(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
非晶質のシリカ粒子Aの表面に、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む非晶質の酸化物層であって、非晶質のシリカ層とは異なる非晶質の酸化物層Cを有し、さらに、その上にジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む結晶質の酸化物層Bを有することを特徴とするシリカ系複合粒子。
【発明を実施するための形態】
【0012】
シリカ粒子Aと酸化物層Bを有するシリカ系複合粒子
本発明に係るシリカ系複合粒子は、非晶質のシリカ粒子Aの表面に、ジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む結晶質の酸化物層Bを有することを特徴としている。
【0013】
前記シリカ粒子Aは非晶質であることが必要である。
【0014】
前記シリカ粒子Aが結晶質であると、シリカ系複合粒子同士が焼結して凝集体を形成し、粉砕することが非常に困難となるため、研磨スラリーとして使用することができない。また、シリカ粒子の結晶性が高くなると結晶性のクリストバライトを含み、工業上での使用が法的に制限される場合があり好ましくない。
【0015】
また、従来の結晶性の無機酸化物粒子を粉砕し研磨用スラリーとする際には、粒子同士の焼結のため、該粒子の粒子径や粒度分布を制御することは困難であるが、本発明に係るシリカ系複合粒子は、シリカ系複合粒子同士の焼結が抑制され、シリカ粒子Aの非晶質性が保たれているので、該シリカ粒子Aの一次粒子径や形状が焼成工程などで損なわれにくく、シリカ系複合粒子の粒子径、粒度分布および形状を制御することが可能となり、これによって研磨スラリーの性能を向上させることができる。
【0016】
すなわち、後述の酸化物層Cを含まないシリカ系複合粒子においては、シリカ粒子Aは市販品のような非晶質のシリカ粒子にさらに非晶質のシリカ層を被覆して用いることが必要である。新たな非晶質の層を設けることにより、その上に形成される結晶質の酸化物の被覆が強固になる。また、単に非晶質のシリカ粒子を用いただけでは、粒子同士の焼結が生じるため、本願発明の構成を有するシリカ系複合粒子を得ることはできない。新たに形成される非晶質の酸化物層すなわち、シリカ層とシリカ粒子の組成が同一の場合は、その境界を区別することができないが、このような処理をしなければ、分散性に優れ、粒子同士の焼結のないシリカ系複合粒子は得られない。すなわち、本願発明のシリカ系複合粒子は、焼成時の焼結が抑制され、分散性に優れるものである。
【0017】
前記シリカ粒子Aはシリカを主成分とするものであれば良く、さらに副成分あるいは不純物としてナトリウム、カリウムなどの元素を含んでいてもよい。
【0018】
前記シリカ粒子Aの平均粒子径は、特に制限されるものではないが、最終的に得られるシリカ系複合粒子の大きさが10〜1000nmの範囲となるようなものであることがより好ましい。
【0019】
前記シリカ粒子Aの表面に形成されている前記結晶性の酸化物層Bは、ジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含むことが好ましい。
上記元素は、本願発明で用いる非晶質のシリカ粒子Aの表面との反応性に優れるので酸化物層Bを形成しやすく、またこのような元素を含む酸化物層Bは研磨速度が向上するため好ましい。
【0020】
チタニウム、鉄、セリウムを含む酸化物層Bは、シリカ系複合粒子の研磨速度が特に優れるので、より好ましい。
前記酸化物層Bは結晶質であることが好ましい。前記酸化物層Bが非晶質であると、シリカ系複合粒子の研磨速度が向上しないため好ましくない。
ただし、前記酸化物層Bは、本願発明の効果を損なわない範囲内であれば、部分的に非晶質の酸化物を含んでいてもかまわない。
なお、前記シリカ粒子Aおよび前記酸化物層Bの結晶性については、測定方法の欄に後述するとおり、XRD回折法により判別することができる。
前記酸化物層Bは単独酸化物層であっても複合酸化物層であってもよく、さらに副成分として他の元素、例えばアルミニウム、塩素、窒素および硫黄などを含んでいてもよい。
前記酸化物層Bはシリカ粒子Aの表面に部分的に修飾されているものであっても全体的に被覆されているものであってもよいが、固形分重量比で以下のような被覆量の範囲であることが好ましい。
前記結晶質の酸化物層Bの固形分重量(b)が、前記シリカ粒子Aの固形分重量(a)に対して(b)/(a)=0.01〜1.5、より好ましくは0.01〜1.2の範囲にあることが好ましい。
なお、酸化物層Bの固形分重量(b)は酸化物層Bに含まれる金属元素の酸化物換算基準(ZrO
2、TiO
2、Fe
2O
3、Mn
2O
3、ZnO、CeO
2、Y
2O
3、CaO、MgO、La
2O
3、SrO)とし、フッ素の場合は原子換算基準(F)の重量の合計とする。
前記固形分重量比(b)/(a)が0.01未満だと、シリカ粒子が結晶質となる場合があるので、好ましくない。
前記固形分重量比(b)/(a)が1.5を超えると、単独の酸化物微粒子が発生する場合があるので、好ましくない。
前記酸化物層Bの厚みについては、特に制限されるものでなく、最終的なシリカ系複合粒子の平均粒子径が10〜1000nmの範囲になるような厚みであればよく、上記の固形分重量比範囲を満たすものであればより好ましい。
前記シリカ系複合粒子の平均粒子径は10〜1000nm、より好ましくは50〜200nmの範囲にあることが好ましい。
前記平均粒子径が10nm未満の場合には、シリカ粒子が結晶質となる場合があり、また前記平均粒子径が1000nmを超えると研磨時に研磨基材の表面にキズが発生する場合があるので、好ましくない。
前記シリカ系複合粒子の形状については、特に制限されるものではなく、例えば球状、略球状、金平糖状などの形状を挙げることができる。
シリカ粒子Aと酸化物層Bと酸化物層Cとを有するシリカ系複合粒子
本発明に係るシリカ系複合粒子のもうひとつの形態は、非晶質のシリカ粒子Aの表面に、アルミニウム、ジルコニウム、ジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む非晶質の酸化物層Cを有し、さらに、その上にジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む結晶質の酸化物層Bを有することを特徴とするものである。
【0021】
前記シリカ粒子Aの組成や結晶性、形状については上述したものと同様である。ただし、本態様においては、シリカ粒子Aは、前述したような処理をしなくても問題はない。
【0022】
また、前記シリカ粒子Aの平均粒子径については、最終的なシリカ系複合粒子の平均粒子径が10〜1000nmの範囲となるようなものであればよい。
【0023】
前記酸化物層Bの組成、結晶性、固形分重量比については上述したものと同様である。
【0024】
上述したような酸化物層Bは、酸化物層Cとの反応性に特に優れ、また研磨速度を向上させる効果が高いので、好ましい。
【0025】
非晶質のシリカ粒子Aと結晶質の酸化物層Bとの間に、非晶質の酸化物層Cを有するシリカ系複合粒子は、粒子の焼結の抑制と、研磨速度の向上効果が特に優れるため好ましい。
【0026】
前記非晶質の酸化物層Cはアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含むことが好ましい。
【0027】
上記の元素を含む非晶質の酸化物層Cを非晶質のシリカ粒子Aの表面に有することによって、焼成工程によるシリカ粒子Aの焼結を抑制することができる。
【0028】
上記の元素はシリカとの間に複合酸化物を形成して安定化しやすく、このような元素を含む酸化物層Cを有するシリカ系複合粒子は焼成した際の焼結が大幅に抑制され、シリカ粒子Aを結晶化させることがないので、容易に粉砕することができ、粒子径や粒度分布、粒子形状の制御が容易に可能である。
【0029】
また、pHがアルカリ性の領域で他の元素との複合化を実施する場合に、シリカと他の元素成分との間ではゼータ電位の差が大きく電気的に反発し、シリカ粒子Aの表面に酸化物層Bの前駆体が形成させることが困難な場合があるが、上述した元素を含む酸化物層Cをその中間に設けることで電気的な反発が少なくなり、酸化物層Cの表面に大量の酸化物層Bを均一かつ安定に形成させることが可能となり、シリカ系複合粒子の研磨速度を大幅に向上させることができる。
【0030】
前記酸化物層Cは非晶質であることが好ましい。酸化物層Cが結晶質であるとシリカ系複合粒子の焼成時に焼結し研磨用粒子として用いることができないので好ましくない。
【0031】
前記非結晶質の酸化物層Cは、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄、ペルオキソチタン酸、ポリジルコン酸、硝酸第一セリウムより選ばれたいずれか1種以上を由来とするものであることが好ましい。
【0032】
ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄、ペルオキソチタン酸、ポリジルコン酸を原料として得られる酸化物層Cは、上記材料が金属の重合体を含むために、シリカ粒子表面での水酸化物の形成が穏やかで均一となり、安定に均一な酸化物層Cを形成できるので、シリカ系複合粒子の焼結防止や研磨速度向上の効果が高く好ましい。
【0033】
硝酸第一セリウムを原料として得られる酸化物層Cは、硝酸第一セリウムに由来する3価のセリウムイオンとシリカ粒子表面の反応性が高く、均一な酸化物層Cを形成することができるので、シリカ系複合粒子の焼結防止や研磨速度向上の効果が高く好ましい。
【0034】
シリカ系複合粒子に含まれる酸化物層Cの量については、特に制限されるものではないが、好ましくは、シリカ粒子Aの固形分重量に対して酸化物層Cに含まれる金属元素の酸化物換算基準の固形分重量が0.3〜2.0重量%の範囲にあることが好ましい。
【0035】
前記酸化物層Cの量が0.3重量%未満の場合には、所望量の酸化物層Bを形成させることができない場合があったり、シリカ粒子Aが結晶質となる場合があったりするので好ましくない場合がある。
【0036】
また、前記酸化物層Cの量が2.0重量%を越えると酸化物層Cの金属元素に由来する単独の酸化物微粒子が生成する場合があるので、好ましくない場合がある。
研磨用スラリー
本発明に係る研磨用スラリーは、本発明に係るシリカ系複合粒子を含むことを特徴としている。
【0037】
前記研磨用スラリーは、ハードディスクや半導体基板などを研磨する際の研磨速度が高く、また研磨時に研磨面のキズが少ないなどの効果に優れている。
【0038】
前記研磨用スラリーは、さらに分散溶媒として、水および/または有機溶媒を含む。
【0039】
前記分散溶媒としては例えば純水、超純水、イオン交換水のような水を用いることが好ましい。さらに、前記研磨用スラリーは、所望により、添加剤として、研磨促進剤、界面活性剤、複素環化合物、pH調整剤およびpH緩衝剤からなる群より選ばれる1種以上を含んでいても良い。
【0040】
また、前記研磨用スラリーの分散溶媒として、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、メチルイソカルビノールなどのアルコール類;アセトン、2−ブタノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、3,4−ジヒドロ−2H−ピランなどのエーテル類;2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール、エチレングリコールジメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテートなどのグリコールエーテルアセテート類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、乳酸エチル、エチレンカーボネートなどのエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;塩化メチレン、1,2−ジクロルエタン、ジクロロプロパン、クロルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;N−メチル−2−ピロリドン、N−オクチル−2−ピロリドンなどのピロリドン類などの有機溶媒を用いることができる。これらを水と混合して用いても良い。
【0041】
前記研磨スラリーに含まれるシリカ系複合粒子の固形分濃度は3〜30重量%の範囲にあることが好ましい。
【0042】
前記濃度が3重量%未満の場合には研磨速度が低下する場合があるので好ましくない。
【0043】
前記濃度が30重量%を超えても研磨速度はそれ以上向上する場合は少ないので、不経済となり好ましくない。
シリカ系複合粒子の製造方法
本発明に係るシリカ系複合粒子の製造例を以下に説明する。
シリカ粒子Aと酸化物層Bを有するシリカ系複合粒子の製造方法
本発明に係るシリカ系複合粒子のうち、シリカ粒子Aの表面に酸化物層Bを有する粒子の好ましい製法の一例は、下記工程
(1)非晶質のシリカ粒子Aを含むシリカゾルに、金属としてケイ素元素のみを含む金属塩および/または高分子化合物を添加したのち、5〜98℃で0.5〜24時間攪拌して混合液を得る工程と、
(2)前記工程で得られた混合液に、さらにジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む金属塩および/または高分子化合物を添加して5〜98℃で0.5〜24時間攪拌してシリカ系複合粒子の前駆体粒子を含む分散液を得る工程と、
(3)前記工程で得られた分散液を乾燥させたのち、400〜1200℃で焼成する工程
を含むことを特徴としている。
工程(1)
この工程では、非晶質のシリカ粒子Aを含むシリカゾルに、金属としてケイ素元素のみを含む金属塩および/または高分子化合物を添加したのち、5〜98℃で0.5〜24時間攪拌することによって、シリカ粒子A表面にケイ素を含む水酸化物を形成させる。このとき前記水酸化物と同時に酸化物が形成していてもよい。
【0044】
この水酸化物は後の焼成工程でシリカとしてシリカ粒子Aと一体化し、その境界を確認することはできなくなるが、この水酸化物を一旦形成することにより、次の工程で酸化物層Bあるいはその前駆体がシリカ粒子Aの表面に形成しやすくなるので、シリカ系複合粒子の研磨速度や焼結抑制効果が向上する。
【0045】
シリカ粒子Aを含むシリカゾルとしては、公知のものを用いることができる。
【0046】
例えば特開昭63−045113号公報、特開昭63−064911号公報に記載される製造方法に準じて製造することができ、カタロイドSI−80(日揮触媒化成株式会社製)、スノーテックスZL(日産化学工業株式会社製)などの市販品を用いても良い。
【0047】
またアルコキシシランの加水分解により製造したシリカゾルを用いてもよく、乾式法により製造したシリカ粒子を水に分散させた分散液を用いても良い。
【0048】
前記シリカゾルに含まれるシリカ粒子の平均粒子径は、最終的なシリカ系複合粒子の平均粒子径が10nm〜1000nmの範囲となるようなものであれば良く、後の焼成工程の条件にもよるが、焼成による粒子径の減少を考慮すると概ね13〜1100nmの範囲にあればよい。
【0049】
なお、本発明のシリカ系複合粒子は粒子の焼結を抑制する効果に優れるため、最終的なシリカ系複合粒子の平均粒子径や粒度分布、粒子形状などは原料シリカゾルの正常に準じて決定される。従って、シリカ系複合粒子の研磨特性を制御するには、用途などに応じてこの時点で所望の性状を有するシリカゾルを選択すればよい。
【0050】
また、用いるシリカゾルの分散媒は水を含むことが好ましく、水ゾルを使用することが好ましい。
【0051】
シリカゾルの濃度としてはSiO
2換算基準での固形分濃度が20〜40重量%の範囲にあるものが好ましい。
【0052】
前記固形分濃度が20重量%未満の場合には、製造工程でのシリカ濃度が低くなり生産性が悪いので好ましくない。前記固形分濃度が40重量%を超えても、その後の工程で希釈をするので特に問題はない。シリカ濃度は扱いが可能な範囲で上限を設定することができる。
【0053】
シリカゾルのpHは特に限定されるものではないが、8〜10.5の範囲にあることが好ましい。
【0054】
また、陽イオン交換樹脂あるいは陰イオン交換樹脂、限外ろ過膜などを用いて、必要に応じて、シリカゾルの脱イオン処理を行うことができる。
【0055】
脱イオン処理により不純物イオンなどを除去したシリカゾルは表面にケイ素を含む水酸化物を形成させやすいのでより好ましい。
【0056】
前記ケイ素元素のみを含む金属塩または高分子化合物としては、ケイ酸液、水ガラス、シリコンアルコキシドなどが挙げられる。中でも、正ケイ酸エチルなどのシリコンアルコキシドが好ましい。特に、正ケイ酸エチルの加水分解物または部分加水分解物は、ケイ素を含む重合体を含むので、水酸化物の形成が安定かつ均一に行われるため、シリカ系複合粒子の研磨速度や焼結抑制効果が向上し、好ましい。
【0057】
前記ケイ素元素のみを含む金属塩または高分子化合物の添加量は、特に制限されるものではないが、原料シリカゾルに含まれるSiO
2に対して添加する金属塩または高分子化合物に含まれるSiO
2の固形分重量が0.3〜2.0重量%の範囲となるようなものであれば充分である。
【0058】
前記混合液を攪拌する際の温度は5〜98℃、より好ましくは50〜95℃の範囲にあることが好ましい。
【0059】
前記温度が5℃未満の場合には水酸化物を形成させる反応が著しく遅くなるので好ましくない。前記温度が98℃を超えると反応器壁面にスケールなどが生じやすくなり好ましくない。
【0060】
前記混合液を攪拌する際の時間は0.5〜24時間、より好ましくは0.5〜18時間の範囲にあることが好ましい。
【0061】
前記時間が0.5時間未満の場合には、水酸化物が充分に形成できないので好ましくない。前記時間が24時間を越えると、水酸化物の形成はそれ以上反応が進まず不経済となる。
【0062】
また、この工程で得られた混合液を、純水やイオン交換水などを用いて、さらに希釈あるいは濃縮して、次の工程(2)に処しても良い。
【0063】
このとき混合液の固形分濃度は23〜27重量%の範囲となるように調整すればよい。
【0064】
また、この工程で得られた混合液を、陽イオン交換樹脂あるいは陰イオン交換樹脂、限外ろ過膜などを用いて脱イオン処理してもよい。このような処理は、用いる原料にもよるが、不純物除去などの目的で必要に応じて行うことができる。
工程2
この工程は、前記工程(1)で得られた混合液に、さらにジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む金属塩および/または高分子化合物を添加して5〜98℃で0.5〜24時間攪拌することにより、表面にケイ素の水酸化物を形成させたシリカ粒子Aの表面に、前記元素を含む水酸化物および/または酸化物を形成させ、シリカ系複合粒子の前駆体粒子を含む分散液を得る工程である。
【0065】
ジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む金属塩および/または高分子化合物の一例としては、これらの元素を含む塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、金属アルコキシド、ポリ硫酸鉄、ペルオキソチタン酸、ポリジルコン酸などを用いることができる。
【0066】
また、硝酸第一セリウム、硝酸第一鉄のような金属塩は価数が変化する際、シリカのOH基と反応しやすいため、酸化物形成の効率が高く特に好ましい。
【0067】
上述するような元素を含む酸化物あるいは水酸化物を後の焼成工程により結晶化させて得られる酸化物層Bは、シリカ系複合粒子の研磨速度を向上させることができる。
【0068】
前記ジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む金属塩および/または高分子化合物の添加量については、最終的なシリカ系複合粒子において、結晶質の酸化物層Bの固形分重量(b)が、シリカ粒子Aの固形分重量(a)に対して(b)/(a)=0.01〜1.5の範囲となるように添加することが好ましい。
【0069】
なお、シリカ粒子Aの固形分重量には前記工程(1)で形成させたケイ素の水酸化物または酸化物に由来するシリカを含むものとし、固形分重量は、金属元素の場合は酸化物換算基準(ZrO
2、TiO
2、Fe
2O
3、Mn
2O
3、ZnO、CeO
2、Y
2O
3、CaO、MgO、La
2O
3、SrO)で、フッ素の場合は原子換算基準(F)で算出する。
【0070】
また、さらに、本工程(2)で得られた分散液に、酸またはアルカリを添加して、pH5〜9、より好ましくは8〜9の範囲に調整してから、次の工程(3)に処することが好ましい。
【0071】
あるいは、本工程において、前記工程(1)で得られた混合液に、前記金属塩および/または高分子化合物を添加する際に、分散液が上記pH範囲となるように酸またはアルカリで調整してもよい。
【0072】
このようなpH条件に調整すると、得られるシリカ系複合粒子の焼結を抑制する効果がさらに高まるため好ましい。
【0073】
また、この工程で得られた分散液を、陽イオン交換樹脂あるいは陰イオン交換樹脂、限外ろ過膜などを用いて脱イオン処理してもよい。このような処理は、用いる原料にもよるが、不純物除去などの目的で必要に応じて行うことができる。
工程(3)
この工程では、前記工程で得られた分散液を乾燥させたのち、400〜1200℃で焼成することにより、非晶質のシリカ粒子Aの表面に結晶質の酸化物層Bを形成させ、シリカ複合粒子を得る工程である。
【0074】
前記酸化物層Bは結晶質なため、これを表面に有するシリカ系複合粒子の研磨速度が向上する。また、前記工程(1)でシリカ粒子A表面に一旦ケイ素を含む水酸化物を形成させることにより、焼成してもシリカ系複合粒子が焼結しにくいので、容易に粉砕でき、一次粒子の形状や粒子径が変動しにくいので、シリカ系複合粒子の形状や粒子径、粒度分布制御が容易である。
【0075】
前記焼成温度は400〜1200℃、より好ましくは800〜1000℃の範囲にあることが好ましい。
【0076】
前記温度が400℃未満の場合には、酸化物層Bの結晶化が不十分となるので好ましくない。
【0077】
前記温度が1200℃を超えると酸化物層Bの結晶が異常成長したり、シリカ粒子Aが結晶化したりするので好ましくない。
【0078】
このようにしてシリカ系複合粒子を含む焼成体を得ることができる。
【0079】
ついで、本発明に係るシリカ系複合粒子のもうひとつの製造例を以下に説明する。
シリカ粒子Aと酸化物層Bと酸化物層Cを有するシリカ系複合粒子の製造方法
本発明に係るシリカ系複合粒子のうち、シリカ粒子Aの表面に酸化物層Cを有し、その表面に酸化物層Bを有する粒子の好ましい製法の一例は、下記工程
(1´)シリカ粒子Aを含むシリカゾルに、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む金属塩および/または高分子化合物(ただし、ケイ素のみを含む場合を除く)を添加したのち、5〜98℃で0.5〜24時間攪拌して混合液を得る工程と、
(2´)前記工程で得られた混合液に、さらにジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む金属塩および/または高分子化合物を添加して5〜98℃で0.5〜24時間攪拌してシリカ系複合粒子の前駆体粒子を含む分散液を得る工程と、
(3´)前記工程で得られた分散液を乾燥させたのち、400〜1200℃で焼成する工程
を含むことを特徴としている。
工程(1´)
この工程は、非晶質のシリカ粒子Aを含むシリカゾルに、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む金属塩および/または高分子化合物を添加したのち、5〜98℃で0.5〜24時間攪拌することにより、シリカ粒子Aの表面に、上記元素を含む水酸化物および/または酸化物を形成する工程である。
この水酸化物および/または酸化物は非晶質の酸化物層Cの前駆体であって、この工程によりシリカ粒子Aを安定化させ、酸化物層Bが形成しやすくなるので、シリカ系複合粒子の研磨速度向上と焼結抑制効果が大幅に増大する。
上述するような元素はシリカ粒子表面で複合酸化物を形成して安定化しやすく、また、後の工程で形成する酸化物層Bの前駆体との反応性がよく、酸性のpH領域においても電気的反発が少ないため、より大量の酸化物層Bを均一に形成することができ、シリカ系複合粒子の研磨速度と焼結抑制効果が非常に優れるので、好ましい。
【0080】
前記シリカゾルについては、工程(1)にて上述した公知のシリカゾルを用いることができる。
【0081】
なお、この製造方法においては上述した工程(1)のように、シリカ粒子A表面にいったんケイ素の水酸化物を形成させるような工程を行わなくても問題はない。
【0082】
また、陽イオン交換樹脂あるいは陰イオン交換樹脂、限外ろ過膜などを用いて、必要に応じて、シリカゾルの脱イオン処理を行っても良い。
【0083】
脱イオン処理により不純物イオンなどを除去したシリカゾルは表面に酸化物層Cの前駆体を形成させやすいのでより好ましい。
【0084】
アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む金属塩および/または高分子化合物としては、これらの元素を含む塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、金属アルコキシド、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄、ペルオキソチタン酸、ポリジルコン酸などが挙げられる。
【0085】
上記の元素を含む高分子化合物、例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸鉄、ペルオキソチタン酸は、上記元素の重合体を含み、シリカ粒子表面における水酸化物の形成が穏やかで、安定に均一な前駆体を形成することができるので、特に好ましい。
【0086】
また、硝酸第一セリウムは、3価のセリウムを含み、シリカ粒子との反応性に優れるので、シリカ系粒子複合粒子の焼結の抑制と研磨速度の増加効果が高く好ましい。
【0087】
アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む金属塩および/または高分子化合物の添加量は、特に制限されるものではないが、好ましくはシリカ粒子Aの固形分重量に対して前記金属塩および/または高分子化合物の重量比が酸化物換算重量比で0.01〜1.5の範囲にあることが望ましい。
【0088】
前記金属塩および/または高分子化合物の添加量が上記範囲にあると高い収率で酸化物層Cが形成されるので好ましい。
【0089】
前記攪拌の際の温度は5〜98℃、より好ましくは20〜80℃の範囲にあることが好ましい。前記温度が5℃未満の場合には反応が進まず酸化物層Cが形成されないので好ましくない。
【0090】
また前記温度が98℃を超えると反応器壁面にスケールなどが発生するので好ましくない。
【0091】
前記攪拌の時間は0.5〜24時間、より好ましくは1〜8時間の範囲にあることが好ましい。
【0092】
前記温度が0.5時間未満の場合には反応が未完結となるので好ましくない。
【0093】
前記温度が24時間を超えると、既に反応は完結しておりそれ以上反応が進まないので不経済である。
【0094】
また、この工程で得られた混合液を、純水やイオン交換水などを用いて、さらに希釈あるいは濃縮して、次の工程(2´)に処しても良い。
【0095】
このとき混合液の固形分濃度は23〜27重量%の範囲となるように調整すればよい。
【0096】
また、この工程で得られた混合液を、陽イオン交換樹脂あるいは陰イオン交換樹脂、限外ろ過膜などを用いて脱イオン処理してもよい。このような処理は、用いる原料にもよるが、不純物除去などの目的で必要に応じて行うことができる。
工程(2´)
この工程では、前記工程で得られた混合液に、さらにジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む金属塩および/または高分子化合物を添加して5〜98℃で0.5〜24時間攪拌することにより、シリカ前記工程でシリカ粒子の表面に形成させた酸化物層Cの前駆体の表面に、さらに酸化物層Bの前駆体を形成させ、シリカ系複合粒子の前駆体粒子を含む分散液を得る工程である。
【0097】
前記ジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む金属塩/およびまたは高分子化合物としては、塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、炭酸塩、金属アルコキシド、ポリ硫酸鉄、ペルオキソチタン酸、ポリジルコン酸などが挙げられる。
【0098】
特に、硝酸第一セリウム、硝酸第一鉄は、酸化物層Cおよびその前駆体と反応しやすく、研磨速度も高いため、好ましい。
【0099】
前記ジルコニウム、チタニウム、鉄、マンガン、亜鉛、セリウム、イットリウム、カルシウム、マグネシウム、フッ素、ランタニウム、ストロンチウムより選ばれた1種以上の元素を含む金属塩および/または高分子化合物の添加量については、最終的なシリカ系複合粒子において、結晶質の酸化物層Bの固形分重量(b)が、シリカ粒子Aの固形分重量(a)に対して(b)/(a)=0.01〜1.5の範囲となるように添加することが好ましい。
【0100】
また、さらに、本工程(2)で得られた分散液に、酸またはアルカリを添加して、pH5〜9、より好ましくは8〜9の範囲に調整してから、次の工程(3´)に処することが好ましい。
【0101】
このようなpH条件に調整すると、得られるシリカ系複合粒子の焼結を抑制する効果がさらに高まるため好ましい。
【0102】
また、本工程において、前記工程(1)で得られた混合液に、前記金属塩および/または高分子化合物を添加する際に、分散液が上記pH範囲となるように酸またはアルカリで調整してもよい。
【0103】
また、この工程で得られた分散液を、陽イオン交換樹脂あるいは陰イオン交換樹脂、限外ろ過膜などを用いて脱イオン処理してもよい。このような処理は、用いる原料にもよるが、不純物除去などの目的で必要に応じて行うことができる。
工程(3´)
この工程は、前記工程で得られた分散液を乾燥させたのち、400〜1200℃で焼成することによって、シリカ粒子Aの表面に非晶質の酸化物層Cと結晶質の酸化物層Bを形成させ、シリカ複合粒子を得る工程である。
【0104】
粒子表面の酸化物層Bを結晶化させることによって、シリカ系複合粒子の研磨速度を大幅に増大させることができる。
【0105】
また、シリカ粒子Aと酸化物層Bの間に酸化物層Cを形成することによって、シリカ粒子Aの焼結が抑制され、また酸化物層Bを多量に、安定かつ均一に形成することができる。
【0106】
前記乾燥は、通常100〜120℃で15〜24時間行えば十分である。
【0107】
前記焼成は、400〜1200℃、より好ましくは800〜1000℃の範囲で行うことが好ましい。前記焼成温度が400℃未満の場合には酸化物層Bの結晶化が不十分となり、1200℃を超えると酸化物層Bの結晶が異常成長したり、シリカ粒子Aが結晶化したりするので、好ましくない。
【0108】
このようにしてシリカ系複合粒子を含む焼成体を得ることができる。
研磨スラリーの製造方法
上記のような製造方法により得られたシリカ系複合粒子の焼成体を、粉砕したのち、分散溶媒に分散させ、必要に応じて希釈または濃縮することにより、シリカ系複合粒子を含む研磨スラリーを得ることができる。
【0109】
前記粉砕と分散は同時に行ってもよい。
【0110】
前記粉砕は公知の方法で行うことができ、乾式法であっても湿式法であってもとく、例えばビーズミル、ジェットミル、サンドミル、ロールミル、超音波分散機、アルティマイザー、ナノマイザーのような装置を用いて行えばよい。
【0111】
このときシリカ系複合粒子の平均粒子径が10〜1000nmの範囲となるように粉砕すればよい。
【0112】
また研磨用スラリーの固形分濃度は3〜30重量%となるように調整すればよい。
【0113】
分散溶媒については上述したものを用いることができる。
【0114】
またこの研磨用スラリーに上述した添加剤を添加してもよい。
【0115】
本発明に係る研磨スラリーは、シリカ系複合粒子を含むので、研磨速度が非常に高く、分散性に優れ、酸化セリウムを使用することがない、または酸化セリウムの使用量を低減することができるので、安価である。
【実施例】
【0116】
以下、本発明について実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定
されるものではない。
[測定方法]
(1)平均粒子径の測定方法
シリカ系複合粒子の平均粒子径は、シリカ系複合粒子を固形分濃度で1重量%含む水分散液を、日機装株式会社マイクロトラックUPA装置に供して、レーザー回折・散乱法により、シリカ系複合粒子の平均粒子径を求めた。
【0117】
なお、原料に使用したシリカゾルに含まれるシリカ粒子の平均粒子径については、BET表面積換算の平均粒子径についても参考までに併記した。
(2)シリカ系複合粒子の結晶構造の解析方法
実施例および比較例で得られたシリカ系複合粒子の焼成粉体を乳鉢にて10分粉砕し、X線回折装置(理学電気(株)製、RINT1400)により測定したXRD回折パターンから結晶構造を調べた。
(3)シリカ系複合粒子の組成分析
[SiO
2含有量の測定方法]
シリカ系複合粒子の固形分重量から、不純物としてのナトリウム成分(Na
2O換算)と、酸化物層Bの含有量と、酸化物層Cを含む場合にはその含有量とを差し引いたものをSiO
2の含有量として求めた。
【0118】
例えば、シリカ粒子の表面をアルミニウムを含む酸化物層Cとセリウムを含む酸化物層Bとで被覆したシリカ系複合粒子の焼成粉体1gに含まれるAl
2O
3が20重量%、CeO
2が20重量%、Na
2Oが1重量%である場合のSiO
2含有量は59重量%とした。
[Na
2O含有量の測定方法]
実施例で調製したシリカ系複合粒子の研磨用スラリー2gを容量100mlの白金皿に採取したのち0.1mgまで秤量し、これをサンドバス上で200℃、20分間乾燥させたのち、バーナーで700℃、5分間加熱して有機物を除去後、10mlのHFと5mlのH
2SO
4を加えて白煙が出るまで加熱する。さらに、これを100mlとなるように純水で希釈した後、原子吸光装置((株)日立製作所製、Z−5300、ソフトウェアZ−2000)を用いて、シリカ系複合粒子に含まれるナトリウムの含有量をNa
2O換算基準で測定した。なお、カリウムも同様の方法で測定できる。
[Al
2O
3、ZrO
2、Fe
2O
3、CeO
2含有量の測定方法]
1)実施例で調製したシリカ系複合粒子の研磨用スラリー2gを白金皿に採取し、0.1mgまで秤量する。2) 濃度63%の硫酸2mlとフッ化水素酸20mlを加えて、400℃のサンドバス上で加熱し、蒸発乾固する。3) 上記2)で得られた試料を室温まで冷却したのち、塩酸5mlと水を約30ml加えて、サンドバス上で加熱し溶解させる。4) 上記3)で得られた試料を室温まで冷却したのち、容量200mlのフラスコに供して、水で200mlに希釈して試料溶液を作成する。5) 上記4)で得られた試料溶液に含まれるアルミニウム、ジルコニウム、鉄、セリウムの量を、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(島津製作所(株)製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)により測定し、Al
2O
3、ZrO
2、TiO
2、Fe
2O
3、CeO
2換算基準での重量%を求めた。
【0119】
Mn
2O
3、ZnO、Y
2O
3、CaO、MgO、La
2O
3についても同様の測定法を用いて測定すればよい。なお、SrOの場合は、上記方法の2)で硫酸のかわりに塩酸用いて測定すればよい。
【0120】
なお、上記の方法でシリカ系複合粒子が溶解しない場合には、研磨用スラリー0.1mgを100℃で乾燥させたのち、1gのNa
2O
2と2gのNaOHを加えてバーナーで溶融させ、塩酸50gと水200mLを加えて70〜90℃にて溶解するまで加温したのち、最終的に水を加えて500mLとなるように希釈し、これを試料溶液として上記装置にて測定する。
[TiO
2含有量の測定方法]
実施例で調製したシリカ系複合粒子の研磨用スラリー10gを容量100mlの白金皿に採取したのち、0.1mgまで秤量し、これをサンドバス上で200℃、20分間乾燥させたのち、バーナーで700℃、5分間加熱して有機物を除去後、10mlのHFと5mlのH
2SO
4を加えて白煙が出るまで加熱する。さらに、これを100mlとなるように純水で希釈した後、70〜90℃で溶解するまで加温した。これに水を加えて200mlとし、試料溶液としてICP装置((株)島津製作所製、ICPS−8100、解析ソフトウェアICPS−8000)を用いて酸化物換算基準(TiO
2)換算基準での重量%を求めた。
[フッ素の含有量について]
本実施例では実施していないが、フッ素の含有量を測定する場合にはケルダール蒸留装置を用いてシリカ系複合粒子の水蒸気蒸留を行い、得られた留出液をフッ化物イオン電極を有するイオンメーターにて測定しフッ素含有量を求める。
(4)研磨用スラリーの研磨評価
被研磨基板として、ハードディスク用アルミノシリケート製ガラス基板を準備した。
【0121】
この基板はドーナツ形状で、外径64mm、内径20mm、厚み0.635mmである。この基板は一次研磨ずみで、表面粗さ(RA)は0.3nmであった。
【0122】
この被研磨基板を研磨装置(ナノファクター株式会社製、NF300)にセットし、研磨パッド(ナノファクター社製「ポリテックスφ12」)を使用し、基板荷重0.18MPA、テーブル回転速度30rpmで、固形分濃度が9重量%の研磨用スラリーを20g/分の速度で10分間供給して研磨を行った。
【0123】
そして、研磨前後の研磨基板の重量差と研磨時間から、研磨速度(nm/min)を算出した。
[実施例1]
シリカゾルの調製
シリカ粒子を含むシリカゾル(日揮触媒化成株式開さh製カタロイドSI-80P、SiO
2固形分濃度40.5%、BET比表面積換算の平均粒子径80nm、レーザー回折・散乱法による平均粒子径105nm)493.8gにイオン交換水246.9gを添加してSiO
2濃度27%に調整した。これに陽イオン交換樹脂(三菱化学製SK-1BH)114gを徐々に添加して30分間攪拌を行ったのち、樹脂を分離した。この時のpHは1.8であった。次に陰イオン交換樹脂(三菱化学製SANUPC)30gを徐々に添加して30分間攪拌したのち樹脂を分離した。この時のpHは4.2であった。得られたシリカゾルにイオン交換水を加えてSiO
2固形分濃度23%のシリカゾル782.6gを得た。
工程(1´)
次に、このシリカゾル782.6gを攪拌しながら、ポリ塩化アルミニウム(多木化学製PAC#1000:Al
2O
3固形分濃度23.55重量%)6.96gを添加して1時間攪拌することにより、水酸化アルミニウムで被覆されたシリカ粒子を含む混合液789.6gを得た。次にイオン交換水を1634g加えたのち、陰イオン交換樹脂150gを徐々に添加し、30分間攪拌したのち樹脂を分離した。この時のpHは9.5であった。こうして固形分濃度9.5重量%の混合液1800gを得た。
ついで、この混合液にイオン交換水3900gを加えて固形分濃度を3重量%とした。
工程(2´)
硝酸第一セリウム6水和物143.8gにイオン交換水を2135.2g加えてCeO
2換算で2.5重量%の硝酸セリウム溶液を得た。
【0124】
前記工程(1´)で得られた混合液を50℃に昇温し、温度を維持したまま攪拌しながら硝酸セリウム溶液を18時間かけて添加し、シリカ系複合粒子の前駆体粒子、すなわち、非晶質のシリカ粒子表面に水酸化アルミニウム層と水酸化セリウム層を有する粒子の分散液を調製した。
【0125】
なお、前記硝酸セリウム溶液を添加する間、分散液のpHが8.05を維持するように、3%濃度のアンモニア水を逐次添加した。
【0126】
ついで、分散液の温度を93℃に昇温し、4時間攪拌しながら熟成した。その後、分散液を室温に冷却し、限外ろ過膜にてイオン交換水を補給しながら洗浄を行い、固形分濃度7重量%、pH8.3の分散液を得た。この分散液に5%酢酸を添加してpHを7に調整した。
工程(3´)
前記工程で得られたpH7の分散液を100℃の乾燥機中で16時間乾燥させたのち、1000℃のマッフル炉にて2時間焼成を行った。
【0127】
このようにしてシリカ粒子Aの表面にアルミニウムを含む酸化物層と、その表面にさらにセリウムを含む酸化物層を有するシリカ系複合粒子の焼成体を得た。
【0128】
この焼成体に含まれるシリカ系複合粒子のXRD回折パターンを観察したところ、シリカ粒子とアルミニウムを含む酸化物層に由来する結晶ピークは観測されず非晶質であることがわかった。またCeO
2に由来する結晶ピークが観測され、セリウムを含む酸化物層は結晶質であることがわかった。
【0129】
また、このシリカ系複合粒子に含まれるSiO
2は76重量%、CeO
2は23重量%であり、シリカ粒子Aの重量(a)とセリウムを含む結晶質の酸化物層の重量(b)の重量比(b)/(a)は0.30であった。
【0130】
得られた焼成体126gにイオン交換水378gを加え、直径0.5mmのガラスメジアにて90分間湿式粉砕を行い固形分濃度20重量%のスラリー504gを得た。
【0131】
これをさらにイオン交換水で希釈し固形分濃度9重量%としたものを研磨スラリーとして評価したところ、研磨速度は236nm/minであった。
【0132】
またこの研磨スラリーに含まれるシリカ系複合粒子のレーザー回折・散乱法による平均粒子径は183nmであった。
[実施例2]
ペルオキソチタン酸の調製
8.4%のNH
4OH水溶液1286gを5℃に調整し、攪拌しながらTiO
2換算基準で2.1重量%のTiCl
4水溶液906gを添加して、水酸化チタンのゲル液を得た。
【0133】
このゲル液gを1時間静置した後にヌッチェに移してろ別し、純水13000gにて洗浄したのち、純水を添加して、TiO
2換算基準で1.8重量%の水酸化チタンのゲルの混合液453gを得た。
【0134】
この混合液453gに35重量%のH
2O
2水溶液47gを加えて80℃で1時間攪拌した。ついでこれを室温に冷却してTiO
2換算基準で1.6%のペルオキソチタン酸溶液500gを得た。
工程(1´)
実施例1の工程(1´)と同様の方法で、固形分9.5重量%の、水酸化アルミニウムで被覆されたシリカ粒子を含む混合液1800gを得た。
工程(2´)
前記工程で得た混合液のうち1066gをとり、イオン交換水959gで希釈して固形分濃度5重量%の混合液2025gとした。
【0135】
この混合液に前記工程で製造したペルオキソチタン酸溶液500gを添加し、98℃で2時間加熱することにより、シリカ系複合粒子の前駆体粒子を含む分散液を得た。
工程(3´)
前記工程で得られた分散液を室温に冷却し、100℃の乾燥機で16時間乾燥させたのち、1000℃のマッフル炉にて2時間焼成することにより、シリカ粒子の表面にアルミニウムを含む酸化物層とチタニウムを含む酸化物層を有するシリカ系複合粒子を含む焼成粉体を得た。
この焼成体に含まれるシリカ系複合粒子のXRD回折パターンを観察したところ、シリカ粒子とアルミニウムを含む酸化物層に由来する結晶ピークは観測されず非晶質であることがわかった。またアナターゼ型のTiO
2に由来する結晶ピークが観測され、チタニウムを含む酸化物層は結晶質であることがわかった。
また、このシリカ系複合粒子に含まれるSiO
2は91.3重量%、TiO
2は7.1重量%であり、シリカ粒子Aの重量(a)とチタニウムを含む結晶質の酸化物層の重量(b)の重量比(b)/(a)は0.08であった。
【0136】
この焼成粉体95gにイオン交換水285gを加え、直径0.5mmのガラスメジアにて180分間湿式粉砕を行い、固形分濃度20重量%のスラリー333gを得た。これをイオン交換水で希釈し、固形分濃度9重量%のスラリーを得、研磨用スラリーとして評価したところ、研磨速度は120nm/minであった。
【0137】
またこの研磨スラリーに含まれるシリカ系複合粒子のレーザー回折・散乱法による平均粒子径は162nmであった。
[実施例3]
ポリジルコン酸溶液の調製
オキシ塩化ジルコニウム8水和物78.5gにイオン交換水2921.5gを加えて溶解させた。これをイオン交換水2740.5gに添加しながら攪拌し、さらに15%NH4OH溶液を添加して、pH8.5に調整し、ジルコニア水酸化物のゲル液5799gを得た。
【0138】
このゲル液5799gを1時間静置したのちに、ろ布を設置したヌッチェに移しろ別した。これを純水13000gにて洗浄し、純水を添加して、ZrO
2換算で2重量%のジルコニア水酸化物ゲルの混合液1068gを得た。
【0139】
この混合液1068gに1.54%KOH水溶液を2775.5g添加して30分攪拌したのち、35%H
2O
2溶液427gを添加して、混合液中のゲルを溶解させた。
【0140】
これを室温まで冷却し、ポリジルコン酸溶液とした。
工程(1´)
実施例1と同様の方法にて、水酸化アルミニウムで被覆されたシリカ粒子の混合液(固形分濃度9.5重量%)1800gを製造した。
工程(2´)
前記工程で得られた水酸化アルミニウムで被覆されたシリカ粒子の混合液1800gのうち、1776gに、前記工程で製造したポリジルコン酸溶液2662gを添加し、98℃で2時間加熱して、シリカ系複合粒子の前駆体粒子を含む分散液4438gを得た。
【0141】
これを室温に冷却し、陽イオン交換樹脂(三菱化学製SK−1BH)200gを徐々に添加して、30分間攪拌して樹脂を添加した。このときのpHは2.3であった。
【0142】
これに15%NH
4OH溶液を添加してpH=5に調整し、陰イオン交換樹脂(三菱化学製SANUPC)60gを徐々に添加して30分間攪拌し、樹脂を分離した。このときのpHは9であった。
工程(3´)
この分散液を100℃乾燥機中で16時間乾燥させ、1000℃のマッフル炉にて2時間焼成し、シリカ系複合粒子を含む焼成粉体を得た。
この焼成体に含まれるシリカ系複合粒子のXRD回折パターンを観察したところ、シリカ粒子とアルミニウムを含む酸化物層に由来する結晶ピークは観測されず非晶質であることがわかった。またZrO
2に由来する結晶ピークが観測され、ジルコニウムを含む酸化物層は結晶質であることがわかった。
【0143】
また、このシリカ系複合粒子に含まれるSiO
2は92.3重量%、ZrO
2は5.9重量%であり、シリカ粒子Aの重量(a)とジルコニウムを含む結晶質の酸化物層の重量(b)の重量比(b)/(a)は0.06であった。
【0144】
この焼成粉体126gにイオン交換水378gを加え、直径0.5mmのガラスメジアにて180分間湿式粉砕を行い固形分濃度20重量%のスラリー410gを得た。これをイオン交換水で9重量%に希釈し研磨用スラリーとして評価したところ、研磨速度は115nm/minであった。
またこの研磨スラリーに含まれるシリカ系複合粒子のレーザー回折・散乱法による平均粒子径は221nmであった。
[実施例4]
ポリ硫酸鉄溶液の調製
Fe
2O
3濃度16.15%の多木化学製ポリ硫酸第二鉄(ダンパワー)にイオン交換水を添加してFe
2O
3濃度2重量%のポリ硫酸鉄溶液を調製した。
工程(1´)
実施例1の工程(1´)と同様の工程で水酸化アルミニウムによって被覆されたシリカ粒子の混合液1800g(固形分濃度9.5重量%)を調製し、そのうち1776gにイオン交換水1598gを加えて固形分濃度5重量%に調整した。
工程(2´)
この混合液3374gを攪拌しながら、温度25℃において前記工程(1´)で調製したポリ硫酸鉄溶液315gを添加し、1時間攪拌を行って、シリカ系複合粒子の前駆体粒子を含む分散液3689gを得た。
【0145】
次にこの分散液に陰イオン交換樹脂150gを徐々に加えて30分間攪拌して樹脂を分離した。このときのpHは9.9であった。これに5%の酢酸を加えてpHを6.8とした。
工程(3´)
前記工程で得たpH6.8の分散液を100℃の乾燥機で16時間乾燥させ、1000℃のマッフル炉で2時間焼成しシリカ系複合粒子の焼成粉体を得た。
この焼成体に含まれるシリカ系複合粒子のXRD回折パターンを観察したところ、シリカ粒子とアルミニウムを含む酸化物層に由来する結晶ピークは観測されず非晶質であることがわかった。
また、ヘマタイトのFe
2O
3に由来する結晶ピークが確認され、鉄を含む酸化物層は結晶質であることがわかった。
また、このシリカ系複合粒子に含まれるSiO
2は92.6重量%、Fe
2O
3は5.7重量%であり、シリカ粒子Aの重量(a)と鉄を含む結晶質の酸化物層の重量(b)の重量比(b)/(a)は0.06であった。
この焼成粉体126gにイオン交換水378gを加え、直径0.5mmのガラスメジアにて150分間湿式粉砕を行い固形分濃度20重量%のスラリー410gを得た。これをイオン交換水で9重量%に希釈し研磨用スラリーとして評価したところ、研磨速度は174nm/minであった。
またこの研磨スラリーに含まれるシリカ系複合粒子のレーザー回折・散乱法による平均粒子径は439nmであった。
[比較例1]
シリカ粒子を含むシリカゾル(日揮触媒化成株式会社製カタロイドSI-80P、SiO
2固形分濃度40.5%、BET比表面積換算の平均粒子径80nm、レーザー回折・散乱法による平均粒子径105nm)493.8gにイオン交換水を添加してSiO
2固形分濃度9重量%のシリカゾルとして、これを研磨用スラリーとして評価したところ、研磨速度は30nm/minであった。
[比較例2]
実施例1のシリカゾルの調製の工程にて製造したシリカゾル(粒子径80nm)に3重量%のアンモニア水を添加してpHを7としたのち、100℃の乾燥機で16時間乾燥させて、1000℃のマッフル炉で2時間焼成を行いシリカ粒子の焼成粉体200gを得た。
【0146】
このシリカ粒子のXRDパターンを測定したところ、クリストバライトのSiO
2に由来する鋭い結晶ピークが確認された。この粉体126gにイオン交換水378gを加え、直径0.5mmのガラスメジアにて270分間湿式粉砕を行ったが、粒子焼結が進んでおり、粉砕することができなかったため、研磨スラリーとして用いることができなかった。
[比較例3]
実施例1のシリカゾルの調製の工程で得られたシリカゾルに、イオン交換水を加えてSiO
2固形分濃度5重量%としたのち、このシリカゾル2025gに3%のアンモニア水を添加してpH9.5とした。
【0147】
このpH9.5のシリカゾルを、実施例2の工程(2´)において使用した水酸化アルミニウムで被覆されたシリカ粒子の混合液2025gのかわりに使用した以外は、実施例2の工程(2´)、(3´)と同様の工程により、シリカ粒子の表面にチタニウムを含む酸化物層を有するシリカ系複合粒子の複合粉体105gを得た。
【0148】
このシリカ系複合粒子のXRDパターンを測定したところ、クリストバライトのSiO
2と、トリデマイトのSiO
2と、アナターゼ型のTiO
2に由来する結晶ピークが確認された。この粉体にイオン交換水を加えて直径0.5mmのガラスメジアにて270分間湿式粉砕を行ったが焼結が進んでおり粉砕できず、研磨用スラリーとして評価できなかった。
[比較例4]
実施例1の工程(1´)で調製した、水酸化アルミニウムで被覆されたシリカ粒子の混合液1800gに5重量%の酢酸を加えてpH7とし、100℃の乾燥機で16時間乾燥させたのち、1000℃のマッフル炉で2時間焼成を行いシリカ系複合粒子の複合粉体155gを得た。このシリカ系複合粒子のXRDパターンを測定したところ、ケイ素およびアルミニウムに由来する結晶ピークは確認されなかった。
【0149】
この粉体126gにイオン交換水378を加えて直径0.5mmのガラスメジアにて90分間湿式粉砕を行い、固形分濃度20重量%のスラリー410を得た。これをイオン交換水で希釈して固形分濃度9重量%のスラリーとし、研磨用スラリーとして評価したところ、研磨速度は33nm/minであった。
またこの研磨スラリーに含まれるシリカ系複合粒子のレーザー回折・散乱法による平均粒子径は167nmであった。
評価結果を表1に示す。
【0150】
【表1】
【0151】
以上の実施例および比較例から、以下のことがわかる。
【0152】
本発明に係わるシリカ系複合粒子、すなわち、実施例のシリカ系複合粒子は、シリカ粒子の表面に、非結晶質の酸化物層と、結晶質の酸化物層を有するために、研磨速度が高く、1000℃の高温で焼成したあとであっても、粒子が焼結することなく、容易に粉砕することができる。
【0153】
また、本発明に係わるシリカ系複合粒子は、研磨速度を大幅に向上させることができるので、酸化セリウムを使用しない、あるいは酸化セリウムの使用量を低減した場合にも、高性能な研磨スラリーを提供することができる。