特許第5881308号(P5881308)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5881308ナビゲーション装置および交差点案内方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881308
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置および交差点案内方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/36 20060101AFI20160225BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   G01C21/36
   G09B29/00 A
【請求項の数】9
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2011-93991(P2011-93991)
(22)【出願日】2011年4月20日
(65)【公開番号】特開2012-225794(P2012-225794A)
(43)【公開日】2012年11月15日
【審査請求日】2014年2月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081282
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 俊輔
(74)【代理人】
【識別番号】100085084
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高英
(74)【代理人】
【識別番号】100095326
【弁理士】
【氏名又は名称】畑中 芳実
(74)【代理人】
【識別番号】100115314
【弁理士】
【氏名又は名称】大倉 奈緒子
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】玉利 房枝
(74)【代理人】
【識別番号】100120385
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】東 憲司
【審査官】 小川 恭司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−171263(JP,A)
【文献】 特開2002−277257(JP,A)
【文献】 特開2003−161624(JP,A)
【文献】 特開2004−117191(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
G08G 1/00 − 99/00
G09B 23/00 − 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車が進入しようとしている交差点における車線に応じた脱出方向を示すレーン情報を含む地図情報が記憶された地図情報記憶手段と、
誘導経路にしたがった経路誘導を行う経路誘導手段と、
前記地図情報記憶手段に記憶された前記レーン情報の表示を行うレーン情報表示手段と
を備え、
前記経路誘導手段は、前記経路誘導の際に、前記地図情報記憶手段に記憶された前記地図情報に基づいて、前記自車が進入しようとしている交差点を示す交差点拡大図の表示と、この交差点拡大図内の前記誘導経路の経路形状に応じた交差点音声案内とを行い、
前記レーン情報表示手段は、前記経路誘導の際に、前記自車が進入しようとしている誘導経路上の交差点に対応する前記レーン情報の表示を、当該交差点後の前記誘導経路上への脱出が可能な推奨レーンを強調した表示態様で行う
ナビゲーション装置であって、
前記経路誘導手段は、前記推奨レーンの脱出方向を示す表示形状と前記交差点拡大図内の誘導経路の脱出方向を示す経路形状とが不整合となる交差点については、当該推奨レーンの前記表示形状の表現をともなった特別な前記交差点音声案内を行うこと
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記地図情報は、交差点に対する進入リンクと脱出リンクとの組に対応する当該脱出リンクが前記交差点後の誘導経路の場合における前記推奨レーンの前記表示形状と、当該進入リンクと脱出リンクとの組に対応する当該組が前記交差点拡大図内の誘導経路の場合における前記経路形状とが不整合となる交差点に対して、当該進入リンクと脱出リンクとの組に対応付けて特別なフラグが付与されたものであり、
前記経路誘導手段は、前記自車が進入しようとしている交差点に、前記誘導経路に該当する進入リンクと脱出リンクとの組に対応付けられた前記特別なフラグが付与されている場合に、前記特別な交差点音声案内を行うこと
を特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記特別なフラグは、前記推奨レーンの前記表示形状と前記経路形状との不整合な組合わせのパターンにも対応付けられた当該パターンに固有のフラグであり、
前記経路誘導手段は、前記特別なフラグに対応付けられた前記不整合な組合わせのパターンに応じた前記特別な交差点音声案内を行うこと
を特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記推奨レーンの前記表示形状と前記経路形状とが不整合となる前記進入リンクと脱出リンクとの組が複数組存在する交差点に対しては、各組ごとの複数の前記特別なフラグが付与されていること
を特徴とする請求項2または請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記特別な交差点音声案内を行う交差点は、前記推奨レーンの前記表示形状が直進を示すのに対して前記交差点拡大図内の誘導経路の経路形状が直進以外の方向を示す交差点を含むこと
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記特別な交差点音声案内は、前記推奨レーンの前記表示形状に対応する直進を行った上で前記交差点拡大図内の誘導経路の前記経路形状が示す前記直進以外の方向への進行を行う旨の案内を含むこと
を特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
経路誘導手段による誘導経路にしたがった経路誘導の際に、前記経路誘導手段が、地図情報記憶手段に記憶された自車が進入しようとしている交差点における車線に応じた脱出方向を示すレーン情報を含む地図情報に基づいて、前記自車が進入しようとしている交差点を示す交差点拡大図を表示し、また、この交差点拡大図内の前記誘導経路の経路形状に応じた交差点音声案内を行い、さらに、レーン情報表示手段が、前記自車が進入しようとしている誘導経路上の交差点に対応する前記レーン情報を、当該交差点後の前記誘導経路上への脱出が可能な推奨レーンを強調した表示態様で表示するための交差点案内方法であって、
前記経路誘導手段は、前記推奨レーンの脱出方向を示す表示形状と前記交差点拡大図内の誘導経路の脱出方向を示す経路形状とが不整合となる交差点に対しては、当該推奨レーンの前記表示形状の表現をともなった特別な前記交差点音声案内を行うこと
を特徴とする交差点案内方法。
【請求項8】
前記経路誘導手段および前記レーン情報表示手段による動作において、
交差点に対する進入リンクと脱出リンクとの組に対応する当該組が前記交差点拡大図内の誘導経路の場合における前記経路形状を算出する第1のステップと、
この第1のステップにおいて算出された前記経路形状を、前記進入リンクと脱出リンクとの組に対応する当該脱出リンクが前記交差点後の誘導経路の場合における推奨レーンの前記表示形状と比較して、両者が不整合となる交差点を抽出する第2のステップと、
この第2のステップにおいて抽出された前記交差点に対して、前記進入リンクと脱出リンクとの組に対応付けて特別なフラグを付与する第3のステップと、
前記自車が進入しようとしている交差点に、前記誘導経路に該当する進入リンクと脱出リンクとの組に対応付けられた前記特別なフラグが付与されている場合に、前記特別な交差点音声案内を行う第4のステップと
を含むことを特徴とする請求項7に記載の交差点案内方法。
【請求項9】
前記第1のステップ乃至前記第3のステップは、前記地図情報の元データを前記地図情報にコンパイルする際に行うこと
を特徴とする請求項8に記載の交差点案内方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置および交差点案内方法に係り、特に、交差点拡大図およびレーン情報の表示とともに、交差点拡大図内の誘導経路の経路形状に応じた交差点音声案内を行うのに好適なナビゲーション装置および交差点案内方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置においては、目的地までの誘導経路にしたがって、音声や画面を使用して自車が進行すべき方向を的確に提示して運転を支援する経路誘導が行われていた(例えば、特許文献1乃至3参照)。
【0003】
より具体的には、経路誘導においては、誘導経路上の自車が進入しようとしている交差点の手前の地点において、交差点拡大図を表示するとともに、交差点までの距離や交差点における脱出方向(曲がる方向)を音声案内することが行われていた。
【0004】
また、従来から、ナビゲーション装置においては、自車が進入しようとしている交差点における車線に応じた脱出方向を示すレーン情報を表示することが行われていたが、誘導経路上の交差点を対象としたレーン情報を表示する際には、交差点拡大図とともに、レーン情報を、交差点後の誘導経路上への脱出が可能な車線である推奨レーンを強調した表示態様で表示するようになっていた。
【0005】
ここで、レーン情報は、実世界上に設置されている指示標示や案内標識の内容にそのまましたがった情報としてデータベースに格納される場合が殆どであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−309529号公報
【特許文献2】国際公開WO2006/035755
【特許文献3】国際公開WO2008/068949
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のようにして経路誘導の際にレーン情報を表示することは、推奨レーン上へのすみやかな車線変更を促して交差点における誘導方向への右左折を円滑かつ確実に行わしめる観点から有意義である。
【0008】
しかるに、レーン情報が実世界における脱出方向を適正に表現したものでない場合には、レーン情報の表示が却ってユーザの混乱を招いてしまう場合があった。
【0009】
図7は、このような場合における交差点案内の態様を示したものである。図7には、交差点拡大図1として、六差路の異形交差点2を案内するものが例示されている。図7に示すように、交差点拡大図1内における誘導経路は、交差点2に進入する道路(自車が走行中の道路)上と、交差点2において現在の進行方向に対して斜め右(右斜め前方)に折れる道路上とにとられている。また、このときの音声案内は、「およそ、○○m先、斜め右です。」となっている。したがって、交差点拡大図1と案内音声との間においては、内容に矛盾は生じていない。
【0010】
しかしながら、図7においては、交差点拡大図1上に重畳表示されているレーン情報3における推奨レーン3aの表示形状(矢印)が、「直進」(みちなり)を示しており、「斜め右」を示す交差点拡大図1および案内音声との間で内容に矛盾が生じている。これにより、ユーザは、交差点において直進および斜め右折のいずれを行えばよいのかが分からず、混乱が生じる結果となっていた。
【0011】
また、こればかりでなく、このときユーザがレーン情報の方を優先して交差点を直進した場合であって、直進した先が進入禁止の道路の場合には、交通法規違反という更なるリスクをユーザに負わせることになる。
【0012】
ここで、このような混乱を回避するためには、推奨レーン3aの表示形状と交差点拡大図1内の誘導経路の経路形状とが不整合となる交差点におけるレーン情報の表示を禁止することも考えられる。しかし、そのような場合には、推奨レーン上への迅速な車線変更を促すといったレーン情報を表示することによるメリットを一切享受できなくなってしまう。
【0013】
なお、特許文献1には、道路形状データと実際の道路形状との誤差を考慮して実写画像上に重畳表示される経路案内オブジェクトを補正することが記載されている。また、特許文献2には、ナビゲーション情報と実写映像/実視景観との対応関係をドライバが直感的に正確に認識できるようにするために、実写映像中におけるナビゲーション情報の適切な表示位置を決定することが記載されている。さらに、特許文献3には、地図データに基づいてカープールレーンの存在を検知してレーン情報に追加することが記載されている。しかし、各特許文献においては、推奨レーンが示す脱出方向と交差点拡大図内の誘導経路の経路形状および案内音声が示す脱出方向との矛盾に起因する問題点およびその具体的解決策については何等触れられていない。
【0014】
そこで、本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、レーン情報における推奨レーンが示す脱出方向が交差点拡大図の表示内容と整合しない交差点についても、ユーザの混乱を招かない分かり易い適正な案内を行うことができるナビゲーション装置および交差点案内方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した目的を達成するため、本発明に係るナビゲーション装置は、自車が進入しようとしている交差点における車線に応じた脱出方向を示すレーン情報を含む地図情報が記憶された地図情報記憶手段と、誘導経路にしたがった経路誘導を行う経路誘導手段と、前記地図情報記憶手段に記憶された前記レーン情報の表示を行うレーン情報表示手段とを備え、前記経路誘導手段は、前記経路誘導の際に、前記地図情報記憶手段に記憶された前記地図情報に基づいて、前記自車が進入しようとしている交差点を示す交差点拡大図の表示と、この交差点拡大図内の前記誘導経路の経路形状に応じた交差点音声案内とを行い、前記レーン情報表示手段は、前記経路誘導の際に、前記自車が進入しようとしている誘導経路上の交差点に対応する前記レーン情報の表示を、当該交差点後の前記誘導経路上への脱出が可能な推奨レーンを強調した表示態様で行うナビゲーション装置であって、前記経路誘導手段は、前記推奨レーンの脱出方向を示す表示形状と前記交差点拡大図内の誘導経路の脱出方向を示す経路形状とが不整合となる交差点については、当該推奨レーンの前記表示形状の表現をともなった特別な前記交差点音声案内を行うことを特徴としている。
【0016】
また、本発明に係る交差点案内方法は、経路誘導手段による誘導経路にしたがった経路誘導の際に、前記経路誘導手段が、地図情報記憶手段に記憶された自車が進入しようとしている交差点における車線に応じた脱出方向を示すレーン情報を含む地図情報に基づいて、前記自車が進入しようとしている交差点を示す交差点拡大図を表示し、また、この交差点拡大図内の前記誘導経路の経路形状に応じた交差点音声案内を行い、さらに、レーン情報表示手段が、前記自車が進入しようとしている誘導経路上の交差点に対応する前記レーン情報を、当該交差点後の前記誘導経路上への脱出が可能な推奨レーンを強調した表示態様で表示するための交差点案内方法であって、前記経路誘導手段は、前記推奨レーンの脱出方向を示す表示形状と前記交差点拡大図内の誘導経路の脱出方向を示す経路形状とが不整合となる交差点に対しては、当該推奨レーンの前記表示形状の表現をともなった特別な前記交差点音声案内を行うことを特徴としている。
【0017】
そして、このような本発明によれば、推奨レーンの脱出方向を示す表示形状と交差点拡大図内の誘導経路の脱出方向を示す経路形状とが不整合となる交差点に対しては、推奨レーンの前記表示形状の表現をともなった特別な交差点音声案内を行うことによって、ユーザの混乱を防止することが可能となる。
【0018】
また、本発明のナビゲーション装置において、前記地図情報は、交差点に対する進入リンクと脱出リンクとの組に対応する当該脱出リンクが前記交差点後の誘導経路の場合における前記推奨レーンの前記表示形状と、当該進入リンクと脱出リンクとの組に対応する当該組が前記交差点拡大図内の誘導経路の場合における前記経路形状とが不整合となる交差点に対して、当該進入リンクと脱出リンクとの組に対応付けて特別なフラグが付与されたものであり、前記経路誘導手段は、前記自車が進入しようとしている交差点に、前記誘導経路に該当する進入リンクと脱出リンクとの組に対応付けられた前記特別なフラグが付与されている場合に、前記特別な交差点音声案内を行ってもよい。同様に、本発明の交差点案内方法において、前記経路誘導手段および前記レーン情報表示手段による動作において、交差点に対する進入リンクと脱出リンクとの組に対応する当該組が前記交差点拡大図内の誘導経路の場合における前記経路形状を算出する第1のステップと、この第1のステップにおいて算出された前記経路形状を、前記進入リンクと脱出リンクとの組に対応する当該脱出リンクが前記交差点後の誘導経路の場合における推奨レーンの前記表示形状と比較して、両者が不整合となる交差点を抽出する第2のステップと、この第2のステップにおいて抽出された前記交差点に対して、前記進入リンクと脱出リンクとの組に対応付けて特別なフラグを付与する第3のステップと、前記自車が進入しようとしている交差点に、前記誘導経路に該当する進入リンクと脱出リンクとの組に対応付けられた前記特別なフラグが付与されている場合に、前記特別な交差点音声案内を行う第4のステップとを含んでもよい。
【0019】
そして、このような場合には、地図情報側で、予め、推奨レーンの前記表示形状と交差点拡大図内の誘導経路の前記経路形状とが不整合となる交差点に対して特別なフラグを設定しておき、経路誘導手段側で、この特別なフラグを読むことによって特別な音声案内を実行することができるので、音声案内の直前に推奨レーンの前記表示形状と交差点拡大図内の誘導経路の前記経路形状とが不整合となるか否かを判断する場合に比べて処理負担を軽減することができ、効率的な交差点案内を行うことが可能となる。
【0020】
さらに、本発明のナビゲーション装置において、前記特別なフラグは、前記推奨レーンの前記表示形状と前記経路形状との不整合な組合わせのパターンにも対応付けられた当該パターンに固有のフラグであり、前記経路誘導手段は、前記特別なフラグに対応付けられた前記不整合な組合わせのパターンに応じた前記特別な交差点音声案内を行ってもよい。
【0021】
そして、このような場合には、経路誘導の際に、経路誘導手段側で特別なフラグを読んだ際に、推奨レーンの前記表示形状と交差点拡大図内の誘導経路の前記経路形状との不整合な組合わせのパターンを一義的に把握し、把握したパターンに応じた特別な交差点音声案内を行うことができるので、このようなパターンを音声案内の直前に取得する場合に比べて処理負担を軽減することができ、より効率的な交差点案内を行うことが可能となる。
【0022】
さらにまた、本発明のナビゲーション装置において、前記推奨レーンの前記表示形状と前記経路形状とが不整合となる前記進入リンクと脱出リンクとの組が複数組存在する交差点に対しては、各組ごとの複数の前記特別なフラグが付与されていてもよい。
【0023】
そして、このような場合には、1つの交差点が、推奨レーンの前記表示形状と交差点拡大図内の誘導経路の前記経路形状とが不整合となるような進入リンクと脱出リンクとの組を複数含む場合にも有効に対応することが可能となる。
【0024】
また、本発明のナビゲーション装置において、前記特別な交差点音声案内を行う交差点は、前記推奨レーンの前記表示形状が直進を示すのに対して前記交差点拡大図内の誘導経路の前記経路形状が直進以外の方向を示す交差点を含んでもよい。さらに、この場合には、前記特別な交差点音声案内は、前記推奨レーンの前記表示形状に対応する直進を行った上で前記交差点拡大図内の誘導経路の前記経路形状が示す前記直進以外の方向への進行を行う旨の案内を含んでもよい。
【0025】
そして、このような場合には、推奨レーンの前記表示形状が直進を示すのに交差点拡大図内の誘導経路の前記経路形状が直進以外の脱出方向を示す場合であっても、そのような矛盾を、直進を行った上での直進以外の方向への進行を促す案内によって解消することができるので、ユーザの混乱を未然に回避することが可能となる。
【0026】
さらに、本発明の交差点案内方法において、前記第1のステップ乃至前記第3のステップは、前記地図情報の元データを前記地図情報にコンパイルする際に行ってもよい。
【0027】
そして、このような場合には、特別なフラグの設定を効率的に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、レーン情報における推奨レーンが示す脱出方向が交差点拡大図の表示内容と整合しない交差点についても、ユーザの混乱を招かない分かり易い適正な案内を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態を示す構成図
図2図1のナビゲーション装置のブロック図
図3】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態において、交差点の案内状態を示す模式図
図4】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態において、特別なフラグの付与状態を示す概念図
図5】特別なフラグの変形例を示す概念図
図6】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態を示すフローチャート
図7】従来の問題点を説明するための説明図
図8】進入・脱出リンク形状を特定するための説明図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係るナビゲーション装置の実施形態について、図1乃至図6および図8を参照して説明する。
【0031】
図1に示すように、本実施形態におけるナビゲーション装置5は、大別して、ナビゲーションメインユニット6と、このナビゲーションメインユニット6にそれぞれ接続された衛星航法受信機7、自律航法センサ8、操作部10、ディスプレイ11およびスピーカ12とによって構成されている。
【0032】
ここで、衛星航法受信機7は、図示しない測位衛星から配信される測位信号(時刻や軌道を示す信号)を受信し、受信した測位信号をナビゲーションメインユニット6側に出力するようになっている。この衛星航法受信機は、例えば、GPSレシーバ等であってもよい。
【0033】
また、自律航法センサ8は、自車の車速、加速度(角速度)および自車方位等を検出し、検出結果をナビゲーションメインユニット6側に出力するようになっている。この自律航法センサ8は、車速センサやジャイロセンサ等からなるものであってもよい。
【0034】
さらに、操作部10は、操作内容に応じた操作信号をナビゲーションメインユニット6側に出力することによって、ナビゲーション装置5に対する種々の操作を行うことが可能とされている。操作部10は、リモコン、ディスプレイ11のタッチパネル、リニアエンコーダ、ロータリエンコーダまたは音声入力用のマイクロホン等であってもよい。
【0035】
次に、ナビゲーションメインユニット6について詳述すると、図1に示すように、ナビゲーションメインユニット6は、システムバス14にそれぞれ接続されたナビCPU15、地図情報記憶手段としてのハードディスクドライブ(HDD)16、フラッシュメモリ17、RAM18、ユーザインターフェース(I/F)19、画像インターフェース(I/F)20および音声インターフェース(I/F)21を有している。
【0036】
ここで、ナビCPU15は、自車位置検出機能、地図表示機能、経路探索機能、経路誘導機能および検索機能等のナビゲーション装置5の各種の機能を実行するようになっている。
【0037】
また、ハードディスクドライブ16には、地図情報としての地図データが記憶されており、この地図データは、道路データフレーム、背景データフレーム、名称データフレーム、経路誘導データフレーム、経路計算データフレームおよび地点情報フレーム等の各種の物理データフレームによって構成されている。
【0038】
これらのうち、道路データフレームは、道路地図の表示等に用いられるようになっている。この道路データフレームには、リンク列データレコードが格納されており、このリンク列データレコードは、リンク列ヘッダ、リンク列の形状を示すリンク列形状情報、他のリンク列との関係を示すノード・リンク接続情報、ノード付加情報(リンクID、幅員・車線情報、道路名称等)、標高情報および通行規制情報等によって構成されている。
【0039】
また、背景データフレームは、背景地図の表示等に用いられるようになっている。この背景データフレームには、表示クラスごとにまとめられた図形データリスト列が格納されており、更に、各図形データリストには、図形(線または面)の形状を表現するための要素点座標情報(始点座標、オフセット座標等)が格納されている。
【0040】
さらに、名称データフレームは、地図上への文字列の表示等に用いられるようになっている。この名称データフレームには、表示クラスごとにまとめられた名称データリストが格納されており、この名称データリストは、名称データレコード列によって構成されている。各名称データレコードは、地図上に文字を表示するための文字データに相当する。この名称データフレームを用いて表示される文字列は、例えば、建物名、公園名、行政区画名および河川名等の表示クラスごとの表示対象地物の名称となる。
【0041】
さらにまた、経路誘導データフレームは、経路誘導に用いられるようになっており、この経路誘導データフレームには、誘導データフレーム、文字列データフレーム、形状データフレームおよびパターンデータフレーム等が格納されている。ここで、誘導データフレームには、交差点名称、道路名称および方面名称等が格納されている。また、文字列データフレームには、誘導データフレームと関連した実体の表示文字、発音文字およびアクセント情報等が格納されている。さらに、形状データフレームには、誘導データフレームと関連した実体を描画するための形状が格納されている。さらにまた、パターンデータフレームには、案内のために交差点の進入方向に応じた画像を描画するための実データが格納されている。
【0042】
また、経路計算データフレームは、目的地までの最適経路の計算に用いられるようになっており、この経路計算データフレームには、ノードデータフレーム、リンクデータフレーム、リンクコストデータフレーム、上位レベルノード・リンク対応データフレームおよびノード座標データフレーム等が格納されている。ここで、ノードデータフレームには、例えば、道路種別を複数まとめたランクの単位でノードデータが格納されている。また、リンクデータフレームには、リンクレコード、規制レコードおよびリンク間コストレコード等が格納されている。さらに、リンクコストデータフレームには、リンクIDやリンク自身のコスト等が格納されている。さらにまた、上位レベルノード・リンク対応データフレームには、当該レベルを基準とした上位のノードおよびリンクを特定する情報が格納されている。また、ノード座標データフレームには、ノードの座標が格納されている。
【0043】
さらに、地点情報フレームには地点情報が格納されている。この地点情報は、目的地または経由地の候補となる地点の検索や、地図上へのPOI(Points Of Interests)のアイコン(換言すれば、ランドマーク)の表示等に用いられるようになっている。この地点情報は、具体的には、地点の名称、位置(経緯度)、住所、郵便番号、電話番号、種別およびPOIのアイコン等によって構成されている。
【0044】
さらにまた、地図データには、自車が進入しようとしている交差点(進行方向前方の直近の交差点)における車線(自車が走行中の道路に含まれる車線)に応じた脱出方向を示すレーン情報が含まれている。このレーン情報は、実世界上の指示標示や案内標識の内容にそのまましたがった状態で地図データベースに格納されている。このレーン情報は、レーンごとに、交差点に対する進入リンクと脱出リンクとの組に対応付けて格納されていてもよい。
【0045】
また、ハードディスクドライブ16には、ナビCPU15の実行プログラム(アプリケーション)が記憶されている。
【0046】
さらに、フラッシュメモリ17には、ナビゲーション装置5の起動とともにナビCPU15によってハードディスクドライブ16から読み出されたナビCPU15の実行プログラムが格納されるようになっており、この格納された実行プログラムがナビCPU15によって適宜実行されることによって、ナビゲーション装置5の各種の機能が適宜実行されるようになっている。
【0047】
さらにまた、RAM18は、ナビCPU15による処理結果等の各種のデータの一時的な保存等に用いられるようになっている。
【0048】
また、ユーザインターフェース19、画像インターフェース20および音声インターフェース21には、操作部10、ディスプレイ11およびスピーカ12がそれぞれ接続されている。
【0049】
次に、ナビCPU15について更に詳述すると、図2に示すように、ナビCPU15は、その機能ブロックの1つとしての自車位置算出部23を有しており、この自車位置算出部23には、衛星航法受信機7から出力された測位信号および自律航法センサ8から出力された検出結果が入力されるようになっている。そして、自車位置算出部23は、衛星航法受信機7側から入力された測位信号に基づいて、自車位置を絶対座標として算出(検出)する衛星航法を行うようになっている。また、自車位置算出部23は、自律航法センサ8側から入力された検出結果に基づいて、自車位置を前回の測位位置からの相対的な変化分として算出する自律航法を行うようになっている。さらに、自車位置算出部23は、ハードディスクドライブ16に記憶されている地図データを用いることによって、衛星航法および自律航法(ハイブリッド航法)によって算出された自車位置を地図データにおける該当する道路上の位置に補正するマップマッチング処理を行うようになっている。そして、自車位置算出部23は、マップマッチング処理が適正に行われた場合には、マップマッチング処理後の自車位置を最終的な算出結果とするようになっている。
【0050】
また、図2に示すように、ナビCPU15は、その機能ブロックの1つとしての地図描画部24を有している。この地図描画部24は、ハードディスクドライブ16に記憶されている地図データを用いることによって、所定の領域を示す地図をディスプレイ11に表示するようになっている。この地図描画部24によって表示される地図には、自車位置算出部23によって算出された自車位置の周辺の地図や、操作部10を用いたスクロール操作によって指定された領域の地図が含まれる。
【0051】
さらに、図2に示すように、ナビCPU15は、その機能ブロックの1つとしての目的地設定部25を有している。この目的地設定部25は、目的地を設定するための各種の操作画面をディスプレイ11に表示した上で、表示された操作画面に対する操作部10の操作に応じた目的地を設定するようになっている。
【0052】
さらにまた、図2に示すように、ナビCPU15は、その機能ブロックの1つとしての経路探索部26を有している。この経路探索部26は、ハードディスクドライブ16に記憶されている地図データに基づいて、自車位置算出部23によって算出された自車位置から目的地設定部25によって設定された目的地までの予め設定された経路探索条件に応じた最適経路を、ダイクストラ法等の経路計算方法を用いて探索するようになっている。経路探索条件は、デフォルトで設定される場合もあるし、ユーザが操作部10を用いた入力操作によって設定する場合もある。このとき、目的地設定部25によって経由地が設定されている場合には、経路探索部26は、設定された経由地を経由するような目的地までの最適経路を探索するようになっている。そして、経路探索部26は、探索された最適経路を、ディスプレイ11への表示によって誘導経路の候補としてユーザに提示するようになっている。
【0053】
また、図2に示すように、ナビCPU15は、その機能ブロックの1つとして、経路誘導手段としての経路誘導部27を有している。この経路誘導部27は、経路探索部26によって提示された最適経路を誘導経路に設定するための操作部10を用いた入力操作が行われると、この最適経路を誘導経路に設定するようになっている。誘導経路の設定は、誘導経路に関する情報、例えばリンクおよび目的地等をRAM18等に保存することによって行うようにしてもよい。
【0054】
そして、経路誘導部27は、誘導経路の設定の後に、設定された誘導経路にしたがった経路誘導を開始するようになっている。
【0055】
経路誘導においては、自車位置算出部23によって算出された自車位置が自車が進入しようとしている案内すべき交差点に対して所定距離だけ手前の地点に到達したことを契機として、ハードディスクドライブ16内の地図情報に基づいて、当該交差点を示す交差点拡大図のディスプレイ11への表示およびスピーカ12を介した交差点音声案内を行うようになっている。ここで、交差点音声案内においては、例えば、交差点拡大図内の誘導経路の経路形状を算出し、算出された経路形状に応じた案内コード(右折、左折等)を設定するようになっている。ただし、このように経路誘導部27(アプリケーション)側で案内コードを設定する場合に限らず、例えば、交差点に対する進入リンクと脱出リンクとの組に対応した案内コードが地図データ側で予め設定されていてもよい。そして、このようにして設定された案内コードに対応する音声データを地図データから抽出し、抽出された音声データを出力するようになっている。ただし、このときの音声データには、自車位置から交差点までの距離(「○○m先」等)の音声データが追加されていてもよい。また、交差点拡大図内の誘導経路の経路形状は、交差点に対する当該誘導経路上の進入リンクと脱出リンクとの角度(脱出角)の計算等によって算出することができる。角度の計算には、進入リンク、脱出リンクのそれぞれのリンク端(ノード)の座標等を用いてもよい。
【0056】
さらに、図2に示すように、ナビCPU15は、その機能ブロックの1つとして、レーン情報表示手段としてのレーン情報描画部28を有している。このレーン情報描画部28は、ハードディスクドライブ16に記憶されたレーン情報をディスプレイ11に表示するようになっている。また、レーン情報描画部28は、経路誘導の際には、経路誘導部27から取得した誘導経路の情報に基づいて、自車が進入しようとしている誘導経路上の交差点に対応するレーン情報を、当該交差点後の誘導経路上への脱出が可能な走行が推奨される車線である推奨レーンを強調した表示態様で表示するようになっている。このとき、前述のように、レーン情報を、各レーンごとに進入リンクと脱出リンクとの組に対応付けて格納しておけば、誘導経路に該当する進入リンクと脱出リンクとの組に対応するレーンを、推奨レーンとしてすみやかに抽出することができる。
【0057】
そして、このような構成を備えた上で、経路誘導部27は、推奨レーンの表示形状と交差点拡大図内の誘導経路の経路形状とが不整合となる交差点に対しては、当該経路形状に応じた通常の案内コードとは異なる特別な案内コードを設定して、当該推奨レーンの表示形状の表現をともなった特別な前記交差点音声案内を行うようになっている。
【0058】
このような特別な交差点音声案内を行う交差点としては、例えば、図3に示すように、推奨レーン3aの表示形状が直進を示すのに対して交差点拡大図1内の誘導経路の経路形状が斜め右(直進以外の方向の一例)を示す交差点2を挙げることができる。この場合の特別な交差点音声案内としては、推奨レーンの表示形状に対応する直進を行った上で交差点拡大図内の誘導経路の経路形状が示す斜め右への進行を行う旨の案内(例えば、「およそ、○○m先、直進レーンを走行し、斜め右へ曲がって下さい。」)を行うことになる。
【0059】
ここで、このような特別な交差点音声案内を行うためには、経路誘導部27側(アプリケーション側)で、自車が進入しようとしている誘導経路上の交差点が、推奨レーンの表示形状と交差点拡大図内の誘導経路の経路形状とが不整合となる交差点であるか否かを判断できることが必要となる。
【0060】
そのための具体的な手段としては、例えば、次のような手段を用いることができる。
【0061】
すなわち、地図データとして、交差点に対する進入リンクと脱出リンクとの組に対応する当該脱出リンクが交差点後の誘導経路の場合における推奨レーンの表示形状と、当該組に対応する当該組が交差点拡大図内の誘導経路の場合における交差点拡大図内の誘導経路の経路形状とが不整合となる交差点に対して、当該組に対応付けて特別なフラグが付与されたものを用いるようにする。
【0062】
例えば、図4に示す交差点(ノード1)には、5本のリンク(リンクA〜E)が交わっている。ただし、この図4に示すノードおよびリンクは、図3に示した交差点2および道路とは別のものである。そして、図4において、ノード1が誘導経路上の交差点となる場合であって、ノード1に対する誘導経路上の進入リンクがリンクA、脱出リンクがリンクDとなる場合には、推奨レーンは「第1レーン」となり、そのレーン情報表示形状は「左折」となる。また、同図において、誘導経路上のノード1に対する誘導経路上の進入リンクがリンクA、脱出リンクがリンクBとなる場合には、推奨レーンは「第2レーン」となり、そのレーン情報表示形状は「直進」となる。さらに、同図において、誘導経路上のノード1に対する誘導経路上の進入リンクがリンクA、脱出リンクがリンクEとなる場合には、推奨レーンは「第3レーン」となり、そのレーン情報表示形状は「直進」となる。さらにまた、誘導経路上のノード1に対する誘導経路上の進入リンクがリンクA、脱出リンクがリンクCとなる場合には、推奨レーンは「第4レーン」となり、そのレーン情報表示形状は「右折」となる。
【0063】
一方、リンクA(進入)→D(脱出)の組が交差点拡大図内の誘導経路となる場合に算出される経路形状は「左折」となり、これは、推奨レーン(第1レーン)のレーン情報表示形状と整合する。また、リンクA→Bの組が交差点拡大図内の誘導経路となる場合に算出される経路形状は「直進」となり、これは、推奨レーン(第2レーン)のレーン情報表示形状と整合する。さらに、リンクA→Cの組が交差点拡大図内の誘導経路となる場合に算出される経路形状は「右折」となり、これは、推奨レーン(第4レーン)のレーン情報表示形状と整合する。これに対して、リンクA→Eの組が交差点拡大図内の誘導経路となる場合に算出される経路形状は「斜め右」となり、これは、推奨レーン(第3レーン)のレーン情報表示形状と整合しない。したがって、ノード1に対しては、リンクAとリンクEとの組に対応付けて特別なフラグが付与されている。なお、この特別なフラグは、設定値「1」の形状整合有無フラグとして設定されているものであってもよい。この場合に、特別なフラグが付与されていないリンクの組(A→B、A→C、A→D)については、形状整合有無フラグの設定値を「0」とすればよい。
【0064】
そして、経路誘導部27は、自車が進入しようとしている誘導経路上の交差点に、誘導経路に該当する進入リンクと脱出リンクとの組に対応付けられた特別なフラグが付与されている場合に、特別な案内コード(例えば、およそ、○○m先、直進レーンを走行し、斜め右)を設定して、これにしたがった特別な交差点音声案内を行うようにする。
【0065】
図8は、前述の進入リンクと脱出リンクとの経路形状判断の例を示したものである。すなわち、進入リンク、案内対象ノード、脱出リンクに基づき、脱出リンクの方位θを特定し、経路形状が図8の表で特定される。
【0066】
このような構成によれば、推奨レーンの表示形状と交差点拡大図内の誘導経路の経路形状とが不整合となる交差点に対しては、推奨レーンの表示形状の表現をともなった特別な交差点音声案内を行うことができるので、推奨レーンが示す脱出方向が経路形状と整合しない交差点についても、ユーザの混乱を招かない分かり易い適正な案内を行うことが可能となる。また、地図情報側で、予め、進入リンクと脱出リンクとの組に対応する推奨レーンの表示形状と交差点拡大図内の誘導経路の経路形状とが不整合となる交差点に対して特別なフラグを設定しておき、経路誘導部27側で、この特別なフラグを読むことによる特別な音声案内を実行することができるので、音声案内の直前に推奨レーンの表示形状と交差点拡大図内の誘導経路の経路形状とが不整合となるか否かを判断する場合に比べてナビCPU15の処理負担を軽減することができ、効率的な交差点案内を行うことが可能となる。ただし、ナビCPU15の処理速度によっては、後者の手法を採用してもよい。
【0067】
また、特別なフラグは、推奨レーンの表示形状と交差点拡大図内の誘導経路の経路形状との不整合な組合わせのパターンにも対応付けられた当該パターンに固有のフラグであってもよい。具体的には、例えば、図5に示すように、推奨レーンの表示形状が直進であるのに対して、交差点拡大図内の誘導経路の経路形状が斜め右の場合には、このような不整合な形状の組合わせのパターンに対応する特別なフラグを「フラグ#1」とし、また、推奨レーンの表示形状が直進であるのに対して、交差点拡大図内の誘導経路の経路形状が斜め左の場合には、このような組合わせのパターンに対応する特別なフラグを「フラグ#2」としてもよい。そして、この場合に、経路誘導部27は、特別なフラグに対応付けられた前記不整合な組合わせのパターンに応じた特別な交差点音声案内を行うようにすればよい。
【0068】
このような構成によれば、経路誘導の際に、経路誘導部27側で特別なフラグを読んだ際に、推奨レーンの表示形状と交差点拡大図内の誘導経路の経路形状との不整合な組合わせのパターンを一義的に把握し、把握したパターンに応じた特別な交差点音声案内を行うことができるので、このようなパターンを音声案内の直前に取得する場合に比べてナビCPU15の処理負担を軽減することができ、より効率的な交差点案内を行うことが可能となる。ただし、ナビCPU15の処理速度によっては、後者の手法を採用してもよい。
【0069】
さらに、推奨レーンの表示形状と交差点拡大図内の誘導経路の経路形状とが不整合となる進入リンクと脱出リンクとの組が複数組存在する交差点に対しては、各組ごとの複数の特別なフラグが付与されていてもよい。前述したノード1の例で言えば、リンクAを進入リンクとしたリンクA→Eの組に対応付けて特別なフラグが付与されている場合であって、更に、リンクCを進入リンクとしたリンクC→Aの組に対応付けて他の特別なフラグが付与されている場合等が該当する。
【0070】
このような構成によれば、1つの交差点が前記不整合となる進入リンクと脱出リンクとの組を複数含む場合にも有効に対応することが可能となる。
【0071】
次に、本発明に係る交差点案内方法の実施形態について、図6を参照して説明する。
【0072】
本実施形態においては、まず、図6のステップ1(ST1)において、データ上の各交差点ごとに、交差点に対する進入リンクと脱出リンクとの組が交差点拡大図内の誘導経路の場合における交差点拡大図内の誘導経路の経路形状を算出する。
【0073】
次いで、ステップ2(ST2)において、データ上の各交差点ごとに、ステップ1(ST1)において算出された経路形状を、これと同じ進入リンクと脱出リンクとの組に対応する当該脱出リンクが交差点後の誘導経路の場合における推奨レーンの表示形状と比較して、両者が不整合となるような交差点を抽出する。
【0074】
次いで、ステップ3(ST3)において、ステップ2(ST2)において抽出された交差点に対して、進入リンクと脱出リンクとの組に対応付けて特別なフラグを付与する。
【0075】
次いで、ステップ4(ST4)において、経路誘導部27による経路誘導を開始する。
【0076】
次いで、ステップ5(ST5)において、経路誘導部27により、自車位置算出部23の算出結果に基づいて、自車が誘導経路上の交差点の所定距離手前の地点に到達したか否かを判定する。そして、ステップ5(ST5)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ6(ST6)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ5(ST5)を繰り返す。
【0077】
次いで、ステップ6(ST6)において、経路誘導部27により、自車が進入しようとしている誘導経路上の交差点に、特別なフラグが付与されているか否かを判定する。そして、ステップ6(ST6)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ7(ST7)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ8(ST8)に進む。
【0078】
ここで、ステップ7(ST7)に進んだ場合には、経路誘導部27により、交差点拡大図の表示および特別な交差点音声案内を行うとともに、レーン情報描画部28により、誘導レーンの強調表示をともなうレーン情報の表示を行ってステップ5(ST5)に戻る。
【0079】
一方、ステップ8(ST8)に進んだ場合には、経路誘導部27により、交差点拡大図の表示および通常の交差点音声案内を行うとともに、レーン情報描画部28により、誘導レーンの強調表示をともなうレーン情報の表示を行ってステップ5(ST5)に戻る。
【0080】
なお、ステップ5(ST5)乃至ステップ8(ST8)の処理は、自車が目的地に到着するまで繰り返せばよい。また、ステップ1(ST1)乃至ステップ3(ST3)は、地図データの元データを地図データにコンパイルする際にコンパイラの機能によって行うようにすることが効率的である。
【0081】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【符号の説明】
【0082】
16 ハードディスクドライブ
27 経路誘導部
28 レーン情報描画部
図1
図2
図4
図5
図6
図8
図3
図7