側面台形状の形態を成している(従って、背フレーム7に嵌め込みやすい。)。また、操作レバー36には、人が手を当てるハンドル部36aを設けている。
【0029】
支軸32は支持ブラケット31の左右外側に露出しており、支持ブラケット31の左右両側には、支軸32の露出部を略下方から支持すると共に抜け止め機能を有する樹脂製の受けストッパー37を配置している。受けストッパー37は、ケース35に一体に装着することでガスシリンダ装置23の一部を構成することも可能であるし、ガスシリンダ装置23とは別部材として構成してもよい。本実施形態では、受けストッパー37はガスシリンダ装置23とは別部材になっており、ユニットの一部にはなっていない。
【0030】
図5,6に示すように、背フレーム7のリア部11には、ケース35が手前から嵌まるセンター凹所39と、支軸32及び受けストッパー37が嵌まるサイド凹所40とが形成されている。両凹所49,40は互いに連通している。ケース35はセンター凹所39の内面に当接していないが、
図7(B)に示すように、支軸32はサイド凹所40の奥面に当接しており、かつ、下方から受けストッパー37で支持されている。従って、ロッキングによる背もたれ荷重は支軸32に作用する。
【0031】
図6(A)に明示するように、受けストッパーは側面視でくの字状の形態を成しており、このためサイド凹所40の下面もくの字形になっている。また、受けストッパー37の下面には突起37aを設けている一方、サイド凹所40には突起37aが嵌まる溝40aを形成している。これら突起37aと溝40aとの嵌まり合いにより、受けストッパー37はサイド凹所40に左右ずれ不能に保持されている。
【0032】
また、受けストッパー37の後端から下向き鉤状の係合爪41を後ろ向きに突設している一方、サイド凹所40の奥に、係合爪41が嵌まり込む係合穴42を設け、係合穴42に、係合爪41が引っ掛かり係合して受けストッパー37を前向き抜け不能に保持する係合段部42aを形成している。係合爪41は背フレーム7の後面に開口している。
【0033】
図9に示すように、作動部材34は、支軸32に嵌まった状態で支持ブラケット31の内部に配置されている。他方、操作レバー36は作動部材34の斜め上手前に位置しており、操作レバー36に、請求項に記載した駆動部として、斜め後ろ向き下方に延びる枝部(後ろ向き突出部)36bを形成し、枝部
36bを
、作動部材34に形成した筒部34cに嵌め込んでいる。従って、操作レバー36を回転操作することにより、作動部材34はフリー姿勢とロック姿勢とに変更自在となる。
【0034】
(3).ケース及び作動部材
ケース35は、支持ブラケット31の大部分に後ろから被さる第1部分35aと、椅子の正面視で第1部分35aの左側に位置した第2部分35bとから成っており、
図8に示すように、両者はその後端に繋がったヒンジ部35cで一体に繋がっている。ケース35の成形は
図8(A)のように展開した状態で行われる、使用に際しては、
図8(B)に示すように、ヒンジ部35cを折目として折り重ねることで、両部分354a,35bを重ね合わせる。
図9では、両部分35a,35bは分離した状態に表示している。
【0035】
図9(A)から理解できるように、ケース35を構成する第1部分35aのうち第2部分35bと反対側の部位には、支持ブラケット31の一方の側板31aが嵌合する第1凹所43を形成しており、また、第1部分35aの内部には、支軸32が嵌まる筒部44を形成している。また、第1部分35aの上部には、正面視で右側に突出した第1張り出し部45を形成しており、一方の受けストッパー37がこの第1張り出し部45の下方に位置するように設定していると共に、第1張り出し部45に、操作レバー36の先端部を支持する軸受け凹部46が形成されている(
図8(A)も参照)。第2部分35bには、支軸32が貫通する穴35′を設けている。
【0036】
他方、
図9(B)に示すように、第2部分35bのうち第1部分35aと反対側に、支持ブラケット31の他方の側板31aに嵌合する第2凹所47を形成している。また、第2部分35bには、第1部分35aの第1張り出し部45と連続するように延びる第2張り出し部48を形成しており、この第2張り出し部48を含む部分に、操作レバー36が弾性に抗して嵌まり込むレバー支持溝49を形成している。
【0037】
図8に示すように、第1部分35aと第2部分35bとの前側の下端部に、位置決め手段として
、突起50とこれが嵌まる嵌合穴51
とを形成している。突起50を第1部分35aに形成して
、嵌合穴51を第2部分35bに形成しているが、配置は逆にすることも可能である。また、他の位置決め手段を採用することも可能である。
【0038】
図8(A)から理解できるように、第1部分35aの前部かつ上部には、第2部分35bの上部の前コーナー部を手前から覆う重合部52を形成しており、この重合部52の内側面に内向きの爪53を形成し、第2部分35bには、爪53が嵌合する段部543を形成している。第1部分35aのうち重合部52の付け根箇所に凹陥部55を形成して、第2部分35bには、凹陥部55に嵌まる突起56を形成している。これら、爪53と段部、凹陥部55と突起56を位置決め手段(連結手段)である。
【0039】
図11に示すように、第1部分35aの内部には、プッシュバルブ33と作動部材34との間に介在する中継片57が、第1部分35aの底面から上向きに延びる状態で一体に形成されている。例えば
図10(A)に示すように、中継片57の型抜きを容易化するため、第1部分35aの側板には型抜き穴57′が空いている。
【0040】
中継片57は
、ガスシリンダ25の軸線Oと直交した方向に立ち上がっているが、途中から上は後ろ向きに傾斜した傾斜部57aになっており、傾斜部57の先端部が
、プッシュバルブ33と作動部材34とに挟まれた中継部57bになっている。中継部57bの前面は、プッシュバルブ33の先端面と面接触し得るようにフラットになっており、中継部57bの後面は後ろ向き凹状に凹んでいる。プッシュバルブ33が前後動しても、中継片57の中継部57bは常にプッシュバルブ33の先端面に当接している。
【0041】
他方、作動部材34には、
図11(A)のように
、プッシュバルブ33が自由伸長している状態で中継片57の中継部57が嵌合する第1突部34aと、プッシュバルブ33が後退している状態で中継片57の中継部57が嵌合する第2突部34cと、両突部34a,34cに連続した中間面34bと、第2突部34bの下側に連続した逃がし面34dとを
設けている。また、作動部材34には、操作レバー36の枝部36bが嵌まる受け筒部34eと、中継片57が手前に倒れ変形したときにこれが当たるストッパー壁34fとを形成している。
【0042】
(4).動作
図11(A)に示すように、ガスシリンダ25がプッシュバルブ33を自由伸長させたロック状態では、中継片57は撓み変性せずに、中継部57bが第1突部34aに重なっていると共に傾斜部57aが中間面34bに重なっており、このため作動部材34は安定した状態でロック姿勢に保持されている。
【0043】
すなわち、プッシュバルブ33は
、ガスシリンダ25にガス(或いはばね)の弾性力で前進状態に付勢されているため、ある程度の力を掛けないと作動部材34をフリー姿勢に回動させることはできない
と共に、第1突起34aが中継片57における中継部57bの後面の凹所に嵌合していることにより、作動部材34は
、フリー姿勢と本体方向に回動させることもできない(フリー姿勢と反対方向への回動は、作動部材34が第1部分35aの下内面に当たることによっても規制される。)。
【0044】
他方、操作レバー36を回転操作して作動部材34をフリー姿勢に回動(回転)させると、第2突部34cで中継片57が手前に押されることでプッシュバルブ33が後退し、そして、第2突部34bが中継片57における中継部57bの凹部に嵌合する。これにより、作動部材34はフリー姿勢に安定的に保持される。
【0045】
すなわち、プッシュバルブ33を後退させた状態では、作動部材34の第2突部34cが中継片57の中継部57bに嵌まっているが、この状態で、中継片57の中継部57bはプッシュバルブ33の先端面と密着していると共に、ガスシリンダ25の軸線Oの方向から見て
、プッシュバルブ33の前端面の後ろに中継片57の中継部57bと第2突部3bとが位置するため、作動部材34は安定した状態に保持されるである。
【0046】
更に述べると、作動部材34をフリー姿勢からロック姿勢に回動させるには、作動部材34の第2突部34cが中継片57の中継部57bを乗り越えなければならないため、ある程度の力をかけないとロック姿勢には移行できず、逆に、作動部材34をフリー姿勢からロック姿勢と反対方向に回動させようとすると、中継片57の中継部57bは作動部材34の逃がし面34dで支持されているため、作動部材34で中継片57を支持している状態は維持し続けられる(フリー姿勢からロック姿勢と反対側への回動は、作動部材34が第1部分35aの上内面に当てることで規制される。)。
【0047】
さて、、作動部材34の軸心から第1突部34aまでの距離と
、第2突部34cまでの距離とはかなりの違いがあり、仮に、作動部材34でプッシュバルブ33を直接に押したり戻したりすると、プッシュバルブ33を中間面34bで押すに際して
、プッシュバルブ33に大きな曲げ力が作用することになり、このため、操作に大きな力を要すると共に
、ガスシリンダ25の耐久性が低くなる。これを避けるには、第1突部34aと第2突部34cとの周方向の距離を大きくして中間面34bの傾斜角度を緩くせねばならいが、する
と、作動部材34が大型化してガスシリンダ装置
が大型化することになる。
【0048】
これに対して
、本実施形態のように
、中継片57を介してプッシュバルブ33を操作すると、第1突部34aと第2突部34cとを周方向に近付けた状態で、作動部材34の回動による力がプッシュバルブ33に対してその軸線方向の力として作用するため、コンパクトな作動部材34でありながら
、プッシュバルブ33をスムースに押したり戻したりすることができるのである。中継片57は、第1部分35a(ケース)とは別部材に製造して、これをケース35や支軸32に取り付けることも可能である。但し、本実施形態のように第1部分35a(ケース)に一体成形すると、構造を簡単化できると共に、部材管理の手間も軽減できる利点がある。
【0049】
(5).操作レバー・他
操作レバー36は、背フレーム7におけるリア部11の左右両端部に回転可能で離脱不能に保持されており、その取り付け構造は
図12に示している。すなわち、
図12に示すように、操作レバー36の端部は、下端に前後フランジ部59aを有する半円状の軸受けカバー59で上から覆われており、軸受けカバー59は、その前後両端に設けた水平状の係合爪60を
、背フレーム7におけるリア部11に形成した蟻溝部61に左右内側から嵌め込むことにより、離脱不能に保持されている。
【0050】
更に正確に述べると、係合爪60は
、背フレーム7の外側に向いて延びる片持ち状態に形成されており、その先端に上向き鉤部60aを形成している一方、蟻溝61の手前側の開口縁にはリップ61aを形成しており、このリップ61aに形成した切欠き穴62に上向き鉤部60aを嵌め込むことにより、軸受けカバー59は離脱不能に保持される。また、蟻溝61の奥側には前向き突起61bを設けており、奥側の係合爪60が前向き突起61bに下方から係合している。
【0051】
蟻溝61の外奥部には左右長手のリブ61cを設けている一方、軸受けカバー59の下面には、リブ61cに嵌まる溝59bを形成している。背フレーム7には操作レバー36が嵌まる溝条63を形成していると共に、軸受けカバー59のフランジ部59aが蟻溝61に嵌まり込んでいる。このため、操作レバー36はガタ付き不能に保持されている。
【0052】
以上のように、ガスシリンダ装置23は
、ケース35を中核部材として全体が1つにユニット化されている。このため、背フレーム7への取り付けは極めて簡単である。本実施形態のように、操作レバー36を嵌め込み式の軸受けカバー59で背フレーム7に取り付けると、組み付けは一層容易になる。
【0053】
図7に示すように、操作レバー36のうち軸受けカバー59で覆われている部位には、上向きに突出した台形状のストッパー突起36cを設けている一方、軸受けカバー59の内部には、ストッパー突起36cが嵌まるストッパー溝(軸受け溝)59dを形成している。ストッパー溝59dは、操作レバー36をロック姿勢にした場合とフリー姿勢にした場合とのいずれにおいてもストッパー突起36cの側面が選択的に当たるよう
に一対設けており、これにより、操作レバー36の回動姿勢を規制している。
【0054】
つまり、操作レバー36の回動姿勢は枝部36bによっても規制されるが、操作レバー36は樹脂製である程度の長さがあって回動によってねじれる可能性があるため、ハンドル部36aに近い部位において回転角度を規制するために
、ストッパー突起36dとストッパー溝59dとを形成しているのである。また、ストッパー突起36cがストッパー溝59dの内端面59cに当たることで、操作レバー36が外向きに抜けるのをねししている。操作レバー36の内向き移動の規制は、操作レバー36の先端がケース35における第1張り出し部45の端板に当たることで行われる。
【0055】
さて、ケースは、作動部材のカバー機能や操作レバーの支持機能などの複数の機能を有するため形状は複雑になることがあり、そこで、ケースを複数のパーツで構成するのがよい場合がある。しかし、複数のパーツを別部材として製造すると、部材管理に手間が掛かったり組み立て間違いを誘発したりする可能性がある。
【0056】
この点、本願実施形態のケース35をヒンジ部35cで連結された2つ(複数)の部材35a,35cで構成すると、異なる機能を有する部分が1部材になっているため、部材の保持機能に優れたケースを有する構成でありながら、部材管理の手間増大を防止できると共に、組み立て間違いも防止できる。もとより、別部材として製造しても差し支えない。別部材とした場合、重なり合う部材を係合爪と係合穴(或いは係合爪と係合爪)とから係合手段によって連結すると、連結を簡単に行える。
【0057】
ガスシリンダ装置23の取り付けは、次の手順で行われる。すなわち、まず、ガスシリンダ装置23のケース35を背フレーム7のセンター凹所4つに嵌め込み、次いで、シリンだ本体25aを枢支ピン27で軸受け板28に連結する。次に、受けストッパー37を背フレーム7のサイド凹所41に嵌め込み装着し、次いで、軸受けカバー59を背フレーム7に装着する(受けストッパー37の装着と軸受けカバー59の装着とは
、どちらを先に行ってもよい。)。このように、ガスシリンダ装置23を簡単に組み付けることができる。
【0058】
(6).軸受けカバーの変形例
図13では、軸受けカバー59の変形例である第2実施形態を示している。この第2実施形態の軸受けカバー59は第1実施形態のものと共通している部分が多くあり、そこで、共通した機能を有する部分には同じ符号を付している。
【0059】
この軸受けカバー59も、フランジ部59aを背フレーム7の蟻溝61に内側から嵌め込んでいるが、第1実施形態と異なって、蟻溝61は左右方向に開口しており、そこで、軸受けカバー59の外向き抜けを阻止するため、その奥端部に、前後方向に突出した張り出し部59eを形成し、これをリップ61aの内端に当てている。また、係合爪60は、蟻溝61の底面に形成した係合穴61bに嵌まり込むようになっている。
【0060】
第1実施形態と同様に、操作レバー36には
、その回動範囲を規制するために台形状のストッパー突起36cを設けている一方、軸受けカバー59の内部には、ストッパー突起36cが嵌まるストッパー溝59dを設けて、ストッパー突起36cが
、ストッパー溝59dのいずれかの内側面59d′,59d″に選択的に当たるように設定している。
【0061】
さて、
図7(B)に示すように、背フレーム7は枢支ピン27を中心にして回動すると、ガスシリンダ装置23も一緒に回動するが、背フレーム7に対する支軸32の相対位置は変化しない一方、支軸32と操作レバー36とはある程度の間隔が空いているため、操作レバー36の回動により、操作レバー36は背フレーム7から離れようとする。つまり、操作レバー36と支軸32との間隔は一定である一方、枢支ピン27から操作レバー36までの距離が、枢支ピン27から支軸32までの距離よりも小さいため、操作レバー36が枢支ピン27を中心にして回動するためには、背フレーム7に対して相対的に上向きに逃げなくてはならない。
【0062】
このように、背フレーム7の回動に際して操作レバー36が背フレーム7から相対的に逃げ移動することを許容する手段としては、軸受けカバー59と操作レバー36との間のクリアランスを大きくすればよいと言えるが、あまりクリアランスを大きくすると、
前後方向のガタが生じる。さりとて、クリアランスが小さいと、支軸32と操作レバー36との間隔を小さくせねばならず、すると、操作レバー36の枝部36bの長さが短くなって、ガスシリンダ25の操作に要する力が大きくなる。
【0063】
そこで、第2実施形態では、
図13に示すように、軸受けカバー59のストッパー溝59dを、ロッキングに際して操作レバー36が描く
回動軌跡に沿って深くなるように
、抉られた長穴に形成している。これにより、操作レバー36が前後方向にガタつくことを抑制しつつ、操作レバー36の軽快な回転操作を可能にしている。
【0064】
(7).他の実施形態
次に、
図14に示す他の実施形態を説明する。この実施形態も基本的には第1実施形態と同様であり、ガスシリンダ装置23
とケース35を備えている。図示していないが、ピストンロッド25bの先端部には第1実施形態と同様の支持ブラケット31が固定されており、この支持ブラケット31にケース35が装着されている。ケース35には
、支軸32
を挿通している。また、ケース35の内部には
、支軸32
を挿通した作動部材34が配置されており、作動部材34は、押圧部34aと逃がし面34dとを有している。
【0065】
他方、操作レバー36は、ケース35の上端に設けた軸受け穴65に回転可能に保持されていると共に、支軸32の先端部は、支軸32と平行な駆動部32cを有するコ字形に曲げられており、駆動部32cが作動部材34に設けた長穴66に横から嵌まっている。従って、操作レバー36を回転させると作動部材34が回動し、ガスシリンダ25はロック姿勢とフリー姿勢とに切り替えられる。図示していないが、ケース35の上面には、操作レバー36を抜け不能に保持する押さえ部材を装着している。ケース35の左右両側には受けストッパー37を配置している。
【0066】
(8).補足
さて、ガスシリンダ25にはオイルが封入されているが、オイルがシリンダ本体を伝って漏れ落ち、床を汚す可能性がある。この点については、
図15に示すように、ベース3を下方から覆う下カバー17の後部に、シリンダ本体25aの後端部の下方に位置したオイル受け部17aを設けることで対処できる。
【0067】
本願発明のガスシリンダ装置は
、ベースに配置することも可能である。