特許第5881290号(P5881290)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881290
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】X線撮影システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20060101AFI20160225BHJP
   A61B 6/04 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   A61B6/00 320Z
   A61B6/00 360Z
   A61B6/04 332P
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2010-280062(P2010-280062)
(22)【出願日】2010年12月16日
(65)【公開番号】特開2012-125434(P2012-125434A)
(43)【公開日】2012年7月5日
【審査請求日】2013年11月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000866
【氏名又は名称】特許業務法人三澤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】材木 隆二
(72)【発明者】
【氏名】郡司 輝臣
(72)【発明者】
【氏名】井川 勝家
【審査官】 九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−238232(JP,A)
【文献】 特開2005−185565(JP,A)
【文献】 特開2008−148925(JP,A)
【文献】 特開2006−314704(JP,A)
【文献】 特開2001−078964(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対してX線撮影を行うX線撮影部を保持し傾き可能な保持装置と、
前記被検体が載置されるチルト可能な天板と、
過去に前記X線撮影部により撮影されたときの前記保持装置の角度と前記天板のチルト角度とを含む撮影角度情報を付帯したX線撮影画像を複数記憶する記憶部と、
現在の前記天板のチルト角度を検出するチルト検出部と、
現在の前記保持装置の角度を検出する角度検出部と、
前記角度検出部により検出された角度前記チルト検出部により検出されたチルト角度に基づく前記保持装置の前記天板に対する角度と等しい前記撮影角度情報を有するX線撮影画像を前記記憶部から選択する選択部と、
選択された前記X線撮影画像を表示する表示部と、
を有するX線撮影システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線撮影システムは、天板上に載置された被検体に対してX線を曝射し、当該被検体を透過したX線を検出し、検出したX線強度の分布を示す画像を構成するシステムである。
【0003】
ここでX線撮影システムにおいては、被検体を様々な角度から撮影するために、天板を傾ける動作(以下、「チルト」という場合がある)を行うことがある。
【0004】
例えば、IVR(Interventional Radiology)においては、カテーテル手技と外科治療を並行して実施し、治療に当たる手法(Hybrid手技)が用いられることがある。この手技では、術者が施術し易くなるように天板をチルトさせることが多い。
【0005】
またX線撮影システムは、オートポジショニングやオートアングルの機能を有する。
【0006】
オートポジショニングとは、X線管等を保持する保持装置等の任意の位置を、任意の番号に関連付けて予め複数記録させておき、検査時に術者が所望の番号を入力することで、保持装置等が自動的にその番号に関連付けられた位置に配置される機能である。オートアングルとは、過去に収集された画像の付帯情報(撮影角度情報)に基づいて保持装置の角度を再現する機能である。
【0007】
これらの機能を実行することにより、被検体に対する保持装置の角度を所定の値に調整することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−121604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここでオートポジショニングやオートアングルを実行する場合、天板がチルトした状態にあっても、そのチルト角度を考慮せずに保持装置等の移動が行われていた。従って、術者が望む位置に保持装置を配置することが出来ず(天板のチルト角度だけズレた位置になる)、所望の方向からX線画像を取得することができなかった。
【0010】
実施形態では、上記課題を解決するために、天板のチルトを考慮することで所望の方向からX線画像を取得することが可能なX線撮影システムについて説明を行う。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、実施形態に記載のX線撮影システムは、被検体に対してX線撮影を行うX線撮影部を保持し傾き可能な保持装置と、前記被検体が載置されるチルト可能な天板と、過去に前記X線撮影部により撮影されたときの前記保持装置の角度と前記天板のチルト角度とを含む撮影角度情報を付帯したX線撮影画像を複数記憶する記憶部と、現在の前記天板のチルト角度を検出するチルト検出部と、現在の前記保持装置の角度を検出する角度検出部と、前記角度検出部により検出された角度前記チルト検出部により検出されたチルト角度に基づく前記保持装置の前記天板に対する角度と等しい前記撮影角度情報を有するX線撮影画像を前記記憶部から選択する選択部と、選択された前記X線撮影画像を表示する表示部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係るX線撮影システムの構成を示すブロック図である。
図2A】第1実施形態に係るX線撮影システムの構成を補足する図である。
図2B】第1実施形態に係るX線撮影システムの構成を補足する図である。
図3】第1実施形態に係るX線撮影システムによる処理の概要を示すフローチャートである。
図4】第1実施形態の変形例に係るX線撮影システムによる処理の概要を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係るX線撮影システムの構成を示すブロック図である。
図6】第2実施形態に係るX線撮影システムによる処理の概要を示すフローチャートである。
図7】第3実施形態に係るX線撮影システムの構成を示すブロック図である。
図8】第3実施形態に係るX線撮影システムによる処理の概要を示すフローチャートである。
図9】第4実施形態に係るX線撮影システムの構成を示すブロック図である。
図10】第4実施形態に係るX線撮影システムによる処理の概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第1実施形態>
図1から図3を用いて第1実施形態に係るX線撮影システム1の構成について説明する。
【0014】
<装置構成>
図1に示す通り、X線撮影システム1は、X線発生部2、X線検出部3、保持装置4、寝台5、駆動部6、チルト検出部7、記憶部8、算出部9、操作部10、及び制御部11を有する。X線撮影時にはX線発生部2とX線検出部3の間に被検体12が配置される。
【0015】
X線発生部2は、X線を発生し、被検体12の検査部位に対してX線を照射する機能を有している。X線発生部2は、高電圧を発生させる高電圧発生部(図示なし)から電圧が印加されることによりX線を発生するX線管球(図示なし)等を有している。
【0016】
X線検出部3は、X線発生部2から被検体12に対して照射され、被検体12を透過したX線を検出する機能を有している。検出されたX線は、例えばX線検出部3によりX線画像情報に変換される。このX線画像情報は、図示しない配線等を経由して記憶部8に送信され、記憶される。
【0017】
保持装置4は、X線発生部2及びX線検出部3を保持する。保持装置4は、例えばCアームと呼ばれるC文字の形状をしている。保持装置4は駆動部6により、寝台5の近傍で移動可能となっている。X線発生部2とX線検出部3とは、保持装置4に保持されることにより互いに対向する位置に設けられている。従ってX線発生部2とX線検出部3との間に被検体12を配置することができる。
【0018】
本実施形態においてはX線発生部2及びX線検出部3が「X線撮影部」を構成する。つまり保持装置4はX線撮影部を保持しているともいえる。
【0019】
寝台5は、移動可能な天板5aを有する。天板5aには、X線撮影の対象となる被検体12が載置される。また天板5aは駆動部6により移動、チルトされる。
【0020】
ここで図2A図2Bに示すように、本実施形態において、天板5aの「チルト」とは、天板5aを長手方向上下に傾けること(図2Aの矢印A方向)、或いは天板5aを短手方向上下に傾けること(図2Bの矢印B方向)をいう。
【0021】
また本実施形態においては、天板5aの長手方向に沿って被検体12が載置される。天板5aには被検体12の頭側が配置される前部51aと足側が配置される後部52aがある。また図2Aに示す通り、「CRA」(Carnial)とは、天板5aの短手方向を軸とした場合の前部51a方向への回転方向をいう。「CAU」(Caudal)とは、天板5aの短手方向を軸とした後部52a方向への回転方向をいう。また図2Bに示す通り、「LAO」(Left Anterior Oblique)とは、天板5aの長手方向を軸とした場合の左方向(紙面左方向)への回転方向をいう。「RAO」(Right Anterior Oblique)とは、天板5aの長手方向を軸とした場合の右方向(紙面右方向)への回転方向をいう。
【0022】
駆動部6は、保持装置4及び天板5aを移動させる機能を有している。駆動部6は、保持装置4及び天板5aを別々に駆動させることが可能である。つまり駆動部6は、保持装置4と天板5aを同時に駆動させることが可能であるし、保持装置4と天板5aのいずれか一方のみ(或いは2つのみ)を駆動させることも可能である。
【0023】
チルト検出部7は、天板5aのチルト角度を検出する機能を有している。チルト角度の検出は、例えば予め所定の座標軸を決めておき、その座標軸に対して天板5aがどれくらい傾いているかを検出することにより行う。また制御部11から駆動部6に送られた制御信号に基づいてチルト角度を検出することも可能である。
【0024】
チルト検出部7によるチルト角度の検出は、例えば操作部10による入力信号に基づき、制御部11がチルト検出部7の動作制御を開始することにより実行される。
【0025】
記憶部8は、過去の撮影時の撮影角度情報、及びX線検出部3による検出結果等を記憶する機能を有している。ここで「(過去の撮影時の)撮影角度情報」とは、ある装置で撮影を行った際の当該装置の傾き角度を示す情報をいう。
【0026】
本実施形態における撮影角度情報は、任意の識別子に関連付けられた保持装置4の位置を示す情報(位置情報。以下、「オートポジショニング情報」という場合がある)である。ここで当該識別子は、例えば番号(No.1、No.2・・・・・)である。このように番号を識別子として用いることにより、保持装置4の様々な位置を順序付けした上で識別することが可能となる。
【0027】
算出部9は、記憶部8に記憶された過去の撮影時の撮影角度情報、及びチルト検出部7で検出されたチルト角度に基づいて、撮影角度情報を補正するための補正角度を算出する機能を有している。本実施形態においては、保持装置4のオートポジショニング情報に対して、チルト検出部7で検出されたチルト角度を加味することにより、保持装置4のオートポジショニング情報を補正するための補正角度を算出する。ここで「補正角度」とは、記憶部8に記憶された撮影角度情報を調整する際に用いられる値である。
【0028】
操作部10は、X線撮影部によるX線撮影の開始・停止の指示入力や、保持装置4・天板5aの移動指示の入力等、X線撮影システム1の各種動作内容を入力するために用いられる。それによりX線撮影システム1に所望の動作を実行させることができる。また操作部10は別体でマウスやキーボード等の入力手段を含んでもよい。
【0029】
制御部11は、X線発生部2、X線検出部3、駆動部6、及びチルト検出部7等、X線撮影システム1の各構成の動作を制御する機能を有している。制御部11は、操作部10からの入力等により各構成の制御を開始・停止させることができる。制御部11は、例えば記憶部8に記憶されたプログラムに基づいて各構成の動作制御を行う。また本実施形態において、制御部11は、プログラムに基づいて所定の処理動作(後述)を実行する。
【0030】
<X線撮影システム1の動作>
次に図3を用いて本実施形態に係るX線撮影システム1の動作について述べる。
【0031】
まず、術者が操作部10により、複数あるオートポジショニング情報の中から、任意の情報を選択する。算出部9は選択されたオートポジショニング情報を記憶部8から読み出す(S10)。本実施形態において、選択されたオートポジショニング情報(位置情報)は、保持装置4及び天板5aの傾き角度を含んでいる。本実施形態では保持装置4がRAO方向に45deg傾いており、天板5aは傾きが0degであるとする。
【0032】
次にチルト検出部7は、現在の天板5aのチルト角度を検出する(S11)。本実施形態においては、チルト検出部7による検出の結果、天板5aがLAO方向(短手方向)に15degチルトしていたとする(長手方向へのチルトは無いものとする)。検出されたチルト角度を示す情報は、算出部9に送られる。
【0033】
次に算出部9は、S10で読み出したオートポジショニング情報と、S11で送られた現在の天板5aのチルト角度を示す情報とから、オートポジショニング情報を補正する補正角度の算出を行う(S12)。本実施形態において、術者は本来、天板5aの傾きがない状態でRAO方向に45degとなる保持装置4の位置でX線撮影を行いたいと考えている。従って、天板5aがLAO方向に15degチルトした状態で、そのオートポジショニング情報に基づいて保持装置4を移動させた場合、保持装置4は天板5aに対しては60deg移動したこととなる。そこで算出部9は、オートポジショニング情報に基づいて保持装置4が実際に移動した状態における天板5aに対する保持装置4の角度(RAO方向に60deg)とオートポジショニング情報(RAO方向に45deg)の値とから、補正角度として「RAO方向に−15deg」を算出する。算出された補正角度は、制御部11に送られる。
【0034】
次に制御部11は、S10で選択されたオートポジショニング情報とS12で算出された補正情報から保持装置4を移動させる角度を求める(S13)。本実施形態においては「RAO方向に45deg」と「RAO方向に−15deg」の情報から保持装置4を移動させる角度として「RAO方向に30deg」が求められる。
【0035】
なお、S13の角度を求める処理は、算出部9或いは駆動部6により実行されることでもよい。或いはX線撮影システム1がS13の角度を求めるための移動角度算出部(図示なし)を有する構成であってもよい。
【0036】
そして制御部11の制御に基づいて、駆動部6は、S13で求められた角度となるよう保持装置4を移動する(S14)。
【0037】
以上の操作が完了した後、操作部10からのX線撮影指示に基づき、被検体12のX線撮影が行われることとなる(S15)。
【0038】
<第1実施形態の作用効果>
本実施形態においては、X線撮影システム1が被検体12に対してX線撮影を行うX線撮影部を保持する保持装置4を有する。また天板5aは、被検体12が載置される。また記憶部8は、過去の撮影時の撮影角度情報を予め記憶する。またチルト検出部7は、天板5aのチルト角度を検出する。算出部9は、記憶部8に記憶された撮影角度情報、及びチルト検出部7により検出されたチルト角度に基づいて、撮影角度情報を補正するための補正角度を算出する。そして駆動部6は、撮影角度情報及び補正角度に基づく位置に保持装置4を移動させる。
【0039】
つまり、天板5aのチルト角度を考慮して保持装置4とX線撮影部との相対位置関係を調整することができる。従って、所望の方向からX線画像を取得することが可能となる。
【0040】
また本実施形態においては、撮影角度情報として任意の識別子に関連付けられた保持装置4の位置情報(すなわち、オートポジショニング情報)を用いる。算出部9は、位置情報及びチルト検出部7で検出されたチルト角度に基づいて、位置情報を補正する補正角度を算出する。そして駆動部6は、位置情報及び算出部9で算出された補正角度に基づく位置に保持装置4を移動させる。
【0041】
従って、オートポジショニングを実行する際、天板5aのチルト角度を考慮して保持装置4とX線撮影部との相対位置関係を調整することができる。つまり所望の方向からX線画像を取得することが可能となる。
【0042】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態においては撮影角度情報としてオートポジショニング情報を用いたがこれに限られない。例えばオートアングル情報を用いることも可能である。
【0043】
オートアングル情報とは、過去に収集された医用画像の付帯情報(撮影角度情報)をいう。医用画像を収集する医用装置としては例えばX線CT装置がある。
【0044】
X線CT装置は、被検体を様々な角度から撮影し、その撮影結果に基づいてCT画像(断層像や三次元画像)を再構成することができる。
【0045】
ここで、例えば三次元のCT画像を様々なビューアングルから観察した結果、術者が、あるアングルにおいてX線撮影システム1による撮影を行いたいという要望を抱く場合がある。
【0046】
この変形例では、そのような場合に有効な構成、すなわちCT画像に付帯する情報を用いてX線撮影システム1の保持装置4の角度を決定することが出来る構成について、第1実施形態と異なる構成を中心に説明を行う。
【0047】
<装置構成>
本変形例に係るX線撮影システム1は、第1実施形態と同様、X線発生部2、X線検出部3、保持装置4、寝台5、駆動部6、チルト検出部7、記憶部8、算出部9、操作部10、及び制御部11を有する(図1参照)。
【0048】
本実施形態において、記憶部8に記憶される撮影角度情報は、他の医療装置(図示なし)によって撮影された画像に付帯する情報である。例えばX線CT装置によって撮影されたCT画像には、ビューアングルに対応する撮影角度情報が付帯情報として存在する。記憶部8は、X線CT装置よりこれらの付帯情報を画像と共に受信し、記憶している。
【0049】
<X線撮影システム1の動作>
次に図4を用いて本変形例に係るX線撮影システム1の動作について述べる。なお本変形例においては、他の医療装置がX線CT装置であるとして説明を行う。また第1実施形態で述べた「CRA」、「CAU」、「LAO」、「RAO」の定義は、X線CT装置が有する天板(X線CT装置において被検体が載置される部分)に対しても成り立つものとする。
【0050】
まず、術者は、例えばX線撮影システム1の表示部(図示なし)おいて、X線CT装置によって撮影された三次元CT画像を観察し、X線撮影を行う所定のアングルを決定する(S20)。
【0051】
次に術者は操作部10により、S20で決定したアングルに対応する画像を選択する指示を行う。算出部9は当該選択に基づいて、記憶部8から対応する画像と共に付帯した撮影角度情報(オートアングル情報)を読み出す(S21)。本実施形態において、選択された画像には、オートアングル情報として「CAU方向に30deg。天板のチルトは0deg」という値が付帯しているものとする。
【0052】
次に操作部10からの入力に基づき、チルト検出部7は、現在の天板5aのチルト角度を検出する(S22)。本実施形態においては、チルト検出部7による検出の結果、天板5aがCAU方向に10degチルトしていたとする(短手方向へのチルトは無いものとする)。検出されたチルト角度を示す情報は、算出部9に送られる。
【0053】
次に算出部9は、S21で読み出したオートアングル情報と、S22で送られた現在の天板5aのチルト角度を示す情報とから、オートアングル情報を補正するための補正角度の算出を行う(S23)。本実施形態において、術者は本来、天板5aの傾きがない状態でCAU30degとなる保持装置4の位置でX線撮影を行いたいと考えている。従って、天板5aがCAU方向に15degチルトした状態で、そのオートアングル情報に基づいて保持装置4を移動させた場合、保持装置4は天板5aに対しては15deg移動したこととなる。そこで算出部9は、オートアングル情報に基づいて保持装置4が実際に移動した状態における天板5aに対する保持装置4の角度(CAU方向に15deg)とオートアングル情報(CAU方向に30deg)の値とから、補正角度として「CAU方向に15deg」を算出する。算出された補正角度は、制御部11に送られる。
【0054】
次に制御部11は、S21で選択されたオートアングル情報とS23で算出された補正情報から保持装置4を移動させる角度を求める(S24)。本実施形態においては「CAU方向に30deg」と「CAU方向に15deg」の情報から保持装置4を移動させる角度として「CAU方向に15deg」が求められる。
【0055】
なお、S24の角度を求める処理は、算出部9或いは駆動部6により実行されることでもよい。或いはX線撮影システム1がS24の角度を求めるための移動角度算出部(図示なし)を有する構成であってもよい。
【0056】
そして制御部11の制御に基づいて、駆動部6は、S24で求められた角度となるよう保持装置4を移動する(S25)。
【0057】
以上の操作が完了した後、操作部10からのX線撮影指示に基づき、被検体12のX線撮影が行われることとなる(S26)。
【0058】
<第1実施形態の変形例の作用効果>
本実施形態においては、撮影角度情報として他の医療装置によって撮影された画像の付帯情報を用いる。算出部9は、付帯情報、及びチルト検出部7で検出されたチルト角度に基づいて、付帯情報を補正するための補正角度を算出する。そして駆動部6は、付帯情報及び算出部9で算出された補正角度に基づく位置に保持装置4を移動させる。
【0059】
つまり、オートアングルを実行する場合であっても、天板5aのチルト角度を考慮して保持装置4の角度を調整することができる。従って、所望の方向からX線画像を取得することが可能となる。
【0060】
<第2実施形態>
次に図5図6を用いて、第2実施形態に係るX線撮影システム1の構成について説明を行う。なお第1実施形態と同様の構成については簡易に述べる。
【0061】
例えば、血管の閉塞状態を改善する手技において、その手技の前後にX線撮影を行い、得られたX線撮影画像を比較して血管の詰まり具合が改善されているかを確認する場合がある。このような場合に参照する手技前のX線撮影画像(以下、本実施形態において「過去画像」という場合がある)は、現在(手技後にX線撮影を行う時点)の保持装置4と天板5aの相対位置と同じ配置において得られたX線撮影画像であることが望ましい。
【0062】
本実施形態においては、天板5aのチルトを考慮して過去画像を取得する構成について説明を行う。
【0063】
<装置構成>
図5に示す通り、X線撮影システム1は、X線発生部2、X線検出部3、保持装置4、寝台5、駆動部6、チルト検出部7、記憶部8、操作部10、制御部11、角度検出部13、選択部14、及び表示部15を有する。X線撮影時にはX線発生部2とX線検出部3の間に被検体12が配置される。
【0064】
X線発生部2は、X線を発生し、被検体12の検査部位に対してX線を照射する機能を有している。X線検出部3は、X線発生部2から被検体12に対して照射され、被検体12を透過したX線を検出する機能を有している。保持装置4は、X線発生部2及びX線検出部3を保持する。本実施形態においてはX線発生部2及びX線検出部3が「X線撮影部」を構成する。つまり保持装置4はX線撮影部を保持しているともいえる。寝台5は、移動可能な天板5aを有する。天板5aには、X線撮影の対象となる被検体12が載置される。また天板5aは駆動部6により移動、チルトされる。駆動部6は、保持装置4及び天板5aを駆動させる機能を有している。チルト検出部7は、天板5aのチルト角度を検出する機能を有している。操作部10は、X線撮影システム1の各種動作内容を入力するために用いられる。制御部11は、X線撮影システム1の各構成の動作を制御する機能を有している。
【0065】
記憶部8は、X線撮影部によるX線撮影画像(過去画像)を複数記憶する機能を有している。なお、このX線撮影画像には、撮影された際の保持装置4の角度に関する情報及び天板5aのチルト角度(すなわち、撮影角度情報)が付帯情報として関連付けられている。
【0066】
角度検出部13は、保持装置4の天板5aに対する角度を検出する機能を有している。角度検出部13は、操作部10からの角度検出指示に基づいて、その時点での保持装置4の角度検出を行う。角度検出は、例えば、保持装置4と天板5aにそれぞれ角度センサ(図示なし)を設けておき、それぞれの角度センサの検出結果から保持装置4の天板5aに対する角度を検出することにより行う。或いは制御部11の制御情報に基づいて角度検出を行うことも可能である。
【0067】
なお、本実施形態においては、チルト検出部7と角度検出部13を別の構成として説明を行うが、これに限られない。例えば、角度検出部13において保持装置4の角度と天板5aのチルト角度の両方を検出することも可能である。
【0068】
選択部14は、角度検出部13により検出された角度、及びチルト検出部7により検出されたチルト角度に基づいて記憶部8に記憶されたX線撮影画像を選択する機能を有している。具体的には、選択部14は角度検出部13により検出された保持装置4の角度に天板5aのチルト角度を加味した角度を求める。そして選択部14は、その角度に等しい(或いは最も近い)撮影角度情報を付帯情報として有するX線撮影画像を記憶部8から選択する処理を行う。
【0069】
なお、選択部14で求められた角度に等しい撮影角度情報を有するX線撮影画像が無い場合には、等しい撮影角度情報を有するX線撮影画像が無い旨の警告表示を表示部15等に表示させることも可能である。
【0070】
表示部15は、選択部14により選択されたX線撮影画像を表示する機能を有している。表示部15は、例えばモニタ等の表示装置からなる。また本実施形態において、表示部15はX線撮影システム1の一部として説明を行うが、これに限られない。例えばX線撮影システム1とは別に設けられたコンピュータのモニタにX線画像等を表示させることも可能である。
【0071】
<X線撮影システム1の動作>
次に図6を用いて本実施形態に係るX線撮影システム1の動作について述べる。ここでは保持装置4、及び天板5aのある特定の位置関係において、過去に得られたX線撮影画像を確認したい場合について説明を行う。
【0072】
まず術者は操作部10により、特定の位置関係におけるX線撮影画像を読み出す操作入力を行う(S30)。
【0073】
S30における操作入力に基づいて、チルト検出部7は、現在の天板5aのチルト角度を検出する(S31)。本実施形態においては、チルト検出部7による検出の結果、天板5aがCRA方向に10degチルトしていたとする(短手方向へのチルトは無いものとする)。検出されたチルト角度を示す情報は、選択部14に送られる。
【0074】
またS30における操作入力に基づいて、角度検出部13は、保持装置4の天板5aに対する角度を検出する(S32)。本実施形態においては、角度検出部13による検出の結果、保持装置4が天板5aに対してRAO方向に30deg傾いていたとする。検出された保持装置4の角度を示す情報は、選択部14に送られる。
【0075】
なお、S31とS32のステップは同時に実行される必要はない。例えばS31の処理が完了した後にS32の処理を行うことでもよい。
【0076】
次に選択部14は、S31で送られた天板5aのチルト角度と、S32で送られた保持装置4の天板5aに対する角度とに基づいて、X線撮影画像を選択する処理を行う(S33)。本実施形態においては、天板5aがCRA方向に10degチルトしており、且つ保持装置4が天板5aに対してRAO方向に30deg傾いている。つまり現在の特定の位置関係に対応する過去のX線撮影画像は、CRA方向10deg且つRAO方向30degの条件で撮影されたものであるといえる。従って、選択部14は当該条件を付帯情報として有する過去画像を記憶部8から選択し、表示部15へ送る。
【0077】
なお、記憶部8に記憶されたX線撮影画像の付帯情報に当該条件に合致するものが無かった場合、選択部14はその条件に最も近い付帯情報を有するX線撮影画像を選択して、表示部15へ送ることも可能である。
【0078】
以上より、表示部15には選択部14により選択されたX線撮影画像が表示されることになる(S34)。
【0079】
<第2実施形態の作用効果>
本実施形態においては、X線撮影システム1が被検体12に対してX線撮影を行うX線撮影部を保持する保持装置4を有する。また天板5aは、被検体12が載置される。また記憶部8は、X線撮影部による被検体12のX線撮影画像を複数記憶する。またチルト検出部7は、天板5aのチルト角度を検出する。また角度検出部13は、保持装置4の天板5aに対する角度を検出する。また選択部14は、角度検出部13により検出された角度、及びチルト検出部7により検出されたチルト角度に基づいて記憶部8に記憶されたX線撮影画像を選択する。そして表示部15は、選択部14で選択されたX線撮影画像を表示する。
【0080】
つまり、保持装置4、及び天板5aのある特定の位置関係において過去に得られたX線撮影画像を記憶部8から選択する場合に、現在の天板5aのチルト角度を考慮して選択することができる。従って、現時点での特定の位置関係に対応する過去画像を表示させることが可能となる。
【0081】
<第3実施形態>
図7図8を用いて第3実施形態に係るX線撮影システム1の構成について説明する。なお第1実施形態と同様の構成については簡易に述べる。
【0082】
X線撮影システム1の構造上、保持装置4を可働範囲(移動できる最大角度。以下「ストロークリミット」という場合がある)は予め決まっている。
【0083】
従って、例えば第1実施形態で説明したように、天板5aのチルト角度を加味して保持装置4を移動させる場合、天板5aと保持装置4との位置関係によっては、ストロークリミットにより保持装置4の移動が制限される場合もある。例えば、ストロークリミットがLAO方向に50degの保持装置4に対して、算出部9で算出された値に基づいて保持装置4を移動させる角度がLAO方向に60degの場合、保持装置4はLAO方向に50degを超えて動くことができない。
【0084】
本実施形態においては、このようにストロークリミットを超える保持装置4の移動が必要な場合に用いられる構成について説明を行う。
【0085】
<装置構成>
図7に示す通り、X線撮影システム1は、X線発生部2、X線検出部3、保持装置4、寝台5、駆動部6、チルト検出部7、記憶部8、算出部9、操作部10、制御部11、及び比較部16を有する。
【0086】
X線発生部2は、X線を発生し、被検体12の検査部位に対してX線を照射する機能を有している。X線検出部3は、X線発生部2から被検体12に対して照射され、被検体12を透過したX線を検出する機能を有している。保持装置4は、X線発生部2及びX線検出部3を保持する。本実施形態においてはX線発生部2及びX線検出部3が「X線撮影部」を構成する。つまり保持装置4はX線撮影部を保持しているともいえる。寝台5は、移動可能な天板5aを有する。天板5aには、X線撮影の対象となる被検体12が載置される。また天板5aは駆動部6により移動、チルトされる。駆動部6は、保持装置4及び天板5aを駆動させる機能を有している。チルト検出部7は、天板5aのチルト角度を検出する機能を有している。記憶部8は、撮影角度情報、及びX線検出部2による検出結果等を記憶する機能を有している。算出部9は、記憶部8に記憶された撮影角度情報(保持装置4の角度を示す情報、及びチルト検出部7で検出されたチルト角度)に基づいて撮影角度情報を補正する補正角度を算出する機能を有している。操作部10は、X線撮影システム1の各種動作内容を入力するために用いられる。
【0087】
比較部16は、撮影角度情報及び算出部9で算出された補正角度に基づいて得られる合成角度と、保持装置4の可動範囲とを比較する機能を有している。
【0088】
具体的には、比較部16は記憶部8に記憶された撮影角度情報と、算出部9で算出された補正角度とを加算処理することによって合成角度を算出する。そして比較部16は合成角度と保持装置4の可動範囲(ストロークリミット)とを比較する。比較部16は、合成角度が可動範囲を越えていると判断した場合には、その差(可動範囲に対する合成角度の差)を算出し、その結果を制御部11に送る。また比較部16は、合成角度が可動範囲を越えていないと判断した場合には、その結果を制御部11に送る。
【0089】
比較部16により合成角度が可動範囲を超えていないと判断された場合、制御部11は、撮影角度情報及び算出部9で算出された補正角度に基づく位置に保持装置4を移動させるよう駆動部6の動作制御を行う。
【0090】
一方、比較部16により合成角度が可動範囲を越えていると判断された場合、制御部11は保持装置4を移動させると共に、比較部16から送られた差に基づいて、天板5aを移動させるよう駆動部6の動作制御を行う。
【0091】
<X線撮影システム1の動作>
次に図8を用いて本実施形態に係るX線撮影システム1の動作について述べる。なお本実施形態において、保持装置4のLAO方向のストロークリミットは50degであるものとする。
【0092】
まず、術者が操作部10により、複数あるオートポジショニング情報の中から、X線撮影を行いたい保持装置4の位置における情報を選択する。制御部11は当該選択に基づいて記憶部8から対応するオートポジショニング情報を読み出し、算出部9に送る(S40)。本実施形態において、選択されたオートポジショニング情報は、保持装置4及び天板5aの傾き角度を有している。本実施形態では保持装置4がLAO方向に45deg傾いており、天板5aは傾きが0degであるとする。
【0093】
次に操作部10からの入力に基づき、チルト検出部7は、現在の天板5aのチルト角度を検出する(S41)。本実施形態においては、チルト検出部7による検出の結果、天板5aがLAO方向(短手方向)に15degチルトしていたとする(長手方向へのチルトは無いものとする)。検出されたチルト角度を示す情報は、算出部9に送られる。
【0094】
次に算出部9は、S40で送られたオートポジショニング情報と、S41で送られた現在の天板5aのチルト角度を示す情報とからオートポジショニング情報を補正する補正角度の算出を行う(S42)。本実施形態において、術者は本来、天板5aの傾きがない状態でLAO45方向にdegとなる保持装置4の位置でX線撮影を行いたいと考えている。従って、天板5aがLAO方向に15degチルトした状態でそのオートポジショニング情報に基づいて保持装置4を移動させた場合、保持装置4は天板5aに対してLAO方向に30deg移動したこととなる。そこで算出部9は、オートポジショニング情報に基づいて保持装置4が実際に移動した状態における天板5aに対する保持装置4の角度(LAO方向に30deg)とオートポジショニング情報(LAO方向に45deg)の値とから、補正角度として「LAO方向に15deg」を算出する。算出された補正角度は、制御部11に送られる。
【0095】
次に比較部16は、S42で得られた補正角度と記憶部8に記憶された撮影角度情報から合成角度を算出する。そして比較部16は、合成角度と保持装置4のストロークリミットとを比較する(S43)。本実施形態において合成角度は、S42で得られたLAO方向に15degと、撮影角度情報であるLAO方向に45degの合計であるLAO方向に60degである。つまり合成角度に基づいて保持装置4を移動させた場合には、保持装置4をLAO方向に60deg傾けることとなる。
【0096】
ここで、本実施形態におけるストロークリミットはLAO方向に50degしかない。つまり、この場合には保持装置4を移動させることができない(S44でNの場合)。従って比較部16は、可動範囲に対する合成角度の差(LAO方向に−10deg)を算出し、その結果を制御部11に送る。
【0097】
S44でNの場合、制御部11は比較部16から送られた角度差の情報(LAO方向に−10deg)だけ天板5aを移動させる制御を行う。当該制御に基づいて、駆動部6は、保持装置4をLAO方向に50deg傾けると共に、天板5aをLAO方向に−10degチルトさせる(S45)。それにより、保持装置4と天板5aとは、相対的に60deg傾くこととなる。
【0098】
一方、S44でYの場合、制御部11の制御に基づいて、駆動部6は、保持装置4のみを移動させることとなる(S46)。
【0099】
以上の操作が完了した後、操作部10からのX線撮影指示に基づき、被検体12のX線撮影が行われることとなる(S47)。
【0100】
<第3実施形態の作用効果>
本実施形態においては、X線撮影システム1が被検体12に対してX線撮影を行うX線撮影部を保持する保持装置4を有する。また天板5aは、被検体12が載置される。また記憶部8は、過去の撮影時の撮影角度情報を予め記憶する。またチルト検出部7は、天板5aのチルト角度を検出する。算出部9は、記憶部8に記憶された撮影角度情報、及びチルト検出部7により検出されたチルト角度に基づいて、撮影角度情報を補正する補正角度を算出する。比較部16は、撮影角度情報及び補正角度に基づいて得られる合成角度と保持装置4の可動範囲とを比較する。そして駆動部6は、比較部16により合成角度が可動範囲を超えると判断された場合に天板5a及び保持装置4が合成角度をなすように天板5a及び保持装置4の少なくとも一方を移動させる。
【0101】
つまり、天板5aのチルト角度を考慮して保持装置4の角度を調整した結果、保持装置4のストロークリミットを越える結果になったとしても、天板5aを移動させることにより、角度調整を実現することが可能となる。従って、所望の方向からX線画像を取得することが可能となる。
【0102】
なお、本実施形態においてはオートポジショニング情報を用いる構成で説明を行ったがこれに限られない。例えばオートアングル情報を用いる構成であっても同様に、保持装置4のストロークリミットを考慮した上での角度調整を行うことが可能である。
【0103】
また本実施形態おいては、保持装置をストロークリミットまで移動させ、足りない角度だけ天板5aを移動させる構成について説明したがこれに限られない。例えば上述のS45において保持装置4をLAO方向に40deg傾けると共に、天板5aをLAO方向に−20degチルトさせることでもよい。
【0104】
<第4実施形態>
図9図10を用いて第4実施形態に係るX線撮影システム1の構成について説明する。なお第1実施形態と同様の構成については簡易に述べる。
【0105】
X線撮影システムには、一の被検体に対して同時に2方向からの撮影を可能とする所謂、Bi−planeシステムがある。
【0106】
一般に、Bi−planeシステムは被検体が天板に仰向けに載置された状態において、被検体の前後方向から撮影する第1撮影系と、被検体を側面方向から撮影する第2撮影系の2系統の撮影系を有している。
【0107】
このような第2撮影系においては、X線検出部としてFPD(Flat Panel Detector)が用いられる。一般にこのFPDは、フレームの所定方向と天板の長手方向とが平行関係に配されている(本実施形態においてはFPDのフレームの一辺方向とX線撮影システムの天板の長手方向とが平行な状態で配置されるものとする)。従って天板がチルトすると、FPDに対して天板に載置された被検体の位置が変化することとなる。つまり第2撮影系によって得られるX線撮影画像にズレが生じる。
【0108】
本実施形態は、Bi−planeシステムにおいて天板のチルトを考慮したX線撮影を行うことができる構成について説明を行う。
【0109】
<装置構成>
図9に示す通り、X線撮影システム1は、X線発生部2a・2b、X線検出部3a・3b、保持装置4a・4b、寝台5、駆動部6、チルト検出部7、操作部10、及び制御部11を有する。X線撮影時にはX線発生部2とX線検出部3の間に被検体12が配置される。
【0110】
X線発生部2aは、X線を発生し、被検体12の検査部位に対して背面方向(図9における被検体12の下方向)からX線を照射する。またX線発生部2bは、X線を発生し、被検体12の検査部位に対して側面方向(図9における被検体12の横方向)からX線を照射する。X線発生部2a・2bはそれぞれ、X線を発生するX線管球(図示なし)等を有している。
【0111】
X線検出部3aは、X線発生部2aから被検体12に対して照射されて、被検体12を透過したX線を検出する機能を有している。またX線検出部3bは、X線発生部2bから被検体12に対して照射されて、被検体12を透過したX線を検出する機能を有している。X線検出部3a・3bでそれぞれ検出されたX線は、例えばX線検出部3a・3b内でX線画像情報に変換される。そして当該X線画像情報は、図示しない配線等を経由して記憶部8に送信され、記憶される。
【0112】
保持装置4aは、X線発生部2a及びX線検出部3aを保持する。また保持装置4bは、X線発生部2b及びX線検出部3bを保持する。保持装置4a・4bは、例えばCアームと呼ばれるC文字の形状をしている。また本実施形態において、保持装置4bはX線撮影システム1が配置される検査室等の天井に固定されている。保持装置4aは駆動部6により、寝台5の近傍で移動可能となっている。また保持装置4bに保持されるX線検出部3bは駆動部6により回動可能となっている。X線発生部2aとX線検出部3aとは、保持装置4aに保持されることにより互いに対向する位置に設けられている。またX線発生部2bとX線検出部3bとは、保持装置4bに保持されることにより互いに対向する位置に設けられている。
【0113】
本実施形態においては、X線発生部2a及びX線検出部3aが、「第1撮影系」を構成する。またX線発生部2b及びX線検出部3bが、「第2撮影系」を構成する。また第1撮影系と第2撮影系を合わせて「X線撮影部」を構成する。また保持装置4aと保持装置4bを合わせて「保持装置」を構成する。
【0114】
寝台5は、移動可能な天板5aを有する。天板5aには、X線撮影の対象となる被検体12が載置される。また天板5aは駆動部6により移動、チルトされる。
【0115】
駆動部6は、保持装置4a・4b、X線検出部3b、及び天板5aを駆動させる機能を有している。駆動部6は、保持装置4a・4b、X線検出部3b、及び天板5aを別々に駆動させることが可能である。つまり駆動部6は、保持装置4a・4b、X線検出部3b、及び天板5aを同時に駆動させることが可能であるし、保持装置4a・4b、X線検出部3b、及び天板5aのいずれか1つのみ(或いは2つのみ)を駆動させることも可能である。
【0116】
チルト検出部7は、天板5aのチルト角度を検出する機能を有している。操作部10は、X線撮影システム1の各種動作内容を入力するために用いられる。
【0117】
制御部11は、X線発生部2、X線検出部3、駆動部6、及びチルト検出部7等、X線撮影システム1の各構成の動作を制御する機能を有している。なお図9において、制御部11からX線発生部2a・2b及びX線検出部3a・3bへの配線は省略している。
【0118】
<X線撮影システム1の動作>
次に図10を用いて本実施形態に係るX線撮影システム1の動作について述べる。
【0119】
第2撮影系を用いてX線撮影を行う場合、術者は操作部10においてチルト検出部7にチルト検出指示を行う。当該指示に基づき、チルト検出部7は、現在の天板5aがチルトしているかどうかを検出する(S50)。
【0120】
天板5aがチルトしてない場合(S50でNの場合)、チルト検出部7によるチルト角度検出はなされない。つまり第2撮影系に対して天板5aはチルトしていないこととなる。この場合、制御部11による第2撮影系でのX線撮影指示に基づいて、被検体12に対してX線撮影が開始される(S52)。
【0121】
一方、天板5aがチルトしている場合(S50でYの場合)、チルト検出部7は、天板5aのチルト角度を検出する(S51)。本実施形態において天板5aは、CAU方向に10deg傾いているものとする。
【0122】
次に制御部11は、S51で検出されたチルト角度分だけ第2撮影系のX線検出部3bを移動させるよう、駆動部6の動作制御を行う(S53)。本実施形態において駆動部6は、天板5aと平行な状態となるよう、X線検出部3bをCAU方向に10deg傾ける。
【0123】
以上の操作が完了した後、操作部10からのX線撮影指示に基づき、被検体12のX線撮影が行われることとなる(S52)。
【0124】
<第4実施形態の作用効果>
本実施形態においては、X線撮影システム1が、被検体12に対してX線撮影を行うX線撮影部を保持する保持装置4a・4bを有する。また天板5aは、被検体12が載置される。またチルト検出部7は、天板5aのチルト角度を検出する。そして駆動部6は、チルト検出部7により検出されたチルト角度分だけX線検出部3bを移動させる。
【0125】
つまり、天板5aのチルト角度を考慮してX線検出部3bの角度を調整することができる。従って、所望の方向からX線画像を取得することが可能となる。
【0126】
<第4実施形態の変形例>
第4実施形態では、チルト検出部7の検出結果に基づき、駆動部6により移動される構成がX線検出部3bのみの場合について説明をおこなったがこれに限られない。例えば、X線検出部3bと合わせて保持装置4bを移動させることも可能である。
【0127】
更に第2撮影系を移動させるだけでなく、第1撮影系も合わせて移動させることも可能である。第1撮影系の移動には、例えば第1実施形態の構成が用いられる。
【0128】
<その他>
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0129】
1 X線撮影システム
2 X線発生部
3 X線検出部
4 保持装置
5 寝台
5a 天板
6 駆動部
7 チルト検出部
8 記憶部
9 算出部
10 操作部
11 制御部
12 被検体
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10