(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の火災警報システムでは、親器は、子器への確認信号の送信、子器からの応答信号の受信、という双方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定しているので、無線通信の良否判定の信頼性が高い。それに対して、子器は、親器からの確認信号の受信、という単方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定しているので、無線通信の良否判定の信頼性が劣る。ここで、子器についても、親器と同様に、親器への確認信号の送信、親器からの応答信号の受信、という形態を実施して、双方向で通信経路を利用することも考えられるが、その場合、無線通信のトラフィックが増加していまい、不用な混線を生じさせてしまう必要がある。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、複数の警報器を有する警報システムにおいて、無線通信のトラフィックを増加させることなく、双方向で通信経路を利用して、信頼性の高い定期監視を行うことができる警報システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、設置環境の異常を検出する状態検出部と、無線信号を送受信する送受信部と、前記状態検出部で設置環境の異常を検出したことを報知する報知部と、前記状態検出部が異常を検出すると、前記報知部を駆動させて、設置環境の異常を検出したことを示す火災警報を報知させるとともに、他の全ての警報器の報知部を駆動させるために、異常の発生を通知する連動信号を、前記送受信部から他の全ての警報器に対して送信させ、前記送受信部が他の警報器から送信される連動信号を受信すると、前記報知部を駆動させて、設置環境の異常を検出したことを示す火災警報を報知させる制御部と、を有する複数の警報器を備え、前記複数の警報器の間で無線信号を送受信する警報システムにおいて、前記警報システムは、前記複数の警報器のうちの一台を親器とし、他の警報器を子器とし、親器の制御部は、全ての子器に対して第1の定期監視信号を第1周期で送受信部から送信させ、子器の制御部は、第1の定期監視信号を受け取ると無線通信が正常と判断し、前記第1周期よりも長い第1の所定時間以上、第1の定期監視信号を受け取らなかった場合は、当該親器に対して、第1の通信確認信号を送受信部から送信させ、親器の制御部は、前記第1の通信確認信号を受け取ったときに第1の確認応答信号を送受信部から送信させ、子器の制御部は、第1の確認応答信号を受け取ると無線通信が正常と判断し、前記第1の確認応答信号を受け取らなかった場合は、無線通信が不能と判断し、前記報知部を制御して無線通信不能が発生したことを報知する、又は、前記送受信部を制御して
他の全ての警報器の報知部を駆動させるために他の全ての警報器に対して前記連動信号に代えて無線通信不能を示す無線信号を送信することを特徴とする。
【0011】
また、子器の制御部は、親器に対して第2の定期監視信号を第2周期で送信部から送信させ、親器の制御部は、第2の定期監視信号を受け取ると無線通信が正常と判断し、前記第2周期よりも長い第2の所定時間以上、第2の定期監視信号を受け取らなかった場合は、当該子器に対して、第2の通信確認信号を送受信部から送信させ、子器の制御部は、前記第2の通信確認信号を受け取ったときに第2の確認応答信号を送受信部から送信させ、親器の制御部は、第2の確認応答信号を受け取ると無線通信が正常と判断し、前記第2の確認応答信号を受け取らなかった場合は、無線通信が不能と判断し、前記報知部を制御して無線通信不能が発生したことを報知する、又は、前記送受信部を制御して
他の全ての警報器の報知部を駆動させるために他の全ての警報器に対して前記連動信号に代えて無線通信不能を示す無線信号を送信することを特徴とする。
【0012】
また、子器の制御部は、前記第1の定期監視信号を受け取ったときに第1の定期応答信号を送受信部から送信させ、親器の制御部は、第1の定期応答信号を受け取ると無線通信が正常と判断し、前記第1の定期応答信号を受け取らなかった場合は、無線通信が不能と判断し、前記報知部を制御して無線通信不能が発生したことを報知する、又は、前記送受信部を制御して
他の全ての警報器の報知部を駆動させるために他の全ての警報器に対して前記連動信号に代えて無線通信不能を示す無線信号を送信することを特徴とする。
【0013】
この発明は、設置環境の異常を検出する状態検出部と、無線信号を送受信する送受信部と、前記状態検出部で設置環境の異常を検出したことを報知する報知部と、前記状態検出部が異常を検出すると、前記報知部を駆動させて、設置環境の異常を検出したことを示す火災警報を報知させるとともに、他の全ての警報器の報知部を駆動させるために、異常の発生を通知する連動信号を、前記送受信部から他の全ての警報器に対して送信させ、前記送受信部が他の警報器から送信される連動信号を受信すると、前記報知部を駆動させて、設置環境の異常を検出したことを示す火災警報を報知させる制御部と、を具備し、当該制御部は、前記送受信部が他の警報器から送信される無線信号を受信した場合、当該無線信号を送受信部から送信させて無線信号を中継する警報システムにおいて、前記警報器の制御部は、他の全ての警報器に対して第3の定期監視信号を第3周期で送受信部から送信させ、前記第3周期よりも長い第3の所定時間以上、前記送受信部が他の警報器から送信される第3の定期監視信号を受け取らなかった場合は、前記第3の定期監視信号を受け取らなかった他の警報器に対して、第3の通信確認信号を送受信部から送信させ、前記送受信部が自己宛てに他の警報器から送信される第3の通信確認信号を受け取ったときは、第3の確認応答信号を送受信部から送信させ、前記第3の定期監視信号を受け取らなかった他の警報器から送信される第3の確認応答信号を受け取った場合は、無線通信が正常と判断し、前記第3の確認応答信号を受け取らなかった場合は、無線通信が不能であると判断
し、前記報知部を制御して無線通信不能が発生したことを報知する、又は、前記送受信部を制御して無線通信不能を示す無線信号を送信することを特徴とする。
【0014】
また、何れか1つの警報器の制御部のみが、他の全ての警報器に対して第3の定期監視信号を送受信部から送信させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、親器と子器とを有する警報システムにおいて、親器の制御部は、全ての子器に対して第1の定期監視信号を第1周期で送受信部から送信させ、子器の制御部は、第1の定期監視信号を受け取ると無線通信が正常と判断し、前記第1周期よりも長い第1の所定時間以上、第1の定期監視信号を受け取らなかった場合は、当該親器に対して、第1の通信確認信号を送受信部から送信させ、親器の制御部は、前記第1の通信確認信号を受け取ったときに第1の確認応答信号を送受信部から送信させ、子器の制御部は、第1の確認応答信号を受け取ると無線通信が正常と判断し、前記第1の確認応答信号を受け取らなかった場合は、無線通信が不能と判断し、前記報知部を制御して無線通信不能が発生したことを報知する、又は、前記送受信部を制御して
他の全ての警報器の報知部を駆動させるために他の全ての警報器に対して前記連動信号に代えて無線通信不能を示す無線信号を送信するものであり、子器は、常時は、親器からの第1の定期監視信号の受信、という単方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定し、第1周期よりも長い第1の所定時間以上、第1の定期監視信号を受け取らなかった場合に初めて、親器への第1の通信確認信号の送信、親器からの第1の確認応答信号の受信、という双方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定するので、無線通信のトラフィックを増加させることなく、信頼性の高い定期監視を行うことができる。
【0016】
また、請求項2記載の発明によれば、子器の制御部は、親器に対して第2の定期監視信号を第2周期で送信部から送信させ、親器の制御部は、第2の定期監視信号を受け取ると無線通信が正常と判断し、前記第2周期よりも長い第2の所定時間以上、第2の定期監視信号を受け取らなかった場合は、当該子器に対して、第2の通信確認信号を送受信部から送信させ、子器の制御部は、前記第2の通信確認信号を受け取ったときに第2の確認応答信号を送受信部から送信させ、 親器の制御部は、第2の確認応答信号を受け取ると無線通信が正常と判断し、前記第2の確認応答信号を受け取らなかった場合は、無線通信が不能と判断し、前記報知部を制御して無線通信不能が発生したことを報知する、又は、前記送受信部を制御して
他の全ての警報器の報知部を駆動させるために他の全ての警報器に対して前記連動信号に代えて無線通信不能を示す無線信号を送信するものであり、親器は、常時は、子器からの第2の定期監視信号の受信、という単方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定し、第2周期よりも長い第2の所定時間以上、第2の定期監視信号を受け取らなかった場合に初めて、子器への第2の通信確認信号の送信、子器からの第2の確認応答信号の受信、という双方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定するので、無線通信のトラフィックを増加させることなく、信頼性の高い定期監視を行うことができる。
【0017】
また、請求項3記載の発明によれば、子器の制御部は、前記第1の定期監視信号を受け取ったときに第1の定期応答信号を送受信部から送信させ、親器の制御部は、第1の定期応答信号を受け取ると無線通信が正常と判断し、前記第1の定期応答信号を受け取らなかった場合は、無線通信が不能と判断し、前記報知部を制御して無線通信不能が発生したことを報知する、又は、前記送受信部を制御して
他の全ての警報器の報知部を駆動させるために他の全ての警報器に対して前記連動信号に代えて無線通信不能を示す無線信号を送信するものであるので、親器は、常時、子器への第1の定期監視信号の送信、子器からの第1の定期応答信号の受信、という双方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定するので、信頼性の高い定期監視を行うことができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、各警報器間で無線信号を中継する警報システムにおいて、前記警報器の制御部は、他の全ての警報器に対して第3の定期監視信号を第3周期で送受信部から送信させ、前記第3周期よりも長い第3の所定時間以上、前記送受信部が他の警報器から送信される第3の定期監視信号を受け取らなかった場合は、前記第3の定期監視信号を受け取らなかった他の警報器に対して、第3の通信確認信号を送受信部から送信させ、前記送受信部が自己宛てに他の警報器から送信される第3の通信確認信号を受け取ったときは、第3の確認応答信号を送受信部から送信させ、前記第3の定期監視信号を受け取らなかった他の警報器から送信される第3の確認応答信号を受け取った場合は、無線通信が正常と判断し、前記第3の確認応答信号を受け取らなかった場合は、無線通信が不能であると判断し、前記報知部を制御して無線通信不能が発生したことを報知する、又は、前記送受信部を制御して
他の全ての警報器の報知部を駆動させるために他の全ての警報器に対して前記連動信号に代えて無線通信不能を示す無線信号を送信するものであり、警報器は、常時は、他の警報器からの第3の定期監視信号の受信、という単方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定し、第3周期よりも長い第3の所定時間以上、第3の定期監視信号を受け取らなかった場合に初めて、他の警報器への第3の通信確認信号の送信、他の警報器からの第3の確認応答信号の受信、という双方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定するので、無線通信のトラフィックを増加させることなく、信頼性の高い定期監視を行うことができる。
【0019】
また、請求項5記載の発明によれば、何れか1つの警報器の制御部のみが、他の全ての警報器に対して第3の定期監視信号を送受信部から送信させるものであり、無線通信のトラフィックを増加させることなく、信頼性の高い定期監視を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
実施の形態1.
以下、本実施の形態1では、電池で駆動されて無線通信を行う火災警報器からなる警報システムに本発明を適用した場合を例に説明する。
【0022】
[警報システム及び火災警報器の構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る警報システム200の構成を示す図である。警報システム200は、複数の火災警報器100で構成される。これらの各火災警報器100は、それぞれ火災を検出する機能を有するとともに、独自に警報する機能を有している。
【0023】
火災警報器A〜火災警報器Eは1つの同じグループに属している。なお、各火災警報器100を区別して説明するために、火災警報器A、火災警報器B、火災警報器C、火災警報器D、火災警報器Eと称する場合がある。また、本実施の形態1では、火災警報器Aが親器(親警報器)であって、火災警報器B〜Eが子器(子警報器)であるものとし、親器A、子器B、子器C、子器D、子器Eと称する場合もある。
【0024】
ここで、火災警報器A〜Eの配置としては、親器Aは、複数の子器B〜E全ての無線信号の送信範囲が重複する領域に配置され、親器Aの送受信回路5は、複数の子器B〜E全てを無線信号の送信範囲内に含む構成である。つまり、子器B〜Eは、親器Aと通信可能な配置であるが、子器B〜Eの全てと通信可能な配置でなくてもよいものとする。
【0025】
各火災警報器A〜Eには、個別にアドレスAD1〜5が設定されている。なお、後述するように、火災警報器100はいずれも同様に構成されており、動作設定部(図示せず)の設定により親器としても子器としても動作することができる。
【0026】
図2は、本発明の実施の形態に係る火災警報器100の主要構成を示す機能ブロック図である。
図2において、火災警報器100は、制御回路1、電池2、電源回路3、電池電圧検出回路4、送受信回路5、アンテナ6、火災検出回路7、警報音制御回路8、表示灯回路9を備える。
【0027】
電池2は、電源回路3に直流電源を供給する。電源回路3は、電池2の電圧を所定電圧に制御し、制御回路1、送受信回路5、火災検出回路7、警報音制御回路8、表示灯回路9に供給する。
【0028】
電池電圧検出回路4は、電源回路3に印加される電池2の電圧を検出し、検出した電圧に応じた電池電圧検出信号を制御回路1に出力する。電池電圧検出回路4は、電池残量が低下したこと、又は、電池切れの閾値を超えたこと、を検出すると、制御回路1に信号を出力し、警報音制御回路8と表示灯回路9を駆動させるとともに、電池切れの状態情報を含む状態信号を送受信回路5より出力させる。
【0029】
火災検出回路7は本発明の状態検出部に相当し、火災現象に基づく煙又は熱等の検知対象物の物理量又は物理的変化を検出して、検出内容に応じた信号を制御回路1に出力する。警報音制御回路8は本発明の報知部に相当し、ブザー・スピーカ等による音声鳴動の動作を制御する回路である。表示灯回路9は本発明の報知部に相当し、発光ダイオード等の表示灯の点灯動作を制御する回路である。
【0030】
送受信回路5は、無線信号を送受信するためのアンテナ6に接続されており、送信回路51と受信回路52とを備える。受信回路52は、制御回路1により制御されて、所定周期で間欠受信動作を行ってアンテナ6から入力された無線信号を検出し、自己宛の信号の場合には受信処理を行う。受信処理した信号は、制御回路1へ出力する。また、送信回路51は、制御回路1に制御されて、後述する状態信号や連動信号などの無線信号の送信処理を行う。
【0031】
制御回路1は、火災検出回路7によって出力された信号に基づいて火災状態等を判別する機能を有する。また、火災状態であると判別した場合には、警報音制御回路8及び表示灯回路9を制御して音声及び表示灯によって警報(報知)を行う。また、送受信回路5が受信した信号に基づいて必要な処理を行うとともに、必要に応じて送受信回路5を制御して他の火災警報器に状態信号などの信号を送信する。
【0032】
また、制御回路1は、定期監視動作として、送受信回路5を介して、他の火災警報器100との間で必要な信号を送受信して、他の火災警報器100との間の無線通信の良否を判定する(詳細は後述する)。
【0033】
記憶素子11は、EEPROM(登録商標)などの不揮発性メモリであり、制御回路1が実行するプログラムや各種データを格納している。動作プログラムとしては、親器として動作する場合の動作プログラムと、子器として動作する場合の動作プログラムの両方を備える。また、各種データとしては、自己の属するグループID、自己アドレス、後述する送信期間Tx1、Tx2、Tx3、送信休止期間ST1、ST2、及び間欠受信間隔Ts、キャリアセンス期間C等であり、制御回路1はこれらのデータに従って送受信回路5の送受信動作の制御を行う。
【0034】
[送受信動作]
次に、火災警報器100の送信動作と受信動作について説明する。
図3は、実施の形態1に係る火災警報器100の送信動作を示すタイミングチャート、
図4は、実施の形態1に係る火災警報器100の受信動作を示すタイミングチャートである。
【0035】
(送信動作)
図3に示すように、後述する状態信号や連動信号等の信号を送信する場合には、制御回路1は送信回路51を制御して、信号を送信する送信期間と信号の送信を停止する送信休止期間とを交互に繰り返して実行させる。本実施の形態1では、標準規格RCR STD−30に準拠し、送信時間が3秒以下、かつ、送信休止時間が2秒以上となるように送信処理を行う。
図3に示すように、例えば送信期間Tx1、送信休止期間ST1、送信期間Tx2、送信休止期間ST2、送信期間Tx3の順に3つの送信期間と2つの送信休止期間とを繰り返す。本実施の形態1ではこれらをまとめて送信1ブロックと称し、この1ブロックが本発明の「所定の送信パターン」に相当する。連動信号の送信や定期送信の動作にて状態信号等を送信する場合には、1ブロック単位で送信動作を行う。なお、本実施の形態では、送信期間Tx1、Tx2、Tx3においては受信回路52による受信処理を行わず、また、送信休止期間ST1、ST2においても、受信回路52による受信処理を行わない。例えば、送信1ブロックは、送信期間Tx1=3秒、送信期間Tx2=2.5秒、送信期間Tx3=3秒、送信休止期間ST1=2秒、送信休止期間ST2=2秒と設定する。つまり、送信1ブロック=12.5秒である。
【0036】
なお、火災警報器100は、各種無線信号を送信する前には所定時間に亘ってキャリアセンス(キャリア検知)を行う。このキャリアセンスにて、キャリアが検出されなければ、連動信号の送信処理を開始する。このキャリアセンス期間Cは、送信休止期間ST1、ST2よりも長い時間とし、例えば、4秒間に設定される。このようにキャリアセンス期間Cを設定することで、キャリアセンスにてキャリアを検出した場合は、他の火災警報器100が
図3に示す送信パターンで信号を送信していると判断して、信号を送信しないで、信号の衝突を避けることができる。また、キャリアセンスにてキャリアを検出しない場合は、他の火災警報器100が
図3に示す送信パターンで信号を送信していないと判断して、信号を送信することができる。なお、キャリアセンス期間Cは、送信休止期間ST1、ST2よりも長い時間であればよく、本実施の形態の場合は、2秒よりも長い時間であればよい。
【0037】
(受信動作)
図4に示すように、制御回路1は、受信回路52を間欠受信間隔Ts(例えば、7秒)毎に起動させ、間欠受信F1、F2、F3...を行う。そして、所定の無線信号が受信できるか否かをチェックし、当該無線信号が検出できた場合には受信処理を行う。当該無線信号が検出できなければ、受信回路52の動作を停止させる。このように、間欠受信間隔Ts毎に受信回路52を起動させ、その他の場合は停止状態としておくことで、受信回路52の消費電流量を大幅に低減することができる。なお、火災警報器100は、間欠受信間隔Tsが7秒で、前記送信1ブロックにおける送信休止期間ST1の始まりから送信休止期間ST2の終わりまでの期間が、間欠受信間隔Tsよりも短い6.5秒に設定されているため、他の火災警報器100から送信される無線信号を、送信1ブロック中の送信期間Tx1、Tx2、Tx3のいずれかで受信することができる。しかしながら、送信動作として所定の送信パターン(送信期間と送信休止期間の関係)、受信動作としての間欠受信間隔Tsは、上記に限定されなくてもよい。
【0038】
[定期監視動作]
上記のように構成された火災警報器100からなる警報システム200においては、定期監視動作として、火災監視(定常状態)中に、各火災警報器100の間の無線通信の状態を確認するための定期送信を行っている。
【0039】
(子器の定期監視動作)
まず、子器B〜Eが、親器Aに対して実施する定期監視動作について説明する。
はじめに、親器Aは、子器B〜Eに対して実施する定期送信として、所定周期G1毎に、自身が属するグループID、送信元を識別するための自己アドレス、送信先アドレスを含む情報を、定期監視信号T1としてグループ内の全ての子器B〜E(火災警報器B〜E)に対して一斉に送信する。
【0040】
子器B〜Eは、前述のように間欠受信を行っており、この間欠受信において自己宛の信号を受信している。子器B〜Eは、この間欠受信において、親器Aからの定期監視信号T1を前回受信してから所定時間GT1内に次の定期監視信号T1を受信したか否かを判断している。ここで、子器B〜Eは、所定時間GT1内に次の定期監視信号T1を受信した場合は、無線通信は正常と判断する。
【0041】
一方、子器B〜Eは、所定時間GT1内に次の定期監視信号T1を受信しなかった場合は、無線通信は不能の可能性があると判断し、無線通信が不能であるか否かを判断するために、自身が属するグループID、送信元を識別するための自己アドレス、送信先アドレスを含む情報を、通信確認信号T2として親器Aに対して送信する。
親器Aは、前述のように間欠受信を行っており、この間欠受信において自己宛の信号を受信している。親器Aは、この間欠受信において、子器B〜Eからの通信確認信号T2を受信したか否かを判断している。ここで、親器Aは、通信確認信号T2を受信した場合は、自身が属するグループID、送信元を識別するための自己アドレス、送信先アドレスを含む情報を、確認応答信号T3として、通信確認信号T2の送信元の子器B〜Eに対して送信する。
【0042】
通信確認信号T2を送信した子器B〜Eは、前記間欠受信において、自己宛ての確認応答信号T3を受信したか否かを判断している。ここで、子器B〜Eは、例えば、所定周期G1よりも短い時間内に、自己宛ての確認応答信号T3を受信した場合は、無線通信は正常と判断する。一方、例えば、所定周期G1よりも短い時間内に、自己宛ての確認応答信号T3を受信しなかった場合は、無線通信は不能と判断する。ここで、子器B〜Eは、通信確認信号T2を、所定周期G1よりも短い周期で連続的に、所定回数再送しても確認応答信号T3の受信を確認できなければ、無線通信が不能であると判定するようにしてもよい。
【0043】
無線通信不能と判断した子器B〜Eは、警報音制御回路8や表示灯回路9を制御して音声や表示灯によって、無線通信不能が発生したことをユーザに報知する。なお、所定時間GT1は、親器Aの定期送信の所定周期G1よりも長い時間であり、例えば、所定時間G1の約1.5倍とすることができ、所定周期G1=48時間、所定時間GT1=72時間である。
【0044】
図5は、上記した子器の定期監視動作を説明するタイムチャートである。
親器Aは、所定周期G1で、子器B〜Eに対して、定期監視信号T1を送信しており、子器B〜Eは、親器Aからの定期監視信号T1を前回受信してから所定時間GT1内に次の定期監視信号T1を受信したか否かを判断している(S1、S2、S3)。
【0045】
ここで、図示の例では、子器Eは、所定時間GT1内に次の定期監視信号T1を受信しなかったため(S3)、親器Aに対して、通信確認信号T2を送信する(S4)。親器Aは、子器Eからの通信確認信号T2を受信すると(S4)、子器Eに対して、確認応答信号T3を送信する(S5)。そして、子器Eは、親器Aからの確認応答信号T3を受信すると、無線通信は正常であると判断し、確認応答信号T3を受信しなければ、無線通信は不能であると判断する(S5)。
【0046】
(親器の定期監視動作)
つぎに、親器Aが、子器B〜Eに対して実施する定期監視動作について説明する。
はじめに、子器B〜Eは、親器Aに対して実施する定期送信として、所定周期G2毎に、自身が属するグループID、送信元を識別するための自己アドレス、送信先アドレスを含む情報を、定期監視信号T11としてグループ内の親器A(火災警報器A)に対して送信する。なお、子器B〜Eのアドレスや製造番号等に基づいてランダムに発生させた遅延時間を所定周期G2に増減させ、各子器B〜Eの定期送信タイミングをずらすようにしてもよい。このようにすることで、子器B〜Eが同時に定期送信を行うことによる混信が発生する確率を低減することができる。
【0047】
親器Aは、前述のように間欠受信を行っており、この間欠受信において自己宛の信号を受信している。親器Aは、この間欠受信において、子器B〜Eからの定期監視信号T11を前回受信してから所定時間GT2内に次の定期監視信号T11を受信したか否かを判断している。ここで、親器Aは、所定時間GT2内に次の定期監視信号T11を受信した場合は、無線通信は正常と判断する。
【0048】
一方、親器Aは、所定時間GT2内に次の定期監視信号T11を受信できなかった場合は、無線通信は不能の可能性があると判断し、無線通信が不能であるか否かを判断するために、自身が属するグループID、送信元を識別するための自己アドレス、送信先アドレスを含む情報を、通信確認信号T12として、所定時間GT2内に次の定期監視信号T11を受信できなかった子器B〜Eに対して送信する。
【0049】
子器B〜Eは、前述のように間欠受信を行っており、この間欠受信において自己宛の信号を受信している。子器B〜Eは、この間欠受信において、親器Aからの通信確認信号T12を受信したか否かを判断している。ここで、子器B〜Eは、通信確認信号T12を受信した場合は、自身が属するグループID、送信元を識別するための自己アドレス、送信先アドレスを含む情報を、確認応答信号T13として、通信確認信号T12の送信元の親器Aに対して送信する。
【0050】
通信確認信号T12を送信した親器Aは、前記間欠受信において、自己宛ての確認応答信号T13を受信したか否かを判断している。ここで、親器Aは、例えば、所定周期G2よりも短い時間内に、所定時間GT2内に次の定期監視信号T11を受信できなかった子器B〜Eから、自己宛ての確認応答信号T13を受信した場合は、無線通信は正常と判断する。一方、例えば、所定周期G2よりも短い時間内に、自己宛ての確認応答信号T13を受信しなかった場合は、無線通信は不能と判断する。ここで、親器Aは、通信確認信号T12を、所定周期G2よりも短い周期で連続的に、所定回数再送しても確認応答信号T13の受信を確認できなければ、無線通信が不能であると判定するようにしてもよい。
【0051】
無線通信不能と判断した親器Aは、警報音制御回路8や表示灯回路9を制御して音声や表示灯によって、無線通信不能が発生したことをユーザに報知する。なお、所定時間GT2は、子器B〜Eの定期送信の所定周期G2よりも長い時間であり、例えば、所定時間G2の約1.5倍とすることができ、所定周期G2=24時間、所定時間GT2=36時間である。
【0052】
図6は、上記した親器の定期監視動作を説明するタイムチャートである。なお、
図6の例では、子器B〜Eを代表して、子器Eと親器Aとの間における親器Aの定期監視動作を説明する。
【0053】
子器Eは、所定周期G2で、親器Aに対して、定期監視信号T11を送信しており、親器Aは、子器Eからの定期監視信号T11を前回受信してから所定時間GT2内に次の定期監視信号T11を受信したか否かを判断している(S11、S12、S13)。
【0054】
ここで、図示の例では、ステップS13において、親器Aは、所定時間GT2内に次の定期監視信号T11を受信しなかったため(S13)、子器Eに対して、通信確認信号T12を送信する(S14)。子器Eは、親器Aからの通信確認信号T12を受信すると(S14)、親器Aに対して、確認応答信号T13を送信する(S15)。そして、親器Aは、子器Eからの確認応答信号T13を受信すると、無線通信は正常であると判断し、確認応答信号T13を受信しなければ、無線通信は不能であると判断する(S15)。
【0055】
このように、定期監視動作として、子器B〜Eは、常時は、親器Aからの定期監視信号T1の受信、という単方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定し、所定周期G1よりも長い所定時間GT1以上、定期監視信号T1を受け取らなかった場合に初めて、親器Aへの通信確認信号T2の送信、親器Aからの確認応答信号T3の受信、という双方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定するので、無線通信のトラフィックを増加させることなく、信頼性の高い定期監視を行うことができる。
【0056】
また、親器Aは、常時は、子器B〜Eからの定期監視信号T11の受信、という単方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定し、所定周期G2よりも長い所定時間GT2以上、定期監視信号T11を受け取らなかった場合に初めて、子器B〜Eへの通信確認信号T12の送信、子器B〜Eからの確認応答信号T13の受信、という双方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定するので、無線通信のトラフィックを増加させることなく、信頼性の高い定期監視を行うことができる。
[火災検出時の動作]
次に、火災監視(定常状態)中に、警報システム200の監視領域において火災が発生した場合の動作概要を説明する。
【0057】
まず、親器Aが火災を検出した場合の連動信号の送受信動作を説明する。
親器Aが設置された環境で火災が発生すると、親器Aは、火災検出回路7により火災を検出し、警報音制御回路8や表示灯回路9を制御して音声や表示灯によって、火元警報を報知する。火元警報メッセージとしては、例えば、「この部屋で火事です」である。
【0058】
つぎに、親器Aは、キャリアセンス期間Cの間、送信前キャリアセンスを実施し、キャリアが検出されなければ、連動信号の送信処理を開始する。具体的には、送信回路51により、火災検知に関する情報を連動信号として他の火災警報器B〜E(子器B〜E)に同報送信する。例えば、連動信号の送信を1ブロック行う。なお、連動信号は、自己の属するグループID、送信元アドレス(火元アドレス)としての自己アドレス、送信先アドレスとしての子器B〜Eのアドレスが付与されて、送信される。
【0059】
一方、子器B〜Eは、前述のようにそれぞれの間欠受信間隔Tsで間欠受信動作を行っている。そして、この間欠受信動作にて、送信先アドレスとして自己のアドレスが付与された連動信号を受信すると、警報音制御回路8や表示灯回路9を制御して音声や表示灯によって、連動警報を報知する。連動警報メッセージとしては、例えば、「他の部屋で火事です」である。
【0060】
つぎに子器が火災を検出した場合の連動信号の送受信動作を説明する。ここでは、一例として、子器Bが火災を検出した場合について説明する。
子器Bが設置された環境で火災が発生すると、子器Bは、火災検出回路7により火災を検出し、警報音制御回路8や表示灯回路9を制御して音声や表示灯によって、火元警報を報知する。
【0061】
つぎに、子器Bは、キャリアセンス期間Cの間、送信前キャリアセンスを実施し、キャリアが検出されなければ、連動信号の送信処理を開始する。具体的には、送信回路51により、火災検知に関する情報を連動信号として他の火災警報器A、C〜E(親器A、子器C〜E)に同報送信する。例えば、連動信号の送信を1ブロック行う。なお、連動信号は、自己の属するグループID、送信元アドレス(火元アドレス)としての自己アドレス、送信先アドレスとしての親器A、子器C〜Eのアドレスが付与されて、送信される。
【0062】
一方、子器C〜Eは、前述のようにそれぞれの間欠受信間隔Tsで間欠受信動作を行っている。そして、この間欠受信動作にて、送信先アドレスとして自己のアドレスが付与された連動信号を受信すると、警報音制御回路8や表示灯回路9を制御して音声や表示灯によって、連動警報を報知する。
【0063】
同様に、親器Aは、間欠受信動作にて、子器Bからの連動信号を受信すると、連動警報を報知する。また、親器Aは、子器Bにより発せられた連動信号を受信すると、連動信号の送信の終了後、連動信号を転送する目的で、子器B以外の全ての子器C〜Eに、連動転送信号を送信する。この連動転送信号の送信は、連動信号の送信に引き続いて行われる。なお、連動転送信号は、自己の属するグループID、送信元アドレスとしての自己アドレス、送信先アドレスとしての子器C〜Eのアドレス、火元アドレスとしての子器Bのアドレスが付与されて、送信される。そして、子器C〜Eは、間欠受信動作にて、親器Aからの連動転送信号を受信すると、連動警報を報知することができる。
【0064】
以上、本実施の形態1に利用される警報システムは、設置環境の異常を検出する状態検出部(火災検出部7)と、無線信号を送受信する送受信部(送受信回路5)と、前記状態検出部7で設置環境の異常を検出したことを報知する報知部(警報音制御回路8、表示灯回路9)と、前記状態検出部7が異常を検出すると、前記報知部8,9を駆動させて、設置環境の異常を検出したことを示す火災警報を報知させるとともに、他の全ての警報器100の報知部8,9を駆動させるために、異常の発生を通知する連動信号を、前記送受信部5から他の全ての警報器100に対して送信させ、前記送受信部5が他の警報器(火災警報器100)から送信される連動信号を受信すると、前記報知部8,9を駆動させて、設置環境の異常を検出したことを示す火災警報を報知させる制御部1と、を有する複数の警報器100を備え、前記複数の警報器100の間で無線信号を送受信する警報システム200において、前記警報システム200は、前記複数の警報器100のうちの一台を親器Aとし、他の警報器100を子器B〜Eとし、親器Aの制御部1は、全ての子器B〜Eに対して第1の定期監視信号T1を第1周期G1で送受信部5から送信させ、子器B〜Eの制御部1は、第1の定期監視信号T1を受け取ると無線通信が正常と判断し、前記第1周期G1よりも長い第1の所定時間GT1以上、第1の定期監視信号T1を受け取らなかった場合は、当該親器Aに対して、第1の通信確認信号T2を送受信部5から送信させ、親器Aの制御部1は、前記第1の通信確認信号T2を受け取ったときに第1の確認応答信号T3を送受信部5から送信させ、子器B〜Eの制御部1は、第1の確認応答信号T3を受け取ると無線通信が正常と判断し、前記第1の確認応答信号T3を受け取らなかった場合は、無線通信が不能と判断するものであり、子器B〜Eは、常時は、親器Aからの定期監視信号T1の受信、という単方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定し、所定周期G1よりも長い所定時間GT1以上、定期監視信号T1を受け取らなかった場合に初めて、親器Aへの通信確認信号T2の送信、親器Aからの確認応答信号T3の受信、という双方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定するので、無線通信のトラフィックを増加させることなく、信頼性の高い定期監視を行うことができる。
【0065】
また、子器B〜Eの制御部1は、親器Aに対して第2の定期監視信号T11を第2周期G2で送受信部5から送信させ、親器Aの制御部1は、第2の定期監視信号T11を受け取ると無線通信が正常と判断し、前記第2周期G2よりも長い第2の所定時間GT2以上、第2の定期監視信号T11を受け取らなかった場合は、当該子器B〜Eに対して、第2の通信確認信号T12を送受信部5から送信させ、子器B〜Eの制御部1は、前記第2の通信確認信号T12を受け取ったときに第2の確認応答信号T13を送受信部5から送信させ、親器Aの制御部1は、第2の確認応答信号T13を受け取ると無線通信が正常と判断し、前記第2の確認応答信号T13を受け取らなかった場合は、無線通信が不能と判断するものであり、親器Aは、常時は、子器B〜Eからの定期監視信号T11の受信、という単方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定し、所定周期G2よりも長い所定時間GT2以上、定期監視信号T11を受け取らなかった場合に初めて、子器B〜Eへの通信確認信号T12の送信、子器B〜Eからの確認応答信号T13の受信、という双方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定するので、無線通信のトラフィックを増加させることなく、信頼性の高い定期監視を行うことができる。
【0066】
実施の形態2.
以下、実施の形態2について説明するが、実施の形態2の警報システム200は、実施の形態1の警報システム200において、親器Aの定期監視動作が異なるのみであり、同様の点については説明を省略する。
【0067】
(親器の定期監視動作)
親器Aが、子器B〜Eに対して実施する定期監視動作について説明する。
はじめに、実施の形態1と同様に、親器Aは、子器B〜Eに対して実施する定期送信として、親器Aは、所定周期G1毎に、自身が属するグループID、送信元を識別するための自己アドレス、送信先アドレスを含む情報を、定期監視信号T1としてグループ内の全ての子器B〜E(火災警報器B〜E)に対して一斉に送信する。
【0068】
子器B〜Eは、前述のように間欠受信を行っており、この間欠受信において自己宛の信号を受信している。子器B〜Eは、この間欠受信において、親器Aからの定期監視信号T1を受信すると、自身が属するグループID、送信元を識別するための自己アドレス、送信先アドレスを含む情報を、定期応答信号T14としてグループ内の親器A(火災警報器A)に対して送信する。
【0069】
親器Aは、前述のように間欠受信を行っており、この間欠受信において自己宛の信号を受信している。親器Aは、この間欠受信において、子器B〜Eからの定期応答信号T14を前回受信してから所定時間GT1内に次の定期応答信号T14を受信したか否かを判断している。ここで、親器Aは、所定時間GT1内に次の定期応答信号T14を受信した場合は、無線通信は正常と判断する。一方、親器Aは、所定時間GT1内に次の定期応答信号T14を受信しなかった場合は、無線通信は不能であると判断する。なお、所定時間GT1は、親器Aの定期送信の所定周期G1よりも長い時間であり、例えば、所定時間G1の約1.5倍とすることができ、所定周期G1=48時間、所定時間GT1=72時間である。
【0070】
図7は、上記した親器の定期監視動作を説明するタイムチャートである。なお、
図7の例では、子器B〜Eを代表して、子器Eと親器Aとの間における親器Aの定期監視動作を説明する。
【0071】
親器Aは、所定周期G1で、子器Eに対して、定期監視信号T1を送信している(S21、S23、S25)。一方、子器Eは、親器Aからの定期確認信号T1を受信した場合は、親器Aに対して、定期応答信号T14を送信する(S22、S24、S26)。そして、親器Aは、子器Eからの定期応答信号T14を前回受信してから所定時間GT1内に次の定期応答信号T14を受信したか否かを判断している(S22、S24、S26)。
【0072】
そして、親器Aは、所定時間GT1内に次の定期応答信号T14を受信した場合は、無線通信は正常であると判断し(S24)、一方、所定時間GT1内に次の定期応答信号T14を受信しなかった場合は、無線通信は不能であると判断する(S26)。
【0073】
以上、本実施の形態に利用される警報システムは、子器B〜Eの制御部1は、第1の定期監視信号T1を受け取ったときに第1の定期応答信号T14を送受信部5から送信させ、親器Aの制御部1は、第1の定期応答信号T14を受け取ると無線通信が正常と判断し、前記第1の定期応答信号T14を受け取らなかった場合は、無線通信が不能と判断するものであるので、親器Aは、常時、子器B〜Eへの第1の定期監視信号T1の送信、子器B〜Eからの第1の定期応答信号T14の受信、という双方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定するので、信頼性の高い定期監視を行うことができる。
【0074】
実施の形態3.
以下、実施の形態3について説明するが、実施の形態1と異なる点について、以下に詳細に説明し、同様の点については説明を省略する。
【0075】
実施の形態3の警報システムの構成図としては、実施の形態1の
図1とほぼ同様であるため、図示を省略する。相違点としては、実施の形態1の警報システム200は、複数の火災警報器100のうちの一台を親器Aとし、他の火災警報器100を子器B〜Eとして、親器Aが連動信号を受信すると連動転送信号を送信する信号転送機能を備えた警報システム(親子システム)であったのに対し、
実施の形態3の警報システムは、複数の火災警報器100の全てが連動信号を受信すると連動信号を転送(中継)する信号転送機能を備えた警報システム(転送システム)である点である。この転送機能によって、全ての火災警報器100の間で連動信号を中継することにより、システム全体で火災の報知を行うことができる。そして、この信号転送機能は、連動信号に限らず、その他の無線信号についても機能するものである。以下、本実施の形態では、火災警報器A〜Eにおいて、火災警報器A〜Dは、相互間で通信可能に設置され、火災警報器Eは、火災警報器Dのみと通信可能で、火災警報器A〜Cとは直接通信可能でないように設置されているものとして説明する。
【0076】
[定期監視動作]
火災警報器A〜Eが、他の火災警報器A〜Eに対して実施する定期監視動作について説明する。
火災警報器A〜Eは、他の火災警報器A〜Eに対して実施する定期送信として、所定周期G3毎に、自身が属するグループID、送信元を識別するための自己アドレス、送信先アドレスを含む情報を、定期監視信号T21としてグループ内の全ての他の火災警報器A〜Eに対して一斉に送信する。なお、火災警報器A〜Eのアドレスや製造番号等に基づいてランダムに発生させた遅延時間を所定周期G3に増減させ、各火災警報器A〜Eの定期送信タイミングをずらすようにしてもよい。このようにすることで、火災警報器A〜Eが同時に定期送信を行うことによる混信が発生する確率を低減することができる。
【0077】
他の火災警報器A〜Eは、前述のように間欠受信を行っており、この間欠受信において自己の属するグループ宛の信号を受信している。他の火災警報器A〜Eは、この間欠受信において、定期監視信号T21を受信すると、定期監視信号T21をグループ内の全ての他の火災警報器A〜Eに対して一斉に中継転送する。また、他の火災警報器A〜Eは、この間欠受信において、自己以外の火災警報器A〜E(送信元の火災警報器A〜E)からの定期監視信号T21を前回受信してから所定時間GT3内に次の定期監視信号T21を受信したか否かを、自己以外の各火災警報器A〜Eに対して、それぞれ判断している。ここで、他の火災警報器A〜Eは、所定時間GT3内に次の定期監視信号T21を受信した場合は、無線通信は正常と判断する。
【0078】
一方、他の火災警報器A〜Eは、所定時間GT3内に次の定期監視信号T21を受信しなかった場合は、無線通信は不能の可能性があると判断し、無線通信が不能であるか否かを判断するために、自身が属するグループID、送信元を識別するための自己アドレス、送信先アドレスを含む情報を、通信確認信号T22として、無線通信が不能の可能性がある火災警報器A〜Eに対して送信する。
【0079】
火災警報器A〜Eは、前述の間欠受信において、他の火災警報器A〜Eからの通信確認信号T22を受信したか否かを判断している。ここで、火災警報器A〜Eは、通信確認信号T22を受信した場合は、自身が属するグループID、送信元を識別するための自己アドレス、送信先アドレスを含む情報を、確認応答信号T23として、通信確認信号T22の送信元の火災警報器A〜Eに対して送信する。
【0080】
通信確認信号T22を送信した火災警報器A〜Eは、前記間欠受信において、自己宛ての確認応答信号T23を受信したか否かを判断している。ここで、火災警報器A〜E、例えば、所定周期G3よりも短い時間内に、自己宛ての確認応答信号T23を受信した場合は、無線通信は正常と判断する。一方、例えば、所定周期G3よりも短い時間内に、自己宛ての確認応答信号T23を受信しなかった場合は、無線通信は不能と判断する。ここで、火災警報器A〜Eは、通信確認信号T22を、所定周期G3よりも短い周期で連続的に、所定回数再送しても確認応答信号T23の受信を確認できなければ、無線通信が不能であると判定するようにしてもよい。
【0081】
無線通信不能と判断した火災警報器A〜Eは、警報音制御回路8や表示灯回路9を制御して音声や表示灯によって、無線通信不能が発生したことをユーザに報知する。なお、所定時間GT3は、火災警報器A〜Eの定期送信の所定周期G3よりも長い時間であり、例えば、所定時間G3の約1.5倍とすることができ、所定周期G3=24時間、所定時間GT3=36時間である。
【0082】
図8は、上記した火災警報器の定期監視動作を説明するタイムチャートである。なお、
図8の例では、火災警報器A〜Eを代表して、火災警報器Bと火災警報器Eとの間における火災警報器Eの定期監視動作を説明する。
【0083】
火災警報器Bは、所定周期G3で、他の火災警報器A、C〜Eに対して、定期監視信号T21を送信している(S31、S33、S35)。このとき、火災警報器Eは、火災警報器Bからの定期監視信号T21を直接受信できない。しかし、火災警報器Bからの定期監視信号T21を直接受信した火災警報器Dが、当該定期監視信号T21を他の火災警報器A〜C、Eに中継転送することにより、当該中継転送された定期監視信号T21を火災警報器Eが受信する(S32、S34、S36)。
【0084】
一方、火災警報器Eは、火災警報器Bからの定期監視信号T21を前回受信してから所定時間GT3内に次の定期監視信号T21を受信したか否かを判断している(S32、S34、S36)。
【0085】
ここで、図示の例では、ステップS36において、火災警報器Eは、所定時間GT3内に次の定期監視信号T21を受信しなかったため(S36)、火災警報器Bに対して、通信確認信号T22を送信する(S37)。このとき、火災警報器Bは、火災警報器Eからの通信確認信号T22を直接受信できない。しかし、火災警報器Eからの通信確認信号T22を直接受信した火災警報器Dが、当該通信確認信号T22を、送信先の火災警報器Bに中継転送することにより、当該中継転送された通信確認信号T22を火災警報器Bが受信する(S38)。
【0086】
火災警報器Bは、火災警報器Eからの通信確認信号T22を受信すると(S38)、火災警報器Eに対して、確認応答信号T23を送信する(S39)。このとき、火災警報器Eは、火災警報器Bからの確認応答信号T23を直接受信できない。しかし、火災警報器Bからの確認応答信号T23を直接受信した火災警報器Dが、当該確認応答信号T23を送信先の火災警報器Eに中継転送することにより、当該中継転送された確認応答信号T23を火災警報器Eが受信することができる(S40)。
【0087】
そして、火災警報器Eは、火災警報器Bからの確認応答信号T23を受信すると、無線通信は正常であると判断し、確認応答信号T23を受信しなければ、無線通信は不能であると判断する(S40)。
【0088】
このように、定期監視動作として、火災警報器A〜Eは、常時は、他の火災警報器A〜Eからの定期監視信号T21の受信、という単方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定し、所定周期G3よりも長い所定時間GT3以上、定期監視信号T21を受け取らなかった場合に初めて、無線通信が不能の可能性がある他の火災警報器A〜Eへの通信確認信号T22の送信、無線通信が不能の可能性がある他の火災警報器A〜Eからの確認応答信号T23の受信、という双方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定するので、無線通信のトラフィックを増加させることなく、信頼性の高い定期監視を行うことができる。
【0089】
[火災検出時の動作]
次に、火災監視(定常状態)中に、警報システムの監視領域において火災が発生した場合の動作概要としては、火災警報器A〜Eが、他の火災警報器A〜Eからの連動信号を受信すると、当該受信した連動信号を、自己以外の他の火災警報器A〜Eに対して、中継転送する点が、実施の形態1と相違するのみであるため、説明を省略する。
【0090】
以上、本実施の形態に利用される警報システムは、設置環境の異常を検出する状態検出部(火災検出回路7)と、無線信号を送受信する送受信部(送受信回路5)と、前記状態検出部7で設置環境の異常を検出したことを報知する報知部(警報音制御回路8、表示灯回路9)と、前記状態検出部7が異常を検出すると、前記報知部8,9を駆動させて、設置環境の異常を検出したことを示す火災警報を報知させるとともに、他の全ての警報器(火災警報器100)の報知部8,9を駆動させるために、異常の発生を通知する連動信号を、前記送受信部5から他の全ての警報器100に対して送信させ、前記送受信部5が他の警報器100から送信される連動信号を受信すると、前記報知部8,9を駆動させて、設置環境の異常を検出したことを示す火災警報を報知させる制御部1と、を具備し、当該制御部1は、前記送受信部5が他の警報器100から送信される無線信号を受信した場合、当該無線信号を送受信部5から送信させて無線信号を中継する警報システムにおいて、前記警報器100の制御部1は、他の全ての警報器100に対して第3の定期監視信号T21を第3周期G3で送受信部5から送信させ、他の警報器100から送信される第3の定期監視信号T21を受信したら、無線通信が正常と判断し、前記第3周期G3よりも長い第3の所定時間GT3以上、前記送受信部5が他の警報器100から送信される第3の定期監視信号T21を受け取らなかった場合は、前記第3の定期監視信号T21を受け取らなかった他の警報器100に対して、第3の通信確認信号T22を送受信部5から送信させ、前記送受信部5が自己宛てに他の警報器100から送信される第3の通信確認信号T22を受け取ったときは、第3の確認応答信号T23を送受信部5から送信させ、前記第3の定期監視信号T21を受け取らなかった他の警報器100から送信される第3の確認応答信号T23を受け取った場合は、無線通信が正常と判断し、前記第3の確認応答信号T23を受け取らなかった場合は、無線通信が不能であると判断するものであり、警報器100は、常時は、他の警報器100からの第3の定期監視信号T21の受信、という単方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定し、第3周期G3よりも長い第3の所定時間GT3以上、第3の定期監視信号T21を受け取らなかった場合に初めて、他の警報器100への第3の通信確認信号T22の送信、他の警報器100からの第3の確認応答信号T23の受信、という双方向で通信経路を利用して、無線通信の良否を判定するので、無線通信のトラフィックを増加させることなく、信頼性の高い定期監視を行うことができる。
【0091】
なお、上記実施の形態3において、何れか1つの火災警報器100の制御回路1のみが、他の全ての火災警報器100に対して定期監視信号T21を送受信回路5から送信させるものとしてもよく、その場合であっても、信号転送機能によって、全ての火災警報器100の間で通信可能であるかを判断できるため、全ての火災警報器100が定期監視信号T21を送信する場合と比較して、無線通信のトラフィックを増加させることなく、信頼性の高い定期監視を行うことができる。
【0092】
上記全ての実施の形態では、無線通信不能と判断した火災警報器100は、ユーザに対して、無線通信不能が発生したことを単独で警報するものとして説明したが、火災警報と同様に、複数の火災警報器100との間で無線信号を送受信して、システム全体(無線通信可能な火災警報器100間)で連動して警報を行うように構成してもよい。その場合、実施の形態1、2においては、親器Aが無線通信不能と判断した場合は、親器Aが、連動信号の代わりに、無線通信不能を示す無線信号を送信すればよく、また、いずれかの子器B〜Eが無線通信の不能と判断した場合は、当該子器B〜Eが、連動信号の代わりに、無線通信不能を示す無線信号を送信し、当該無線通信不能を示す無線信号を受信した親器Aが、連動転送信号の代わりに、無線通信不能を示す無線信号の転送信号を送信すればよい。また、実施の形態3においては、無線通信不能と判断した火災警報器100が、連動信号の代わりに、無線通信不能を示す無線信号を送信すればよい。
【0093】
上記説明では、電池で駆動されて無線通信を行う火災警報器に本発明を適用した場合を例に説明したが、火災警報器の電源の供給方法や通信方式を限定するものではなく、また、火災警報器以外に異常検出用などの警報器に適用することも可能である。また、状態検出部を有していないが、連動信号を受信して警報する警報器(警報装置)に適用することも可能である。また、自動火災報知システムの受信機と感知器に用いてもよい。