特許第5881312号(P5881312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881312
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】縫合糸整理器
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/06 20060101AFI20160225BHJP
   A61B 17/02 20060101ALI20160225BHJP
   A61B 90/00 20160101ALI20160225BHJP
【FI】
   A61B17/06
   A61B17/02
   A61B19/00 502
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2011-117919(P2011-117919)
(22)【出願日】2011年5月26日
(65)【公開番号】特開2012-245095(P2012-245095A)
(43)【公開日】2012年12月13日
【審査請求日】2014年5月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137052
【氏名又は名称】株式会社ホギメディカル
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100083839
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 泰男
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】長井 俊介
(72)【発明者】
【氏名】加藤 次郎
【審査官】 井上 哲男
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0055439(US,A1)
【文献】 特開平10−257842(JP,A)
【文献】 米国特許第02692599(US,A)
【文献】 特開2002−325770(JP,A)
【文献】 実用新案登録第3165591(JP,Y2)
【文献】 米国特許第05954638(US,A)
【文献】 米国特許第04274398(US,A)
【文献】 米国特許第03515129(US,A)
【文献】 米国特許第00133265(US,A)
【文献】 米国特許第07303568(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/06
A61B 17/02
A61B 17/04
A61B 90/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円弧状の本体を有し、
前記本体の上面に縫合糸保持溝が形成された縫合糸整理器において、
前記本体の内周壁および外周壁には、前記上面と直交する方向に延びる三角形状の溝で形成された内周スリットおよび外周スリットがそれぞれ形成され、
前記縫合糸保持溝は、前記内周スリットと前記外周スリットを連絡すると共に、前記本体の円弧形状の中心線に対して傾いて形成されることを特徴とする縫合糸整理器。
【請求項2】
請求項1に記載の縫合糸整理器において、
前記内周スリットと前記外周スリットは、互いに位相をずらして複数形成されることを特徴とする縫合糸整理器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の縫合糸整理器において、
前記縫合糸保持溝は、前記本体の円弧形状に沿って等間隔に形成されることを特徴とする縫合糸整理器。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の縫合糸整理器において、
前記本体は、可撓性を有することを特徴とする縫合糸整理器。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の縫合糸整理器において、
前記本体の端部には、把持部が形成されることを特徴とする縫合糸整理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外科手術で使用される縫合糸整理器に関するものであり、具体的には、膵胆肝十二指腸等に使用する、縫合糸を把持する鉗子の操作を補助するために、縫合糸の縺れを防止する縫合糸整理器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に外科手術において、術部を縫合、吻合(縫合)する際には、大量の縫合糸が用いられ、術野周辺には縫合糸を把持する鉗子が複数ぶら下がっている。縫合糸同士が縺れると、円滑な手術を行うことができないため、縫合糸を整理し、縫合糸同士が縺れることを防止することを目的とした種々の形態の縫合糸整理器が知られている。
【0003】
特許文献1に記載された縫合糸整理器は、術野を妨げないようにリング状の形状をしており、リンク状本体部分上部には上方に向かってテーパ状に細くなり糸を保持するための切り込みがリングに対して垂直方向に一対ずつ連続して入っており、切り込み最上部にはV字型溝が施されており、本体部分下部は覆い布に固定するため、布鉗子用の孔が開けられている。
【0004】
かかる構成の縫合糸整理器は、手術に従事する者の労力を軽減し、安価で糸が痛まず、糸の張力による内臓組織の損傷を危惧することなく、糸を確実に保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−325770号公報
【0006】
また、膵胆肝十二指腸手術等では、膵管と空腸との吻合(縫合)及び、胆管と空腸との吻合(縫合)を行う際、心臓外科手術における弁置換時に使用される円環状のスーチャーホルダを、縫合糸を整理して縫合糸の縺れ防止を行う縫合糸整理器として用いることが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の縫合糸整理器によると、縫合糸整理器の上面に入れられた切り込みに縫合糸を保持する構造であるが、手術は縫合糸整理器の上面を覗き込むように、上面と面対して行われることが多いため、上面に形成された切り込みの位置を把握しにくく、使いづらいという問題があった。
【0008】
また、心臓外科手術用のスーチャーホルダは、膵胆肝十二指腸手術等に用いるには、高さが高く、吻合(縫合)操作を行い辛く、さらにはスーチャーホルダ自体の移動が行い難いものであった。また、スーチャーホルダは高価であるため、コスト上昇の一因となってしまうといった問題もあった。
【0009】
さらに、従来の縫合糸保持溝は、縫合糸整理器の中心から放射状に延びて形成されているので、縫合糸保持溝から縫合糸が外れてしまい、縫合糸に適切な張力を付与することができないといった問題もあった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、手術中も縫合糸を保持する縫合糸保持溝の位置を把握し易く、且つ縫合糸が縫合糸保持溝から外れることなく、手術中の取り扱いも容易な縫合糸整理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する本発明に係る縫合糸整理器は、円弧状の本体を有し、前記本体の上面に縫合糸保持溝が形成された縫合糸整理器において、前記本体の内周壁および外周壁には、前記上面と直交する方向に延びる三角形状の溝で形成された内周スリットおよび外周スリットがそれぞれ形成され、前記縫合糸保持溝は、前記内周スリットと前記外周スリットを連絡すると共に、前記本体の円弧形状の中心線に対して傾いて形成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る縫合糸整理器において、前記内周スリットと前記外周スリットは、互いに位相をずらして複数形成されると好適である。
【0014】
さらにまた、本発明に係る縫合糸整理器において、前記縫合糸保持溝は、前記本体の円弧形状に沿って等間隔に形成されると好適である。
【0015】
また、本発明に係る縫合糸整理器において、前記本体は、可撓性を有すると好適である。
【0016】
さらに、本発明に係る縫合糸整理器において、前記本体の端部には、把持部が形成されると好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、本体の内周壁及び外周壁に、垂直方向に延びる内周スリット及び外周スリットがそれぞれ形成され、縫合糸保持溝は、内周スリットと外周スリットとを連絡しているので、縫合糸整理器を上面から見た状態であっても縫合糸保持溝の位置を的確に把握することができる。
【0018】
また、本発明によれば、内周スリットと外周スリットとが互いに位相をずらして形成されているので、縫合糸保持溝が円弧状の本体の中心線から傾いて形成され、縫合糸を確実に保持することができ、縫合糸が外れるのを防止することができる。
【0019】
さらに、本発明によれば、縫合糸保持溝が本体の円弧形状の中心線に対して傾いて形成されているので、縫合糸を確実に保持することができ、縫合糸が外れるのを防止することができる。
【0020】
さらに、本発明によれば、縫合糸保持溝が本体の円弧形状に沿って等間隔に形成されているので、複数の縫合糸を同時に整理することができる。
【0021】
またさらに、本発明によれば、本体が可撓性を有しているので、手術が行われる部位に応じて柔軟に形状を変更することができ、容易に取り扱うことができる。
【0022】
また、本発明によれば、本体の端部に把持部が形成されているので、把持部を術野周辺に固定することで、縫合糸整理器を容易且つ確実に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1の実施形態に係る縫合糸整理器を示す斜視図。
図2】第1の実施形態に係る縫合糸整理器の上面図。
図3図2におけるA部拡大図。
図4】第1の実施形態に係る縫合糸整理器の使用状態を説明する図。
図5】第2の実施形態に係る縫合糸整理器を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[第1の実施形態]
以下、本発明に係る縫合糸整理器について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0025】
図1は、第1の実施形態に係る縫合糸整理器を示す斜視図であり、図2は、第1の実施形態に係る縫合糸整理器の上面図であり、図3は、図2におけるA部拡大図であり、図4は、第1の実施形態に係る縫合糸整理器の使用状態を説明する図である。
【0026】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る縫合糸整理器1は、円弧状の本体10を有しており、術野をほぼ包囲するように略C字状に形成されている。ここで、略C字状とは、円環の一部を切り欠いた形状をいい、円弧状の本体10は、200〜300°、より好ましくは220〜270°、更に好ましくは250°の円弧に形成されている。本体10の両端部には、本体10よりも幅が細く形成された把持部14が一体に形成されている。また、本体10は、上面11と上面11の幅方向両端から垂下して延びる内周壁12及び外周壁13を有しており、断面矩形状に形成されている。
【0027】
さらに、本体10及び把持部14は可撓性を有する材料から形成されており、例えば、発泡ポリエチレンスポンジなどが好適に用いられる。この本体10及び把持部14の可撓性により、本実施形態に係る縫合糸整理器1は、縫合糸整理器1の周方向や軸方向に自在に変形可能に形成されている。
【0028】
また、内周壁12及び外周壁13には、上面11と直交する方向に延びる内周スリット21及び外周スリット22が形成されている。さらに、内周スリット21及び外周スリット22は、後述する縫合糸保持溝20に円滑に縫合糸を案内することができるように、三角形状の溝で形成されている。この内周スリット21及び外周スリット22は、開口角が60〜120°、より好ましくは60〜90°、更に好ましくは90°に形成され、深さが2〜5mm、より好ましくは2〜3mm、更に好ましくは2mmに形成されている。
【0029】
内周スリット21と外周スリット22は、本体10の円弧形状に沿って等間隔に複数形成されており、例えば、隣り合う内周スリット21同士の間隔は、本体10の円弧の中心から3〜15°、より好ましくは3〜8°、更に好ましくは5°の間隔をあけて形成されている。なお、隣り合う外周スリット22同士の間隔も内周スリット21同士の間隔と同一に形成されており、内周スリット21と外周スリット22とは、本体10の円弧形状の径方向に沿って互いに位相をずらして配置されている。
【0030】
上面11には、任意の内周スリット21と外周スリット22とを連絡する縫合糸保持溝20が形成されている。縫合糸保持溝20は、上面11から一定の深さを有するハーフカットとして形成されており、本体10を分断していない。なお、縫合糸保持溝20の深さは、縫合糸が保持できればどの程度に形成しても構わないが、本体10が縫合糸保持溝20を起点として裂断しないように、本体10の厚みの1/5程度に形成すると好適である。具体的には、本体10の厚さは10〜25mm、より好ましくは15〜20mm、更に好ましくは20mmに形成され、縫合糸保持溝20は、2〜4mm、より好ましくは4mmに形成されている。
【0031】
また、図3に示すように、内周スリット21と外周スリット22は、本体10の円弧形状の径方向に沿って互いに位相をずらして配置されているので、縫合糸保持溝20は、本体10の円弧形状の中心線から傾いて形成されている。縫合糸保持溝20の傾きは、本体10の円弧形状の中心線から5〜20°、より好ましくは10〜15°、更に好ましくは10°傾いていると好適である。従って、この場合、内周スリット21と外周スリット22の位相差も5〜20°、より好ましくは10〜15°、更に好ましくは10°程度に設定される。
【0032】
次に、図1及び図2に示すように、把持部14は、上述したように、本体10の両端部に向けて幅が細くなるように形成されており、鉗子等で挟むことができるように把持部14の先端部の幅寸法は、本体10の幅寸法の略半分程度に形成されている。具体的には、本体10の幅寸法が20mmの場合、5〜10mm、より好ましくは10mmに形成されると好適である。このように、把持部14は、本体10の両端部に先細形状に形成されているので、把持部14を鉗子等で術野周辺に固定することで、縫合糸整理器1を術野周辺に確実に固定することができる。また、本体10は可撓性を有しているので、本体10を術野周辺の状態に応じた形状に適宜変形させることができるので、縫合糸整理器1を最適な位置・形状に固定することができる。
【0033】
図4に示すように、本実施形態に係る縫合糸整理器1は、鉗子を用いて把持部14を把持することにより術野周辺に固定されて使用される。縫合糸は、縫合糸の端部をモスキート鉗子によって把持されており、該モスキート鉗子は術野周辺には配置されず、縫合糸整理器1の外部に配置されている。また、縫合糸は術野から複数延びているが、各縫合糸は縫合糸保持溝20に保持されているため、縫合糸整理器1の径方向に整然と整列されているため、縫合糸同士が縺れることを防止することができる。
【0034】
また、縫合糸保持溝20は、本体10の内周壁12及び外周壁13に形成された内周スリット21及び外周スリット22を連絡するように形成されているので、本実施形態に係る縫合糸整理器1を上面11から見た場合であっても、内周スリット21及び外周スリット22が三角形状の溝で形成されているので、目視によってその位置を的確に把握することができ、縫合糸保持溝20の位置も同時に把握できる。
【0035】
さらに、縫合糸保持溝20は、本体10の円弧形状の中心線から傾いて形成されているので、縫合糸に対して適当な張力を付与した場合であっても、縫合糸を確実に保持することができ、縫合糸が外れるのを防止することができる。
【0036】
またさらに、本実施形態に係る縫合糸整理器1は、上面11と上面11の幅方向両端から垂下して延びる内周壁12及び外周壁13を有し、断面矩形状に形成されているので、膵胆肝十二指腸手術等に用いる場合であっても、吻合(縫合)操作を行いやすい高さに設定されている。また、縫合糸保持器1を発泡ポリエステルスポンジで形成しているので、打ち抜き加工のみで製造することができ、容易に製造することができる。さらに、金属等を使用しない単一材質で形成されるので、廃棄の際に分別作業を行うことがなく、取り扱いが容易である。
【0037】
以上説明した第1の実施形態に係る縫合糸整理器1は、円弧状の本体10を有し、術野を略包囲するように、略C字状に形成された場合について説明を行ったが、本発明に係る縫合糸整理器は、第1の実施形態で示したように本体10を略C字状に形成した場合に限られない。そこで、次に第2の実施形態に係る縫合糸整理器2について説明を行う。
【0038】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態に係る縫合糸整理器を示す斜視図である。なお、上述した第1の実施形態と同一または類似の部材については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0039】
図5に示すように、本実施形態に係る縫合糸整理器2は、本体10aが円弧状に形成されているものの、第1の実施形態に係る縫合糸整理器1と比較すると、全長が短く形成されている。全長が短く形成されていることにより、術野を包囲することができる程度に湾曲して形成されていない。具体的には、本体10aは、30〜60°、より好ましくは40〜55°、更に好ましくは47°の円弧に形成されている。
【0040】
また、本実施形態に係る縫合糸整理器2は、第1の実施形態に係る縫合糸整理器1と同様に、上面11に縫合糸保持溝20がハーフカットで形成されており、縫合糸保持溝20は、本体10aの内周壁及び外周壁に形成された内周スリット21及び外周スリット22を連絡しており、且つ、円弧形状の中心線から傾いて形成されている。
【0041】
さらに、本実施形態に係る縫合糸整理器2は、第1の実施形態に係る縫合糸整理器1と同様に、可撓性を有する材料で形成されており、本体10aの両端部には、先細形状の把持部14が形成されている。
【0042】
このように形成された本実施形態に係る縫合糸整理器2は、狭い位置にも配置することができ、大きな縫合糸整理器を配置することが難しい位置にも容易に配置することができる。また、本実施形態に係る縫合糸整理器2を複数用い、円周状に配置することで、より大きな術野を包囲することができ、容易に術野に応じた配置を適用することができる。また、本実施形態における縫合糸整理器2は、自由な位置で吻合(縫合)前の糸かけ操作を行うことができ、さらに吻合(縫合)操作時の適切な操作を糸を把持したまま縺れることなく行うことができる。
【0043】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
【0044】
例えば、上記実施形態においては、把持部14の先端部の幅寸法は本体10,10aの幅寸法の略半分程度に形成された先細形状に形成した場合について説明したが、把持部14はこのような形態に限定されず、把持部14の先端部の幅寸法はどのような幅を有する形状でも構わない。
【0045】
また、上記実施形態においては、本体10,10aを断面矩形状に形成した場合について説明したが、本体10,10aの断面形状はそのような形態に限定されず、例えば、円形や楕円形さらには、台形形状に形成しても構わない。
【0046】
また、第1の実施形態に係る縫合糸整理器1と第2の実施形態に係る縫合糸整理器2とを組み合わせて使用することもできる。第2の実施形態に係る縫合糸整理器2を第1の実施形態に係る縫合糸整理器1と組み合わせて使用することは、膵胆肝十二指腸手術等ではより効果を発揮する。膵胆肝十二指腸手術等では、膵管と空腸、胆管と空腸の吻合(縫合)など、複数の臓器の吻合(縫合)が必要となることが少なくない。膵胆肝十二指腸等の臓器は吻合(縫合)の際、臓器毎に異なる最適な角度から吻合(縫合)操作を十分な視野を確保して行うことができればより効率よく、より安全に手術を行うことができる。
【0047】
具体的には、術式によるが例えば、まず最初の吻合(縫合)操作手順である胆管−空腸吻合に第1の実施形態に係る縫合糸整理器1を用いて行い、その次の吻合(縫合)操作手順である膵管−空腸吻合に第2の実施形態に係る縫合糸整理器2を用いて行う。このとき第2の実施形態に係る縫合糸整理器2は把持部14を用いて配置・固定せずともその都度第1の実施形態に係る縫合糸整理器1の好適な部位に配置・固定し、当該臓器同士の吻合(縫合)を好適な位置から行えたり、また手術中や吻合(縫合)の状態時に縫合糸のテンションを好適に臓器にかけることができ、視野確保による手術効率と安全性を高めることが可能となる。
【0048】
この場合の第1の実施形態に係る縫合糸整理器1と第2の実施形態に係る縫合糸整理器2の固定方法は、第2の実施形態に係る縫合糸整理器2を第1の実施形態に係る縫合糸整理器1の外側に配し、縫合糸を第2の実施形態に係る縫合糸整理器2に保持した状態で第1の実施形態に係る縫合糸整理器1にも保持することにより固定することができる。また、第2の実施形態に係る縫合糸整理器2を第1の実施形態に係る縫合糸整理器1の外側に配置し、縫合糸を第2の実施形態に係る縫合糸整理器2に保持するように固定することもできる。この固定方法によれば、縫合糸の張力によって、第2の実施形態に係る縫合糸整理器2が第1の実施形態に係る縫合糸整理器1に向かって引っ張られるので、第2の実施形態に係る縫合糸整理器2が第1の実施形態に係る縫合糸整理器1に当接することで第2の実施形態に係る縫合糸整理器2を固定することができる。さらに、第1の実施形態に係る縫合糸整理器1と第2の実施形態に係る縫合糸整理器2とは鉗子等で互いに挟んで固定することもできる。
【0049】
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0050】
1,2 縫合糸整理器, 10,10a 本体, 11 上面, 12 内周壁, 13 外周壁, 14 把持部, 20 縫合糸保持溝, 21 内周スリット, 22 外周スリット。
図1
図2
図3
図4
図5