【文献】
Advanced Drug Delivery Reviews,2009年,Vol.61,No.13,p1189−1192
【文献】
International Journal of Nanomedicine,2008年,Vol.3,No.3,p359−371
【文献】
Journal of Immunology,2010年 2月,Vol.184,No.4,p2175−2182
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第二の治療剤と組み合わせて、前記対象へ、投与されることを特徴とし、前記第二の治療剤が、以下のうちの1つ以上の薬剤である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物:
(a)アスピリン、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬および副腎皮質ステロイド剤のうちの1つ以上の薬剤である、抗炎症剤、
(b)ヒドロキシクロロキンおよびクロロキンのうちの1つ以上の薬剤である、抗マラリア剤、
(c)以下(i)〜(v)のうちの1つ以上の薬剤である、免疫調節剤:
(i)細胞内標的を有する免疫調節剤であって、前記細胞内標的を有する免疫調節剤が、代謝拮抗剤、IL−2阻害剤、mTor阻害剤、TNF阻害剤およびマクロライドのうちの1つ以上の薬剤である、細胞内標的を有する免疫調節剤、
(ii)細胞受容体標的を有する免疫調節剤であって、IL−1受容体阻害剤および前記細胞受容体標的の機能を阻害する抗体のうちの1つ以上の薬剤である、前記細胞受容体標的を有する前記免疫調節剤、
(iii)血清標的をもつ免疫調節剤であって、前記血清標的の機能を阻害する抗体である、血清標的をもつ免疫調節剤、
(iv)免疫細胞の機能に干渉する生物製剤、および
(v)マクロライド、
(d)アスピリン、へパリン、およびワルファリンからなる群から選択される抗凝固剤、および
(e)アンドロゲン−ホルモン放出アゴニストおよびゴナドトロピン−ホルモン放出アゴニストのうちの1つ以上の薬剤である、ホルモン。
前記細胞受容体標的の機能を阻害する抗体が、抗CD3抗体、抗CD4抗体、抗CD5抗体、抗CD11a抗体、抗BLyS抗体、抗CD20抗体、抗CD22抗体、抗CD23抗体、抗CD40抗体、抗CD62L抗体、抗CD80抗体、抗CD147抗体、抗CD154抗体、抗CAT抗体、抗インテグリン抗体、抗CTLA4抗体、抗IL6受容体抗体、抗LFA1抗体、抗IL2抗体、または抗ヒトT細胞抗体である、請求項12に記載の組成物。
前記血清標的の機能を阻害する抗体が、抗BLyS抗体、抗IL5抗体、抗IL6抗体および抗インターフェロンアルファ抗体、抗IgE抗体、抗C5a抗体、抗TNF抗体、抗IL10抗体、抗IL12抗体、または抗IL13抗体である、請求項12に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0206】
本明細書に記載の治療剤の薬物送達用に設計された治療用シクロデキストリン含有ポリマー(CDP)の組成物に関する。特定の実施形態では、このシクロデキストリン含有ポリマーは、in vivoで使用した場合に、治療剤の薬物安定性および/または溶解性を向上させる、ならびに/あるいは毒性を低減する、ならびに/あるいは有効性を向上させる。
【0207】
さらに、CDPと本明細書に記載の治療剤とを連結または結合する各種のリンカー基および/または標的化リガンから選択することにより、送達制御のためにポリマーからの薬物の放出速度を弱めることができる。また本発明は、本明細書に記載の組成物により対象を治療する方法にも関する。本発明はさらに、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子および組成物を含有するまたはそれらに関連するキットの製造、技術供与または流通を含む製薬事業を運営するための方法に関する。
【0208】
より一般的には、本発明は、生物学的条件下で切断されて治療剤が遊離する結合を介してトポイソメラーゼ阻害剤と共有結合した水溶性の生体適合性ポリマーを含む、水溶性の生体適合性ポリマーコンジュゲートを提供する。
【0209】
本明細書に記載の方法で取り上げられるポリマーコンジュゲートは、生物活性/治療剤の溶解性および/または安定性を向上させる、薬剤−薬剤相互作用を減少させる、血漿タンパク質を含めた血液要素との相互作用を減少させる、免疫原性を低減または排除する、薬剤を代謝から保護する、薬物放出動態を調節する、循環時間を向上させる、薬物半減期(例えば、血中、または腫瘍のような選択された組織中での)を向上させる、毒性を弱める、有効性を向上させる、異なる種、民族および/または人種の対象間での薬物代謝を標準化する、ならびに/あるいは特定の細胞または組織への的を絞った送達をもたらすのに有用であり得る。
【0210】
定義
本明細書で使用される「周囲条件」という用語は、約1気圧、相対湿度50%および約25℃周囲の条件を指す。
【0211】
本明細書で使用される、第一の部分と第二の部分との関係に関連した「結合する」という用語、例えば、治療剤とポリマーの結合は、第一の部分と第二の部分の間での共有結合の形成を指す。この文脈では、「結合」は共有結合を指す。例えば、ポリマーと結合した治療剤とは、ポリマー(例えば、本明細書に記載の疎水性ポリマー)と共有結合した治療剤のことである。結合は、例えば、第一の部分と第二の部分の直接的な結合を介した直接的な結合であり得るか、またはリンカーを介したもの(例えば、第一と第二の部分の間に配置された1つ以上の原子が共有結合により連結した鎖を介したもの)であり得る。例えば、結合がリンカーを介したものである場合、第一の部分(例えば、薬物)がリンカーと共有結合し、次にこのリンカーが第二の部分(例えば、本明細書に記載の疎水性ポリマー)と共有結合している。
【0212】
「生分解性」という用語は当該技術分野において認知されており、使用中に分解することを目的とした、本明細書に記載されているようなポリマー、組成物および製剤を包含する。生分解性ポリマーは通常、これが使用中に分解するという点で非生分解性ポリマーとは異なる。特定の実施形態では、このような使用はin vivo療法のようなin vivoでの使用を含み、また他の特定の実施形態では、このような使用はin vitroでの使用を含む。一般に、生分解性に起因する分解は、生分解性ポリマーからその構成要素サブユニットへの分解、または例えば、生化学的プロセスによるポリマーから低分子量の非ポリマーサブユニットへの消化を含む。特定の実施形態では、2つの異なる種類の生分解が一般に確認される。例えば、一方の種類の生分解は、ポリマー主鎖における結合(共有結合か否かに関係なく)の切断を含み得る。このような生分解では通常、モノマーおよびオリゴマーが生じ、より通常には、このような生分解は、ポリマーの1つ以上のサブユニットをつなぐ結合の切断により起こる。これに対し、他方の種類の生分解は、側鎖の内側にある、または側鎖とポリマー主鎖をつなぐ結合(共有結合か否かに関係なく)の切断を含み得る。特定の実施形態では、一方もしくは他方または両方の一般的な種類の生分解がポリマーの使用中に生じ得る。
【0213】
本明細書で使用される「生分解」という用語は、両方の一般的な種類の生分解を包含する。生分解性ポリマーの分解速度は多くの場合、任意に分解に関連する結合の化学的性質、生分解性ポリマーの分子量、結晶化度、生体内安定性および架橋の程度、ポリマー、ポリマー集合体または粒子の物理的特性(例えば、形状および大きさ)ならびに投与の方法および場所を含めた各種の要因に部分的に依存する。例えば、分子量が大きいほど、結晶化度が高いほど、および/または生体内安定性が高いほど、生分解は通常遅くなる。
【0214】
本明細書で使用される「炭水化物」という用語は、単糖、二糖、オリゴ糖および多糖を指し、包含する。
【0215】
「生理的条件下で切断可能」という語句は、生理的条件下においた場合に半減期が約100時間未満である結合を指す。例えば、酵素的分解は、生理的条件下(例えば、pHが約4〜8、温度が約25℃〜約37℃である水溶液)に曝された状態で、約5年、6ヶ月、3ヶ月、1ヶ月、15日、5日、3日または1日未満の期間にわたって起こり得る。
【0216】
「有効量(「effective amount」または「an amount effective」)」は、細胞の処置、疾患症状の治癒、緩和、軽減または改善における対象への単回または複数回投与において有効な、CDP−治療剤コンジュゲートの量を指す。組成物の有効量は、個人の疾患の状態、年齢、性別および体重、ならびに化合物が個人において所望の応答を誘発する能力のような要因によって異なり得る。または有効量は、組成物の任意の毒性または有害効果よりも治療的に有用な効果が上回る量でもある。
【0217】
本明細書で使用される「薬学的に許容される担体または補助」は、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲートと共に患者に投与することができ、治療量の粒子を送達するのに十分な用量で投与してもその薬理活性を損なわず、無毒である担体または補助剤を指す。薬学的に許容される担体として働き得る材料のいくつかの例としては、以下ものが挙げられる:(1)糖、例えばラクトース,グルコース,マンニトールおよびスクロースなど;(2)コーンスターチおよびバレイショデンプンのようなデンプン;(3)セルロースおよびその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム,エチルセルロースおよび酢酸セルロースなど;(4)粉末トラガカント;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)カカオバターおよび坐剤ワックスのような賦形剤;(9)油、例えばラッカセイ油,綿実油,ベニバナ油,ゴマ油,オリーブ油,トウモロコシ油およびダイズ油など;(10)プロピレングリコールのようなグリコール;(11)ポリオール例えばグリセリン,ソルビトール,マンニトールおよびポリエチレングリコールなど;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルのようなエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムのような緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)無発熱物質水;(17)等張食塩水;(18)リンガー溶液;(19)エチルアルコール;(20)リン酸緩衝液;ならびに(21)医薬組成物に使用されるその他の無毒で適合性のある物質。
【0218】
本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、当該技術分野において使用されるその本来の意味、すなわち、共有結合により連結した1つ以上の反復単位(モノマー)を特徴とする分子構造という意味を有する。反復単位はすべて同一であり得るか、またはある場合には、ポリマー内に2種類以上の反復単位が存在し得る。ある場合には、ポリマーは、生物学的に誘導されたもの、すなわちバイオポリマーである。バイオポリマーの非限定的な例としては、ペプチドもしくはタンパク質(すなわち、各種アミノ酸のポリマー)、またはDNAもしくはRNAのような核酸が挙げられる。ある場合には、ポリマーは、サブユニット、例えば本明細書に記載のサブユニットで構成されていてもよく、サブユニットはポリマー、例えばPEGを含むが、コンジュゲート内で反復していてもよい。いくつかの実施形態では、コンジュゲートは、本明細書に記載のサブユニットを1つだけ含み得るが、2つ以上の同一のサブユニットを含んでいてもよい。
【0219】
本明細書で使用される「低水溶解度」という用語は、生理的pH((6.5〜7.4)で5mg/ml未満の低い水への溶解度を有する不水溶性化合物を指す。好ましくはその溶解度は1mg/ml未満、より好ましくは0.1mg/ml未満である。薬物は分散体として水中で安定であることが望ましい;そうでなければ、凍結乾燥または噴霧乾燥固体形態が望ましいものであり得る。
【0220】
本明細書で使用される「ヒドロキシ保護基」は当該技術分野で公知であり、その全体が参照により本明細書に組み込まれるProtecting Groups in Organic Synthesis,T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts,第3版,John Wiley & Sons,1999に詳細に記載されているものを包含する。適切なヒドロキシ保護基としては、例えば、アシル(例えば、アセチル)、トリエチルシリル(TES)、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)およびカルボベンジルオキシ(Cbz)が挙げられる。
【0221】
本明細書で使用される「不活性雰囲気」は、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子、組成物または混合物と化学反応しない、主として不活性ガスからなる雰囲気を指す。不活性ガスの例は、窒素(N
2)、ヘリウムおよびアルゴンである。
【0222】
本明細書で使用される「リンカー」とは、少なくとも2つの官能基を有する部分のことである。一方の官能基は本明細書に記載のポリマーと反応することができ、第二の官能基は本明細書に記載の薬剤上の官能基と反応することができる。いくつかの実施形態では、リンカーはちょうど2つの官能基を有する。リンカーは、例えば、複数の薬剤と1つのポリマーを連結するために使用し得る、2つ以上の官能基(例えば、3、4、5、6、7、8、9、10以上の官能基)を有し得る。文脈によっては、リンカーは、第一もしくは第二の部分(例えば、薬剤もしくはポリマー)のいずれかと結合する前のリンカー部分、一方の部分と結合した後であるが第二の部分と結合する前のリンカー部分、または第一および第二の部分の両方と結合した後に存在する残りのリンカーを指し得る。
【0223】
本明細書で使用される「リオプロテクタント」という用語は、凍結乾燥調製物中に存在する物質を指す。通常、リオプロテクタントは凍結乾燥工程の前に存在し、得られた凍結乾燥調製物中にも存在し続ける。リオプロテクタントは、ナノ粒子、リポソームおよび/またはミセルを凍結乾燥中に保護するために、例えば、凝集、粒子崩壊および/またその他のタイプの損傷を低減または防止するために使用し得る。一実施形態では、リオプロテクタントは凍結保護物質である。一実施形態では、リオプロテクタントは炭水化物である。
【0224】
本明細書で使用される「予防する」または「予防すること」という用語は、対象への薬剤の投与という文脈で使用される場合、疾患の少なくとも1つの症状の発症が、レジメンの非存在下で観察され得るものと比較して遅延されるように、対象にレジメン、例えばCDP−治療剤コンジュゲートの投与を受けさせることを指す。
【0225】
本明細書で使用される「対象」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物を包含することが意図される。例示的なヒト対象としては、疾患、例えば本明細書に記載の疾患を有するヒト患者または正常な対象が挙げられるが挙げられる。「非ヒト動物」という用語は、すべての脊椎動物、例えば、非哺乳動物(例えばニワトリ、両生類、爬虫類など)ならびに哺乳動物、例えば非ヒト霊長類、家畜化されたおよび/または農業上有用な動物、例えばヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタなどを包含する。
【0226】
本明細書で使用される「治療剤」という用語は、対象に投与すれば、その対象が治療効果を得るような部分を指す(例えば、治療剤の投与が、細胞を治療する、または疾患の症状を治癒する、緩和する、軽減するまたは向上させる)。
【0227】
本明細書で使用される、疾患を有する対象を「治療する」または「治療すること」という用語は、疾患の少なくとも1つの症状が治癒する、修復される、緩和される、軽減される、変化する、矯正される、改善されるまたは向上するように、対象にレジメン、例えばCDP−治療剤コンジュゲートの投与を受けさせることを指す。治療することは、疾患または疾患症状を緩和する、軽減する、変化させる、矯正する、改善する、向上させるまたはそれに影響を与えるために有効量を投与することを含む。治療は、疾患症状の増悪または悪化を抑制し得る。
【0228】
「アシル」という用語は、アルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アリールカルボニル、ヘテロシクリルカルボニルまたはヘテロアリールカルボニル置換基を指し、そのいずれも(例えば、1つ以上の置換基により)さらに置換され得る。例示的なアシル基としては、アセチル(CH
3C(O)−)、ベンゾイル(C
6H
5C(O)−)およびアセチルアミノ酸(例えば、アセチルグリシン、CH
3C(O)NHCH
2C(O)−)が挙げられる。
【0229】
「アルコキシ」という用語は、以下で定義されるアルキル基に酸素ラジカルが結合したものを指す。代表的なアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
【0230】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基を含めた飽和脂肪族基のラジカルを指す。好適な実施形態では、直鎖または分岐鎖アルキルは、その主鎖中に30個以下(例えば、直鎖でC
1〜C
30、分岐鎖でC
3〜C
30)、より好ましくは20個以下、最も好ましくは10個以下の炭素原子を有する。同様に、好適なシクロアルキルは、その環構造中に3〜10個の炭素原子を有し、より好ましくは、その環構造中に5、6または7個の炭素を有する。「アルキレニル」という用語は、二価アルキル、例えば、−CH
2−、−CH
2CH
2−および−CH
2CH
2CH
2−を指す。
【0231】
「アルケニル」という用語は、少なくとも1つの二重結合を含む脂肪族基を指す。
【0232】
「アルコキシル」または「アルコキシ」という用語は、以下で定義されるアルキル基に酸素ラジカルが結合したものを指す。代表的なアルコキシル基としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。「エーテル」とは、酸素により共有結合的に連結した2つの炭化水素のことである。
【0233】
「アルキル」という用語は、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル飽和シクロアルキル基およびシクロアルキル置換アルキル基を含めた飽和脂肪族基のラジカルを指す。好適な実施形態では、直鎖または分岐鎖アルキルは、その主鎖中に30個以下(例えば、直鎖でC
1〜C
30、分岐鎖でC3〜C
30)、より好ましくは20個以下、最も好ましくは10個以下の炭素原子を有する。同様に、好適なシクロアルキルは、その環構造中に3〜10個の炭素原子を有し、より好ましくは、その環構造中に5、6または7個の炭素を有する。
【0234】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの三重結合を含む脂肪族基を指す。
【0235】
「アラルキル」または「アリールアルキル」という用語は、アリール基(例えば、フェニルまたはナフチル)で置換されたアルキル基を指す。
【0236】
「アリール」という用語は、5〜14員の単環または二環式芳香族基、例えば、ベンゼン、ナフタレンなどを包含する。芳香環は、1つ以上の環位において上記のような置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ポリシクリル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフィドリル、イミノ、アミド、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロシクリル、芳香族またはヘテロ芳香族部分、−CF
3、−CNなどで置換され得る。また「アリール」という用語は、2個以上の炭素が2つの隣接する環に共通である環(「縮合環」のことである)を2つ以上有する多環系であって、少なくとも1つの環が芳香族であり、例えば、もう一方の環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロシクリルであり得る多環系も包含する。各環は、例えば5〜7員を含み得る。「アリーレン」という用語は、二価の本明細書で定義されるアリールを指す。
【0237】
「アリールアルケニル」という用語は、アリール基で置換されたアルケニル基を指す。「カルボキシ」という用語は、−C(O)OHまたはその塩を指す。
【0238】
「ヒドロキシ」および「ヒドロキシル」という用語は、互換的に使用され、−OHを指す。「置換基」という用語は、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクロアルケニル、シクロアルケニル、アリールまたはヘテロアリール上で任意の原子において「置換された」基を指す。任意の原子が置換され得る。適切な置換基としては、アルキル(例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12直鎖または分岐鎖アルキル)、シクロアルキル、ハロアルキル(例えば、CF
3のようなペルフルオロアルキル)、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ヘテロシクリル、アルケニル、アルキニル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルケニル、アルコキシ、ハロアルコキシ(例えば、OCF
3のようなペルフルオロアルコキシ)、ハロ、ヒドロキシ、カルボキシ、カルボキシラート、シアノ、ニトロ、アミノ、アルキルアミノ、SO
3H、硫酸、リン酸、メチレンジオキシ(酸素が隣接原子に結合している−O−CH
2−O−)、エチレンジオキシ、オキソ、チオキソ(例えば、C=S)、イミノ(アルキル、アリール、アラルキル)、S(O)
nアルキル(nが0〜2である)、S(O)
nアリール(nが0〜2である)、S(O)
nヘテロアリール(nが0〜2である)、S(O)
nヘテロシクリル(nが0〜2である)、アミン(モノ−、ジ−、アルキル、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリールおよびこれらの組合せ)、エステル(アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリール)、アミド(モノ−、ジ−、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アリール、ヘテロアリールおよびその組合せ)、スルホンアミド(モノ−、ジ−、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキルおよびその組合せ)が非限定的に挙げられる。一態様では、基上の置換基は、独立して任意の単一の上記置換基またはその任意のサブセットである。別の態様では、置換基自体が上記置換基のいずれか1つにより置換されていてよい。
【0239】
「ハロ」および「ハロゲン」という用語は、ハロゲンを意味し、クロロ、フルオロ、ブロモおよびヨードを包含する。
【0240】
「ヘタラルキル」、「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルキル」という用語は、ヘテロアリール基で置換されたアルキル基を指す。
【0241】
「ヘテロアリール」という用語は、単環式であれば1〜3個のヘテロ原子、二環式であれば1〜6個のヘテロ原子、または三環式であれば1〜9個のヘテロ原子を有する、5〜8員単環式、8〜12員二環式、または11〜14員三環式の芳香族環系を指し、前記ヘテロ原子はO、NまたはSから選択され(例えば、炭素原子と、二環式または三環式であればそれぞれ、1〜3個、1〜6個または1〜9個のヘテロ原子N、OまたはS)、各環の0、1、2、3または4個の原子は置換基により置換されていてよい。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル、フリルまたはフラニル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニルまたはチエニル、キノリニル、インドリル、チアゾリルなどが挙げられる。「ヘテロアリーレン」という用語は、二価の本明細書で定義されるヘテロアリールを指す。
【0242】
「ヘテロアリールアルケニル」という用語は、ヘテロアリール基で置換されたアルケニル基を指す。
【0243】
CDP−治療剤コンジュゲート、粒子および組成物
1つ以上の治療剤がCDPと共有結合している(例えば、直接的にまたはリンカーを介して)シクロデキストリン含有ポリマー(「CDP」)−治療剤コンジュゲートを本明細書に記載する。CDP−治療剤コンジュゲートは、直鎖状または分岐状シクロデキストリン含有ポリマーおよびシクロデキストリンでグラフト化したポリマーを含む。本明細書に記載の通りに修飾し得る例示的なシクロデキストリン含有ポリマーは、米国特許第7,270,808号、同第6,509,323号、同第7,091,192号、同第6,884,789号、米国特許出願公開第20040087024号、同第20040109888号および同第20070025952号に教示されている。
【0244】
CDP−治療剤コンジュゲートは、CDP−治療剤コンジュゲートを用いて自己免疫疾患、炎症性疾患または癌を治療することができるように治療剤を含み得る。本明細書に記載のコンジュゲートで使用し得る例示的な治療剤としては、以下のもの挙げられる:トポイソメラーゼ阻害剤、抗代謝剤、ピリミド(pyrimide)類似体、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗腫瘍抗生物質、白金系薬剤、微小管阻害剤、プロテアソーム阻害剤および副腎皮質ステロイド剤。
【0245】
したがって、一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは式I:
【化11】
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により表され、式中、
Pは直鎖または分岐鎖ポリマー鎖を表し;
CDはシクロデキストリン部分のような環状部分を表し;
L
1、L
2およびL
3はそれぞれの出現に対して、独立して、存在しないかまたはリンカー基であってよく;
Dはそれぞれの出現に対して、独立して、治療剤またはそのプロドラッグを表し;
Tはそれぞれの出現に対して、独立して、標的化リガンドまたはその前駆体を表し;
a、mおよびvはそれぞれの出現に対して、独立して、1〜10(好ましくは1〜8、1〜5または1〜3)の範囲の整数を表し;
nおよびwはそれぞれの出現に対して、独立して、0〜約30,000(好ましくは<25,000、<20,000、<15,000、<10,000、<5,000、<1,000、<500、<100、<50、<25、<10または<5)の範囲の整数を表し;
bは、1〜約30,000(好ましくは<25,000、<20,000、<15,000、<10,000、<5,000、<1,000、<500、<100、<50、<25、<10または<5)の範囲の整数を表し、
Pがシクロデキストリン部分を含むか、またはnが少なくとも1である。
【0246】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の1種類の治療剤を、別の異なる種類の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。他の細胞毒性薬の例は本明細書に記載されている。免疫調節剤の例としては、ステロイド(例えばプレドニゾン)およびNSAIDが挙げられる。
【0247】
特定の実施形態では、シクロデキストリン部分がポリマー鎖からのペンダント基上にグラフトされているのではなく、Pがポリマー鎖内に複数のシクロデキストリン部分を含む。したがって、特定の実施形態では、式Iのポリマー鎖は、n’単位のUをさらに含み、n’は1〜約30,000、例えば、4〜100、4〜50、4〜25、4〜15、6〜100、6〜50、6〜25および6〜15(好ましくは、<25,000、<20,000、<15,000、<10,000、<5,000、<1,000、<500、<100、<50、<25、<20、<15、<10または<5)の範囲の整数を表し;Uは以下の一般式のうちの1つで表され:
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
CDは、シクロデキストリン部分またはその誘導体のような環状部分を表し;
L
4、L
5、L
6およびL
7はそれぞれの出現に対して、独立して、存在しないかまたはリンカー基を表してよく;
DおよびD’はそれぞれの出現に対して、独立して、同じまたは異なる治療剤またはそのプロドラッグ形態を表し;
TおよびT’はそれぞれ独立して、同じまたは異なる標的化リガンドまたはその前駆体を表し;
fおよびyはそれぞれの出現に対して、独立して、1〜10の範囲の整数を表し;
gおよびzはそれぞれの出現に対して、独立して、0〜10の範囲の整数を表す。
【0248】
いくつかの実施形態では、1つのgが0であり、1つのgが1〜10である。いくつかの実施形態では、1つのzが0であり、1つのzが1〜10である。
【0249】
好ましくは、ポリマーは複数のDまたはD’部分を有する。いくつかの実施形態では、U単位の少なくとも50%が、少なくとも1つのDまたはD’を有する。いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1種類以上の治療剤部分を、別の種類の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0250】
好適な実施形態では、L
4およびL
7はリンカー基を表す。
【0251】
CDPは、ポリカチオン性、ポリアニオン性または非イオン性ポリマーを含み得る。ポリカチオン性またはポリアニオン性ポリマーは、それぞれ正または負電荷を有する少なくとも1つの部位を有する。特定のこのような実施形態では、リンカー部分および環状部分の少なくとも1つが上記のような荷電部位を含み、出現するその部分はすべてそれぞれ荷電部位を含む。いくつかの実施形態では、CDPは生体適合性である。
【0252】
特定の実施形態では、CDPは、少なくとも1つの末端ヒドロキシル基を含む多糖およびその他の非タンパク質生体適合性ポリマー、ならびにそれらの組合せ、例えばポリビニルピロリドン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ無水コハク酸、ポリセバシン酸、PEG−リン酸、ポリグルタミン酸、ポリエチレンイミン、無水マレイン酸ジビニルエーテル(DIVMA)、セルロース、プルラン、イヌリン、ポリビニルアルコール(PVA)、N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HPMA)、デキストランおよびヒドロキシエチルデンプン(HES)などを含み、治療剤、標的化リガンドおよび/またはシクロデキストリン部分をグラフトするための任意のペンダント基を有し得る。特定の実施形態では、ポリマーは、例えばポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(アルキル2−シアノアクリラート)、ポリ酸無水物およびポリオルトエステルなどのように生分解性、あるいは例えばポリラクチド−グリコリドコポリマーおよびその誘導体、非ペプチドポリアミノ酸、ポリイミノカルボン酸、ポリアルファ−アミノ酸、ポリアルキル−シアノ−アクリラート、ポリホスファゼンまたはアシルオキシメチルポリアスパラギン酸、およびポリグルタミン酸コポリマー、ならびにそれらの混合物などのように生体内分解性であり得る。
【0253】
別の実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは、式IIにより表され:
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
Pはシクロデキストリン部分を含むポリマーのモノマー単位を表し;
Tはそれぞれの出現に対して、独立して、標的化リガンドまたはその前駆体を表し;
L
6、L
7、L
8、L
9およびL
10はそれぞれの出現に対して、独立して、存在しないかまたはリンカー基を表してよく;
CDはそれぞれの出現に対して、独立して、シクロデキストリン部分またはその誘導体を表し;
Dはそれぞれの出現に対して、独立して、治療剤またはそのプロドラッグ形態を表し;
mはそれぞれの出現に対して、独立して、1〜10(好ましくは、1〜8、1〜5または1〜3)の範囲の整数を表し;
oは、1〜約30,000(好ましくは、<25,000、<20,000、<15,000、<10,000、<5,000、<1,000、<500、<100、<50、<25、<10または<5)の範囲の整数を表し;
p、nおよびqはそれぞれの出現に対して、独立して、0〜10(好ましくは、0〜8、0〜5、0〜3または0〜約2)の範囲の整数を表し、
好ましくは、CDおよびDは、それぞれの出現に対して、化合物中の少なくとも1ヶ所(好ましくは、少なくとも5、10、25ヶ所または50もしくは100ヶ所)に存在する。
【0254】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の治療剤を、別の異なる治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。細胞毒性薬の例は本明細書に記載されている。免疫調節剤の例としては、ステロイド(例えばプレドニゾン)またはNSAIDが挙げられる。
【0255】
別の実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは、以下のいずれかの式で表され:
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
CDは、シクロデキストリン部分またはその誘導体のような環状部分を表し;
L
4、L
5、L
6およびL
7はそれぞれの出現に対して、独立して、存在しないかまたはリンカー基を表してよく;
DおよびD’はそれぞれの出現に対して、独立して、同じまたは異なる治療剤を表し;
TおよびT’はそれぞれの出現に対して、独立して、同じまたは異なる標的化リガンドまたはその前駆体を表し;
fおよびyはそれぞれの出現に対して、独立して、1〜10(好ましくは、1〜8、1〜5または1〜3)の範囲の整数を表し;
gおよびzはそれぞれの出現に対して、独立して、0〜10(好ましくは、0〜8、0〜5、0〜3または0〜約2)の範囲の整数を表し;
hは、1〜30,000、例えば、4〜100、4〜50、4〜25、4〜15、6〜100、6〜50、6〜25および6〜15(好ましくは、<25,000、<20,000、<15,000、<10,000、<5,000、<1,000、<500、<100、<50、<25、<20、<15、<10または<5)の範囲の整数を表し、
少なくとも1個(および好ましくは、少なくとも5個、10個または少なくとも20個、50個もしくは100個)のgの出現が、1以上の整数を表す。
【0256】
いくつかの実施形態では、1つのgが0であり、1つのgが1〜10である。いくつかの実施形態では、1つのzが0であり、1つのzが1〜10である。
【0257】
好ましくは、ポリマーは複数のDまたはD’部分を有する。いくつかの実施形態では、ポリマー反復単位の少なくとも50%が、少なくとも1つのDまたはD’を有する。いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の治療剤部分を、別の種類の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0258】
好適な実施形態では、L4およびL7はリンカー基を表す。
【0259】
特定のそのような実施形態では、CDPは、環状構造を、例えば直鎖状または分岐状ポリマー、好ましくは直鎖状ポリマー内に結合させるリンカー部分と交互に存在する環状部分を含む。環状部分は、任意の適切な環状構造、例えばシクロデキストリン、クラウンエーテル(例えば、18−クラウン−6、15−クラウン−5、12−クラウン−4など)、環状オリゴペプチド(例えば、5〜10個のアミノ酸残基を含む)、クリプタンドまたはクリプテート(例えば、クリプタンド[2.2.2]、クリプタンド−2,1,1およびその複合体)、カリックスアレーンまたはキャビタンド、またはそれらの任意の組合せなどであり得る。好ましくは、環状構造は水溶性である(または水溶性になるように修飾されている)。特定の実施形態では、例えば、直鎖状ポリマーの調製のために、例えば、直鎖状ポリマーの調製のために、重合条件下で各環状構造のちょうど2つの部分がリンカー部分と反応し、得られたポリマーが、交互に連続する環状部分とリンカー部分、例えば少なくとも4つの各種の部分などを含む(または実質的にその部分からなる)ように環状構造を選択する。適切な二官能性の環状部分には、市販である、および/または公開されているプロトコールを用いる調製に従った数多くのものがある。特定の実施形態では、コンジュゲートは、少なくとも0.1g/mL、好ましくは少なくとも0.25g/mLの濃度まで水に溶解可能である。
【0260】
したがって、特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の治療剤の薬物送達用に設計された、治療用シクロデキストリン含有ポリマー化合物の新規組成物に関する。特定の実施形態では、上記CDPは、in vivoで使用した場合に、治療剤の薬物安定性および/または溶解性を向上させる、ならびに/あるいは毒性を減少させる、ならびに/あるいは有効性を向上させる。さらに、各種のリンカー基および/または標的化リガンドから選択することにより、送達制御のためにCDPからの治療剤の放出速度を弱めることができる。
【0261】
治療剤がポリマーと共有結合している各種直鎖状、分岐状またはグラフト化CDPが本明細書に開示される。特定の実施形態では、治療剤は、生加水分解性の結合、例えば、エステル、アミド、カルバミン酸エステルまたは炭酸エステルを介して共有結合により連結している。治療剤および任意の標的化リガンドを付加するための直鎖状、分岐状またはグラフト化シクロデキストリン含有ポリマー(CDP)を合成するための一般的なストラテジーは、その内容全体が参照により組み込まれる、米国特許第7,270,808号、同第6,509,323号、同第7,091,192号、同第6,884,789号、米国特許出願公開第20040087024号、同第20040109888号および同第20070025952号に記載されている。
図1に示されるように、一般的なストラテジーを用いて、治療剤、例えば、細胞毒性薬、例えばトポイソメラーゼ阻害剤、例えばトポイソメラーゼI阻害剤(例えば、カンプトテシン、イリノテカン、SN−38、トポテカン、ラメラリンD、ルロテカン(lurotecan)、エクサテカン、ジフロモテカンもしくはそれらの誘導体)もしくはトポイソメラーゼII阻害剤(例えば、エトポシド、テノポシド、アムサクリンもしくはそれらの誘導体)、代謝拮抗剤(例えば、葉酸代謝拮抗剤(例えば、ペメトレキセド、フロクスウリジンもしくはラルチトレキセド)もしくはピリミジンコンジュゲート(例えば、カペシタビン、シタラビン、ゲムシタビンもしくは5FU))、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗腫瘍抗生物質(例えば、HSP90阻害剤、例えばゲルダナマイシン)、白金系薬剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチンもしくはオキサリプラチン)、微小管阻害剤、キナーゼ阻害剤(例えば、セロニン(seronine)/スレオニンキナーゼ阻害剤、例えばmTOR阻害剤、例えばラパマイシン)またはプロテアソーム阻害剤の送達のための各種の異なるシクロデキストリン含有ポリマーを得ることができる。得られたCDPを
図1のポリマー(A)〜(L)として図示する。一般的に、式中、Rは治療剤またはOHであり得るが、ポリマー中の少なくとも1つのRが治療剤である、例えば付加量がゼロではないことが必要である。一般的に、m、nおよびoは、存在すれば、独立して1〜1000、例えば1〜500、例えば1〜100、例えば1〜50、例えば1〜25、例えば10〜20、例えば約14である。
【0262】
特定の実施形態では、CDPは直鎖状シクロデキストリン含有ポリマーを含み、例えば、ポリマー主鎖がシクロデキストリン部分を含む。例えば、ポリマーは水溶性の直鎖状シクロデキストリンポリマーであってよく、このようなポリマーは、ちょうど2つの位置のそれぞれに1つの反応部位を有するように修飾された少なくとも1つのシクロデキストリン誘導体を準備し、そのシクロデキストリン誘導体を、リンカーとシクロデキストリン誘導体の間に共有結合を形成するための反応部位と反応部分との反応を促進する重合条件下で、その反応部位と共有結合を形成することができるちょうど2つの反応部分を有するリンカーと反応させて、シクロデキストリン誘導体とリンカーが交互に存在する単位を含む直鎖状ポリマーを生成することにより作製される。あるいは、ポリマーは、直鎖状ポリマー主鎖を有する、水溶性の直鎖状シクロデキストリンポリマーであってもよく、このポリマーは、直鎖状ポリマー主鎖内に複数の置換または非置換シクロデキストリン部分およびリンカー部分を含み、ポリマー鎖末端のシクロデキストリン部分以外の各シクロデキストリン部分が前記リンカー部分のうちの2つと結合し、各リンカー部分が2つのシクロデキストリン部分を共有結合により連結している。さらに別の実施形態では、ポリマーは、複数のリンカー部分により互いに共有結合的に連結している複数のシクロデキストリン部分を含む、水溶性の直鎖状シクロデキストリンポリマーであり、ポリマー鎖末端のシクロデキストリン部分以外の各シクロデキストリン部分が2つのリンカー部分と結合して、直鎖状シクロデキストリンポリマーを形成している。
【0263】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは、シクロデキストリン部分と、シクロデキストリン部分を含まないコモノマー(コモノマー)と、複数のトポイソメラーゼ阻害剤とを含む水溶性の直鎖状ポリマーコンジュゲートを含み、少なくとも4つ、5つ、6つ、7つ、8つなどのシクロデキストリン部分および少なくとも4つ、5つ、6つ、7つ、8つなどのコモノマーを含む。いくつかの実施形態では、治療剤は本明細書に記載の治療剤であり、例えば、CDP−治療剤コンジュゲートは、CDP−細胞毒性薬コンジュゲート、例えばCDP−トポイソメラーゼ阻害剤コンジュゲート、例えばCDP−トポイソメラーゼ阻害剤Iコンジュゲート(例えば、CDP−カンプトテシンコンジュゲート、CDP−イリノテカンコンジュゲート、CDP−SN−38コンジュゲート、CDP−トポテカンコンジュゲート、CDP−ラメラリンDコンジュゲート、CDP−ルロテカン(lurotecan)コンジュゲート、粒子もしくは組成物、CDP−エクサテカンコンジュゲート、粒子もしくは組成物、CDP−ジフロモテカンコンジュゲート、粒子もしくは組成物、ならびにカンプトテシン、イリノテカン、SN−38、ラメラリンD、ルロテカン(lurotecan)、エクサテカンおよびジフロモテカンの誘導体を含むCDP−トポイソメラーゼI阻害剤コンジュゲート)、CDP−トポイソメラーゼII阻害剤コンジュゲート(例えば、CDP−エトポシドコンジュゲート、CDP−テノポシドコンジュゲート、CDP−アムサクリンコンジュゲート、ならびにエトポシド、テノポシドおよびアムサクリンの誘導体を含むCDP−トポイソメラーゼII阻害剤コンジュゲート)、CDP−代謝拮抗剤コンジュゲート(例えば、CDP−葉酸代謝拮抗剤コンジュゲート(例えば、CDP−ペメトレキセドコンジュゲート、CDP−フロクスウリジンコンジュゲート、CDP−ラルチトレキセドコンジュゲート)もしくはCDP−ピリミジン類似体コンジュゲート(例えば、CDP−カペシタビンコンジュゲート、CDP−シタラビンコンジュゲート、CDP−ゲムシタビンコンジュゲート、CDP−5FUコンジュゲート))、CDP−アルキル化剤コンジュゲート、CDP−アントラサイクリンコンジュゲート、CDP−抗腫瘍抗生物質コンジュゲート(例えば、CDP−HSP90阻害剤コンジュゲート、例えばCDP−ゲルダナマイシンコンジュゲート、CDP−タネスピマイシンコンジュゲートもしくはCDP−アルベスピマイシンコンジュゲート)、CDP−白金系薬剤コンジュゲート(例えば、CDP−シスプラチンコンジュゲート、CDP−カルボプラチンコンジュゲート、CDP−オキサリプラチンコンジュゲート)、CDP−微小管阻害剤コンジュゲート、CDP−キナーゼ阻害剤コンジュゲート(例えば、CDP−セロニン(seronine)/スレオニンキナーゼ阻害剤コンジュゲート、例えばCDP−mTOR阻害剤コンジュゲート、例えばCDP−ラパマイシンコンジュゲート)、またはCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲート(例えば、CDP−ボロン酸含有分子コンジュゲート、例えばCDP−ボルテゾミブコンジュゲート)、またはCDP−免疫調節剤コンジュゲート(例えば、CDP−副腎皮質ステロイド剤もしくはCDP−ラパマイシン類似体コンジュゲート)である。
【0264】
治療剤は、ヒドロキシル基または必要に応じてアミノ基のような官能基を介してCDPと結合し得る。
【0265】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の1種類の治療剤を、別の異なる種類の治療剤、例えば別の抗癌剤または抗炎症剤に置き換え得る。
【0266】
いくつかの実施形態では、最小限の4つのシクロデキストリン部分と少なくとも4つのコモノマーが、CDP−治療剤コンジュゲート中に交互に存在する。いくつかの実施形態では、治療剤が生物学的下で前記CDP−治療剤コンジュゲートから切断されて、治療剤が遊離する。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分は、治療剤が連結しているリンカーを含む。いくつかの実施形態では、治療剤はリンカーを介して結合している。
【0267】
いくつかの実施形態では、コモノマーは、シクロデキストリンモノマーの反応ひいては連結が行われる少なくとも2つの官能基の残基を含む。いくつかの実施形態では、各コモノマーの官能基は、同じであっても異なっていても、また末端にあっても内側にあってもよく、アミノ、酸、イミダゾール、ヒドロキシル、チオ、ハロゲン化アシル、−HC=CH−、−C≡C−基またはそれらの誘導体を含む。いくつかの実施形態では、2つの官能基は同じであり、コモノマー前駆体の末端に位置する。いくつかの実施形態では、コモノマーは、治療剤の反応ひいては連結が行われる少なくとも1つの官能基を有する1つ以上のペンダント基を含む。いくつかの実施形態では、各コモノマーペンダント基の官能基は、同じであっても異なっていても、また末端にあっても内側にあってもよく、アミノ、酸、イミダゾール、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン化アシル、エチレン、エチン基またはそれらの誘導体を含む。いくつかの実施形態では、ペンダント基は、置換もしくは非置換の分岐状、環状もしくは直鎖状C1〜C10アルキル、または鎖もしくは環内に1つ以上のヘテロ原子を任意に含むアリールアルキルである。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分は、アルファ、ベータまたはガンマシクロデキストリン部分を含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、CDP−治療剤コンジュゲートの少なくとも5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%または35重量%である。
【0268】
いくつかの実施形態では、コモノマーは分子量3,400Daのポリエチレングリコールを含み、シクロデキストリン部分はベータ−シクロデキストリンを含み、CDP−治療剤コンジュゲート(例えば、CDP−トポイソメラーゼ阻害剤コンジュゲート)上のトポイソメラーゼ阻害剤のような治療剤の理論的な最大付加量は25重量%(例えば、20重量%、15重量%、13重量%または10重量%)であり、治療剤(例えば、トポイソメラーゼ阻害剤)はCDP−治療剤コンジュゲート(例えば、CDP−トポイソメラーゼ阻害剤コンジュゲート)の4〜20重量%(例えば、6〜10重量%)である。いくつかの実施形態では、治療剤(例えば、トポイソメラーゼ阻害剤)は水に難溶性である。いくつかの実施形態では、治療剤(例えば、トポイソメラーゼ阻害剤)の溶解度は、生理pHにおいて5mg/ml未満である。いくつかの実施形態では、治療剤(例えば、トポイソメラーゼ阻害剤)は、logP>0.4、>0.6、>0.8、>1、>2、>3、>4または>5の疎水性化合物である。
【0269】
いくつかの実施形態では、治療剤は、第二の化合物(例えば、リンカー)を介してCDPと結合している。
【0270】
いくつかの実施形態では、対象へのCDP−治療剤コンジュゲートの投与により、少なくとも6時間にわたる治療剤の放出がもたらされる。いくつかの実施形態では、対象へのCDP−治療剤コンジュゲートの投与により、2時間、3時間、5時間、6時間、8時間、10時間、15時間、20時間、1日、2日、3日、4日、7日、10日、14日、17日、20日、24日、27日、最大1ヶ月にわたる治療剤の放出がもたらされる。いくつかの実施形態では、対象へのCDP−治療剤コンジュゲートの投与の際に、治療剤放出の速度は、酵素的切断ではなく主として加水分解の速度に依存する。
【0271】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは10,000〜500,000Da(例えば、20,000〜300,000、30,000〜200,000、または40,000〜200,000、または50,000〜100,000)の分子量を有する。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分は、CDP−治療剤コンジュゲートの少なくとも約2重量%、5重量%、10重量%、20重量%、30重量%、50重量%または80重量%を占める。
【0272】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートを、ちょうど2つの位置のそれぞれに1つの反応部位を有するように修飾されたシクロデキストリン部分前駆体を準備し、そのシクロデキストリン部分前駆体を、コモノマーとシクロデキストリン部分の間に共有結合を形成するための反応部位と反応部分との反応を促進する重合条件下で、その反応部位と共有結合を形成することができるちょうど2つの反応部分を有するコモノマー前駆体と反応させて、交互に存在するシクロデキストリン部分とコモノマーの単位を含むCDPを生成することを含む方法により作製する。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分前駆体が組成物中にあり、その組成物は、反応部位を有するように修飾された2つの位置以外の位置を有するシクロデキストリン部分(例えば、反応部位を有するように修飾された1、3、4、5、6または7つの位置を有するシクロデキストリン部分)を実質的に有さない。
【0273】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートのコモノマーは、アルキレン鎖、ポリ無水コハク酸、ポリ−L‐グルタミン酸、ポリ(エチレンイミン)、オリゴ糖およびアミノ酸鎖からなる群より選択される部分を含む。いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートコモノマーは、ポリエチレングリコール鎖を含む。いくつかの実施形態では、コモノマーは、ポリグリコール酸およびポリ乳酸鎖から選択される部分を含む。いくつかの実施形態では、コモノマーは、1つ以上のメチレン基が任意に基Yにより置き換わっている(ただし、どのYも互いに隣接していない)ヒドロカルビレン基を含み、各Yはそれぞれ独立して、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、または−O−、C(=X)(式中、XはNR
1、OまたはSである)、−OC(O)−、−C(=O)O、−NR
1−、−NR
1CO−、−C(O)NR
1−、−S(O)
n−(式中、nは0、1または2である)、−OC(O)−NR
1、−NR
1−C(O)−NR
1−、−NR
11−C(NR
1)−NR
1−および−B(OR
1)−から選択され;R1はそれぞれの出現に対して、独立して、Hまたは低級アルキルを表す。
【0274】
いくつかの実施形態では、CDP−ト治療剤コンジュゲートは、複数のD部分が結合した下式のポリマーであり:
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
式中、Lはそれぞれ独立してリンカーであり、Dはそれぞれ独立して治療剤、そのプロドラッグ誘導体であるか、または存在せず;コモノマーはそれぞれ独立して、本明細書に記載のコモノマーであり、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であり、ただし、ポリマーは少なくとも1つの治療剤を、またいくつかの実施形態では、少なくとも2つの治療剤を含む。いくつかの実施形態では、コモノマーの分子量は約2000〜約5000Da(例えば、約3000〜約4000Da(例えば、約3400Da))である。
【0275】
いくつかの実施形態では、治療剤は本明細書に記載の治療剤である。治療剤は、ヒドロキシル基または必要に応じてアミノ基のような官能基を介してCDPと結合し得る。いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の治療剤を、別の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0276】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは、複数のD部分が結合した下式のポリマーであり:
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
式中、Lはそれぞれ独立してリンカーであり、Dはそれぞれ独立して治療剤、そのプロドラッグ誘導体であるか、または存在せず、ただし、ポリマーは少なくとも1つの治療剤を、またいくつかの実施形態では、少なくとも2つの治療剤を含み;基
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
は3400Da以下の分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。
【0277】
いくつかの実施形態では、治療剤は本明細書に記載の治療剤である。治療剤は、ヒドロキシル基または必要に応じてアミノ基のような官能基を介してCDPと結合し得る。いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の治療剤を、別の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0278】
いくつかの実施形態では、すべてのL部分がD部分と結合しているわけでない、すなわち、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのDが存在しない。いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートへのD部分の付加量は、約1〜約50%(例えば、約1〜約40%、約1〜約25%、約5〜約20%または約5〜約15%)である。いくつかの実施形態では、Lはそれぞれ独立して、アミノ酸またはその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、Lはそれぞれ独立して、複数のアミノ酸またはその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、Lはそれぞれ独立して、ジペプチドまたはその誘導体を含む。一実施形態では、Lは、アラニン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、アスパルガニン(asparganine)、グルタミン、システイン、グリシン、プロリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンのうちの1つ以上である。
【0279】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは、複数のL−D部分が結合した下式のポリマーであり:
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
式中、Lはそれぞれ独立してリンカーであるか、または存在せず、Dはそれぞれ独立して本明細書に記載の治療剤、そのプロドラッグ誘導体であるか、または存在せず、基
【化19】
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は3400Da以下の分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であり、ただし、ポリマーは少なくとも1つの治療剤を、またいくつかの実施形態では、少なくとも2つの治療剤を含む。
【0280】
いくつかの実施形態では、すべてのC(=O)部分がL−D部分と結合しているわけでない、すなわち、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのLおよび/またはDが存在しない。いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートへのL、Dおよび/またはL−D部分の付加量は、約1〜約50%(例えば、約1〜約40%、約1〜約25%、約5〜約20%または約5〜約15%)である。いくつかの実施形態では、Lはそれぞれ独立して、アミノ酸またはその誘導体である。いくつかの実施形態では、Lはそれぞれ独立して、グリシンまたはその誘導体である。
【0281】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の治療剤を、別の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0282】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは、下式を有するポリマーであり:
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
式中、Dはそれぞれ独立して本明細書に記載の治療剤、そのプロドラッグ誘導体であるか、または存在せず、基
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
は3400Da以下の分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であり、ただし、ポリマーは少なくとも1つの治療剤を、またいくつかの実施形態では、少なくとも2つの治療剤を含む。
【0283】
いくつかの実施形態では、すべてのC(=O)部分が
【化22】
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部分と結合しているわけでない、すなわち、いくつかの実施形態では、
【化23】
[この文献は図面を表示できません]
は存在せず、ただし、ポリマーは、少なくとも1つの治療剤を、またいくつかの実施形態では、少なくとも2つの治療剤を含む。いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートへの
【化24】
[この文献は図面を表示できません]
部分の付加量は、約1〜約50%(例えば、約1〜約40%、約1〜約25%、約5〜約20%または約5〜約15%)である。
【0284】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の治療剤を、別の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0285】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは、治療剤および少なくとも1つの追加の治療剤(例えば、第一と第二の治療剤が異なる治療剤である第一と第二の治療剤)を含む。例えば、本明細書に記載の治療剤およびもう1つの異なる抗癌剤、免疫抑制剤、抗生物質または抗炎症剤を、任意のリンカーを介してポリマー上にグラフトし得る。異なる薬物に対して異なるリンカーを選択することにより、各薬物の放出を弱めて最大の用量および有効性を達成し得る。
【0286】
シクロデキストリン
特定の実施形態では、シクロデキストリン部分は、CDPの少なくとも約2重量%、5重量%または10重量%、最大で20重量%、30重量%、50重量%または80重量%を占める。特定の実施形態では、治療剤または標的化リガンドは、CDPの少なくとも約1重量%、5重量%、10重量%または5重量%、20重量%、25重量%、30重量%または35重量%を占める。数平均分子量(M
n)も大きく変化し得るが、一般的には、約1,000〜約500,000ダルトン、好ましくは約5000〜約200,000ダルトン、さらにより好ましくは約10,000〜約100,000の範囲にある。最も好ましくは、M
nは約12,000〜65,000ダルトンの間で変化する。特定の他の実施形態では、M
nは約3000〜150,000ダルトンの間で変化する。対象ポリマーの所与の試料内で、広範囲の分子量が存在し得る。例えば、試料内の分子は、2、5、10、20、50、100以上の倍数だけ異なる分子量または平均分子量と2、5、10、20、50、100以上の倍数だけ異なる分子量を有し得る。例示的なシクロデキストリン部分は、実質的に7〜9個のシクロデキストリンまたは酸化シクロデキストリンのような糖部分からなる環状構造を含む。シクロデキストリン部分は、環状構造とポリマー主鎖の間で共有結合を形成し、好ましくは、例えばジカルボン酸誘導体(例えばグルタル酸誘導体、コハク酸誘導体など)を含めたアルキル鎖およびオリゴエチレングリコール鎖のようなヘテロアルキル鎖などの鎖内に1〜20個の原子を有するリンカー部分を任意に含む。
【0287】
シクロデキストリンは、α−(1,4)結合の天然のD−(+)−グルコピラノース単位を含む環状多糖である。最も一般的なシクロデキストリンは、それぞれ6、7または8個のグルコピラノース単位を含むアルファ(α)−シクロデキストリン、ベータ(β)−シクロデキストリンおよびガンマ(γ)−シクロデキストリンである。構造的には、シクロデキストリンの環状性により円環またはドーナツ様の形状が形成され、そこには内部の無極性または疎水性の空洞、シクロデキストリン円環の片側に位置する二級ヒドロキシル基およびその反対側に位置する一級ヒドロキシル基が存在している。したがって、例として(β)−シクロデキストリンを用いれば、シクロデキストリンは多くの場合、
図2のように図示される。シクロデキストリンを表す台形上の結合は、その部分がシクロデキストリン上の一級ヒドロキシル基を介して結合しているのかを、すなわち、台形の下底を介した結合を図示することにより、またはその部分がシクロデキストリン上の二級ヒドロキシル基を介して結合しているのかを、すなわち、台形の上底を介した結合を図示することにより図示しているだけである。例えば、2つの部分が下底の右端および左端に結合している台形は、シクロデキストリン環周囲でのその部分の相対位置に関しては何も示していない。その部分の結合は、シクロデキストリン環内の任意のグルコピラノース上であり得る。シクロデキストリン環上での2つの部分の例示的な相対位置は以下のものを含む:シクロデキストリン上での誘導体化がAおよびDグルコピラノース部分上にくるような位置にある部分、シクロデキストリン上での誘導体化がAおよびCグルコピラノース部分上にくるような位置にある部分、シクロデキストリン上での誘導体化がAおよびFグルコピラノース部分上にくるような位置にある部分、またはシクロデキストリン上での誘導体化がAおよびEグルコピラノース部分上にくるような位置にある部分。
【0288】
二級ヒドロキシル基が位置する側は、一級ヒドロキシルが位置する側よりも直径が大きい。本発明は、一級および/または二級ヒドロキシル基上でのシクロデキストリン部分との共有結合を企図する。シクロデキストリン内腔の疎水性により、各種の化合物、例えばアダマンタンのホスト−ゲスト包接錯体形成が可能となる(Comprehensive Supramolecular Chemistry,Volume 3,J.L.Atwoodら,編,Pergamon Press(1996);T.Cserhati,Analytical Biochemistry,225:328−332(1995);Husainら,Applied Spectroscopy,46:652−658(1992);FR 2 665 169)。ポリマーを修飾するためのさらなる方法は、Suh,J.およびNoh,Y.,Bioorg.Med.Chem.Lett.1998,8,1327−1330に開示されている。
【0289】
特定の実施形態では、化合物はシクロデキストリン部分を含み、CDP−治療剤コンジュゲートの少なくとも1つまたは複数のシクロデキストリン部分が酸化されている。特定の実施形態では、ポリマー鎖内でPのシクロデキストリン部分がリンカー部分と交互に存在する。
【0290】
コモノマー
シクロデキストリン部分に加え、CDPはコモノマー、例えば本明細書に記載のコモノマーも含み得る。いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートのコモノマーは、アルキレン鎖、ポリ無水コハク酸、ポリ−L−グルタミン酸、ポリ(エチレンイミン)、オリゴ糖およびアミノ酸鎖からなる群より選択される部分を含む。いくつかの実施形態では、CDP−トポイソメラーゼ阻害剤コンジュゲートコモノマーは、ポリエチレングリコール鎖を含む。いくつかの実施形態では、コモノマーは、ポリグリコール酸およびポリ乳酸鎖から選択される部分を含む。いくつかの実施形態では、コモノマーは、1つ以上のメチレン基が基Yにより任意に置き換わっている(ただし、どのY基も互いに隣接していない)ヒドロカルビレン基を含み、各Yはそれぞれの出現に対して、独立して、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたは−O−、C(=X)(式中、XはNR
1、OまたはSである)、−OC(O)−、−C(=O)O、−NR
1−、−NR
1CO−、−C(O)NR
1−、−S(O)
n−(式中、nは0、1または2である)、−OC(O)−NR
1、−NR
1−C(O)−NR
1−、−NR
11−C(NR
1)−NR
1−および−B(OR
1)−から選択され;R
1はそれぞれの出現に対して、独立して、Hまたは低級アルキルを表す。
【0291】
いくつかの実施形態では、コモノマーは、本明細書に記載のリンカーのようなリンカーであり得る、および/またはそれを含み得る。
【0292】
リンカー/テザー
本明細書に記載のCDPは、1つ以上のリンカーを含み得る。いくつかの実施形態では、リンカーは、本明細書に記載の治療剤とCDPを連結し得る。いくつかの実施形態では、例えば、治療剤とCDPを連結するリンカーに関して述べる場合、リンカーはテザーとも呼ばれ得る。
【0293】
特定の実施形態では、複数のリンカー部分が治療剤またはそのプロドラッグと結合し、生物学的条件下で切断される。
【0294】
生物学的条件下で切断されて治療剤が遊離する結合を介して治療剤と共有結合したCDPを含む、CDP−治療剤コンジュゲートが本明細書に記載されている。特定の実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは、テザー、例えばリンカーを介してポリマー、好ましくは生体適合性ポリマーと共有結合した治療剤を含み、テザーは、テザー内で、例えば、ポリマーと治療剤の間で互いに共有結合した選択性決定部分および自己環化部分を含む。
【0295】
いくつかの実施形態では、このような治療剤は、1つ以上のヘテロ原子を含む官能基、例えば、ヒドロキシ、チオール、カルボキシ、アミノおよびアミド基を介して、CDPと共有結合している。このような基は、本明細書に記載のリンカー基、例えば生分解性のリンカー基を介して、および/またはテザー、例えば互いに共有結合した選択性決定部分および自己環化部分を含むテザーなどを介して、対象ポリマーと共有結合し得る。
【0296】
特定の実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは、自己環化部分を含むテザーを介してCDPと共有結合している治療剤を含む。いくつかの実施形態では、テザーは選択性決定部分をさらに含む。したがって、本発明の一態様は、互いに共有結合した選択性決定部分および自己環化部分を含むテザーを介して、ポリマー、好ましくは生体適合性ポリマーと共有結合している治療剤を含むポリマーコンジュゲートに関する。
【0297】
いくつかの実施形態では、選択性決定部分は、自己環化部分とCDPの間で自己環化部分と結合している。
【0298】
特定の実施形態では、選択性決定部分は、選択性決定部分と自己環化部分の間の結合の切断における選択性を促進する部分である。このような部分は、例えば、選択性決定部分と自己環化部分の間の酵素的切断を促進し得る。あるいは、このような部分は、酸性条件または塩基性条件下で、選択性決定部分と自己環化部分の間の切断を促進し得る。
【0299】
特定の実施形態では、本発明は、上記の任意の組合せを企図する。当業者は、例えば、任意のリンカーと組み合わせた本明細書に記載の任意の治療剤(例えば、自己環化部分、任意の選択性決定部分および/または本明細書に記載の任意の治療剤)が本発明の範囲内にあることを理解するであろう。
【0300】
特定の実施形態では、酸性条件下で結合が切断されるように選択性決定部分を選択する。
【0301】
特定の実施形態では、塩基性条件下で結合が切断されるように選択性決定部分を選択する場合、選択性決定部分はアミノアルキルカルボニルオキシアルキル部分である。特定の実施形態では、選択性決定部分は構造
【化25】
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を有する。
【0302】
特定の実施形態では、結合が酵素的に切断されるように選択性決定部分を選択する場合、特定の酵素または酵素のクラスが結合を切断するようにそれを選択し得る。特定の好適な上記実施形態では、結合がカテプシン、好ましくはカテプシンBにより切断されるように選択性決定部分を選択し得る。
【0303】
特定の実施形態では、選択性決定部分はペプチド、好ましくはジペプチド、トリペプチドまたはテトラペプチドを含む。特定の上記実施形態では、ペプチドは、KFおよびFKから選択されるジペプチドである。特定の実施形態では、ペプチドは、GFA、GLA、AVA、GVA、GIA、GVL、GVFおよびAVFから選択されるトリペプチドである。特定の実施形態では、ペプチドは、GFYAおよびGFLGから選択されるテトラペプチド、好ましくはGFLGである。
【0304】
特定の上記実施形態では、選択性決定部分と自己環化部分の間の結合がカテプシン、好ましくはカテプシンBにより切断されるように、GFLGのようなペプチドを選択する。
【0305】
特定の実施形態では、選択性決定部分は、式A:
【化26】
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により表され、式中、
Sはジスルフィド結合の一部である硫黄原子であり;
Jは任意に置換されているヒドロカルビルであり;
QはOまたはNR
13であり、R
13は水素またはアルキルである。
【0306】
特定の実施形態では、Jは、ポリエチレングリコール、ポリエチレン、ポリエステル、アルケニルまたはアルキルであり得る。特定の実施形態では、Jは、基Yにより任意に置き換わっている(ただし、どのY基も互いに隣接していない)1つ以上のメチレン基を含むヒドロカルビレン基を表し得、各Yはそれぞれの出現に対して、独立して、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、または−O−、C(=X)(式中、XはNR
30、OまたはSである)、−OC(O)−、−C(=O)O、−NR
30−、−NR1CO−、−C(O)NR
30−、−S(O)
n−(式中、nは0、1または2である)、−OC(O)−NR
30、−NR
30−C(O)−NR
30−、−NR
30−C(NR
30)−NR
30−および−B(OR
30)−から選択され;R
30はそれぞれの出現に対して、独立して、Hまたは低級アルキルを表す。特定の実施形態では、Jは、置換または非置換低級アルキレン、例えばエチレンなどであり得る。例えば、選択性決定部分は
【化27】
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であり得る。
【0307】
特定の実施形態では、選択性決定部分は、式B:
【化28】
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により表され、式中、
Wは、直接結合であるか、または低級アルキル、NR
14、S、Oから選択され;
Sは硫黄であり;
Jは、それぞれの出現に対して、独立して、ヒドロカルビルまたはポリエチレングリコールであり;
QはOまたはNR
13であり、R
13は水素またはアルキルであり;
R
14は水素およびアルキルから選択される。
【0308】
特定の上記実施形態では、Jは、置換または非置換低級アルキル、例えばメチレンなどであり得る。特定の上記実施形態では、Jはアリール環であり得る。特定の実施形態では、アリール環はベンゾ環である。特定の実施形態では、WおよびSは、アリール環上で1,2の関係にある。特定の実施形態では、アリール環は、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、アジド、−NR
xR
x、−CO
2OR
x、−C(O)−NR
xR
x、−C(O)−R
x、−NR
x−C(O)−R
x、−NR
xSO
2R
x、−SR
x、−S(O)R
x、−SO
2R
x、−SO
2NR
xR
x、−(C(R
x)
2)
n−OR
x、−(C(R
x)
2)
n−NR
xR
xおよび−(C(R
x)
2)
n−SO
2R
xで任意に置換されており;R
xはそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルであり;nはそれぞれ独立して、0〜2の整数である。
【0309】
特定の実施形態では、アリール環は、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アラルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロゲン、−CN、アジド、−NR
xR
x、−CO
2OR
x、−C(O)−NR
xR
x、−C(O)−R
x、−NR
x−C(O)−R
x、−NR
xSO
2R
x、−SR
x、−S(O)R
x、−SO
2R
x、−SO
2NR
xR
x、−(C(R
x)
2)
n−OR
x、−(C(R
x)
2)
n−NR
xR
xおよび−(C(R
x)
2)
n−SO
2R
xで任意に置換されており;R
xはそれぞれの出現に対して、独立して、Hまたは低級アルキルであり;nはそれぞれの出現に対して、独立して、0〜2の整数である。
【0310】
特定の実施形態では、Jはそれぞれの出現に対して、独立して、ポリエチレングリコール、ポリエチレン、ポリエステル、アルケニルまたはアルキルである。
【0311】
特定の実施形態では、リンカーはそれぞれの出現に対して、独立して、基Yにより任意に置き換わっている(ただし、どのY基も互いに隣接していない)1つ以上のメチレン基を含むヒドロカルビレン基を含み、各Yはそれぞれの出現に対して、独立して、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、または−O−、C(=X)(式中、XはNR
30、OまたはSである)、−OC(O)−、−C(=O)O、−NR
30−、−NR1CO−、−C(O)NR
30−、−S(O)
n−(式中、nは0、1または2である)、−OC(O)−NR
30、−NR
30−C(O)−NR
30−、−NR
30−C(NR
30)−NR
30−および−B(OR
30)−から選択され;R
30はそれぞれの出現に対して、独立して、Hまたは低級アルキルを表す。
【0312】
特定の実施形態では、Jはそれぞれの出現に対して、独立して、置換または非置換低級アルキレンである。特定の実施形態では、Jはそれぞれの出現に対して、独立して、置換または非置換エチレンである。
【0313】
特定の実施形態では、選択性決定部分は
【化29】
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から選択される。選択性決定部分は、ジスルフィド基のような、特定の条件下で切断可能な結合を有する基を含み得る。特定の実施形態では、選択性決定部分は、例えば、ジスルフィド基と結合したアリールおよび/またはアルキル基(1つまたは複数)を含む、ジスルフィド含有部分を含む。特定の実施形態では、選択性決定部分は、構造:
【化30】
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を有し、式中、
Arは置換または非置換ベンゾ環であり;
Jは任意に置換されているヒドロカルビルであり;
QはOまたはNR
13であり、R
13は水素またはアルキルである。
【0314】
特定の実施形態では、Arは非置換である。特定の実施形態では、Arは1,2−ベンゾ環である。例えば、式B内の適切な部分としては、
【化31】
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が挙げられる。
【0315】
特定の実施形態では、選択性決定部分と自己環化部分の間の結合切断の際に環化が生じて治療剤が遊離するように、自己環化部分を選択する。このような切断−環化−遊離カスケードは、別々の段階で逐次的に、または実質的に同時に生じ得る。したがって、特定の実施形態では、切断と自己環化の間に時間的および/または空間的な差があり得る。自己環化カスケードの速度はpHによって決まり、例えば、塩基性pHにより切断後の自己環化の速度が増加し得る。自己環化は、in vivoでの導入後の半減期が、24時間、18時間、14時間、10時間、6時間、3時間、2時間、1時間、30分、10分、5分または1分であり得る。
【0316】
特定の上記実施形態では、環化の際に5または6員環、好ましくは5員環が形成されるように、自己環化部分を選択し得る。特定の上記実施形態では、5または6員環は、酸素、窒素または硫黄から選択される少なくとも1個、好ましくは少なくとも2個のヘテロ原子を含み、このヘテロ原子は同じであっても異なっていてもよい。特定の上記実施形態では、複素環は、少なくとも1個、好ましくは2個の窒素を含む。特定の上記実施形態では、自己環化部分は、環化してイミダゾリドンを形成する。
【0317】
特定の実施形態では、自己環化部分は、構造:
【化32】
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を有し、式中、
UはNR
1およびSから選択され;
Xは、O、NR
5およびS、好ましくはOまたはSから選択され;
Vは、O、SおよびNR
4、好ましくはOまたはNR
4から選択され;
R
2およびR
3は独立して、水素、アルキルおよびアルコキシから選択されるか;あるいはR
2およびR
3は、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成し;
R
1、R
4およびR
5は独立して、水素およびアルキルから選択される。
【0318】
特定の実施形態では、UはNR
1であり、/またはVはNR
4であり、R
1およびR
4は独立して、メチル、エチル、プロピルおよびイソプロピルから選択される。特定の実施形態では、R
1およびR
4は共にメチルである。特定の実施形態では、R
2およびR
3は共に水素である。特定の実施形態では、R
2およびR
3は独立して、アルキル、好ましくは低級アルキルである。特定の実施形態では、R
2およびR
3は共に−(CH
2)
n−であり、式中、nは3または4であって、シクロペンチルまたはシクロヘキシル環を形成する。特定の実施形態では、R
2およびR
3の性質が自己環化部分の環化率に影響し得る。特定の上記実施形態では、R
2およびR
3が、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成する場合の環化率は、R
2およびR
3が、独立して水素、アルキルおよびアルコキシから選択される場合の環化率よりも高いであろうことが予想される。特定の実施形態では、Uは自己環化部分と結合している。
【0319】
特定の実施形態では、自己環化部分は、
【化33】
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から選択される。
【0320】
特定の実施形態では、選択性決定部分は、カルボニル−ヘテロ原子結合、例えば、アミド、カルバマート、カルボナート、エステル、チオエステルおよび尿素結合を介して自己環化部分と結合し得る。
【0321】
特定の実施形態では、治療剤は、テザーを介してポリマーと共有結合し、テザーは、互いに共有結合している選択性決定部分と自己環化部分を含む。特定の実施形態では、選択性決定部分と自己環化部分の間の結合切断後に、自己環化部分の環化が生じて治療剤が遊離するように、自己環化部分を選択する。説明として、ABCは選択性決定部分であり、DEFGHは自己環化部分であり、酵素YがCとDの間を切断するようにABCが選択され得る。CとDの間の結合切断がある時点まで進行すると、DがH上に環化して、治療剤Xまたはそのプロドラッグが遊離する:
【化34】
[この文献は図面を表示できません]
。
【0322】
特定の実施形態では、コンジュゲートは、切断が生じた後に残りの分子から自発的に解離する、特に限定されないが別の自己環化部分または脱離基リンカー、例えばCO
2またはメトキシメチルなどを含めた追加の介在要素をさらに含み得る。
【0323】
いくつかの実施形態では、リンカーは、アルキレン鎖、ポリエチレングリコール(PEG)鎖、ポリ無水コハク酸、ポリ−L‐グルタミン酸、ポリ(エチレンイミン)、オリゴ糖、アミノ酸(例えば、グリシンまたはシステイン)、アミノ酸鎖または任意のその他の適切な結合であり得る、および/またはそれを含み得る。特定の実施形態では、リンカー基自体が、アルキレン鎖などのように生理的条件下で安定であり得るか、または生理的条件下で、例えば酵素により(例えば、結合が、ペプチダーゼの基質であるペプチド配列を含む)もしくは加水分解により(例えば、結合が、エステルもしくはチオエステルのような加水分解可能な基を含む)切断され得る。リンカー基は、例えばPEG、ポリグリコール酸もしくはポリ乳酸鎖などのように生物学的に不活性であるか、または部分から切断された場合に受容体と結合したり、酵素を不活性化したりするオリゴもしくはポリペプチドなどのように生物学的に活性であり得る。生体適合性および/また生体内分解性である各種のオリゴマーリンカー基が当該技術分野で公知であり、結合の選択が物質の最終的な特性、例えばその物質が、埋め込まれたときに耐久性があるか否か、埋め込み後に徐々に変形もしくは縮小するか否か、または徐々に分解して体に吸収されるか否かなどに影響し得る。リンカー基は、炭素−炭素結合、エステル、エーテル、アミド、アミン、カルボナート、カルバマート、スルホンアミドなどを含めた任意の適切な結合または官能基により部分と結合し得る。
【0324】
特定の実施形態では、本発明のリンカー基(1つまたは複数)は、1つ以上のメチレン基が基Yにより任意に置き換わっている(ただし、どのY基も互いに隣接していない)ヒドロカルビレン基を表し、各Yはそれぞれ独立して、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、または−O−、C(=X)(式中、XはNR
1、OまたはSである)、−OC(O)−、−C(=O)O、−NR
1−、−NR
1CO−、−C(O)NR
1−、−S(O)
n−(式中、nは0、1または2である)、−OC(O)NR
1、−NR
1−C(O)NR
1−、−NR
1−C(NR
1)−NR
1−および−B(OR
1)−から選択され;R
1はそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルを表す。
【0325】
特定の実施形態では、リンカー基は、誘導体化または非誘導体化アミノ酸(例えば、グリシンまたはシステイン)を表す。特定の実施形態では、1つ以上の末端カルボキシル基を有するリンカー基がポリマーとコンジュゲートされ得る。特定の実施形態では、1つ以上の上記末端カルボキシル基を、(チオ)エステルまたはアミド結合を介して治療剤、標的化部分またはシクロデキストリン部分と共有結合させることにより、キャップ化し得る。さらに他の実施形態では、1つ以上の末端ヒドロキシル、チオールまたはアミノ基を有するリンカー基がポリマー内に組み込まれ得る。好適な実施形態では、1つ以上の上記末端ヒドロキシル基を、(チオ)エステル、アミド、カルボナート、カルバマート、チオカルボナートまたはチオカルバマート結合を介して治療剤、標的化部分またはシクロデキストリン部分と共有結合させることにより、キャップ化し得る。特定の実施形態では、上記(チオ)エステル、アミド、(チオ)カルボナートまたは(チオ)カルバマート結合は、生加水分解性であり得る、すなわち、生物学的条件下で加水分解され得る。
【0326】
特定の実施形態では、リンカー基は、1つ以上のメチレン基が基Yにより任意に置き換わっている(ただし、どのY基も互いに隣接していない)ヒドロカルビレン基を表し、各Yはそれぞれ独立して、置換または非置換アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、または−O−、C(=X)(式中、XはNR
1、OまたはSである)、−OC(O)−、−C(=O)O、−NR
1−、−NR
1CO−、−C(O)NR
1−、−S(O)
n−(式中、nは0、1または2である)、−OC(O)NR
1、−NR
1−C(O)−NR
1−、−NR
1−C(NR
1)−NR
1−および−B(OR
1)−から選択され;R
1はそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルを表す。
【0327】
特定の実施形態では、例えば本明細書に記載の治療剤とCDPの間のリンカー基は、自己環化部分を含む。特定の実施形態では、例えば本明細書に記載の治療剤とCDPの間のリンカー基は、選択性決定部分を含む。
【0328】
本明細書に開示される特定の実施形態では、例えば治療剤とCDPの間のリンカー基は、自己環化部分および選択性決定部分を含む。
【0329】
本明細書に開示される特定の実施形態では、治療剤または標的化リガンドは、生加水分解性結合(例えば、エステル、アミド、カルボナート、カルバマートまたはリン酸)を介してリンカー基と共有結合している。
【0330】
本明細書に開示される特定の実施形態では、CDPは、ポリマー鎖内にリンカー部分と交互に存在するシクロデキストリン部分を含む。
【0331】
特定の実施形態では、リンカー部分は、生物学的条件下で切断される治療剤またはそのプロドラッグと結合している。
【0332】
特定の実施形態では、治療剤またはそのプロドラッグとポリマーとを連結する少なくとも1つのリンカーは、式
【化35】
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により表される基を含み、
式中、
Pはリンであり;
Oは酸素であり;
Eは酸素またはNR
40を表し;
Kはヒドロカルビルを表し;
XはOR
42またはNR
43R
44から選択され;
R
40、R
41、R
42、R
43およびR
44は独立して、水素または任意に置換されているアルキルを表す。
【0333】
特定の実施形態では、EはNR
40であり、R
40は水素である。
【0334】
特定の実施形態では、Kは低級アルキレン(例えば、エチレン)である。
【0335】
特定の実施形態では、少なくとも1つのリンカーが、
【化36】
[この文献は図面を表示できません]
から選択される基を含む。
【0336】
特定の実施形態では、XはOR
42である。
【0337】
特定の実施形態では、リンカー基は、アミノ酸もしくはペプチドまたはその誘導体(例えば、グリシンまたはシステイン)を含む。
【0338】
本明細書に開示される特定の実施形態では、リンカーは、ヒドロキシル基を介して治療剤と結合している。本明細書に開示される特定の実施形態では、リンカーは、アミノ基を介して治療剤と結合している。
【0339】
特定の実施形態では、治療剤と結合しているリンカー基は、自己環化部分もしくは選択性決定部分、またはその両方を含み得る。特定の実施形態では、選択性決定部分は、選択性決定部分と自己環化部分の間の結合切断における選択性を促進する部分である。このような部分は、例えば、選択性決定部分と自己環化部分の間の酵素的切断を促進し得る。あるいは、このような部分は、酸性条件または塩基性条件下で、選択性決定部分と自己環化部分の間の切断を促進し得る。
【0340】
特定の実施形態では、任意のリンカー基が、自己環化部分もしくは選択性決定部分、またはその両方を含み得る。特定の実施形態では、選択性決定部分は、自己環化部分とポリマーの間で自己環化部分と結合し得る。
【0341】
特定の実施形態では、任意のリンカー基が独立して、アルキル鎖、ポリエチレングリコール(PEG)鎖、ポリ無水コハク酸、ポリ−L‐グルタミン酸、ポリ(エチレンイミン)、オリゴ糖、アミノ酸鎖または他の任意の適切な結合であるか、またはそれらを含み得る。特定の実施形態では、リンカー基自体が、アルキル鎖などのように生理的条件下で安定であり得るか、または生理的条件下で、例えば酵素により(例えば、結合が、ペプチダーゼの基質であるペプチド配列を含む)もしくは加水分解により(例えば、結合が、エステルもしくはチオエステルのような加水分解可能な基を含む)切断され得る。リンカー基は、PEG、ポリグリコール酸もしくはポリ乳酸鎖などのように生物学的に不活性であるか、または部分から切断された場合に受容体と結合したり、酵素を不活性化したりする、オリゴもしくはポリペプチドなどのように生物学的に活性であり得る。生体適合性および/また生体内分解性である各種のオリゴマーリンカー基が当該技術分野で公知であり、結合の選択が物質の最終的な特性、例えばその物質が、埋め込まれたときに耐久性があるか否か、埋め込み後に徐々に変形もしくは縮小するか否か、または徐々に分解して体に吸収されるか否かなどに影響し得る。リンカー基は、炭素−炭素結合、エステル、エーテル、アミド、アミン、カルボナート、カルバマート、スルホンアミドなどを含めた任意の適切な結合または官能基により部分と結合し得る。
【0342】
特定の実施形態では、任意のリンカー基が独立して、1つ以上のメチレン基が基Yにより任意に置き換わっている(ただし、どのY基も互いに隣接していない)ヒドロカルビレン基であってよく、各Yはそれぞれ独立して、アリール、ヘテロアリール、カルボシクリル、ヘテロシクリル、または−O−、C(=X)(式中、XはNR
1、OまたはSである)、−OC(O)−、−C(=O)O−、−NR
1−、−NR
1CO−、−C(O)NR
1−、−S(O)
n−(式中、nは0、1または2である)、−OC(O)NR
1−、−NR
1−C(O)−NR
1−、−NR
1−C(NR
1)−NR
1−および−B(OR
1)−から選択され;R
1はそれぞれ独立して、Hまたは低級アルキルである。
【0343】
特定の実施形態では、本発明は、上述のように生物学的条件下で切断されて治療剤が遊離する結合を介して複数の治療剤がポリマーと共有結合しているCDPを企図し、対象へのポリマー投与により、少なくとも2、3、5、6、8、10、15、20、24、36、48または72時間にわたる治療剤の放出がもたらされる。
【0344】
いくつかの実施形態では、治療剤とCDPのコンジュゲーションが、治療剤の水溶解度を、したがってバイオアベイラビリティーを向上させる。したがって、本発明の一実施形態では、治療剤は、logP>0.4、>0.6、>0.8、>1、>2、>3、>4または>5を有する。
【0345】
本発明のCDP−治療剤コンジュゲートは、好ましくは、10,000〜500,000Da;30,000〜200,000Da;または70,000〜150,000Daの範囲の分子量を有する。
【0346】
特定の実施形態では、本発明は、治療剤とポリマーの間に各種のテザーおよび/または連結基を導入することにより、治療剤の遊離速度を弱めることを企図する。したがって、特定の実施形態では、本発明のCDP−治療剤コンジュゲートは、治療剤の制御送達のための組成物である。
【0347】
CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物の特徴
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCDPおよび/またはCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物は、多分散度が約3未満または約2未満(例えば、1.5、1.25以下)である。
【0348】
本発明の一実施形態では、1つ以上の治療剤をCDPと共有結合させることによる、特定の治療剤の向上した送達が提供される。このようなコンジュゲーションは、ト治療剤の水溶解度を、したがってバイオアベイラビリティーを向上させ得る。
【0349】
本明細書に開示される特定の実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは、1,000〜500,000Daの間、または5,000〜200,000amuの間、または10,000〜100,000Daの間の数平均(M
n)分子量を有する。分子量を決定するための方法の1つは、ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)、例えば、混床式カラム、CH
2Cl
2またはHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)溶媒、光散乱検出器およびオフラインdn/dcによるものである。その他の方法が当該技術分野で公知である。
【0350】
本明細書に開示される特定の実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物は生分解性または生体内分解性である。
【0351】
本明細書に開示される特定の実施形態では、治療剤は、CDP−治療剤コンジュゲートまたは粒子の少なくとも3重量%(例えば、少なくとも約5重量%)を占める。特定の実施形態では、治療剤は、CDP−治療剤コンジュゲートの少なくとも20重量%を占める。特定の実施形態では、治療剤は、CDP−治療剤コンジュゲートまたは粒子の少なくとも5重量%、10重量%、15重量%または少なくとも20重量%を占める。
【0352】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは粒子、例えばナノ粒子を形成する。粒子は、多様なCDP−治療剤コンジュゲート、例えば複数のCDP−治療剤コンジュゲート、例えば同じ治療剤または異なる治療剤を有するCDP−治療剤コンジュゲートを含み得る。ナノ粒子は、直径10〜300nm、例えば、直径15〜280nm、30〜250nm、40〜200nm、20〜150nm、30〜100nm、20〜80nm、30〜70nm、30〜60nmまたは30〜50nmの範囲の大きさである。一実施形態では、粒子は、直径50〜60nm、20〜60nm、30〜60nm、35〜55nm、35〜50nmまたは35〜45nmである。
【0353】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは包接錯体を形成する。一実施形態では、包接錯体を含むCDP−治療剤コンジュゲートは、粒子、例えばナノ粒子を形成する。ナノ粒子は、直径10〜300nm、例えば直径15〜280nm、30〜250nm、40〜200nm、20〜150nm、30〜100nm、20〜80nm、30〜70nm、40〜60nmまたは40〜50nmの範囲の大きさである。一実施形態では、粒子は、直径50〜60nmnm、20〜60nmnm、30〜60nmnm、35〜55nmnm、35〜50nmまたは35〜45nmである。
【0354】
一実施形態では、分子の表面電荷が中性またはわずかに負である。いくつかの実施形態では、粒子表面のゼータ電位が、約−80mV〜約50mV、約−20mV〜約20mV、約−20mV〜約−10mVまたは約−10mV〜約0である。
【0355】
本発明のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子および組成物は、治療剤の溶解性および/または安定性を向上させる、薬剤−薬剤相互作用を減少させる、血漿タンパク質を含めた血液要素との相互作用を減少させる、免疫原性を低減または排除する、治療剤を代謝から保護する、薬物放出動態を調節する、循環時間を向上させる、治療剤の半減期(例えば、血中、または腫瘍のような選択された組織中での)を向上させる、毒性を弱める、有効性を向上させる、異なる種、民族および/または人種の対象間での治療剤の代謝を標準化する、ならびに/あるいは特定の細胞または組織への標的化送達をもたらすのに有用であり得る。
【0356】
他の実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物は、可撓性または流動性の物質であり得る。使用するCDP自体が流動性である場合、本発明のCDP組成物は、粘稠性である場合でも、流動性にするための生体適合性溶媒を含む必要はないが、それでも微量または残存量の生体適合性溶媒が存在し得る。
【0357】
可撓性または流動性組成物中の生物学的に活性な薬剤の非晶性でモノリシック型の分布または微細分散をより効率的にもたらすために、生分解性ポリマーまたは生物学的に活性な薬剤を少量の無毒な溶媒に溶解させることが可能であるが、好適な一実施形態では、流動性組成物を形成するために溶媒を必要としないことが本発明の利点である。また、溶媒の使用を避けることが好ましいが、それは、溶媒を含有するポリマー組成物の全部または一部が体内に入ると、溶媒がポリマーから散逸または拡散し、体がそれを処理および排出しなければならず、疾患(および/または疾患に対する他の治療)が既に悪影響を及ぼしているところへ、体のクリアランス能に余分な負担をかけることになるからである。
【0358】
しかし、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物の混合を容易にするため、または流動性を維持するために溶媒を使用する場合、溶媒は無毒または生体適合性であるべきであり、また比較的少量を使用するべきである。毒性のある溶媒は、一部でも生体内に入るどの物質にも使用するべきではない。またこのような溶媒が、投与部位に大幅な組織刺激または壊死を引き起こしてもならない。
【0359】
使用する場合に適切な生体適合性溶媒の例としては、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、エタノール、プロピレングリコール、アセトン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、カプロラクタム、オレイン酸または1−ドデシルアザシクロヘプタノンが挙げられる。好適な溶媒としては、溶媒和能および生体適合性という理由で、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドおよびアセトンが挙げられる。
【0360】
特定の実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子および組成物は、製造および加工を容易にするために1つ以上の一般的な有機溶媒に可溶性である。一般的な有機溶媒としては、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、2−ブタノン、酢酸ブチル、酪酸エチル、アセトン、酢酸エチル、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミドおよびジメチルスルホキシドなどの溶媒が上げられる。
【0361】
特定の実施形態では、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子および組成物は、体液に接触すると徐々に分解される。in vivoでの生分解性ポリマーの寿命は、特にその分子量、結晶化度、生体内安定性および架橋度によって決まる。一般に、分子量が大きいほど結晶化度が高く、生体内安定性が高いほど生分解は遅くなる。
【0362】
目的組成物を治療剤またはその他の物質を用いて製剤化すれば、一般に等張食塩水溶液からの放出と比較して、治療剤またはその他の物質の持続的なまたは長期間の放出が得られる。このような放出プロファイルは、有効量(例えば、約0.0001mg/(kg・時)〜約10mg/(kg・時)、例えば、0.001mg/(kg・時)、0.01mg/(kg・時)、0.1mg/(kg・時)、1.0mg/(kg・時))の治療剤または他の任意のポリマー関連物質の長時間の(例えば、1〜約2,000時間、または約2〜約800時間にわたる)送達をもたらし得る。
【0363】
様々な要因がCDP−治療剤コンジュゲート、粒子および組成物の所望の加水分解速度、得られる固体マトリックスの所望の柔らかさと可撓性、生物活性物質放出の速度と程度に影響し得る。このような要因のいくつかはは、各種のサブユニットの選択/アイデンティティ、モノマーサブユニットの鏡像異性体またはジアステレオ異性体純度、ポリマー中にあるサブユニットの均一性およびポリマーの長さを含む。例えば、本発明は、様々な結合を有するヘテロポリマー、および/または例えばマトリックスの生分解速度を制御するための、ポリマー中への他のモノマー要素の含有を企図する。
【0364】
さらに説明すると、ポリマーの主鎖または側鎖の疎水性を調節することにより、広範囲の分解速度を得る一方で、任意のこのようなポリマーで使用するための十分な生分解性をそのまま維持し得る。ポリマーの各種の官能基を変化させることにより、このような結果がもたらされ得る。例えば、疎水性主鎖と親水性結合の組合せにより、切断が促進される一方で透水が抑えられるため、不均一な分解が生じる。
【0365】
本発明のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物中に付加されている治療剤またはその他の物質の放出速度を決定するために使用し得る、当該分野で一般的に認められているプロトコールの1つとして、当該技術分野で公知のアッセイである、37℃、0.1MのPBS溶液(pH7.4)中での任意の上記マトリックスの分解が挙げられる。本発明のために、本明細書では「PBSプロトコール」という用語を用いてこのプロトコールを表す。
【0366】
ある場合には、本発明の異なるCDP−治療剤コンジュゲート、粒子および組成物を上記プロトコールに供して、その放出速度を比較し得る。ある場合には、異なる系を直接的にかつ比較的正確に比較するためにポリマー系を同じ方法で処理する必要があり得る。例えば、本発明では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子および組成物を製剤化するためのいくつかの異なる方法が教示されている。こうした比較により、ある任意のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物が、組み込まれている物質を、別のポリマー系よりも約2倍以下〜約1000倍以上速い速度で放出することが示され得る。
【0367】
あるいは、約3、5、7、10、25、50、100、250、500または750倍の速度差が、比較により明らかとなり得る。さらに大きな速度差が本発明および放出速度プロトコールにより企図される。
【0368】
特定の実施形態では、特定の方法で製剤化した場合、本発明のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子および組成物の放出速度は、一相性または二相性として現れ得る。
【0369】
多くの場合マイクロスフィアとして提供されるポリマーマトリックス内に組み込まれた任意の物質の放出は、ある場合には最初の放出速度の増大が特徴的であり、任意の組み込まれた物質の約5%〜約50%以上あるいは約10、15、20、25、30または40%が放出された後、放出速度が遅くなる。
【0370】
また任意の組み込まれた物質の放出速度は、1日でポリマーマトリックス1mg当たりに放出されるその物質量によっても特徴付けされ得る。例えば、特定の実施形態では、放出速度は、1日でポリマー系1mg当たり、任意の組み込まれた物質が約1ng/(日・mg)以下〜約500ng/(日・mg)以上まで変化し得る。あるいは、放出速度は、約0.05、0.5、5、10、25、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450または500ng/(日・mg)であり得る。さらに他の実施形態では、任意の組み込まれた物質の放出速度は、10,000ng/(日・mg)以上であり得る。ある場合には、組み込まれて上記放出速度プロトコールにより特徴付けられる物質としては、治療剤、増量剤およびその他の物質を挙げ得る。
【0371】
別の態様では、本発明のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物からの任意の物質の放出速度を、マトリックス中の上記物質の半減期として表し得る。
【0372】
放出速度をin vitroで決定するためのプロトコールを含む実施形態に加えて、in vivoプロトコールも本発明により企図され、ある場合には、ポリマー系の放出速度をこのプロトコールによりin vivoで決定し得る。本発明の系のポリマーからの任意の物質の放出を決定するのに有用なその他のアッセイは、当該技術分野で公知ある。
【0373】
CDP−治療剤コンジュゲート、粒子および組成物の物理的構造
CDP−治療剤コンジュゲート、粒子および組成物は、各種の形状で形成され得る。例えば、特定の実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは、微粒子またはナノ粒子の形態で提供され得る。マイクロスフィアは通常、薬物を組み込む生分解性ポリマーマトリックスを含む。マイクロスフィアは、当業者に公知の多種多様な技術で形成することができる。マイクロスフィア形成技術の例としては、(a)乳化による相分離およびそれに続く有機溶媒留去(水中油型エマルション、油中水型エマルションおよび水−油−水型エマルションのような複合エマルション法を含む);(b)コアセルベーション−相分離法;(c)溶融分散法;(d)界面沈着法;(e)in situ重合;(f)噴霧乾燥法および噴霧凝固法;(g)気中懸濁被覆法;ならびに(h)パンおよびスプレー被覆法が挙げられるが、これらに限定されない。上記方法ならびにマイクロスフィアの特性および特徴は、例えば、その全開示が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第4,438,253号;米国特許第4,652,441号;米国特許第5,100,669号;米国特許第5,330,768号;米国特許第4,526,938号;米国特許第5,889,110号;米国特許第6,034,175号;および欧州特許第0258780号に開示されている。
【0374】
マイクロスフィアを調製するために、送達媒体の所望の用途に応じていくつかの方法を使用し得る。適切な方法としては、噴霧乾燥法、凍結乾燥法、空気乾燥法、真空乾燥法、流動層乾燥法、粉砕法、共沈殿法および臨界流体抽出法が挙げられるが、これらに限定されない。噴霧乾燥法、凍結乾燥法、空気乾燥法、真空乾燥法、流動層乾燥法および臨界流体抽出法の場合、最初に成分(安定化ポリオール、生物活性物質、緩衝剤など)を水性条件下で溶解または懸濁させる。粉砕法の場合、当該技術分野で公知の任意の方法により、成分を乾燥形態で混合し粉砕する。共沈殿法の場合、後述するように、成分を有機条件下で混合し処理する。噴霧乾燥法では、安定化ポリオールに生物活性物質を付加するために使用し得る。成分を水性条件下で混合し、乾燥室内で精密ノズルを用いて乾燥させて、極めて均一な飛沫を得る。適切な噴霧乾燥機器としては、製造者説明書に従って用いるBuchi、NIRO、APVおよびLab−plant噴霧乾燥器が挙げられるが、これらに限定されない。
【0375】
微粒子およびナノ粒子の形状は、走査電子顕微鏡法により判定し得る。血流中を循環させるために、球状のナノ粒子を特定の実施形態で使用する。必要に応じて、既知の技術を用いて粒子を特定用途のためにより有用な他の形状に製造し得る。
【0376】
治療剤の細胞内送達に加えて、CDP−治療剤コンジュゲートの粒子、例えば微粒子またはナノ粒子などをエンドサイトーシス経て細胞へ侵入させることも可能である。このようなエンドサイトーシス処理の回数は、おそらく任意の粒子のサイズによって決まると思われる。一実施形態では、分子の表面電荷が中性またはわずかに負である。いくつかの実施形態では、粒子表面のゼータ電位が約−80mV〜約50mV、例えば約−40mV〜約30mV、例えば約−20mV〜約30mVである。
【0377】
例示的な治療剤コンジュゲート
1つ以上の治療剤がCDPと共有結合している(例えば、直接的にまたはリンカーを介して)シクロデキストリン含有ポリマー(「CDP」)−治療剤コンジュゲートを本明細書に記載する。上記シクロデキストリン含有ポリマー(「CDP」)−治療剤コンジュゲートは、治療剤送達のための担体として有用であり、またin vivoで使用する場合の治療剤の安定性および溶解性を向上させ得る。CDP−治療剤コンジュゲートは、それを用いて自己免疫疾患または癌を治療することができるように治療剤を含み得る。一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の治療剤は、細胞毒性薬または免疫調節剤である。一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは、CDP−細胞毒性薬コンジュゲート、例えばCDP−トポイソメラーゼ阻害剤コンジュゲート、例えばCDP−トポイソメラーゼ阻害剤Iコンジュゲート(例えば、CDP−カンプトテシンコンジュゲート、CDP−イリノテカンコンジュゲート、CDP−SN−38コンジュゲート、CDP−トポテカンコンジュゲート、CDP−ラメラリンDコンジュゲート、CDP−ルロテカン(lurotecan)コンジュゲート、粒子もしくは組成物、CDP−エクサテカンコンジュゲート、粒子もしくは組成物、CDP−ジフロモテカンコンジュゲート、粒子もしくは組成物、ならびにカンプトテシン、イリノテカン、SN−38、ラメラリンD、ルロテカン(lurotecan)、エクサテカンおよびジフロモテカンの誘導体を含むCDP−トポイソメラーゼI阻害剤コンジュゲート)、CDP−トポイソメラーゼII阻害剤コンジュゲート(例えば、CDP−エトポシドコンジュゲート、CDP−テノポシドコンジュゲート、CDP−アムサクリンコンジュゲート、ならびにエトポシド、テノポシドおよびアムサクリンの誘導体を含むCDP−トポイソメラーゼII阻害剤コンジュゲート)、CDP−代謝拮抗剤コンジュゲート(例えば、CDP−葉酸代謝拮抗剤コンジュゲート(例えば、CDP−ペメトレキセドコンジュゲート、CDP−フロクスウリジンコンジュゲート、CDP−ラルチトレキセドコンジュゲート)もしくはCDP−ピリミジン類似体コンジュゲート(例えば、CDP−カペシタビンコンジュゲート、CDP−シタラビンコンジュゲート、CDP−ゲムシタビンコンジュゲート、CDP−5FUコンジュゲート))、CDP−アルキル化剤コンジュゲート、CDP−アントラサイクリンコンジュゲート、CDP−抗腫瘍抗生物質コンジュゲート、例えばCDP−HSP90阻害剤コンジュゲート、例えばCDP−ゲルダナマイシンコンジュゲート、CDP−タネスピマイシンコンジュゲートもしくはCDP−アルベスピマイシンコンジュゲート)、CDP−白金系薬剤コンジュゲート(例えば、CDP−シスプラチンコンジュゲート、CDP−カルボプラチンコンジュゲート、CDP−オキサリプラチンコンジュゲート)、CDP−微小管阻害剤コンジュゲート、CDP−キナーゼ阻害剤コンジュゲート(例えば、CDP−セロニン(seronine)/スレオニンキナーゼ阻害剤コンジュゲート、例えばCDP−mTOR阻害剤コンジュゲート、例えばCDP−ラパマイシンコンジュゲート)、またはCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートである。
【0378】
一実施形態では、細胞毒性薬として、トポイソメラーゼ阻害剤、例えばトポイソメラーゼI阻害剤(例えば、カンプトテシン、イリノテカン、SN−38、トポテカン、ラメラリンD、ルロテカン(lurotecan)、エクサテカン、ジフロモテカンおよびその誘導体)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、エトポシド、テノポシド、アムサクリンおよびその誘導体)が挙げられる。
【0379】
一実施形態では、CDP−トポイソメラーゼ阻害剤コンジュゲート、粒子または組成物中のトポイソメラーゼ阻害剤は、カンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体である。例えば、カンプトテシン誘導体は以下の構造を有し得る:
【化37】
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式中、
R
1はH、OH、任意に置換されているアルキル(例えば、NR
a2またはOR
aまたはSiR
a3で任意に置換されている)またはSiR
a3であるか;あるいはR
1とR
2が一緒になって、任意に置換されている5〜8員環(例えば、NR
a2またはOR
aで任意に置換されている)を形成してもよく;
R
2はH、OH、NH
2、ハロ、ニトロ、任意に置換されているアルキル(例えば、NR
a2またはOR
a、NR
a2、OC(=O)NR
a2またはOC(=O)OR
a)で任意に置換されている)であり;
R
3はH、OH、NH
2、ハロ、ニトロ、NR
a2、OC(=O)NR
a2またはOC(=O)OR
aであり、
R
4はH、OH、NH
2、ハロ、CNまたはNR
a2であるか;あるいはR
3とR
4が、それらが結合している原子と一緒になって、5〜6員環を形成し(例えば、−OCH
2O−または−OCH
2CH
2O−を含む環を形成している);
R
aは、それぞれ独立してHまたはアルキルであるか;あるいは2つのR
aが、それらが結合している原子と一緒になって、4〜8員環(例えば、任意にOまたはNR
bを含む)を形成し、
R
bはHまたは任意に置換されているアルキル(例えば、OR
cまたはR
c2で任意に置換されている)であり;
R
cはHまたはアルキルであるか;あるいは2つのR
cが、それらが結合している原子と一緒になって、4〜8員環を形成し;
n=0または1である。
【0380】
一実施形態では、カンプトテシン誘導体のR
1、R
2、R
3およびR
4はそれぞれHであり、nは0である。
【0381】
一実施形態では、カンプトテシン誘導体のR
1、R
2、R
3およびR
4はそれぞれHであり、nは1である。
【0382】
いくつかの実施形態では、カンプトテシンまたはカンプトテシン誘導体は、以下に記載される化合物である:
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
。
【0383】
一実施形態では、カンプトテシン誘導体のR
1はHであり、R
2は−CH
2N(CH
3)
2であり、R
3は−OHであり、R
4はHであり;nは0である。
【0384】
一実施形態では、カンプトテシン誘導体のR
1は−CH
2CH
3であり、R
2はHであり、R
3は
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
であり、R
4はHであり、nは0である。
【0385】
一実施形態では、カンプトテシン誘導体のR
1は−CH
2CH
3であり、R
2はHであり、R
3は−OHであり、R
4はHであり、nは0である。
【0386】
一実施形態では、カンプトテシン誘導体のR
1はtert−ブチルジメチルシリルであり、R
2はHであり、R
3は−OHであり、R
4はHであり、nは0である。
【0387】
一実施形態では、カンプトテシン誘導体のR
1はtert−ブチルジメチルシリルであり、R
2は水素であり、R
3は−OHであり、R
4は水素であり、nは1である。
【0388】
一実施形態では、カンプトテシン誘導体のR
1はtert−ブチルジメチルシリルであり、R
2、R
3およびR
4はそれぞれHであり、nは0である。
【0389】
一実施形態では、カンプトテシン誘導体のR
1はtert−ブチルジメチルシリルであり、R
2、R
3およびR
4はそれぞれHであり、nは1である。
【0390】
一実施形態では、カンプトテシン誘導体のR
1は−CH
2CH
2Si(CH
3)
3であり、R
2、R
3およびR
4はそれぞれHである。
【0391】
一実施形態では、カンプトテシン誘導体のR
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環を形成する。一実施形態では、カンプトテシン誘導体のR
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になって、置換されている6員環を形成する。一実施形態では、カンプトテシン誘導体は下式を有する:
【化40】
[この文献は図面を表示できません]
。
一実施形態では、R
3はメチルであり、R
4はフルオロである。
【0392】
一実施形態では、R
3およびR
4は、それらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環を形成する。一実施形態では、R
3およびR
4は、それらが結合している炭素と一緒になって、6員複素環を形成する。一実施形態では、カンプトテシン誘導体は下式を有する:
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
。
一実施形態では、R
1は
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
であり、R
2は水素である。
【0393】
一実施形態では、カンプトテシン誘導体は下式を有する:
【化43】
[この文献は図面を表示できません]
。一実施形態では、R
1は
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
であり、R
2は水素である。
【0394】
一実施形態では、R
1は
【化45】
[この文献は図面を表示できません]
であり;R
2はHであり、R
3はメチルであり、R
4はクロロであり;nは1である。
【0395】
一実施形態では、R
1は−CH=NOC(CH
3)
3であり、R
2、R
3およびR
4はそれぞれHであり、nは0である。
【0396】
一実施形態では、R
1は−CH
2CH
2NHCH(CH
3)
2あり、R
2、R
3およびR
4はそれぞれHであり;nは0である。
【0397】
一実施形態では、R
1およびR
2はHであり、R
3およびR
4はフルオロであり、nは1である。
【0398】
一実施形態では、R
1、R
3およびR
4はそれぞれHであり、R
2はNH
2であり、nは0である。
【0399】
一実施形態では、R
1、R
3およびR
4はそれぞれHであり、R
2はNO
2であり、nは0である。
【0400】
一実施形態では、CDP−トポイソメラーゼI阻害剤コンジュゲートは、例えば下に示されるCDP−カンプトテシンコンジュゲートであり:
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し;nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−トポイソメラーゼI阻害剤コンジュゲート、例えばCDP−カンプトテシンコンジュゲートは、完全な付加量を有するわけではなく、例えば、1つ以上の結合部位、例えばシステイン残基にはトポイソメラーゼI阻害剤、例えばカンプトテシン部分、例えばグリシン結合により結合したカンプトテシンが結合しておらず、例えば、CDP−カンプトテシンコンジュゲートは、下式を有する1つ以上のサブユニットを含み:
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し;mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−トポイソメラーゼI阻害剤コンジュゲート、粒子または組成物、例えばCDP−カンプトテシンコンジュゲート、粒子または組成物は、完全に付加されたCDP−トポイソメラーゼI阻害剤サブユニットと部分的に付加されたCDP−トポイソメラーゼI阻害剤サブユニットの混合物を、コンジュゲート、例えばCDP−カンプトテシンコンジュゲート内に含む。
【0401】
一実施形態では、CDPは、下(および
図3)に示されるシクロデキストリン含有ポリマーであり:
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
式中、基
【化51】
[この文献は図面を表示できません]
は3400Da以下の分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。タキサンが、上記のようにポリマーのカルボン酸部分を介してCDPとコンジュゲートされていることに留意されたい。タキサンがCDPに完全に付加されている必要はない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つ、例えば、少なくとも2、3、4、5、6または7つのカルボン酸部分が、コンジュゲート後にタキサンと未反応のままである(例えば、複数のカルボン酸部分が未反応のままである)。
【0402】
一実施形態では、CDP−トポイソメラーゼI阻害剤コンジュゲートは、サブユニット:
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
を含み、式中、mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。
【0403】
いくつかの実施形態では、CDP−トポイソメラーゼ阻害剤コンジュゲートは、下式を有するポリマーであり:
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
式中、LおよびL’はそれぞれ独立して、リンカー、結合または−OHであり、Dはそれぞれ独立して、カンプトテシン(「CPT」)、カンプトテシン誘導体のようなトポイソメラーゼ阻害剤であるか、または存在せず、基
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
は、3400Da以下の分子量を有し、nは、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であり、ただし、少なくとも1つのDはCPTまたはカンプトテシン誘導体である。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのD部分はCPTおよび/またはカンプトテシン誘導体である。
【0404】
いくつかの実施形態では、各L’はそれぞれ独立してシステインである。いくつかの実施形態では、システインは、スルフィド結合を介してシクロデキストリンと結合している。いくつかの実施形態では、システインはアミド結合を介して、ポリマーのPEG含有部分と結合している。
【0405】
いくつかの実施形態では、Lはリンカー(例えば、グリシンのようなアミノ酸)である。いくつかの実施形態では、Lは存在しない。いくつかの実施形態では、D−Lは一緒に:
【化55】
[この文献は図面を表示できません]
を形成している。
【0406】
いくつかの実施形態では、複数のD部分が存在せず、ポリマー上の同じ位置で対応するLが−OHである。
【0407】
いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖のシステイン残基のすべてのC(=O)部分が
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
部分と結合しているというわけでなく、すなわち、いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖の1つ以上の位置に
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
が存在せず、ただし、ポリマーは少なくとも1つの
【化58】
[この文献は図面を表示できません]
部分を、いくつかの実施形態では、少なくとも2つの
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
部分を含む。いくつかの実施形態では、CDP−トポイソメラーゼ阻害剤コンジュゲート上の
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
部分の付加量は、約1〜約50%(例えば、約1〜約40%、約1〜約25%、約5〜約20%または約5〜約15%、例えば約6〜約10%)である。いくつかの実施形態では、CDP上の
【化61】
[この文献は図面を表示できません]
の付加量は、ポリマー全体の約6重量%〜約10重量%である。
【0408】
いくつかの実施形態では、CDP−トポイソメラーゼ阻害剤コンジュゲートは、下式を有するポリマーであり:
【化62】
[この文献は図面を表示できません]
式中、Lはそれぞれ独立して、リンカー、結合または−OHであり、Dはそれぞれ独立して、カンプトテシン(「CPT」)、カンプトテシン誘導体であるか、または存在せず、基
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
は、3400Da以下の分子量を有し、nは、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であり、ただし、少なくとも1つのDはCPTまたはカンプトテシン誘導体である。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのD部分はCPTおよび/またはカンプトテシン誘導体である。
【0409】
いくつかの実施形態では、CDP−カンプトテシンコンジュゲートは、以下に示される通りであり、本明細書では「CRLX101」と呼ぶ。いくつかの実施形態では、CDP−カンプトテシンコンジュゲートは、例えば下に記載されているように、CDPと結合していない1つ以上の結合部位、例えばシステイン残基を有し得る:
【化64】
[この文献は図面を表示できません]
上記構造において:
m=約77であるか、またはPEG部分の分子量は約3060〜約3740(例えば、約3400)Daであり;
n=約10〜約18(例えば、約14)であり;
ポリマー主鎖(すなわち、ポリマーからCPT−glyを差し引き、遊離−C(O)OHを有するシステイン部分となったもの)の分子量は、約48〜約8500Daであり;
ポリマー主鎖の多分散度は約2.2未満であり;
ポリマー主鎖へのCPTの付加量は、約6〜約13重量%であり、13%が理論的最大値である、すなわち、いくつかの場合には、1つ以上のシステイン残基が遊離−C(O)OHを有する(すなわち、CPT−glyがない)。
【0410】
いくつかの実施形態では、上記構造中のPEG構成要素の多分散度は約1.1未満である。
【0411】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCDP−カンプトテシンコンジュゲートは、末端アミンおよび/または末端カルボン酸を有する。
【0412】
一実施形態では、CDP−トポイソメラーゼ阻害剤コンジュゲート、粒子または組成物のトポイソメラーゼ阻害剤は、トポイソメラーゼII阻害剤、例えばエトポシド(Toposar(登録商標)またはVePesid(登録商標))、テニポシド(Vumon(登録商標))、アムサクリンおよびその誘導体である。
【0413】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の治療剤は、代謝拮抗剤のような細胞毒性薬である。いくつかの実施形態では、CDP−代謝拮抗剤コンジュゲート、粒子または組成物中の抗代謝剤は、葉酸アンタゴニスト(本明細書では、葉酸代謝拮抗剤とも呼ぶ)、ピリミジン類似体、プリン類似体およびアデノシンデアミナーゼ阻害剤:メトトレキサート(Rheumatrex(登録商標)、Trexall(登録商標))、5‐フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標)またはFluoroplex(登録商標))、フロクスウリジン(FUDF(登録商標))、シタラビン(Cytosar−U(登録商標)またはタラビンPFS)、6−メルカプトプリン(Puri−Nethol(登録商標)))、6−チオグアニン(Thioguanine Tabloid(登録商標))、リン酸フルダラビン(Fludara(登録商標))、ペントスタチン(Nipent(登録商標))、ペメトレキセド(Alimta(登録商標))、ラルチトレキセド(Tomudex(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、クロファラビン(Clofarex(登録商標)またはClolar(登録商標))、メルカプトプリン(Puri−Nethol(登録商標))、カペシタビン(ゼローダ(登録商標))、ネララビン(Arranon(登録商標))、アザシチジン(Vidaza(登録商標))およびゲムシタビン(Gemzar(登録商標))を非限定的に含めた代謝拮抗剤である。好適な代謝拮抗剤としては、例えば、5‐フルオロウラシル(5FU)(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標)またはFluoroplex(登録商標))、フロクスウリジン(FUDF(登録商標))、カペシタビン(ゼローダ(登録商標))、ペメトレキセド(Alimta(登録商標))、ラルチトレキセド(Tomudex(登録商標))およびゲムシタビン(Gemzar(登録商標))が挙げられる。
【0414】
一実施形態では、CDP−代謝拮抗剤コンジュゲート、粒子または組成物中の代謝拮抗剤は、葉酸代謝拮抗剤、例えばCDP−葉酸代謝拮抗剤コンジュゲート、粒子または組成物である。好適な実施形態では、CDP−葉酸代謝拮抗剤コンジュゲート、粒子または組成物中の葉酸代謝拮抗剤は、ペメトレキセドまたはペメトレキセド誘導体である。例えば、ペメトレキセドは、以下の構造を有する:
【化65】
[この文献は図面を表示できません]
。
【0415】
一実施形態では、CDP−葉酸代謝拮抗剤コンジュゲートは、CDP−ペメトレキセドコンジュゲート、例えば:
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し;nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−葉酸代謝拮抗剤コンジュゲート、例えばCDP−ペメトレキセドコンジュゲートは、完全な付加量を有するわけではなく、例えば、1つ以上の結合部位、例えばシステイン残基が葉酸代謝拮抗剤、例えばペメトレキセド部分、例えばアミン結合により結合したペメトレキセドと結合しておらず、例えば、CDP−ペメトレキセドコンジュゲートは、下式を有する1つ以上のサブユニットを含み:
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し;mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−葉酸代謝拮抗剤コンジュゲート、粒子または組成物、例えばCDP−ペメトレキセドコンジュゲート、粒子または組成物は、完全に付加されたCDP−葉酸代謝拮抗剤類似体コンジュゲートおよび部分的に付加されたCDP−葉酸代謝拮抗剤類似体コンジュゲート、例えばCDP−ペメトレキセドコンジュゲートの混合物を含む。
【0416】
一実施形態では、CDP−ペメトレキセドコンジュゲートは、
【化70】
[この文献は図面を表示できません]
のサブユニットを含み、式中、mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。
【0417】
一実施形態では、CDP−葉酸代謝拮抗剤コンジュゲートは、CDP−ペメトレキセドコンジュゲート、例えば:
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し;nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−葉酸代謝拮抗剤コンジュゲート、例えばCDP−ペメトレキセドコンジュゲートは、完全な付加量を有するわけではなく、例えば、1つ以上の結合部位、例えばシステイン残基が葉酸代謝拮抗剤、例えばペメトレキセド部分、例えばアミン結合により結合したペメトレキセドと結合しておらず、例えば、CDP−ペメトレキセドコンジュゲートは、下式を有する1つ以上のサブユニットを含み:
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し、mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−葉酸代謝拮抗剤コンジュゲート、粒子または組成物、例えばCDP−ペメトレキセドコンジュゲート、粒子または組成物は、完全に付加されたCDP−葉酸代謝拮抗剤類似体コンジュゲートおよび部分的に付加されたCDP−葉酸代謝拮抗剤類似体コンジュゲート、例えばCDP−ペメトレキセドコンジュゲートの混合物を含む。
【0418】
一実施形態では、CDP−ペメトレキセドコンジュゲートは、
【化75】
[この文献は図面を表示できません]
のサブユニットを含み、式中、mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。CDP−ペメトレキセドコンジュゲートは、本明細書に記載の成分の数多くの異なる組合せを用いて作製し得る。例えば、シクロデキストリン(例えば、ベータ−シクロデキストリン)、コモノマー(例えば、PEG含有コモノマー)、シクロデキストリンとコモノマーを連結するリンカーおよび/またはペメトレキセドとCDPを繋留するリンカーの各種組合せが本明細書に記載されている。
【0419】
一実施形態では、CDP−ペメトレキセドコンジュゲートは、粒子、例えばナノ粒子を形成する。本明細書に記載の組成物は、1つのCDP−ペメトレキセドコンジュゲートまたは複数のCDP−ペメトレキセドコンジュゲートを含む。また組成物は、本明細書に記載の1つの粒子または複数の粒子も含み得る。
【0420】
一実施形態では、CDP−ペメトレキセドコンジュゲートは、粒子、例えばナノ粒子を形成する。ナノ粒子は、直径10〜300nm、例えば、直径15〜280nm、30〜250nm、40〜200nm、20〜150nm、30〜100nm、20〜80nm、30〜70nm、30〜60nmまたは30〜50nmの範囲の大きさである。一実施形態では、粒子は、直径50〜60nm、20〜60nm、30〜60nm、35〜55n
m、35〜50nmまたは35〜45nmである。
【0421】
一実施形態では、分子の表面電荷が中性またはわずかに負である。いくつかの実施形態では、粒子表面のゼータ電位が、約−80mV〜約50mV、約−20mV〜約20mV、約−20mV〜約−10mVまたは約−10mV〜約0である。
【0422】
いくつかの実施形態では、CDP−ペメトレキセドコンジュゲートは、式:
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
を有するポリマーであり、式中、LおよびL’はそれぞれの出現について、独立して、リンカー、結合または−OHであり、Dはそれぞれの出現について、独立して、ペメトレキセド、ペメトレキセド誘導体であるか、または存在せず、基
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
は、3400Da以下の分子量を有し、nは、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であり、ただし、少なくとも1つのDはペメトレキセドまたはペメトレキセド誘導体である。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのD部分はペメトレキセドおよび/またはペメトレキセド誘導体である。
【0423】
いくつかの実施形態では、各L’はそれぞれの出現について、独立してシステインである。いくつかの実施形態では、システインは、スルフィド結合を介してシクロデキストリンと結合している。いくつかの実施形態では、システインはアミド結合を介して、ポリマーのPEG含有部分と結合している。
【0424】
いくつかの実施形態では、Lはリンカー(例えば、アミン結合)である。いくつかの実施形態では、Lは存在しない。いくつかの実施形態では、D−Lは一緒に:
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
を形成している。
【0425】
いくつかの実施形態では、複数のD部分が存在せず、ポリマー上の同じ位置で対応するLが−OHである。
【0426】
いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖のシステイン残基のすべてのC(=O)部分が
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
部分と結合しているというわけでなく、すなわち、いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖の1つ以上の位置に
【化80】
[この文献は図面を表示できません]
が存在せず、ただし、ポリマーは少なくとも1つの
【化81】
[この文献は図面を表示できません]
部分を、いくつかの実施形態では、少なくとも2つの
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
部分を含む。いくつかの実施形態では、CDP−ペメトレキセドコンジュゲート上の
【化83】
[この文献は図面を表示できません]
部分の付加量は、約1〜約50%(例えば、約1〜約40%、約1〜約25%、約5〜約20%または約5〜約15%、例えば約6〜約10%)である。いくつかの実施形態では、CDP上の
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
付加量は、ポリマー全体の約6重量%〜約10重量%である。
【0427】
いくつかの実施形態では、Lはリンカー(例えば、アミン結合)である。いくつかの実施形態では、Lは存在しない。いくつかの実施形態では、D−Lは一緒に:
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
を形成している。
【0428】
いくつかの実施形態では、複数のD部分が存在せず、ポリマー上の同じ位置で対応するLが−OHである。
【0429】
いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖のシステイン残基のすべてのC(=O)部分が
【化86】
[この文献は図面を表示できません]
部分と結合しているというわけでなく、すなわち、いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖の1つ以上の位置に
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
が存在せず、ただし、ポリマーは少なくとも1つの
【化88】
[この文献は図面を表示できません]
部分を、いくつかの実施形態では、少なくとも2つの
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
部分を含む。いくつかの実施形態では、CDP−ペメトレキセドコンジュゲート上の
【化90】
[この文献は図面を表示できません]
部分の付加量は、約1〜約50%(例えば、約1〜約40%、約1〜約25%、約5〜約20%または約5〜約15%、例えば約6〜約10%)である。いくつかの実施形態では、CDP上の
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
付加量は、ポリマー全体の約6重量%〜約10重量%である。
【0430】
いくつかの実施形態では、CDP−ペメトレキセドコンジュゲートは、式:
【化92】
[この文献は図面を表示できません]
のポリマーであり、式中、mおよびnは上で定義される通りであり、ポリマー主鎖のシステインのすべてのC(=O)部位が前述のようにペメトレキセド−エステルで占められているというわけではなく、代わりに遊離酸となっている、すなわち、ポリマーの理論付加量が100%未満である。いくつかの実施形態では、CDP−ペメトレキセドコンジュゲートは、式:
【化93】
[この文献は図面を表示できません]
のポリマーであり、式中、mおよびnは上で定義される通りであり、ポリマー主鎖のシステインのすべてのC(=O)部位が前述のようにペメトレキセド−エステルで占められているというわけではなく、代わりに遊離酸となっている、すなわち、ポリマーの理論付加量が100%未満である。
【0431】
一実施形態では、CDP−代謝拮抗剤コンジュゲート、粒子または組成物中の代謝拮抗剤は、ピリミジン類似体、例えばCDP−ピリミジン類似体コンジュゲート、粒子または組成物である。好適な実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲート、粒子または組成物中のピリミジン類似体薬剤は、ゲムシタビンまたはゲムシタビン誘導体を含む。例えば、ゲムシタビンは、以下の構造を有し得る:
【化94】
[この文献は図面を表示できません]
。
【0432】
一実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲートは、CDP−ゲムシタビンコンジュゲート、例えば
【化95】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し;nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲート、例えばCDP−ゲムシタビンコンジュゲートは、完全な付加量を有するわけではなく、例えば、1つ以上の結合部位、例えばシステイン残基がピリミジン類似体、例えばゲムシタビン部分、例えばエステル結合により結合したゲムシタビンと結合しておらず、例えば、CDP−ゲムシタビンコンジュゲートは、下式を有する1つ以上のサブユニットを含み:
【化97】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【化98】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し、mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲート、粒子または組成物、例えばCDP−ゲムシタビンコンジュゲート、粒子または組成物は、完全に付加されたCDP−ピリミジン類似体コンジュゲートおよび部分的に付加されたCDP−ピリミジン類似体コンジュゲート、例えばCDP−ゲムシタビンコンジュゲートの混合物を含む。
【0433】
一実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲートは、
【化99】
[この文献は図面を表示できません]
のサブユニットを含み、式中、mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。
【0434】
一実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲートは、CDP−ゲムシタビンコンジュゲート、例えば:
【化100】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、
【化101】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し;nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲート、例えばCDP−ゲムシタビン誘導体コンジュゲートは、完全な付加量を有するわけではなく、例えば、1つ以上の結合部位、例えばシステイン残基がピリミジン類似体、例えばゲムシタビン誘導体、例えばエステル結合により結合したゲムシタビン誘導体と結合しておらず、例えば、CDP−ゲムシタビンコンジュゲートは、下式を有する1つ以上のサブユニットを含み:
【化102】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【化103】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し、mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲート、粒子または組成物、例えばCDP−ゲムシタビンコンジュゲート、粒子または組成物は、完全に付加されたCDP−ピリミジン類似体コンジュゲートおよび部分的に付加されたCDP−ピリミジン類似体コンジュゲート、例えばCDP−ゲムシタビンコンジュゲートの混合物を含む。
【0435】
一実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲートは、
【化104】
[この文献は図面を表示できません]
のサブユニットを含み、式中、mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。
【0436】
一実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲートは、CDP−ゲムシタビン誘導体コンジュゲート、例えば:
【化105】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、
【化106】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し;nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲート、例えばCDP−ゲムシタビン誘導体コンジュゲートは、完全な付加量を有するわけではなく、例えば、1つ以上の結合部位、例えばシステイン残基がピリミジン類似体、例えばゲムシタビン誘導体、例えばエステル結合により結合したゲムシタビン誘導体と結合しておらず、例えば、CDP−ゲムシタビン誘導体コンジュゲートは、下式を有する1つ以上のサブユニットを含み:
【化107】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【化108】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し、;nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲート、粒子または組成物、例えばCDP−ゲムシタビン誘導体コンジュゲート、粒子または組成物は、完全に付加されたCDP−ピリミジン類似体コンジュゲートおよび部分的に付加されたCDP−ピリミジン類似体コンジュゲート、例えばCDP−ゲムシタビン誘導体コンジュゲートの混合物を含む。
【0437】
一実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲートは、
【化109】
[この文献は図面を表示できません]
のサブユニットを含み、式中、mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。
【0438】
一実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲートは、CDP−ゲムシタビン誘導体コンジュゲート、例えば:
【化110】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、
【化111】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し;nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲート、例えばCDP−ゲムシタビン誘導体コンジュゲートは、完全な付加量を有するわけではなく、例えば、1つ以上の結合部位、例えばシステイン残基がピリミジン類似体、例えばゲムシタビン誘導体、例えばエステル結合により結合したゲムシタビン誘導体と結合しておらず、例えば、CDP−ゲムシタビン誘導体コンジュゲートは、下式を有する1つ以上のサブユニットを含み:
【化112】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【化113】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し、mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲート、粒子または組成物、例えばCDP−ゲムシタビン誘導体コンジュゲート、粒子または組成物は、完全に付加されたCDP−ピリミジン類似体コンジュゲートおよび部分的に付加されたCDP−ピリミジン類似体コンジュゲート、例えばCDP−ゲムシタビン誘導体コンジュゲートの混合物を含む。
【0439】
一実施形態では、CDP−ピリミジン類似体コンジュゲートは、
【化114】
[この文献は図面を表示できません]
のサブユニットを含み、式中、mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。
【0440】
CDP−ゲムシタビンコンジュゲートおよびCDP−ゲムシタビン誘導体コンジュゲートは、本明細書に記載の成分の数多くの異なる組合せを用いて作製し得る。例えば、シクロデキストリン(例えば、ベータ−シクロデキストリン)、コモノマー(例えば、PEG含有コモノマー)、シクロデキストリンとコモノマーを連結するリンカーおよび/またはゲムシタビンとCDPを繋留するリンカーの各種組合せが本明細書に記載されている。
【0441】
一実施形態では、CDP−ゲムシタビンコンジュゲートは、粒子、例えばナノ粒子を形成する。粒子は、CDP−ゲムシタビンコンジュゲート、例えば複数のCDP−ゲムシタビンコンジュゲート、例えば同じゲムシタビンと異なるゲムシタビンを有するCDP−ゲムシタビンコンジュゲートを含み得る。本明細書に記載の組成物は、1つのCDP−ゲムシタビンコンジュゲートまたは複数のCDP−ゲムシタビンコンジュゲートを含む。また組成物は、本明細書に記載の1つの粒子または複数の粒子も含み得る。
【0442】
一実施形態では、包接錯体を含むCDP−ゲムシタビンコンジュゲートは、粒子、例えばナノ粒子を形成する。ナノ粒子は、直径10〜300nm、例えば、直径15〜280nm、30〜250nm、40〜200nm、20〜150nm、30〜100nm、20〜80nm、30〜70nm、40〜60nmまたは40〜50nmの範囲の大きさである。一実施形態では、粒子は、直径50〜60nm、20〜60nm、30〜60nm、35〜55nm、35〜50nmまたは35〜45nmである。
【0443】
一実施形態では、分子の表面電荷が中性またはわずかに負である。いくつかの実施形態では、粒子表面のゼータ電位が、約−80mV〜約50mV、約−20mV〜約20mV、約−20mV〜約−10mVまたは約−10mV〜約0である。
【0444】
いくつかの実施形態では、CDP−ゲムシタビンコンジュゲートまたはCDP−ゲムシタビン誘導体コンジュゲートは、下式を有するポリマーであり:
【化115】
[この文献は図面を表示できません]
式中、LおよびL’はそれぞれ独立して、リンカー、結合または−OHであり、Dはそれぞれ独立して、ゲムシタビン、ゲムシタビン誘導体であるか、または存在せず、基
【化116】
[この文献は図面を表示できません]
は、3400Da以下の分子量を有し、nは、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であり、ただし、少なくとも1つのDはゲムシタビンまたはゲムシタビン誘導体である。いくつかの実施形態では、少なくとも2つのD部分はゲムシタビンおよび/またはゲムシタビン誘導体である。
【0445】
いくつかの実施形態では、各L’はそれぞれの出現について、独立してシステインである。いくつかの実施形態では、システインは、スルフィド結合を介してシクロデキストリンと結合している。いくつかの実施形態では、システインはアミド結合を介して、ポリマーのPEG含有部分と結合している。
【0446】
いくつかの実施形態では、Lはリンカー(例えば、エステル結合)である。いくつかの実施形態では、Lは存在しない。いくつかの実施形態では、D−Lは一緒に:
【化117】
[この文献は図面を表示できません]
を形成している。
【0447】
いくつかの実施形態では、複数のD部分が存在せず、ポリマー上の同じ位置で対応するLが−OHである。
【0448】
いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖のシステイン残基のすべてのC(=O)部分が
【化118】
[この文献は図面を表示できません]
部分と結合しているというわけでなく、すなわち、いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖の1つ以上の位置に
【化119】
[この文献は図面を表示できません]
が存在せず、ただし、ポリマーは少なくとも1つの
【化120】
[この文献は図面を表示できません]
部分を、いくつかの実施形態では、少なくとも2つの
【化121】
[この文献は図面を表示できません]
部分を含む。いくつかの実施形態では、CDP−ゲムシタビンコンジュゲート上の
【化122】
[この文献は図面を表示できません]
部分の付加量は、約1〜約50%(例えば、約1〜約40%、約1〜約25%、約5〜約20%または約5〜約15%、例えば約6〜約10%)である。いくつかの実施形態では、CDP上の
【化123】
[この文献は図面を表示できません]
付加量は、ポリマー全体の約6重量%〜約10重量%である。
【0449】
いくつかの実施形態では、Lはリンカー(例えば、エステル結合)である。いくつかの実施形態では、Lは存在しない。いくつかの実施形態では、D−Lは一緒に:
【化124】
[この文献は図面を表示できません]
を形成している。
【0450】
いくつかの実施形態では、複数のD部分が存在せず、ポリマー上の同じ位置で対応するLが−OHである。
【0451】
いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖のシステイン残基のすべてのC(=O)部分が
【化125】
[この文献は図面を表示できません]
部分と結合しているというわけでなく、すなわち、いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖の1つ以上の位置に
【化126】
[この文献は図面を表示できません]
が存在せず、ただし、ポリマーは少なくとも1つの
【化127】
[この文献は図面を表示できません]
部分を、いくつかの実施形態では、少なくとも2つの
【化128】
[この文献は図面を表示できません]
部分を含む。いくつかの実施形態では、CDP−ゲムシタビンコンジュゲート上の
【化129】
[この文献は図面を表示できません]
部分の付加量は、約1〜約50%(例えば、約1〜約40%、約1〜約25%、約5〜約20%または約5〜約15%、例えば約6〜約10%)である。いくつかの実施形態では、CDP上の
【化130】
[この文献は図面を表示できません]
付加量は、ポリマー全体の約6重量%〜約10重量%である。
【0452】
いくつかの実施形態では、Lはリンカー(例えば、エステル結合)である。いくつかの実施形態では、Lは存在しない。いくつかの実施形態では、D−Lは一緒に:
【化131】
[この文献は図面を表示できません]
を形成している。
【0453】
いくつかの実施形態では、複数のD部分が存在せず、ポリマー上の同じ位置で対応するLが−OHである。
【0454】
いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖のシステイン残基のすべてのC(=O)部分が
【化132】
[この文献は図面を表示できません]
部分と結合しているというわけでなく、すなわち、いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖の1つ以上の位置に
【化133】
[この文献は図面を表示できません]
が存在せず、ただし、ポリマーは少なくとも1つの
【化134】
[この文献は図面を表示できません]
部分を、いくつかの実施形態では、少なくとも2つの
【化135】
[この文献は図面を表示できません]
部分を含む。いくつかの実施形態では、CDP−ゲムシタビンコンジュゲート上の
【化136】
[この文献は図面を表示できません]
部分の付加量は、約1〜約50%(例えば、約1〜約40%、約1〜約25%、約5〜約20%または約5〜約15%、例えば約6〜約10%)である。いくつかの実施形態では、CDP上の
【化137】
[この文献は図面を表示できません]
付加量は、ポリマー全体の約6重量%〜約10重量%である。
【0455】
いくつかの実施形態では、Lはリンカー(例えば、エステル結合)である。いくつかの実施形態では、Lは存在しない。いくつかの実施形態では、D−Lは一緒に:
【化138】
[この文献は図面を表示できません]
を形成している。
【0456】
いくつかの実施形態では、複数のD部分が存在せず、ポリマー上の同じ位置で対応するLが−OHである。
【0457】
いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖のシステイン残基のすべてのC(=O)部分が
【化139】
[この文献は図面を表示できません]
部分と結合しているというわけでなく、すなわち、いくつかの実施形態では、ポリマー主鎖の1つ以上の位置に
【化140】
[この文献は図面を表示できません]
が存在せず、ただし、ポリマーは少なくとも1つの
【化141】
[この文献は図面を表示できません]
部分を、いくつかの実施形態では、少なくとも2つの
【化142】
[この文献は図面を表示できません]
部分を含む。いくつかの実施形態では、CDP−ゲムシタビンコンジュゲート上の
【化143】
[この文献は図面を表示できません]
部分の付加量は、約1〜約50%(例えば、約1〜約40%、約1〜約25%、約5〜約20%または約5〜約15%、例えば約6〜約10%)である。いくつかの実施形態では、CDP上の
【化144】
[この文献は図面を表示できません]
付加量は、ポリマー全体の約6重量%〜約10重量%である。
【0458】
いくつかの実施形態では、式CのCDP−ゲムシタビンコンジュゲートは、式:
【化145】
[この文献は図面を表示できません]
のポリマーであり、式中、mおよびnは上で定義される通りであり、ポリマー主鎖のシステインのすべてのC(=O)部位が前述のようにゲムシタビン−エステルで占められているというわけではなく、代わりに遊離酸となっている、すなわち、ポリマーの理論付加量が100%未満である。
【0459】
いくつかの実施形態では、CDP−ゲムシタビンコンジュゲートは、式:
【化146】
[この文献は図面を表示できません]
のポリマーであり、式中、mおよびnは上で定義される通りであり、ポリマー主鎖のシステインのすべてのC(=O)部位が前述のようにゲムシタビン−エステルで占められているというわけではなく、代わりに遊離酸となっている、すなわち、ポリマーの理論付加量が100%未満である。
【0460】
いくつかの実施形態では、CDP−ゲムシタビンコンジュゲートは、式:
【化147】
[この文献は図面を表示できません]
のポリマーであり、式中、mおよびnは上で定義される通りであり、ポリマー主鎖のシステインのすべてのC(=O)部位が前述のようにゲムシタビン−エステルで占められているというわけではなく、代わりに遊離酸となっている、すなわち、ポリマーの理論付加量が100%未満である。
【0461】
いくつかの実施形態では、式CのCDP−ゲムシタビンコンジュゲートは、式:
【化148】
[この文献は図面を表示できません]
のポリマーであり、式中、mおよびnは上で定義される通りであり、ポリマー主鎖のシステインのすべてのC(=O)部位が前述のようにゲムシタビン−エステルで占められているというわけではなく、代わりに遊離酸となっている、すなわち、ポリマーの理論付加量が100%未満である。
【0462】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の治療剤は、アルキル化剤のような細胞毒性薬である。いくつかの実施形態では、CDP−アルキル化剤コンジュゲート、粒子または組成物中のアルキル化剤は、アルキル化剤(ナイトロジェンマスタード、エチレンイミン誘導体、スルホン酸アルキル、ニトロソウレアおよびトリアゼンを非限定的に含む):ウラシルマスタード(Aminouracil Mustard(登録商標)、Chlorethaminacil(登録商標)、Demethyldopan(登録商標)、Desmethyldopan(登録商標)、Haemanthamine(登録商標)、Nordopan(登録商標)、Uracil nitrogen mustard(登録商標)、Uracillost(登録商標)、Uracilmostaza(登録商標)、UrDastin(登録商標)、UrDastine(登録商標))、クロルメチン(Mustargen(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)、Neosar(登録商標)、Clafen(登録商標)、Endoxan(登録商標)、Procytox(登録商標)、Revimmune(TM))、イホスファミド(Mitoxana(登録商標))、メルファラン(Alkeran(登録商標))、クロラムブシル(Leukeran(登録商標))、ピポブロマン(Amedel(登録商標)、Vercyte(登録商標))、トリエチレンメラミン(Hemel(登録商標)、Hexalen(登録商標)、Hexastat(登録商標))、トリエチレンチオホスホルアミン、テモゾロミド(Temodar(登録商標))、チオテパ(Thioplex(登録商標))、ブスルファン(Busilvex(登録商標)、Myleran(登録商標))、カルムスチン(BiCNU(登録商標))、ロムスチン(CeeNU(登録商標))、ストレプトゾシン(Zanosar(登録商標))およびダカルバジン(DTIC−Dome(登録商標))を含めたアルキル化剤である。
【0463】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の治療剤は、アントラサイクリン剤のような細胞毒性薬である。いくつかの実施形態では、CDP−アントラサイクリンコンジュゲート、粒子または組成物中のアントラサイクリンは、を非限定的に含めたアントラサイクリンであるダウノルビシン(Cerubidine(登録商標)またはRubidomycin(登録商標))、ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標))、エピルビシン(Ellence(登録商標))、イダルビシン(Idamycin(登録商標))、ミトキサントロン(ノバントロン(登録商標))およびバルルビシン(Valstar(登録商標))。好適なアントラサイクリンとしては、ダウノルビシン(Cerubidine(登録商標)またはRubidomycin(登録商標))およびドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標))が挙げられる。
【0464】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の治療剤は、抗腫瘍抗生剤のような細胞毒性薬である。いくつかの実施形態では、CDP−抗腫瘍抗生剤コンジュゲート、粒子または組成物中の抗腫瘍抗生剤は、HSP90阻害剤、例えば、ゲルダナマイシン、CDP−タネスピマイシンコンジュゲートまたはCDP−アルベスピマイシンコンジュゲートを非限定的に含めた抗腫瘍抗生剤である。
【0465】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の治療剤は、白金系薬剤のような細胞毒性薬である。いくつかの実施形態では、CDP−白金系薬剤コンジュゲート、粒子または組成物中の白金系薬剤は、シスプラチン(Platinol(登録商標)またはPlatinol−AQ(登録商標))、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標)またはParaplatin−AQ(登録商標))およびオキサリプラチン(Eloxatin(登録商標))を非限定的に含めた白金系薬剤である。
【0466】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の治療剤は、微小管阻害剤のような細胞毒性薬である。いくつかの実施形態では、CDP−微小管阻害剤コンジュゲート中の微小管阻害剤はタキサンである。いくつかの実施形態では、CDP−タキサンコンジュゲート、粒子または組成物中のタキサンは、パクリタキセル(タキソール(登録商標))、ドセタキセル(タキソテール(登録商標))、ラロタキセルおよびカバジタキセルを非限定的に含めたタキサンである。
【0467】
タキサン
本明細書で使用される「タキサン」という用語は、任意の天然、合成または半合成タキサン構造、例えば当該技術分野で公知のタキサン構造を指す。例示的なタキサンとしては、例えば式(X)、(XIIa)および(XIIb)を含めた以下に示す化合物が挙げられる。
【0468】
一実施形態では、タキサンは、下式(X)の化合物であり:
【化149】
[この文献は図面を表示できません]
式中;
R
1は、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、フラニル、チオフェニルもしくはピリジル)、アルキル(例えば、イソブチルもしくはtert−ブチルのようなブチル)、シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)、ヘテロシクロアルキル(エポキシル)であるか、またはR
1は、R
3b、R
9bもしくはR
10のうちの1つおよびそれらが結合している炭素と一緒になった場合、単環もしくは二環系を形成し;R
1は、1〜3個のR
1aで任意に置換されており;
R
2は、NR
2aR
2bもしくはOR
2cであり;
R
3aは、H、OH、O−ポリマー、OC(O)アルキルもしくはOC(O)アルケニルであり;
R
3bは、HもしくはOHであるか;またはR
1およびそれが結合している炭素と一緒になって、単環もしくは二環環系を形成し;
R
4は、OH、アルコキシ(例えば、メトキシ)、OC(O)アルキル(例えば、Oアシル)、OC(O)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキルであるか;またはR
4は、R
5およびそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環を形成するか;またはR
4は、それが結合している炭素と一緒になって、環(スピロ環を形成)もしくはオキソを形成し;
R
5は、OH、OC(O)アルキル(例えば、Oアシル)であるか;またはR
5は、R
4もしくはR
7およびそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環を形成するか;またはR
5は、それが結合している炭素と一緒になって、環(スピロ環を形成している)もしくはオキソを形成し;
R
6は、アルキル(例えば、メチル)であるか;またはR
6は、R
7およびそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環(例えば、シクロプロピル環)を形成し;
R
7は、H、OH、アルコキシ(例えば、メトキシ)、OC(O)Oアルキル、OアルキルSアルキル(例えば、OCH
2SMe)もしくはOアルキルOアルキル(例えば、OCH
2OMe)、チオアルキル、SアルキルOアルキル(例えば、SCH
2OMe)であるか;またはR
7は、R
5もしくはR
6およびそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環(例えば、シクロプロピル環)を形成し;
R
7aは、HもしくはOHであり;
R
8は、OHもしくは脱離基(例えば、メシル酸もしくはハロ)であるか;またはR
8は、R
9aおよびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
9aは、活性化アルキル(例えば、CH
2I)であるか;またはR
9aは、R
8およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成するか;またはR
9aは、R
9bおよびそれが結合している炭素と一緒になって、環(スピロ環を形成している)を形成し;
R
9bは、OH、OC(O)アルキル(例えば、Oアシル)、OC(O)Oアルキル(例えば、OC(O)OMe)もしくはOC(O)シクロアルキルであるか;またはR
9bは、R
1およびそれらが結合している炭素と一緒になって環を形成するか;またはR
9bは、R
9aおよびそれが結合している炭素と一緒になって環(スピロ環を形成している)を形成し;
R
9bは、OH、OC(O)アリール(例えば、アリールが、例えばハロ、アルコキシもしくはN
3で任意に置換されている)もしくはOC(O)アルキルであるか;またはR
9bは、R
1もしくはR
11およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
11は、HもしくはOHであるか;またはR
11は、R
9bもしくはR
12およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
12は、HもしくはOHであるか;またはR
12は、R
11およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
1aはそれぞれ独立して、ハロ(例えば、フルオロ)、アルキル(例えば、メチル)であり、
R
2aおよびR
2bはそれぞれ独立して、H、C(O)アリール(例えば、C(O)フェニル)、C(O)アルキル(例えば、アシル)、C(O)H、C(O)Oアルキルであり、;C(O)アリール(例えば、C(O)フェニル)、C(O)アルキル(例えば、アシル)およびC(O)Oアルキルはそれぞれ任意に、例えば、R
1aにおいて記載されている置換基でさらに置換されており;
R
2cは、HもしくはC(O)NHアルキルである。
【0469】
いくつかの実施形態では、R
1はフェニル(例えば、任意に、例えばフルオロのようなハロで置換されている)。いくつかの実施形態では、R
1はヘテロアリール、例えば、フラニル、チオフェニルまたはピリジル(例えば、任意にピリジルで置換されている)。
【0470】
いくつかの実施形態では、R
1はアルキル、例えば、イソブチルまたはtert−ブチルのようなブチルである。
【0471】
いくつかの実施形態では、R
1はヘテロシクロアルキル(例えば、任意に、例えばメチルのような1つ以上のアルキル基で置換されているエポキシル)。
【0472】
いくつかの実施形態では、R
1は、R
3bおよびそれらが結合している炭素と一緒になって、二環系(例えば、
【化150】
[この文献は図面を表示できません]
)を形成する。
【0473】
いくつかの実施形態では、R
1は、R
9bおよびそれらが結合している炭素と一緒になって、環(例えば、単環または二環系)を形成する。
【0474】
いくつかの実施形態では、R
1は、R
9bおよびそれらが結合している炭素と一緒になって、環(例えば、単環または二環系)を形成する。
【0475】
いくつかの実施形態では、R
2はNR
2aR
2bである。いくつかの実施形態では、R
2aまたはR
2bの少なくとも1つはHである。いくつかの実施形態では、R
2aはHであり、R
2bはC(O)アリール(例えば、C(O)フェニル)、C(O)アルキル(例えば、アシル)、C(O)HまたはC(O)Oアルキルである。いくつかの実施形態では、R
2はNHC(O)アリールまたはNHC(O)Oアルキルである。
【0476】
いくつかの実施形態では、R
3aはOHである。いくつかの実施形態では、R
3aはOポリマーである。いくつかの実施形態では、ポリマーはポリグルタミン酸である。いくつかの実施形態では、R
3aはOC(O)C
21アルケニルである。
【0477】
いくつかの実施形態では、R
3aまたはR
3bの一方がHであり、R
3aまたはR
3bの他方がOHである。いくつかの実施形態では、R
4はOアシルである。いくつかの実施形態では、R
4はOHである。いくつかの実施形態では、R
4はメトキシである。いくつかの実施形態では、R
4は、R
5およびそれらが結合している炭素と一緒になって、
【化151】
[この文献は図面を表示できません]
を形成する。いくつかの実施形態では、R
4は、それが結合している炭素と一緒になって、
【化152】
[この文献は図面を表示できません]
を形成する。いくつかの実施形態では、R
4は、それが結合している炭素と一緒になって、オキソを形成する。いくつかの実施形態では、R
4はヘテロシクロアルキルアルキル(例えば、
【化153】
[この文献は図面を表示できません]
)である。
【0478】
いくつかの実施形態では、R
5は、それが結合している炭素と一緒になって、オキソを形成する。いくつかの実施形態では、R
5は、R
7およびそれらが結合している炭素と一緒になって、
【化154】
[この文献は図面を表示できません]
を形成する。
【0479】
いくつかの実施形態では、R
6はメチルである。いくつかの実施形態では、R
6は、R
7およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環(例えば、シクロプロピル)を形成する。いくつかの実施形態では、R
7はOHである。いくつかの実施形態では、R
7はHである。いくつかの実施形態では、R
7がHである場合、R
7aはOHである。
【0480】
いくつかの実施形態では、R
7aはHである。いくつかの実施形態では、R
7aはOHである。
【0481】
いくつかの実施形態では、R
8は、R
9aおよびそれらが結合している炭素と一緒になって、
【化155】
[この文献は図面を表示できません]
を形成し、式中、XはO、S、SeまたはNR
8a(例えば、O)であり、R
8aはH、アルキル、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、C(O)アルキルまたはC(O)Hである。いくつかの実施形態では、R
8は、R
9aおよびそれらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル環を形成する。
【0482】
いくつかの実施形態では、R
9bはOAcである。
【0483】
いくつかの実施形態では、R
10はOC(O)フェニルである。いくつかの実施形態では、R
10は、R
11およびそれが結合している炭素と一緒になって、
【化156】
[この文献は図面を表示できません]
のような環を形成する。
【0484】
いくつかの実施形態では、R
11はOHである。いくつかの実施形態では、R
11は、R
12およびそれが結合している炭素と一緒になって、
【化157】
[この文献は図面を表示できません]
のような環を形成する。
【0485】
いくつかの実施形態では、R
12はHである。
【0486】
いくつかの実施形態では、ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセルもしくはカバジタキセル、またはそれらの構造類似体が形成されるように、上で定義される可変部分を選択する。
【0487】
いくつかの実施形態では、タキサンは、式(Xa):
【化158】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物である。
【0488】
いくつかの実施形態では、タキサンは、式(Xb):
【化159】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物である。
【0489】
いくつかの実施形態では、タキサンは、式Xc:
【化160】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物である。
【0490】
いくつかの実施形態では、R
2はNHC(O)アリールまたはNHC(O)Oアルキルである。
【0491】
いくつかの実施形態では、R
4はOHまたはOAcである。
【0492】
いくつかの実施形態では、R
6はメチルである。
【0493】
いくつかの実施形態では、R
7はOHまたはOMeである。
【0494】
いくつかの実施形態では、R
6およびR
7は、それらが結合している炭素と一緒になって、環を形成する。
【0495】
いくつかの実施形態では、ドセタキセル、パクリタキセル、ラロタキセル、もしくはカバジタキセル、またはそれらの構造類似体が形成されるように上で定義される可変部分を選択する。
【0496】
一実施形態では、タキサンは式(XI):
【化161】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物であり、式中、
Xは、OH、オキソ(すなわち、それが結合している炭素と二重結合を形成する場合)、アルコキシ、OC(O)アルキル(例えば、Oアシル)もしくはOPgであり;
R
4は、OH、アルコキシ(例えば、メトキシ)、OC(O)アルキル(例えば、Oアシル)、OC(O)シクロアルキル、OPg、ヘテロシクロアルキルアルキルであるか;またはR
4は、R
5およびそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環を形成するか;またはR
4は、それが結合している炭素と一緒になって、環(スピロ環を形成している)またはオキソを形成し;
R
5は、OH、OC(O)アルキル(例えば、Oアシル)もしくはOPgであるか;またはR
5は、R
4およびそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環を形成するか;またはR
5は、それが結合している炭素と一緒になって、オキソを形成し;
R
6は、アルキル(例えば、メチル)であり;
R
7は、H、OH、アルコキシ(例えば、メトキシ)、OC(O)アルキル(例えば、OAc);OPg(例えば、OTESもしくはOTroc)もしくはOC(O)アルケニル(アルケニルは、例えばアリール(例えば、ナフチル)で置換されている(例えば、OC(O)CHCHナフチル))であるか、またはR
7は、それが結合している炭素と一緒になって、オキソを形成し;
R
8は、OH、任意に置換されているOC(O)アリールアルキル(例えば、OC(O)CHCHフェニル)、OC(O)(CH
2)
1〜3アリール(例えば、OC(O)CH
2CH
2フェニル)もしくは脱離基(例えば、メシル酸もしくはハロ)であるか;またはR
8は、R
9aおよびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
9aは、活性化アルキル(例えば、CH
2I)であるか;またはR
9aは、R
8およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成するか;またはR
9aは、R
9bおよびそれが結合している炭素と一緒になって、環(スピロ環を形成している)を形成するか、またはR
9aは、R
9bおよびそれらが結合している炭素と一緒になって、アリレニル(alylenyl)を形成し;
R
9bは、OH、アルコキシ、OC(O)アルキル(例えば、Oアシル)、OC(O)Oアルキル(例えば、OC(O)OMe)、OC(O)シクロアルキルもしくはOPgであるか;またはR
9bは、R
9aおよびそれが結合している炭素と一緒になって、環(スピロ環を形成している)を形成するか;またはR
9bは、R
9aおよびそれらが結合している炭素と一緒になって、アリレニル(alylenyl)を形成し;
R
10は、OH、OC(O)アリール(例えば、アリールは任意に、例えばハロ、アルコキシもしくはN
3で置換されている)もしくはOC(O)アルキルであるか;またはR
10は、R
11およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
11は、H、OHであるか;またはR
11は、R
10もしくはR
12およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
12は、H、OHもしくはOC(O)アルキルであり、アルキルは1〜4個の置換基で置換されているか;またはR
12は、R
11およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
Pgは、OもしくはNのようなヘテロ原子の保護基(例えば、Bn、Bz、TES、TMS、DMS、TrocもしくはAc)であり;
【化162】
[この文献は図面を表示できません]
は、単結合または二重結合である。
【0497】
いくつかの実施形態では、XはOHである。いくつかの実施形態では、Xはオキソである。いくつかの実施形態では、XはOAcである。
【0498】
いくつかの実施形態では、
【化163】
[この文献は図面を表示できません]
は単結合である。
【0499】
いくつかの実施形態では、R
4はOアシルである。いくつかの実施形態では、R
4はOHである。いくつかの実施形態では、R
4はメトキシである。いくつかの実施形態では、R
4はOPg(例えば、OTrocまたはOAc)である。いくつかの実施形態では、R
4は、R
5およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成する。
【0500】
いくつかの実施形態では、R
5は、それが結合している炭素と一緒になって、オキソを形成する。いくつかの実施形態では、R
5はOHまたはOPgである。
【0501】
いくつかの実施形態では、R
6はメチルである。
【0502】
いくつかの実施形態では、R
7はHである。いくつかの実施形態では、R
7はOHまたはOPgである。いくつかの実施形態では、Rは、それが結合している炭素と一緒になって、オキソを形成する。
【0503】
いくつかの実施形態では、R
8は
【化164】
[この文献は図面を表示できません]
である。いくつかの実施形態では、R
8は、R
9aおよびそれらが結合している炭素と一緒になって、
【化165】
[この文献は図面を表示できません]
を形成し、式中、XはO,S,SeまたはNR
8a(例えば、O)であり、R
8aはH,アルキル,アリールアルキル(例えば、ベンジル),C(O)アルキル,PgまたはC(O)Hである。いくつかの実施形態では、R
8は、R
9aおよびそれらが結合している炭素と一緒になって、シクロプロピル環を形成する。いくつかの実施形態では、
【化166】
[この文献は図面を表示できません]
。
【0504】
いくつかの実施形態では、R
9aおよびR
9bは、それらが結合している炭素と一緒になって、
【化167】
[この文献は図面を表示できません]
を形成する。
【0505】
いくつかの実施形態では、R
9bはOAcである。
【0506】
いくつかの実施形態では、R
10はOC(O)フェニルである。いくつかの実施形態では、R
10は、R
11およびそれが結合している炭素と一緒になって、
【化168】
[この文献は図面を表示できません]
のような環を形成する。
【0507】
いくつかの実施形態では、R
11はHである。いくつかの実施形態では、R
11はOHである。
【0508】
いくつかの実施形態では、R
12はHである。いくつかの実施形態では、R
12はOHである。いくつかの実施形態では、R
12は
【化169】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0509】
一実施形態では、タキサンは、式(XIIa):
【化170】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物であり、式中、
Zは、Oを−CHR
xと結合している原子Xと連結することにより、環を形成し;
R
4は、OH、アルコキシ(例えば、メトキシ)、OC(O)アルキル(例えば、Oアシル)、OC(O)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキルであるか;またはR
4は、R
5およびそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環を形成するか;またはR
4は、それが結合している炭素と一緒になって、環(スピロ環を形成している)もしくはオキソを形成し;
R
5はOH、OC(O)アルキル(例えば、Oアシル)であるか;またはR
5は、R
4もしくはR
7およびそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環を形成するか;またはR
5は、それが結合している炭素と一緒になって、環(スピロ環を形成している)もしくはオキソを形成し;
R
6はアルキル(例えば、メチル)であるか;またはR
6は、R
7およびそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環(例えば、シクロプロピル環)を形成し;
R
7はH、OH、アルコキシ(例えば、メトキシ)、OC(O)Oアルキル、OアルキルSアルキル(例えば、OCH
2SMe)もしくはOアルキルOアルキル(例えば、OCH
2OMe)、チオアルキル、SアルキルOアルキル(例えば、SCH
2OMe)であるか;またはR
7は、R
5もしくはR
6およびそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環(例えば、シクロプロピル環)を形成し;
R
7aは、HもしくはOHであり;R
8はOHもしくは脱離基(例えば、メシル酸もしくはハロ)であるか;またはR
8は、R
9aおよびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
9aは、活性化アルキル(例えば、CH
2I)であるか;またはR
9aは、R
8およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
10は、OH、OC(O)アリール(例えば、アリールは、例えばハロ、アルコキシもしくはN
3で任意に置換されている)もしくはOC(O)アルキルであるか;またはR
10は、R
1もしくはR
11およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
11は、HもしくはOHであるか;またはR
11は、R
10もしくはR
12およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
12は、HもしくはOHであるか;またはR
12は、R
11およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
xは、NHPgもしくはアリールであり;
Xは、CもしくはNであり;
Pgは、OもしくはNのようなヘテロ原子の保護基(例えば、Bn、Bz、TES、TMS、DMS、Troc、BocもしくはAc)である。
【0510】
いくつかの実施形態では、Zは1つ以上のフェニル環を含む。
【0511】
いくつかの実施形態では、Zは1つ以上の二重結合を含む。
【0512】
いくつかの実施形態では、Zは1つ以上のヘテロ原子を含む。
【0513】
いくつかの実施形態では、Zは
【化171】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、*はCHR
xと結合している原子Xを表し、**はC(O)と結合している炭素を表す。いくつかの実施形態では、Zは
【化172】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、*はCHR
xと結合している原子Xを表し、**はC(O)と結合している炭素を表す。いくつかの実施形態では、Zは
【化173】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、*はCHR
xと結合している原子Xを表し、**はC(O)と結合している炭素を表す。
【0514】
いくつかの実施形態では、タキサンは、式(XIIb):
【化174】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物であり、式中、
Z’は、Oを−CHR
xと結合している原子Xと連結することにより、環を形成し;
R
4は、OH、アルコキシ(例えば、メトキシ)、OC(O)アルキル(例えば、Oアシル)、OC(O)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキルであるか;またはR
4は、R
5およびそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環を形成するか;またはR
4は、それが結合している炭素と一緒になって、環(スピロ環を形成している)もしくはオキソを形成し;
R
5は、OH、OC(O)アルキル(例えば、Oアシル)であるか;またはR
5は、R
4もしくはR
7およびそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環を形成するか;またはR
5は、それが結合している炭素と一緒になって、環(スピロ環を形成している)もしくはオキソを形成し;
R
6は、アルキル(例えば、メチル)であるか;またはR
6は、R
7およびそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環(例えば、シクロプロピル環)を形成し;
R
7は、H、OH、アルコキシ(例えば、メトキシ)、OC(O)Oアルキル、OアルキルSアルキル(例えば、OCH
2SMe)もしくはOアルキルOアルキル(例えば、OCH
2OMe)、チオアルキル、SアルキルOアルキル(例えば、SCH
2OMe)であるか;またはR
7は、R
5もしくはR
6およびそれらが結合している炭素と一緒になって、任意に置換されている環(例えば、シクロプロピル環)を形成し;
R
7aは、HもしくはOHであり;
R
8は、OHもしくは脱離基(例えば、メシル酸もしくはハロ)であるか;またはR
8は、R
9aおよびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
9aは、活性化アルキル(例えば、CH
2I)であるか;またはR
9aは、R
8およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成するか;またはR
9aは、R
9bおよびそれが結合している炭素と一緒になって、環(スピロ環を形成している)を形成し;
R
9bは、OH、OC(O)アルキル(例えば、Oアシル)、OC(O)Oアルキル(例えば、OC(O)OMe)もしくはOC(O)シクロアルキルであるか;またはR
9bは、R
9aおよびそれが結合している炭素と一緒になって、環(スピロ環を形成している)を形成し;
R
11は、HもしくはOHであるか;またはR
11は、R
10もしくはR
12およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
12は、HもしくはOHであるか;またはR
12は、R
11およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
xは、NHPgもしくはアリールであり;
Xは、CもしくはNであり;
Pgは、OもしくはNのようなヘテロ原子の保護基(例えば、Bn、Bz、TES、TMS、DMS、Troc、BocもしくはAc)である。
【0515】
いくつかの実施形態では、Z’は1つ以上のフェニル環を含む。
【0516】
いくつかの実施形態では、Z’は1つ以上の二重結合を含む。
【0517】
いくつかの実施形態では、Z’は1つ以上のヘテロ原子を含む。
【0518】
いくつかの実施形態では、Z’は
【化175】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、*はCHR
xと結合している原子Xを表し、**はC(O)と結合している炭素を表す。いくつかの実施形態では、Z’は
【化176】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、*はCHR
xと結合している原子Xを表し、**はC(O)と結合している炭素を表す。いくつかの実施形態では、Z’は
【化177】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、*はCHR
xと結合している原子Xを表し、**はC(O)と結合している炭素を表す。
【0519】
いくつかの実施形態では、タキサンは、式(XIII):
【化178】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物であり、式中、
R
1は、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロアリール(例えば、フラニル、チオフェニルもしくはピリジル)、アルキル(例えば、イソブチルもしくはtert−ブチルのようなブチル)、シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)、ヘテロシクロアルキル(エポキシル)であるか、またはR
1は、R
3b、R
9bもしくはR
10のうちの1つおよびそれらが結合している炭素と一緒になった場合、単環または二環系を形成し;R
1は、任意に1〜3個のR
1aで置換されており;
R
2は、NR
2aR
2bもしくはOR
2cであり;
R
3aは、H,OH,Oポリマー,OC(O)アルキルもしくはOC(O)アルケニルであり;
R
7は、OH,アルコキシ(例えば、メトキシ),OC(O)Oアルキルであり;
R
8は、OHもしくは脱離基(例えば、メシル酸もしくはハロ)であるか;またはR
8は、R
9aおよびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
9aは、活性化アルキル(例えば、CH
2I)であるか;またはR
9aは、R
8およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成するか;またはR
9aは、R
9bおよびそれが結合している炭素と一緒になって、環(スピロ環を形成している)を形成し;
R
9bは、OH、OC(O)アルキル(例えば、Oアシル)、OC(O)Oアルキル(例えば、OC(O)OMe)もしくはOC(O)シクロアルキルであるか;またはR
9bは、R
1およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成するか;またはR
9bは、R
9aおよびそれが結合している炭素と一緒になって、環(スピロ環を形成している)を形成し;
R
10は、OH,OC(O)アリール(例えば、アリールは、例えばハロ,アルコキシもしくはN
3で任意に置換されている)もしくはOC(O)アルキルであるか;またはR
10は、R
1もしくはR
11およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
11は、HもしくはOHであるか;またはR
11は、R
10もしくはR
12およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
12は、HもしくはOHであるか;またはR
12は、R
11およびそれらが結合している炭素と一緒になって、環を形成し;
R
1aはそれぞれ独立して、ハロ(例えば、フルオロ),アルキル(例えば、メチル)であり;
R
2aおよびR
2bはそれぞれ独立して、H、C(O)アリール(例えば、C(O)フェニル)、C(O)アルキル(例えば、アシル)、C(O)H、C(O)Oアルキルであり;C(O)アリール(例えば、C(O)フェニル)、C(O)アルキル(例えば、アシル)およびC(O)Oアルキルはそれぞれ、任意に、例えばR
1aにおいて記載されている置換基でさらに置換されており;
R
2cは、HもしくはC(O)NHアルキルであり;
R
8aは、H、アルキル、アリールアルキル(例えば、ベンジル)、C(O)アルキルもしくはC(O)Hである。
【0520】
いくつかの実施形態では、R
7はOHである。
【0521】
いくつかの好適な実施形態では、タキサンは、ドセタキセル、ラロタキセル、ミラタキセル、TPI−287、TL−310、BMS−275183、BMS−184476、BMS−188797、オルタタキセル、テセタキセルまたはカバジタキセルである。さらなるタキサンは、それぞれその内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Fan,Mini−Reviews in Medicinal Chemistry,2005,5,1−12;Gueritte,Current Pharmaceutical Design,2001,7,1229−1249;Kingston,J.Nat.Prod.,2009,72,507−515;およびFerlini,Exper Opin.invest.Drugs,2008,17,3,335−347に記載されている。
【0522】
一実施形態では、CDP−微小管阻害剤コンジュゲートは、CDP−タキサンコンジュゲート、例えば
【化179】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、
【化180】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し;nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);Lはリンカー、例えば本明細書に記載のリンカーであり;「タキサン」はタキサン、例えば本明細書に記載のタキサン、例えば
図4に示されるタキサンである。いくつかの実施形態では、CDP−微小管阻害剤コンジュゲート、例えばCDP−タキサンコンジュゲートは、完全な付加量を有するわけではなく、例えば、1つ以上の結合部位、例えばシステイン残基が微小管阻害剤、例えばタキサン部分、例えば本明細書に記載のリンカーで結合した本明細書に記載のタキサンと結合しておらず、例えば、CDP−タキサンコンジュゲートは、下式を有する1つ以上のサブユニットを含み:
【化181】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【化182】
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はシクロデキストリンを表し;mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);Lはリンカー、例えば本明細書に記載のリンカーであり;「タキサン」はタキサン、例えば本明細書に記載のタキサン、例えば
図4に示されるタキサンである。いくつかの実施形態では、CDP−微小管阻害剤コンジュゲート、粒子または組成物、例えばCDP−タキサンコンジュゲート、粒子または組成物は、完全に付加されたCDP−微小管阻害剤類似体コンジュゲートおよび部分的に付加されたCDP−微小管阻害剤類似体コンジュゲート、例えばCDP−タキサンコンジュゲートの混合物を含む。
【0523】
一実施形態では、CDP−微小管阻害剤コンジュゲートは、
【化183】
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のサブユニットを含み、式中、mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);Lはリンカー、例えば本明細書に記載のリンカーであり;「タキサン」はタキサン、例えば本明細書に記載のタキサン、例えば
図4に示されるタキサンである。
【0524】
図4は、様々なCDP−タキサンコンジュゲートの例を示す表である。
図4のCDP−タキサンコンジュゲートは、下式によって表される:
CDP−CO−ABX−タキサン。
この式の中で、CDPは、下(および
図3)に示されるシクロデキストリン含有ポリマーであり:
【化184】
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式中、基
【化185】
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は3400Da以下の分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。タキサンが、上記のようにポリマーのカルボン酸部分を介してCDPとコンジュゲートされていることに留意されたい。タキサンがCDPに完全に付加されている必要はない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つ、例えば、少なくとも2、3、4、5、6または7つのカルボン酸部分が、コンジュゲート後にタキサンと未反応のままである(例えば、複数のカルボン酸部分が未反応のままである)。
【0525】
COは、CDPのシステイン残基のカルボニル基を表し;
AおよびBは、CDPとタキサンの間の連結を表す。位置Aは、リンカーBとCDPのシステイン酸カルボニルとの間の結合(
図4では「−」と表される)、タキサンとCDPのシステイン酸カルボニルとの間の結合(
図4では「−」と表される)であるか、または結合を介してCDPのシステイン酸カルボニルと結合しているリンカーの一部を表すかのいずれかである。位置Bは、占有されていない(
図4では「−」と表される)か、または結合を介してタキサンと結合しているリンカーの一部を表すかのいずれかであり;
Xは、リンカーがタキサン上で結合しているヘテロ原子を表す。
【0526】
図4に記載されているように、「タキサン」の見出しがある列は、CDP−タキサンコンジュゲート中に含まれているタキサンの種類を示している。
【0527】
図4の表右側の3つの列はそれぞれ、タキサンの示される位置を保護するために保護基を使用している場合のその保護基の種類、CDP−タキサンコンジュゲートを作製する工程およびCDP−タキサンコンジュゲートの作製工程の最終産物を示す。
【0528】
図4で言及されている工程は、右から2番目の列にあるように、例えば工程A、工程Bなどのように文字による表記がなされている。上記工程の各段階を、それぞれ以下に記載する。
【0529】
工程A:位置Bの保護リンカーをタキサンとカップリングさせ、リンカーを脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと連結した2’−タキサンを得る。
【0530】
工程B:位置Bの活性化リンカーをタキサンの2’−ヒドロキシルとカップリングさせ、位置Aのリンカーを含むCDPと、Aのリンカーを介してカップリングさせて、CDPと連結した2’−タキサンを得る。
【0531】
工程C:タキサンのC2’ヒドロキシ基を保護し、位置Bの保護リンカーをタキサンとカップリングさせ、リンカーおよびC2’ヒドロキシ基を脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと連結した7−タキサンを得る。
【0532】
工程D:タキサンのC2’ヒドロキシ基を保護し、位置Bの活性化リンカーをタキサンの7−ヒドロキシルとカップリングさせ、C2’ヒドロキシ基を脱保護し、位置Aのリンカーを含むCDPと、Aのリンカーを介してカップリングさせて、CDPと連結した7−タキサンを得る。
【0533】
図4に具体的に示されるように、CDP−タキサンコンジュゲートは、本明細書に記載のものを含め、当該技術分野で公知の各種の方法を用いて調製し得る。いくつかの実施形態では、CDP−タキサンコンジュゲートを、タキサン上の保護基を用いずに調製し得る。2’位および7位の両方にヒドロキシル基を有するタキサンでは、2’位の方が反応性が高いため、保護基を用いない場合は、反応(1つまたは複数)の主生成物が2’位を介して連結したものになることを当業者は理解するであろう。
【0534】
上記工程に1つ以上の保護基を用いて、本明細書に記載のCDP−タキサンコンジュゲートを作製し得る。保護基を用いて、タキサンおよび/またはタキサンリンカーと位置Aとの結合点を制御し得る。いくつかの実施形態では、保護基を除去し、他の実施形態では、保護基を除去しない。保護基を除去しない場合は、保護基がin vivoで除去される(例えば、プロドラッグとして働く)ようにそれを選択し得る。1つの例がヘキサン酸であり、これはドキソルビシン中のヒドロキシル基を保護するために用いた場合、in vivoでリパーゼによって除去されることが示されている。保護基は一般に、カップリング反応の一部となることを目的としないタキサンの反応基およびリンカーの反応基の両方に対して選択する。保護基は、タキサンおよび/またはリンカー物質が分解されない条件下で除去可能なものでなければならない。例として、t−ブチルジメチルシリル(「TBDMS」)およびTROC(2,2,2−トリクロロエトキシクロロホルマートから誘導される)が挙げられる。除去に対してオレフィン還元を上回る選択性があれば、TROCの代わりにカルボキシベンジル(「CBz」)も使用し得る。水素化により除去されやすい、−メトキシベンジルOCO−のような基を用いることによりこれを行い得る。他の保護基も許容される。当業者は、本明細書の生成物および方法に適した保護基を選択し得る。
【0535】
いくつかの実施形態では、CDP−微小管阻害剤コンジュゲート中の微小管阻害剤はエポチロンである。いくつかの実施形態では、CDP−エポチロンコンジュゲート、粒子または組成物中のエポチロンは、イクサベピロン、エポチロンB、エポチロンD、BMS310705、デハイデロンおよびZK−エポチロン(ZK−EPO)を非限定的に含めたエポチロンである。本明細書に記載のその他のエポチロンもCDP−エポチロンコンジュゲート中に含め得る。
【0536】
エポチロン
本明細書で使用される「エポチロン」という用語は、任意の天然、合成または半合成エポチロン構造、例えば当該技術分野で公知のエポチロン構造を指す。またエポチロンという用語は、本明細書に記載の一般式XX、XXI、XXII、XXIII、XXIV、XXVおよびXXVIに属する構造も包含する。
【0537】
例示的なエポチロンとしては、本明細書に一般的におよび具体的に記載されているものがあげられる。いくつかの実施形態では、エポチロンは、エポチロンB、イクサベピロン、BMS310705、エポチロンD、デハイデロンまたはサゴピロンである。上記すべてのエポチロンの構造を以下に記載する:
【化186】
[この文献は図面を表示できません]
【0538】
その他の例示的なエポチロンも、
図5、および参照により本明細書に組み込まれるAltmannら,「Epothilones as Lead Structures for New Anticancer Drugs−Pharmacology,Fermentation,and Structure−activity−relationships;」 Progress In Drug Research(2008)Vol.66,274−334ページに記載されている。さらにエポチロンは、例えば、米国特許第7,317,100号;同第6,946,561号;同第6,350,878号;同第6,302,838号;同第7,030,147号;同第6,387,927号;同第6,346,404号;米国特許出願公開第2004/0038324号;同第2009/0041715号;同第2007/0129411号;同第2005/0271669号;米国特許出願公開第2008/0139587号;同第2004/0235796号;同第2005/0282873号;同第2006/0089327号;国際公開第2008/071404号;同第2008/019820号;同第2007/121088号;同第1998/08849号;欧州特許第1198225号;同第1420780号;同第1385522号;同第1539768号;同第1485090号;および同第1463504号に見ることができ、上記参考文献は、その内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0539】
さらにエポチロンは、例えば、米国特許第6,410,301号;同第7,091,193号;同第7,402,421号;同第7,067,286号;同第6,489,314号;同第6,589,968号;同第6,893,859号;US7,176,235号;同第7,220,560号;同第6,280,999号;同第7,070,964号;米国特許出願公開第2005/0148543号;同第2005/0215604号;同第2003/0134883号;同第2008/0319211号;同第2005/0277682号;同第2005/0020558号;同第2005/0203174号;同第20020045609,同第2004/0167097号;同第2004/0072882号;同第2002/0137152号;国際公開第2009/064800号;および同第2002/012534号に見ることができ、上記参考文献は、その内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0540】
さらにエポチロンは、例えば、米国特許第6,537,988号;同第7,312,237号;同第7,022,330号;同第6,670,384号;同第6,605,599号;同第7,125,899号;同第6,399,638号;同第7,053,069号;同第6,936,628号;同第7,211,593号;同第6,686,380号;同第6,727,276号;同第6,291,684号;同第6,780,620号;同第6,719,540号;米国特許出願公開第2009/0004277号;同第2007/0276018号;国際公開第2004/078978号;および欧州特許第1157023号に見ることができ、上記参考文献は、その内容全体が本明細書に組み込まれる。さらにエポチロンは、例えば、米国特許出願公開第2008/0146626;US2009/0076098;国際公開第2009/003706号および同第WO2009/074274号に見ることができ、上記参考文献は、その内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0541】
さらにエポチロンは、例えば、米国特許第7,169,930号;同第6,294,374号;同第6,380,394号;および同第6,441,186号見ることができ、上記参考文献は、その内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0542】
さらにエポチロンは、例えば、米国特許第7,119,071号;および独国特許出願公開第197 13 970.1号、同第100 51 136.8号、同第101 34 172.5号および同第102 32 094.2号に見ることができ、上記参考文献は、その内容全体が本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、エポチロンは、葉酸部分のような標的化部分と結合している。いくつかの実施形態では、標的化部分(例えば、葉酸)は、エポチロン上の官能基、例えばヒドロキシル基または必要に応じてアミノ基などと結合している。いくつかの実施形態では、葉酸は、エポチロンと直接結合している。いくつかの実施形態では、葉酸は、介してリンカーをエポチロンと結合している。エポフォレート(BMS−753493)は、葉酸と結合したエポチロンの例であり、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,033,594号を参照されたい。
【0543】
一実施形態では、エポチロンは、式(XX):
【化187】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物であり、式中、
R
1は、それぞれ任意に1〜3個のR
8で置換されているアリール、ヘテロアリール、アリールアルケニルまたはヘテロアリールアルケニルであり;
R
2は、Hまたはアルキル(例えば、メチル)であるか;あるいは
R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、任意に1〜3個のR
8で置換されているアリールまたはヘテロアリール部分を形成し;
R
3は、H、OH、NH
2またはCNであり;
Xは、OまたはNR
4であり;
R
4は、H、アルキル、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)NR
5アルキル、−C(O)NR
5アリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルであり;
Yは、CR
5R
6、OまたはNR
7であり;
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、Hまたはアルキル(例えば、メチル)であり;
R
7は、H、アルキル、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)NR
5アルキル、−C(O)NR
5アリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルであり;
各R
8はそれぞれの出現に対して、独立して、アルキル、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルチオール、アリール、アリールアルキルオキシアルキルまたはアルコキシであり;
Q−Zは、一緒になった場合、
【化188】
[この文献は図面を表示できません]
ヘテロアリーレニル、C(O)NR
4、NR
4C(O)、CR
5R
6NR
4またはNR
4CR
5R
6を形成し;
R
qは、H、アルキル(例えば、メチル)またはヒドロキシであり;
R
zは、H、アルキル(例えば、メチル)、ハロアルキル(例えば、CF
3)、ヘテロシクリルアルキルまたはN
3であり;
R
9は、H、アルキル、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)NR
5アルキル、−C(O)NR
5アリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルであり;
各
【化189】
[この文献は図面を表示できません]
はそれぞれの出現に対して、独立して、単結合または二重結合である。
【0544】
いくつかの実施形態では、R
1は、任意に1〜3個のR
8で置換されている
【化190】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0545】
いくつかの実施形態では、HETは、任意に1〜3個のR
8で置換されている5員環ヘテロアリールである。
【0546】
いくつかの実施形態では、HETは、任意に1〜3個のR
8で置換されているチアゾリルである。いくつかの実施形態では、HETは、アルキル(例えば、メチル)、アミノアルキル(例えば、アミノメチル)、アルキルチオール(例えば、メチルチオール)、ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)またはアリール(例えば、フェニル)で置換されている。
【0547】
いくつかの実施形態では、HETは、アルキル(例えば、メチル)またはアミノアルキルで置換されている。
【0548】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化191】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、A、BおよびDはそれぞれ独立して、CHまたはNである。いくつかの実施形態では、AはNであり、BはCHであり、DはCHである。いくつかの実施形態では、AはCHであり、BはNであり、DはCHである。いくつかの実施形態では、AはCHであり、BはCHであり、DはNである。
【0549】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化192】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、A、BおよびDはそれぞれ独立して、CHまたはNである。いくつかの実施形態では、AはNであり、BはNであり、DはCHである。いくつかの実施形態では、AはNであり、BはCHであり、DはNである。いくつかの実施形態では、AはCHであり、BはCHであり、DはCHである。
【0550】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化193】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、R
aおよびR
bはそれぞれ独立して、Hまたは−SMeである。
【0551】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化194】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、R
aはそれぞれ、H、アルキルまたは−Sアルキルであり;R
bは、H、アルキル(例えば、メチル)またはアリール(例えば、フェニル)である。
【0552】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化195】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、AはCHまたはである。
【0553】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化196】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0554】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化197】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、AはSまたはOである。
【0555】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化198】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0556】
いくつかの実施形態では、R
2はHである。
【0557】
いくつかの実施形態では、R
2はアルキル(例えば、メチル)である。
【0558】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、任意に1〜3個のR
8で置換されているアリールまたはヘテロアリール部分を形成する。
【0559】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、任意に1〜3個のR
8で置換されているヘテロアリール部分を形成する。
【0560】
いくつかの実施形態では、ヘテロアリール部分は二環式ヘテロアリール部分である。
【0561】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、
【化199】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0562】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、
【化200】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0563】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、
【化201】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0564】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、
【化202】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、AはNであり、BはSであるか、または式中、AはSであり、BはNである。
【0565】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、
【化203】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、AはNであり、BはCHであるか、または式中、AはCHであり、BはNである。
【0566】
いくつかの実施形態では、
【化204】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化205】
[この文献は図面を表示できません]
である。いくつかの実施形態では、
【化206】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化207】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0567】
いくつかの実施形態では、
【化208】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化209】
[この文献は図面を表示できません]
である。いくつかの実施形態では、
【化210】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化211】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0568】
いくつかの実施形態では、
【化212】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化213】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0569】
いくつかの実施形態では、
【化214】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化215】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0570】
いくつかの実施形態では、XはOである。
【0571】
いくつかの実施形態では、XはNR
4(例えば、NH)である。
【0572】
いくつかの実施形態では、YはCR
5R
6である。いくつかの実施形態では、Yは
【化216】
[この文献は図面を表示できません]
である。いくつかの実施形態では、YはCH
2である。
【0573】
いくつかの実施形態では、YはNR
7(例えば、NHまたはNMe)である。
【0574】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、
【化217】
[この文献は図面を表示できません]
またはヘテロアリーレニルを形成する。
【0575】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、
【化218】
[この文献は図面を表示できません]
を形成する。
【0576】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、
【化219】
[この文献は図面を表示できません]
を形成する。
【0577】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、
【化220】
[この文献は図面を表示できません]
を形成し、式中、R
qはHであり、R
zはHまたはアルキル(例えば、メチル)である。
【0578】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、
【化221】
[この文献は図面を表示できません]
を形成する。いくつかの実施形態では、R
qおよびR
zは共にメチルである。いくつかの実施形態では、
【化222】
[この文献は図面を表示できません]
は、
【化223】
[この文献は図面を表示できません]
から選択される。いくつかの実施形態では、R
qおよびR
zは共にメチルである。
【0579】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、ヘテロアリーレニルを形成する。いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、
【化224】
[この文献は図面を表示できません]
を形成する。
【0580】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、C(O)NR
4を形成する。いくつかの実施形態では、R
4はHまたはアルキル(例えば、メチルまたはエチル)である。
【0581】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、NR
4C(O)を形成する。いくつかの実施形態では、R
4はHまたはアルキル(例えば、メチルまたはエチル)である。
【0582】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、CH
2NR
4を形成する。いくつかの実施形態では、R
4は、H、アルキル、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルである。いくつかの実施形態では、R
4は、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルである。
【0583】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、NR
4CH
2を形成する。いくつかの実施形態では、R
4は、H、アルキル、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルである。いくつかの実施形態では、R
4は、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルである。
【0584】
いくつかの実施形態では、式(XX)の化合物は、式(XXa):
【化225】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物である。
【0585】
いくつかの実施形態では、式(XX)の化合物は、式(XXb):
【化226】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物である。
【0586】
いくつかの実施形態では、式(XX)の化合物は、式(XXc):
【化227】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物であり、式中、HETは任意に置換されているヘテロアリールである。
【0587】
いくつかの実施形態では、HETは、任意に置換されている5員環である。
【0588】
いくつかの実施形態では、式(XX)の化合物は、式(XXd):
【化228】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物である。
【0589】
いくつかの実施形態では、式(XX)の化合物は、式(XXe):
【化229】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物である。
【0590】
いくつかの実施形態では、式(XX)の化合物は、式(XXf):
【化230】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物である。
【0591】
いくつかの実施形態では、式(XX)の化合物は、式(XXg):
【化231】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物である。
【0592】
一実施形態では、エポチロンは、式(XXI):
【化232】
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の化合物であり、式中、
R
1は、それぞれ任意に1〜3個のR
8で置換されているアリール、ヘテロアリール、アリールアルケニルまたはヘテロアリールアルケニルであり;
R
2は、Hまたはアルキル(例えば、メチル)であるか;あるいは
R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、任意に1〜3個のR
8で置換されているアリールまたはヘテロアリール部分を形成し;
R
3は、H、OH、NH
2またはCNであり;
Xは、OまたはNR
4であり;
R
4は、H、アルキル、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)NR
5アルキル、−C(O)NR
5アリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルであり;
Yは、CR
5R
6、OまたはNR
7であり;
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、Hまたはアルキル(例えば、メチル)であり;
R
7は、H、アルキル、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)NR
5アルキル、−C(O)NR
5アリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルであり;
各R
8はそれぞれ独立して、アルキル、アミノアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルチオール、アリール、アリールアルキルオキシアルキルまたはアルコキシであり;
Q−Zは、一緒になった場合、
【化233】
[この文献は図面を表示できません]
ヘテロアリーレニル、C(O)NR
4、NR
4C(O)、CR
5R
6NR
4またはNR
4CR
5R
6NR
4を形成し;
R
qは、H、アルキル(例えば、メチル)またはヒドロキシであり;
R
zは、H、アルキル(例えば、メチル)、ハロアルキル(例えば、CF
3)、ヘテロシクリルアルキルまたはN
3であり;
R
9は、H、アルキル、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)NR
5アルキル、−C(O)NR
5アリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルであり;
各
【化234】
[この文献は図面を表示できません]
はそれぞれの出現に対して、独立して、単結合または二重結合であり;
nは、0、1または2である。
【0593】
いくつかの実施形態では、R
1は、任意に1〜3個のR
8で置換されている
【化235】
[この文献は図面を表示できません]
である。いくつかの実施形態では、HETは、任意に1〜3個のR
8で置換されている5員環ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、HETは、任意に1〜3個のR
8で置換されているチアゾリルである。いくつかの実施形態では、HETは、アルキル(例えば、メチル)、アミノアルキル(例えば、アミノメチル)、アルキルチオール(例えば、メチルチオール)、ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)またはアリール(例えば、フェニル)で置換されている。いくつかの実施形態では、HETは、アルキル(例えば、メチル)またはアミノアルキルで置換されている。
【0594】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化236】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、A、BおよびDはそれぞれ独立して、CHまたはNである。いくつかの実施形態では、AはNであり、BはCHであり、DはCHである。いくつかの実施形態では、AはCHであり、BはNであり、DはCHである。いくつかの実施形態では、AはCHであり、BはCHであり、DはNである。
【0595】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化237】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、A、BおよびDはそれぞれ独立して、CHまたはNである。いくつかの実施形態では、AはNであり、BはNであり、DはCHである。いくつかの実施形態では、AはNであり、BはCHであり、DはNである。いくつかの実施形態では、AはCHであり、BはCHであり、DはCHである。
【0596】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化238】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、R
aおよびR
bはそれぞれ独立して、−Hまたは−SMeである。
【0597】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化239】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、R
aはそれぞれH、アルキルまたは−Sアルキルであり;R
bは、H、アルキル(例えば、メチル)またはアリール(例えば、フェニル)である。
【0598】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化240】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、AはCHまたはNである。
【0599】
いくつかの実施形態では、HETは
【化241】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0600】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化242】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、AはSまたはOである。
【0601】
いくつかの実施形態では、HETは
【化243】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0602】
いくつかの実施形態では、R
2はHである。
【0603】
いくつかの実施形態では、R
2はアルキル(例えば、メチル)である。
【0604】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、任意に1〜3個のR
8で置換されているアリールまたはヘテロアリール部分を形成する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリール部分は二環式ヘテロアリール部分である。
【0605】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、
【化244】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0606】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、
【化245】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0607】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、
【化246】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0608】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、
【化247】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、AはNであり、BはSであるか、または式中、AはSであり、BはNである。
【0609】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、
【化248】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、AはNであり、BはCHであるか、または式中、AはCHであり、BはNである。
【0610】
いくつかの実施形態では、
【化249】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化250】
[この文献は図面を表示できません]
である。いくつかの実施形態では、
【化251】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化252】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0611】
いくつかの実施形態では、
【化253】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化254】
[この文献は図面を表示できません]
である。いくつかの実施形態では、
【化255】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化256】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0612】
いくつかの実施形態では、
【化257】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化258】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0613】
いくつかの実施形態では、
【化259】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化260】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0614】
いくつかの実施形態では、XはOである。
【0615】
いくつかの実施形態では、XはNR
4(例えば、NH)である。
【0616】
いくつかの実施形態では、YはCR
5R
6である。
【0617】
いくつかの実施形態では、Yは
【化261】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0618】
いくつかの実施形態では、YはCH
2である。
【0619】
いくつかの実施形態では、YはNR
7(例えば、NHまたはNMe)である。
【0620】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、
【化262】
[この文献は図面を表示できません]
またはヘテロアリーレニルを形成する。
【0621】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、
【化263】
[この文献は図面を表示できません]
を形成する。
【0622】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、
【化264】
[この文献は図面を表示できません]
を形成する。
【0623】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、
【化265】
[この文献は図面を表示できません]
を形成し、式中、R
qはHであり、R
zはHまたはアルキル(例えば、メチル)である。
【0624】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、
【化266】
[この文献は図面を表示できません]
を形成する。いくつかの実施形態では、R
qおよびR
zは共にメチルである。
【0625】
いくつかの実施形態では、
【化267】
[この文献は図面を表示できません]
は、
【化268】
[この文献は図面を表示できません]
から選択される。いくつかの実施形態では、R
qおよびR
zは共にメチルである。
【0626】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、ヘテロアリーレニルを形成する。いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、
【化269】
[この文献は図面を表示できません]
を形成する。
【0627】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、C(O)NR
4を形成する。いくつかの実施形態では、R
4は、Hまたはアルキル(例えば、メチルまたはエチル)である。
【0628】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、NR
4C(O)を形成する。いくつかの実施形態では、R
4は、Hまたはアルキル(例えば、メチルたはエチル)である。
【0629】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、CH
2NR
4を形成する。いくつかの実施形態では、R
4は、H、アルキル、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルである。いくつかの実施形態では、R
4は、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルである。
【0630】
いくつかの実施形態では、Q−Zは、一緒になった場合、NR
4CH
2を形成する。いくつかの実施形態では、R
4は、H、アルキル、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルである。いくつかの実施形態では、R
4は、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルである。
【0631】
いくつかの実施形態では、nは0である。
【0632】
いくつかの実施形態では、nは1である。
【0633】
いくつかの実施形態では、式(XXI)の化合物は、式(XXIa):
【化270】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物である。
【0634】
いくつかの実施形態では、式(XXI)の化合物は、式(XXIb):
【化271】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物である。
【0635】
いくつかの実施形態では、式(XXI)の化合物は、式(XXIc):
【化272】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物である。
【0636】
いくつかの実施形態では、エポチロンは、式(XXII):
【化273】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物であり、式中、
R
1は、それぞれ任意に1〜3個のR
8で置換されているアリール、ヘテロアリール、アリールアルケニルまたはヘテロアリールアルケニルであり;
R
2は、Hまたはアルキル(例えば、メチル)であるか;あるいは
R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、任意に1〜3個のR
8で置換されているアリールまたはヘテロアリール部分を形成し;
R
3は、H、OH、NH
2またはCNであり;
Xは、OまたはNR
4であり;
R
4は、H、アルキル、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)NR
5アルキル、−C(O)NR
5アリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルであり;
Yは、CR
5R
6、OまたはNR
7であり;
R
5およびR
6はそれぞれ独立して、Hまたはアルキル(例えば、メチル)であり;
R
7は、H、アルキル、−C(O)Oアルキル、−C(O)Oアリールアルキル、−C(O)NR
5アルキル、−C(O)NR
5アリールアルキル、−C(O)アルキル、−C(O)アリールまたはアリールアルキルであり;
各R
8はそれぞれの出現に対して、独立して、アルキル、アミノアルキルまたはヒドロキシアルキルであり;
R
9およびR
9’はそれぞれ独立して、Hまたはアルキル(例えば、メチル)であり;
R
zは、H、アルキル(例えば、メチル)、ハロアルキル(例えば、CF
3)、ヘテロシクリルアルキルまたはN
3であり;
各
【化274】
[この文献は図面を表示できません]
はそれぞれの出現に対して、独立して、単結合または二重結合であり;
mは、0、1または2であり;
nは、0、1または2である。
【0637】
いくつかの実施形態では、R
1は、任意に1〜3個のR
8で置換されている
【化275】
[この文献は図面を表示できません]
である。いくつかの実施形態では、HETは、任意に1〜3個のR
8で置換されている5員環ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、HETは、任意に1〜3個のR
8で置換されているチアゾリルである。いくつかの実施形態では、HETは、アルキル(例えば、メチル)、アミノアルキル(例えば、アミノメチル)、アルキルチオール(例えば、メチルチオール)、ヒドロキシアルキル(例えば、ヒドロキシメチル)、アルコキシ(例えば、メトキシ)またはアリール(例えば、フェニル)で置換されている。いくつかの実施形態では、HETは、アルキル(例えば、メチル)またはアミノアルキルで置換されている。
【0638】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化276】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、A、BおよびDはそれぞれ独立して、CHまたはNである。いくつかの実施形態では、AはNであり、BはCHであり、DはCHである。いくつかの実施形態では、AはCHであり、BはNであり、DはCHである。いくつかの実施形態では、AはCHであり、BはCHであり、DはNである。
【0639】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化277】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、A、BおよびDはそれぞれ独立して、CHまたはNである。いくつかの実施形態では、AはNであり、BはNであり、DはCHである。いくつかの実施形態では、AはNであり、BはCHであり、DはNである。いくつかの実施形態では、AはCHであり、BはCHであり、DはCHである。
【0640】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化278】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、R
aおよびR
bはそれぞれ独立して、−Hまたは−SMeである。
【0641】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化279】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、R
aはそれぞれH、アルキルまたは−Sアルキルであり;R
bは、H、アルキル(例えば、メチル)またはアリール(例えば、フェニル)である。
【0642】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化280】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、AはCHまたはNである。
【0643】
いくつかの実施形態では、HETは
【化281】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0644】
いくつかの実施形態では、HETは、
【化282】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、AはSまたはOである。
【0645】
いくつかの実施形態では、HETは
【化283】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0646】
いくつかの実施形態では、R
2はHである。
【0647】
いくつかの実施形態では、R
2はアルキル(例えば、メチル)である。
【0648】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、任意に1〜3個のR
8で置換されているアリールまたはヘテロアリール部分を形成する。
【0649】
いくつかの実施形態では、ヘテロアリール部分は二環式ヘテロアリール部分である。
【0650】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、
【化284】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0651】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、
【化285】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0652】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、
【化286】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0653】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、
【化287】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、AはNであり、BはSであるか、または式中、AはSであり、BはNである。
【0654】
いくつかの実施形態では、R
1およびR
2は、それらが結合している炭素と一緒になった場合、
【化288】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、AはNであり、BはCHであるか、または式中、AはCHであり、BはNである。
【0655】
いくつかの実施形態では、
【化289】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化290】
[この文献は図面を表示できません]
である。いくつかの実施形態では、
【化291】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化292】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0656】
いくつかの実施形態では、
【化293】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化294】
[この文献は図面を表示できません]
である。いくつかの実施形態では、
【化295】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化296】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0657】
いくつかの実施形態では、
【化297】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化298】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0658】
いくつかの実施形態では、
【化299】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化300】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0659】
いくつかの実施形態では、XはOである。
【0660】
いくつかの実施形態では、XはNR
4(例えば、NH)である。
【0661】
いくつかの実施形態では、YはCR
5R
6である。いくつかの実施形態では、Yは
【化301】
[この文献は図面を表示できません]
である。いくつかの実施形態では、YはCH
2である。
【0662】
いくつかの実施形態では、YはNR
7(例えば、NHまたはNMe)である。
【0663】
いくつかの実施形態では、R
9はHである。
【0664】
いくつかの実施形態では、R
9はMeである。
【0665】
いくつかの実施形態では、
【化302】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化303】
[この文献は図面を表示できません]
である。いくつかの実施形態では、mは1である。
【0666】
いくつかの実施形態では、
【化304】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化305】
[この文献は図面を表示できません]
である。いくつかの実施形態では、mは0である。
【0667】
いくつかの実施形態では、nは0である。
【0668】
いくつかの実施形態では、
【化306】
[この文献は図面を表示できません]
は
【化307】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0669】
いくつかの実施形態では、式(XXII)の化合物は、式(XXIIa):
【化308】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物である。
【0670】
いくつかの実施形態では、式(XXII)の化合物は、式(XXIIb):
【化309】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物である。
【0671】
いくつかの実施形態では、エポチロンは、式(XXIII):
【化310】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物であり、式中、
【化311】
[この文献は図面を表示できません]
は、単結合または二重結合を表し;
R
1は、C
1〜6アルキル、C
2〜6アルキニルまたはC
2〜6アルケニルラジカルであり;
R
2は、HまたはC
1〜6アルキルラジカルであり;
X−Yは、以下の基:
【化312】
[この文献は図面を表示できません]
好ましくは
【化313】
[この文献は図面を表示できません]
から選択され;
Zは、OまたはNR
xであり、式中、R
xは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、ヘテロアルキルシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキルまたはヘテロアラルキル基であり;
R
3は、ハロゲン原子、またはC
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニルもしくはC
1〜6ヘテロアルキルラジカルであり;
R
4は、ビシクロアリール、ビシクロヘテロアリールまたは式−C(R
5)=CHR
6の基であり;
R
5は、Hまたはメチルであり;
R
6は、任意に置換されているアリールまたはヘテロアリール基である。
【0672】
特定の実施形態では、R
4は、
【化314】
[この文献は図面を表示できません]
である。
【0673】
いくつかの実施形態では、ZはOである。いくつかの実施形態では、ZはNHである。
【0674】
特定の実施形態では、式(XXIII)の化合物は、以下の構造により表すことができる:
【化315】
[この文献は図面を表示できません]
【0675】
いくつかの実施形態では、エポチロンは、式(XXIV):
【化316】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物であり、式中、
B
1、B
2、B
3は、単結合;E(トランス)型、Z(シス)型もしくはE/Z混合の二重結合;E(トランス)型、Z(シス)型もしくはE/Z混合のエポキシド環;E(トランス)型、Z(シス)型もしくはE/Z混合のアジリジン環;E(トランス)型、Z(シス)型もしくはE/Z混合のシクロプロパン環;および/またはこれらの組合せから選択され;好ましくは、単結合および二重結合から選択され;特に好ましくは、Z二重結合またはエポキシドとしてのB
1ならびに単結合としてのB2およびB3から選択され;
Rは、H、アルキル、アリール、アラルキル(例えば−CH
2−アリール、−C
2H
4−アリールなど)、アルケニル(ビニルなど)、シクロアルキル(好ましくは、3〜7員シクロアルキル)、n=0〜3であるCH
nF
3−n、オキサシクロアルキル(好ましくは、3〜7員オキサシクロアルキル)および/またはこれらの組合せから選択される。好ましくは、Rは、H、メチル、エチル、フェニル、ベンジルおよびこれらの組合せから選択され、より好ましくは、Rは、H、メチル、エチルおよびこれらの組合せから選択され;
R’は、Rと同じ群から選択され、好ましくはHであり;
R’’は、Rと同じ群から選択され、好ましくはメチルであり;
Yは、S、NH、N−PG、NRおよびOから選択され;好ましくは、Yは、NH、N−PG、NRおよびOから選択され、より好ましくは、YはOであり;
Y’は、H、OH、OR、O−PG、NH
2、NR
2、N(PG)
2、SRおよびSHから選択され;好ましくは、Y’は、O−PGおよび/またはOHであり;
Nuは、R、O−PG、OR、N(PG)
2、NR
2、S−PG、SR、SeR、CN、N
3、アリールおよびヘテロアリールから選択され;Nuは、好ましくは、R、O−PG、OR、N(PG)
2およびNR
2から選択され、より好ましくは、NuはHであり;
Zは、−OH、−O−PG、−OR、=O、=N−Nu、=CH−ヘテロアリール、=CH−アリールおよび=PR
3から選択され、上記すべての二重結合群は、E(トランス)型、Z(シス)型またはE/Z混合で存在してもよく;好ましくは、Zは=CH−ヘテロアリールであり;より好ましくは、Zは、=O、(E)−(2−メチルチアゾール−4−イル)−CH=および(E)−(2−メチルオキサゾール−4−イル)−CH=から選択され;
Z’は、O、OH、OR、O−PG、N(H)
1〜2、N(R)
1〜2、N(PG)
1〜2、SR、S−PGおよびRから選択され;好ましくは、Z’は、O、O−PGおよび/またはORであり;
B
3は、E(トランス)型、Z(シス)型またはE/Z混合の単結合または二重結合から選択され;好ましくは、B
3は、O、SおよびNのようなヘテロ原子を有する単結合および二重結合から選択され;より好ましくは、B
3は、O−PGおよび/またはOHとの単結合であり;
本明細書で言及されるPGは、保護基であり、好ましくは、アリル、メチル、t−ブチル(好ましくは電子求引基を有する)、ベンジル、シリル、アシルおよび活性化メチレン誘導体(例えば、メトキシメチル)、アルコキシアルキルまたは2−オキサシクロアルキルから選択される。アルコールおよびアミンの例示的な保護基としては、トリメチルシリル、トリエチルシリル、ジメチル−tert−ブチルシリル、アセチル、プロピオニル、ベンゾイルまたはテトラヒドロピラニル保護基が挙げられる。また保護基を用いて、隣接する2つの基(例えば、−CH(OH)−CH(OH)−)または二価の基(PG
2)を保護することもできる。このような保護基は、5〜7員環のような環を形成し得る。例示的な保護基としては、スクシニル、フタリル、メチレン、エチレン、プロピレン、2,2−ジメチルプロパ−l,3−ジイルおよびアセトニドが挙げられる。当業者により決定に従って、本明細書に記載の保護基の任意の組合せを使用し得る。
【0676】
いくつかの実施形態では、エポチロンは、式(XXV):
【化317】
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の化合物であり、式中、
Aは、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアルキルシクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルケニルまたはヘテロアラルキル基であり;
Uは、水素、ハロゲン、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアルキルシクロアルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアラルキルであり;
G−Eは、以下の基:
【化318】
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から選択されるか、または任意に置換されているフェニル環の一部分であり;
R
1は、C
1〜C
4−アルキル、C
2〜C
4−アルケニル、C
2〜C
4−アルキニルまたはC
3〜C
4−シクロアルキル基であり;
V−Wは、CH
2CHまたはCH=Cからなる群より選択され;
Xは、酸素または式NR
2の基であり、R
2は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、ヘテロアルキルシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アラルキルまたはヘテロアラルキルであり;
R
3およびR
4はそれぞれ互いに独立して、水素、C
1〜C
4−アルキルであるか、またはR
3およびR
4は共に、3または4個の環原子を有するシクロアルキル基の一部分である。
【0677】
式(XXV)の特定の実施形態では、Aは、式(XXVII)または(XXVIII):
【化319】
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の基であり、式中、
Qは、硫黄、酸素またはNR
7(好ましくは、酸素または硫黄)であり、R
7は、水素、C
1〜C
4アルキルまたはC
1〜C
4ヘテロアルキルであり;
Zは、窒素またはCH(好ましくは、CH)であり;
R
6は、OR
8、NHR
8、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4アルケニル、C
1〜C
4アルキニルまたはC
1〜C
6ヘテロアルキル(好ましくは、メチル、CH
2OR
8またはCH
2NHR
8)であり、R
8は、水素、C
1〜C
4アルキルまたはC
1〜C
4ヘテロアルキル(好ましくは、水素)である。
【0678】
いくつかの実施形態では、エポチロンは、式(XXVI):
【化320】
[この文献は図面を表示できません]
の化合物であり、式中、Rは、OR
1、NHR
1、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびヘテロアルキル(例えば、CH
2OR
1またはCH
2HR
1)から選択され、R
1は、水素、C
1〜4アルキルおよびC
1〜4ヘテロアルキル(好ましくは、水素)から選択される。
【0679】
特定の実施形態では、Rは、メチル、CH
2OHおよびCH
2NH
2から選択される。
【0680】
天然および半合成エポチロンおよび対応する誘導体の調製は、当該技術分野で公知である。エポチロンAおよびBは、粘液細菌(Sorangium cellulosum)So ce90から最初に抽出されたものであり、German Collection of MicroorganismsにDMS6773およびDSM11999として存在する。DSM6773は、野生型菌株よりも増加したエポチロンAおよびBの産生を示すということが報告されている。Sorangiumの代表的な発酵条件は、例えば、米国特許第6,194,181号、ならびに国際公開第98/10121号、同第97/19086号、同第98/22461号および同第99/42602号を含めた様々な国際PCT公開に記載されている。エポチロンの調製法もに国際公開第93/10121号に記載されている。
【0681】
さらに、エポチロンは、de novo合成を介して入手し得る。エポチロンAおよびBの全合成が、Danishefsky、SchinzerおよびNicolaouを含めた数多くの研究グループにより報告されている。こうした全合成は、例えば、米国特許第6,156,905号、同第6,043,372号および同第5,969,145号、ならびに国際PCT公開第98/08849号、同第98/25929号および同第99/01124号に記載されている。エポチロン化合物を作製するためのさらなる合成法も、PCT公開第97/19086号、同第98/38192号、同第99/02514号、同第99/07692号、同第99/27890号、同第99/28324号、同第99/43653号、同第99/54318号、同第99/54319号、同第99/54330号、同第99/58534号、同第59985号、同第99/67252号、同第99/67253号、同第00/00485号、同第00/23452号、同第00/37473号、同第00/47584号、同第00/50423号、同第00/57874号、同第00/58254号、同第00/66589号、同第00/71521号、同第01/07439号および同第01/27308号に記載されている。好適な実施形態では、CDP−微小管阻害剤コンジュゲート、粒子または組成物中の微小管阻害剤は、エポチロン、例えば本明細書に記載のエポチロン、例えば
図5または
図6に示されるエポチロンを含む。
【0682】
一実施形態では、CDP−微小管阻害剤コンジュゲートは、CDP−エポチロンコンジュゲート、例えば、
【化321】
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であり、式中、
【化322】
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はシクロデキストリンを表し;nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);Lはリンカー、例えば本明細書に記載のリンカーであり;「エポチロン」は、エポチロン、例えば本明細書に記載のエポチロン、例えば
図5または
図6に示されるエポチロンである。いくつかの実施形態では、CDP−微小管阻害剤コンジュゲート、例えばCDP−エポチロンコンジュゲートは、完全な付加量を有するわけではなく、例えば、1つ以上の結合部位、例えばシステイン残基が微小管阻害剤、例えばエポチロン部分、例えば本明細書に記載のリンカーにより結合した本明細書に記載のエポチロンと結合しておらず、例えば、CDP−エポチロンコンジュゲートは、下式を有する1つ以上のサブユニットを含み:
【化323】
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式中、
【化324】
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はシクロデキストリンを表し;mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);Lはリンカー、例えば本明細書に記載のリンカーであり;「エポチロン」は、エポチロン、例えば本明細書に記載のエポチロン、例えば
図5または
図6に示されるエポチロンである。いくつかの実施形態では、CDP−微小管阻害剤コンジュゲート、粒子または組成物、例えばCDP−エポチロンコンジュゲート、粒子または組成物は、完全に付加されたCDP−微小管阻害剤コンジュゲートおよび部分的に付加されたCDP−微小管阻害剤コンジュゲート、例えばCDP−エポチロンコンジュゲートの混合物を含む。
【0683】
一実施形態では、CDP−微小管阻害剤コンジュゲートは、
【化325】
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のサブユニットを含み、式中、mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);Lはリンカー、例えば本明細書に記載のリンカーであり;「エポチロン」は、エポチロン、例えば本明細書に記載のエポチロン、例えば
図5または
図6に示されるエポチロンである。
【0684】
CDP−エポチロンコンジュゲートは、本明細書に記載の成分の数多くの異なる組合せを用いて作製し得る。例えば、シクロデキストリン(例えば、ベータ−シクロデキストリン)、コモノマー(例えば、PEG含有コモノマー)、シクロデキストリンとコモノマーを連結するリンカーおよび/またはエポチロンとCDPを繋留するリンカーの各種組合せが本明細書に記載されている。
【0685】
図6は、様々なCDP−エポチロンコンジュゲートの例を示す表である。
図6のCDP−エポチロンコンジュゲートは、下式によって表される:
CDP−COABX−エポチロン。
この式の中で、CDPは、下(および
図3)に示されるシクロデキストリン含有ポリマー:
【化326】
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であり、上の各例の式中、基
【化327】
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は3400Da以下の分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。エポチロンが、上記のようにポリマーのカルボン酸部分を介してCDPとコンジュゲートされていることに留意されたい。エポチロンがCDPに完全に付加されている必要はない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つ、例えば、少なくとも2、3、4、5、6または7つのカルボン酸部分が、コンジュゲート後にエポチロンと未反応のままである(例えば、複数のカルボン酸部分が未反応のままである)。
【0686】
COは、CDPのシステイン残基のカルボニル基を表し;
AおよびBは、CDPとエポチロンの間の連結を表す。位置Aは、リンカーBとCDPのシステイン酸カルボニルとの間の結合(
図6では「−」と表される)、エポチロンとCDPのシステイン酸カルボニルとの間の結合(
図6では「−」と表される)であるか、または結合を介してCDPのシステイン酸カルボニルと結合しているリンカーの一部を表すかのいずれかである。位置Bは、占有されていない(
図6では「−」と表される)か、または結合を介してエポチロンと結合しているリンカーの一部を表すかのいずれかであり;
Xは、リンカーがエポチロン上で結合しているヘテロ原子を表す。
【0687】
図6に記載されているように、「エポチロン」の見出しがある列は、CDP−エポチロンコンジュゲート中に含まれているエポチロンの種類を示している。
【0688】
図6の表右側の3つの列はそれぞれ、エポチロン上のXを保護するために保護基を使用している場合のその保護基の種類、CDP−エポチロンコンジュゲート作製工程およびCDP−エポチロンコンジュゲートの作製工程の最終産物を示す。
【0689】
図6で言及されている工程は、右から2番目の列にあるように、例えば工程A、工程B、工程Cなどのように文字による表記がなされている。上記工程の各段階を、それぞれ以下に記載する。
【0690】
工程A:位置Bの保護リンカーをエポチロンとカップリングさせ、リンカーを脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンと7連結したエポチロンの混合物を得る。
【0691】
工程B:位置Bの保護リンカーをエポチロンとカップリングさせ、3連結エポチロンを遊離させ、リンカーを脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンを得る。
【0692】
工程C:位置Bの保護リンカーをエポチロンとカップリングさせ、7連結エポチロンを遊離させ、リンカーを脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと7連結したエポチロンを得る。
【0693】
工程D:エポチロンを保護し、位置Bの保護リンカーをエポチロンの未保護ヒドロキシル基とカップリングさせ、リンカーおよびエポチロンヒドロキシル保護基を脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンと7連結したエポチロンの混合物を得る。
【0694】
工程E:エポチロンを保護し、位置Bの保護リンカーをエポチロンの未保護ヒドロキシル基とカップリングさせ、リンカー保護基を脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせ、ヒドロキシル保護基を脱保護して、CDPと3連結したエポチロンと7連結したエポチロンの混合物を得る。
【0695】
工程F:エポチロンを保護し、3保護エポチロンを遊離させ、3保護エポチロンを位置Bの保護リンカーとカップリングさせ、リンカーおよびエポチロンのヒドロキシル保護基を脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと7連結したエポチロンを得る。
【0696】
工程G:エポチロンを保護し、7保護エポチロンを遊離させ、位置Bの保護リンカーとカップリングさせ、リンカーおよびエポチロンのヒドロキシル保護基を脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンを得る。
【0697】
工程H:エポチロンのアミノ基を保護し、位置Bの保護リンカーをエポチロンとカップリングさせ、リンカーを脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンと7連結したエポチロンの混合物を得、エポチロンのアミノ基を脱保護する。
【0698】
工程I:エポチロンのアミノ基を保護し、位置Bの保護リンカーをエポチロンとカップリングさせ、3連結エポチロンを遊離させ、リンカーを脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンを得、エポチロンのアミノ基を脱保護する。
【0699】
工程J:エポチロンのアミノ基を保護し、位置Bの保護リンカーをエポチロンとカップリングさせ、7連結エポチロンを遊離させ、リンカーを脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと7連結したエポチロンを得、エポチロンのアミノ基を脱保護する。
【0700】
工程K:エポチロンのアミノ基およびヒドロキシル基を保護し、位置Bの保護リンカーをエポチロンの未保護ヒドロキシル基とカップリングさせ、リンカーおよびエポチロンのヒドロキシル保護基を脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンと7連結したエポチロンの混合物を得、エポチロンのアミノ基を脱保護する。
【0701】
工程L:エポチロンのアミノ基およびヒドロキシル基を保護し、位置Bの保護リンカーを未保護ヒドロキシル基とカップリングさせ、リンカー保護基を脱保護し、CDPとカップリングさせ、ヒドロキシル保護基を脱保護して、CDPと3連結したエポチロンと7連結したエポチロンの混合物を得、エポチロンのアミノ基を脱保護する。
【0702】
工程M:エポチロンのアミノ基およびヒドロキシル基を保護し、3保護エポチロンを遊離させ、エポチロンを位置Bのリンカーとカップリングさせ、リンカーおよびエポチロンのヒドロキシル保護基を脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと7連結したエポチロンを得、エポチロンのアミノ基を脱保護する。
【0703】
工程N:エポチロンのアミノ基およびヒドロキシル基を保護し、7保護エポチロンを遊離させ、エポチロンを位置Bのリンカーとカップリングさせ、リンカーおよびエポチロンのヒドロキシル保護基を脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンを得、エポチロンのアミノ基を脱保護する。
【0704】
工程O:位置Bの保護リンカーをエポチロンのアミノ基とカップリングさせ、リンカーを脱保護し、カルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPとNH連結したエポチロンを得る。
【0705】
工程P:位置Bの活性化リンカーをエポチロンとカップリングさせ、位置Aのリンカーを含むCDPと、Aのリンカーを介してカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンと7連結したエポチロンの混合物を得る。
【0706】
工程Q:位置Bの活性化リンカーをエポチロンとカップリングさせ、3連結エポチロンを遊離させ、位置Aのリンカーを含むCDPと、Aのリンカーを介してカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンを得る。
【0707】
工程R:位置Bの活性化リンカーをカップリングさせ、7連結エポチロンを遊離させ、位置Aのリンカーを含むCDPと、Aのリンカーを介してカップリングさせて、CDPと7連結したエポチロンを得る。
【0708】
工程S:エポチロンを保護し、位置Bの活性化リンカーをエポチロンの未保護ヒドロキシル基とカップリングさせ、エポチロンのヒドロキシル基を脱保護し、位置Aのリンカーを含むCDPと、Aのリンカーを介してカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンと7連結したエポチロンの混合物を得る。
【0709】
工程T:エポチロンを保護し、位置Bの活性化リンカーをエポチロンの未保護ヒドロキシル基とカップリングさせ、位置Aのリンカーを含むCDPと、Aのリンカーを介してカップリングさせ、エポチロンのヒドロキシル基を脱保護して、CDPと3連結したエポチロンと7連結したエポチロンの混合物を得る。
【0710】
工程U:エポチロンを保護し、3保護エポチロンを遊離させ、エポチロンを位置Bの活性化リンカーとカップリングさせ、エポチロンのヒドロキシル保護基を脱保護し、位置Aのリンカーを含むCDPとカップリングさせて、CDPと7連結したエポチロンを得る。
【0711】
工程V:エポチロンを保護し、7保護エポチロンを遊離させ、位置Bの活性化リンカーとカップリングさせ、エポチロンのヒドロキシル基を脱保護し、位置Aのリンカーを含むCDPと、Aのリンカーを介してカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンを得る。
【0712】
工程W:エポチロンを、エポチロンの遊離アミノ基を介して、CDPのカルボン酸基へ直接CDPとカップリングさせて、CDPとNH連結したエポチロンを形成させる。
【0713】
工程X:位置Bの活性化リンカーをエポチロンのアミノ基とカップリングさせ、位置Aのリンカーを含むCDPと、Aのリンカーを介してカップリングさせて、CDPとNH連結したエポチロンを形成させる。
【0714】
工程Y:エポチロンを保護し、3保護エポチロンを遊離させ、エポチロンを位置Bのリンカーとカップリングさせ、リンカーを脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPとの7連結エポチロンを得る。
【0715】
工程Z:エポチロンを保護し、7保護エポチロンを遊離させ、位置Bの保護リンカーをカップリングさせ、リンカーを脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンを得る。
【0716】
工程AA:エポチロンのアミノ基およびヒドロキシル基を保護し、3保護エポチロンを遊離させ、位置Bの保護リンカーとカップリングさせ、リンカーを脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと7連結したエポチロンを得る。
【0717】
工程BB:エポチロンのアミノ基およびヒドロキシル基を保護し、7保護エポチロンを遊離させ、位置Bの保護リンカーとカップリングさせ、リンカーを脱保護し、CDPのカルボン酸基を介してCDPとカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンを得る。
【0718】
工程CC:エポチロンのアミノ基を保護し、位置Bの活性化リンカーをエポチロンとカップリングさせ、位置Aのリンカーを含むCDPと、Aのリンカーを介してカップリングさせて、CCDPと3連結したエポチロンと7連結したエポチロンの混合物を得、エポチロンのアミノ基を脱保護する。
【0719】
工程DD:エポチロンのアミノ基を保護し、位置Bの活性化リンカーをエポチロンと位カップリングさせ、3連結エポチロンを遊離させ、位置Aのリンカーを含むCDPと、Aのリンカーを介してカップリングさせ、CDPと3連結したエポチロンを得、エポチロンのアミノ基を脱保護する。
【0720】
工程EE:エポチロンのアミノ基を保護し、位置Bの活性化リンカーとカップリングさえ、7連結エポチロンを遊離させ、位置Aのリンカーを含むCDPと、Aのリンカーを介してカップリングさせて、CDPと7連結したエポチロンを得、エポチロンのアミノ基を脱保護する。
【0721】
工程FF:エポチロンのアミノ基およびヒドロキシル基を保護し、位置Bの活性化リンカーをエポチロンの未保護ヒドロキシル基とカップリングさせ、エポチロンのヒドロキシル基を脱保護し、位置Aのリンカーを含むCDPと、Aのリンカーを介してカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンと7連結したエポチロンの混合物を得、エポチロンのアミノ基を脱保護する。
【0722】
工程GG:エポチロンのアミノ基およびヒドロキシル基を保護し、位置Bの活性化リンカーをエポチロンの未保護ヒドロキシル基とカップリングさせて、位置Aのリンカーを含むCDPと、Aのリンカーを介してカップリングさせ、エポチロンのヒドロキシル基を脱保護して、CDPと3連結したエポチロンと7連結したエポチロンの混合物を得、エポチロンのアミノ基を脱保護する。
【0723】
工程HH:エポチロンのアミノ基およびヒドロキシル基を保護し、3保護エポチロンを遊離させ、エポチロンを位置Bの活性化リンカーとカップリングさせ、エポチロンのヒドロキシル保護基を脱保護し、位置Aのリンカーを含むCDPとカップリングさせて、CDPと7連結したエポチロンを得、エポチロンのアミノ基を脱保護する。
【0724】
工程II:エポチロンのアミノ基およびヒドロキシル基を保護し、7保護エポチロンを遊離させ、位置Bの活性化リンカーとカップリングさせ、エポチロンのヒドロキシル基を脱保護し、位置Aのリンカーを含むCDPと、Aのリンカーを介してカップリングさせて、CDPと3連結したエポチロンを得、エポチロンのアミノ基を脱保護する。
【0725】
図6に具体的に示されるように、CDP−エポチロンコンジュゲートは、本明細書に記載の方法を含めた当該技術分野で公知の各種方法を用いて調製し得る。いくつかの実施形態では、エポチロンに保護基を使用せずにCDP−エポチロンコンジュゲートを調製し得る。例えば、エポチロンをCDPまたはリンカーとカップリングするときに、CDP−エポチロンコンジュゲートを混合物として調製し得る(例えば、エポチロン上に2つの遊離ヒドロキシル基が存在する)。この混合物をリンカー、例えば、CDPのシステイン酸カルボニルに結合している位置Aのリンカーを用いてカップリングさせ得る。またこの混合物を、CDP、例えばCDPのシステイン酸カルボニルを用いて直接カップリングさせてもよい。
【0726】
いくつかの実施形態では、CDPとの結合点として使用されないエポチロンのヒドロキシル基に保護基を用いて、CDP−エポチロンコンジュゲートを調製し得る。リンカー、例えば位置Bのリンカーが存在する場合、リンカーを保護されていない結合点、例えばエポチロンの未保護ヒドロキシル基においてエポチロンとカップリングさせ得る。一実施形態では、エポチロンを脱保護し、位置Bのリンカーを位置Aのリンカーを介してCDPとカップリングさせ得る。位置Aのリンカーが存在する場合、それをCDPのシステイン酸カルボニルと結合させ得る。また位置Aは結合でもあり得、したがって、エポチロンおよび/またはエポチロンリンカーBのカップリングは、CDP、例えばCDPのシステイン酸カルボニルを直接用いたものであり得る。
【0727】
いくつかの実施形態では、CDPとの結合点として使用されないエポチロンのヒドロキシル基にプロドラッグ保護基を用いて、CDP−エポチロンコンジュゲートを調製し得る。位置Bのリンカーが存在する場合、エポチロンを脱保護せずにリンカーをエポチロンとカップリングさせ得る。例えば、プロドラッグはエポチロンのヒドロキシル基上に残っているエステル基であり得、また異なるエポチロンのヒドロキシル基をCDPとの結合点として使用し得る(例えば、
図6の例289〜400を参照されたい)。いくつかの実施形態では、位置Aのリンカーを介して保護エポチロンをCDPとカップリングさせ得る。位置Aがリンカーを含む場合、位置AのリンカーをCDPのシステイン酸カルボニルと結合させる。また位置Aは結合でもあり得、したがって、カップリングは、CDP、例えばCDPのシステイン酸カルボニルを直接用いたものであり得る。
【0728】
上記工程に1つ以上の保護基を用いて、本明細書に記載のCDP−エポチロンコンジュゲートを作製し得る。保護基を用いて、エポチロンおよび/またはエポチロンリンカーと位置Aとの結合点を制御し得る。いくつかの実施形態では、保護基を除去し、他の実施形態では、保護基を除去しない。保護基を除去しない場合は、保護基がin vivoで除去される(例えば、プロドラッグとして働く)ようにそれを選択し得る。1つの例がヘキサン酸であり、これはドキソルビシン中のヒドロキシル基を保護するために用いた場合、in vivoでリパーゼによって除去されることが示されている。保護基は一般に、カップリング反応の一部となることを目的としないエポチロンの反応基およびリンカーの反応基の両方に対して選択する。保護基は、エポチロンおよび/またはリンカー物質が分解されない条件下で除去可能なものでなければならない。例として、t−ブチルジメチルシリル(「TBDMS」)およびTROC(2,2,2−トリクロロエトキシクロロホルマートから誘導される)が挙げられる。除去に対してオレフィン還元を上回る選択性があれば、TROCの代わりにカルボキシベンジル(「CBz」)も使用し得る。水素化により除去されやすい、−メトキシベンジルOCO−のような基を用いることによりこれを行い得る。他の保護基も許容される。当業者は、本明細書の生成物および方法に適した保護基を選択し得る。
【0729】
図6の工程E、L、TおよびFFに対応する生成物は、CDPと3連結したエポチロンと7連結したエポチロンの混合物を生じるが。これらの工程は、単一の基により連結した、例えば、3位または7位のいずれかのみを介して連結したエポチロンを有する生成物を作製するために、容易に改変し得る。例えば、方法E、L、TおよびFFにおいて、エポチロンとCDPとのカップリングの前に7保護エポチロンの純粋な異性体を分離および遊離させることにより、CDPと3連結したエポチロンを作製することができ;また、方法E、L、TおよびFFにおいて、エポチロンとCDPとのカップリングの前に3保護エポチロンの純粋な異性体を分離および遊離させることにより、CDPと7連結したエポチロンを作製することができる。
【0730】
いくつかの実施形態では、CDP−微小管阻害剤コンジュゲート中の微小管阻害剤は、ビンカアルカロイド、例えばビンブラスチン(Velban(登録商標)or Velsar(登録商標))、ビンクリスチン(Vincasar(登録商標)またはOncovin(登録商標))、ビンデシン(Eldisine(登録商標))、ビノレルビン(ナベルビン(登録商標))である。
【0731】
いくつかの実施形態では、CDP−抗腫瘍抗生物質コンジュゲート、粒子または組成物中の抗腫瘍抗生物質は、アクチノマイシン(Cosmegen(登録商標))、ブレオマイシン(Blenoxane(登録商標))、ヒドロキシウレア(Droxia(登録商標)またはHydrea(登録商標))、マイトマイシン(Mitozytrex(登録商標)またはMutamycin(登録商標))を非限定的に含めた抗生物質である。
【0732】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の治療剤は、キナーゼ阻害剤のような細胞毒性薬である。いくつかの実施形態では、CDP−キナーゼ阻害剤コンジュゲート、粒子または組成物中のキナーゼ阻害剤は、セロニン(seronine)/スレオニンキナーゼ阻害剤コンジュゲート、例えばmTOR阻害剤、例えばラパマイシン(RapDane(登録商標))を非限定的に含めたキナーゼ阻害剤である。
【0733】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の治療剤は、プロテアソーム阻害剤のような細胞毒性薬である。いくつかの実施形態では、CDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲート、粒子または組成物中のプロテアソーム阻害剤は、ボロン酸含有分子またはボロン酸誘導体、例えばボルテゾミブ(Velcade(登録商標))である。本明細書に記載の他のプロテアソーム阻害剤もCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲート中に含め得る。
【0734】
本明細書で使用されるボロン酸誘導体は、R−B(Y)
2により表され、式中、各Yは、リンカーL上のアミン基またはアルコール基により容易に置き換えられて、共有結合を形成する(例えば、治療剤(例えば、ボロン酸またはその誘導体を含有するプロテアソーム阻害剤)をCDPとコンジュゲートさせる)基である。ボロン酸誘導体の例としては、ボロン酸エステル(例えば、RB(O−アルキル)
2)、ボロン酸アミド(例えば、RB(N(アルキル)
2)
2)、アルコキシボランアミン(例えば、RB(O−アルキル)(N(アルキル)
2);およびボロン酸無水物が挙げられる。RB(O−アルキル)(N(アルキル)
2)のような混合したボロン酸誘導体も挙げられる。
【0735】
いくつかのCDP−L−ボロン酸構造を
図7に示すが、ここでは、CDP−プロテアソーム阻害剤の構造は、CDP−L−ボロン酸により表され、式中、Z
1およびZ
2はそれぞれ、コンジュゲート薬物のホウ素原子との結合を表す。例えば、CDP−ボルテゾミブコンジュゲートは、CDP−L−B−(L)−CH(CH
2CH(CH
3)
2)NH−(L)−Phe−CO−ピラジンにより表される。
図7において、Z
1およびZ
2はそれぞれ、ボロン酸のホウ素原子との結合を表す。工程Aは、1)任意に保護されたリンカーをCDPとカップリングさせることと、2)リンカーが保護されている場合、それを脱保護することと、3)ボロン酸とコンジュゲートさせることとを含む。工程Bは、1)任意に保護されているリンカーをボロン酸とコンジュゲートさせることと、2)リンカーが保護されている場合、それを脱保護することと、3)CDPとカップリングさせることとを含む。
【0736】
一実施形態では、プロテアソーム阻害剤がボロン酸またはその誘導体を含む第1〜第15の実施形態(下記)のいずれかに記載のCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートでは、RB(OH)
2またはRB(Y)
2は、下式(1a):
【化328】
[この文献は図面を表示できません]
またはその薬学的に許容される塩により表され、式中、
Pは、水素またはアミノ基保護部分であり;
B
1はそれぞれ独立して、NまたはCHのうちの1つであり;
X
1はそれぞれの出現に対して、独立して、−C(O)−NH−、−CH
2−NH−、−CH(OH)−CH
2−、−CH(OH)−CH(OH)−、−CH(OH)−CH
2−NH−、−CH=CH−、−C(O)CH
2−、−SO
2−NH−、−SO
2−CH
2−または−CH(OH)−CH
2−C(O)−NH−のうちの1つであり、ただし、B
1がNである場合、前記B
1と結合しているX
1は、−C(O)−NH−であり;
X
2は、−C(O)−NH−、−CH(OH)−CH
2−、−CH(OH)−CH(OH)−、−C(O)−CH
2−、−SO
2−NH−、−SO
2−CH
2−または−CH(OH)−CH
2−C(O)−NH−のうちの1つであり;
R’は水素もしくはアルキルであるか、またはRは隣接するR
1と一緒になって、もしくはAがゼロである場合、隣接するR
1と一緒になって、ケト、ヒドロキシ、アルキル、アリール、アラルキル、アルコキシもしくはアリールオキシのうちの1つもしくは2つにより任意に置換され得る、4〜14個の環員を有する窒素含有単環、二環もしくは三環の飽和もしくは部分飽和環系を形成し;
R
1はそれぞれの出現において、独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、5〜10員の飽和、部分不飽和もしくは芳香族複素環または−CH
2−R
5のうちの1つであり、前記アリール、アラルキル、アルカリールまたは複素環のいずれの環部分も任意に置換されていてよく;
R
2は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、5〜10員の飽和、部分不飽和もしくは芳香族複素環または−CH−R
5のうちの1つであり、前記アリール、アラルキル、アルカリールまたは複素環のいずれの環部分も任意に置換されていてよく;
R
3は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、5〜10員の飽和、部分不飽和もしくは芳香族複素環または−CH
2−R
5のうちの1つであり、前記アリール、アラルキル、アルカリールまたは複素環のいずれの環部分も任意に置換されていてよく;
R
5はそれぞれの場合において、アリール、アラルキル、アルカリール、シクロアルキル、5〜10員の飽和、部分不飽和もしくは芳香族複素環または−W−R
6のうちの1つであり、式中、Wはカルコゲンであり、R
6はアルキルであり、前記アリール、アラルキル、アルカリールまたは複素環のいずれの環部分も任意に置換されていてよく;
Z
1およびZ
2は独立して、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシもしくはアリールオキシのうちの1つであるか、またはZ
1およびZ
2は一緒になって、鎖もしくは環中の少なくとも2つの連結原子により分離されている少なくとも2つのヒドロキシ基を有するジヒドロキシ化合物から誘導される部分を形成し、前記鎖もしくは環は、炭素原子および任意に、N、SもしくはOであり得る1つもしくは複数のヘテロ原子を含み;Aは、0、1または2である。
【0737】
一実施形態では、式(1a)に関して:
Pは、R’またはR
7−C(=O)−もしくはR
7−SO
2−であり、式中、R
7は、
【化329】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群より選択されるか、あるいはPは
【化330】
[この文献は図面を表示できません]
であり;
X
2は、
【化331】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群より選択され;
R’は、水素またはアルキルであり;
R
2およびR
3は独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、複素環および−CH
2−R
5からなる群より選択され、R
5は、アリール、アラルキル、アルカリール、シクロアルキル、複素環または−Y−R
6であり、Yはカルコゲンであり、R
6はアルキルであり;
Z
1および
2は独立して、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシであるか、またはZ
1およびZ
2は一緒になって、鎖もしくは環中の少なくとも2つの連結原子により分離されている少なくとも2つのヒドロキシ基を有するジヒドロキシ化合物を形成し、前記鎖もしくは環は、炭素原子および任意に、N、SもしくはOであり得る1つもしくは複数のヘテロ原子を含み;Aは0である。
【0738】
別の実施形態では、構造式(1a)に関して:
Pは、R
7−C(O)−またはR
7−SO
2−であり、R
7はピラジニルであり;
X
2は−C(O)−NH−であり;
R’は、水素またはアルキルであり;
R
2およびR
3は独立して、水素、アルキル、シクロアルキル、アリールまたは−CH
2−R
5であり;
R
5はそれぞれ、アリール、アラルキル、アルカリール、シクロアルキルまたは−W−R
6のうちの1つであり、Wはカルコゲンであり、R
6はアルキルであり;
R
2、R
3およびR
5中の前記アリール、アラルキルまたはアルカリールのいずれの環部分も、C
1〜6アルキル、C
3〜8シクロアルキル、C
1〜6アルキル(C
3〜8)シクロアルキル、C
2〜8アルケニル、C
2〜8アルキニル、シアノ、アミノ、C
1〜6アルキルアミノ、ジ(C
1〜6)アルキルアミノ、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ、ニトロ、カルボキシ、カルボ(C
1〜6)アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン、C
1〜6アルコキシ、C
6〜10アリール、C
6〜10アリール(C
1〜6)アルキル、C
6〜10アリール(C
1〜6)アルコキシ、ヒドロキシ、C
1〜6アルキルチオ、C
1〜6アルキルスルフィニル、C
1〜6アルキルスルホニル、C
6〜10アリールチオ、C
6〜10アリールスルフィニル、C
6〜10アリールスルホニル、C
6〜10アリール、C
1〜6アルキル(C
6〜10)アリールおよびハロ(C
6〜10)アリールからなる群より独立して選択される1つまたは2つの置換基により任意に置換されていてよく;
Z
1およびZ
2は独立して、ヒドロキシ、アルコキシもしくはアリールオキシのうちの1つであるか、またはZ
1およびZ
2は一緒になって、鎖もしくは環中の少なくとも2つの連結原子により分離されている少なくとも2つのヒドロキシ基を有するジヒドロキシ化合物から誘導される部分を形成し、前記鎖もしくは環は、炭素原子および任意に、N、SもしくはOであり得る1つもしくは複数のヘテロ原子を含み;
Aはゼロである。
【0739】
一実施形態では、プロテアソーム阻害剤がボロン酸またはその誘導体を含む第1〜第15の実施形態(下記)のいずれかに記載のCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートでは、RB(OH)
2またはその類似体は、下式(2a)またはその薬学的に許容される塩により表され:
【化332】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
Yは、R
8−C(O)−、R
8−SO
2−、R
8−NH−C(O)−またはR
8−O−C(O)−のうちの1つであり、R
8は、いずれも置換され得るアルキル、アリール、アルカリール、アラルキルのうちの1つであるか、あるいはYがR
8−C(O)−またはR
8−SO
2−である場合、R
8も5〜10員の飽和、部分不飽和もしくは芳香族複素環または−CH
2−R
5で置換されていてよく;
Xは、共有結合または−C(O)−CH
2−であり;
R
3は、水素、アルキル、シクロアルキル、アリール、5〜10員の飽和、部分不飽和もしくは芳香族複素環または−CH
2−R
5のうちの1つであり、前記アリール、アラルキル、アルカリールまたは複素環のいずれの環部分も任意に置換されていてよく;
R
5はそれぞれ、アリール、アラルキル、アルカリール、シクロアルキル、5〜10員の飽和、部分不飽和もしくは芳香族複素環または−W−R
6のうちの1つであり、Wはカルコゲンであり、R
6はアルキルであり、前記アリール、アラルキル、アルカリールたまは複素環のいずれの環部分も任意に置換されていてよく;
Z
1およびZ
2は独立して、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシであるか、またはZ
1およびZ
2は一緒になって、鎖もしくは環中の少なくとも2つの連結原子により分離されている少なくとも2つのヒドロキシ基を有するジヒドロキシ化合物から誘導される部分を形成し、前記鎖もしくは環は、炭素原子および任意に、N、SもしくはOであり得る1つもしくは複数のヘテロ原子を含み;
ただし、YがR
8−C(O)−である場合、R
8は、フェニル、ベンジルまたはC
1〜C
3アルキル以外である。あるいは、上式(2a)中の基Yは、下式3a:
【化333】
[この文献は図面を表示できません]
で与えられる基であってよく、
Pは、R
7−C(O)−、R
7−SO
2−、R
7−NH−C(O)−またはR
7−O−C(O)−のうちの1つであり;
R
7は、いずれも置換され得るアルキル、アリール、アルカリール、アラルキルのうちの1つであるか、あるいはYがR
7−C(O)−もしくはR
7−SO
2−である場合、R
7も5〜10員の飽和、部分不飽和もしくは芳香族複素環または−CH
2−R
5で置換されていてよく;
R
1は、式(1a)に関して上で定義される通りである。
【0740】
一実施形態では、上記式(1a)または(2a)の化合物は、表1に示される化合物である。
【0741】
【表1-1】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-2】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-3】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-4】
[この文献は図面を表示できません]
【表1-5】
[この文献は図面を表示できません]
aCbz=カルボベンジルオキシ;MS=メチルスルホニル;Morph=4−モルホリンカルボニル;(8−Quin>−SO
2=8−キノリンスルホニル;(2−Quin)−C(O)=2−キノリンカルボニル;Bz=ベンゾイル;(2−Pyr)−C(O)=2−ピリジンカルボニル;(3−Pyr)−C(O)=3−ピリジンカルボニル;(2−Pyz)−C(O)=2−ピラジンカルボニル。
bNal=p−(1−ナフチル)アラニン;(2−Nal)=β−(2−ナフチル)アラニン;(2−Pal)=β(2−ピリジル)アラニン;(3−Pal)=β(3−ピリジル)アラニン;homoPhe=ホモフェニルアラニン;(4−F)−Phe=(4−フルロフェニル(flurophenyl))アラニン。
cB(Z
1)(Z
2)は、AA
3のカルボキシル基と置き換わる。
【0742】
別の実施形態では、上記式(1a)または(2a)の化合物は、以下の化合物ならびにその薬学的に許容される塩およびボロン酸エステルから選択される:
N−(4−モルホリン)カルボニル−β−(1−ナフチル)−L−アラニン−L−ロイシンボロン酸、
N−(8−キノリン)スルホニル−β−(1−ナフチル)−L−アラニン−L−ロイシンボロン酸、
N−(2−ピラジン)カルボニル−L−フェニルアラニン−L−ロイシンボロン酸、
L−プロリン−L−ロイシンボロン酸、
N−(2−キノリン)カルボニル−L−ホモフェニルアラニン−L−ロイシンボロン酸、
N−(3−ピリジン)カルボニル−L−フェニルアラニン−L−ロイシンボロン酸、
N−(3−フェニルプロピオニル)−L−フェニルアラニン−L−ロイシンボロン酸、
N−(4−モルホリン)カルボニル−L−フェニルアラニン−L−ロイシンボロン酸、
N−(4−モルホリン)カルボニル−(O−ベンジル)−L−チロシン−L−ロイシンボロン酸、
N−(4−モルホリン)カルボニル−L−チロシン−L−ロイシンボロン酸および
N−(4−モルホリン)カルボニル−[O−(2−ピリジルメチル)]−L−チロシン−L−ロイシンボロン酸。
【0743】
一実施形態では、プロテアソーム阻害剤がボロン酸またはその誘導体を含む第1〜第15の実施形態(下記)のいずれかに記載のCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートでは、RB(OH)
2またはRB(Y)
2は、下式(3b):
【化334】
[この文献は図面を表示できません]
またはその薬学的に許容される塩もしくはボロン酸無水物により表され、式中、
Z
1およびZ
2はそれぞれ独立して、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシもしくはアラルコキシであるか;またはZ
1およびZ
2は一緒になって、ボロン酸完成剤(completing agent)から誘導される部分を形成し;
環Aは、
【化335-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化335-2】
[この文献は図面を表示できません]
からなる群より選択される。
【0744】
より具体的には、式(3b)の化合物は、以下の化学名で呼ばれる:
I−1[(1R)−1−({[(2,3−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−2[(1R)−1−({[(5−クロロ−2−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−3[(1R)−1−({[(3,5−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−4[(1R)−1−({[(2,5−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−5[(1R)−1−({[(2−ブロモベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−6[(1R)−1−({[(2−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−7[(1R)−1−({[(2−クロロ−5−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−8[(1R)−1−({[(4−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−9[(1R)−1−({[(3,4−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−10[(1R)−1−({[(3−クロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−11[(1R)−1−({[(2,5−ジクロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
1−12[(1R)−1−({[(3,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−13[(1R)−1−({[(3−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−14[(1R)−1−({[(2−クロロ−4−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−15[(1R)−1−({[(2,3−ジクロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−16[(1R)−1−({[(2−クロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−17[(1R)−1−({[(2,4−ジフルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−18[(1R)−1−({[(4−クロロ−2−フルオロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−19[(1R)−1−({[(4−クロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−20[(1R)−1−({[(2,4−ジクロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸、
I−21[(1R)−1−({[(3,5−ジクロロベンゾイル)アミノ]アセチル}アミノ)−3−メチルブチル]ボロン酸。
【0745】
別の実施形態では、プロテアソーム阻害剤がボロン酸またはその誘導体を含む第1〜第15の実施形態(下記)のいずれかに記載のCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートでは、RB(OH)
2またはRB(Y)
2は、式(4a):
【化336】
[この文献は図面を表示できません]
またはその薬学的に許容される塩もしくはボロン酸無水物により表され、式中、
Pは、水素またはアミノ基ブロッキング部分であり;
R
aは、0〜1個のR
aで置換されているC
1〜4脂肪族もしくはC
1〜4フルオロ脂肪族基であるか;またはR
aおよびR
bは、それらが結合している炭素と一緒になって、置換もしくは非置換である3〜6員環状脂肪族基を形成し;
R
aは、置換もしくは非置換芳香族または環状脂肪族環であり;
R
bは、C
1〜4脂肪族もしくはC
1〜4フルオロ脂肪族基であるか;またはR
aおよびR
bは、それらが結合している炭素と一緒になって、置換もしくは非置換である3〜6員環状脂肪族基を形成し;
R
cは、0〜1個のR
cで置換されているC
1〜4脂肪族もしくはC
1〜4フルオロ脂肪族基であり;
R
cは、置換もしくは非置換芳香族または環状脂肪族環であり;
Z
1およびZ
2はそれぞれ独立して、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシもしくはアラルコキシであるか;またはZ
1およびZ
2は一緒になって、ボロン酸錯化剤から誘導される部分を形成する。
【0746】
Z
1およびZ
2がそれぞれ−OHである代表的な式(4a)の化合物の例を、以下に示す:
【化337-1】
[この文献は図面を表示できません]
【化337-2】
[この文献は図面を表示できません]
【化337-3】
[この文献は図面を表示できません]
【化337-4】
[この文献は図面を表示できません]
【化337-5】
[この文献は図面を表示できません]
【化337-6】
[この文献は図面を表示できません]
【0747】
好適な実施形態では、CDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲート、粒子または組成物中のプロテアソーム阻害剤は、ボロン酸含有分子、例えば本明細書に記載のボロン酸含有分子、例えばボルテゾミブ;
【化338】
[この文献は図面を表示できません]
を含む。
【0748】
一実施形態では、CDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、CDP−ボルテゾミブコンジュゲート、例えば
【化339】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、
【化340】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し;nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);「L−ボルテゼミブ(bortezemib)」はボルテゼミブ(bortezemib)−リンカー部分、例えば本明細書に記載のボルテゼミブ(bortezemib)−リンカー部分、例えば
図7に記載されているボルテゼミブ(bortezemib)−リンカー部分である。いくつかの実施形態では、CDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲート、例えばCDP−ボルテゾミブコンジュゲートは、完全な付加量を有するわけではなく、例えば、1つ以上の結合部位、例えばシステイン残基がプロテアソーム阻害剤、例えば本明細書に記載のリンカーで結合したボルテゾミブ部分と結合しておらず、例えば、CDP−ボルテゼミブ(bortezemib)コンジュゲートは、下式を有する1つ以上のサブユニットを含み:
【化341】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【化342】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し;mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);「L−ボルテゼミブ(bortezemib)」はボルテゼミブ(bortezemib)−リンカー部分、例えば本明細書に記載のボルテゼミブ(bortezemib)−リンカー部分、例えば
図7に記載されているボルテゼミブ(bortezemib)−リンカー部分である。いくつかの実施形態では、CDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲート、粒子または組成物、例えばCDP−ボルテゾミブコンジュゲート、粒子または組成物は、完全に付加されたCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートおよび部分的に付加されたCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲート、例えばCDP−ボルテゾミブコンジュゲートの混合物を含む。
【0749】
一実施形態では、CDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、
【化343】
[この文献は図面を表示できません]
のサブユニットを含み、式中、mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);「L−ボルテゼミブ(bortezemib)」はボルテゼミブ(bortezemib)−リンカー部分、例えば本明細書に記載のボルテゼミブ(bortezemib)−リンカー部分、例えば
図7に記載されているボルテゼミブ(bortezemib)−リンカー部分である。
【0750】
本発明のCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲート(ボロン酸含有プロテアソーム阻害剤など)は、本明細書に記載のCDPと共有結合により連結しているプロテアソーム阻害剤(例えばボロン酸含有プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブなど)を含む。一実施形態では、プロテアソーム阻害剤は、薬学的に活性な物質であり、好ましくは、本明細書に記載のボロン酸部分またはボロン酸誘導体を含む。
【0751】
第1の実施形態では、CDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、下式(K)であり:
【化344】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
nは、1〜100の整数であり;
oは、1〜1000の整数であり;
Lは、式(I)〜(VIII)に記載のリンカーであり;
Dは−B−Rであり、Rは上記RB(OH)
2またはRB(Y)
2で記載されている通りである。
【0752】
別の実施形態では、式(K)のL−D部分は、下式により表され:
【化345-1】
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【化345-2】
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【化345-3】
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【化345-4】
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式中、
Rは、R−B(OH)
2の非ボロン酸部分であるか、またはRは、本明細書に記載のボロン酸誘導体RB(Y)
2に記載されている通りであり;
RB(OH)
2は、薬学的に活性な物質、好ましくは、ボロン酸部分を含むボルテゾミブのようなプロテアソーム阻害剤であり;
RB(Y)
2は、薬学的に活性な物質、好ましくは、ボロン酸誘導体を含むプロテアソーム阻害剤のようなプロテアソーム阻害剤であり;
R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5はそれぞれ独立して、−Hまたは(C
1〜C
5)アルキルであり;
リンカーは、アミノ末端基を含むリンカー基である。
【0753】
第2の実施形態では、式(K)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートに関して、L−D部分は、
【化346-1】
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【化346-2】
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【化346-3】
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【化346-4】
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から選択される式により表され、式中、
R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5はそれぞれ独立して、−Hまたは(C
1〜C
5)アルキルであり;
Rは、上記RB(OH)
2またはRB(Y)
2で記載されている通りであり;
Wは、ポリマー−薬剤コンジュゲートが構造式(ia)〜(via)により表される場合、−(CH
2)
m−、−O−もしくは−N(R
5’)−であるか;または
Wは、ポリマー−薬剤コンジュゲートが構造式(viia)〜(xa)で表される場合、−(CH
2)
m−であり;
Xは、Wが−(CH
2)
m−である場合は結合であり、Xは、Wが−O−または−N(R
5’)−である場合はC(=O)−であり;
Yは、結合、−O−または−N(R
5’)−であり;
Zは、以下の構造式により表され:
【化347】
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;
Eは、結合、アリール(例えば、フェニル)またはヘテロアリール(例えば、ピリジル、フリルまたはフラニル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ピリミジニル、チオフェニルまたはチエニル、キノリニル、インドリルおよびチアゾリル)であり;
Qは、結合、−O−、−N(R
5’)−、−N−O−C(=O)−N(R
5’)−、−OC(=O)−、−C(=O)−O−、−S−S−、−(O−CH
2−CH
2)
n−または
【化348】
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であり;
R
aは、天然のアミノ酸またはその類似体の側鎖であり;
Aは、−N(R
5’)−であるか、またはAは、Qが
【化349】
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でありかつqが0である場合、結合であり;
R
5’は、−Hまたは(C
1〜C
6)アルキルであり;
m、p、qはそれぞれ、0〜10の整数であり;
nは、1〜10の整数であり;
oは、1〜10の整数であり、ただし、Yが−O−または−N(R
5’)−であり、Qが−O−、−N(R
5’)−、−(O−CH
2−CH
2)
n−、−N(R
5’)−C(=O)−O−、−O−C(=O)−N(R
5’)−、−OC(=O)−または−S−S−である場合、pは2〜10の整数であり;Qが−O−、−N(R
5’)−、−N(R
5’)−C(=O)−O−、−O−C(=O)−N(R
5’)−、−OC(=O)−、−C(=O)−O−または−S−S−であり、Eが結合である場合、qは2〜10の整数であり;Yが−O−または−N(R
5’)−であり、QおよびEが共に結合である場合、p+q≧2であり;Wが−O−または−N(R
5’)−であり、Y、QおよびEがすべて結合である場合、p+q≧1であり;Wが−O−または−N(R
5’)−であり、Yが結合であり、Qが−N(R
5’)−C(=O)−O−、−O−C(=O)−N(R
5’)−、−OC(=O)−、−C(=O)−O−、−S−S−または−(O−CH
2−CH
2)
n−である場合、pは2〜10の整数である。
【0754】
一実施形態では、Zは、結合または−(CH
2)
r−であり、rは1〜10の整数である。
【0755】
第3の実施形態では、第2の実施形態に記載のCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートに関して、リンカー(すなわち、−W−X−Y−Z−A)は、下式のいずれか1つにより表され:
【化350-1】
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【化350-2】
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【化350-3】
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【化350-4】
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式中、R
5’は−Hまたは(C
1〜C
6)アルキルであり;R
aは天然のアミノ酸またはその類似体の側鎖であり;R
8は置換基であり;nは1〜10の整数であり;rは1〜10の整数であり;m、pおよびqはそれぞれ、0〜10の整数であり;oは〜10の整数である。式(d)〜(h)では、rは2〜10の整数である。式(i)、(j)および(l)では、qは2〜10の整数である。式(m)〜(p)では、pおよびqはそれぞれ、2〜10の整数である。式(q)および(r)では、pは1〜10の整数であり、qは2〜10の整数である。式(s)および(t)では、pは2〜10の整数である。式(w)では、qは2〜10の整数である。より具体的には、R
8は、H、ハロ、−CN、−NO
2、−OH、(C
1〜C
6)アルキル、ハロ(C
1〜C
6)アルキル、ヒドロキシ(C
1〜C
6)アルキル、(C
1〜C
6)アルコキシ、ハロ(C
1〜C
6)アルコキシ、(C
1〜C
3)アルコキシ(C
1〜C
3)アルキルおよび−NR
9R
10から選択され;R
9およびR
10はそれぞれ独立して、H、(C
1〜C
6)アルキル、ハロ(C
1〜C
6)アルキル、(C
1〜C
6)アルコキシ、ハロ(C
1〜C
6)アルコキシ、(C
1〜C3)アルコキシ(C
1〜C
3)アルキルである。
【0756】
第4の実施形態では、第3の実施形態に記載のCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートに関して、リンカー(すなわち、−W−X−Y−Z−A)は、下式のいずれか1つにより表され:
【化351-1】
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【化351-2】
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式中、nは2〜5の整数であり;R
aは天然のアミノ酸またはその類似体の側鎖である。
【0757】
第5の実施形態では、第1の実施形態に記載のCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートに関して、リンカーは、式(AA1)、(BB1)または(CC1):
−(CH
2)
m−O−CH
2−O−(CH
2)
q−N(R
5)−(AA1)
−(CH
2)
m−O−(CH
2)
p−O−CH
2−N(R
5)−(BB1)
−(CH
2)
m−(CH
2)
p−O−CH
2−N(R
5)−(CC1)
により表され、式中、mは0〜10の整数であり;qは2〜10の整数であり;構造式(CC1)では、pは0〜10の整数であり、構造式(BB1)では、pは2〜10の整数である。
【0758】
第6の実施形態では、第1の実施形態に記載の式(K)のCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートに関して、L−D部分は、
図7に記載されている通りである。
【0759】
第7の実施形態では、CDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、下式により表され:
【化352】
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式中、nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である);R
100は−OHまたは−B−R部分を含む基であり、Rは上記RB(OH)
2またはRB(Y)
2で記載されている通りである。コンジュゲート中の少なくとも1つのR
100は、−B−R部分を含む基である。あるいは、式(M)により表されるコンジュゲートは、−B−R部分を含む基により表されるR
100基を、反復単位当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0個含む。一実施形態では、コンジュゲート中の少なくとも1つのR
100が−B−R部分を含む基であり、Rは、以下の構造式により表される:
【化353】
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。
あるいは、式(M)により表されるコンジュゲートは、−B−R部分を含む基により表されるR
100基を、反復単位当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0個含み、Rは、以下の構造式により表される:
【化354】
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。
【0760】
第8の実施形態では、CDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、式(M):
【化355】
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により表され、nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);R
100は、−OHまたは式(i)〜(x)から選択される式により表される基である。コンジュゲート中の少なくとも1つのR
100は基、式(i)〜(x)から選択される式により表される基である。あるいは、式(M)により表されるコンジュゲートは、式(i)〜(x)から選択される式により表されるR
100基を、反復単位当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0個含む。
【0761】
第9の実施形態では、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートに関して、nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);R
100は、−OHまたは式(i)〜(x)から選択される式により表される基である。コンジュゲート中の少なくとも1つのR
100基は、式(i)〜(x)から選択される式により表される基であり;式(i)〜(x)中のRは、上記RB(OH)
2またはRB(Y)
2で記載されている通りである。より具体的には、コンジュゲート中の少なくとも1つのR
100基は、式(i)〜(x)から選択される式により表される基であり;式(i)〜(x)中のRは、以下の構造式により表される:
【化356】
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。
あるいは、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、式(i)〜(x)から選択される式により表されるR
100基を、反復単位当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0個含み;式(i)〜(x)中のRは、上記RB(OH)
2またはRB(Y)
2で記載されている通りである。より具体的には、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、式(i)〜(x)から選択される式により表されるR
100基を、反復単位当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0個含み;式(i)〜(x)中のRは、以下の構造式により表される:
【化357】
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。
【0762】
第10の実施形態では、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートに関して、nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);R
100は、−OHまたは式(ia)〜(xa)から選択される式により表される基である。コンジュゲート中の少なくとも1つのR
100基は、式(ia)〜(xa)から選択される式により表される基である。あるいは、式(M)により表されるコンジュゲートは、式(ia)〜(xa)から選択される式により表されるR
100基を、反復単位当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0個含む。
【0763】
第11の実施形態では、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートに関して、nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);R
100は、−OHまたは式(ia)〜(xa)から選択される式により表される基である。コンジュゲート中の少なくとも1つのR
100基は、式(ia)〜(xa)から選択される式により表される基であり;式(ia)〜(xa)中のRは、上記RB(OH)
2またはRB(Y)
2で記載されている通りである。より具体的には、コンジュゲート中の少なくとも1つのR
100基は、式(ia)〜(xa)から選択される式により表される基であり;式(ia)〜(xa)中のRは、以下の構造式により表される:
【化358】
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。
あるいは、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、式(ia)〜(xa)から選択される式により表されるR
100基を、反復単位当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0個含み;式(ia)〜(xa)中のRは、上記RB(OH)
2またはRB(Y)
2で記載されている通りである。より具体的には、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、式(ia)〜(xa)から選択される式により表されるR
100基を、反復単位当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0個含み;式(ia)〜(xa)中のRは、以下の構造式により表される:
【化359】
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。
【0764】
第12の実施形態では、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートに関して、nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);R
100は、−OHまたは式(ia)により表される基である。コンジュゲート中の少なくとも1つのR
100基は、式(ia)により表される基であり、式(ia)により表されるR
100中の基−W−X−Y−Z−Aは、第3の実施形態に記載の式(a)〜(x)ならびに第5の実施形態に記載の式(AA1)、(BB1)および(CC1)から選択される式により表される。あるいは、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、式(ia)により表されるR
100基を、反復単位当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0個含み;式(ia)により表されるR
100中の基−W−X−Y−Z−Aは、第3の実施形態に記載の式(a)〜(x)ならびに第5の実施形態に記載の式(AA1)、(BB1)および(CC1)から選択される式により表される。
【0765】
あるいは、上記第12の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(iia)により表される。あるいは、上記第12の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(iiia)により表される。あるいは、上記第12の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(iva)により表される。あるいは、上記第12の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(va)により表される。あるいは、上記第12の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(via)により表される。あるいは、上記第12の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(viia)により表される。あるいは、上記第12の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(viiia)により表される。あるいは、上記第12の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(ixa)により表される。あるいは、上記第12の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(xa)により表される。
【0766】
第13の実施形態では、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートに関して、nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);R
100は、−OHまたは式(ia)により表される基である。コンジュゲート中の少なくとも1つのR
100基は、式(ia)により表される基であり;式(ia)中の基−W−X−Y−Z−Aは、第3の実施形態に記載の式(a)〜(x)ならびに第5の実施形態に記載の式(AA1)、(BB1)および(CC1)から選択される式により表され;式(ia)により表されるR
100中のRは、上記RB(OH)
2またはRB(Y)
2で記載されている通りである。より具体的には、コンジュゲート中の少なくとも1つのR
100基は、式(ia)により表される基であり、式(ia)により表されるR
100中の基−W−X−Y−Z−Aは、第3の実施形態に記載の式(a)〜(x)ならびに第5の実施形態に記載の式(AA1)、(BB1)および(CC1)から選択される式により表され;式(ia)により表されるR
100中のRは、以下の構造式により表される:
【化360】
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。
【0767】
あるいは、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、式(ia)により表されるR
100基を、反復単位当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0個含み;式(ia)により表されるR
100中の基−W−X−Y−Z−Aは、第3の実施形態に記載の式(a)〜(x)ならびに第5の実施形態に記載の式(AA1)、(BB1)および(CC1)から選択される式により表され;式(ia)により表されるR
100中のRは、上記RB(OH)
2またはRB(Y)
2で記載されている通りである。より具体的には、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、式(ia)により表されるR
100基を、反復単位当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0個含み;式(ia)により表されるR
100中の基−W−X−Y−Z−Aは、第3の実施形態に記載の式(a)〜(x)ならびに第5の実施形態に記載の式(AA1)、(BB1)および(CC1)から選択される式により表され;式(ia)により表されるR
100中のRは、以下の構造式により表される:
【化361】
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。
【0768】
あるいは、上記第13の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(iia)により表される。あるいは、上記第13の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(iiia)により表される。あるいは、上記第13の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(iva)により表される。あるいは、上記第13の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(va)により表される。あるいは、上記第13の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(via)により表される。あるいは、上記第13の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(viia)により表される。あるいは、上記第13の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(viiia)により表される。あるいは、上記第13の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(ixa)により表される。あるいは、上記第13の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(xa)により表される。
【0769】
第14の実施形態では、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートに関して、nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);R
100は、−OHまたは式(ia)により表される基である。コンジュゲート中の少なくとも1つのR
100基は、式(ia)により表される基であり、式(ia)により表されるR
100中の基−W−X−Y−Z−Aは、第4の実施形態に記載の式から選択される式により表される。あるいは、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、式(ia)により表されるR
100基を、反復単位当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0個含み;式(ia)により表されるR
100中の基−W−X−Y−Z−Aは、第4の実施形態に記載の式から選択される式により表される。
【0770】
あるいは、上記第14の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(iia)により表される。あるいは、上記第14の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(iiia)により表される。あるいは、上記第14の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(iva)により表される。あるいは、上記第14の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(va)により表される。あるいは、上記第14の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(via)により表される。あるいは、上記第14の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(viia)により表される。あるいは、上記第14の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(viiia)により表される。あるいは、上記第14の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(ixa)により表される。あるいは、上記第14の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(xa)により表される。
【0771】
第15の実施形態では、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートに関して、nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数であり(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数であり);R
100は、−OHまたは式(ia)により表される基である。コンジュゲート中の少なくとも1つのR
100基は、式(ia)により表される基であり;式(ia)により表されるR
100中の基−W−X−Y−Z−Aは、第4の実施形態に記載の式から選択される式により表され;式(ia)により表されるR
100中のRは、上記RB(OH)
2またはRB(Y)
2で記載されている通りである。より具体的には、コンジュゲート中の少なくとも1つのR
100基は、式(ia)により表される基であり;式(ia)により表されるR
100中の基−W−X−Y−Z−Aは、第4の実施形態に記載の式から選択される式により表され;式(ia)により表されるR
100中のRは、以下の構造式により表される:
【化362】
[この文献は図面を表示できません]
。
【0772】
あるいは、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、式(ia)により表されるR
100基を、反復単位当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0個含み;式(ia)により表されるR
100中の基−W−X−Y−Z−Aは、第4の実施形態に記載の式から選択される式により表され;式(ia)により表されるR
100中のRは、上記RB(OH)
2またはRB(Y)
2で記載されている通りである。より具体的には、式(M)により表されるCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、式(ia)により表されるR
100基を、反復単位当たり少なくとも0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9または2.0個含み;式(ia)により表されるR
100中の基−W−X−Y−Z−Aは、第4の実施形態に記載の式から選択される式により表され;式(ia)により表されるR
100中のRは、以下の構造式により表される:
【化363】
[この文献は図面を表示できません]
。
【0773】
あるいは、上記第15の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(iia)により表される。あるいは、上記第15の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(iiia)により表される。あるいは、上記第15の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(iva)により表される。あるいは、上記第15の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(va)により表される。あるいは、上記第15の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(via)により表される。あるいは、上記第15の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(viia)により表される。あるいは、上記第15の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(viiia)により表される。あるいは、上記第15の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(ixa)により表される。あるいは、上記第15の実施形態において、R
100は、式(ia)の代わりに式(xa)により表される。
【0774】
第7〜第15の実施形態では、nは好ましくは、4〜20の整数であり、mは1〜1000の整数であるか;nは4〜80整数であり、mは1〜200の整数であるか;nは4〜50の整数であり、mは1〜100の整数であるか;nは4〜30の整数であり、mは1〜80の整数であるか;nは4〜20の整数であり、mは2〜80の整数であるか;nは4〜20の整数であり、mは5〜70の整数であるか;nは4〜20の整数であり、mは10〜50の整数であり;またはnは4〜20の整数であり、mは20〜40の整数である。
【0775】
一実施形態では、第1〜第15の実施例いずれに記載のCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートに関しても、式(i)〜(x)および(ia)〜(xa)のRは、以下の構造式により表される:
【化364】
[この文献は図面を表示できません]
。
【0776】
一実施形態では、第1〜第15の実施例いずれに記載のCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートに関しても、RB(OH)
2またはRB(Y)
2は、国際公開第91/13904号、米国特許第5,780,454号、同第6,066,730号、同第6,083,903号、同第6,297,217号、同第6,465,433号、同第6,548,668号、同第6,617,317号、同第6,699,835号、同第6,713,446号、同第6,747,150号、同第6,958,319号、同第7,109,323号、同第7,119,080号、同第7,442,830号、同第7,531,526、ならびに米国特許出願公開第2009/0247731号、同第2009/099132号、同第2009/0042836号、同第2008/0132678号、同第2007/0282100号、同第2006/0122390号、同第2005/0282742号、同第2005/0240047号、同第2004/0167332号、同第2004/0138411号、同第2003/0199561号、同第2002/0188100および2002/0173488号に記載されている通りである。上記各特許文献は、その内容全体が参照により組み込まれる。
【0777】
CDP−プロテアソーム阻害剤(例えば、ボロン酸含有プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブなど)コンジュゲートは、本明細書に記載の成分の数多くの異なる組合せを用いて作製し得る。例えば、シクロデキストリン(例えば、ベータ−シクロデキストリン)、コモノマー(例えば、PEG含有コモノマー)、シクロデキストリンとコモノマーを連結するリンカーおよび/またはプロテアソーム阻害剤(例えば、ボロン酸含有プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブなど)とCDPを繋留するリンカーの各種組合せが本明細書に記載されている。
【0778】
図7は、様々なCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートの例を示す表である。
図7のCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、下式により表される:
CDP−CO−L−D。
【0779】
この式の中で、CDPは、下(および
図3)に示されるシクロデキストリン含有ポリマーであり:
【化365】
[この文献は図面を表示できません]
式中、基
【化366】
[この文献は図面を表示できません]
は3400Da以下の分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20であり;Dは−B−Rであり、Rはボルテゾミブの非ボロン酸部分である。プロテアソーム阻害剤(例えば、ボロン酸含有プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブなど)が、上記のようにポリマーのカルボン酸部分を介してCDPとコンジュゲートされていることに留意されたい。プロテアソーム阻害剤(例えば、ボロン酸含有プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブなど)がCDPに完全に付加されている必要はない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つ、例えば、少なくとも2、3、4、5、6または7つのカルボン酸部分が、コンジュゲート後にプロテアソーム阻害剤(例えば、ボロン酸含有プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブなど)と未反応のままである(例えば、複数のカルボン酸部分が未反応のままである)。
【0780】
COは、CDPのシステイン残基のカルボニル基を表し;
Lは、CDPとボロン酸の間のリンカー基を表す。Lは、CDPのシステイン酸カルボニルと結合した末端アミノ基を有する。Lのもう一方の末端は、ボルテゾミブ中のホウ素原子と結合する2つの官能基を含み、ボルテゾミブとの結合の際に、この2つの官能基が、ホウ素原子と結合しているボルテゾミブ中の2つの−OH基と置き換わる。
【0781】
図7に記載されているように、「ボロン酸」の見出しがある列は、CDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲート中に含まれている、ボロン酸を含む薬学的に活性な物質、好ましくはプロテアソーム阻害剤の種類を示している。
【0782】
図7の表右側の2つの列はそれぞれ、CDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲート作製工程およびCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートの作製工程の最終産物を示す。
【0783】
図7で言及されている工程は、右から2番目の列にあるように、例えば工程Aおよび工程Bのように文字による表記がなされている。上記工程の各段階を、それぞれ以下に記載する。
【0784】
工程A:任意に保護されているLをCDPとカップリングさせ、L−CDPが保護されていればそれを脱保護し、ボロン酸とコンジュゲートさせる。
【0785】
工程B:任意に保護されているLをボロン酸とコンジュゲートさせ、L−ボロン酸を脱保護し、L−ボロン酸をCDPとカップリングさせる。
【0786】
図7に具体的に示されるように、CDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、本明細書に記載のものを含めた当該技術分野で公知の各種方法を用いて調製し得る。
【0787】
上記工程に1つ以上の保護基を用いて、本明細書に記載のCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートを作製し得る。いくつかの実施形態では、保護基を除去し、他の実施形態では、保護基を除去しない。保護基を除去しない場合は、保護基がin vivoで除去される(例えば、プロドラッグとして働く)ようにそれを選択し得る。1つの例がヘキサン酸であり、これはドキソルビシン中のヒドロキシル基を保護するために用いた場合、in vivoでリパーゼによって除去されることが示されている。保護基は一般に、カップリング反応の一部となることを目的としないプロテアソーム阻害剤の反応基およびリンカーの反応基の両方に対して選択する。保護基は、プロテアソーム阻害剤および/またはリンカー物質が分解されない条件下で除去可能なものでなければならない。例として、t−ブチルジメチルシリル(「TBDMS」)、TROC(2,2,2−トリクロロエトキシクロロホルマートから誘導される)、カルボキシベンジル(「CBz」)およびtert−ブチルオキシカルボニル(「Boc」)が挙げられる。除去に対してオレフィン還元を上回る選択性があれば、TROCの代わりにカルボキシベンジル(「CBz」)も使用し得る。水素化により除去されやすい、−メトキシベンジルOCO−のような基を用いることによりこれを行い得る。他の保護基も許容される。当業者は、本明細書の生成物および方法に適した保護基を選択し得る。
【0788】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の治療剤は、免疫調節剤のような細胞毒性薬である。いくつかの実施形態では、CDP−免疫調節剤コンジュゲート、粒子または組成物中の免疫調節剤は、副腎皮質ステロイド剤、ラパマイシンまたはラパマイシン類似体である。
【0789】
いくつかの実施形態では、免疫調節剤は副腎皮質ステロイド剤(例えば、プレドニゾン)である。いくつかの実施形態では、副腎皮質ステロイド剤は、以下の構造を有し得る:
【化367】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
R
1は、H、C
1〜C
6アルキル(例えば、CH
3)またはハロ(例えば、F)であり;
R
2は、Hまたはハロ(例えば、FまたはCl)であり;
R
3は、OHであるか、またはそれが結合している炭素と一緒になって、オキソを形成し;
R
4は、H、OH、OC(O)R
aまたはOR
bであり;
R
5は、H、OH、C
1〜C
6アルキル(例えば、CH
3)、C
1〜C
6アルケニル(例えば、アルケニルが、それが結合している炭素との二重結合を含む)またはOR
cであり;
R
6は、OH、ハロ、OC(O)R
e、SR
eであり;
R
aは、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールであり;
OR
bおよびOR
cは、それらが結合している炭素と一緒になった場合、任意に1または2個のR
dで置換されている環を形成し;
R
dは、それぞれ独立してC
1〜C
6アルキルであるか;または2つのR
dは、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロアルキルを形成し;
R
eは、OC
1〜C
6アルキルまたはC
1〜C
6アルキルであり;
【化368】
[この文献は図面を表示できません]
は、二重結合または単結合を表す。
【0790】
いくつかの実施形態では、R
1はHまたはハロ(例えば、F)である。いくつかの実施形態では、R
1はメチルである。
【0791】
いくつかの実施形態では、R
2はHである。いくつかの実施形態では、R
2はFである。
【0792】
いくつかの実施形態では、R
3はOHである。
【0793】
いくつかの実施形態では、R
4はOHまたはOC(O)R
a(例えば、式中、R
aがC
1〜C
6アルキルヘテロアリールである)。
【0794】
いくつかの実施形態では、R
5はHである。いくつかの実施形態では、R
5はメチルである。いくつかの実施形態では、R
5は、それが結合している炭素と一緒になって、C
2アルケニルを形成する。
【0795】
いくつかの実施形態では、R
4およびR
5は、それぞれOR
bおよびOR
cであり、OR
bおよびOR
cは、それらが結合している炭素と一緒になって、以下の構造を形成する:
【化369】
[この文献は図面を表示できません]
。
いくつかの実施形態では、R
dはそれぞれ独立して、C
1〜C
6アルキルである。いくつかの実施形態では、2つのR
dが、それらが結合している炭素と一緒になって、シクロアルキル(例えば、C
5シクロアルキルのようなC
4〜C
8シクロアルキル)を形成する。
【0796】
いくつかの実施形態では、R
4はOHまたはOC(O)R
aであり;R
5はHである。
【0797】
いくつかの実施形態では、R
4はHまたはOC(O)R
aであり;R
5はメチルである。
【0798】
いくつかの実施形態では、R
6はOHである。いくつかの実施形態では、R
6はハロ(例えば、Cl)である。いくつかの実施形態では、R
6はOC(O)R
eであり、例えば式中、R
eはC
1〜C
6アルキルである。
【0799】
いくつかの実施形態では、化合物はメチルプレドニゾロンではない。
【0800】
いくつかの実施形態では、化合物は、下式の化合物である:
【化370】
[この文献は図面を表示できません]
。
いくつかの実施形態では、
【化371】
[この文献は図面を表示できません]
は、二重結合を表す。いくつかの実施形態では、R
3はOHである。
【0801】
いくつかの実施形態では、化合物は、下式の化合物である:
【化372】
[この文献は図面を表示できません]
。
いくつかの実施形態では、R
4はOHであり、R
5はHである。いくつかの実施形態では、R
4およびR
5は、それぞれOR
bおよびOR
cであり、OR
bおよびOR
cは、それらが結合している炭素と一緒になって、以下の構造を形成する:
【化373】
[この文献は図面を表示できません]
。
いくつかの実施形態では、R
3はOHである。
【0802】
いくつかの実施形態では、化合物は、下式の化合物である:
【化374】
[この文献は図面を表示できません]
。
いくつかの実施形態では、R
3はOHである。
【0803】
CDPとコンジュゲートし得る例示的な副腎皮質ステロイド剤としては、以下に示すものが挙げられる。
【0804】
【化375】
[この文献は図面を表示できません]
【0805】
本明細書に記載の副腎皮質ステロイド剤をCDPと連結し得る。例えば、本明細書に記載の副腎皮質ステロイド剤を、副腎皮質ステロイド剤上の遊離OH基を介してCDPと連結し得る。副腎皮質ステロイド剤を、例えば、共有結合を介して、またはリンカーを介して直接CDPと連結し得る。例示的なリンカーは本明細書に記載されており、遊離OH基と反応してエステル結合のような結合を形成し得るアミノ酸およびその他のリンカーがこれに含まれる。
【0806】
好適な実施形態では、CDP−副腎皮質ステロイド剤コンジュゲート、粒子または組成物中の副腎皮質ステロイド剤は、プレドニゾンまたはプレドニゾン誘導体を含む。例えば、プレドニゾンは、以下の構造をを有し得る:
【化376】
[この文献は図面を表示できません]
。
【0807】
一実施形態では、CDP−副腎皮質ステロイド剤コンジュゲートは、CDP−プレドニゾンコンジュゲート、例えば、
【化377】
[この文献は図面を表示できません]
であり、式中、
【化378】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し;nは1〜100の整数であり(例えば、nは、4〜80、4〜50、4〜30もしくは4〜20の整数であるか、またはnは、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20であり);mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−副腎皮質ステロイド剤コンジュゲート、例えばCDP−プレドニゾンコンジュゲートは、完全な付加量を有するわけではなく、例えば、1つ以上の結合部位、例えばシステイン残基が副腎皮質ステロイド剤、例えばプレドニゾン部分、例えばグリシン結合により結合したプレドニゾンと結合しておらず、例えば、CDP−プレドニゾンコンジュゲートは、下式を有する1つ以上のサブユニットを含み:
【化379】
[この文献は図面を表示できません]
式中、
【化380】
[この文献は図面を表示できません]
はシクロデキストリンを表し、mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。いくつかの実施形態では、CDP−副腎皮質ステロイド剤コンジュゲート、粒子または組成物、例えばCDP−プレドニゾンコンジュゲート、粒子または組成物は、完全に付加されたCDP−副腎皮質ステロイド剤コンジュゲートおよび部分的に付加されたCDP−副腎皮質ステロイド剤コンジュゲート、例えばCDP−プレドニゾンコンジュゲートの混合物を含む。
【0808】
一実施形態では、CDP−副腎皮質ステロイド剤コンジュゲートは、
【化381】
[この文献は図面を表示できません]
のサブユニットを含み、式中、mは1〜1000の整数である(例えば、mは、1〜200、1〜100、1〜80、2〜80、5〜70、10〜50または20〜40の整数である)。
【0809】
いくつかの実施形態では、副腎皮質ステロイド剤は、短時間〜中時間作用型の糖質コルチコイドである。いくつかの実施形態では、副腎皮質ステロイド剤はA群副腎皮質ステロイド剤である。A群副腎皮質ステロイド剤の例としては、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酢酸コルチゾン、ピバル酸チキソコルトール、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロンおよびプレドニゾンが挙げられる。
【0810】
いくつかの実施形態では、副腎皮質ステロイド剤はB群副腎皮質ステロイド剤である。B群副腎皮質ステロイド剤の例としては、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンアルコール、モメタゾン、アムシノニド、ブデソニド、デソニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニドおよびハルシノニドが挙げられる。
【0811】
いくつかの実施形態では、副腎皮質ステロイド剤はC群副腎皮質ステロイド剤である。C群副腎皮質ステロイド剤の例としては、ベタメタゾン、ベタメタゾンリン酸ナトリウム、デキサメタゾン、デキサメタゾンリン酸ナトリウムおよびフルオコルトロンが挙げられる。
【0812】
いくつかの実施形態では、副腎皮質ステロイド剤はD群副腎皮質ステロイド剤である。D群副腎皮質ステロイド剤の例としては、ヒドロコルチゾン−17−ブチラート、ヒドロコルチゾン−17−バレラート、アクロメタゾンジプロプリオナート(aclometasone diproprionate)、ベタメタゾンバレラート、ベタメタゾンジプロプリオナート(betametasone diproprionate)、プレドニカルバート、クロベタゾン−17−ブチラート、クロベタゾール−17−プロピオナート、フルオコルトロンカプロアート、フルオコルトロンピバラートおよびフルプレドニデンアセタートが挙げられる。
【0813】
疾患を予防するのに有効なCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物の量またはコンジュゲート、粒子または組成物の「予防有効量」は、対象への薬剤の投与という文脈で使用される場合、疾患の少なくとも1つの症状の発症が、レジメンの非存在下で観察され得るものと比較して遅延されるように、対象にレジメン、例えばCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物の投与を受けさせることを指す。
【0814】
CDP、その作製法、およびCDPと治療剤のコンジュゲート法
一般的には、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲートは、2つの方法のうちの1つで調製し得る。すなわち治療剤、標的化リガンドおよび/またはシクロデキストリン部分を有するモノマーを重合化し得る、あるいはポリマー主鎖を治療剤、標的化リガンドおよび/またはシクロデキストリン部分で誘導体化し得る。治療剤としては、細胞毒性薬、例えばトポイソメラーゼ阻害剤、例えばトポイソメラーゼI阻害剤(例えば、カンプトテシン、イリノテカン、SN−38、トポテカン、ラメラリンD、ルロテカン(lurotecan)、エクサテカン、ジフロモテカンもしくはその誘導体)、もしくはトポイソメラーゼII阻害剤(例えば、エトポシド、テノポシド、ドキソルビシンもしくはその誘導体)、代謝拮抗剤(例えば、葉酸代謝拮抗剤(例えば、ペメトレキセド、フロクスウリジンもしくはラルチトレキセド)もしくはピリミジンコンジュゲート(例えば、カペシタビン、シタラビン、ゲムシタビンもしくは5FU))、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗腫瘍抗生物質(例えば、HSP90阻害剤、例えばゲルダナマイシン)、白金系薬剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチンもしくはオキサリプラチン)、微小管阻害剤、キナーゼ阻害剤(例えば、セロニン(seronine)/スレオニンキナーゼ阻害剤、例えばmTOR阻害剤、例えばラパマイシン)またはプロテアソーム阻害剤を挙げ得る。
【0815】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートの合成は、モノマーM−L−CDとM−L−D(および任意にM−L−T)を反応させることにより行うことができ、式中、
CDは、シクロデキストリン分子またはその誘導体のような環状部分を表し;
Lはそれぞれの出現について、独立して、非存在であり得るか、またはリンカー基を表し;
Dはそれぞれの出現について、独立して、同じまたは異なる治療剤またはそのプロドラッグを表し;
Tはそれぞれの出現について、独立して、同じまたは異なる標的化リガンドまたはその前駆体を表し;
Mは、モノマーの重合が生じる条件下で、反応混合物のモノマー中の1つ以上の他のMとの重合反応を受けることができる1つ以上の反応部分を有する、モノマーサブユニットを現す。
【0816】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の治療剤を、別の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤で置き換え得る。
【0817】
特定の実施形態では、反応混合物は、例えばポリマー全体を通して誘導体化されたモノマー単位の間隔を空けるために、CD、TまたはD部分を有しないモノマーをさらに含み得る。
【0818】
別の実施形態では、本発明は、ポリマーP(複数の反応基、例えばカルボン酸、アルコール、チオール、アミン、エポキシドなどを有する)をグラフト化剤X−L−CDおよび/または(および任意にZ−L−T)と反応させることにより、CDP−治療剤コンジュゲートを合成することを企図し、式中、
CDは、シクロデキストリン分子またはその誘導体のような環状部分を表し;
Lはそれぞれの出現について、独立して、非存在であり得るか、またはリンカー基を表し;
Dはそれぞれの出現について、独立して、同じまたは異なる治療剤またはそのプロドラッグを表し;
Tはそれぞれの出現について、独立して、同じまたは異なる標的化リガンドまたはその前駆体を表し;
Xはそれぞれの出現について、独立して、ポリマーの反応基と共有結合を形成することができる反応基、例えばカルボン酸、アルコール、チオール、アミン、エポキシドなどを表し;
YおよびZはそれぞれの出現について、独立して、グラフト化剤が、ポリマーまたはポリマーにグラフトされた部分と共有結合および/または必要に応じて包接錯体を形成する条件下で、ポリマーまたはポリマーにグラフトされたCD部分を有する包接錯体の反応基と共有結合を形成することができる包接ホストまたは反応基、例えばカルボン酸、アルコール、チオール、アミン、エポキシドなどを表す。
【0819】
いくつかの実施形態では、CDP−タキサンコンジュゲート中の1つ以上の治療剤を、別の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0820】
例えば、CDPがアルコール、チオールまたはアミンを反応基として含む場合、グラフト化剤は、それらと反応する反応基、例えばイソシアナート、イソチオシアナート、酸塩化物、酸無水物、エポキシド、ケテン、塩化スルホニル、活性化カルボン酸(活性化剤、例えばPyBrOP、カルボニルジイミダゾールまたはカルボン酸と反応して求核攻撃を受けやすい部分を形成する別の試薬などで処理したカルボン酸)またはその他の当業者に公知の求電子部分などを含み得る。特定の実施形態では、当業者により理解されるように、反応を生じさせるために触媒(例えば、Lewis酸、遷移金属触媒、アミン塩基など)が必要となる場合がある。
【0821】
特定の実施形態では、異なるグラフト化剤を、同時にもしくは実質的に同時に(例えば、ワンポット反応で)ポリマーと反応させるか、または逐次的にポリマーと反応させる(任意に、反応間に精製および/または洗浄段階を含む)。
【0822】
本発明の別の態様は、本明細書に記載の直鎖状または分岐状CDPおよびCDP−治療剤コンジュゲートの製造法である。以下の記述は、直鎖状シクロデキストリン分子の調製に焦点が当てられているが、コモノマー前駆体を選択することにより、記載されている方法を分岐状ポリマーの作製に適用し得ることを、当業者は容易に理解するであろう。
【0823】
したがって、本発明の一実施形態は、直鎖状CDPの調製法である。本発明に従って、1つ以上の適切な脱離基で二置換されたシクロデキストリンモノマー前駆体を、脱離基を置き換えることができるコモノマー前駆体でコポリマー化することにより、直鎖状CDPを調製し得る。脱離基は、同じであっても異なっていてもよく、コポリマー化の際にコモノマー前駆体で置き換えられる、当該技術分野で公知の任意の脱離基であり得る。好適な実施形態では、シクロデキストリンモノマー前駆体をヨード化してジヨード化シクロデキストリンモノマー前駆体を形成させ、ジヨード化したシクロデキストリンモノマー前駆体をコモノマー前駆体でコポリマー化して、それぞれ上に記載されている、「CDP−治療剤コンジュゲート」という題の節に記載の式IもしくはIIまたはそれらの組合せの反復単位を有する直鎖状CDPを形成させることにより、直鎖状CDPを調製し得る。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分前駆体は組成物中にあり、その組成物は、反応部分を有するように修飾された2つの位置以外の位置(例えば、1、3、4、5、6または7)を有するシクロデキストリン部分が実質的にない。以下に記載の例は、ヨード化シクロデキストリン部分について述べたものであるが、本発明が、ヨード基の代わりにアルキルおよびアリールスルホナートのような他の脱離基が存在し得るシクロデキストリン部分を企図し、包含することを、当業者は容易に理解するであろう。好適な実施形態では、上記シクロデキストリンモノマー前駆体をヨード化して、式XXXIVa、XXXIVb、XXXIVc:
【化382】
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ジヨード化シクロデキストリンモノマー前駆体またはこれらの混合物を形成させることによる本発明のシクロデキストリンコポリマーの調製法。
【0824】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分上に示されるヨウ素部分は、シクロデキストリン上での誘導体化がAおよびDグルコピラノース部分になるように位置している。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分上に示されるヨウ素部分は、シクロデキストリン上での誘導体化がAおよびCグルコピラノース部分になるように位置している。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分上に示されるヨウ素部分は、シクロデキストリン上での誘導体化がAおよびFグルコピラノース部分になるように位置している。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分上に示されるヨウ素部分は、シクロデキストリン上での誘導体化がAおよびEグルコピラノース部分になるように位置している。
【0825】
ジヨード化シクロデキストリンは、当該技術分野で公知の任意の手段により調製し得る(Tabushiら,J.Am.Chem.106,5267−5270(1984);Tabushiら,J.Am.Chem.106,4580−4584(1984))。例えば、β−シクロデキストリンを無水ピリジンの存在下でビフェニル−4,4’−ジスルホニルクロリドと反応させ、ビフェニル−4,4’−ジスルホニルクロリドでキャップ化したβ−シクロデキストリンを形成させ、次いでこれをヨウ化カリウムと反応させて、ジヨード−β−シクロデキストリンを生成し得る。シクロデキストリンモノマー前駆体は、2つの位置のみでヨード化される。ジヨード化シクロデキストリンモノマー前駆体を上記のようにコモノマー前駆体でコポリマー化することにより、同様に上に記載されている式Ia、Ibまたはそれらの組合せの反復単位を有する直鎖状シクロデキストリンポリマーを調製し得る。必要に応じて、ヨウ素またはヨード基を他の既知の脱離基に置き換え得る。
【0826】
また本発明に従って、ヨード基またはその他の適切な脱離基を、上記のようなコモノマー前駆体との反応を可能にする基に置き換え得る。例えば、式XXXIVa、XXXIVb、XXXIVcまたはこれらの組合せのジヨード化シクロデキストリンモノマー前駆体をアミノ化して、式XXXVa、XXXVb、XXXVc:
【化383】
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のジアミノ化シクロデキストリンモノマー前駆体またはこれらの混合物を形成させ得る。
【0827】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分上に示されるアミノ部分は、シクロデキストリン上での誘導体化がAおよびDグルコピラノース部分になるように位置している。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分上に示されるアミノ部分は、シクロデキストリン上での誘導体化がAおよびCグルコピラノース部分になるように位置している。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分上に示されるアミノ部分は、シクロデキストリン上での誘導体化がAおよびFグルコピラノース部分になるように位置している。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分上に示されるアミノ部分は、シクロデキストリン上での誘導体化がAおよびEグルコピラノース部分になるように位置している。
【0828】
ジアミノ化シクロデキストリンモノマー前駆体は、当該技術分野で公知の任意の手段により調製し得る(Tabushiら,Tetrahedron Lett.18:11527−1530(1977);Mungall、J.Org.Chem.16591662(1975))。例えば、ジヨード−β−シクロデキストリンを、アジ化ナトリウムと反応させた後、還元してジアミノ−β−シクロデキストリンを形成させる。シクロデキストリンモノマー前駆体は、2つの位置のみでアミノ化される。次いで、ジアミノ化シクロデキストリンモノマー前駆体を上記のようにコモノマー前駆体でコポリマー化し、反復単位を有する直鎖状シクロデキストリンコポリマーを生成する。しかし、ジアミノ化シクロデキストリンモノマー前駆体のアミノ官能基を、シクロデキストリン部分と直接結合させる必要はない。あるいは、シクロデキストリンモノマー前駆体のヨードまたはその他の適切な脱離基を、金属水素化物、アルカリもしくはアルカリ炭酸塩または第三級アミンのような適切な塩基を用いて、アミノ基含有部分、例えば、HSCH
2CH
2NH
2(または、より一般的にHW−(CR
1R
2)
n−WH(式中、Wはそれぞれ独立して、O、SまたはNR
1を表し;R
1およびR
2はそれぞれ独立して、H、(未)置換アルキル、(未)置換アリール、(未)置換ヘテロアルキル、(未)置換ヘテロアリールを表す)により表される二求核性分子)などで置き換えることにより、アミノ官能基または別の求核性官能基を導入し、式XXXVd、XXXVe、XXXVf:
【化384】
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のジアミノ化シクロデキストリンモノマー前駆体またはこれらの混合物を形成させ得る。
【0829】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分上に示される−SCH
2CH
2NH
2部分は、シクロデキストリン上での誘導体化がAおよびDグルコピラノース部分になるように位置している。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分上に示される−SCH
2CH
2NH
2部分は、シクロデキストリン上での誘導体化がAおよびCグルコピラノース部分になるように位置している。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分上に示される−SCH
2CH
2NH
2部分は、シクロデキストリン上での誘導体化がAおよびFグルコピラノース部分になるように位置している。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分上に示される−SCH
2CH
2NH
2部分は、シクロデキストリン上での誘導体化がAおよびEグルコピラノース部分になるように位置している。
【0830】
また以下に記載するように、還元型の直鎖状シクロデキストリン含有コポリマーを酸化することにより、直鎖状酸化CDPを調製してもよい。この方法は、コモノマーが、例えばチオールのような酸化感受性の部分または基を含まない限り行い得る。
【0831】
本発明の直鎖状CDPを酸化して、少なくとも1つの酸化シクロデキストリンモノマーを、それがポリマー主鎖の不可分な部分となるようにコポリマー内に導入し得る。少なくとも1つのシクロデキストリンモノマーを含む直鎖状CDPは、直鎖状酸化シクロデキストリンコポリマーまたは直鎖状酸化シクロデキストリン含有ポリマーと定義される。シクロデキストリンモノマーは、シクロデキストリン部分の二級ヒドロキシル側または一級ヒドロキシル側のいずれでも酸化され得る。本発明の直鎖状酸化シクロデキストリンコポリマー内に2つ以上の酸化シクロデキストリンモノマーが存在する場合、一級ヒドロキシル側、二級ヒドロキシル側または両側のいずれかで酸化された同じまたは異なるシクロデキストリンモノマーが存在し得る。例示目的で、酸化された二級ヒドロキシル基を有する直鎖状酸化シクロデキストリンコポリマーは、例えば、少なくとも1単位の式XXXVIaまたはXXXVIb:
【化385】
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を有する。
【0832】
式XXXVIaおよびXXXVIbにおいて、Cは置換または非置換である酸化シクロデキストリンモノマーであり、コモノマー(すなわち、ここではAで示される)は、酸化シクロデキストリンCと結合、すなわち共有結合しているコモノマーである。また式XXXVIaおよびXXXVIbにおいて、二級ヒドロキシル基の酸化により、シクロデキストリン部分の開環およびアルデヒド基の形成が生じる。
【0833】
直鎖状酸化CDPコポリマーは、上述のようにシクロデキストリンコポリマーの酸化により調製し得る。本発明の直鎖状シクロデキストリンコポリマーの酸化は、当該技術分野で公知の酸化技術により行い得る(Hisamatsuら,Starch 44:188−191(1992))。好ましくは、例えば過ヨウ素酸ナトリウムのような酸化剤を用いる。標準的酸化条件下では、酸化の程度は異なり得るか、またはコポリマーごとに異なり得るということが当業者により理解されるであろう。したがって、本発明の一実施形態では、CDPは酸化シクロデキストリンモノマーを1つ含み得る。別の実施形態では、実質的にコポリマーのすべてのシクロデキストリンモノマーが酸化されることとなる。
【0834】
直鎖状酸化CDPの別の調製法は、上記のようにジヨード化またはジアミノ化シクロデキストリンモノマー前駆体を酸化して、酸化されたジヨード化またはジアミノ化シクロデキストリンモノマー前駆体を形成させ、それをコモノマー前駆体によりコモノマー化することを含む。好適な実施形態では、式XXXVIIa,XXXVIIb,XXXVIIc:
【化386】
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の酸化されたジヨード化シクロデキストリンモノマー前駆体またはこれらの混合物を、式XXXIVa,XXXIVb,XXXIVcのジヨード化シクロデキストリンモノマー前駆体またはそれらの混合物を上記のように酸化することにより調製し得る。別の好適な実施形態では、式XXXVIIIa,XXXVIIIb,XXXVIIIc:
【化387】
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の酸化されたジアミノ化シクロデキストリンモノマー前駆体またはこれらの混合物を、式XXXVIIa,XXXVIIb,XXXVIIcの酸化されたジヨード化シクロデキストリンモノマー前駆体またはこれらの混合物を上記のようにアミノ化することにより調製し得る。さらに別の好適な実施形態では、式XXXIXa,XXXIXb,XXXIXc:
【化388】
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の酸化されたジアミノ化シクロデキストリンモノマー前駆体またはこれらの混合物を、ヨードまたはその他の適切な脱離基で二置換された酸化シクロデキストリンモノマー前駆体のヨードまたはその他の適切な脱離基を、アミノまたはその他の求核基を含有する部分、例えば、HSCH
2CH
2NH
2(または、より一般的にHW−(CR
1R
2)
n−WH(式中、Wはそれぞれ独立して、O、SまたはNR
1を表し;R
1およびR
2はそれぞれ独立して、H、(未)置換アルキル、(未)置換アリール、(未)置換ヘテロアルキル、(未)置換ヘテロアリールを表す)により表される二求核性分子)などで置き換えることにより調製し得る。
【0835】
あるいは、シクロデキストリンモノマー前駆体を酸化して酸化シクロデキストリンモノマー前駆体を形成させた後、シクロデキストリンモノマーを上記のようにヨード化および/またはジアミノ化することにより、上記の酸化されたジヨード化またはジアミノ化シクロデキストリンモノマー前駆体を調製してもよい。上述のように、シクロデキストリン部分をヨード基以外の他の脱離基および官能基を含む他のアミノ基で修飾し得る。次いで、酸化されたジヨード化またはジアミノ化シクロデキストリンモノマー前駆体を、上記のようにコモノマー前駆体でコポリマー化して、本発明の直鎖状酸化シクロデキストリンコポリマーを形成させ得る。
【0836】
また、コポリマーに少なくとも1つのリガンドを結合させることにより、直鎖状酸化CDPをさらに修飾してもよい。リガンドは上記の通りである。
【0837】
いくつかの実施形態では、CDPは、シクロデキストリン部分と、コモノマーシクロデキストリンを含まない部分(コモノマー)とを含み、CDPは、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のシクロデキストリン部分と、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のコモノマーとを含む。
【0838】
いくつかの実施形態では、少なくとも4、5、6、7、8個などのシクロデキストリン部分と、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20個のコモノマーが、水溶性直鎖状ポリマー中に交互に存在する。
【0839】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分は、治療剤がさらに連結され得るリンカーを含む。
【0840】
いくつかの実施形態では、コモノマーは、シクロデキストリンモノマーの反応ひいては連結が行われる少なくとも2つの官能基の残基を含む化合物である。いくつかの実施形態では、各コモノマーの官能基は、同じであっても異なっていても、また末端にあっても内側にあってもよく、アミノ、酸、イミダゾール、ヒドロキシル、チオ、ハロゲン化アシル、−HC=CH−、−C≡C−基またはそれらの誘導体を含む。いくつかの実施形態では、2つの官能基は同じであり、コモノマーの末端に位置する。いくつかの実施形態では、コモノマーは、治療剤の反応ひいては連結が行われ得る少なくとも1つの官能基を有する1つ以上のペンダント基を含む。いくつかの実施形態では、各コモノマーペンダント基の官能基は、同じであっても異なっていても、また末端にあっても内側にあってもよく、アミノ、酸、イミダゾール、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン化アシル、エチレン、エチン基またはそれらの誘導体を含む。いくつかの実施形態では、ペンダント基は、置換もしくは非置換の分岐状、環状もしくは直鎖状C
1〜C
10アルキル、または鎖もしくは環内に1つ以上のヘテロ原子を任意に含むアリールアルキルである。
【0841】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分は、アルファ、ベータまたはガンマシクロデキストリン部分を含む。
【0842】
いくつかの実施形態では、CDPは、コンジュゲートされたときに、水溶性直鎖状ポリマーの少なくとも5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%または35重量%までが治療剤となるのに十分な量の治療剤の結合に適している。いくつかの実施形態では、CDPの分子量は、10,000〜500,000Da、例えば約30,000〜約100,000Daである。
【0843】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分は、ポリマーの少なくとも約2重量%、5重量%、10重量%、11重量%、12重量%、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、30重量%、50重量%または80重量%を占める。
【0844】
いくつかの実施形態では、ちょうど2つの位置のそれぞれに1つの反応部位を有するように修飾されたシクロデキストリン部分前駆体を準備し、そのシクロデキストリン部分を、コモノマーとシクロデキストリン部分の間に共有結合を形成するための反応部位と反応部分との反応を促進する重合条件下で、その反応部位と共有結合を形成することができるちょうど2つの反応部分を有するコモノマー前駆体と反応させて、交互に存在するシクロデキストリン部分とコモノマーの単位を含むCDPを生成することを含む方法により、CDPを作製する。
【0845】
いくつかの実施形態では、CDPは、アルキレン鎖、ポリ無水コハク酸、ポリ−L‐グルタミン酸、ポリ(エチレンイミン)、オリゴ糖およびアミノ酸鎖からなる群より選択されるコモノマーを含む。いくつかの実施形態では、コモノマーはポリエチレングリコール鎖を含む。いくつかの実施形態では、CDPは、ポリグリコール酸およびポリ乳酸鎖から選択されるコモノマーを含む。
【0846】
いくつかの実施形態では、コモノマーは、1つ以上のメチレン基が任意に基Yにより置き換わっている(ただし、どのYも互いに隣接していない)ヒドロカルビレン基を含み、各Yはそれぞれの出現について、独立して、置換もしくは非置換アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、または−O−、C(=X)(式中、XはNR
1、OまたはSである)、−OC(O)−、−C(=O)O、−NR
1−、−NR
1CO−、−C(O)NR
1−、−S(O)
n−(式中、nは0、1または2である)、−OC(O)−NR
1、−NR
1−C(O)−NR
1−、−NR
11−C(NR
1)−NR
1−および−B(OR
1)−から選択され;R
1はそれぞれの出現について、独立して、Hまたは低級アルキルを表す。
【0847】
いくつかの実施形態では、CDPは、下式のポリマーであり:
【化389】
[この文献は図面を表示できません]
式中、Lはそれぞれ独立してリンカーであり、コモノマーはそれぞれ独立して、本明細書に記載のコモノマーであり、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。いくつかの実施形態では、コモノマーの分子量は約2000〜約5000Da(例えば、約3000〜約4000Da(例えば、約3400Da))である。
【0848】
いくつかの実施形態では、CDPは、下式のポリマーであり:
【化390】
[この文献は図面を表示できません]
式中、Lはそれぞれ独立してリンカーであり、基
【化391】
[この文献は図面を表示できません]
は3400Da以下の分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。
【0849】
いくつかの実施形態では、
【化392】
[この文献は図面を表示できません]
は、アルファ、ベータまたはガンマシクロデキストリン、例えばベータシクロデキストリンである。
【0850】
いくつかの実施形態では、Lはそれぞれ独立して、アミノ酸またはその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのLがシステインまたはその誘導体を含む。いくつかの実施形態では、各Lがシステインを含む。いくつかの実施形態では、各Lがシステインであり、システインはチオール結合によりCDと結合している。
【0851】
いくつかの実施形態では、CDPは、下式のポリマーであり:
【化393】
[この文献は図面を表示できません]
式中、基
【化394】
[この文献は図面を表示できません]
は3400Da以下の分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。
【0852】
いくつかの実施形態では、
【化395】
[この文献は図面を表示できません]
は、アルファ、ベータまたはガンマシクロデキストリン、例えばベータシクロデキストリンである。
【0853】
いくつかの実施形態では、CDPは、下式のポリマーであり:
【化396】
[この文献は図面を表示できません]
式中、基
【化397】
[この文献は図面を表示できません]
は3400Da以下の分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。
【0854】
いくつかの実施形態では、基
【化398】
[この文献は図面を表示できません]
は3400Daの分子量を有し、化合物全体の分子量は27,000Da〜99,600 Daである。
【0855】
本明細書に記載のCDPは、本明細書に記載のものを含めた各種方法を用いて作製し得る。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分前駆体を準備し、シクロデキストリン部分を含まないコモノマー前駆体(コモノマー前駆体)を準備し、前記シクロデキストリン部分前駆体とコモノマー前駆体をポリマー化して、少なくとも4、5、6、7、8個以上のシクロデキストリン部分と、少なくとも4、5、6、7、8個以上のコモノマーとを含むCDPを生成することにより、CDPを作製し得る。
【0856】
いくつかの実施形態では、少なくとも4、5、6、7、8個以上のシクロデキストリン部分と少なくとも4、5、6、7、8個以上のコモノマーが、水溶性直鎖状ポリマー中に交互に存在する。いくつかの実施形態では、この方法は、ちょうど2つの位置のそれぞれに1つの反応部位を有するように修飾されたシクロデキストリン部分前駆体を準備し、そのシクロデキストリン部分前駆体を、コモノマーとシクロデキストリン部分の間に共有結合を形成するための反応部位と反応部分との反応を促進する重合条件下で、その反応部位と共有結合を形成することができるちょうど2つの反応部分を有するコモノマー前駆体と反応させて、交互に存在するシクロデキストリン部分とコモノマーの単位を含むCDPを生成することを含む。
【0857】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリンコモノマーは、治療剤がさらに連結され得るリンカーを含む。いくつかの実施形態では、治療剤は、第二のリンカーを介して連結される。
【0858】
いくつかの実施形態では、コモノマー前駆体は、シクロデキストリン部分の反応ひいては連結が行われる少なくとも2つの官能基を含む化合物である。いくつかの実施形態では、各コモノマー前駆体の官能基は、同じであっても異なっていても、また末端にあっても内側にあってもよく、アミノ、酸、イミダゾール、ヒドロキシル、チオ、ハロゲン化アシル、−HC=CH−、−C≡C−基またはそれらの誘導体を含む。いくつかの実施形態では、2つの官能基は同じであり、コモノマー前駆体の末端に位置する。いくつかの実施形態では、コモノマーは、治療剤の反応ひいては連結が行われ得る少なくとも1つの官能基を有する1つ以上のペンダント基を含む。いくつかの実施形態では、各コモノマーペンダント基の官能基は、同じであっても異なっていても、また末端にあっても内側にあってもよく、アミノ、酸、イミダゾール、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン化アシル、エチレン、エチン基またはそれらの誘導体を含む。いくつかの実施形態では、ペンダント基は、置換もしくは非置換の分岐状、環状もしくは直鎖状C
1〜C
10アルキル、または鎖もしくは環内に1つ以上のヘテロ原子を任意に含むアリールアルキルである。
【0859】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分は、アルファ、ベータまたはガンマシクロデキストリン部分を含む。
【0860】
いくつかの実施形態では、CDPは、コンジュゲートされたときに、CDPの少なくとも3重量%、5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%または35重量%までが治療剤となるのに十分な量の治療剤の結合に適している。
【0861】
いくつかの実施形態では、CDPの分子量は、10,000〜500,000Daである。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分は、CDPの少なくとも約2重量%、5重量%、10重量%、20重量%、30重量%、50重量%または80重量%を占める。
【0862】
いくつかの実施形態では、CDPは、アルキレン鎖、ポリ無水コハク酸、ポリ−L‐グルタミン酸、ポリ(エチレンイミン)、オリゴ糖およびアミノ酸鎖からなる群より選択されるコモノマーを含む。いくつかの実施形態では、コモノマーはポリエチレングリコール鎖を含む。いくつかの実施形態では、CDPは、ポリグリコール酸およびポリ乳酸鎖から選択されるコモノマーを含む。いくつかの実施形態では、CDPは、1つ以上のメチレン基が任意に基Yにより置き換わっている(ただし、どのYも互いに隣接していない)ヒドロカルビレン基を含み、各Yはそれぞれの出現について、独立して、置換もしくは非置換アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、または−O−、C(=X)(式中、XはNR
1、OまたはSである)、−OC(O)−、−C(=O)O、−NR
1−、−NR
1CO−、−C(O)NR
1−、−S(O)
n−(式中、nは0、1または2である)、−OC(O)−NR
1、−NR
1−C(O)−NR
1−、−NR
11−C(NR
1)−NR
1−および−B(OR
1)−から選択され;R
1はそれぞれの出現について、独立して、Hまたは低級アルキルを表す。
【0863】
いくつかの実施形態では、下式のCDP:
【化399】
[この文献は図面を表示できません]
を、以下のスキームにより作製し得る:
式AAおよび式BBの化合物:
【化400】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、LGは脱離基である)を準備し、式AAとBBの化合物の間の共有結合の形成が可能な条件下で化合物を接触させて、下式のポリマー:
【化401】
[この文献は図面を表示できません]
(式中、基
【化402】
[この文献は図面を表示できません]
は3400Da以下の分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である)を形成させる。
【0864】
いくつかの実施形態では、式BBは、
【化403】
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である。
【0865】
いくつかの実施形態では、基
【化404】
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は3400Daの分子量を有し、化合物の分子量は27,000Da〜99,600Daである。
【0866】
いくつかの実施形態では、式AAと式BBの化合物を塩基の存在下で接触させる。いくつかの実施形態では、塩基はアミンを含む塩基である。いくつかの実施形態では、塩基はDEAである。
【0867】
いくつかの実施形態では、下式のCDP:
【化405】
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(式中、Rは
【化406】
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の形態である)を、
下式の化合物:
【化407】
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を、溶媒中、非求核性有機基の存在下で下式の化合物:
【化408】
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(式中、基
【化409】
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は、3400Da以下の分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である)と反応させる段階を含むスキームにより作製し得る。
【0868】
いくつかの実施形態では、
【化410】
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は
【化411】
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である。
【0869】
いくつかの実施形態では、溶媒は極性非プロトン溶媒である。いくつかの実施形態では、溶媒はDMSOである。
【0870】
いくつかの実施形態では、この方法は、透析および凍結乾燥の各段階も含む。
【0871】
いくつかの実施形態では、下記のCDP:
【化412】
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(式中、Rは
【化413】
[この文献は図面を表示できません]
の形態である)を、
下式の化合物:
【化414】
[この文献は図面を表示できません]
を、DMSO中、非求核性有機基の存在下で下式の化合物:
【化415】
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(式中、基
【化416】
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は、3400Da以下の分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20である)または下記の化合物:
【化417】
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(式中、基
【化418-1】
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は、3400Daの分子量を有する)と反応させる段階と、
以下のポリマー:
【化418-2】
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を透析し凍結乾燥する段階と
を含むスキームにより作製し得る。
【0872】
本明細書に記載のCDPを、基質と結合させるか、または基質上にグラフトし得る。基質は、当業者に認識されている任意の基質であり得る。本発明の別の好適な実施形態では、CDPをポリマーと架橋して、それぞれ架橋シクロデキストリンコポリマーまた架橋酸化シクロデキストリンコポリマーを形成させ得る。ポリマーは、CDPと架橋することができる任意のポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマー、ポリエチレンポリマー)であり得る。またポリマーは、同じまたは異なるCDPであってもよい。したがって、例えば、直鎖状CDPを、特に限定されないが、それ自体、別の直鎖状CDPおよび直鎖状酸化CDPを含めた任意のポリマーと架橋し得る。架橋直鎖状CDPは、架橋剤の存在下で直鎖状CDPをポリマーと反応させることにより調製し得る。架橋直鎖状酸化CDPは、適切な架橋剤の存在下で直鎖状酸化CDPをポリマーと反応させることにより調製し得る。架橋剤は、当該技術分野で公知の任意の架橋剤であり得る。架橋剤の例としては、ジヒドラジドおよびジスルフィドが挙げられる。好適な実施形態では、所望に応じて架橋コポリマーが脱架橋されるように、架橋剤は不安定な基である。
【0873】
直鎖状CDPおよび直鎖状酸化CDPは、当該技術分野で公知の任意の手段により特徴付けし得る。このような特徴付けの方法または技術としては、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化−飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF Mass spec)、
1Hおよび
13C NMR、光散乱法および滴定法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0874】
また本発明は、上記の少なくとも1つの直鎖状CDPおよび少なくとも1つの直鎖状酸化CDPを含有するシクロデキストリン組成物も提供する。したがって、直鎖状CDPおよび直鎖状酸化CDPのいずれかまたは両方を、上記のように別のポリマーと架橋し得る、および/またはリガンドと結合させ得る。本発明による治療用組成物は、治療剤と、架橋コポリマーを含めた直鎖状CDPまたは直鎖状酸化CDPとを含有する。直鎖状CDP、直鎖状酸化CDPおよびこれらの架橋誘導体は、上記の通りである。治療剤は、当該技術分野で公知のものを含めた任意の合成、半合成または天然の生物学的に活性な治療剤であり得る。
【0875】
本発明の一態様は、治療剤の送達のために治療剤をCDPと結合させることを企図する。本発明は、治療剤がポリマーと共有結合した各種タイプの直鎖状、分岐状またはグラフト化CDPを開示する。特定の実施形態では、治療剤は、生加水分解性結合、例えば、エステル、アミド、カルバミン酸エステルまたは炭酸エステルを介して共有結合により連結している。誘導体化CDと治療剤(T.A.)を共有結合させるための例示的な合成スキームをスキームIに示す。
スキームI
【化419】
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【0876】
治療剤および任意に標的化リガンドを付加するための直鎖状、分岐状またはグラフト化シクロデキストリン含有ポリマー(CDP)を合成するための一般的ストラテジーを
図8に示す。下のスキームII〜XIVXIVに記載されているように、この一般的ストラテジーを用いて、治療剤、例えば、細胞毒性薬、例えばトポイソメラーゼ阻害剤、例えばトポイソメラーゼI阻害剤(例えば、カンプトテシン、イリノテカン、SN−38、トポテカン、ラメラリンD、ルロテカン(lurotecan)、エクサテカン、ジフロモテカンもしくはその誘導体)もしくはトポイソメラーゼII阻害剤(例えば、エトポシド、テノポシド、ドキソルビシンもしくはその誘導体)、抗代謝剤(例えば、葉酸代謝拮抗剤(例えば、ペメトレキセド、フロクスウリジンもしくはラルチトレキセド)もしくはピリミジンコンジュゲート(例えば、カペシタビン、シタラビン、ゲムシタビンもしくは5FU))、アルキル化剤、アントラサイクリン、抗腫瘍抗生物質(例えば、HSP90阻害剤、例えばゲルダナマイシン)、白金系薬剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチンもしくはオキサリプラチン)、微小管阻害剤、キナーゼ阻害剤(例えば、セロニン(seronine)/スレオニンキナーゼ阻害剤、例えばmTOR阻害剤、例えばラパマイシン)、またはプロテアソーム阻害剤を送達するための各種の異なるシクロデキストリン含有ポリマーを得ることができる。得られるCDPを、
図1のポリマー(A)〜(L)として図示する。
【0877】
例えば、コモノマー前駆体(
図9でAとして示される)、シクロデキストリン部分、治療剤および/または標的化リガンドを
図9および10に示すように組み立て得る。
図9および10において、同じまたは異なるタイプの2つ以上のコモノマー前駆体、シクロデキストリン部分、治療剤または標的化リガンドが所与の反応において存在し得るということに留意されたい。さらに重合の前に、1つ以上のコモノマー前駆体、シクロデキストリン部分、治療剤または標的化リガンドを、1つ以上の別々の段階で互いに共有結合により連結し得る。上記スキームには、CDP上のの治療剤の結合に利用可能なすべての位置が占有されるわけではない実施形態が含まれる。例えば、いくつかの実施形態では、結合に利用可能な点がすべて反応するわけではなく、ポリマーへの治療剤の収率が100%未満である。したがって、ポリマーへの治療剤の付加量は異なり得る。標的化剤が含まれる場合、このことが標的化剤についても当てはまる。
【0878】
図9:スキームIIa:グラフトCDPのための一般的スキーム
コモノマーA前駆体、シクロデキストリン部分、治療剤および任意に標的化リガンドは、
図9で定義される通りである。さらに当業者は、重合を行うために、各種反応基、例えば、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン化物、アミンおよび活性化されたエテン、エチンまたは芳香族基から選択し得る。反応基のさらなる例に関しては、Advanced Organic Chemistry:Reactions,Mechanisms,and Structure,第5版,2000に開示されている。
【0879】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の治療剤部分を別の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0880】
図10:スキームIIb:直鎖状CDP調製のための一般的スキーム
複数の反応基を有するコモノマーA前駆体を選択することにより、ポリマー分岐を得ることができるということを、当業者は理解するであろう。
【0881】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の治療剤部分を別の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0882】
CDP−治療剤コンジュゲート合成の様々な方法の例を、下のスキームIII〜VIIIに示す。III〜VIIIの各スキームにおいて、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の治療剤部分を別の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0883】
スキームIII
【化420】
[この文献は図面を表示できません]
【0884】
スキームIV
【化421】
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上記スキームIVには、上記の1つ以上の位置にW−治療剤が存在しない実施形態が含まれる。これは、例えば、治療剤とポリマーをカップリングさせて100%未満の収率が得られる場合、および/または等量に満たない治療剤を反応に用いる場合に達成し得る。したがって、治療剤のポリマーの重量による付加量は異なり得る。
【0885】
スキームV
【化422】
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上記スキームVには、上記の1つ以上の位置にW−治療剤が存在しない実施形態が含まれる。これは、例えば、治療剤とポリマーをカップリングさせて100%未満の収率が得られる場合、および/または等量に満たない治療剤を反応に用いる場合に達成し得る。したがって、治療剤のポリマーの重量による付加量は異なり得る。
【0886】
スキームVI
【化423】
[この文献は図面を表示できません]
上記スキームVIには、上記の1つ以上の位置に治療剤が存在しない実施形態が含まれる。これは、例えば、治療剤とポリマーをカップリングさせて100%未満の収率が得られる場合、および/または等量に満たない治療剤を反応に用いる場合に達成し得る。したがって、治療剤のポリマーの重量による付加量は異なり得る。
【0887】
スキームVII
【化424】
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上記スキームVIIには、上記の1つ以上の位置にgly−治療剤が存在しない実施形態が含まれる。これは、例えば、治療剤とポリマーをカップリングさせて100%未満の収率が得られる場合、および/または等量に満たない治療剤を反応に用いる場合に達成し得る。したがって、治療剤のポリマーの重量による付加量は異なり得る。
【0888】
スキームVIII
【化425】
[この文献は図面を表示できません]
上記スキームVIIIには、上記の1つ以上の位置に治療剤が存在しない実施形態が含まれる。これは、例えば、治療剤とポリマーをカップリングさせて100%未満の収率が得られる場合、および/または等量に満たない治療剤を反応に用いる場合に達成し得る。したがって、治療剤のポリマーの重量による付加量は異なり得る。
【0889】
CDP−治療剤コンジュゲート合成の方法のさらなる例を、下のスキームIX〜XIVに示す。IX〜XIVの各スキームにおいて、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の治療剤部分を別の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0890】
スキームIX
【化426】
[この文献は図面を表示できません]
上記スキームIXには、上記の1つ以上の位置に治療剤が存在しない実施形態が含まれる。これは、例えば、治療剤とポリマーをカップリングさせて100%未満の収率が得られる場合、および/または等量に満たない治療剤を反応に用いる場合に達成し得る。したがって、治療剤のポリマーの重量による付加量は異なり得る。
【0891】
スキームX
【化427】
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【0892】
スキームXI
【化428】
[この文献は図面を表示できません]
上記スキームXIには、上記の1つ以上の位置にgly−治療剤が存在しない実施形態が含まれる。これは、例えば、治療剤とポリマーをカップリングさせて100%未満の収率が得られる場合、および/または等量に満たない治療剤を反応に用いる場合に達成し得る。したがって、治療剤のポリマーの重量による付加量は異なり得る。
【0893】
スキームXII
【化429】
[この文献は図面を表示できません]
上記スキームXIIには、上記の1つ以上の位置に治療剤が存在しない実施形態が含まれる。これは、例えば、治療剤とポリマーをカップリングさせて100%未満の収率が得られる場合、および/または等量に満たない治療剤を反応に用いる場合に達成し得る。したがって、治療剤のポリマーの重量による付加量は異なり得る。
【0894】
本発明はさらに、下のスキームXIII〜XIVに示すような、CD−ビスシステインモノマーとPEG−DISPAまたはPEG−BTCのようなジ−NHSエステルを用いて合成されるCDPおよびCDP−コンジュゲートを企図する。
【0895】
スキームXIII
【化430】
[この文献は図面を表示できません]
上記スキームXIIIには、上記の1つ以上の位置にgly−治療剤が存在しない実施形態が含まれる。これは、例えば、治療剤とポリマーをカップリングさせて100%未満の収率が得られる場合、および/または等量に満たない治療剤を反応に用いる場合に達成し得る。したがって、治療剤のポリマーの重量による付加量は異なり得る。
【0896】
スキームXIV
【化431】
[この文献は図面を表示できません]
スキームXIVには、上記の1つ以上の位置にgly−治療剤が存在しない実施形態が含まれる。これは、例えば、治療剤とポリマーをカップリングさせて100%未満の収率が得られる場合、および/または等量に満たない治療剤を反応に用いる場合に達成し得る。したがって、治療剤のポリマーの重量による付加量は異なり得る。
【0897】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分とシクロデキストリン部分を含まないコモノマー(コモノマー)とを含み、中にシクロデキストリン部分とコモノマーが交互に存在し、少なくとも4、5、6、7、8個などのシクロデキストリン部分と、少なくとも4、5、6、7、8個などのコモノマーとを含むCDPを準備し、治療剤をこのCDPと結合させることにより、CDP−治療剤コンジュゲートを作製し得る。
【0898】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の治療剤部分を別の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0899】
いくつかの実施形態では、リンカーを介して治療剤を結合させる。いくつかの実施形態では、生物学的条件下で切断されて治療剤を遊離する結合を介して、治療剤を水溶性直鎖状ポリマーと結合させる。いくつかの実施形態では、治療剤をシクロデキストリン部分またはコモノマーにおいて水溶性直鎖状ポリマーと結合させる。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分またはコモノマーに対する任意のリンカーを介して、治療剤を水溶性直鎖状ポリマーと結合させる。
【0900】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分は、治療剤が連結されるリンカーを含む。いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分は、治療剤が第二のリンカーを介して連結されるリンカーを含む。
【0901】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分前駆体を準備することと、コモノマー前駆体を準備することと、前記シクロデキストリン部分前駆体とコモノマー前駆体をコポリマー化して、シクロデキストリン部分とコモノマーとを含むCDPを作製することとを含む工程により、CDPを作製し得る。いくつかの実施形態では、CDPを治療剤とコンジュゲートして、CDP−治療剤コンジュゲートを得る。いくつかの実施形態では、この方法は、ちょうど2つの位置のそれぞれに1つの反応部位を有するように修飾されたシクロデキストリン部分前駆体を準備し、そのシクロデキストリン部分前駆体を、コモノマーとシクロデキストリン部分の間に共有結合を形成するための反応部位と反応部分との反応を促進する重合条件下で、その反応部位と共有結合を形成することができるちょうど2つの反応部分を有するコモノマー前駆体と反応させて、交互に存在するシクロデキストリン部分とコモノマーの単位を含むCDPを生成することを含む。
【0902】
いくつかの実施形態では、リンカーを介して治療剤をCDPと結合させる。いくつかの実施形態では、リンカーは生物学的条件下で切断される。
【0903】
いくつかの実施形態では、治療剤は、CDP−治療剤コンジュゲートの少なくとも約5重量%、10重量%、15重量%、20重量%、25重量%、30重量%または35重量%を占める。いくつかの実施形態では、CDP上の利用可能な位置の少なくとも約50%が治療剤および/またはリンカー治療剤と反応する(例えば、少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%)。
【0904】
いくつかの実施形態では、コモノマーが分子量3,400Daのポリエチレングリコールを含み、シクロデキストリン部分がベータ−シクロデキストリンを含み、CDP−治療剤コンジュゲート上の治療剤の理論最大付加量が19%であり、治療剤がCDP−治療剤コンジュゲートの17〜21重量%である。いくつかの実施形態では、CDP上の利用可能な位置の約80〜90%が治療剤および/またはリンカー治療剤と反応する。
【0905】
いくつかの実施形態では、コモノマー前駆体は、シクロデキストリン部分の反応ひいては連結が行われる少なくとも2つの官能基を含む化合物である。いくつかの実施形態では、各コモノマー前駆体の官能基は、同じであっても異なっていても、また末端にあっても内側にあってもよく、アミノ、酸、イミダゾール、ヒドロキシル、チオ、ハロゲン化アシル、−HC=CH−、−C≡C−基またはそれらの誘導体を含む。いくつかの実施形態では、2つの官能基は同じであり、コモノマー前駆体の末端に位置する。いくつかの実施形態では、コモノマーは、治療剤の反応ひいては連結が行われる少なくとも1つの官能基を有する1つ以上のペンダント基を含む。いくつかの実施形態では、各コモノマーペンダント基の官能基は、同じであっても異なっていても、また末端にあっても内側にあってもよく、アミノ、酸、イミダゾール、ヒドロキシル、チオール、ハロゲン化アシル、エチレン、エチン基またはそれらの誘導体を含む。いくつかの実施形態では、ペンダント基は、置換もしくは非置換の分岐状、環状もしくは直鎖状C1〜C10アルキル、または鎖もしくは環内に1つ以上のヘテロ原子を任意に含むアリールアルキルである。
【0906】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分は、アルファ、ベータまたはガンマシクロデキストリン部分を含む。
【0907】
いくつかの実施形態では、治療剤は水に難溶性である。
【0908】
いくつかの実施形態では、治療剤の溶解度は、生理的pHにおいて5mg/ml未満である。
【0909】
いくつかの実施形態では、治療剤は、logP>0.4、>0.6、>0.8、>1、>2、>3、>4または>5の疎水性化合物である。いくつかの実施形態では、治療剤は疎水性であり、第二の化合物を介して結合している。
【0910】
いくつかの実施形態では、対象へのCDP−治療剤コンジュゲートの投与により、少なくとも6時間にわたる治療剤の放出がもたらされる。いくつかの実施形態では、対象へのCDP−治療剤コンジュゲートの投与により、6時間〜1ヶ月にわたる治療剤の放出がもたらされる。いくつかの実施形態では、対象へのCDP−治療剤コンジュゲートの投与の際に、治療剤放出の速度は、酵素的切断ではなく主として加水分解の速度に依存する。
【0911】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲートは10,000〜500,000Daの分子量を有する。
【0912】
いくつかの実施形態では、シクロデキストリン部分は、ポリマーの少なくとも約2重量%、5重量%、10重量%、20重量%、30重量%、50重量%または80重量%を占める。
【0913】
いくつかの実施形態では、CDPは、アルキレン鎖、ポリ無水コハク酸、ポリ−L‐グルタミン酸、ポリ(エチレンイミン)、オリゴ糖およびアミノ酸鎖からなる群より選択されるコモノマーを含む。いくつかの実施形態では、コモノマーはポリエチレングリコール鎖を含む。いくつかの実施形態では、コモノマーはポリグリコール酸またはポリ乳酸鎖を含む。いくつかの実施形態では、コモノマーは、1つ以上のメチレン基が任意に基Yにより置き換わっている(ただし、どのYも互いに隣接していない)ヒドロカルビレン基を含み、各Yはそれぞれの出現について、独立して、置換もしくは非置換アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、または−O−、C(=X)(式中、XはNR
1、OまたはSである)、−OC(O)−、−C(=O)O、−NR
1−、−NR
1CO−、−C(O)NR
1−、−S(O)
n−(式中、nは0、1または2である)、−OC(O)−NR
1、−NR
1−C(O)−NR
1−、−NR
11−C(NR
1)−NR
1−および−B(OR
1)−から選択され;R
1はそれぞれの出現について、独立して、Hまたは低級アルキルを表す。
【0914】
いくつかの実施形態では、下式のCDP−ポリマーコンジュゲート:
【化432】
[この文献は図面を表示できません]
を、以下のように作製し得る:
下式のポリマー:
【化433】
[この文献は図面を表示できません]
を準備し、このポリマーを、複数のD部分(Dはそれぞれ独立して、存在しないかまたは治療剤である)とカップリングさせて:
【化434】
[この文献は図面を表示できません]
を得る。ここで、式中、コモノマーは2000〜5000Da(例えば、3000〜4000Da、例えば3200Da〜約3800Da、例えば約3400Da)の分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。
【0915】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の治療剤部分を別の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0916】
いくつかの実施形態では、下式のCDP−ポリマーコンジュゲート:
【化435】
[この文献は図面を表示できません]
を、以下のように作製し得る:
下式のポリマー:
【化436】
[この文献は図面を表示できません]
を準備し、このポリマーを、複数のD部分(Dはそれぞれ独立して、存在しないかまたは治療剤である)とカップリングさせて:
【化437】
[この文献は図面を表示できません]
を得、ここで式中、基
【化438】
[この文献は図面を表示できません]
は4000Da以下、例えば3200〜3800Da、例えば3400Daの分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。
【0917】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の治療剤部分を別の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0918】
上記反応スキームには、上記の1つ以上の位置にDが存在しない実施形態が含まれる。これは、例えば、治療剤とポリマーをカップリングさせて100%未満の収率が得られる場合(例えば、80〜90%)、および/または等量に満たない治療剤を反応に用いる場合に達成し得る。したがって、ポリマーの重量による治療剤の付加量は異なり得、例えば、治療剤の付加量は、少なくとも約3重量%、例えば、少なくとも約5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約15重量%または少なくとも約20重量%であり得る。
【0919】
いくつかの実施形態では、下式のCDP−ポリマーコンジュゲート:
【化439】
[この文献は図面を表示できません]
を、以下のように作製し得る:
下式のポリマー:
【化440】
[この文献は図面を表示できません]
を準備し、このポリマーを、複数のL−D部分(Lは存在しないか、またはリンカーであり、Dは治療剤である)とカップリングさせて:
【化441】
[この文献は図面を表示できません]
を得、ここで式中、基
【化442】
[この文献は図面を表示できません]
は4000Da以下、例えば3200〜3800Da、例えば3400Daの分子量を有し、nは少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20である。
【0920】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート中の1つ以上の治療剤部分を別の治療剤、例えば別の細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0921】
上記反応スキームには、上記の1つ以上の位置にL−Dが存在しない実施形態が含まれる。これは、例えば、治療剤−リンカーとポリマーをカップリングさせて100%未満の収率が得られる場合(例えば、80〜90%)、および/または等量に満たない治療剤−リンカーを反応に用いる場合に達成し得る。したがって、ポリマーの重量による治療剤の付加量は異なり得、例えば、治療剤の付加量は、少なくとも約3重量%、例えば、少なくとも約5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約15重量%または少なくとも約20重量%であり得る。
【0922】
いくつかの実施形態では、L−DのL部分の少なくとも一部が存在しない。いくつかの実施形態では、Lはそれぞれ独立して、アミノ酸またはその誘導体(例えば、グリシン)である。
【0923】
いくつかの実施形態では、ポリマーと複数のL−D部分とのカップリングにより、複数のアミド結合の形成が生じる。
【0924】
ある場合には、CDPは、異なるサブユニットおよび/またはその他のモノマー単位がポリマー鎖全体にランダムに分布しているランダムコポリマーである。したがって、X、YおよびZがポリマーサブユニットである式X
m−Y
n−Z
oが生じる場合、これらのサブユニットはポリマー主鎖全体にランダムに散在し得る。一部では、「ランダム」という用語は、2種類以上のモノマー単位を有するポリマー内のモノマー単位の特定の分布または組込みが、合成プロトコールにより直接、指定または制御されるのではなく、サブユニットの反応性、量のようなポリマー系本来の特性、および合成反応またはその他の製造、加工もしくは処置方法の他の特性から生じる状態を指すことが意図される。
【0925】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート(例えば、CDP−細胞毒性薬コンジュゲートまたはCDP−免疫調節剤コンジュゲート)中の1つ以上の治療剤(例えば、細胞毒性薬または免疫調節剤)を、別の治療剤、例えば、別の抗癌剤または抗炎症剤のような細胞毒性薬または免疫調節剤に置き換え得る。
【0926】
上記反応スキームには、上記の1つ以上の位置にL−Dが存在しない実施形態が含まれる。これは、例えば、治療剤(例えば、トポイソメラーゼ阻害剤)−リンカーとポリマーをカップリングさせて100%未満の収率が得られる場合、および/または等量に満たない治療剤(例えば、トポイソメラーゼ阻害剤)−リンカーを反応に用いる場合に達成し得る。したがって、治療剤(例えば、トポイソメラーゼ阻害剤)のポリマーの重量による付加量は異なり得、例えば、治療剤(例えば、トポイソメラーゼ阻害剤)の付加量は、少なくとも約3重量%、例えば、少なくとも約5重量%、少なくとも約8重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約11重量%、少なくとも約12重量%、少なくとも約13重量%、少なくとも約14重量%、少なくとも約15重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約35重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約45重量%または少なくとも約50重量%であり得る。
【0927】
いくつかの実施形態では、L−DのL部分の少なくとも一部が存在しない。いくつかの実施形態では、Lはそれぞれ独立して、アミノ酸またはその誘導体(例えば、グリシン)である。
【0928】
いくつかの実施形態では、ポリマーと複数のL−D部分とのカップリングにより、複数のアミド結合の形成が生じる。
【0929】
医薬組成物
別の態様では、本発明は、CDP−治療剤コンジュゲートまたは粒子と薬学的に許容される担体または補助剤とを含む組成物、例えば医薬組成物を提供する。また本明細書に記載の組成物は、複数のCDP−治療剤コンジュゲートも含み得る。また組成物は、本明細書に記載の複数の粒子も含み得る。
【0930】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、本明細書に記載の化合物、例えばCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物の薬学的に許容される塩を含み得る。本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩としては、薬学的に許容される無機および有機の酸および塩基に由来するものが挙げられる。適切な酸性塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、ギ酸、フマル酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、パルモアート(palmoate)、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびウンデカン酸塩が挙げられる。適切な塩基に由来する塩としては、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)、アンモニウムおよびN−(アルキル)
4+塩が挙げられる。また本発明は、本明細書に記載の化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も考慮する。水溶性または油溶性または分散性の生成物もこのような四級化により入手し得る。
【0931】
ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムのような湿潤剤、乳化剤および滑沢剤、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味料および賦香剤、保存剤、ならびに抗酸化剤も組成物中に存在し得る。
【0932】
薬学的に許容される抗酸化剤の例としては:(1)水溶性抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性抗酸化剤、例えば、パルミチン酸アスコルビン、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、プロピルガイラート(propyl gaIlate)、アルファ−トコフェロールなど;および(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などが挙げられる。
【0933】
組成物は、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を懸濁させるために使用する液体を含んでもよく、この液体は、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物と適合性があり、医薬組成物中での使用にも適する任意の液体溶液、例えば薬学的に許容される無毒性液体などであり得る。特に限定されないが、水、水性ショ糖シロップ、コーンシロップ、ソルビトール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびこれらの混合物からなる群より選択される懸濁液を含めた、適切な懸濁液。
【0934】
また本明細書に記載の組成物は、別の成分、例えば抗酸化剤、抗菌剤、緩衝剤、増量剤、キレート剤、不活性ガス、浸透圧剤および/または粘性剤なども含み得る。
【0935】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を凍結乾燥形態で提供し、対象への投与前に復元する。凍結乾燥CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物は、塩類溶液または生理食塩水のような希釈用溶液、例えば、pHが6〜9の間である塩化ナトリウム溶液、乳酸リンゲル注射液または市販の希釈剤、例えば血漿−LYTE A injection pH7.4(登録商標)(Baxter、Deerfield、IL)などで復元し得る。
【0936】
一実施形態では、凍結乾燥製剤は、凍結乾燥中の結晶形成および融合工程による損傷からCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を保護することにより生理的および化学的安定性を維持するために、リオプロテクタントまたは安定化剤を含む。リオプロテクタントまたは安定化剤は、ポリエチレングリコール(PEG)、PEG脂質コンジュゲート(例えば、PEG−セラミドまたはD−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸エステル)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリオキシエチレンエステル、ポロキソマー(poloxomer)、Tween、レシチン、糖類、オリゴ糖、多糖およびポリオール(例えば、トレハロース、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、スクロース、グルコースおよびデキストラン)、塩およびクラウンエーテルのうちの1つ以上であり得る。一実施形態では、リオプロテクタントはマンニトールである。
【0937】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、脱水アルコール、USPおよび非イオン性界面活性剤、例えばGAF Corporation(Mount Olive、N.J.)から入手可能な商標名Cremophor ELであるポリオキシエチレン化ヒマシ油界面活性剤などの等体積混合物で復元する。いくつかの実施形態では、凍結乾燥CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を注射用水で復元する。凍結乾燥生成物および復元用の溶媒は、適切に光保護されたバイアル、例えば、琥珀色またはその他の色のバイアル中に分けて包装し得る。復元された溶液中の界面活性剤の量を最小化するために、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物の濃度が約2mg/mL〜約4mg/mLである溶液を形成するのに十分な量だけ溶媒を加え得る。薬物が溶解すれば、得られた溶液を注射前に適切な非経口希釈剤でさらに希釈する。このような希釈剤は当業者に公知である。上記希釈剤は一般に、臨床施設で入手可能である。しかし、対象CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、投与のための最終濃度を調製するのに十分な非経口希釈剤を含有する第三のバイアルと共に包装することが、本発明の範囲内にある。典型的な希釈剤は乳酸リンゲル注射液である。
【0938】
再構成したCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物の最終的な希釈は、同様に有用な他の調製物、例えば、5%ブドウ糖注射液、乳酸リンゲルおよびブドウ糖注射液(D5W)、滅菌注射用水などで行い得る。しかし、乳酸リンゲル注射液はpHの範囲がpH6.0〜7.5と狭いため、最も典型的なものである。乳酸リンゲル注射液は100mL当たり、塩化ナトリウムUSPを0.6g、乳酸ナトリウムを0.31g、塩化カリウムUSPを0.03gおよび塩化カルシウム2H
2O USPを0.02g含有する。モル浸透圧濃度は、等張に極めて近い275mOsmol/Lである。
【0939】
組成物は単位投与剤形で提供することが好都合であり、薬学分野で公知の任意の方法により調製し得る。剤形は例えば、バッグ、例えば注入用のバッグであり得る。単一剤形を作製するために担体物質と組み合わせ得る有効成分の量は、治療される宿主、特定の投与様式によって異なる。単一剤形を作製するために担体物質と組み合わせ得る有効成分の量は一般に、治療効果をもたらす化合物の量である。この量は一般に、100パーセントのうち有効成分が約1パーセント〜約99パーセント、好ましくは約5パーセント〜約70パーセント、最も好ましくは約10〜約30パーセントの範囲である。
【0940】
投与経路
本明細書に記載の医薬組成物は、経口的に、非経口的に(例えば、静脈内、皮下、皮内、intrDascular、関節内、動脈内、腹腔内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内または頭蓋内注射により)、局所的に、粘膜的に(例えば、直腸内または経膣的に)、経鼻的に、頬側的に、眼科的に、吸入スプレーにより(例えば、噴霧、噴射または乾燥粉末装置により送達する)または埋め込みリザーバにより投与し得る。通常、組成物は注射可能または注入可能な溶液の形態である。好適な投与様式は、例えば、静脈内、皮下、腹腔内、intrDascularである。
【0941】
非経口投与に適した医薬組成物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を目的受容者の血液と等張にする溶質、または懸濁化もしくは増粘剤を含有し得る、1つ以上の薬学的に許容される滅菌された等張の水性もしくは非水性の液剤、分散液剤、懸濁剤もしくは乳剤、または使用直前に滅菌注射用液剤もしくは分散液剤中に再構成し得る滅菌粉末剤と組み合わせた、1つ以上のCDP−治療剤コンジュゲート(1つまたは複数)、粒子(1つまたは複数)または組成物(1つまたは複数)を含む。
【0942】
医薬組成物に使用し得る適切な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)およびそれらの適切な混合物、オリーブ油のような植物油、ならびにオレイン酸エチルのような注射用有機エステルが挙げられる。例えば、レシチンのようなコーティング物質の使用により、分散液剤の場合は、必要とされる粒子サイズの維持により、また界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持し得る。
【0943】
また上記組成物は、補助剤、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤なども含有し得る。各種の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、ソルビン酸フェノールなどを含むことにより、微生物の活動を確実に防ぎ得る。組成物中に糖、塩化ナトリウムなどのような等張剤を含むことが望ましい場合もある。さらに、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンのような吸収を遅延させる薬剤を含むことにより、注射用医薬形態の持続的吸収をもたらし得る。
【0944】
いくつかの場合には、薬物の作用を延長するために、皮下またはintrDascular注射からの薬剤の吸収を遅らせることが望ましい。これは、水溶解度の低い結晶性または非晶質物質の液体懸濁液の使用により行い得る。そしてCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物の吸収速度は、その溶解速度によって決まり、さらに溶解速度は結晶サイズおよび結晶形態によって決まり得る。あるいは、非経口投与する薬物形態の吸収遅延は、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を油性溶媒中に溶解または懸濁させることにより行う。
【0945】
経口投与に適した医薬組成物は、それぞれ有効成分として所定量の薬剤を含有する、カプセル剤、カシェ剤、丸剤、錠剤、ガム剤、トローチ剤(風味付きの基剤、通常はスクロースおよびアラビアゴムもしくはトラガカントを用いる)、粉末剤、顆粒剤の形態で、あるいは溶液または水性もしくは非水性液体中の懸濁液として、あるいは水中油型または油中水型乳濁液として、あるいはエリキシル剤またはシロップ剤として、あるいは香錠剤(不活性な基剤、例えばゼラチンとグリセリン、またはスクロースとアラビアゴムを用いる)ならびに/あるいは口腔洗浄剤などとして投与し得る。また化合物は、巨丸剤、舐剤またはペースト剤としても投与し得る。
【0946】
錠剤は、任意に1つ以上の補助成分と共に圧縮または成形することにより作製し得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて調製し得る。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿潤させた粉末のペプチドまたはペプチド模倣薬の混合物を適切な機械で成形することにより作製し得る。
【0947】
錠剤およびその他の固形剤形、例えば糖衣錠剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤を、腸溶性コーティングおよびその他の医薬製剤技術分野で公知のコーティングのようなコーティングおよび殻で任意に刻み目を付けるか、または調製し得る。また、中の有効成分の緩徐なまたは制御された放出をもたらすために、例えば、所望の放出プロファイルを得るための様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはマイクロスフィアを使用してこれらを製剤化し得る。これらを、例えば、細菌保持フィルターでのろ過により、または使用直前に滅菌水もしくはその他の滅菌注射溶媒に溶解させ得る滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことにより滅菌し得る。また上記組成物は、任意に乳白剤も含有してよく、また有効成分(1つまたは複数)のみを、またはそれを優先的に、消化管の特定の部分で任意に遅延させて放出する組成物であり得る。使用し得る包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびロウが挙げられる。また有効成分は、必要に応じて1つ以上の上記添加剤を含むマクロカプセル化形態であり得る。
【0948】
経口投与用の液体剤形としては、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルション剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。液体剤形は、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物に加えて、当該技術分野において一般的に使用される不活性希釈剤、例えば水またはその他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタン脂肪酸エステルなど、ならびにこれらの混合物を含有し得る。
【0949】
また経口組成物は、不活性希釈剤の他に、補助剤、例えば湿潤剤、乳化および懸濁化剤、甘味剤,香味剤、着色剤、賦香剤および保存剤なども含み得る。
【0950】
懸濁剤は、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物に加えて、懸濁化剤を、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにこれらの混合物として含有し得る。
【0951】
局所投与に適した医薬組成物は、所望の治療が、局所適用により容易に到達できる部位または器官を含む場合に有用である。皮膚への局所適用には、担体中に懸濁または溶解した活性成分を含有する適切な軟膏で医薬組成物を製剤化するべきである。本明細書に記載の粒子の局所投与のための担体としては、鉱油、液体石油、白色石油、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン化合物、乳化ロウおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。あるいは、医薬組成物を、適切な乳化剤で担体中に懸濁または溶解させた活性な粒子を含有する適切なローションまたはクリームで製剤化し得る。適切な担体としては、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられるが、これらに限定されない。また本明細書に記載の医薬組成物は、直腸坐剤製剤により、または適切な浣腸製剤で下部腸管へ局所的に適用し得る。局所経皮パッチも本明細書に含まれる。
【0952】
本明細書に記載の医薬組成物は、経鼻エアロゾルまたは吸入により投与し得る。このような組成物は、医薬製剤分野で公知の技術により調製し、またベンジルアルコールもしくはその他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを高める吸収促進剤、フッ化炭素および/または当該技術分野で公知のその他の可溶化もしくは分散剤を用いて、生理食塩水中の液剤として調製し得る。
【0953】
また本明細書に記載の医薬組成物は、直腸内または膣内投与用の坐剤形態でも投与し得る。坐剤は、本明細書に記載の1つ以上のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、室温では固体、体温では液体である1つ以上の適切な非刺激性添加剤と混合することにより調製し得る。したがって、組成物は直腸または膣腔内で溶解して、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を放出する。このような物質としては、例えば、カカオバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックスまたはサリチル酸が挙げられる。また膣内投与に適した本発明の組成物は、適切であることが当該技術分野で公知の担体を含有する膣坐剤、タンポン剤、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、泡状剤またはスプレー製剤も含み得る。
【0954】
眼科製剤、眼軟膏剤、粉末剤、液剤なども本発明の範囲内にあることが企図される。
【0955】
用量および用法
CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物は、当業者に公知の従来の方法により薬学的に許容される剤形に製剤化し得る。
【0956】
本発明の医薬組成物中の有効成分の実際の投与量レベルを、対象に害を与えずに、特定の対象、組成物および投与様式に関する所望の治療応答を得るのに効果的な有効成分量が得られるように変化させ得る。
【0957】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、治療剤の本明細書に記載の用量で対象に投与する。投与は、一定間隔、例えば毎日、1週間ごとまたは2、3、4、5もしくは6週間ごとであり得る。投与は、約10分〜約6時間、例えば約30分〜約2時間、約45分〜90分、例えば約30分、45分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間以上にわたるものであり得る。CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物は、例えば静脈内または腹腔内投与により投与し得る。
【0958】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、例えば、15分、10分、5分以下にわたるボーラス注入または静脈内プッシュで投与する。一実施形態では、所望の用量の薬剤が投与されるように、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を投与する。好ましくは、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物の用量は、本明細書に記載の用量である。
【0959】
一実施形態では、対象は、1、2、3回、10回までの、もしくはそれを超える治療、または疾患もしくは疾患症状が治癒する、修復される、軽減される、緩和される、変化する、矯正される、改善される、和らげられる、向上するまたは影響を受けるまでの治療を受ける。例えば、対象は、疾患もしくは疾患症状が治癒する、修復される、軽減される、緩和される、変化する、矯正される、改善される、和らげられる、向上するまたは影響を受けるまで、1、2、3または4週間に1回、注入を受ける。好ましくは、投与スケジュールは本明細書に記載の投与スケジュールである。
【0960】
CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物は、例えば、単独で、または本明細書に記載の1つもしくは複数の追加もしくは第二の薬剤と組み合わせて、一次治療として投与し得る。CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物は、例えば、単独で、または本明細書に記載の1つもしくは複数の追加もしくは第二の薬剤と組み合わせて、二次治療として投与し得る。
【0961】
キット
本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物は、キットで提供し得る。キットは、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物、ならびに任意に、容器、薬学的に許容される担体および/または情報資料を含む。情報資料は、本明細書に記載の方法および/または本明細書に記載の方法のためのCDP−治療剤コンジュゲート、粒子もしくは組成物の使用に関する説明、指示、販売もしくはその他の資料であり得る。
【0962】
キットの情報資料はその形態が限定されない。一実施形態では、情報資料は、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子もしくは組成物の製造、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子もしくは組成物の物理特性、濃度、有効期限、バッチに関する情報または製造地情報などを含み得る。一実施形態では、情報資料は、例えば、本明細書に記載の投与経路による、ならびに/あるいは本明細書に記載の用量および/または投与スケジュールでのCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物の投与方法に関するものである。
【0963】
一実施形態では、情報資料は、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、本明細書に記載の方法を実施するのに適した方法で、例えば、適切な用量、剤形または投与様式(例えば、本明細書に記載の用量、剤形または投与様式)で投与するための指示を含み得る。別の実施形態では、情報資料は、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、適切な対象、例えばヒト、例えば本明細書に記載の疾患を有するかまたはその危険性のあるヒトに投与するための指示を含み得る。別の実施形態では、情報資料は、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を薬学的に許容される組成物に再構成するための指示を含み得る。
【0964】
一実施形態では、キットは、例えば対象の治療のためなどにCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を使用するための指示を含み得る。指示は、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、特定の対象でまたは特定の第二の治療剤と組み合わせて使用するために再構成または希釈するための方法を含み得る。また指示は、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、静脈内注入のような特定の投与手段で使用するために再構成または希釈するための方法も含み得る。
【0965】
別の実施形態では、キットは、特定の適応症、例えば特定の自己免疫疾患などを有する対象を治療するための指示を含む。例えば、指示は、本明細書に記載の自己免疫疾患を本明細書に記載の投与スケジュールで治療するためのものであり得る。
【0966】
キットの情報資料はその形態が限定されない。多くの場合、情報資料、例えば指示は、印刷物、例えば印刷された文章、図および/または写真、例えばラベルまたは印刷されたシートで提供される。しかし、情報資料は、点字、コンピュータ可読資料、ビデオ録画したものまたは録音のような他の形式でも提供され得る。別の実施形態では、キットの情報資料は、キットの使用者が、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子もしくは組成物および/または本明細書に記載の方法でのその使用に関する実質的な情報を入手することができる連絡先、例えば、実在住所、電子メールアドレス、ウェブサイトまたは電話番号である。また情報資料は、各形式の任意の組合せでも提供され得る。
【0967】
キットの組成物は、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物に加えて、他の成分、例えば界面活性剤、リオプロテクタントもしくは安定化剤、抗酸化剤、抗菌剤、増量剤、キレート剤、不活性ガス、浸透圧剤および/または粘性剤、溶媒もしくは緩衝剤、安定化剤、保存剤、着香剤(例えば、抗苦味剤または甘味料)、香料、例えばキット中の1つ以上の成分に色合いをつけるもしくはそれを着色するための色素もしくは着色剤、または他の化粧品成分、薬学的に許容される担体および/または本明細書に記載の状態もしくは疾患を治療するための第二の薬剤などを含み得る。あるいは、他の成分を、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物とは異なる組成物または容器に入れてキット中に含み得る。このような実施形態では、キットは、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子もしくは組成物と他の成分を混合するための、または本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子もしくは組成物を他の成分と一緒に使用するための指示を含み得る。例えば、キットは、例えばループスまたは関節リウマチの治療のための、本明細書に記載のいずれかの第二の治療剤を含み得る。一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物と第二の治療剤は別々の容器内にあり、また別の実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物と第二の治療剤は同じ容器に入っている。
【0968】
いくつかの実施形態では、キットの成分を、例えば、ゴムまたはシリコーン栓(例えば、ポリブタジエンまたはポリイソプレン栓)を有する密閉バイアル内で保管する。いくつかの実施形態では、キットの成分を不活性条件下で(例えば、窒素またはアルゴンのような別の不活性ガスの下で)保管する。いくつかの実施形態では、キットの成分を無水条件下で(例えば、乾燥剤と共に)保管する。いくつかの実施形態では、キットの成分を、琥珀色バイアルのような遮光容器内で保管する。
【0969】
本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物は、任意の形態、例えば、液体、凍結、乾燥または凍結乾燥形態で提供し得る。コンジュゲート、粒子または組成物を含む組成物、例えば、本明細書に記載のコンジュゲートを含む1つまたは複数の粒子を含む組成物は、実質的に純粋および/また無菌であることが好ましい。本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を液体溶液で提供する場合、液体溶液は、好ましくは水溶液であり、滅菌水溶液が好ましい。一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を凍結乾燥形態で提供し、任意に、凍結乾燥薬剤を復元するために希釈用溶液を提供する。希釈剤としては、例えば、塩溶液または生理食塩溶液、例えば、pHが6〜9の間である塩化ナトリウム溶液、乳酸リンゲル注射液、D5Wまたは血漿−LYTE A Injection pH7.4(登録商標)(Baxter、Deerfield、IL)を挙げ得る。
【0970】
キットは、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を含有する組成物のための1つ以上の容器を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、組成物および情報資料のための別々の容器、仕切りまたは区画を含む。例えば、組成物をボトル、バイアル、IV混合バッグ、IV注入セット、ピギーバックセットまたはシリンジ内に収納し、情報資料をプラスチックのスリーブまたはポケット内に収納し得る。他の実施形態では、キットの別々の構成要素を、単一の分割されていない容器内に収納する。例えば、ラベル形態の情報資料を添付したボトル、バイアルまたはシリンジに組成物を収納する。いくつかの実施形態では、キットは、それぞれが本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物の1つ以上の単位投与剤形(例えば、本明細書に記載の剤形)を収納している複数の(例えば、一組の)個々の容器を含む。例えば、キットは、それぞれが1単位用量の本明細書に記載の粒子を収納している複数のシリンジ、アンプル、ホイル小包またはブリスターパックを含む。キットの容器は、気密性、防水性(例えば、湿度または蒸発量の変化を通さない)および/または遮光性であり得る。
【0971】
キットは任意に、組成物の投与に適した装置、例えば、シリンジ、吸入器、ピペット、鉗子、測定スプーン、ドロッパ(例えば、点眼器)、スワブ(例えば、綿スワブまたは木製スワブ)または任意のこのような送達装置を含む。一実施形態では、装置は、例えば外科的挿入用にパッケージされている、医療用埋め込み装置である。
【0972】
併用療法
CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物は、他の既知の治療法と組み合わせて使用し得る。本明細書で使用される、「組み合わせて」投与するとは、対象の罹患期間中に2つ(以上)の異なる治療を対象に送達すること、例えば、対象が疾患を有すると診断された後、および疾患が治癒されるもしくは除去されるか、または他の理由で治療が中止される前に、2つ(以上)の治療を送達することを意味する。いくつかの実施形態では、投与において重複が生じるように、1つの治療の送達が、第二の治療の送達が始まっても行われている。これは、本明細書では「同時(「simultaneous」または「concurrent」)送達」と呼ぶことがある。他の実施形態では、1つの治療の送達が、他方の治療の送達が始まる前に終わる。いずれの場合も、いくつかの実施形態では、併用投与により治療がより効果的となる。例えば、第二の治療が第一の治療の非存在下で行われた場合に比べて、第二の治療がより効果的である、例えば、より少ない第二の治療で同等の効果が見られる、もしくは第二の治療が症状をより低減する、または第一の治療で同様の状況が見られる。いくつかの実施形態では、疾患に関連した症状またはその他のパラメーターの減少が、他方の非存在下で送達された1つの治療で観察されるものよりも大きい。2つの治療の効果は、部分的に相加的、完全に相加的であるか、または相加的効果を上回る。送達は、第二の治療が送達されるとき、送達された第一の治療の効果が依然として検出可能なものであり得る。
【0973】
CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物および少なくとも1つの追加の治療剤を同じもしくは別々の組成物で同時に、または順次投与し得る。順次投与では、最初にCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を投与し、二番目に追加の薬剤を投与するか、または投与順序を逆にし得る。
【0974】
適応症
炎症および自己免疫疾患
本開示のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子、組成物および本明細書に記載の方法を用いて、免疫応答に関連した疾患または障害、例えば炎症性疾患または自己免疫疾患を治療または予防し得る。例えば、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、炎症の発症前、炎症の開始時または開始後に投与し得る。
【0975】
予防に使用する場合、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を任意の炎症性の応答または症状の前に投与することが好ましい。CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物の投与により、炎症性の応答または症状を予防または軽減し得る。例示的な炎症性状態としては、例えば、変性関節疾患、脊椎関節症、骨粗鬆症、月経痙攣、嚢胞性線維症、過敏性腸症候群、胃炎、食道炎、膵炎、腹膜炎、アルツハイマー病、ショック、結膜炎、膵炎(急性または慢性)、多臓器損傷症候群(例えば、敗血症または外傷に続発する)、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、再灌流傷害(例えば、心肺バイパス術または腎臓透析によるもの)、急性糸球体腎炎、血管炎、熱傷(すなわち、日焼け)または壊死性腸炎が挙げられる。例示的な皮膚の炎症状態としては、例えば、湿疹、アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、蕁麻疹、および急性炎症要素を有する皮膚疾患が挙げられる。
【0976】
別の実施形態では、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子、組成物または方法を用いて、喘息、気管支炎、アレルギー性鼻炎、酸素中毒、肺気腫、慢性気管支炎および急性呼吸窮迫症候群を含めたアレルギーおよび呼吸器状態を治療または予防し得る。CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を用いて、B型肝炎およびC型肝炎を含めた慢性肝炎感染症を治療し得る。
【0977】
さらに、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子、組成物または方法を用いて、自己免疫疾患および/または自己免疫疾患に関連した炎症、例えば、器官−組織自己免疫疾患(例えば、レイノー症候群)、アジソン病、強直性脊椎炎、関節炎(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、痛風)、多腺性自己免疫疾患(多腺性自己免疫症候群としても知られる)、シャガス病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、皮膚筋炎、1型糖尿病、子宮内膜症、エンドトキシンショック、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群(GBS)、橋本病、化膿性汗腺炎、川崎病、IgA腎症、特発性血小板減少性紫斑病、炎症性腸疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、コラーゲン大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置大腸炎、ベーチェット症候群、感染性大腸炎、不確定大腸炎、間質性膀胱炎)、ループス(例えば、全身性エリテマトーデス、円板状ループス、薬剤誘発性ループス、新生児ループス)、混合性結合組織病、モルフェア、多発性硬化症、重症筋無力症、ナルコレプシー、神経性筋強直症、尋常性天疱瘡、悪性貧血、乾癬、乾癬性関節炎、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、肺線維症、再発性多発性軟骨炎、統合失調症、強皮症、敗血症、全身性エリテマトーデス、シェーグレン症候群、全身硬直症候群、側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎としても知られる)、自己免疫性甲状腺炎、移植拒絶反応、ブドウ膜炎、血管炎、白斑またはウェゲナー肉芽腫症などを治療し得る。
【0978】
一実施形態では、自己免疫疾患は、関節炎、例えば関節リウマチ、変形性関節症、痛風;ループス、例えば全身性エリテマトーデス、円板状ループス、薬剤誘発性ループス、新生児ループス;炎症性腸疾患、例えばクローン病、潰瘍性大腸炎、コラーゲン大腸炎、リンパ球性大腸炎、虚血性大腸炎、空置大腸炎、ベーチェット症候群、感染性大腸炎、不確定大腸炎、乾癬または多発性硬化症である。
【0979】
一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子および組成物を、ループスに対する活性に関して、例えばループスの動物モデルで試験し得る。このようなモデルの例としては、Withingtonら(2002)Autoimmunity 35(3):175−181に記載されている鱗状皮膚(fsn)変異マウスモデルおよびFrese−Schaperら(2010)The Journal of immunology 184:2175−2182に記載されているNew Zealand Black×New Zealand Whiteマウスモデルが挙げられる。上記参考文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0980】
炎症および自己免疫の併用療法
特定の実施形態では、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、単独で、または炎症の治療または予防に有効な他の化合物と組合せて投与し得る。例示的な抗炎症剤としては、例えば、ステロイド剤(例えば、コルチゾール、コルチゾン、フルドロコルチゾン、プレドニゾン、6α−メチルプレドニソン、トリアムシノロン、ベタメタゾンまたはデキサメタゾン)、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDS)(例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、トルメチン、イブプロフェン、メフェナム酸、ピロキシカム、ナブメトン、ロフェコキシブ、セレコキシブ、エトドラクまたはニメスリド)が挙げられる。別の実施形態では、他の治療剤は、抗生物質(例えば、バンコマイシン、ペニシリン、アモキシシリン、アンピシリン、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフィキシム、リファンピンメトロニダゾール(rifampinmetronidazole)、ドキシサイクリンまたはストレプトマイシン)である。別の実施形態では、他の治療剤は、PDE4阻害剤(例えば、ロフルミラストまたはロリプラム)である。別の実施形態では、他の治療剤は、抗ヒスタミン剤(例えば、シクリジン、ヒドロキシジン、プロメタジンまたはジフェンヒドラミンである)。別の実施形態では、他の治療剤は、抗マラリア剤(例えば、アルテミシニン、アルテメーテル、アルツナート(artsunate)、リン酸クロロキン、塩酸メフロキン、ドキシサイクリン水和物、塩酸プログアニル、アトバコンまたはハロファントリン)である。一実施形態では、他の治療剤はドロトレコギンアルファである。
【0981】
抗炎症剤のさらなる例としては、例えば、アセクロフェナク、アセメタシン、e−アセトアミドカプロン酸、アセトアミノフェン、アセトアミノサロール、アセトアニリド、アセチルサリチル酸、S−アデノシルメチオニン、アルクロフェナク、アルクロメタゾン、アルフェンタニル、アルゲストン、アリルプロジン、アルミノプロフェン、アロキシプリン、アルファプロジン、ビス(アセチルサリチル酸)アルミニウム、アムシノニド、アンフェナク、アミノクロルテノキサジン、3−アミノ−4−ヒドロキシ酪酸、2−アミノ−4−ピコリン、アミノプロピロン、アミノピリン、アミキセトリン、サリチル酸アンモニウム、アンピロキシカム、アムトルメチングアシル、アニレリジン、アンチピリン、アントラフェニン、アパゾン、ベクロメタゾン、ベンダザック、ベノリラート、ベノキサプロフェン、ベンズピペリロン、ベンジダミン、ベンジルモルフィン、ベルモプロフェン、ベタメタゾン、ベタメタゾン−17−バレラート、ベジトラミド、α−ビサボロール、ブロムフェナク、p−ブロモアセトアニリド、5−ブロモサリチル酸アセタート、ブロモサリゲニン、ブセチン、ブクロキシ酸、ブコローム、ブデソニド、ブフェキサマク、ブマジゾン、ブプレノルフィン、ブタセチン、ブチブフェン、ブトルファノール、カルバマゼピン、カルビフェン、カイプロフェン(caiprofen)、カルサラム、クロロブタノール、クロロプレドニソン、クロルテノキサジン、サリチル酸コリン、シンコフェン、シンメタシン、シラマドール、クリダナク、クロベタゾール、クロコルトロン、クロメタシン、クロニタゼン、クロニキシン、クロピラク、クロプレドノール、クローブ、コデイン、臭化メチルコデイン、リン酸コデイン、硫酸コデイン、コルチゾン、コルチバゾール、クロプロパミド、クロテタミドおよびシクラゾシンが挙げられる。
【0982】
抗炎症剤のさらなる例としては、デフラザコート、デヒドロテストステロン、デソモルフィン、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメタゾン、デキサメタゾン−21−イソニコチナート、デキソキサドロール、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、デオキシコルチコステロン、デゾシン、ジアムプロミド、ジアモルホン(diamorphone)、ジクロフェナク、ジフェナミゾール、ジフェンピラミド、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルニサル、ジフルプレドナート、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデイノンエノールアセタート、ジヒドロモルヒネ、アセチルサリチル酸ジヒドロキシアルミニウム、ジメノキサドール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチラート、ジピパノン、ジプロセチル(diprocetyl)、ジピロン、ジタゾール、ドロキシカム、エモルファゾン、エンフェナム酸、エノキソロン、エピリゾール、エプタゾシン、エテルサラート、エテンザミド、エトヘプタジン、エトキサゼン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルヒネ、エトドラク、エトフェナマート、エトニタゼン、オイゲノール、フェルビナク、フェンブフェン、フェンクロジン酸、フェンドサール、フェノプロフェン、フェンタニル、フェンチアザク、フェプラジノール、フェプラゾン、フロクタフェニン、フルアザコート、フルクロロニド、フルフェナム酸、フルメタゾン、フルニソリド、フルニキシン、フルノキサプロフェン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルオコルチンブチル、フルオコイトロン(fluocoitolone)、フルオレソン、フルオロメトロン、フルペロロン、フルピルチン、フルプレドニデン、フルプレドニソロン、フルプロクアゾン、フルランドレノリド、フルルビプロフェン、フルチカゾン、ホルモコルタールおよびホスホサールが挙げられる。
【0983】
抗炎症剤のさらなる例としては、ゲンチシン、グラフェニン、グルカメタシン、サリチル酸グリコール、グアイアズレン、ハルシノニド、ハロベタゾール、ハロメタゾン、ハロプレドノン(haloprednone)、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロコルタマート、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、コハク酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンヘミスクシナート、ヒドロコルチゾン21−リシナート、シピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロモルホン、ヒドロキシペチジン、イブフェナク、イブプロフェン、イブプロキサム、サリチル酸イミダゾール、インドメタシン、インドプロフェン、イソフェゾラク、イソフルプレドン、酢酸イソフルプレドン、イソラドール、イソメサドン、イソニキシン、イソキセパック、イソキシカム、ケトベミドン、ケトプロフェン、ケトロラック、p−ラクトフェネチド、レフェタミン、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、ロナゾラク、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、アセチルサリチル酸リジン、マジプレドン、メクロフェナム酸、メドリゾン、メフェナム酸、メロキシカム、メペリジン、メプレドニゾン、メプタジノール、メサラミン、メタゾシン、メサドン、メトトリメプラジン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、メチルプレドニゾロンスレプトナート(methylprednisolone suleptnate)、メチアジン酸、メトホリン、メトポン、モフェブタゾン、モフェゾラク、モメタゾン、モラゾン、モルヒネ、塩酸モルヒネ、硫酸モルヒネ、サリチル酸モルホリンおよびミロフィンが挙げられる。
【0984】
抗炎症剤のさらなる例としては、ナブメトン、ナルブフィン、ナロルフィン、サリチル酸1−ナフチル、ナプロキセン、ナルセイン、ネホパム、ニコモルフィン、ニフェナゾン、ニフルム酸、ニメスリド、5’−ニトロ−2’−プロポキシアセトアニリド、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ノルモルフィン、ノルピパノン、オルサラジン、アヘン、オキサセプロール、オキサメタシン、オキサプロジン、オキシコドン、オキシモルフォン、オキシフェンブタゾン、パパベレタム、パラメタゾン、パラニリン、パルサルミド、ペンタゾシン、ペリソキサール、フェナセチン、フェナドキソン、フェナゾシン、塩酸フェナゾピリジン、フェノコール、フェノペリジン、フェノピラゾン、フェノモルファン、アセチルサリチル酸フェニル、フェニルブタゾン、サリチル酸フェニル、フェニラミドール、ピケトプロフェン、ピミノジン、ピペブゾン、ピペリロン、ピラゾラク、ピリトラミド、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン、プレドニカルバート、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニバール、プレドニリデン、プログルメタシン、プロヘプタジン、プロメドール、プロパセタモール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、プロピフェナゾン、プロカゾン、プロチジン酸、プロキサゾール、ラミフェナゾン、レミフェンタニル、メチル硫酸リマゾリウム、サラセタミド、サリシン、サリチルアミド、サリチルアミドo−酢酸、サリチル酸、サリチル硫酸、サルサラート、サルベリン、シメトリド、スフェンタニル、スルファサラジン、スリンダク、スーパーオキシドジスムターゼ、スプロフェン、スキシブゾン、タルニフルマート、テニダプ、テノキシカム、テロフェナマート、テトランドリン、チアゾリノブタゾン、チアプロフェン酸、チアラミド、チリジン、チノリジン、チキソコルトール、トルフェナム酸、トルメチン、トラマドール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トロペシン、ビミノール、キセンブシン、キシモプロフェン、ザルトプロフェンおよびゾメピラクが挙げられる。
【0985】
一実施形態では、炎症を治療または予防するために、本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を選択的COX‐2阻害剤と共に投与し得る。例示的な選択的COX‐2阻害剤としては、例えば、デラコキシブ、パレコキシブ、セレコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブおよびルミラコキシブが挙げられる。
【0986】
癌
本開示のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子および組成物は、増殖性疾患の治療、例えば腫瘍および転移、例えば本明細書に記載の癌の腫瘍または転移の治療において有用である。
【0987】
本明細書に記載の方法を用いて、固形腫瘍、軟部組織腫瘍または液性腫瘍を治療し得る。例示的な固形腫瘍としては、各種器官系の悪性腫瘍(例えば、肉腫および癌腫(例えば、腺癌または扁平上皮癌))、例えば脳、肺、乳房、リンパ系、胃腸管(例えば、結腸)および尿生殖器(例えば、腎臓、尿路上皮または精巣腫瘍)管、咽頭、前立腺および卵巣などの悪性腫瘍が挙げられる。例示的な腺癌としては、結腸直腸癌、腎細胞癌、肝臓癌、肺非小細胞癌および小腸癌が挙げられる。また本開示の方法は、軟部組織腫瘍、例えば腱、筋肉または脂肪などの軟部組織腫瘍、および液性腫瘍の評価または治療においても有用である。
【0988】
本明細書に記載の方法は、任意の癌、例えば、米国国立癌研究所により記載されている癌に使用し得る。癌は、癌腫、肉腫、骨髄腫、白血病、リンパ腫または混合型であり得る。米国国立癌研究所により記載されている例示的な癌としては、以下のものが挙げられる:
消化器/胃腸癌、例えば、肛門癌;胆管癌;肝外胆管癌;虫垂癌;カルチノイド腫瘍、消化管癌;結腸癌;小児結腸直腸癌を含めた結腸直腸癌;小児食道癌を含めた食道癌;胆嚢癌;小児胃(gastric(stomach))癌を含めた胃(gastric(stomach))癌;成人(原発性)肝細胞(肝臓)癌および小児(原発性)肝細胞(肝臓)癌を含めた肝細胞(肝臓)癌;小児膵臓癌を含めた膵臓癌;肉腫、横紋筋肉腫;島細胞膵臓癌;直腸癌;および小腸癌など;
内分泌癌、例えば、島細胞癌(内分泌膵臓);小児副腎皮質癌を含めた副腎皮質癌;胃腸管カルチノイド腫瘍;副甲状腺癌;褐色細胞腫;下垂体腫瘍;小児甲状腺癌を含めた甲状腺癌;小児多発性内分泌腫瘍症候群;および小児カルチノイド腫瘍など;
眼癌、例えば、眼球内黒色腫;および網膜芽細胞腫など;
筋骨格癌、例えば、ユーイング肉腫ファミリー腫瘍;骨肉腫/骨悪性線維性組織球腫;小児横紋筋肉腫;成人および小児軟部組織肉腫を含めた軟部組織肉腫;腱鞘明細胞肉腫;および子宮肉腫など;
乳癌、例えば、小児および男性乳癌および妊娠を含めた乳癌など;
神経癌、例えば、小児脳幹神経膠腫;脳腫瘍;小児小脳星状細胞腫;小児大脳星状細胞腫/悪性神経膠腫;小児上衣腫;小児髄芽腫;小児松果体およびテント上原始神経外胚葉性腫瘍;小児視覚路および視床下部神経膠腫;その他の小児脳癌;副腎皮質癌;中枢神経系リンパ腫、原発性;小児小脳星状細胞腫;神経芽腫;頭蓋咽頭腫;脊髄腫瘍;中枢神経系非定型奇形様/ラブドイド腫瘍;中枢神経系胚芽腫;ならびに小児テント上原始神経外胚葉性腫瘍および下垂体腫瘍など;
尿生殖器癌、例えば、小児膀胱癌を含めた膀胱癌;腎細胞(腎臓)癌;小児卵巣癌を含めた卵巣癌;卵巣上皮癌;卵巣低悪性度潜在腫瘍;陰茎癌;前立腺癌;小児腎細胞癌を含めた腎細胞癌;腎臓骨盤および尿管、移行上皮癌;精巣癌;尿道癌;腟癌;外陰癌;子宮頸癌;ウイルムス腫瘍およびその他の小児腎臓腫瘍;子宮内膜癌;ならびに妊娠性絨毛性腫瘍など;
胚細胞癌、例えば、小児頭蓋外胚細胞腫瘍;性腺外胚細胞腫瘍;卵巣胚細胞腫瘍;および精巣癌など;
頭頸部癌、例えば、口唇および口腔癌;小児口腔癌を含めた口腔癌;下咽頭癌;小児喉頭癌を含めた喉頭癌;原発不明転移性頸部扁平上皮癌;口腔癌;鼻腔および副鼻腔癌;小児鼻咽頭癌を含めた鼻咽頭癌;中咽頭癌;副甲状腺癌;咽頭癌;小児唾液腺癌を含めた唾液腺癌;咽喉癌;ならびに甲状腺癌など;
血液/血液細胞癌、例えば、白血病(例えば、成人および小児急性リンパ芽球性白血病を含めた急性リンパ芽球性白血病;成人および小児急性骨髄性白血を含めた急性骨髄性白血;慢性リンパ球性白血病;慢性骨髄性白血病;および有毛細胞性白血病);リンパ腫(例えば、AIDS関連リンパ腫;皮膚T細胞リンパ腫;成人および小児ホジキンリンパ腫と妊娠中のホジキンリンパ腫を含めたホジキンリンパ腫;成人および小児非ホジキンリンパ腫と妊娠中の非ホジキンリンパ腫を含めた非ホジキンリンパ腫;菌状息肉症;セザリー症候群;ワルデンストレームマクログロブリン血症;および原発性中枢神経系リンパ腫);ならびにその他の血液癌(例えば、慢性骨髄増殖性疾患;多発性骨髄腫/形質細胞腫瘍;骨髄異形成症候群;および骨髄異形成/骨髄増殖性疾患)など;
肺癌、例えば、非小細胞肺癌;および小細胞肺癌など;
呼吸器癌、例えば、悪性中皮腫、成人悪性中皮腫;小児悪性胸腺腫;小児胸腺腫;胸腺癌;小児気管支腺腫/カルチノイドを含めた気管支腺腫/カルチノイド;胸膜肺芽腫;非小細胞肺癌;および小細胞肺癌など;
皮膚癌、例えば、カポジ肉腫;メルケル細胞癌;黒色腫;および小児皮膚癌;
AIDS関連悪性腫瘍;
その他の小児癌、稀な小児癌および原発部位不明の小児癌;
また上記癌の転移も、本明細書に記載の方法に従って治療または予防し得る。
【0989】
本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子、組成物および方法は、膀胱癌、膵臓癌、前立腺癌、腎臓癌、非小細胞肺癌、卵巣癌、黒色腫、結腸直腸癌および乳癌の進行性または転移性癌の治療に特に適する。
【0990】
一実施形態では、例えばCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物と第二の治療剤での治療などによる、癌の併用療法のための方法が提供される。各種の組合せが本明細書に記載されている。組合せにより、哺乳動物宿主において、腫瘍の発達を低減する、腫瘍量を減少させる、または腫瘍退縮をもたらすことができる。
【0991】
癌の併用療法
本明細書に記載のCDP−治療剤コンジュゲート、粒子、組成物および方法は、他の既知の治療法と組み合わせて使用し得る。本明細書で使用される、「組み合わせて」投与するとは、対象の罹患期間中に2つ(以上)の異なる治療を対象に送達すること、例えば、対象が疾患を有すると診断された後、および疾患が治癒されるもしくは除去されるか、または他の理由で治療が中止される前に、2つ(以上)の治療を送達することを意味する。いくつかの実施形態では、投与において重複が生じるように、1つの治療の送達が、第二の治療の送達が始まっても行われている。これは、本明細書では「同時(「simultaneous」または「concurrent」)送達」と呼ぶことがある。他の実施形態では、1つの治療の送達が、他方の治療の送達が始まる前に終わる。いずれの場合も、いくつかの実施形態では、併用投与により治療がより効果的となる。例えば、第二の治療が第一の治療の非存在下で行われた場合に比べて、第二の治療がより効果的である、例えば、より少ない第二の治療で同等の効果が見られる、もしくは第二の治療が症状をより低減する、または第一の治療で同様の状況が見られる。いくつかの実施形態では、疾患に関連した症状またはその他のパラメーターの減少が、他方の非存在下で送達された1つの治療で観察されるものよりも大きい。2つの治療の効果は、部分的に相加的、完全に相加的であるか、または相加的効果を上回る。送達は、第二の治療が送達されるとき、送達された第一の治療の効果が依然として検出可能なものであり得る。
【0992】
CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物および少なくとも1つの追加の治療剤を同じもしくは別々の組成物で同時に、または順次投与し得る。順次投与では、最初にCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を投与し、二番目に追加の薬剤を投与するか、または投与順序を逆にし得る。
【0993】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、外科手術、放射線照射、凍結手術および/または温熱療法を含めた他の治療様式と組み合わせて投与する。このような併用療法は、投与する薬剤および/または他の化学療法剤を低用量で用いて、各種の単独療法に関連した毒性または合併症の可能性を回避し得る点で有利である。「放射線照射」という表現は、照射領域が治療組織の体積に一致するように設計された三次元原体放射線療法を含む外部照射療法;超音波誘導を用いて放射性化合物のシードを埋め込む組織内放射線療法;および外部照射療法と組織内放射線療法の組合せを包含するが、これらに限定されない。
【0994】
いくつかの実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、少なくとも1つの化学療法剤のような追加の治療剤と共に投与する。特定の実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、1つ以上の追加の化学療法剤、例えば本明細書に記載の1つ以上の化学療法剤と組み合わせて投与する。
【0995】
この方法または組成物を使用する場合、臨床状況で腫瘍増殖または転移の調節に使用される制吐剤のような他の薬剤も、必要に応じてCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物と共に投与し得る。
【0996】
本発明で取り上げられる医薬組成物を製剤化する場合、臨床医は、治療を受けている対象の状態により必要とされる好ましい用量を使用し得る。例えば、一実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、本明細書に記載の投与スケジュールで、例えば、1、2、3、4、5または6週間に1回、投与し得る。
【0997】
また一般に、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物と追加の化学療法剤(1つまたは複数)を同じ医薬組成物で投与する必要はなく、異なる物理的および化学的特徴を理由に、異なる経路で投与する必要があり得る。例えば、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を静脈内投与する一方で、化学療法剤(1つまたは複数)を経口投与し得る。同じ医薬組成物での投与が可能な場合、投与様式および投与の可否の決定は、臨床医の知識の範囲内である。当該技術分野で公知の確立されたプロトコールに従って初回投与を行い、次いで、観察された効果に基づいて、熟練した臨床医が投与様式および投与時間を修正し得る。
【0998】
一実施形態では、治療が必要とされる期間の間、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を3週間に1回投与し、追加の治療剤(1つまたは複数)を3週間に1回投与し得る。別の実施形態では、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を、2週間に1回、1つ以上の経口投与される追加の化学療法剤と組み合わせて投与する。
【0999】
CDP−治療剤コンジュゲート、粒子もしくは組成物および/または使用する任意の追加の化学療法剤の実際の用量は、対象の必要および治療する状態の重症度によって異なり得る。特定の状況に適した用量の決定は、当該分野の技術の範囲内にある。一般に、化合物の最適用量未満の比較的少ない用量から治療を始める。その後、その状況下での最適効果に達するまで用量を少量ずつ増加させる。
【1000】
また本開示は、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を1つまたは複数の追加の化学療法剤と組み合わせて投与する、癌の共同治療のための方法も包含する。
【1001】
ポリマーコンジュゲートおよび抗増殖性細胞毒性薬(1つまたは複数)または放射線の個々の選択は、主治医による診断および主治医による対象の状態の判断、ならびに適する治療プロトコールによって決まる。
【1002】
CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物と化学療法剤(1つまたは複数)および/または放射線とを同時に、または実質的に同時に投与しない場合、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物と化学療法剤(1つまたは複数)および/または放射線の最初の投与順序は様々であり得る。したがって、例えば、CDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を最初に投与し、次いで化学療法剤(1つまたは複数)および/または放射線を投与するか;あるいは化学療法剤(1つまたは複数)および/または放射線を最初に投与し、次いでCDP−治療剤コンジュゲート、粒子または組成物を投与し得る。この交互投与を1回の治療プロトコールの間に繰り返し得る。治療プロトコールにおける各治療剤の投与順序および投与反復回数は、治療する疾患および対象の状態の評価後に、熟練した医師の知識の範囲内となる。
【1003】
したがって治療を行なっている医師は、経験と知識に従い、個々の対象の必要に応じて治療の構成要素(CDP−治療剤コンジュゲート、粒子もしくは組成物、抗腫瘍剤(1つまたは複数)または放射線)の投与のための各プロトコールを治療の進行に伴って修正し得る。
【1004】
投与された用量で治療が効果的であるか否かを判断する際に、担当臨床医は、対象の全般的な健康状態だけでなく、疾患関連症状の緩和、腫瘍増殖の抑制、腫瘍の実際の収縮または転移の抑制のような、より明確な徴候も考慮する。腫瘍サイズは、放射線検査のような標準的な方法、例えばCATまたはMRIスキャンにより測定することができ、また連続測定を用いて、腫瘍の増殖が遅延または逆転しているか否かを判断することができる。疼痛のような疾患関連症状の緩和および全身状態の向上を用いて、治療の有効性の判断の補助とすることもできる。
【1005】
別途定義されない限り、本明細書で使用される技術および科学用語はすべて、本発明の属する分野の当業者により一般的に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許およびその他の参考文献は、その内容全体が参照により組み込まれる。矛盾が生じた場合には、定義を含めた本明細書が優先される。さらに、材料、方法および実施例は単に例示的なものであり、限定することを意図するものではない。
【実施例】
【1006】
実施例1:6a,6d−ビス−(2−アミノ−2−カルボキシルエチルチオ)−6a,6d−ジデオキシ−β−シクロデキストリン,4(CD−BisCys)の合成
スキームXVIII
【化443】
[この文献は図面を表示できません]
167mLの0.1M炭酸ナトリウム緩衝液を、磁気撹拌子、コンデンサおよびセプタムを備えた500mLの2口丸底フラスコ中で45分間、脱気した。この溶液に1.96g(16.2mmol)のL−システインおよび10.0g(73.8mmol)のジヨード,デオキシ−β−シクロデキストリン(2)を加えた。得られた懸濁液を、溶液が透明(無色)になるまで還流温度で4.5時間加熱した。次いで溶液を室温まで冷却し、1NのHClを用いてpH3に酸性化した。アセトンを徐々に添加(溶液の3倍の重量比)して生成物を沈殿させた。これにより、CD−ビスシステイン(90.0%)、未反応シクロデキストリン、CD−モノ−システインおよびシスチンを含有する9.0gの粗物質が得られた。得られた固体を、0〜0.4Mの炭酸水素アンモニウムの勾配溶離を用いる陰イオン交換カラムクロマトグラフィー(SuperQ650M、Tosoh Bioscience)に供した。全画分をHPLCにより分析した。所望の画分を合わせ、溶媒を真空下で100mLまで減らした。最終産物をアセトン添加またはメタノール添加(溶液の3倍の重量比)のいずれかにより沈殿させた。60〜90%の収率で4が得られた。
1H NMR(D
2O)δ5.08(m,7H,CD−2−CH),3.79−3.94(m,30H,CD−3,4−CH,CD−CH
2,Cys−CH),3.49−3.62(m,14H,CD−5,6−CH),2.92−3.30(m,4H,Cys−CH
2).
13C NMR(D
2O)δ172.3,101.9,83.9,81.6,81.5,73.3,72.2,72.0,60.7,54.0,34.0,30.6.ESI/MS(m/z):1342[M]
+,1364[M+Na]
+。HPLCにより4の純度を確認した。
【1007】
実施例2:Gly−CPT(構造11)(Greenwaldら,Bioorg.Med.Chem.,1998,6,551−562)の合成
スキームXXV
【化444】
[この文献は図面を表示できません]
t−Boc−グリシン(0.9、4.7mmol)を350mLの無水塩化メチレンに室温で溶解させ、この溶液にDIPC(0.75mL、4.7mmol)、DMAP(382mg、3.13mmol)およびカンプトテシン(0.55g、1.57mmol)を0℃で加えた。反応混合物を室温まで温め、16時間放置した。溶液を0.1NのHClで洗浄し、減圧下で乾燥および蒸発させて白色固体を得、これをメタノールから再結晶させて、t−Boc−グリシンのカンプトテシン−20−エステルを得た:
1H NMR(DMSO−d
6)7.5−8.8(m),7.3(s),5.5(s),5.3(s),4(m),2.1(m),1.6(s),1.3(d),0.9(t)。t−Boc−グリシンのカンプトテシン−20−エステル(0.595g、1.06mmol)を塩化メチレン(7.5mL)とTFA(7.5mL)の混合物に溶解させ、室温で1時間攪拌した。溶媒を除去し、残留物を塩化メチレンおよびエーテルから再結晶させて、0.45gの(11)を得た。
1H NMR(DMSO−d
6)δ7.7−8.5(m);7.2(s),5.6(s),5.4(s),4.4(m),2.2(m),1.6(d),1.0(t),
13C NMR(DMSO−d
6)δ168.6,166.6,156.5,152.2,147.9,146.2,144.3,131.9,130.6,129.7,128.8,128.6,128.0,127.8,119.0,95.0,77.6,66.6,50.5,47.9,30.2,15.9,7.9.ESI/MS(m/z)予測値405;実測値406(M+H)。
【1008】
実施例3:CD−BisCys−Peg3400コポリマー36およびそのCPTコンジュゲート37の合成および特徴付け
A.CD−BisCys−Peg3400コポリマー36の合成および特徴付け
スキームXXXVIIIa
【化445】
[この文献は図面を表示できません]
スキームXXXVIIIb
【化446】
[この文献は図面を表示できません]
【1009】
ポリ(CDDCys−PA−PEG)、36aの合成
4(アセトンによる沈殿後、63mg、0.047mmol)およびPEG−DISPA(MW3400、160mg、0.047mmol)を真空下で8時間乾燥させた。無水DMSO(1.26mL)をアルゴン下で混合物に加えた。10分間の攪拌後、無水ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、19μL、2.3当量)をアルゴン下で加えた。反応混合物をアルゴン下で120時間攪拌した。ポリマー含有溶液を、10,000MWCO膜(Spectra/Por7)を用いて水に対して48時間透析し、凍結乾燥させて、196mgの36aを得た。M
w=57400Da,M
n=41700Da,M
w/M
n=1.38。
1H NMR(D
2O)δ5.08(m,CD−2−H),4.27(m,Cys−CH),2.72−3.76(m,CD−3,4,5,6−CH,CD−CH
2,PEG−CH
2),2.44(m,Cys−CH
2)。
【1010】
その他のポリ(CDDCys−PA−PEG)(36b−f)、ポリ(CDDCys−BA−PEG)(36g)、ポリ(CDDCys−CB−PEG)(36h−i)の合成を36aと同様の重合条件下で行った。重合条件、モノマー選択、ポリマ分子量、多分散度および収率の詳細を表2に記載する。36g:
1H NMR(D
2O)δ5.10(m,CD−2−H),4.25−4.37(m,Cys−CH),2.72−3.86(m,CD−3,4,5,6−CH,CD−CH
2,PEG−CH
2),2.21(m,Cys−CH
2)。36h−i:
1H NMR(D
2O)δ5.05(m,CD−2−H),4.56(m,Cys−CH),2.70−3.93(m,CD−3,4,5,6−CH,CD−CH
2,PEG−CH
2),2.38(m,−OCH
2CH
2CH
2C(O)−NH−),2.34(m,Cys−CH
2),1.90(m,−OCH
2CH
2CH
2C(O)−NH−)。
【1011】
塩基を加えない場合、48時間後に重合溶液の粘度の変化が見られなかったため、この重合には非求核有機塩基(DIEAなど)の添加が不可欠であった。2.3当量のDIEAを加えると、反応の4〜6時間後に重合溶液の粘度が著しく増加した。DIEAは4のアミノ基を脱プロトン化して、PEG−DISPAとのカップリングのためにアミノ基をより求核性にする。TEAまたはDMAPのような他の塩基を用いた場合、基本的に重合に違いがなかった(36b−c、表2)。2つの異なる沈殿法(アセトンおよびメタノール)により回収された4を用いた重合により、分子量が異なるポリマーが生成された。メタノール沈殿法により精製された4(遊離シスチンを含有しない)の方が、アセトン沈殿法により得られた、より純度の低い4(36a)に比べて分子量の大きいポリマー(36d−e)が得られた。4とPEG−DISPAとの重合により、通常、90%を上回るポリマー収率が得られた。
【1012】
4を他の活性化モノマー、例えばPEG−DISBA、PEG−DIBTCおよびPEG−DINPCなどと重合させた。4とPEG−DISBAとの反応により、36a−fと同様の結合(アミド結合であるが、リンカーでの−CH
2基が36a−fより1つ多い)を有し、100,000Daを上回る分子量を有するポリマー36gが得られたが、4とPEG−DIBTCおよびPEG−DINPCとの反応では、連結するカルバマート部分および50,000Daを上回る分子量を有するポリマー36hおよび36Iがそれぞれ生じた(表2)。
【1013】
【表2】
[この文献は図面を表示できません]
a重合前に4をアセトンで洗浄した。
b重合前に4をメタノールで洗浄した。
【1014】
ポリマー36a−iは水溶液に高溶解性であった。このポリマーは、水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)溶液に少なくとも200mg/mLの濃度で容易に溶解し得る。上記ポリマーの水溶液への200mg/mLを超える濃度での可溶性は、高粘度のため試みなかった。また上記ポリマーは、DMF、DMSOおよびメタノールに可溶性であり、CH
3CNおよびCHCl
3にわずかに可溶性であったが、THFおよびエチルエーテルには不溶性であった。
【1015】
CDポリマーの分子量制御
4(メタノールによる沈殿後)(56.2mg、0.0419mmol)およびPEG−DISPA(147mg、0.0419mmol)を真空下で4〜8時間乾燥させた。混合物にアルゴン下で乾燥DMSO(1.1mL)を加えた。10分間の攪拌後、アルゴン下でDIEA(16μL、2.2当量)を加えた。重合溶液の一部(150μL)を取り出し、選択された時間(2時間、18時間、43時間、70時間、168時間および288時間)でエーテルにより沈殿させた。沈殿したポリマーの分子量は上記のように決定された。
【1016】
B.ポリ(CDDCys−PA−PEG)−CPTコンジュゲート(HGGG6、LGGG10、HG6、HGGG10)の合成
スキームXXXIX
【化447】
[この文献は図面を表示できません]
【1017】
ポリ(CDDCys−PA−PEG)−GlyGlyGly−CPT(HGGG6)の合成
36e(1.37g、0.30mmolの反復単位)を無水DMSO(136mL)に溶解させた。混合物を10分間攪拌した。12(419mg、0.712mmol、2.36当量)、DIEA(0.092mL、0.712mmol、2.36当量)、EDC(172mg、0.903mmol、3当量)およびNHS(76mg、0.662mmol、2.2当量)をポリマー溶液に加え、約15時間攪拌した。エチルエーテル(1L)でポリマーを沈殿させた。エーテルを捨て、沈殿物をCH
3CN(3×100mL)で洗浄した。沈殿物を水600mLに溶解させた。一部の不溶固体を0.2μmフィルターでろ過した。溶液を10〜15℃で10時間、25,000MWCO膜(Spectra/Por7)を用いてDI水中で透析した。透析水を60分ごとに交換した。ポリマー−薬物コンジュゲート溶液を0.2μMフィルターに通して滅菌した。溶液を凍結乾燥させて、黄色固体HGGG6(1.42g、収率85%)を得た。
【1018】
ポリ(CDDCys−PA−PEG)−GlyGlyGly−CPT(LGGG10)の合成
12と36fのコンジュゲーションを、25,000MWCO膜の代わりに10,000MWCO膜(Spectra/Por7)を用いてこのコンジュゲートを透析したこと以外は、HGGG6の生成に用いた方法と同様の方法で行った。LGGG10の収率は83%であった。
【1019】
ポリ(CDDCys−PA−PEG)−Gly−CPT(HG6)の合成
HGGG6の生成に用いた方法と同様の方法で11と36eとのコンジュゲーションを行った。HG6の収率は83%であった。
【1020】
ポリ(CDDCys−PA−PEG)−GlyGlyGly−CPT(HGGG10)の合成
36e(1.5g、0.33mmolの反復単位)を無水DMSO(150mL)に溶解させた。混合物を10分間攪拌した。12(941mg、1.49mmol、4.5当量)、DIEA(0.258mL、1.49mmol、4.5当量)、EDC(283mg、1.49mmol、4.5当量)およびNHS(113mg、0.99mmol、3当量)をポリマー溶液に加え、約24時間攪拌した。コンジュゲーション溶液にEDC(142mg、0.75mmol、2.3当量)およびNHS(56mg、0.5mmol、1.5当量)をもう一部加えた。ポリマーをさらに22時間攪拌した。ワークアップの手順はHGGG6合成のものと同じであった。HGGG10の収率は77%であった。
【1021】
コンジュゲート上のCPTの重量%の決定
HGGG6、LGGG10、HG6およびHGGG10のストック溶液をDMSO中10mg/mLの濃度で調製した。対応するストック溶液のアリコートを1NのNaOHを用いて100μg/mLまで希釈した。室温で2時間以内に、CPTをこの基本溶液中で完全に加水分解して、そのカルボキシラート形態に変換した。この溶液のアリコートを8.5%のH
3PO
4を用いて10μg/mLまで希釈し、CPTカルボキシラート形態をそのラクトン形態に変換した。この溶液30μLをHPLCに注入した。CPTラクトン形態のピーク面積を積分し、標準曲線と比較した。
【1022】
従来のカップリング法を用いて、11および12を36eまたは36f(表2)とコンジュゲートさせた。水溶液中での11および12のエステルリンカーの不安定性により、コンジュゲーションはアルゴン下、無水DMSO中で行った。11および12のTFA塩を脱プロトン化してカップリングを促進するために、有機塩基が必要であった。12とのポリマーコンジュゲーションでは、重量パーセント(重量%)薬物付加量が約6〜10%であった。理論的な最大薬物付加量は、分子量が3400DaであるPEGを用いて約13%であり;PEG部分の分子量を減らすことにより最大値を増加させることができる。全コンジュゲートの水またはPBSへの溶解度は200mg/mLを上回っていた(それぞれ、6〜10wt%の薬物付加量に対して12〜20mgのCPT/mLに相当する)。HGGG6、LGGG10、HG6およびHGGG10に関する詳細を表3にまとめる。
【1023】
【表3】
[この文献は図面を表示できません]
a略語H=高M
wポリマー(97kDa)、L=低M
wポリマー(35kDa)、GGG=トリグリシンリンカー、G=グリシンリンカー、6=約6重量%の薬物付加量、10=約10重量%の薬物付加量。
b光散乱法により測定したポリマー多分散度(26)。
【1024】
C.HGGG6およびHG6からのCPTの遊離
PBS中でのCPTの遊離
HGGG6およびHG6をPBS(1×、pH7.4)中1mg/mLで調製した。溶液の100μLのアリコートを1.5mLエッペンドルフチューブに移し、37℃でインキュベートした。インキュベートした試料を選択された時間間隔で反応停止させ、解析まで−80℃で保管した。メスフラスコ中、8.5%のH
3PO
4を用いて各溶液を全体積5mLまで希釈した。この溶液30μLをHPLCに注入した。CPTラクトン形態のピーク面積を積分し、標準曲線と比較した。
【1025】
アセチルコリンエステラーゼ(エステラーゼの一種、100単位/mL)含有PBS中、KH
2PO
4緩衝液(pH6.1、0.1M)中およびカテプシンB(システインプロテイナーゼの一種、200μM、2mMのDTTおよび1mMのEDTAを含有するこの緩衝液中で30分間、氷上で予め活性化した)含有KH
2PO
4緩衝液(pH6.1、0.1M)中での、HGGG6およびHG6からのCPT遊離の解析を、PBS単独での上記方法と同様の方法で行った。
【1026】
ヒト血漿中でのCPTの遊離
HGGG6およびHG6ストック溶液のアリコートを希釈して、PBS(1×、pH7.4)中0.5mg/mLの最終濃度にした。この溶液をヒト血漿の凍結乾燥粉末に加え、推奨量で100%ヒト血漿を再構成した。溶液を1.5mLエッペンドルフチューブに等体積(250μL)に分割し、37℃でインキュベートし、選択された時点で停止させた。試料を解析まで−80℃で保管した。試料を固相抽出カラムにより血漿から分離した。負荷前に、固相抽出カートリッジ(Waters製のOasis HLB 1ccカートリッジ)を1mLのアセトニトリル、次いで1mLの8.5%H
3PO
4で予め調整した。負荷前に試料を等体積の8.5%H
3PO
4で酸性化した。酸性化した溶液をカートリッジに負荷した後、ベッドを3×1mLの水で洗浄した。遊離CPTおよびポリマーコンジュゲートをアセトニトリルとリン酸カリウム緩衝液(pH4.1)の混合溶液(60/40v/v)3×1mLで溶出した。溶出された溶液を5mLメスフラスコ中、全体積5mLまで希釈した。この溶液30μLをHPLCに注入した。CPTラクトン形態のピーク面積を積分し、標準曲線と比較した。
【1027】
4%ヒト血漿(PBS/再構成したヒト血漿溶液=96/4(v/v))含有PBS中、マウス血漿中および再構成したヒトアルブミン(PBS溶液)中でのHGGG6およびHG6からのCPT遊離を、純粋ヒト血漿での上記方法と同様の方法で行った。
【1028】
PBS(1×、pH7.4)中では、HG6およびHGGG6からのCPT遊離の半減期(t
1/2)は、それぞれ59時間および32時間であった。半減期は、4%ヒト血漿の存在下でそれぞれ25時間および22時間まで減少し、100%ヒト血漿(「HP」)中でそれぞれ1.7時間および1.6時間まで減少し、100%マウス血漿(「MP」)中でそれぞれ2.6時間および2.2時間まで減少した。アルブミン(「Alb」)またはアセチルコリンエステラーゼ(「Ac Cho」)の存在下でのCPT遊離率は、HG6およびHGGG6共にPBS中と同じ桁数であった。酵素カテプシンB(pH6.1で活性)を含むまたは含まない、PBS(pH6.1)よりpHの低い緩衝液中では、全コンジュゲートCPTの50%未満が、144時間までの間にHG6およびHGGG6の両者から遊離した(表4)。
【1029】
【表4】
[この文献は図面を表示できません]
at
1/2は全コンジュゲートCPTの半数が遊離する時間(時間)と定義される。
略語:HPはヒト血漿を意味し、MPはマウス血漿を意味する。
bpH7.4のPBS1×緩衝剤
c再構成したヒト血漿をPBSと混合したもの(v/v=4/96)
d再構成したヒト血漿
e新鮮なマウス血漿
f再構成したヒトアルブミンPBS緩衝液中
gアセチルコリンエステラーゼPBS溶液(100単位/mL)の存在下
hpH6.1のリン酸緩衝液(0.1M)
IカテプシンB存在下でのpH6.1のリン酸緩衝液
【1030】
異なるpHの溶液中でのCPTの遊離
HGGG6およびHG6を、酸性(pH=1.2)から塩基性(pH=13.1)の範囲のpHを有する緩衝液で1mg/mLに調製し、37℃で24時間インキュベートした。各溶液のアリコートを8.5%H
3PO
4で約100μg/mLまで希釈した。この溶液30μLをHPLCに注入した。CPTラクトン形態のピーク面積を積分し、標準曲線と比較した。
【1031】
水溶液のpHは、HG6およびHGGG6両方からのCPT遊離率に有意な影響を与えた。1.1〜13.1の範囲のpHの緩衝液中、24時間後、37℃におけるHG6およびHGGG6からのCPT遊離量は、米国特許第7,270,808号に図示されている。HG6およびHGGG6両方のグリシニル−CPTエステル結合は、24時間で7%未満のCPTが遊離したように、酸性pH(1.1〜6.4)において非常に安定であった。
【1032】
薬物の重量パーセント付加量を増加させるための方法
方法I.短いPeg結合によるCD−BisCys−PegコポリマーおよびそのGlyCPTコンジュゲートの合成
実施例4:CD−BisCys−Peg(短いPEG、例えばPeg200〜Peg2000)およびそのCPTコンジュゲート42の合成
スキームXXXXII
【化448】
[この文献は図面を表示できません]
ポリマーおよび薬物コンジュゲート42の合成は、36、37および38と同じである。
【1033】
スキームXXXXIIは、利用可能なすべての位置で薬物が結合することを示しているが、必ずしもすべての位置が反応しなくてもよい。したがって、上記コンジュゲートを含む粒子は、結合に利用可能なすべての位置で反応したコンジュゲート、および薬物を含む位置が結合に利用可能なすべての位置よりも少ない粒子を含み得る、例えば、粒子は、結合に利用可能な1個または0個の位置で反応したCPDを含み得る。したがって、スキームXXXXIIは、各ポリマーサブユニットのすべての結合点にCPTを図示しているが、CDP−CPTコンジュゲートは、CDPの所与のポリマーサブユニットと結合した2個未満のCPT分子を有し得る。例えば、一実施形態では、CDP−CPTコンジュゲートが複数のポリマーサブユニットを含み、ポリマーサブユニットがそれぞれ独立して、ポリマーサブユニットの各結合点で結合した2個、1個または0個のCPTを含み得る。さらに、粒子および組成物は、CDP−CPTコンジュゲートの各ポリマーサブユニットと結合した2個、1個または0個のCPTを有するCDP−CPTコンジュゲートを含んでもよく、またコンジュゲートは、粒子または組成物中のコンジュゲートのポリマーサブユニットの各結合点で結合したCPTの数が異なり得るCDP−CPTコンジュゲートの混合物も含み得る。
【1034】
方法II.各付加部位に複数の薬物分子を有するCD−BisCys−Pegコポリマーの合成
実施例5:CD−BisCys−PegおよびそのGluBis(GlyCPT)コンジュゲート43の合成
スキームXXXXIII
【化449】
[この文献は図面を表示できません]
36およびGlu−Bis(Gly−CPT)17をDMSOに溶解させる。この溶液にEDC(3当量)、NHS(2.2当量)およびDIEA(2.2当量)を加える。CD−BisCys−Peg−GluBis(GlyCPT)43をCH
3CNで沈殿させ、遊離の薬物がUVまたはTLCを用いて検出されなくなるまで同じ溶媒で洗浄する。43を高真空下で乾燥させる。スキームXXXXIIIは、利用可能なすべての位置で薬物が結合することを示しているが、必ずしもすべての位置が反応しなくてもよい。したがって、上記コンジュゲートを含む粒子は、結合に利用可能なすべての位置で反応したコンジュゲート、および薬物を含む位置が結合に利用可能なすべての位置よりも少ない粒子を含み得る、例えば、粒子は、結合に利用可能な3個、2個、1個または0個の位置で反応したCPDを含み得る。したがって、スキームXXXXIIIは、各ポリマーサブユニットのすべての結合点にCPTを図示しているが、CDP−CPTコンジュゲートは、CDPの所与のポリマーサブユニットと結合した4個未満のCPT分子を有し得る。例えば、一実施形態では、CDP−CPTコンジュゲートが複数のポリマーサブユニットを含み、ポリマーサブユニットがそれぞれ独立して、ポリマーサブユニットの各結合点で結合した4個、3個、2個、1個または0個のCPTを含み得る。さらに、粒子および組成物は、CDP−CPTコンジュゲートの各ポリマーサブユニットと結合した4個、3個、2個、1個または0個のCPTを有するCDP−CPTコンジュゲートを含んでもよく、またコンジュゲートは、粒子または組成物中のコンジュゲートのポリマーサブユニットの各結合点で結合したCPTの数が異なり得るCDP−CPTコンジュゲートの混合物も含み得る。
【1035】
実施例6:CDP−Gly−SN−38コンジュゲートの合成
スキーム1に示すように、SN−38をアミノ酸グリシンにより20−OH位で誘導体化した。簡潔には、20(S)−7−エチル−10‐ヒドロキシカンプトテシン(SN−38、1.0g、2.5mmol)を、70mLのジメチルホルムアミド(DMF)と30mLのピリジンの混合物に溶解させた。ジ−tert−ブチル−ジカルボナート(0.83g、3.8mmol)の10mL DMF溶液を加え、混合物を室温で一晩(12時間)攪拌した。真空下で溶媒を除去して黄色固体を得、沸騰2−プロパノール(75mL)から再結晶させて、20(s)−10−tert−ブトキシカルボニルオキシ−7−エチル−カンプトテシン(Boc−SN−38)を黄色固体として得た(0.6g、収率48%)。
【1036】
Boc−SN−38(0.73g、1.5mmol)、N−(tertブトキシカルボニル)グリシン(0.26g、1.5mmol)および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、0.18g、1.5mmol)を無水塩化メチレン(30mL)に溶解させ、0℃まで冷却した。1,3−ジイソプロピル−カルボジイミド(DIPC、0.19g、1.5mmol)を加え、混合物を0℃で30分間攪拌し、次いで室温で4時間攪拌した。混合物を塩化メチレンで100mLまで希釈し、0.1Nの塩酸水溶液(25mL)で2回洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させて、減圧下で溶媒を除去した。得られた黄色固体を塩化メチレン:アセトン(9:1)でフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、次いで真空下で溶媒を除去して、20−O−(N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシル)−10−tert−ブチオキシカルボニルオキシ−7−エチルカンプトテシン(diBoc−Gly−SN−38、640mg、収率67%)を得た。
【1037】
スキーム1:SN−38の20−O−(N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシル)−10−tert−ブチオキシカルボニルオキシ−7−エチルカンプトテシン(diBOC−Gly−SN−38)への誘導体化
【化450】
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CDPを既に記載されている通りに合成した(Chengら(2003)Bioconjugate Chemistry 14(5):1007−1017)。diBOC−Gly−SN−38(0.62g、0.77mmol)を15mLの塩化メチレン:トリフルオロ酢酸(TFA)の1:1混合物中、室温で1時間、脱保護した。20−O−トリフルオログリシン−10−ヒドロキシ−7−エチルカンプトテシン(TFA−Gly−SN−38、0.57g、収率97%)をエタノール(100mL)での沈殿により黄色固体として単離し、次いでエタノールで2回洗浄し(それぞれ30mL)、塩化メチレンに溶解させ、真空下で溶媒を除去した。ESI/MS予測値449.4;実測値471.66(M+Na)。
【1038】
CDP−Gly−SN−38(ポリ−CD−PEG−Gly−SN−38、スキーム2)を以下の通りに合成した:CDP(270mg、0.056mmol)、TFA−Gly−SN−38(70mg、0.12mmol)、N−ヒドロキシ−スクシンイミド(14mg、0.12mmol)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI、32mg、0.17mmol)をジメチルホルムアミド(10mL)に溶解させ、室温で4時間攪拌した。ポリマーを50mLのアセトン、次いで50mLのジエチルエーテルの添加により沈殿させた。沈殿物を遠心分離し、アセトンで2回、それぞれ20mLで洗浄し、水に溶解させて、塩酸によりpH3.0に酸性化した。ポリマー溶液を、25,000DaのMWCO透析膜を用いてpH3.0の水に対して24時間透析した。得られた溶液を凍結乾燥させて、CDP−Gly−SN−38(180mg、収率67%)を得た。既に記載されている通りに、標準曲線としてSN−38を用いたHPLCにより、ポリマーを全SN−38および遊離SN−38含有量について解析した(Chengら(2003)Bioconjugate Chemistry 14(5):1007−1017)。全SN−38含有量は7.66%w/wであり、そのうちの97.4%がポリマーと結合していた。平均粒子サイズは、動的光散乱法により27.9nmであると判定された。
【1039】
スキーム2:CDP−Gly−SN−38サブユニットの構造
【化451】
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【1040】
実施例7:様々なCDP−エトポシドコンジュゲートの合成
エトポシドとCDPを連結するために使用し得る様々なリンカーおよび提唱される遊離機序を表5に記載する。
【1041】
【表5-1】
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【表5-2】
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【表5-3】
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【表5-4】
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【表5-5】
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【1042】
CDP−PEG−GFLG−MEDA−ETOP(表5、番号16)の合成
FMOC−PEG−GFLG−MEDAの合成
【化452】
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Fmoc−PEG−酢酸(5.7g、13mmol)、HBTU(4.9g、13mmol)、HOBT(2.0g、13mmol)およびDIPEA(3.4g、26mmol)をDMF(25mL)に溶解させた。GFLG−MEDA−Z(5.1g、8.8mmol)をDMF(13mL)とDIPEA(3.7g、29mmol)に溶解させ、前の調製した溶液に加えた。反応混合物を室温で1.5時間攪拌した。DMFを減圧下で除去し、得られた残留物を200mLのCH
2Cl
2に溶解させ、この溶液を0.1NのHCl(200mL)で2回洗浄し、次いで水(200mL)で洗浄した。次いで、これをMgS0
4上で乾燥させ、CH
2Cl
2を真空下で除去して粗生成物を得た。次いで、これをフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製し、白色の固体生成物FMOC−PEG−GFLG−MEDA−Z(6.2g、72%)を得た。
【1043】
FMOC−PEG−GFLG−MEDA−Z(3.0g、3.0mmol)を0.2M 2−ブロモ−1,3,2−ベンゾジオキサボロール(2.4g、12mmol)のCH
2Cl
2(60mL)に溶解させた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。MeOH(10mL)の添加により反応を停止させた。真空下で溶媒を除去した。得られた残留物を少量のメタノールに溶解させ、冷ジエチルエーテル中で沈殿させて、生成物を得た(2.6g、>99%)。ESI/MS(m/z)予測値860.01;実測値882.76[M+Na]。
【1044】
PEG−GFLG−MEDA−ETOPの合成
【化453】
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FMOC−PEG−GFLG−MEDA(2.6g、2.8mmol),Etop−NP(2.7g、3.6mmol),DIPEA(0.70g、5.5mmol)およびDMAP(34mg、0.28mmol)をDMF(60mL)に溶解させ、60℃で1.5時間攪拌した。真空下でDMFを除去した。得られた残留物をCH
2Cl
2(150mL)に溶解させた。次いで、これを0.1NのHCl(150mL)で2回洗浄した後、水(150mL)で洗浄した。これをMgS0
4上で乾燥させ、真空下で減少させて、粗生成物を得た。粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、生成物FMOC−PEG−GFLG−MEDA−ETOPを得た(3.2g、80%)。ESI/MS(m/z)予測値1474.6;実測値1497.16[M+Na]。
【1045】
FMOC−PEG−GFLG−MEDA−ETOP(100mg、0.068mmol)を、DMF中20%のピペリジン1.2mLに溶解させた。反応混合物を室温で3分間攪拌した。生成物をジエチルエーテル(50mL)中で沈殿させ、洗浄し、生成物を得た(60mg、70%)。ESI/MS(m/z)予測値1252.32;実測値1274.87[M+Na]。
【1046】
CDP−PEG−GFLG−MEDA−ETOPの合成
【化454】
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シクロデキストリン系ポリマー(CDP)(1.8g、0.36mmol)を無水DMF(35mL)に溶解させた。混合物を完全に溶解するまで攪拌した。DIPEA(0.94g、7.3mmol)、EDC(0.70g、3.6mmol)およびNHS(420mg、3.6mmol)を上記溶液に加えた。PEG−GFLG−MEDA−ETOP(1.4g、1.1mmol)をDMF(10mL)に溶解させ、ポリマー溶液に加えた。この溶液を4時間攪拌し、次いで、ポリマーを酢酸エチル(150mL)中で沈殿させた。沈殿物をDMF(15mL)に溶解させ、アセトン(75mL)中で沈殿させた。沈殿生成物をpH4の水(80mL)に溶解させた。この溶液を、25K MWCO膜(Spectra/Por7)を用いて24時間透析した。これを0.2μmフィルター(Nalgene)でろ過し、凍結乾燥させて白色固体を得た(1.1g、61%)。エトポシドの付加量は、283nmでのUV−Vis分光測定法により10%w/wであると決定された。
【1047】
CDP−カルバマート−S−S−エトポシド(表5、番号14)の合成
エトポシドの4−ニトロフェニル炭酸エステルの合成
【化455】
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乾燥した100mL丸底フラスコ中、エトポシド(1.0g、1.7mmol)およびTEA(2.5g、25mmol)を、アルゴン下、無水THF(35mL)に溶解させた。この溶液に、無水THF(15mL)中の4−ニトロフェニルクロロホルマート(0.39g、1.95mmol)を30分にわたり滴加した。反応混合物を室温でさらに2時間攪拌した。混合物をろ過し、減圧下で濃縮して、黄色固体を得た。この固体をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、淡黄色固体を得た(0.75g、59%)。
【1048】
エトポシドの4−ピリジルチオールシステアミンカルバマートの合成
【化456】
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乾燥した25mL丸底フラスコ中、エトポシドの4−ニトロフェニル炭酸エステル(100mg、0.13mmol)、4−ピリジルチオールシステアミン塩酸塩(35mg、0.16mmol)、DIPEA(34mg、0.27mmol)をDMF(5mL)に溶解させた。反応混合物を室温で15時間攪拌した。DMFを減圧下で除去し、淡黄色固体を得た。CH
2Cl
2(25mL)を加え、これを0.1NのHC1(10mL)で2回洗浄した。次いで、これをMgS0
4上で乾燥させ、濃縮して、淡黄色固体を得た。この固体をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、黄色固体を得た(51mg、48%)。
【1049】
エトポシドのシスタミンカルバマートの合成
【化457】
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10mL丸底フラスコ中、エトポシドの4−ピリジルチオールシステアミンカルバマート(50mg、0.0625mmol)およびシステアミン塩酸塩(6.4mg、0.057mmol)をMeOH(2mL)に溶解させた。混合物を室温で1時間攪拌した。この溶液を真空下で濃縮し、ジエチルエーテル(5mL)を加えて、白色固体を沈殿させた。この固体をろ過し、MeOH(0.5mL)に再び溶解させ、CH
2Cl
2(15mL)中で沈殿させた。固体をろ過し、真空下で乾燥させて、白色固体を得た。次いで、これを調製用HPLCで精製して、白色固体を得た(19mg、38%)。ESI/MS(m/z)予測値767.84;実測値767.29[M]
+。
【1050】
CDP−カルバマート−S−S−エトポシドの合成
【化458】
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CDP(96mg、0.020mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)に溶解させた。混合物を20分間攪拌した。エトポシドのシスタミンカルバマート(35mg、0.044mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(5.6mg、0.044mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(11mg、0.059mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(5.0mg、0.044mmol)をポリマー溶液に加え、4時間攪拌した。ポリマーを酢酸エチル(50mL)で沈殿させた。沈殿物を脱イオン水(10mL)に溶解させた。この溶液を、25K MWCO膜(Spectra/Por 7)を用いて27時間透析した。これを0.2μmフィルター(Nalgene)でろ過し、凍結乾燥させて、白色固体を得た(57mg、59%)。エトポシドの付加量は、283nmでのUV−Vis分光測定法により10%w/wであると決定された。
【1051】
CDP−EDA−リン酸エステル−エトポシド(表5、番号17)の合成
【化459】
[この文献は図面を表示できません]
100mL丸底フラスコ中、リン酸エトポシド(720mg、1.1mmol)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(96mg、0.72mmol)、N−ヒドロキシスクシンイミド(83mg、0.72mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(140mg、2.3mmol)を無水DMF(10mL)に溶解させた。この溶液を室温で45分間攪拌した。EDAで官能化したCDP(1.5g、0.60mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(160mg、2.3mmol)を、別の100mL丸底フラスコで無水DMF(10mL)に溶解させた。この反応混合物を前の混合物に室温で加え、室温で4時間攪拌した。混合物を10mLまで濃縮し、酢酸エチル(500mL)中で沈殿させた。ポリマーを脱イオン水(150mL)に溶解させ、これを、25K MWCO膜(Spectra/Por 7)を用いて26時間透析した。次いで、これを0.2μmフィルター(Nalgene)でろ過し、凍結乾燥させて、白色固体を得た(1.1g、73%)。エトポシドの付加量は、283nmでのUV−Vis分光測定法により8.3%w/wであると決定された。
【1052】
BOC−S−S−DMEDA−エトポシド(表5、番号10)の合成
システアミン−S−S−メルカプトベンジル4−ニトロフェニル炭酸エステルリンカー(3)の合成
【化460】
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メトキシカルボニルスルフェニルクロリド(2.8g、15.8mmol)を不活性雰囲気下で、20mLの無水メタノールに溶解させ、0℃まで冷却した。この溶液に、20mLのメタノールに溶解したTBOC−システアミン(2.0g、15.8mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、2.75mL、15.8mmol)を、0℃で攪拌しながら滴加した。反応混合物を0℃で2時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、得られた液体をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより塩化メチレンで精製して、中間体1を得た(2.2g、収率52%)。ESI MS予測値:267.06実測値:290.28(m+Na)。
【1053】
5mL無水メタノールに溶解した1の溶液(1.2g、4.5mmol)に、5mLメタノール中の2−メルカプトベンジルアルコール(519.5μL、4.5mmol)の溶液を加え、室温で2時間攪拌し、粗中間体2を含む黄色の液体を得た(ESI MS予測値:315.1、実測値:337.9(M+Na)。
【1054】
粗中間体1(1.36g、約4.3mmol),ジメチル−アミノピリジン(DMAP,50mg)およびトリエチルアミン(TEA,1.2mL,8.6mmol)を30mLの無水テトラヒドロフラン(THF)に溶解させた。20mLのTHFに溶解した4−ニトロフェニルクロロホルマート(1.75g,8.6mmol)を、不活性雰囲気下で攪拌しながら滴加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を濃縮して、黄色固体を得た。この固体を25mLの塩化メチレン中に溶解させ、水中0.1Nの塩酸2×15mL、次いで飽和炭酸水素ナトリウム水2×15mLで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させ、得られた黄色の液体を、フラッシュクロマトグラフィーにより酢酸エチル:ヘキサン(4:1.5)で精製して、BOC保護システアミン−S−S−メルカプトベンジル4−ニトロフェニル炭酸エステルリンカー3を黄色の液体として得た(721mg、収率33.4%)。ESI MS予測値:480;実測値:(NBで言及されているが、MSスペクトルは見られなかった)。
【1055】
BOC−S−S−DMEDA−エトポシド(表5、番号10)の合成
【化461】
[この文献は図面を表示できません]
BOC保護ジメチル−エチレンジアミン(DMEDA−BOC、1.12g、5.97mmol)、エトポシドカルボナート(3.0g、3.98mmol)、DIPEA(1.36mL、7.96mmol)およびDMAP(486mg、3.98mmol)を60mLの無水DMF中、不活性雰囲気下、60℃で110分間攪拌した。溶媒を真空下で蒸発させ、油状の残留物を25mLの塩化メチレン中に溶解させた。有機相を水中0.1Nの塩酸2×15mLで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を真空下で蒸発させて、淡黄色固体を得た。この固体をさらにフラッシュクロマトグラフィーにより塩化メチレン:アセトンで精製して、純粋な(HPLCにおいて単一ピークの)BOC−DMEDA−エトポシドを白色固体として得た(2.53g、収率79%)。ESI MS予測値:802.32;実測値:825.15(M+Na)。
【1056】
BOC−DMEDA−エトポシドを、塩化メチレン中1Mのトリフルオロ酢酸(TFA)と−15℃で6時間反応させて脱保護した。溶液を真空下で濃縮し、エチルエーテルの添加によりDMEDA−エトポシドのTFA塩を沈殿させた。
【1057】
TFA−DMEDA−エトポシド(100mg、0.12mmol)、DIPEA(43μL、0.24mmol)およびDMAP(14.9mg、1.2mmol)を3mLの無水DMFに溶解させた。この溶液に2mL無水DMF中の中間体3(117mg、0.24mmol)を加え、反応物を55℃で2時間攪拌した。溶媒を真空下で除去し、生成物を20mLの塩化メチレンに溶解させた。有機相を水中0.1Nの塩酸3×10mLで洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を真空下で除去した。生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより塩化メチレン:アセトン(1:1)で精製し、溶媒を真空下で除去して、BOC−S−S−DMEDA−エトポシドを白色固体として得た(51mg)。ESI MS予測値:1043.34;実測値:1066.6(M+Na)。HPLCにおいて単一ピーク。
【1058】
実施例8:CDP−5−FUの合成
水中1モルの炭酸ナトリウム30mLに溶解した6−(Boc−アミノ)カプロン酸(2g、8.6mmol)に、クロロメチルクロロスルファート(1.85g、11.2mmol)と硫酸水素テトラブチルアンモニウム(0.58g、1.7mmol)のジクロロメタン溶液40mLを加えた。反応物を室温で一晩撹拌した。反応混合物をろ過し、水相を分離し、ジクロロメタンで洗浄した。水を40〜60℃の真空下で蒸発させて、6−(Boc−アミノ)カプロン酸クロロメチルエステルを黄色油として得た(収率報告なし、予測収率2.4g、8.6mmol)。
【1059】
6−(Boc−アミノ)カプロン酸クロロメチルエステル(約2.4g、8.6mmol)を、5−フルオロウラシル(2.24g、17.2mmol)とトリエチルアミン(TEA、2.39mL)の50mLジメチルホルムアミド(DMF)溶液に滴加した。反応物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を250mLの水で希釈し、250mLの酢酸エチルと激しく混合した。有機層を分離し、真空下で蒸発させた。得られた黄色油をフラッシュクロマトグラフィーによりジクロロメタン:メタノール(9:1)で精製した。生成物を含有する画分をプールし(約50mL)、飽和塩化ナトリウム水溶液(3×250mL)で洗浄した。有機相を分離し、溶媒を真空下で除去して、t−Boc保護5−フルオロ−1N−(メチル−6−アミノ−カプロラート(caprolate))ウラシルを黄色油として得た。
【1060】
スキーム1:t−Boc保護5−フルオロ−1N−(メチル−6−アミノ−カプロラート(caprolate))ウラシルの合成
【化462】
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T−Boc保護5−フルオロ−1N−(メチル−6−アミノ−カプロラート(caprolate))ウラシル(195mg)を、4N HClとジオキサンの1:1混合物5mLと室温で1時間インキュベートすることにより脱保護した。溶媒を真空下で除去して、5−フルオロ−1N−(メチル−6−アミノ−カプロラート(caprolate))ウラシルを白色粉末として得た。
【1061】
CDPを既に記載されている通りに合成した(Chengら(2003)Bioconjugate Chemistry 14(5):1007−1017)。CDP(0.5g、0.104mmol)を、5mLのジメチルホルムアミド(DMF)中、N−ヒドロキシ−スクシンイミド(NHS、2.62mg、0.23mmol)(スキーム2)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDCI、59.3mg、0.309mmol)およびN,N−ジイソプロピル−エチルアミン(DIEA、39.8μL、0.23mmol)の存在下、5−フルオロ−1N−(メチル−6−アミノ−カプロラート(caprolate))ウラシル(85mg、0.23mmol)と室温で4時間、反応させた。25mLのアセトン添加により、ポリマーを沈殿させた。沈殿物を遠心分離し、アセトンで2回、それぞれ20mLで洗浄し、塩酸でpH3.0に酸性化した水に溶解させた。25,000DaのMWCO透析膜を用いて、ポリマー溶液をpH3.0の水に対して24時間透析した。得られた溶液を凍結乾燥させ、CDP−5−FUを得た(250mg、収率約50%)。既に記載されている通りに、標準曲線として5−FUを用いたHPLCにより、ポリマーを全5−FUおよび遊離5−FU含有量について解析した(Cheng,Khinら(2003))。全5−FU含有量は3.7%w/wであり、そのうちの99.2%がポリマーと結合していた。動的光散乱法により平均粒子サイズは43.7nmであると判定された。
【1062】
スキーム2:CDP−5−FUの合成
【化463】
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式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)である。
【1063】
実施例9:様々なCDP−エポチロンコンジュゲートの合成
この実施例で使用される全般的な実験手順
すべての無水溶媒、HPLCグレードの溶媒およびその他の一般的な有機溶媒は、業者(例えば、Sigma−Aldrich)から購入し、さらなる精製を行わずに使用する。親ポリマーであるポリ−CD−PEGは、既に記載されている通りに合成する(Cheng、Khinら(2003)Bioconjug.Chem.14(5):1007−17)。イクサベピロン、KOS−1584、サゴピロンおよびBMS310705は、以下の業者から購入する:Hangzhou onicon社、China;ACC社、CA、USA;Tocric Biosciences、MO、USA;またはMolocon社、ON、Canada。脱イオン水(18−MΩ−cm)は、自家製脱イオン水をMilli−Q Bioicel Water System(Millipore)またはBarnstead E−pure精製システム(Thermo Fisher Scientific、Waltham、MA)に通すことにより入手する。NMRスペクトルは、Varian inova 400MHz分光計(Palo Alto、CA)で記録する。質量スペクトル(MS)解析は、Bruker FT−MS 4.7Tエレクトロスプレー質量分析器で行う。ポリマー試料の分子量は、Viscotek 270 LALS−RALSシステムと連動したAgilent 1200RIで解析する。イクサベピロン、イクサベピロン誘導体、ポリマー−イクサベピロンコンジュゲート、KOS−1584、KOS−1584誘導体、ポリマー−KOS−1584コンジュゲート、サゴピロン、サゴピロン誘導体、ポリマー−サゴピロンコンジュゲート、エポチロン、エポチロン誘導体およびポリマー−エポチロンコンジュゲートは、Agilent1100 HPLCシステムで、C−18逆相カラム(Zorbax eclipse)により炭酸水素アンモニウム緩衝液(pH8)およびアセトニトリルを用いて分析する。粒子サイズ測定は、Zetasizer nano−zs(シリアル番号mal1017190 Malvern Instruments、Worcestershire、UK)で行う。
【1064】
CDP−C(O)−O−イクサベピロンのC−3誘導体の合成
方法A:リンカーを直接エポチロンに結合させ、混合物を分離し、脱保護し、次いでCDPとカップリングさせる
段階1:イクサベピロン−ε−TROC−アミノヘキサノアート(スキーム1)の合成:
スキーム1
【化464】
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イクサベピロン(20mg、0.039mmol)およびε−TROC−アミノヘキサン酸(16.3mg、0.0585mmol)をN
2下で無水DCM(10mL)に溶解させる。得られた透明の溶液に、DCC(13.4mg、0.065mmol)およびDMAP(7.9mg、0.065mmol)を加える(スキーム1)。次いで、反応混合物を室温で12時間攪拌する。次いで溶媒を蒸発させ、得られた残留物を最少量のクロロホルムに溶解させる。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いた精製により、所望のC−3およびC−7誘導体を単離することができる。電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより誘導体を分析する。次の合成段階でイクサベピロン−ε−TROC−アミノヘキサノアートのC−3誘導体を例として用いる。
【1065】
段階2:イクサベピロン−ε−アミノヘキサノアート(スキーム2)の合成:
スキーム2
【化465】
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イクサベピロン−ε−TROC−アミノヘキサノアートのC−3誘導体(15mg、0.019mmol)および塩化アンモニウム(100mg、1.88mmol)を合わせ、水3ml中で混合する。激しく攪拌しながら、エネルギー(例えば、熱、超音波処理、マクロ波または紫外線照射)の投入と共にZn粉(98mg、1.51mmol)を加え(Martinら(2000)Angewandte Chemie International Edition 39(3),581−583)、さらに20分間攪拌する。得られた溶液をろ過して酸化亜鉛を除去し、次いで熱水で洗浄する。生成物をジクロロメタン中に抽出し、MgSO
4上で乾燥させる。有機溶媒の蒸発後、フラッシュクロマトグラフィーにより粗生成物の精製を行う。次いで精製された生成物を、電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。
【1066】
段階3:CDP−C(O)−O−イクサベピロンの合成(スキーム3):
スキーム3
【化466】
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式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)である。
CDP−COOH(50mg、0.011mmol)をMeOH(2.0mL)に溶解させる。次いでイクサベピロン−ε−アミノヘキサノアートのC−3誘導体(14.7mg、0.024mmol)を混合物に加え、数分間攪拌して、透明な溶液を得る。EDCI(6.1mg、0.032mmol)およびTEA(3.8mg、0.038mmol)を加え、反応物を周囲温度で3時間攪拌する(スキーム3)。得られた反応混合物を0.1mLの溶液まで減少させ、Et
2O(1.5mL)中で沈殿させる。ポリマーコンジュゲートをDMF(0.1mL)に再び溶解させ、アセトン(1.5mL)に加えて、ポリマーコンジュゲートを沈殿させる。次いで、ポリマーコンジュゲートをアセトン(1mL)で2回洗浄し、nanopure水(3mL)に溶解させた後、0.2μmフィルター膜でろ過し、凍結乾燥させてCDP−C(O)−O−イクサベピロンを得る。付加量を、標準曲線を用いてUV−Vis分光測定法により決定する。粒子サイズをZetasizerにより決定する。
【1067】
方法B:シリル保護基で選択的に保護し、リンカーを加え、次いで脱保護した後、CDPとコンジュゲートさせる
段階1:3−tert−ブチルジメチルシリルイクサベピロンまたは7−tert−ブチルジメチルシリルイクサベピロンの合成(スキーム4):
スキーム4
【化467】
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イクサベピロン(20mg、0.039mmol)およびtert−ブチルジメチルシリルクロリド(8.3mg、0.055mmol)をN
2雰囲気下、無水DMF(5mL)中で混合する。得られた透明な溶液に、イミダゾール(10.7mg、0.158mmol)を加え(スキーム4)、反応物を周囲温度で24時間攪拌する。溶媒を蒸発させ、残留物を最少量のクロロホルムに溶解させる。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製した後、所望のC−3およびC−7誘導体が単離される。誘導体を電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。次の合成段階でTBS−イクサベピロンのC−3誘導体を例として用いる。
【1068】
段階2:3−(tert−ブチルジメチルシリル)−7−(TROC−アミノヘキサン)−イクサベピロン−オアートの合成(スキーム5):
スキーム5
【化468】
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7−tert−ブチルジメチルシリルイクサベピロン(20mg、0.032mmol)およびε−TROC−アミノヘキサン酸(12.0mg、0.039mmol)をN
2下、無水DCM(2mL)中で一緒に攪拌する。得られた透明な溶液に、EDC.HCl(11.1mg、0.058mmol)およびDMAP(7.08mg、0.058mmol)を加える(スキーム5)。次いで、反応混合物を22℃で12時間攪拌する。次いで溶媒を蒸発させ、得られた残留物を最少量のクロロホルムに溶解させる。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、粗生成物を精製する。生成物を電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。
【1069】
段階3:7−(アミノヘキサン)−イクサベピロン−オアートの合成(スキーム6):
スキーム6
【化469】
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3−(tert−ブチルジメチルシリル)−7−(TROC−アミノヘキサン)−イクサベピロン−オアートを、エネルギー(例えば、熱、超音波処理、マクロ波または紫外線照射)の投入と共にZn/NH
4Cl、次いでアセトニトリルとHF/ピリジンの溶液を用いて脱保護する。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、最終生成物を精製する。3−(アミノヘキサン)−イクサベピロン−オアートを電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。
【1070】
段階4:CDP−C(O)−O−イクサベピロンの合成(スキーム7):
スキーム7
【化470】
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式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)の整数である。
CDP−COOH(50mg、0.011mmol)をMeOH(2.0mL)に溶解させる。次いでイクサベピロン−ε−アミノヘキサノアートのC−7誘導体(14.7mg、0.024mmol)を混合物に加え、数分間攪拌して、透明な溶液を得る。次いで、EDCI(6.1mg、0.032mmol)およびTEA(3.8mg、0.038mmol)を加え、反応物を周囲温度で3時間攪拌する(スキーム7)。反応混合物を0.1mLの溶液まで減少させ、Et
2O(1.5mL)中で沈殿させる。ポリマーコンジュゲートをDMF(0.1mL)に再び溶解させ、アセトン(1.5mL)に加えて、ポリマーコンジュゲートを沈殿させる。ポリマーコンジュゲートをアセトン(1mL)で2回洗浄し、nanopure水(3mL)に溶解させた後、0.2μmフィルター膜でろ過し、凍結乾燥させてCDP−C(O)−O−イクサベピロンを得る。
【1071】
CDP−C(O)−O−イクサベピロンのC−7誘導体の合成
方法A:リンカーを直接エポチロンに結合させ、混合物を分離し、脱保護し、次いでCDPとカップリングさせる
段階1:イクサベピロン−ε−TROC−アミノヘキサノアートの合成(スキーム8):
スキーム8
【化471】
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イクサベピロン(20mg、0.039mmol)およびε−TROC−アミノヘキサン酸(16.3mg、0.0585mmol)を、N
2下で無水DCM(10mL)に溶解させる。得られた透明な溶液に、DCC(13.4mg、0.065mmol)およびDMAP(7.9mg、0.065mmol)を加える(スキーム8)。次いで、反応混合物を室温で12時間攪拌する。次いで溶媒を蒸発させ、得られた残留物を最少量のクロロホルムに溶解させる。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いた精製により、所望のC−3およびC−7誘導体を単離することができる。誘導体を電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。次の合成段階でイクサベピロン−ε−TROC−アミノヘキサノアートのC−7誘導体を例として用いる。
【1072】
段階2:イクサベピロン−ε−アミノヘキサノアートの合成(スキーム9):
スキーム9
【化472】
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イクサベピロン−ε−TROC−アミノヘキサノアートのC−7誘導体(15mg、0.019mmol)および塩化アンモニウム(100mg、1.88mmol)を合わせて、水3ml中で混合する。激しく攪拌しながら、エネルギー(例えば、熱、超音波処理、マクロ波または紫外線照射)の投入と共にZn粉(98mg、1.51mmol)を加え(Martinら(2000)Angewandte Chemie International Edition 39(3),581−583)、さらに20分間攪拌する。得られた溶液をろ過して酸化亜鉛を除去し、次いで熱水で洗浄する。生成物をジクロロメタン中に抽出し、MgSO
4上で乾燥させる。有機溶媒の蒸発後、フラッシュクロマトグラフィーにより粗生成物の精製を行う。次いで精製された生成物を、電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。
【1073】
段階3:CDP−C(O)−O−イクサベピロンの合成(スキーム10):
スキーム10
【化473】
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式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)である。
CDP−COOH(50mg、0.011mmol)をMeOH(2.0mL)に溶解させる。次いでイクサベピロン−ε−アミノヘキサノアートのC−7誘導体(14.7mg、0.024mmol)を混合物に加え、数分間攪拌して、透明な溶液を得る。EDCI(6.1mg、0.032mmol)およびTEA(3.8mg、0.038mmol)を加え、反応物を周囲温度で3時間攪拌する(スキーム10)。得られた反応混合物を0.1mLの溶液まで減少させ、Et
2O(1.5mL)中で沈殿させる。ポリマーコンジュゲートをDMF(0.1mL)に再び溶解させ、アセトン(1.5mL)に加えて、ポリマーコンジュゲートを沈殿させる。次いで、ポリマーコンジュゲートをアセトン(1mL)で2回洗浄し、nanopure水(3mL)に溶解させた後、0.2μmフィルター膜でろ過し、凍結乾燥させてCDP−C(O)−O−イクサベピロンを得る。付加量を、標準曲線を用いてUV−Vis分光測定法により決定する。粒子サイズをZetasizerにより決定する。
【1074】
方法B:シリル保護基で選択的に保護し、リンカーを加え、次いで脱保護した後、CDPとコンジュゲートさせる
段階1:3−tert−ブチルジメチルシリルイクサベピロンまたは7−tert−ブチルジメチルシリルイクサベピロンの合成(スキーム11):
スキーム11
【化474】
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イクサベピロン(20mg、0.039mmol)およびtert−ブチルジメチルシリルクロリド(8.3mg、0.055mmol)をN
2雰囲気下、無水DMF(5mL)中で混合する。得られた透明な溶液に、イミダゾール(10.7mg、0.158mmol)を加え(スキーム11)、反応物を周囲温度で24時間攪拌する。溶媒を蒸発させ、残留物を最少量のクロロホルムに溶解させる。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製した後、所望のC−3およびC−7誘導体が単離される。誘導体を電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。次の合成段階でTBS−イクサベピロンのC−7誘導体を例として用いる。
【1075】
段階2:7−(tert−ブチルジメチルシリル)−3−(TROC−アミノヘキサン)−イクサベピロン−オアートの合成(スキーム12):
スキーム12
【化475】
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7−tert−ブチルジメチルシリルイクサベピロン(20mg、0.032mmol)およびε−TROC−アミノヘキサン酸(12.0mg、0.039mmol)をN
2下、無水DCM(2mL)中で一緒に攪拌する。得られた透明な溶液に、EDC.HCl(11.1mg、0.058mmol)およびDMAP(7.08mg、0.058mmol)を加える(スキーム12)。次いで、反応混合物を22℃で12時間攪拌する。次いで溶媒を蒸発させ、得られた残留物を最少量のクロロホルムに溶解させる。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、粗生成物を精製する。生成物を電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。
【1076】
段階3:3−(アミノヘキサン)−イクサベピロン−オアートの合成(スキーム13):
スキーム13
【化476】
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7−(tert−ブチルジメチルシリル)−3−(TROC−アミノヘキサン)−イクサベピロン−オアートを、エネルギー(例えば、熱、超音波処理、マクロ波または紫外線照射)の投入と共にZn/NH
4Cl、次いでアセトニトリルとHF/ピリジンの溶液を用いて脱保護する。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、最終生成物を精製する。3−(アミノヘキサン)−イクサベピロン−オアートを電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。
【1077】
段階4:CDP−C(O)−O−イクサベピロンの合成(スキーム14):
スキーム14
【化477】
[この文献は図面を表示できません]
式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)の整数である。
CDP−COOH(50mg、0.011mmol)をMeOH(2.0mL)に溶解させる。次いでイクサベピロン−ε−アミノヘキサノアートのC−3誘導体(14.7mg、0.024mmol)を混合物に加え、数分間攪拌して、透明な溶液を得る。次いで、EDCI(6.1mg、0.032mmol)およびTEA(3.8mg、0.038mmol)を加え、反応物を周囲温度で3時間攪拌する(スキーム14)。反応混合物を0.1mLの溶液まで減少させ、Et
2O(1.5mL)中で沈殿させる。ポリマーコンジュゲートをDMF(0.1mL)に再び溶解させ、アセトン(1.5mL)に加えて、ポリマーコンジュゲートを沈殿させる。ポリマーコンジュゲートをアセトン(1mL)で2回洗浄し、nanopure水(3mL)に溶解させた後、0.2μmフィルター膜でろ過し、凍結乾燥させてCDP−C(O)−O−イクサベピロンを得る。
【1078】
CDP−ホスホンアミド−エポチロンBの合成
Fmoc−NH−(CH
2)
2−PO(OH)
2の合成
2−アミノエチルホスホン酸(5.0g、0.040mol)をテトラヒドロフラン/水の混合物(1:1)(40mL)に溶解させる。この混合物にTHF(10mL)中のFmoc N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(16g、0.048mmol)を氷浴中で徐々に加え、1/2時間攪拌する。これを周囲温度でさらに2時間攪拌する。真空下で溶媒を蒸発させる(スキーム15)。
スキーム15
【化478】
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【1079】
NH
2−(CH
2)
2−PO(OH)−NH−エポチロンの合成
Fmoc−NH−(CH
2)2−PO(OH)
2(3.0g、8.6mmol)を塩化メチレン(100mL)に溶解させる。N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(2.1g、10mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(1.2g、10mmol)を氷浴中でこの溶液に加える。混合物を氷浴中で1/2時間攪拌し、周囲温度でさらに1時間攪拌する。エポチロンB類似体(5.4g、10mmol)を混合物に加え、さらに3時間攪拌する。白色沈殿物をろ過除去する。有機層をブラインで洗浄し、MgS0
4上で乾燥させる。有機層を真空下で除去して、固体生成物を得る。この固体をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製する。メタノール混合物中のピペリジンを用いて生成物を脱保護する。有機層を減圧し、さらなる精製を行わずに用いる(スキーム16)。
スキーム16
【化479】
[この文献は図面を表示できません]
【1080】
CDP−NH
2−(CH
2)
2−PO(OH)−NH−エポチロンBの合成
CDP(1.0g、0.21mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、20mL)に溶解させる。NH
2−(CH
2)
2−PO(OH)−NH−エポチロン(300mg、0.46mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.080mL、0.46mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(120mg、0.62mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(52mg、0.46mmol)をポリマー溶液に加え、4時間攪拌する。酢酸エチル(100mL)でポリマーを沈殿させ、アセトン(50mL)ですすぐ。沈殿物をpH8の水(100mL)に溶解させる。この溶液を、25,000MWCO膜(Spectra/Por7)を用いて、水中で24時間透析する。これを0.2μmフィルター(Nalgene)でろ過し、凍結乾燥させて白色固体を得る(スキーム17)。
スキーム17
【化480】
[この文献は図面を表示できません]
式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)である。
【1081】
CDP−C(O)−O−KOS−1584の合成
方法A:リンカーを直接KOS−1584に結合させ、混合物を分離し、脱保護し、次いでCDPとカップリングさせる
段階1:KOS−1584−ε−TROC−アミノヘキサノアートの合成(スキーム18):
スキーム18
【化481】
[この文献は図面を表示できません]
KOS−1584(20mg、0.041mmol)およびε−TROC−アミノヘキサン酸(16.3mg、0.0585mmol)を、N
2下で無水DCM(10mL)に溶解させる。得られた透明な溶液に、DCC(13.4mg、0.065mmol)およびDMAP(7.9mg、0.065mmol)を加える(スキーム18)。次いで、反応混合物を室温で12時間攪拌する。次いで溶媒を蒸発させ、得られた残留物を最少量のクロロホルムに溶解させる。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いた精製により、所望のC−3およびC−7誘導体を単離することができる。誘導体を電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。次の合成段階でKOS−1584−ε−TROC−アミノヘキサノアートのC−7誘導体を例として用いる。
【1082】
段階2:KOS−1584−ε−アミノヘキサノアートの合成(スキーム19):
スキーム19
【化482】
[この文献は図面を表示できません]
KOS−1584−ε−TROC−アミノヘキサノアートのC−7誘導体(15mg、0.019mmol)および塩化アンモニウム(103mg、1.93mmol)を合わせて、水3ml中で混合する。激しく攪拌しながら、エネルギー(例えば、熱、超音波処理、マクロ波または紫外線照射)の投入と共にZn粉(101mg、1.54mmol)を加え(Martinら(2000)Angewandte Chemie International Edition 39(3),581−583)、さらに20分間攪拌する。得られた溶液をろ過して酸化亜鉛を除去し、次いで熱水で洗浄する。生成物をジクロロメタン中に抽出し、MgSO
4上で乾燥させる。有機溶媒の蒸発後、フラッシュクロマトグラフィーにより粗生成物の精製を行う。次いで精製された生成物を、電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。
【1083】
段階3:CDP−C(O)−O−KOS−1584の合成(スキーム20):
スキーム20
【化483】
[この文献は図面を表示できません]
式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)である。
CDP−COOH(50mg、0.011mmol)をMeOH(2.0mL)に溶解させる。次いでKOS−1584−ε−アミノヘキサノアートのC−7誘導体(14.7mg、0.024mmol)を混合物に加え、数分間攪拌して、透明な溶液を得る。EDCI(6.1mg、0.032mmol)およびTEA(3.8mg、0.038mmol)を加え、反応物を周囲温度で3時間攪拌する(スキーム20)。得られた反応混合物を0.1mLの溶液まで減少させ、Et
2O(1.5mL)中で沈殿させる。ポリマーコンジュゲートをDMF(0.1mL)に再び溶解させ、アセトン(1.5mL)に加えて、ポリマーコンジュゲートを沈殿させる。次いで、ポリマーコンジュゲートをアセトン(1mL)で2回洗浄し、nanopure水(3mL)に溶解させた後、0.2μmフィルター膜でろ過し、凍結乾燥させてCDP−C(O)−O−KOS−1584を得る。付加量を、標準曲線を用いてUV−Vis分光測定法により決定する。粒子サイズをZetasizerにより決定する。
【1084】
方法B:シリル保護基で選択的に保護し、リンカーを加え、次いで脱保護した後、CDPとコンジュゲートさせる
段階1:3−tert−ブチルジメチルシリルKOS−1584または7−tert−ブチルジメチルシリルKOS−1584の合成(スキーム21):
スキーム21
【化484】
[この文献は図面を表示できません]
KOS−1584(20mg、0.041mmol)およびtert−ブチルジメチルシリルクロリド(8.3mg、0.055mmol)をN
2雰囲気下、無水DMF(5mL)中で混合する(OH基の選択的保護を行うために、代わりにトリクロロエトキシクロロホルマート、TROCまたは他の任意のかさ高い保護基を使用し得る)。得られた透明な溶液に、イミダゾール(10.7mg、0.158mmol)を加え(スキーム21)、反応物を周囲温度で24時間攪拌する。溶媒を蒸発させ、残留物を最少量のクロロホルムに溶解させる。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製した後、所望のC−3およびC−7誘導体が単離される。誘導体を電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。次の合成段階でTBS−KOS−1584のC−7誘導体を例として用いる。
【1085】
段階2:7−(tert−ブチルジメチルシリル)−3−(TROC−アミノヘキサノアート)−KOS−1584の合成(スキーム22):
スキーム22
【化485】
[この文献は図面を表示できません]
7−tert−ブチルジメチルシリルKOS−1584(20mg、0.032mmol)およびε−TROC−アミノヘキサン酸(12.0mg、0.039mmol)をN
2下、無水DCM(2mL)中で一緒に攪拌する。得られた透明な溶液に、EDC.HCl(11.1mg、0.058mmol)およびDMAP(7.08mg、0.058mmol)を加える(スキーム22)。次いで、反応混合物を22℃で12時間攪拌する。次いで溶媒を蒸発させ、得られた残留物を最少量のクロロホルムに溶解させる。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、粗生成物を精製する。生成物を電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。
【1086】
段階3:3−(アミノヘキサノアート)−KOS−1584の合成(スキーム23):
スキーム23
【化486】
[この文献は図面を表示できません]
7−(tert−ブチルジメチルシリル)−3−(TROC−アミノヘキサン)−KOS−1584を、エネルギー(例えば、熱、超音波処理、マクロ波または紫外線照射)の投入と共にZn/NH
4Cl、次いでアセトニトリルとHF/ピリジンの溶液を用いて脱保護する。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、最終生成物を精製する。3−(アミノヘキサン)−KOS−1584を電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。
【1087】
段階4:CDP−C(O)−O−KOS−1584の合成(スキーム24):
スキーム24
【化487】
[この文献は図面を表示できません]
式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)の整数である。
CDP−COOH(50mg、0.011mmol)をMeOH(2.0mL)に溶解させる。次いでKOS−1584−ε−アミノヘキサノアートのC−3誘導体(14.3mg、0.024mmol)を混合物に加え、数分間攪拌して、透明な溶液を得る。次いで、EDCI(6.1mg、0.032mmol)およびTEA(3.8mg、0.038mmol)を加え、反応物を周囲温度で3時間攪拌する(スキーム24)。反応混合物を0.1mLの溶液まで減少させ、Et
2O(1.5mL)中で沈殿させる。ポリマーコンジュゲートをDMF(0.1mL)に再び溶解させ、アセトン(1.5mL)に加えて、ポリマーコンジュゲートを沈殿させる。ポリマーコンジュゲートをアセトン(1mL)で2回洗浄し、nanopure水(3mL)に溶解させた後、0.2μmフィルター膜でろ過し、凍結乾燥させてCDP−C(O)−O−KOS−1584を得る。付加量を標準曲線を用いてUV−Vis分光測定法により決定し、粒子サイズをZetasizerにより決定する。
【1088】
CDP−アミド−エポチロンBの合成
CDP−アミド−エポチロンBの合成法
CDP(1.0g、0.21mmol)を無水N,Nu−ジメチルホルムアミド(DMF、20mL)に溶解させる。次いで、エポチロンB類似体(250mg、0.46mmol),N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.080mL,0.46mmol),N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(120mg、0.62mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(52mg、0.46mmol)をポリマー溶液に加え、4時間攪拌する。酢酸エチル(100mL)でポリマーを沈殿させ、次いでアセトン(50mL)ですすぐ。HClでの酸性化により調製したpH3の水(100mL)に沈殿物を溶解させる。この溶液をpH3の水で24時間、25,000MWCO膜(Spectra/Por7)を用いて透析し、0.2μmフィルター(Nalgene)でろ過し、凍結乾燥させて白色固体を得る(スキーム25)
スキーム25
【化488】
[この文献は図面を表示できません]
式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)の整数である。
【1089】
CDP−C(O)−O−サゴピロンの合成
方法A:リンカーを直接サゴピロンに結合させ、混合物を分離し、脱保護し、次いでCDPとカップリングさせる
段階1:サゴピロン−ε−TROC−アミノヘキサノアートの合成(スキーム26):
スキーム26
【化489】
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サゴピロン(20mg、0.037mmol)およびε−TROC−アミノヘキサン酸(16.3mg、0.0585mmol)を、N
2下で無水DCM(10mL)に溶解させる。得られた透明な溶液に、DCC(13.4mg、0.065mmol)およびDMAP(7.9mg、0.065mmol)を加える(スキーム26)。次いで、反応混合物を室温で12時間攪拌する。次いで溶媒を蒸発させ、得られた残留物を最少量のクロロホルムに溶解させる。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーを用いた精製により、所望のC−3およびC−7誘導体を単離することができる。誘導体を電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。次の合成段階でサゴピロン−ε−TROC−アミノヘキサノアートのC−7誘導体を例として用いる。
【1090】
段階2:サゴピロン−ε−アミノヘキサノアートの合成(スキーム27):
スキーム27
【化490】
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サゴピロン−ε−TROC−アミノヘキサノアートのC−7誘導体(15mg、0.018mmol)および塩化アンモニウム(100mg、1.88mmol)を合わせて、水3ml中で混合する。激しく攪拌しながら、エネルギー(例えば、熱、超音波処理、マクロ波または紫外線照射)の投入と共にZn粉(98mg、1.51mmol)を加え(Martinら(2000)Angewandte Chemie International Edition 39(3),581−583)、さらに20分間攪拌する。得られた溶液をろ過して酸化亜鉛を除去し、次いで熱水で洗浄する。生成物をジクロロメタン中に抽出し、MgSO
4上で乾燥させる。有機溶媒の蒸発後、得られた生成物の精製をフラッシュクロマトグラフィーにより行う。次いで精製された生成物を、電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。
【1091】
段階3:CDP−C(O)−O−サゴピロンの合成(スキーム28):
スキーム28
【化491】
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式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)である。
CDP−COOH(50mg、0.011mmol)をMeOH(2.0mL)に溶解させる。次いでサゴピロン−ε−アミノヘキサノアートのC−7誘導体(15.6mg、0.024mmol)を混合物に加え、数分間攪拌して、透明な溶液を得る。EDCI(6.1mg、0.032mmol)およびTEA(3.8mg、0.038mmol)を加え、反応物を周囲温度で3時間攪拌する(スキーム28)。得られた反応混合物を0.1mLの溶液まで減少させ、Et
2O(1.5mL)中で沈殿させる。ポリマーコンジュゲートをDMF(0.1mL)に再び溶解させ、アセトン(1.5mL)に加えて、ポリマーコンジュゲートを沈殿させる。次いで、ポリマーコンジュゲートをアセトン(1mL)で2回洗浄し、nanopure水(3mL)に溶解させた後、0.2μmフィルター膜でろ過し、凍結乾燥させてCDP−C(O)−O−サゴピロンを得る。付加量を、標準曲線を用いてUV−Vis分光測定法により決定する。粒子サイズをZetasizerにより決定する。
方法B:シリル保護基で選択的に保護し、リンカーを加え、次いで脱保護した後、CDPとコンジュゲートさせる
段階1:3−tert−ブチルジメチルシリルサゴピロンまたは7−tert−ブチルジメチルシリルサゴピロンの合成(スキーム29):
スキーム29
【化492】
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サゴピロン(20mg、0.037mmol)およびtert−ブチルジメチルシリルクロリド(8.3mg、0.055mmol)をN
2雰囲気下、無水DMF(5mL)中で混合する(OH基の選択的保護を行うために、代わりにトリクロロエトキシクロロホルマート、TROCまたは他の任意のかさ高い保護基を使用し得る)。得られた透明な溶液に、イミダゾール(10.7mg、0.158mmol)を加え(スキーム4)、反応物を周囲温度で24時間攪拌する。溶媒を蒸発させ、残留物を最少量のクロロホルムに溶解させる。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより粗生成物を精製した後、所望のC−3およびC−7誘導体が単離される。誘導体を電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。次の合成段階でTBS−サゴピロンのC−7誘導体を例として用いる。
【1092】
段階2:7−(tert−ブチルジメチルシリル)−3−(TROC−アミノヘキサノアート)−サゴピロンの合成(スキーム30):
スキーム30
【化493】
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7−tert−ブチルジメチルシリルサゴピロン(20mg、0.030mmol)およびε−TROC−アミノヘキサン酸(12.0mg、0.039mmol)をN
2下、無水DCM(2mL)中で一緒に攪拌する。得られた透明な溶液に、EDC.HCl(11.1mg、0.058mmol)およびDMAP(7.08mg、0.058mmol)を加える(スキーム30)。次いで、反応混合物を22℃で12時間攪拌する。次いで溶媒を蒸発させ、得られた残留物を最少量のクロロホルムに溶解させる。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、粗生成物を精製する。生成物を電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。
【1093】
段階3:3−(アミノヘキサノアート)−サゴピロンの合成(スキーム31):
スキーム31
【化494】
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7−(tert−ブチルジメチルシリル)−3−(TROC−アミノヘキサン)−サゴピロン−オアートを、エネルギー(例えば、熱、超音波処理、マクロ波または紫外線照射)の投入と共にZn/NH
4Cl、次いでアセトニトリルとHF/ピリジンの溶液を用いて脱保護する。移動相としてクロロホルム/メタノールを用いるフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、最終生成物を精製する。3−(アミノヘキサン)−サゴピロンを電子スプレー質量分光測定法(m/z)、HPLCおよび
1H−NMRにより分析する。
【1094】
段階4:ポリ−CD−ヘキサ−C(O)−O−サゴピロン(CDP−C(O)−O−サゴピロン)の合成(スキーム32):
スキーム32
【化495】
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式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)の整数である。
CDP−COOH(50mg、0.011mmol)をMeOH(2.0mL)に溶解させる。次いでサゴピロン−ε−アミノヘキサノアートのC−3誘導体(15.5mg、0.024mmol)を混合物に加え、数分間攪拌して、透明な溶液を得る。次いで、EDCI(6.1mg、0.032mmol)およびTEA(3.8mg、0.038mmol)を加え、反応物を周囲温度で3時間攪拌する(スキーム32)。反応混合物を0.1mLの溶液まで減少させ、Et
2O(1.5mL)中で沈殿させる。ポリマーコンジュゲートをDMF(0.1mL)に再び溶解させ、アセトン(1.5mL)に加えて、ポリマーコンジュゲートを沈殿させる。ポリマーコンジュゲートをアセトン(1mL)で2回洗浄し、nanopure水(3mL)に溶解させた後、0.2μmフィルター膜でろ過し、凍結乾燥させてCDP−C(O)−O−サゴピロンを得る。付加量を標準曲線を用いてUV−Vis分光測定法により決定する。粒子サイズをZetasizerにより決定する。
【1095】
CDP−SS−イクサベピロン(カルボナート)の合成
CDP−SS−Pyの合成
CDP(67kD、2.0g、0.41mmole)、ピリジンジチオエチルアミン塩酸塩(180mg、0.83mmole)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、240mg、1.2mmole)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS、95mg、0.83mmole)の混合物を無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、20mL)に溶解させ、次いで無水N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、0.14mL、0.83mmole)を加える。反応混合物をアルゴン下、室温で4時間攪拌する。次いで、この混合物を酢酸エチル(EtOAc、100mL)に加えてポリマーを沈殿させる。透析を行わずにポリマーをさらに清澄化するために、沈殿を複数回行ってポリマーを精製する。ポリマーをメタノール(MeOH、20mL)に再び溶解させ、ジエチルエーテル(Et
2O、100mL)中で沈殿させる。再沈殿による精製を2回行う。次いでポリマーを真空下で乾燥させて、白色固体を得る(スキーム33)。
【1096】
CDP−SHの合成
CDP−SS−Py(200mg、0.042mmol)をMeOH(2mL)に再び溶解させる。この反応混合物にジチオスレイトール(DTT,130mg、0.83mmol)を加え、1時間攪拌する(スキーム33)。次いでこれをEt
2O(20mL)中で沈殿させる。複数回の再沈殿によりポリマーを精製する。これをMeOH(2mL)に溶解させ、Et
2O(20mL)中に沈殿させる。この工程を2回繰り返す。ポリマーを真空下で乾燥させて、白色固体を得る。
スキーム33
【化496】
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イクサベピロンのピリジン−2−イルジスルファニルエチルエステル誘導体の合成
イクサベピロン(5mg、0.0099mmol)をジクロロメタン(CH
2Cl
2、1.5mL)に溶解させる。トリエチルアミン(TEA、5.6μL、0.040mmol)およびトルエン中20%のホスゲン(9.8μL、0.020mmol)を混合物に加え、1/2時間攪拌する。混合物をArでパージして、余分なホスゲンをすべて除去する。ピリジンジチオエタノール(3.7mg、0.020mmole)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、1.2mg、0.0099mmol)およびTEA(2.8μL、0.020mmol)を加え、さらに1時間攪拌する(スキーム34)。次いでこれを減圧乾燥させ、ジクロロメタンとメタノール(9:1)比を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色固体を得る。
スキーム34
【化497】
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CDP−SS−イクサベピロンの合成
CDP−SH(32mg、0.0070mmole)をMeOH(1.0mL)に溶解させる。イクサベピロンのピリジン−2−イルジスルファニルエチルエステル誘導体(5mg、0.070mmol)を混合物に加え、1時間攪拌する。次いで、N−エチルマレイミド(NEM、8.7mg、0.070mmole)を加えて反応を停止させ、さらに1時間攪拌する(スキーム35)。反応混合物を0.1mLの溶液まで減少させ、次いでEt
2O(1mL)中で沈殿させる。ポリマーコンジュゲートをDMF(0.1mL)に再び溶解させ、アセトン(1mL)に加えて、ポリマーコンジュゲートを沈殿させる。ポリマーコンジュゲートをアセトン(1mL)で2回洗浄する。これをnanopure水(3mL)に溶解させた後、0.2μmフィルター膜でろ過し、凍結乾燥させてCDP−イクサベピロンを得る。異性体の混合物(例えば、3位および/または7位でのアシル化)が形成された場合、異性体生成物を分離することができる(例えば、フラッシュクロマトグラフィーを用いて)。
スキーム35
【化498】
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式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)の整数である。
【1097】
CDP−SS−イクサベピロン(カルバマート)の合成
CDP−SS−Pyの合成
CDP(67kD、2.0g、0.41mmole)、ピリジンジチオエチルアミン塩酸塩(180mg、0.83mmole)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI、240mg、1.2mmole)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(NHS、95mg、0.83mmole)の混合物を無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、20mL)に溶解させ、次いで無水N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA、0.14mL、0.83mmole)を加えた。反応混合物ををアルゴン下、室温で4時間攪拌した。次いで、この混合物を酢酸エチル(EtOAc、100mL)に加えてポリマーを沈殿させた。透析を行わずにポリマーをさらに清澄化するために、沈殿を複数回行った。ポリマーをメタノール(MeOH、20mL)に再び溶解させ、ジエチルエーテル(Et
2O、100mL)中で沈殿させた。再沈殿による精製を2回行った。次いでポリマーを真空下で乾燥させて、白色固体を得た(スキーム36)。
【1098】
CDP−SHの合成
CDP−SS−Py(200mg、0.042mmol)をMeOH(2mL)に溶解させた。この反応混合物にジチオスレイトール(DTT、130mg、0.83mmol)を加え、1時間攪拌した(スキーム36)。次いでこれをEt
2O(20mL)中で沈殿させた。複数回の再沈殿によりポリマーを精製した。これをMeOH(2mL)に溶解させ、Et
2O(20mL)中に2回沈殿させた。ポリマーを真空下で乾燥させて、白色固体を得た。
スキーム36
【化499】
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式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)の整数である。
【1099】
イクサベピロンのピリジン−2−イルジスルファニルエチルアミド誘導体の合成
イクサベピロン(5mg、0.0099mmol)をジクロロメタン(CH
2Cl
2、1.5mL)に溶解させた。トリエチルアミン(TEA、5.6μL、0.040mmol)およびトルエン中20%のホスゲン(9.8μL、0.020mmol)を混合物に加え、1/2時間攪拌した。混合物をArでパージして、余分なホスゲンをすべて除去した。ピリジンジチオエタノール(3.7mg、0.020mmole)、DIEA(2.8μL、0.020mmol)を加え、さらに1時間攪拌した(スキーム37)。次いでこれを減圧乾燥させ、ジクロロメタンとメタノール(9:1)比を用いたフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、白色固体を得た((5.2mg、収率49%)。これを電子スプレー質量分析法により確認した(m/z予測値718.99;実測値741.48M+Na)。
スキーム37
【化500】
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CDP−SS−イクサベピロンの合成
CDP−SH(32mg、0.0070mmole)をMeOH(1.0mL)に溶解させた。イクサベピロンのピリジン−2−イルジスルファニルエチルアミド誘導体(5mg、0.070mmol)を混合物に加え、1時間攪拌した。次いで、N−エチルマレイミド(NEM、8.7mg、0.070mmole)を加えて反応を停止させ、さらに1時間攪拌した(スキーム38)。反応混合物を0.1mLの溶液まで減少させ、Et
2O(1mL)中で沈殿させた。ポリマーコンジュゲートをDMF(0.1mL)に再び溶解させ、アセトン(1mL)に加えて、ポリマーコンジュゲートを沈殿させた。ポリマーコンジュゲートをアセトン(1mL)で2回洗浄した。これをnanopure水(3mL)に溶解させた後、0.2μmフィルター膜でろ過し、凍結乾燥させてCDP−イクサベピロンを得た(19mg、収率58%)。付加量は、標準曲線を用いたUV−Vis分光測定法により11.2%w/wであると決定された。粒子サイズは49.0nmであると決定された。異性体の混合物(例えば、3位および/または7位でのアシル化)が形成された場合、異性体生成物を分離する(例えば、フラッシュクロマトグラフィーを用いて)。
スキーム38
【化501】
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式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)の整数である。
【1100】
実施例10:様々なCDP−プロテアソーム阻害剤の合成
以下のすべての関連する名称および構造において、用語CDP
0.5は、CDPポリマーの各シクロデキストリン単位に、薬物へのリンカーおよび/またはリンカーコンジュゲートが2分子まで結合し得るということを表し、シクロデキストリン単位の数は、CDPポリマーの全分子量により決定される。
【1101】
(アミノエチル)(ヒドロキシエチル)アミン系ボロン酸とのCDPコンジュゲートの合成―ボルテゾミブの[(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)−(2−メチルアミノエチル)−(2−ヒドロキシエチル)]アミンとのコンジュゲート
【化502】
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段階1:(6−ベンジルオキシカルボニルアミノヘキシル)(2−ヒドロキシエチル)アミン:
Pellaciniら(米国特許第6455576号)により記載されているものと同様の方法で、6−ベンジルオキシカルボニルアミノヘキサノールから表題化合物を調製する。
【1102】
【化503】
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段階2:(6−ベンジルオキシカルボニルアミノヘキシル)−((2−t−ブトキシカルボニル(butloxycarbonyl))メチルアミノエチル)−(2−ヒドロキシエチル)アミン:
Ackermanら(米国特許出願公開第2005065210号)により記載されているものと同様の方法で、((2−t−ブトキシカルボニル)メチルアミノエタノールおよび(6−ベンジルオキシカルボニルアミノヘキシル)(2−ヒドロキシエチル)アミン(段階1による)から表題化合物を調製する。
【1103】
【化504】
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段階3:(6−アミノヘキシル)−((2−ベンジルオキシカルボニル)メチルアミノエチル)−(2−ヒドロキシエチル)アミン:
(6−ベンジルオキシカルボニルアミノヘキシル)−((2−t−ブトキシカルボニル)メチルアミノエチル)−(2−ヒドロキシエチル)アミンをMeOH(10倍体積)に溶解させる。混合物を5分間攪拌して、透明な溶液を得る。5%Pd/C(200mg、水分50%)を加える。フラスコの真空排気を1分間行い、次いで、バルーンを用いてH
2で満たす。反応物を3時間または反応が終了するまで、周囲温度で攪拌する。LC/MSおよび
1H−NMRで構造を確認する。
【1104】
【化505】
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段階4:(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)−((2−t−ブトキシカルボニル)メチルアミノエチル)−(2−ヒドロキシエチル)アミン:
100mL丸底フラスコに(6−アミノヘキシル)−((2−t−ブトキシカルボニル)メチルアミノエチル)−(2−ヒドロキシエチル)アミン(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.0mmol)およびDMF(5mL)を加える。混合物を15分間攪拌して、透明な溶液を得る。DMF(20mL)中のCDP(1g)を加え、混合物を10分間攪拌する。EDC・HCl(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.3mmol)、DMAP(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり1.0mmol)およびTEA(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり5.0mmol)を加え、反応物を6時間または反応終了まで周囲温度で攪拌する。反応物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。
1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1105】
【化506】
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段階5:(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)−(メチルアミノエチル)−(2−ヒドロキシエチル)アミン:
磁気撹拌棒を備えた丸底フラスコにCH
2Cl
2(5倍体積)中、(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)−((2−t−ブトキシカルボニル)メチルアミノエチル)−(2−ヒドロキシエチル)アミンを加える。これにTFA(5倍体積)を加える。反応物を3時間または反応が終了するまで、周囲温度で攪拌する。反応物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。
1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1106】
【化507】
[この文献は図面を表示できません]
段階6:ボルテゾミブの(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)−(メチルアミノエチル)−(2−ヒドロキシエチル)アミンとのコンジュゲート:
Hebelら(J.Org.Chem.2002,67,9452)に記載されているものと同様の方法で、ボルテゾミブ(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.0mmol)をDMFに溶解させ、(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)−(メチルアミノエチル)−(2−ヒドロキシエチル)アミン(1g)のDMF溶液および4Åの分子篩で処理する。室温で6時間後、反応混合物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。
1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1107】
1,2−アミノアルコール系ボロン酸とのCDPコンジュゲートの合成―ボルテゾミブの(8−(CDP
0.5−カルボキサミド)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−メチルアミノオクタンとのコンジュゲート:
【化508】
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段階1:(8−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−((t−ブトキシカルボニル)メチルアミノ)オクタン:
Ortizら(Tetrahedron 1999,55,4831)により記載されているものと同様の方法で、表題化合物を8−ベンジルオキシカルボニルアミノ−2−オクタノンから調製する。
1H−NMRおよびLC/MSで構造を確認する。
【1108】
【化509】
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段階2:(8−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(メチルアミノ)オクタン:
(8−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−((t−ブトキシカルボニル)メチルアミノ)オクタンをジオキサン中、4N HClに溶解させる。約1時間後、溶媒を蒸発乾固させて、生成物をその塩酸塩として得る。LC/MSおよび
1H−NMRで構造を確認する。
【1109】
【化510】
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段階3:ボルテゾミブの(8−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(メチルアミノ)オクタンとのコンジュゲート:
Hebelら(J.Org.Chem.2002,67,9452)により記載されているものと同様の方法で、ボルテゾミブ(1.0mmol)をDMFに溶解させ、(8−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(メチルアミノ)オクタン(1.0mmol)のDMF溶液および4Åの分子篩で処理する。室温で6時間後、反応混合物をMTBE(30mL)中に、オーバーヘッド攪拌しながら0.5時間にわたって加える。懸濁液をさらに0.5時間攪拌し、PPフィルターでろ過する。フィルターケーキを真空下で24時間乾燥させて、生成物を得る。
1H−NMRおよびLC/MSで構造を確認する。
【1110】
【化511】
[この文献は図面を表示できません]
段階4:ボルテゾミブの(8−アミノ−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(メチルアミノ)オクタンとのコンジュゲート:
磁気撹拌棒を備えた100mL丸底フラスコに、ボルテゾミブ(8−(ベンジルオキシカルボニルアミノ)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(メチルアミノ)オクタンのコンジュゲート[1mmol]、EtOAc(36mL)およびMeOH(0.5mL)を加える。混合物を5分間攪拌して、透明な溶液を得る。5%Pd/C(200mg、水分50%)を加える。混合物の真空排気を1分間行い、次いで、バルーンを用いてH
2で満たす。反応物を3時間または反応が終了するまで、周囲温度で攪拌する。混合物をセライト(登録商標)パッドでろ過して触媒を除去し、合わせたろ液を濃縮し、セライト(10g)のMTBE溶液(300mL)中に0.5時間にわたって、オーバーヘッド攪拌しながら加える。懸濁液をPPフィルターでろ過し、セライト(登録商標)/生成物複合体を周囲温度で16時間、空気乾燥させる。これをオーバーヘッド攪拌により0.5時間、アセトン(30mL)中に懸濁させる、ろ過する。フィルターケーキをアセトン(3×10mL)で洗浄する。ろ液を濃縮し、冷水(300mL)中に0.5時間にわたって、オーバーヘッド攪拌しながら加える。懸濁液をさらに0.5時間攪拌し、PPフィルターでろ過する。フィルターケーキを真空下で24時間乾燥させて、生成物を得る。
1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1111】
【化512】
[この文献は図面を表示できません]
段階5:ボルテゾミブの(8−(CDP
0.5−カルボキサミド)−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(メチルアミノ)オクタンとのコンジュゲート:
100mL丸底フラスコにボルテゾミブの(8−アミノ−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(メチルアミノ)オクタンとのコンジュゲート(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.0mmol)およびDMF(5mL)を加える。混合物を15分間攪拌して、透明な溶液を得る。CDP(1g)およびDMF(20mL)を加え、混合物を10分間攪拌する。EDC・HCl(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.3mmol)、DMAP(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり1.0mmol)およびTEA(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり5.0mmol)を加え、反応物を6時間または反応終了まで周囲温度で攪拌する。反応物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。
1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1112】
実施例3.1,2−ジオール系ボロン酸とのCDPコンジュゲートの合成―ボルテゾミブの(9−(CDP
0.5−カルボキサミド)−2,3−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルノナンとのコンジュゲート
方法A:
【化513】
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段階1:6−ビス−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−1−ヘキシン:
THF中の6−クロロ−1−ヘキシン(1.0mmol)を、DMF(10mL)中のビス(ベンジルオキシカルボニル)アミン(1.0mmol)および炭酸カリウム(1.2mmol)で処理する。16時間後、反応物をジエチルエーテルで希釈し、水、1N塩酸および飽和炭酸水素ナトリウムで順次洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、抽出物をろ過し、濃縮して粗生成物を得る。これをクロマトグラフィーにより精製する。1H−NMRおよびLC/MSで構造を確認する。
【化514】
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段階2:9−ビス−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2,3−ジヒドロキシ−2,3−ジメチル−4−ノニン:
6−ビス−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−1−ヘキシン(1.0mmol)をTHF中、−78℃でリチウムジイソプロピルアミドにより処理する。15分分後、THF中の3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノンを加える。−78で1時間後、飽和塩化アンモニウム溶液で反応物を反応停止させ、室温まで温める。次いで、反応混合物をジエチルエーテルで希釈し、水、1N塩酸および飽和炭酸水素ナトリウムで順次洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、抽出物をろ過し、溶媒を蒸発させて粗生成物を得る。これをクロマトグラフィーにより精製する。1H−NMRおよびLC/MSで構造を確認する。
【1113】
【化515】
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段階3:9−アミノ−2,3−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルノナン:
適切な大きさのフラスコに入った10%Pd/Cのメタノール懸濁液(基質1g当たり約1gの触媒)に、9−ビス−(ベンジルオキシカルボニル)アミノ−2,3−ジヒドロキシ−2,3−ジメチル−4−ノニンのメタノール溶液を加える。フラスコの真空排気を行い、1分後に水素ガスで満たす。反応終了後に、混合物をろ過して触媒と除去し、溶媒を蒸発させて、表題生成物を得る。
1H−NMRおよびLC/MSで構造を確認する。
【1114】
【化516】
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段階4:9−(CDP
0.5−カルボキサミド)−2,3−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルノナン:
100mL丸底フラスコに9−アミノ−2,3−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルノナン(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.0mmol)およびDMF(5mL)を加える。混合物を15分間攪拌して、透明な溶液を得る。CDP(1g)およびDMF(20mL)を加え、混合物を10分間攪拌する。EDC・HCl(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.3mmol)、DMAP(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり1.0mmol)およびTEA(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり5.0mmol)を加え、反応物を6時間または反応終了まで周囲温度で攪拌する。反応物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。
1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1115】
【化517】
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段階5:ボルテゾミブの9−(CDP
0.5−カルボキサミド)−2,3−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルノナンとのコンジュゲート:
Hebelら(J.Org.Chem.2002,67,9452)により記載されているものと同様の方法で、ボルテゾミブ(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.0mmol)をDMFに溶解させ、9−(CDP
0.5−カルボキサミド)−2,3−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルノナン(1g)のDMF溶液および4Å分子篩で処理する。室温で6時間後、反応混合物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1116】
方法B:
【化518】
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段階1:ボルテゾミブの9−アミノ−2,3−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルノナンとのコンジュゲート:
Hebelら(J.Org.Chem.2002,67,9452)により記載されているものと同様の方法で、ボルテゾミブ(1.0mmol)をDMFに溶解させ、9−アミノ−2,3−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルノナン(方法Aの段階3による)(1.0mmol)DMF溶液および4Å分子篩で処理する。室温で6時間後、反応混合物をMTBE(30mL)中に、オーバーヘッド攪拌しながら0.5時間にわたって加える。懸濁液をさらに0.5時間攪拌し、PPフィルターでろ過する。フィルターケーキを真空下で24時間乾燥させて、生成物を得る。1H−NMRおよびLC/MSで構造を確認する。
【1117】
【化519】
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段階2:ボルテゾミブの9−(CDP
0.5−カルボキサミド)−2,3−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルノナンとのコンジュゲート:
100mL丸底フラスコにボルテゾミブの9−アミノ−2,3−ジヒドロキシ−2,3−ジメチルノナンとのコンジュゲート(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.0mmol)およびDMF(5mL)を加える。混合物を15分間攪拌して、透明な溶液を得る。CDP(1g)およびDMF(20mL)を加え、混合物を10分間攪拌する。EDC・HCl(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.3mmol)、DMAP(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり1.0mmol)およびTEA(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり5.0mmol)を加え、反応物を6時間または反応終了まで周囲温度で攪拌する。反応物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1118】
実施例4.1,3−ジオール系ボロン酸とのCDPコンジュゲートの合成―ボルテゾミブの(6−(CDP
0.5−カルボキサミド)−1−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ヘキサンとのコンジュゲート
方法A:
【化520】
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段階1:6−(CDP
0.5−カルボキサミド)−1−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ヘキサン:
100mL丸底フラスコに6−アミノ−1−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ヘキサン(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.0mmol)およびDMF(5mL)を加える。混合物を15分間攪拌して、透明な溶液を得る。CDP(1g)およびDMF(20mL)を加え、混合物を10分間攪拌する。EDC・HCl(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.3mmol)、DMAP(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり1.0mmol)およびTEA(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり5.0mmol)を加え、反応物を6時間または反応終了まで周囲温度で攪拌する。反応物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。
1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1119】
【化521】
[この文献は図面を表示できません]
段階2:ボルテゾミブの(6−(CDP−カルボキサミド)−1−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ヘキサンとのコンジュゲート:
Hebelら(J.Org.Chem.2002,67,9452)により記載されているものと同様の方法で、ボルテゾミブ(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.0mmol)をDMFに溶解させ、6−(CDP
0.5−カルボキサミド)−1−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ヘキサン(1g)のDMF溶液および4Å分子篩で処理する。室温で6時間後、反応混合物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。
1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1120】
方法B:
【化522】
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段階1:ボルテゾミブの6−アミノ−1−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ヘキサンとのコンジュゲート:
Hebelら(J.Org.Chem.2002,67,9452)により記載されているものと同様の方法で、ボルテゾミブ(1.0mmol)をDMFに溶解させ、6−アミノ−1−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ヘキサン(1.0mmol)のDMF溶液および4Å分子篩で処理する。室温で6時間後、反応混合物をMTBE(30mL)中に、オーバーヘッド攪拌しながら0.5時間にわたって加える。懸濁液をさらに0.5時間攪拌し、PPフィルターでろ過する。フィルターケーキを真空下で24時間乾燥させて、生成物を得る。1H−NMRおよびLC/MSで構造を確認する。
【1121】
【化523】
[この文献は図面を表示できません]
段階2:ボルテゾミブの6−(CDP
0.5−カルボキサミド)−1−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ヘキサンとのコンジュゲート:
100mL丸底フラスコにボルテゾミブの6−アミノ−1−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ヘキサンとのコンジュゲート(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.0mmol)およびDMF(5mL)を加える。混合物を15分間攪拌して、透明な溶液を得る。CDP(1g)およびDMF(20mL)を加え、混合物を10分間攪拌する。EDC・HCl(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.3mmol)、DMAP(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり1.0mmol)およびTEA(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり5.0mmol)を加え、反応物を6時間または反応終了まで周囲温度で攪拌する。反応物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。
1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1122】
実施例5.ジエタノールアミン系ボロン酸とのCDPコンジュゲートの合成―ボルテゾミブの[(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)−ビス−(2−ヒドロキシエチル]アミンとのコンジュゲート
方法A:
【化524】
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段階1:ビス−(2−ヒドロキシエチル)ヘキシルアミン:
R.M.Peckら(J.Am.Chem.Soc.1959,81,3984)により記載されているものと同様の方法で、表題化合物を調製する。
【1123】
【化525】
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段階2:ビス−(2−ヒドロキシエチル)−[(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)アミン:
100mL丸底フラスコにビス−(2−ヒドロキシエチル)ヘキシルアミン(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.0mmol)およびDMF(5mL)を加える。混合物を15分間攪拌して、透明な溶液を得る。CDP(1g)およびDMF(20mL)を加え、混合物を10分間攪拌する。EDC・HCl(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.3mmol)、DMAP(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり1.0mmol)およびTEA(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり5.0mmol)を加え、反応物を6時間または反応終了まで周囲温度で攪拌する。反応物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。
1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1124】
【化526】
[この文献は図面を表示できません]
段階3:ボルテゾミブのビス−(2−ヒドロキシエチル)−[(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)アミンとのコンジュゲート:
Hebelら(J.Org.Chem.2002,67,9452)により記載されているものと同様の方法で、ボルテゾミブ(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.0mmol)をDMFに溶解させ、ビス−(2−ヒドロキシエチル)−[(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)アミン(1g)のDMF溶液および4Å分子篩で処理する。室温で6時間後、反応混合物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1125】
方法B:
【化527】
[この文献は図面を表示できません]
段階1:ボルテゾミブのビス−(2−ヒドロキシエチル)ヘキシルアミンとのコンジュゲート:
Hebelら(J.Org.Chem.2002,67,9452)により記載されているものと同様の方法で、ボルテゾミブ(1.0mmol)をDMFに溶解させ、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ヘキシルアミン(方法Aの段階1による)(1.0mmol)のDMF溶液および4Å分子篩で処理する。室温で6時間後、反応混合物をMTBE(30mL)中に、オーバーヘッド攪拌しながら0.5時間にわたって加える。懸濁液をさらに0.5時間攪拌し、PPフィルターでろ過する。フィルターケーキを真空下で24時間乾燥させて、生成物を得る。1H−NMRおよびLC/MSで構造を確認する。
【1126】
【化528】
[この文献は図面を表示できません]
段階2:ボルテゾミブのビス−(2−ヒドロキシエチル)−[(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)アミンとのコンジュゲート:
100mL丸底フラスコにボルテゾミブのビス−(2−ヒドロキシエチル)ヘキシルアミンとのコンジュゲート(2.0mmol)およびDMF(5mL)を加える。混合物を15分間攪拌して、透明な溶液を得る。CDP(1g)およびDMF(20mL)を加え、混合物を10分間攪拌する。EDC・HCl(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.3mmol)、DMAP(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり1.0mmol)およびTEA(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり5.0mmol)を加え、反応物を6時間または反応終了まで周囲温度で攪拌する。反応物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1127】
実施例6.イミノ二酢酸系ボロン酸のCDPコンジュゲートの合成―ボルテゾミブの[(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)−カルボキシメチルアミノ]−アセタートとのコンジュゲート
方法A:
【化529】
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段階1:t−ブチル−[(6−アミノヘキシル)−t−ブトキシカルボニルメチルアミノ]−アセタート塩酸塩:
M.Kruppaら(J.Am.Chem.Soc.2005,127,3362)により記載されているものと同様の方法で、N−CBZ−1,6−ジアミノ−ヘキサン(4.9mmol)をMeCN(20ml)に溶解させ、t−ブチルブロモ酢酸(10.6mmol)、炭酸カリウム(2.92g、21.1mmol)およびスパチュラ先端量のヨウ化カリウムと混合する。懸濁液を60℃で2日間攪拌し、TLC(酢酸エチル)によりモニターする。混合物をろ過し、水で希釈し、酢酸エチルで抽出する。硫酸ナトリウム上で乾燥させた後、有機溶媒を蒸発させて粗生成物を得る。カラムクロマトグラフィーを用いた精製により、CBZ−保護イミノ二酢酸中間体を得る。
【1128】
CBZ基を脱保護するために、精製された生成物をメタノール中、炭素上の10%Pd(50重量%)上で3時間、水素化する。反応終了後、ろ過により触媒を除去し、ろ液を蒸発乾固させて表題生成物を得る。LC/MSおよび1H−NMRで構造を確認する。
【1129】
【化530】
[この文献は図面を表示できません]
段階2:t−ブチル−[(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)−t−ブトキシカルボニルメチルアミノ]−アセタート:
100mL丸底フラスコにt−ブチル−[(6−アミノヘキシル)−t−ブトキシカルボニルメチルアミノ]−アセタート塩酸塩(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.0mmol)およびDMF(5mL)を加える。混合物を15分間攪拌して、透明な溶液を得る。CDP(1g)およびDMF(20mL)を加え、混合物を10分間攪拌する。EDC・HCl(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.3mmol)、DMAP(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり1.0mmol)およびTEA(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり5.0mmol)を加え、反応物を6時間または反応終了まで周囲温度で攪拌する。反応物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1130】
【化531】
[この文献は図面を表示できません]
段階3:[(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)−カルボキシメチルアミノ]−アセタート:
磁気撹拌棒を備えた100mL丸底フラスコに、t−ブチル−[(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)−t−ブトキシカルボニルメチルアミノ]−アセタート,CH
2Cl
2(5倍体積)およびTFA(5倍体積)を加える。反応物を1時間または反応が終了するまで、周囲温度で攪拌する。反応物を濃縮し、アセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1131】
【化532】
[この文献は図面を表示できません]
段階4:ボルテゾミブの[(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)−カルボキシメチルアミノ]−アセタートとのコンジュゲート:
Hebelら(J.Org.Chem.2002,67,9452)により記載されているものと同様の方法で、ボルテゾミブ(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.0mmol)をDMFに溶解させ、[(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)−カルボキシメチルアミノ]−アセタート(1g)のDMF溶液および4Å分子篩で処理する。室温で6時間後、反応物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。
【1132】
方法B:
【化533】
[この文献は図面を表示できません]
段階1:tert−ブチル−[(6−ベンジルオキシカルボニルアミノヘキシル)−tert−ブトキシカルボニルメチルアミノ]−アセタート:
M.Kruppaら(J.Am.Chem.Soc.2005,127,3362)により記載されている方法で、表題化合物を生成する。
【1133】
【化534】
[この文献は図面を表示できません]
段階2:[(6−ベンジルオキシカルボニルアミノヘキシル)−カルボキシメチルアミノ]−アセタート:
ジクロロメタン中のtert−ブチル−[(6−ベンジルオキシカルボニルアミノヘキシル)−tert−ブトキシカルボニルメチルアミノ]−アセタートにトリフルオロ酢酸を0℃で加える。1時間後、溶媒を蒸発させて表題生成物を得る。1H−NMRおよびLC/MSで構造を確認する。
【1134】
【化535】
[この文献は図面を表示できません]
段階3:ボルテゾミブの[(6−(ベンジルオキシカルボニルアミノヘキシル)−カルボキシメチルアミノ]−アセタートとのコンジュゲート:
Hebelら(J.Org.Chem.2002,67,9452)により記載されているものと同様の方法で、ボルテゾミブ(1.0mmol)をDMFに溶解させ、[(6−ベンジルオキシカルボニルアミノヘキシル)−カルボキシメチルアミノ]−アセタート(1.0mmol)のDMF溶液および4Å分子篩で処理する。室温で6時間後、反応混合物をMTBE(30mL)中に、オーバーヘッド攪拌しながら0.5時間にわたって加える。懸濁液をさらに0.5時間攪拌し、PPフィルターでろ過する。フィルターケーキを真空下で24時間乾燥させて、生成物を得る。
1H−NMRおよびLC/MSで構造を確認する。
【1135】
【化536】
[この文献は図面を表示できません]
段階4:ボルテゾミブの[(6−(アミノヘキシル)−カルボキシメチルアミノ]−アセタートとのコンジュゲート:
磁気撹拌棒を備えた100mL丸底フラスコに、ボルテゾミブの[(6−(ベンジルオキシカルボニルアミノヘキシル)−カルボキシメチルアミノ]−アセタートとのコンジュゲート[1.06mmol]、EtOAc(36mL)およびMeOH(0.5mL)を加える。混合物を5分間攪拌して、透明な溶液を得る。5%Pd/C(200mg、水分50%)を加える。混合物の真空排気を1分間行い、次いで、バルーンを用いてH
2で満たす。反応物を3時間または反応が終了するまで、周囲温度で攪拌する。混合物をMTBE(30mL)に0.5時間にわたって、オーバーヘッド攪拌しながら加える。懸濁液をさらに0.5時間攪拌し、PPフィルターでろ過する。フィルターケーキを真空下で24時間乾燥させて、生成物を得る。1H−NMRおよびLC/MSで構造を確認する。
【1136】
【化537】
[この文献は図面を表示できません]
段階5:ボルテゾミブの[(6−(CDP
0.5−カルボキサミドヘキシル)−カルボキシメチルアミノ]−アセタートとのコンジュゲート:
100mL丸底フラスコにボルテゾミブの[(6−(アミノヘキシル)−カルボキシメチルアミノ]−アセタートとのコンジュゲート(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.0mmol)およびDMF(5mL)を加える。混合物を15分間攪拌して、透明な溶液を得る。DMF(20mL)中のCDP(1g)を加え、混合物を10分間攪拌する。EDC・HCl(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり2.3mmol)、DMAP(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり1.0mmol)およびTEA(CDPポリマー中の推定されるシクロデキストリン単位数当たり5.0mmol)を加え、反応物を6時間または反応終了まで周囲温度で攪拌する。反応物をアセトンまたはアセトンとジエチルエーテルもしくはMTBEの混合物中に加える。得られた沈殿物を、ろ過または上清のデカンテーションにより分離する。次いで、沈殿物を水に溶解させ、25,000Da MWCOで3日間透析する。凍結乾燥した溶液を2μMフィルターでろ過し、ろ液を凍結乾燥させて表題生成物を得る。
1H−NMR、HPLCおよびGPCで構造を確認する。実施例1〜6で使用されているCDPポリマーは、アミノ基と反応し得る−COOHのような官能基を2つ有する、本明細書に記載の任意のCDPポリマーであり得る。一実施形態では、CDPポリマーは、以下の構造式により表される:
【化538】
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式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)の整数である。ボルテゾミブ以外の本明細書に記載のボロン酸含有プロテアソーム阻害剤を含むCDP−プロテアソーム阻害剤コンジュゲートは、実施例1〜6に記載のもの同様の方法で、適切な出発物質を用いて調製し得る。
【1137】
実施例11:CDP−ペメトレキセドの合成
材料および方法
全般
すべての無水溶媒、HPLCグレードの溶媒およびその他の一般的な有機溶媒は、業者から購入し、さらなる精製を行わずに使用する。親ポリマーであるポリ−CD−PEGは、既に記載されている通りに合成する(Chengら,Bioconjug Chem 2003,14(5):1007−17)。脱イオン水(18−MΩ−cm)は、自家製脱イオン水をMilli−Q Biocel Waterシステム(Millipore)に通すことにより入手する。NMRスペクトルは、Varian inova 400MHz分光計(Palo Alto、CA)で記録する。質量スペクトル(MS)解析は、Bruker FT−MS 4.7Tエレクトロスプレー質量分析器で行う。ポリマー試料のMWは、Viscotek 270 LALS−RALSシステムと連動したAgilent 1200RIで解析する。ゲムシタビン、ゲムシタビン誘導体およびポリマー−ゲムシタビンコンジュゲートは、Agilent1100 HPLCシステムで、C−18逆相カラムにより分析する。粒子サイズ測定は、Zetasizer nano−zs(シリアル番号mal1017190 Malvern instruments、Worcestershire、UK)で行う。
【1138】
CDP−NH−EG
2−α−O−グルタミン酸−LY231514の合成
CDP(1.0g、0.21mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、10mL)に溶解させる。NH
2−EG
2−α−O−グルタミン酸−LY231514(240mg、0.46mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.080mL、0.46mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(120mg、0.62mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(52mg、0.46mmol)をポリマー溶液に加え、4時間攪拌する。アセトン(100mL)でポリマーを沈殿させる。次いで、これをアセトン(50mL)ですすぐ。沈殿物を水(100mL)に溶解させる。溶液をTFF(30k MWCO)により水を用いて精製する。これを0.2μmフィルター(Nalgene)でろ過し、凍結保存する(スキーム39)。
【化539】
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スキーム39
式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)の整数である。
【1139】
CDP−NH−EG
2−γ−O−グルタミン酸−LY231514の合成
CDP(1.0g、0.21mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、10mL)に溶解させる。NH
2−EG
2−γ−O−グルタミン酸−LY231514(240mg、0.46mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.080mL、0.46mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(120mg、0.62mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(52mg、0.46mmol)をポリマー溶液に加え、4時間攪拌する。アセトン(100mL)でポリマーを沈殿させる。次いで、これをアセトン(50mL)ですすぐ。沈殿物を水(100mL)に溶解させる。溶液をTFF(30k MWCO)により水を用いて精製する。これを0.2μmフィルター(Nalgene)でろ過し、凍結保存する(スキーム40)。
【化540】
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スキーム40
式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)の整数である。
【1140】
実施例12:CDP−ゲムシタビンおよびCDP−ゲムシタビン誘導体の合成
材料および方法
全般
すべての無水溶媒、HPLCグレードの溶媒およびその他の一般的な有機溶媒は、業者から購入し、さらなる精製を行わずに使用する。親ポリマーであるポリ−CD−PEGは、既に記載されている通りに合成する(Chengら,Bioconjug Chem 2003,14(5):1007−17)。脱イオン水(18−MΩ−cm)は、自家製脱イオン水をMilli−Q Biocel Waterシステム(Millipore)に通すことにより入手する。NMRスペクトルは、Varian inova 400MHz分光計(Palo Alto、CA)で記録する。質量スペクトル(MS)解析は、Bruker FT−MS 4.7Tエレクトロスプレー質量分析器で行う。ポリマー試料のMWは、Viscotek 270 LALS−RALSシステムと連動したAgilent 1200RIで解析する。ゲムシタビン、ゲムシタビン誘導体およびポリマー−ゲムシタビンコンジュゲートは、Agilent1100 HPLCシステムで、C−18逆相カラムにより分析する。粒子サイズ測定は、Zetasizer nano−zs(シリアル番号mal1017190 Malvern Instruments、Worcestershire、UK)で行う。
【1141】
CDP−β−Ala−グリコール酸−O−ゲムシタビンの合成
CDP(1.0g、0.21mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、10mL)に溶解させる。β−Ala−グリコール酸−O−ゲムシタビン(180mg、0.46mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.080mL、0.46mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(120mg、0.62mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(52mg、0.46mmol)をポリマー溶液に加え、4時間攪拌する。アセトン(100mL)でポリマーを沈殿させる。次いで、これをアセトン(50mL)ですすぐ。沈殿物を水(100mL)に溶解させる。溶液をTFF(30k MWCO)により水を用いて精製する。これを0.2μmフィルター(Nalgene)でろ過し、凍結保存する(スキーム41)。
【化541】
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スキーム41
式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)の整数である。
【1142】
CDP−β−Ala−グリコール酸−NH−ゲムシタビン
CDP(1.0g、0.21mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、10mL)に溶解させる。β−Ala−グリコール酸−NH−ゲムシタビン(180mg、0.46mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.080mL、0.46mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(120mg、0.62mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(52mg、0.46mmol)をポリマー溶液に加え、4時間攪拌する。アセトン(100mL)でポリマーを沈殿させる。次いで、これをアセトン(50mL)ですすぐ。沈殿物を水(100mL)に溶解させる。溶液をTFF(30k MWCO)により水を用いて精製する。これを0.2μmフィルター(Nalgene)でろ過し、凍結保存する(スキーム42)。
【化542】
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スキーム42
式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)の整数である
【1143】
CDP−β−Ala−グリコール酸−メチル−PO
3−O−ゲムシタビンの合成
CDP(1.0g、0.21mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、10mL)に溶解させる。β−Ala−グリコール酸−メチル−PO
3−O−ゲムシタビン(230mg、0.46mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.080mL、0.46mmol)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(120mg、0.62mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(52mg、0.46mmol)をポリマー溶液に加え、4時間攪拌する。アセトン(100mL)でポリマーを沈殿させる。次いで、これをアセトン(50mL)ですすぐ。沈殿物を水(100mL)に溶解させる。溶液をTFF(30k MWCO)により水を用いて精製する。これを0.2μmフィルター(Nalgene)でろ過し、凍結保存する(スキーム43)。
【化543】
[この文献は図面を表示できません]
スキーム43
式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)の整数である。
【1144】
CDP−β−Ala−グリコール酸−NH−ゲムシタビン−PO
3Hの合成
CDP(1.0g、0.21mmol)を無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF,10mL)に溶解させる。β−Ala−グリコール酸−NH−ゲムシタビン−PO
3H(220mg、0.46mmol),N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.080mL,0.46mmol),N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(120mg、0.62mmol)およびN−ヒドロキシスクシンイミド(52mg、0.46mmol)をポリマー溶液に加え、4時間攪拌する。アセトン(100mL)でポリマーを沈殿させる。次いで、これをアセトン(50mL)ですすぐ。沈殿物を水(100mL)に溶解させる。溶液をTFF(30k MWCO)により水を用いて精製する。これを0.2μmフィルター(Nalgene)でろ過し、凍結保存する(スキーム44)。
【化544】
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スキーム44
式中、nは3400以下の分子量を有するPEGが生じる整数であり;かつmは1〜100(例えば、4〜20)の整数である。
【1145】
その他の実施形態は、特許請求の範囲に記載されている。