特許第5881325号(P5881325)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5881325-車両用戸閉制御装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881325
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】車両用戸閉制御装置
(51)【国際特許分類】
   B61D 19/02 20060101AFI20160225BHJP
【FI】
   B61D19/02 M
   B61D19/02 F
   B61D19/02 V
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2011-148824(P2011-148824)
(22)【出願日】2011年7月5日
(65)【公開番号】特開2013-14238(P2013-14238A)
(43)【公開日】2013年1月24日
【審査請求日】2014年5月14日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003115
【氏名又は名称】東洋電機製造株式会社
(72)【発明者】
【氏名】奥村 達夫
【審査官】 黒田 暁子
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−027969(JP,U)
【文献】 実開昭64−049470(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61D 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電車の一方の先頭車に配置された第一のドア開スイッチ、第一のドア閉スイッチ、及び第一の戸閉制御手段を有し、
電車の他方の先頭車に配置された第二のドア開スイッチ、第二のドア閉スイッチ、及び第二の戸閉制御手段を有し、
第一の戸閉制御手段と第二の戸閉制御手段との間に一対の引き通し線を設け、
第一の戸閉制御手段には、第一のドア開スイッチを押すことによって励磁され戸指令を保持する第一のドア開指令保持リレーと、ドア電磁弁へドア開指令を伝達する第一のドア開指令実行リレーとが設けられ、
第二の戸閉制御手段には、第二のドア開スイッチを押すことによって励磁され戸指令を保持する第二のドア開指令保持リレーと、ドア電磁弁へドア開指令を伝達する第二のドア開指令実行リレーとが設けられ、
第一のドア開指令保持リレーの接地線を一対の引き通し線の一方を介して第二のドア実行リレーのb接点を経由した後にグランドに落とし、
第二のドア開指令保持リレーの接地線を一対の引き通し線の他方を介して第一のドア実行リレーのb接点を経由した後にグランドに落とすことを特徴とする戸閉制御装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電車の両先頭車に設置してある戸閉制御装置でドアを開けている運転台の戸閉制御装置とは反対側の戸閉制御装置でドアを閉めることができる戸閉制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電車のドアを開けた運転台の戸閉制御装置でしかドアを閉めることができなかった。しかし、終端駅で一方の運転台の戸閉制御装置でドアを開いた後、もう一方の先頭車両の運転台に乗務員が移動するとき、そのたびにドアを閉めていては乗客の乗降時間短くなる上、乗客を車両内に閉じ込めてしまう等の事故が発生する可能性がある。それらの事情を鑑み、車両のユーザー側からドアを開いた運転台とは反対側の運転台でもドアを閉めることができることを要望されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−44991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リレーのハードシーケンス回路のみで、一方の運転台の戸閉制御装置で開けたドアを反対側の運転台の戸閉制御装置で閉めることを可能にすること。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その目的を達成するため、請求項1の発明によれば、電車の一方の先頭車に配置された第一のドア開スイッチ、第一のドア閉スイッチ、及び第一の戸閉制御手段を有し、
電車の他方の先頭車に配置された第二のドア開スイッチ、第二のドア閉スイッチ、
及び第二の戸閉制御手段を有し、
第一の戸閉制御手段と第二の戸閉制御手段との間に一対の引き通し線を設け、
第一の戸閉制御手段には、第一のドア開スイッチを押すことによって励磁され戸指令を保持する第一のドア開指令保持リレーと、ドア電磁弁へドア開指令を伝達する第一のドア開指令実行リレーとが設けられ、
第二の戸閉制御手段には、第二のドア開スイッチを押すことによって励磁され戸指令を保持する第二のドア開指令保持リレーと、ドア電磁弁へドア開指令を伝達する第二のドア開指令実行リレーとが設けられ、
第一のドア開指令保持リレーの接地線を一対の引き通し線の一方を介して第二のドア指令実行リレーのb接点を経由した後にグランドに落とし、
第二のドア開指令保持リレーの接地線を一対の引き通し線の他方を介して第一のドア指令実行リレーのb接点を経由した後にグランドに落とすことを特徴とする。
【0006】
すなわち両先頭車両の戸閉制御装置において、以下〔0007〕、〔0008〕の回路をリレーのハードシーケンス回路のみで構成する。
【0007】
ドア開スイッチを押すとドア閉スイッチを押さない限りドア電磁弁へ開指令を伝達し続けるためのドア開指令保持リレーを持つ回路。
【0008】
両先頭車に設置してある戸閉制御装置の戸開指令保持のためのリレーの接地線を引き通し、反対側戸閉制御装置内のドアを閉指令のリレーのb接点に接続し、その反対側車両の接地線に接続する回路。
【発明の効果】
【0009】
本発明を使用することにより終端駅で一方の運転台の戸閉制御装置でドアを開いた後、もう一方の先頭車両の運転台に乗務員が移動するとき、ドアを閉じることなく開いたまま移動できるため乗降時間の短縮することが可能。
【0010】
また、一方の先頭車両の戸閉制御装置が故障によりドアが閉じられなくなった時、もう一方の先頭車両の戸閉制御装置でドアを閉じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】戸閉制御装置の実施方法を示した回路図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図1を参照して説明する。
【実施例1】
【0013】
以下本発明の一実施形態について、図を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る戸閉制御装置が搭載された電車が図示されている。
電車の一方の先頭車には、配置された第一のドア開スイッチ1、第一のドア閉スイッチ2、及び第一の戸閉制御手段を有する。第一の戸閉制御手段と第二の戸閉制御手段との間に一対の引き通し線を設ける。電車の他方の先頭車には、配置された第二のドア開スイッチ、第二のドア閉スイッチ11、及び第二の戸閉制御手段を有する。
第一の戸閉制御手段には、第一のドア開スイッチ1を押すことによって励磁され戸閉指令を保持する第一のドア開指令保持リレー3と、ドア電磁弁へドア開指令を伝達する第一のドア開指令実行リレー7とが設けられている。第二の戸閉制御手段には、第二のドア開スイッチを押すことによって励磁され戸閉指令を保持する第二のドア開指令保持リレーと、ドア電磁弁へドア開指令を伝達する第二のドア開指令実行リレーとが設けられている。第一のドア開指令保持リレー3の接地線を一対の引き通し線の一方を介して第二のドア開指令実行リレーのb接点13を経由した後にグランドに落とすように構成される。第二のドア開指令保持リレーの接地線を一対の引き通し線の他方を介して第一のドア開指令実行リレーのb接点を経由した後にグランドに落とすように構成される。第一のドア開スイッチ1を押すと、第一のドア開指令保持リレーが励磁され、引き通し線に電流が流れ反対側先頭車の第二の戸閉制御手段を経由しての反対側車両のグランドに落ち、それにより第一のドア開指令保持リレー3のa接点4が閉じる。

【0014】
それにより第二のドア開指令保持リレーが励磁され、そのa接点6が閉じることにより第一のドア開指令保持リレーが自己保持される。

【0015】
第一のドア開指令保持リレーのa接点4も閉じたままになるので、第一のドア開指令実行リレー7が励磁状態になる。

【0016】
よって、第一のドア開指令実行リレー7のa接点8が閉じたままになりドア電磁弁へドア開指令を伝達し続け、車両のドアが開状態になる。

【0017】
上記より第一のドア開指令保持リレーの励磁が解消されないかぎり、車両のドアは閉まらない。

【0018】
反対側の先頭車両の第二の戸閉制御手段第二のドア閉スイッチ11を押すと、反対側の先頭車両の第二の戸閉制御手段第二のドア閉実行リレー12のコイルが励磁され、そのb接点13が開く。

【0019】
それにより第一のドア開指令保持リレー3を励磁していた電流は消滅し、反対側先頭車両の戸閉制御手段を操作することにより車両ドア閉じることができる。

【0020】
上記により車両ドアを開けた運転台の戸閉制御手段と反対側の戸閉制御手段の操作で車両ドアを閉じることができる回路が実現できる。

【符号の説明】
【0021】
第一のドア開スイッチ
第一のドア閉スイッチ
第一のドア開指令保持リレー1
第一のドア開指令保持リレー1のa接点
第三のドア開指令保持リレー2
第三のドア開指令保持リレー2のa接点
第一のドア開指令実行リレー
第一のドア開指令実行リレー
第一のドア閉実行リレー
10 第一のドア閉実行リレーのb接点
11 反対側の先頭車両の戸閉制御装置の第二のドア閉スイッチ
12 反対側の先頭車両の戸閉制御装置の第二のドア閉実行リレー
13 反対側の先頭車両の戸閉制御装置の第二のドア閉実行リレーのb接点
図1