(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段と、前記剥離シートに仮着された前記接着シートを剥離する剥離手段と、前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを含むシート貼付装置であって、
前記切断手段は、前記原反の帯状シート側に配置されて前記切込を形成可能な切断刃を有するカッター部と、前記原反を間に挟んで前記カッター部と対向配置されて当該カッター部の押圧力を受け止める受圧部と、これらカッター部と受圧部との接触を検知可能な接触検知手段とを備え、
前記カッター部の変位手段を更に含み、当該変位手段は、前記カッター部を変位させることにより、前記接着シートの繰出方向先端部側の切込を形成するカッター刃領域の位置を変更可能に設けられていることを特徴とするシート貼付装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、剥離シートRLにあっては、材料コストを低減するために、25μm前後の薄手のものが採用される機会が多くなっている。このような薄手の剥離シートRLが採用された原反を特許文献1の装置で使用すると、
図3(B)に示されるように、切断刃HCの刃先が剥離シートRLに入り込まなくなり、ピールプレートで切込CUの内側に形成された接着シートと、その外側に形成された不要シートとを確実に切り離すことができず、当該接着シートが不要シートと共に巻き取られてしまうことで、接着シートの貼付が行えなくなる、という不都合が発生する。
【0005】
ここで、
図3(B)において、切断刃HCの刃先が剥離シートRLに入り込むように当該切断刃HCとプラテンローラPRとの相対間隔を再調整することで、接着シートを確実に不要シートから切り離すようにできる。ところが、この場合、調整の切断刃HCとプラテンローラPRとの相対間隔を近付け過ぎると、装置の振動、雰囲気の温度や湿度、切断刃HCの変形等の何らかの影響によって、ときに切込CUが部分的又は全体的に原反を貫通してしまい、少しの外力を受けただけで接着シートとそれに対応する剥離シート部分とが原反RSから抜け落ちてしまったり、ピールプレートで接着シートを剥離するときに、当該接着シートと共に対応する剥離シート部分も抜けてしまい、剥離シート部分が付随した状態の接着シートが被着体に貼付されてしまったりするといった接着シートの貼付不良を発生してしまう、という不都合を招来する。
【0006】
[発明の目的]
本発明の目的は、剥離シートが薄厚化した場合でも、接着シートの形成、剥離及び貼付を良好に行うことができるシート貼付装置及
びシート製造装
置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段と、前記剥離シートに仮着された前記接着シートを剥離する剥離手段と、前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを含むシート貼付装置であって、
前記切断手段は、前記原反の帯状シート側に配置されて前記切込を形成可能な切断刃を有するカッター部と、前記原反を間に挟んで前記カッター部と対向配置されて当該カッター部の押圧力を受け止める受圧部と、これらカッター部と受圧部との接触を検知可能な接触検知手段とを備え
、
前記カッター部の変位手段を更に含み、当該変位手段は、前記カッター部を変位させることにより、前記接着シートの繰出方向先端部側の切込を形成するカッター刃領域の位置を変更可能に設けられる、という構成を採っている。
【0008】
本発明において、前記カッター部と受圧部との間隔を調整可能な調整手段を有し、前記調整手段は、前記接触検知手段の検知結果に基づいて、前記間隔を調整可能に設けられる、という構成を採ることが好ましい。
【0010】
更に、
本発明は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段と、前記剥離シートに仮着された前記接着シートを剥離する剥離手段と、前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧手段とを含むシート貼付装置であって、
前記切断手段は、前記原反の帯状シート側に配置されて前記切込を形成可能な切断刃を有するカッター部と、前記原反を間に挟んで前記カッター部と対向配置されて当該カッター部の押圧力を受け止める受圧部と、これらカッター部と受圧部との接触を検知可能な接触検知手段とを備え、
前記繰出手段は、前記切断手段と連動して1枚の接着シート形成に対し、前記切込の形成を複数回行う
、という構成を採っている。
【0011】
更に、本発明のシート貼付方法は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出工程と、
所定形状の切込を形成可能な切断刃を有するカッター部と、前記原反を間に挟んで前記カッター刃の押圧力を受け止める受圧部とにより、前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断工程と、
前記剥離シートに仮着された前記接着シートを剥離する剥離工程と、
前記接着シートを被着体に押圧して貼付する押圧工程とを備え、
前記切断工程において、前記カッター部と受圧部との接触を検知する、という方法を採っている。
【0012】
また、本発明のシート製造装置は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、
前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段とを含むシート製造装置であって、
前記切断手段は、前記原反の帯状シート側に配置されて前記切込を形成可能な切断刃を有するカッター部と、前記原反を間に挟んで前記カッター部と対向配置されて当該カッター部の押圧力を受け止める受圧部と、これらカッター部と受圧部との接触を検知可能な接触検知手段とを備え
、
前記カッター部の変位手段を更に含み、当該変位手段は、前記カッター部を変位させることにより、前記接着シートの繰出方向先端部側の切込を形成するカッター刃領域の位置を変更可能に設けられる、という構成を採っている。
更に、本発明に係るシート製造装置は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出手段と、
前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断手段とを含むシート製造装置であって、
前記切断手段は、前記原反の帯状シート側に配置されて前記切込を形成可能な切断刃を有するカッター部と、前記原反を間に挟んで前記カッター部と対向配置されて当該カッター部の押圧力を受け止める受圧部と、これらカッター部と受圧部との接触を検知可能な接触検知手段とを備え、
前記繰出手段は、前記切断手段と連動して1枚の接着シート形成に対し、前記切込の形成を複数回行う、という構成を採っている。
【0013】
また、本発明のシート製造方法は、帯状の基材シートの一方の面に接着剤層を有する帯状シートが当該接着剤層を介して帯状の剥離シートに仮着された原反を繰り出す繰出工程と、
所定形状の切込を形成可能な切断刃を有するカッター部と、前記原反を間に挟んで前記カッター刃の押圧力を受け止める受圧部とにより、前記帯状シートに所定形状の切込を形成して当該切込の内側に接着シートを形成するとともに、当該切込の外側に不要シートを形成する切断工程とを備え、
前記切断工程において、前記カッター部と受圧部との接触を検知する、という方法を採っている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、カッター部と受圧部との接触を検知することで、切込が原反を貫通してしまったことを検知することができるので、切込が部分的又は全体的に原反を貫通してしまったとしても、それを検知して、例えば、シート貼付装置やシート製造装置を非常停止させたり、音や光等の通知手段によってオペレータ等に知らせたりすることができ、接着シートとそれに対応する剥離シート部分が原反から抜け落ちてしまったり、剥離シート部分が付随した状態の接着シートが被着体に貼付されてしまったりするといった接着シートの貼付不良を未然に防止することができる。
【0015】
また、カッター部と受圧部との間隔を調整可能な調整手段を設けた場合、接触検知手段の検知結果に基づいて間隔を調整可能になり、シート貼付装置やシート製造装置を非常停止させる必要がなくなる。
更に、接着シートの繰出方向先端部に対応する切込を形成するカッター刃領域を変更可能な変位手段を有する構成とした場合、当該カッター刃の一部領域が摩耗等によって劣化しても、他の領域で接着シートの繰出方向先端部に対応する切込を形成することができる。
【0016】
また、1枚の接着シート形成に対して切込の形成を複数回行うことで、切込の深さを確実に所定の深さとすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書において、特に明示しない限り、「左」、「右」、「上」、「下」は、
図1を基準として用いる。
【0019】
図1及び
図2において、シート貼付装置10は、被着体としてのウエハWF及びリングフレームRFを吸着支持するテーブル11と、このテーブル11を左右方向に移動可能な駆動機器としての直動モータ12と、帯状の剥離シートRLと、その一方の面に仮着された帯状シートWSとにより構成された原反RSを繰り出し可能な繰出手段14と、この繰出手段14により繰り出された原反RSの帯状シートWSに切込CUを形成し、当該切込CUの内側に接着シートASを形成するとともに、当該切込CUの外側に不要シートUSを形成する切断手段15と、不要シートUSを巻き取り可能な巻取手段16と、剥離シートRLを折り返して接着シートASを剥離シートRLから剥離する剥離手段としての剥離板18と、この剥離板18で剥離された接着シートASをリングフレームRF及びウエハWFに押圧して貼付する押圧手段としての押圧ローラ19とを備えて構成されている。帯状シートWSは、基材シートBSと、この基材シートBSの一方の面に積層された接着剤層ADとを備え、当該接着剤層ADを介して剥離シートRLに仮着されている。なお、ウエハWFの下面には保護シートPSが貼付されている。
【0020】
前記繰出手段14は、原反RSを支持する支持軸25と、この支持軸25から繰り出されて切断手段15を通過する前の原反RSを挟み込む第1駆動ローラ27及び第1ピンチローラ28と、剥離板18を経た後の剥離シートRLを挟み込む第2駆動ローラ31及び第2ピンチローラ32と、これらを通過した後の剥離シートRLを図示しない駆動機器によって所定のトルクで巻き取る巻取軸34とを備えている。各駆動ローラ27、31は、駆動機器としての回動モータDM1、DM2を介して回転可能に設けられている。
【0021】
前記切断手段15は、繰り出される原反RSの帯状シートWS側に配置され、駆動機器としての回動モータDM3によって回転可能に設けられたカッター部としてのダイカットローラ36と、原反RSを間に挟んでダイカットローラ36と対向配置され、ダイカットローラ36の押圧力を受け止める受圧部としてのプラテンローラ37と、ダイカットローラ36を左右方向に移動させて当該ダイカットローラ36とプラテンローラ37との相対間隔を調整可能な調整手段38と、ダイカットローラ36とプラテンローラ37との接触を検知可能な接触検知手段39とを備えている。なお、プラテンローラ37は、図示しない機構によりダイカットローラ36と連動して回転可能に設けられている。
【0022】
前記ダイカットローラ36は、回動モータDM3と共にブラケット41を介して調整手段38に支持されている。ダイカットローラ36は、外周面から突設する閉ループ状の切断刃40を備え、帯状シートWSにリングフレームRFの内径寸法よりも大きく、外形寸法よりも小さい略円形の切込CUを形成可能に設けられている。また、切断刃40は、例えば、ダイカットローラ36の回転方向に270°の範囲に亘って設けられ、当該回転方向での先端を
図1中符号40aで示し、後端を同図中符号40bで示す。なお、切断刃40の高さは、450μmに設定されている。
【0023】
前記調整手段38は、ブラケット41に連結された出力軸38Aを備え、当該出力軸38Aを左右方向に移動可能な駆動機器としての直動モータとしての機能と、
図1中矢印R1方向又は矢印R1の反対方向に出力軸38Aを回転可能な駆動機器としての回動モータとしての機能とを有している。なお、出力軸38Aを
図1中矢印R1方向又は矢印R1の反対方向に回転可能な機能により変位手段が構成され、ダイカットローラ36を同図中矢印R1方向又は矢印R1の反対方向に180°回転駆動することで、ダイカットローラ36の同図中紙面直交方向の向きを反対にすることができる。これにより、切込CUの形成を開始する領域を切断刃40の後端40bに変更可能となり、切断刃40の先端40a及び後端40bの何れからでも切込CUを形成開始可能となり、先端40a及び後端40bの劣化状態等に応じ、それらの何れかを選択的に利用することが可能となる。なお、変位手段は、調整手段38から独立した駆動機器としての回動モータを採用してもよい。
【0024】
前記接触検知手段39は、プラテンローラ37と切断刃40とが接触することで、電気的に接続されたことを検知可能なセンサ45を備えている。これにより、プラテンローラ37と切断刃40とが原反RSの存在によって絶縁されている状態を非接触状態として判断でき、プラテンローラ37と切断刃40とが電気的に導通している状態を接触状態として判断できるようになっている。
【0025】
ここで、切断手段15には図示しないエネルギー付与手段が設けられ、このエネルギー付与手段により原反RSにエネルギーを付与しながら切込CUを形成可能となっている。エネルギー付与手段としては、例えば、ダイカットローラ36及びプラテンローラ37の少なくとも一方に内蔵されるコイルヒータの他、これらローラ36、37から離れた位置から切込CUの形成位置に温風を送風する送風機器や紫外線、赤外線、マイクロ波等のエネルギー線等を照射する照射装置等が例示できる。
【0026】
前記巻取手段16は、切断手段15により切込CUを形成した後の不要シートUSに掛け回されて当該不要シートUSを剥離シートRLから剥離する剥離ローラ50と、剥離ローラ50を経た後の不要シートUSを巻き取る巻取軸51とを備えて構成されている。巻取軸51は、駆動機器としての回動モータDM4を介して回転可能に設けられ、所定のトルクで不要シートUSを巻き取り可能となっている。
【0027】
次に、本実施形態における接着シートASの貼付方法について説明する。
【0028】
まず、支持軸25に支持された原反RSを第1駆動ローラ27と第1ピンチローラ28との間、及び、ダイカットローラ36とプラテンローラ37との間を通過させる。そして、剥離シートRLから帯状シートWSを剥離し、当該帯状シートWSを剥離ローラ50に掛け回した後、そのリード端を巻取軸51に固定する。また、剥離シートRLは、剥離板18の先端で折り返して第2駆動ローラ31と第2ピンチローラ32との間を通過させ、そのリード端を巻取軸34に固定する。なお、本実施形態では、帯状シートWSの厚みは100μm、剥離シートRLの厚みは25μmのものが採用されている。また、調整手段38によって、ダイカットローラ36とプラテンローラ37との相対間隔を調整する。本実施形態では、切断刃40が切込CUを形成する際、当該切断刃40の頂点とプラテンローラ37の外周面との間隔が10μmになるように設定されている。本実施形態では、
図1に示されるように、ダイカットローラ36の回転方向における切断刃40が形成されていない領域の中央をダイカットローラ36のスタート位置Stとし、当該スタート位置Stがプラテンローラ37に再接近した状態で、ダイカットローラ36の回転を停止させておく。
【0029】
そして、回動モータDM1〜DM4を連動させて原反RSを繰り出すと、切断刃40により基材シートBS側から剥離シートRL側に向かって切込CUが形成され、帯状シートWSは、切込CUの内側の接着シートASと、切込CUの外側の不要シートUSとに区分される。この接着シートASの形成過程で、例えば、何らかの影響によって切込CUが部分的又は全体的に原反を貫通してしまった場合、接触検知手段39は、プラテンローラ37と切断刃40との接触を検知し、その検知信号を図示しないコンピュータやシーケンサ等の制御手段に出力する。制御手段は、接触検知手段39からの検知信号を受けると、シート貼付装置10の作動を全て停止して非常停止状態としたり、音や光等の通知手段によってオペレータ等に知らせたりする緊急対応を行うことができる。ここで、図示しない制御手段は、1の接着シートASを形成する間に接触検知手段39から入力される検知信号の継続時間を内部タイマによって計測し、当該継続時間が所定時間以内であれば、非常停止等の緊急対応を行わないタイムキャンセル手段を設けてもよい。また、図示しない制御手段は、1の接着シートASを形成する間に接触検知手段39から発せられる検知信号の入力回数を内部カウンタによってカウントし、当該入力回数が所定回数以内であれば、非常停止等の緊急対応を行わないカウントキャンセル手段を設けてもよい。なお、カウントキャンセル手段は、タイムキャンセル手段を優先させる方が好ましい。
【0030】
切込CUの形成後、繰り出された原反RSは、剥離ローラ50で剥離シートRLから不要シートUSが剥離され、不要シートUSが巻取軸51に巻き取られる。このとき、切断刃40とプラテンローラ37との間隔をそれらが接触しない程度に設定したので、接着シートASが不要シートUSと切り離され易くなり、接着シートASが不要シートUSと共に巻取軸51方向へ共上がりすることはない。次いで、不要シートUSが巻き取られた原反RSの接着シートASが剥離板18の先端から所定量剥離されて抜け出ると、図示しないセンサで当該接着シートASの先端が検出されて停止し、スタンバイ状態となる。このとき、切込CUが確実に剥離シートRLに入り込んでいるので、接着シートASの繰出方向先端部は確実に剥離シートRLから剥離され、剥離シートRLと共に第2駆動ローラ31方向に巻き取られるようなことはない。なお、スタンバイ状態のとき、ダイカットローラ36は、
図1に示されるように、スタート位置Stがプラテンローラ37に対向した状態で、図示しない駆動機器である切込位置調整手段によって、ダイカットローラ36及びプラテンローラ37の位置を上下方向に変位できるように構成されている。これによれば各接着シートASの間隔を任意に調整することができる上、接着シートASの繰出方向における長さに応じ、それらの位置を上下方向に変更できる。その後、図示しない搬送手段を介してリングクレームRFとウエハWFとがテーブル11上に載置され、吸着保持される。次いで、直動モータ12を介してテーブル11が剥離板18の下方を右側から左側に搬送される。テーブル11が所定の位置で図示しないセンサによって検知されると、テーブル11の搬送に同期して第1及び第2駆動ローラ27、31が回転して原反RSが繰り出され、剥離板18の先端で接着シートASが剥離される。そして、剥離された接着シートASが押圧ローラ19による押圧力を受け、リングクレームRF及びウエハWFの各上面に貼付され、接着シートASを介してウエハWFとリングクレームRFとが一体化される。このとき、接着シートASの繰出方向先端部に対応する剥離シートRL部分が確実に接着シートASから剥離されているので、剥離シートRL部分が付随した状態の接着シートASが被着体に貼付されるようなことはない。
【0031】
従って、このような実施形態によれば、切断刃40とプラテンローラ37との接触を検知することができるので、切込CUが部分的又は全体的に原反RSを貫通してしまったとしても、それを検知して、非常停止等の緊急対応を採ることができ、接着シートASとそれに対応する剥離シートRL部分が原反RSから抜け落ちてしまったり、剥離シートRL部分が付随した状態の接着シートASが被着体に貼付されてしまったりするといった接着シートASの貼付不良を抑制することができる。
【0032】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0033】
例えば、切断刃40の頂点とプラテンローラ37との間隔を、原反RSの厚みより約100μm程度大きくし、切断刃40の先端40aがプラテンローラ37に対向した状態としておく。そして、原反RSの繰出を停止させた状態で、調整手段38を駆動させ、ダイカットローラ36を右方向に移動して切断刃40とプラテンローラ37とを接近させる。切断刃40の先端40aと接触部44とが接触すると、接触検知手段39が当該接触を検知し、その検知信号を図示しない制御手段に出力する。制御手段は、接触検知手段39からの検知信号を受け、調整手段38に対してダイカットローラ36を例えば10μm左方向に移動させ指令を送る。この状態から、各回動モータDM1〜DM4を連動させて原反RSの繰出を行い、切込CUを形成するように構成してもよい。
また、帯状シートWSに切込CUを形成する前の段階で、原反RSに線状若しくは点状のテスト用切込TC(
図2参照)を形成するテスト切断を行うように構成してもよい。この場合、上記と同様に、原反RSの繰出を停止させた状態で、切断刃40とプラテンローラ37とを接近させてそれらが接触すると、図示しない制御手段がその接触位置を記憶する。その後、調整手段38によって、切断刃40の頂点が原反RSに接触しない位置とされた後に、各回動モータDM1〜DM4を連動させて原反RSの繰出を行い、切込CUを形成する。この切込CUを形成するとき、制御手段は、先に記憶した接触位置を基に、切断刃40の先端40aがプラテンローラ37に対して10μm左方向に位置するように制御を行う。なお、このようなテスト用切込TCを形成する動作は、1枚の接着シートASを形成する毎に行ってもよいし、複数枚の接着シートAS形成毎に行ったり、ダイカットローラ36や切断刃40を交換する毎に、1回或いは複数回行ったりしてもよい。
【0034】
また、接触検知手段39は、前記実施形態と同様に検知を行える限りにおいて、種々の設計変更が可能である。例えば、切断刃40によってプラテンローラ37に局所的に加わる押圧力を検知可能な圧力センサにより構成し、その圧力値の検知結果によりプラテンローラ37と切断刃40との接触を検知するようにしてもよい。
【0035】
更に、前記巻取手段16を省略し、剥離シートRLから不要シートUSを剥離せずに、剥離板18で接着シートASを剥離し、剥離シートRLと不要シートUSとを巻取軸34で巻き取るようにしてもよい。
【0036】
また、切込Cの形成にあっては、各回動モータDM1〜DM4を連動させて原反RSを繰り出し方向に往復動させ、1枚の接着シートAS形成に対し、切込CUの形成を複数回行ってもよい。
【0037】
更に、前記シート貼付装置10の剥離板18及び押圧ローラ19を省略することにより、シート製造装置を構成してもよい。同装置によれば、前記実施形態と同様に切断手段15によって接着シートASを形成した後、当該接着シートASが剥離シートRLに仮着された原反RSが巻取軸34に巻き取られる。巻取軸34に巻き取られた原反RSは、別途搬送、保管したり、切断手段を有しないシート貼付装置等で利用したりすることができる。
【0038】
また、切断刃40の平面形状は、帯状シートWSに切込CUを形成して当該切込CUの内側を接着シートASとして形成し得る限りにおいて、多角形状、楕円、長円、菱形、直線と曲線とを組み合わせた形状等、種々の変更が可能であり、刃の高さも任意に変更できる。
【0039】
更に、切断刃40は、エッチング加工の他、機械加工によって形成される彫刻刃や、ロータリダイの他、平らな板上に刃が形成された平刃や、トムソン刃等を使用してもよい。
【0040】
また、調整手段38による切断刃40とプラテンローラ37との間隔は、原反RSの厚みや性質、特に剥離シートRSの厚みや性質等を考慮して適宜変更することができる。
【0041】
更に、繰出手段14や剥離板18、押圧ローラ19は、種々の設計変更が可能である。
また、原反RSを構成する部材の厚みは、上記実施形態で例示したものに何ら限定されることはない。
また、シート貼付装置10を移動させる駆動機器を設け、テーブル11を停止させた状態で、シート貼付装置10を
図1中右方向に移動させたり、テーブル11を左方向に移動させるとともに、シート貼付装置10を右方向に移動させたりして接着シートASを被着体に貼付するように構成してもよいし、
更に、上記実施形態と同様の調整手段38をプラテンローラ37側にも設け、ダイカットローラ36を停止させた状態で、プラテンローラ37をダイカットローラ36に対して離間接近させたり、ダイカットローラ36及びプラテンローラ37を相互に離間接近させたりして切断刃40とプラテンローラ37との間隔を調整するようにしてもよい。
【0042】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエータ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【0043】
更に、被着体は、ウエハWFやリングフレームRFに代えて、ガラス板、鋼板、または、樹脂板等、その他のものも対象とすることができ、半導体ウエハは、シリコン半導体ウエハや化合物半導体ウエハであってもよい。また、リングフレームRFに代えて、C字状やU字状等の別形状のフレームを用いてもよいし、リングフレームRFなしで単独の被着体を接着シートASの貼付対象としてもよい。