(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する車載表示システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、実施形態に係る車載表示システムによる情報の表示方法を示す説明図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態に係る車載表示システムは、ダッシュボードの中央に設けられたメインディスプレイ51と、インストルメントパネル内に設けられた2つのサブディスプレイ52および53とを備える。
【0012】
以下、スピードメータおよびタコメータ等から構成されるメータパネルの左側に設けられたサブディスプレイ52を左サブディスプレイ52と称し、メータパネルの右側に設けられたサブディスプレイ53を右サブディスプレイ53と称する。なお、左サブディスプレイ52および右サブディスプレイ53を総称する場合には、単にサブディスプレイと記載する。
【0013】
メインディスプレイ51は、例えば、液晶表示装置であり、車両の運転者(以下、単に「運転者」と記載する)および同乗者に対して各種情報を表示する共用の表示部であり、運転席と助手席間に位置するセンターコンソールに設置されている。
【0014】
また、左サブディスプレイ52および右サブディスプレイ53は、運転者にとって見易い位置(運転者の通常の視線方向(車両前方方向)から視線移動が少ない方向)に設置された、例えば、メインディスプレイ51よりも小型の液晶表示装置であり、運転者に対して各種情報を表示する主に運転者用の表示部である。
【0015】
さらに、実施形態に係る車載表示システムは、車両に設けられた複数の車載装置から表示要求される情報の優先順位を記憶する記憶部と、表示要求された情報の表示先を切替える制御部とを備える。ここで、記憶部が記憶する優先順位は、運転に関する重要性や利便性の高さを示す。
【0016】
なお、車載装置から表示要求される情報と優先順位との対応関係の一例については、
図4を用いて後述する。また、かかる車載表示システムの具体的構成の一例については、
図2を用いて後述する。
【0017】
かかる車載表示システムでは、制御部が車載装置から表示要求された情報のうち、記憶部によって記憶されている優先順位が最高の情報を左サブディスプレイ52または右サブディスプレイ53によって表示させる。
【0018】
このように、車載表示システムでは、運転者が見易い位置(通常の視線方向に近い方向)にあるサブディスプレイによって優先順位が最高の情報を表示させるので、運転者へ提供される情報が多様化した場合であっても運転に役立つ情報を運転者へ分かりやすく提供することができる。
【0019】
また、制御部は、左サブディスプレイ52または右サブディスプレイ53によって表示中の情報よりも優先順位の高い情報が新たに表示要求された場合、新たに表示要求された情報を左サブディスプレイ52または右サブディスプレイ53へ割込表示させる。
【0020】
これにより、実施形態に係る車載表示システムでは、車両の運転者へ提供される情報が多様化しても、運転に関する重要性や利便性の高い情報については運転者が見易い位置にあるサブディスプレイへ割込表示させて運転者へ分かりやすく提供することができる。
【0021】
また、実施形態に係る車載表示システムでは、サブディスプレイとして、メインディスプレイ51よりも表示領域が小さな表示装置を採用した。これにより、実施形態に係る車載表示システムでは、運転者へ提供すべき重要な情報等をインストルメントパネル内という限られたスペースに設けられたサブディスプレイによって分かりやすく提供することができる。
【0022】
また、実施形態に係る車載表示システムの制御部は、左サブディスプレイ52または右サブディスプレイ53へ割込表示させる場合、それまで左サブディスプレイ52または右サブディスプレイ53で表示されていた情報をメインディスプレイ51へ表示させる。
【0023】
すなわち、制御部は、左サブディスプレイ52または右サブディスプレイ53に表示中の情報より優先順位の高い情報が表示要求された場合、表示中の情報の表示先を左サブディスプレイ52または右サブディスプレイ53からメインディスプレイ51へ変更する。
【0024】
これにより、運転者は、割込表示の前に左サブディスプレイ52または右サブディスプレイ53によって表示されていた情報を必要とする場合、メインディスプレイ51から必要な情報の提供を受けることができる。
【0025】
このとき、運転者は、サブディスプレイよりも遠い位置に設けられたメインディスプレイ51から情報の提供を受けることとなるが、メインディスプレイ51の表示領域がサブディスプレイよりも大きいため、不自由なく情報の提供を受けることができる。
【0026】
次に、
図2を参照し、実施形態に係る車載表示システムの構成について説明する。
図2は、実施形態に係る車載表示システム1の構成の一例を示す説明図である。
図2に示すように、車載表示システム1は、HMI(Human Machine Interface)系制御部10、走行系制御部20、エンターテインメント(以下、略して「エンタメ」と記載する)系制御部30、表示処理部40を備える。
【0027】
さらに、車載表示システム1は、メインディスプレイ51、左サブディスプレイ52、右サブディスプレイ53、スイッチ61、タッチパネル62を備える。HMI系制御部10は、車両の運転者および同乗者と車両に設けられた各種車載装置との間で行われる情報のやり取りを仲介する、つまり操作入力、表示制御等を行う処理部である。
【0028】
かかるHMI系制御部10は、例えば、運転者や同乗者が行った各種操作の入力処理や運転者や同乗者に対する各種情報の提供制御、表示内容の切換制御等を行う。なお、HMI系制御部10の構成については、
図3を参照して後述する。
【0029】
かかるHMI系制御部10には、スイッチ61、タッチパネル62、走行系制御部20、エンタメ系制御部30、表示処理部40が接続される。スイッチ61およびタッチパネル62は、運転者や同乗者が車載装置を動作させるために操作する操作装置である。ここで、スイッチ61は、車両のダッシュボードやハンドル等、車内における複数の箇所に適宜設けられる。また、タッチパネル62は、メインディスプレイ51の画像表示部に設けられる。
【0030】
これらのスイッチ61およびタッチパネル62は、運転者や同乗者によって操作された場合に、操作に対応した操作信号をHMI系制御部10へ出力する。HIM系制御部10は、スイッチ61およびタッチパネル62から入力される操作信号、および当該入力時の装置の状態(操作画面状態)に基づいて操作対象の車載装置を判別し、判別した車載装置に応じて走行系制御部20またはエンタメ系制御部30のいずれかへ制御信号を出力する。
【0031】
走行系制御部20は、車両の走行に関する制御を行う車載装置とHMI系制御部10およびエンタメ系制御部30との間で行われる情報のやり取りを仲介する処理部である。具体的には、走行系制御部20には、HMI系制御部10、エンタメ系制御部30、艤装系車載装置21、走行系車載装置22、エアコン制御部23、P(パーキング)ブレーキ25、車速センサ26が接続される。そして、走行系制御部20は、HMI系制御部10から入力される制御信号を制御対象の車載装置へ出力する。
【0032】
ここで、艤装系車載装置21には、例えば、方向指示器(以下、「ウインカ」と記載する)、ヘッドライト、テールライト、ワイパー、パワーウインドウ、オートロック装置等といった車載装置が含まれる。
【0033】
また、走行系車載装置22は、エンジンの動作を制御するECU(Engine Control Unit)や、ABS(Antilock Brake System)、ACC(Automatic Cruise Control)ユニット等が含まれる。
【0034】
なお、本実施形態におけるECUは、スイッチ61の操作によって走行モードの切替えを行う機能を備える。例えば、ECUは、加速性能を重視したスポーツモードや省燃費を重視したエコ(エコロジーの略)モード等、複数種類の走行モードを切替可能に構成される。
【0035】
また、エアコン制御部23は、カーエアコンのエアコン駆動部24へ接続されており、エアコン駆動部24の動作を制御することによって車内の室温を調整する。なお、エアコン制御部23は、走行系制御部20ではなく、エンタメ系制御部30によって制御されてもよい。
【0036】
これら艤装系車載装置21、走行系車載装置22、エアコン制御部23は、走行系制御部20から入力される制御信号に基づいて動作するとともに、動作状態を示す状態信号を走行系制御部20へ出力する。なお、Pブレーキ25は、運転者等による操作状態を示す状態信号を走行系制御部20へ出力する。また、車速センサ26は、車両の走行速度を示す状態信号を走行系制御部20へ出力する。
【0037】
走行系制御部20は、艤装系車載装置21、走行系車載装置22、エアコン制御部23、Pブレーキ25、車速センサ26から入力される状態信号に基づき、状態信号を出力した車載装置の動作状態を判定する。さらに、走行系制御部20は、判別した動作状態を画像によって運転者等へ報知する必要があるか否かを判定し、必要があると判定した場合、状態信号を割込みの表示要求としてHMI系制御部10およびエンタメ系制御部30へ出力する。
【0038】
また、走行系制御部20は、判別した動作状態を音声によって運転者へ報知する必要があるか否かを判定し、必要があると判定した場合、状態信号を割込みの音声出力要求として、HMI系制御部10およびエンタメ系制御部30を介して音声処理部32へ出力する。
【0039】
HMI系制御部10は、走行系制御部20から入力される表示要求に応じて、メインディスプレイ51、左サブディスプレイ52、右サブディスプレイ53の中から車載装置の動作状態の表示先を選択し、選択結果に基づく制御信号(表示制御信号)を表示処理部40へ出力する。
【0040】
エンタメ系制御部30は、車両の走行に関する制御を行う車載装置以外の車載装置とHMI系制御部10および走行系制御部20との間で行われる情報のやり取りを仲介する処理部である。
【0041】
具体的には、エンタメ系制御部30には、HMI系制御部10、走行系制御部20、画像処理部31、音声処理部32、ナビゲーション部41、ディスクプレーヤ部42、DTV(Digital Tel Vision)部43、携帯機接続制御部44が接続される。そして、エンタメ系制御部30は、HMI系制御部10から入力される制御信号を制御対象の車載装置へ出力する。
【0042】
また、画像処理部31および音声処理部32には、それぞれナビゲーション部41、ディスクプレーヤ部42、DTV(Digital Tel Vision)部43、携帯機接続制御部44が接続される。さらに、音声処理部32には、アンプ33が接続され、アンプ33には、スピーカ34が接続される。
【0043】
また、ナビゲーション部41は、ETC(Electronic Toll Collection System装置)71、GPS(Global Positioning System装置)72、カメラ画像処理部73が接続される。
【0044】
かかるナビゲーション部41は、エンタメ系制御部30から入力される(各種操作部の操作に基づきエンタメ系制御部30を介してHMI系制御部10から入力される)制御信号に基づいて車両の目的地を設定し、GPS72から入力される車両の現在位置情報に基づいて目的地までの経路案内を行う車載装置である。かかるナビゲーション部41は、経路案内に関する画像情報を画像処理部31へ出力し、経路案内に関する音声情報を音声処理部32へ出力する。
【0045】
また、ナビゲーション部41は、ETC71から入力される有料道路の通行料金を示す画像情報を画像処理部31へ出力し、通行料金を示す音声情報を音声処理部32へ出力する。さらに、ナビゲーション部41は、エンタメ系制御部30から入力される制御信号に基づいてカメラ画像処理部73から入力される画像情報を画像処理部31へ出力する。
【0046】
ここで、カメラ74は、車両の四隅に設けられ、車両周辺の画像を撮像する4台の撮像装置を含み、各撮像装置によって撮像した画像をカメラ画像処理部73へ出力する。なお、撮像装置の台数は、4台に限定するものではない。
【0047】
そして、カメラ画像処理部73は、カメラ74に含まれる複数の撮像装置から入力される車両周辺が撮像された画像情報を合成処理することにより、例えば、車両の右前方や、左前方、右後方、左後方等、車両周辺の状況を確認するのに適切な画像の画像情報を生成してナビゲーション部41へ出力する。
【0048】
また、ディスクプレーヤ部42は、エンタメ系制御部30から入力される制御信号に基づいて、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、ブルーレイディスク等の記録媒体に記録された画像情報および音声情報を再生する装置である。かかるディスクプレーヤ部42は、再生した画像情報を画像処理部31へ出力し、音声情報を音声処理部32へ出力する。
【0049】
また、DTV部43は、エンタメ系制御部30から入力される制御信号に基づいて地上デジタル放送を受信する受信装置である。かかるDTV部43は、受信した地上デジタル放送の画像情報を画像処理部31へ出力し、音声情報を音声処理部32へ出力する。
【0050】
携帯機接続制御部44は、無線通信部75と接続されており、エンタメ系制御部30から入力される制御信号に基づいて無線通信部75の通信プロトコルの設定等を行う処理部である。かかる携帯機接続制御部44は、無線通信部75によって例えばスマートホン80等の携帯端末から画像情報および音声情報を受信する。そして、携帯機接続制御部44は、受信した画像情報を画像処理部31へ出力し、受信した音声情報を音声処理部32へ出力する。
【0051】
音声処理部32は、ナビゲーション部41、ディスクプレーヤ部42、DTV部43、携帯機接続制御部44から入力されるデジタルの音声情報に対して音質調整処理、音量調整処理等を施した後、アナログの音声信号へD/A変換してアンプ33へ出力する。音声処理部32から出力された音声信号は、アンプ33によって増幅されスピーカ34から出音される。
【0052】
また、音声処理部32は、エンタメ系制御部30を介して走行系制御部20から割込みの音声出力要求が入力された場合、音声出力要求された車載装置の状態を示す音声信号を生成してアンプ33へ出力する。
【0053】
画像処理部31は、ナビゲーション部41、ディスクプレーヤ部42、DTV部43、携帯機接続制御部44から入力される画像信号(情報)に基づく画像に画質調整処理等を施して表示処理部40へ出力する処理部である。
【0054】
例えば、画像処理部31はDTV部43等のTV画像やDVDの映画画像等を対象にして画質等の調整処理を行う。なお、ディスプレイに表示するそれら以外の画像、例えば、押しボタンや文字表示、キャラクタ表示と言った装置の持つ幾つかの定型フォーマット的な表示(定型フォーマットに文字を表示するものも含む)のように、操作や情報伝達と言ったHMI的要素が強い画像については、HMI系制御部10で生成される。そして、HMI系制御部10は、生成した画像を表示処理部40へ出力する。
【0055】
表示処理部40は、HMI系制御部10から入力される画像と、画像処理部31から入力される画像とを合成する。なお、合成方式、例えば画面レイアウト等の制御信号(データ)はHMI系制御部10から表示処理部40に入力される。そして、表示処理部40は、HMI系制御部10から入力される表示先の選択結果に基づいてメインディスプレイ51、左サブディスプレイ52、右サブディスプレイ53の中から選択した表示先へ合成した画像を出力する。
【0056】
なお、サブディスプレイとメインディスプレイ51に表示される画像形式は異なる。つまり、画像の形式は、表示されるディスプレイに応じて異なる。例えばリストから項目を選択する操作画面では、メインディスプレイ51に表示されるリストの項目数が10個(それ以上の項目表示はスクロール表示)であるのに対して、サブディスプレイでの表示の場合は項目数が3個(それ以上の項目表示はスクロール表示で対応)と言った表示となる。
【0057】
これらの画像は、表示処理部40が、画像処理部31およびHMI系制御部10からの画像データとHMI系制御部10からの画像形式の指示信号(データ)に基づき生成する。なお、メインディスプレイ51、左サブディスプレイ52、右サブディスプレイ53については先に説明したため、ここでは、説明を省略する。
【0058】
次に、
図3を参照し、HMI系制御部10の構成について説明する。
図3は、実施形態に係るHMI系制御部10の一部の構成の一例を示す説明図である。
図3に示すように、HMI系制御部10は、制御部11と記憶部12とを備える。
【0059】
記憶部12は、優先順位情報12aと表示中情報12bを記憶する。なお、優先順位情報12aの一例については、
図4を参照して後述し、表示中情報12bの一例については、
図5を参照して後述する。
【0060】
また、制御部11は、操作対象判別部11aと表示切替部11bとを備える。操作対象判別部11aは、スイッチ61またはタッチパネル62から入力される操作信号、また各表示部に表示されている表示内容によって操作される操作対象の車載装置を判別する。そして、操作対象判別部11aは、判別した車載装置に応じて走行系制御部20またはエンタメ系制御部30へ制御信号を出力する処理部である。
【0061】
なお、
図3では、スイッチ61またはタッチパネル62から操作対象判別部11aへ操作信号が入力される信号線および操作対象判別部11aから走行系制御部20またはエンタメ系制御部30へ制御信号が出力される信号線をそれぞれ1本の信号線で示した。
【0062】
表示切替部11bは、記憶部12によって記憶された優先順位情報12aおよび表示中情報12bに基づき、走行系制御部20またはエンタメ系制御部30から入力される表示要求に応じて表示要求された情報の表示先を選択する処理部である。なお、
図3では、走行系制御部20またはエンタメ系制御部30から表示切替部11bへ表示要求が入力される信号線を1本の信号線で示した。
【0063】
かかる表示切替部11bは、情報の表示先に関する選択結果を表示処理部40へ出力することによって情報の表示先を切替える。ここで、
図4を参照して、優先順位情報12aの一例について説明し、
図5を参照して表示中情報12bの一例について説明する。
図4は、実施形態に係る優先順位情報12aの一例を示す説明図であり、
図5は、実施形態に係る表示中情報12bの一例を示す説明図である。
【0064】
図4に示すように、優先順位情報12aでは、表示要求される情報がエンタメ系制御部30から表示要求される情報(以下、「エンタメ系情報」と記載する)と、走行系制御部20から表示要求される情報(以下、「走行系情報」と記載する)とに大別される。
【0065】
また、優先順位情報12aでは、エンタメ系情報および走行系情報における各情報のそれぞれに対して優先順位が対応付けられる。なお、かかる優先順位は、ユーザが任意に設定することができる。
【0066】
ここで、例えば、エンタメ系情報の中で、カメラ74によって撮像されたカメラ画像は、車両が右左折する際に運転における安全性の面で重要な情報である。また、エンタメ系情報の中で、ナビゲーション部41によって出力される交差点拡大図は、車両が交差点に近付いた際に運転における利便性の面で重要な情報である。このように、運転における安全性や利便性の面で重要な情報に対しては優先順位として最高の「1」が対応付けられる。
【0067】
一方、エンタメ系情報の中で、例えば、ディスクプレーヤ部42によって再生中のトラック番号の情報等のオーディオ状態表示は、カメラ画像や交差点拡大図ほど重要性が高くない。このため、
図4に示す例では、ユーザの設定により、オーディオ状態表示に対して優先順位として「1」よりも低い「2」が対応付けられている。なお、かかるオーディオ状態表示は、ユーザによる設定が為されない場合、デフォルトとして最下位の優先順位が対応付けられる。
【0068】
また、走行系情報の中で、例えば、エンジンを冷却する冷却水の水温上昇を報知する水温上昇注意や、ガソリンの残量が少なくなったことを報知するガソリン残量注意は、車両の走行性にとって重要な情報である。このように、車両の走行にとって重要な情報に対しては、優先順位として最高の「1」が対応付けられる。
【0069】
一方、走行系情報の中で、例えば、現在車両に設定されている走行モードを示す情報は、水温上昇注意やガソリン残量注意ほど重要性が高くない。このため、
図4に示す例では、走行モードに対して優先順位として「1」よりも低い「2」が対応付けられる。
【0070】
このように、優先順位情報12aでは、エンタメ系情報および走行系情報毎に、表示要求される各情報に対して、安全性、利便性、走行性の面で重要な情報ほど高い優先順位が対応付けられる。なお、
図4では、優先順位として「1」と「2」を示したが、表示要求される情報の重要性によって「2」よりもさらに低い優先順位が対応付けられる情報もある。
【0071】
本実施形態に係る車載表示システム1では、かかる優先順位情報12aを用い、現状で表示要求されている情報の中で、相対的な優先順位が最高(第1位)の情報をサブディスプレイへ表示させ、相対的な優先順位が第2位の情報をメインディスプレイ51へ表示させる。
【0072】
そして、車載表示システム1では、現状で表示要求されている情報の中で、相対的な優先順位が第3位以下の情報については、表示させずに保留タスク情報として記憶させておき、表示中の情報に関する割込表示が解除された場合に表示させる。
【0073】
例えば、車載表示システム1では、サブディスプレイに表示中の情報よりも優先順位が高い情報が割込表示要求された場合、割込表示要求された情報をサブディスプレイへ表示させる。そして、それまでサブディスプレイに表示されていた情報は、メインディスプレイ51へ表示させ、それまでメインディスプレイ51へ表示されていた情報は、保留タスク情報として記憶しておく。
【0074】
なお、メインディスプレイ51が複数の情報を同時に表示可能な場合、車載表示システム1では、サブディスプレイに表示中の情報よりも優先順位が低い情報のうち、表示可能な数の情報をメインディスプレイ51へ同時に表示させ、メインディスプレイ51で表示できない情報を保留タスク情報として記憶させておく。
【0075】
また、保留タスク情報については、メインディスプレイ51にアイコン形式(情報の種別が分かる程度の図形)で表示しておき、当該アイコンを選択操作することによりメインディスプレイ51に対応する表示を復帰させるようにすれば(メインディスプレイ51に表示されていた情報は保留タスク情報とする)、より便利なものとなる。
【0076】
そして、車載表示システム1では、例えば、サブディスプレイで表示中の情報に関する割込表示が解除された場合、メインディスプレイ51に表示中の情報をサブディスプレイへ表示させ、保留タスク情報のうち優先順位が最高の情報をメインディスプレイ51へ表示せる。なお、車載表示システム1では、メインディスプレイ51で表示中の情報に関する割込表示が解除された場合にも、保留タスク情報のうち優先順位が最高の情報をメインディスプレイ51へ表示せる。
【0077】
また、表示中情報12bは、
図5に示すように、左サブディスプレイ52、右サブディスプレイ53、メインディスプレイ51によって表示中の情報を示す情報である。また、表示中情報12bには、保留タスク情報が含まれる。
【0078】
ここでの保留タスク情報とは、例えば、右サブディスプレイ53によって情報を割込表示させた際、それまで、いずれかのサブディスプレイによって表示されていた情報の内、当該割り込み表示に伴ってどのディスプレイでも表示されなくなった情報、つまり、一時的に表示が保留された情報である。
【0079】
なお、表示保留状態となる表示は同時に複数存在する場合があるので、複数個記憶できるように構成され、また表示復帰の判断条件として保留時刻(優先順位が等しい場合、保留時刻が後の方が優先的に復帰)が記憶される。
【0080】
そして、HMI系制御部10の表示切替部11bは、走行系制御部20やエンタメ系制御部30から表示要求が入力された場合に、表示要求された情報の優先順位を優先順位情報12aに基づいて判定する。
【0081】
続いて、表示切替部11bは、表示要求された走行系情報のうち、優先順位が最高の走行系情報を右サブディスプレイ53によって表示させる指示を表示処理部40へ出力する。また、表示切替部11bは、エンタメ系情報のうち、優先順位が最高のエンタメ系情報を左サブディスプレイ52によって表示させる指示を表示処理部40へ出力する。
【0082】
なお、カメラ画像は、エンタメ系制御部30から表示要求されるエンタメ系情報であるが、車両のウインカの動作状態によって右サブディスプレイ53によって表示されることがある。具体的には、表示切替部11bは、ウインカが作動中の場合、ウインカが指す方向に対応する方のサブディスプレイ(左サブディスプレイ52または右サブディスプレイ53)にカメラ画像を表示させる。
【0083】
以下、
図6および
図7を参照し、表示切替部11bによる表示の切替態様の一例について説明する。
図6および
図7は、実施形態に係る表示切替部11bによる表示の切替態様の一例を示す説明図である。なお、
図6および
図7では、表示内容を明確に示す観点から車両におけるハンドルの図示を省略した。
【0084】
図6の上段に示すように、表示切替部11bは、表示要求されたエンタメ系情報のうち、再生トラック番号の優先順位が最高であった場合、再生トラック番号を左サブディスプレイ52によって表示させる。また、表示切替部11bは、表示要求された走行系情報のうち、走行モードの優先順位が最高であった場合、走行モードを右サブディスプレイ53によって表示させる。
【0085】
これにより、車載表示システム1では、運転者へ提供される情報が多様化した場合であっても、運転者へ提供すべき優先順位が最高の情報を左サブディスプレイ52や右サブディスプレイ53によって運転者へ分かりやすく提供することができる。
【0086】
なお、このとき、表示切替部11bは、例えば、再生トラック番号よりも優先順位の低いナビゲーション部41による経路案内地図の表示要求が入力されている場合、経路案内地図をメインディスプレイ51によって表示させる。
【0087】
また、表示切替部11bは、サブディスプレイで表示中の情報よりもさらに優先順位が高い情報の割込表示要求があった場合、サブディスプレイで表示中の情報をメインディスプレイ51へ表示させ、割込表示要求された情報をサブディスプレイへ表示させる。
【0088】
一方、サブディスプレイで表示中の情報よりも優先順位が低い情報の割込表示要求があった場合、割込表示要求された情報の優先順位がメインディスプレイ51で表示中の情報の優先順位よりも高ければ、割込表示要求された情報をメインディスプレイ51へ表示させる。
【0089】
かかる場合、それまでメインディスプレイ51に表示されていた情報は、保留タスク情報として記憶される。なお、割込表示要求された情報の優先順位がメインディスプレイ51で表示中の情報の優先順位よりも低ければ、割込表示要求された情報が保留タスク情報として記憶される。
【0090】
また、表示切替部11bは、サブ表示部である左サブディスプレイ52または右サブディスプレイ53に表示中の情報と優先順位が等しい情報が表示要求された場合、表示中の情報の表示先をサブ表示部からメイン表示部であるメインディスプレイ51へ変更する。そして、表示切替部11bは、直近に表示要求された優先順位が最高の情報をサブ表示部によって表示させる。
【0091】
これにより、車載表示システム1は、サブ表示部に表示中の情報と優先順位が等しい情報が表示要求された場合に、まだ表示されていない直近に表示要求された方の情報をサブ表示部へ割込表示させるので重要な情報の表示漏れを防止することができる。
【0092】
また、右サブディスプレイ53は、車両の走行に関する情報を出力する車載装置から表示要求される情報を表示する第1の表示部として機能する。また、左サブディスプレイ52は、車両の走行に関する情報を出力する車載装置以外の車載装置から表示要求される情報を表示する第2の表示部として機能する。
【0093】
このように、車載表示システム1では、走行系情報用の第1の表示部と、エンタメ系情報用の第2の表示部とが個別に設けられるので、情報が表示される表示部の位置によって表示された情報がエンタメ系か走行系かを運転者へ容易に認識させることができる。
【0094】
また、車載表示システム1では、メイン表示部であるメインディスプレイ51がサブ表示部である左サブディスプレイ52および右サブディスプレイ53よりも車両の助手席側に設けられる。さらに、第2の表示部である左サブディスプレイ52が第1の表示部である右サブディスプレイ53よりもメインディスプレイ51に近い位置に設けられる。
【0095】
これにより、車載表示システム1では、エンタメ系情報のように助手席の同乗者と共有する情報を右サブディスプレイ53よりも助手席に近い側の左サブディスプレイ52に表示させることができる。したがって、車載表示システム1によれば、インストルメントパネル内で助手席に近い側の左サブディスプレイ52に表示させた情報が、同乗者と共有するエンタメ系情報であることを運転中であっても運転者へ直感的に認識させることができる。
【0096】
また、車載表示システム1では、走行系情報のように同乗者よりも運転者へ提供すべき情報を左サブディスプレイ52よりも助手席から遠い側の右サブディスプレイ53に表示させることができる。したがって、車載表示システム1によれば、インストルメントパネル内で助手席から遠い側の右サブディスプレイ53に表示させた情報が、同乗者よりも運転者へ提供すべき走行系情報であることを運転中であっても運転者へ直感的に認識させることができる。
【0097】
かかる表示を行わせている場合に、車両が交差点へ近付くと、ナビゲーション部41は、表示切替部11bへ向けて交差点拡大図の表示要求を出力する。そして、表示切替部11bは、交差点拡大図の表示要求が入力されると、優先順位情報12aに基づいて交差点拡大図の優先順位を判別する。
【0098】
ここで、交差点拡大図は、エンタメ系情報であり、左サブディスプレイ52で表示中のトラック番号よりも優先順位が高い情報である(
図4参照)。このため、表示切替部11bは、
図6の下段に示すように、交差点拡大図を左サブディスプレイ52へ割込表示させる。
【0099】
また、ここでは、ユーザにより再生トラック番号の優先順位が「2」と設定されており、再生トラック番号の方がメインディスプレイ51で表示中の経路案内地図よりも優先順位が高い。このため、表示切替部11bは、割込表示が行われる前に左サブディスプレイ52に表示されていた再生トラック番号をメインディスプレイ51に割込表示させる。そして、表示切替部11bは、割込表示が行われる前にメインディスプレイ51に表示されていた経路案内地図を保留タスク情報(
図5参照)として記憶部12へ記憶させる。
【0100】
なお、この際、経路案内地図表示のアイコンをメインディスプレイ51に表示し、当該アイコンの選択操作により経路案内地図の表示を復帰させるようにする。この表示復帰に伴い、再生トラック番号の画面については、対応のアイコンがメインディスプレイ51に表示される。
【0101】
その後、表示切替部11bは、左サブディスプレイ52による割込表示が終了した場合、メインディスプレイ51へ変更した再生トラック番号の表示先を、メインディスプレイ51から左サブディスプレイ52へ戻す。
【0102】
このように、表示切替部11bは、サブ表示部である左サブディスプレイ52によって表示中の情報よりも優先順位の高い情報が表示要求された場合、表示中の情報の表示先を左サブディスプレイ52からメイン表示部であるメインディスプレイ51へ変更する。
【0103】
これにより、車載表示システム1では、運転者へ提供される情報が多様化しても、優先順位が最高の情報が新たに表示要求された場合に、左サブディスプレイ52または右サブディスプレイ53へ割込表示させて運転者へ分かりやすく提供することができる。
【0104】
なお、メインディスプレイ51が複数の情報を同時に表示可能な構成である場合、現状で表示要求されている情報で、サブディスプレイに表示されていない情報うち、メインディスプレイ51で表示可能な数の情報をメインディスプレイ51へ表示させる。かかる場合、メインディスプレイ51で表示できなかった他の情報については、情報に対応したアイコンをメインディスプレイ51の表示へ重畳表示させてもよい。
【0105】
また、表示切替部11bは、サブ表示部である左サブディスプレイ52による情報の表示が終了した場合、表示先をメイン表示部であるメインディスプレイ51へ変更された情報の表示先をメインディスプレイ51から左サブディスプレイ52へ変更する。
【0106】
これにより、車載表示システム1では、サブ表示部による割込表示が終了したことで優先順位が最高となった情報を再度、サブ表示部によって表示させることで、運転者へ提供される情報が多様化しても運転者へ分かりやすく情報提供を行うことができる。
【0107】
また、車載表示システム1では、左サブディスプレイ52または右サブディスプレイ53によって割込表示を行わせる場合、
図6の下段に示すように、割込表示を行うディスプレイ(ここでは、左サブディスプレイ52)の表示を強調させるように構成してもよい。
【0108】
かかる構成とする場合、例えば、左サブディスプレイ52および右サブディスプレイ53の表示領域を囲むようにLED(Light Emitting Diode)が配設される。そして、表示切替部11bは、割込表示を行わせる場合に、LEDを点灯させて表示を強調させる。
【0109】
かかる構成によれば、運転に役立つ情報や重要な情報の提供が必要な事象が発生した場合に、かかる運転に役立つ情報や重要な情報をより分かりやすく運転者へ提供することができる。なお、割込表示を強調する手段は、LEDに限定するものではない。例えば、割込表示を行う方のディスプレイによる表示輝度を他のディスプレイよりも高めてもよい。また、音声によって割込表示が行われたことを運転者へ報知してもよい。
【0110】
また、表示切替部11bは、車両のウインカが操作された場合、ウインカの指す方のサブディスプレイ(左サブディスプレイ52または右サブディスプレイ53)によってカメラ画像を割込み表示させる。
【0111】
例えば、
図7の上段に示すように、車両が交差点に近付き、左サブディスプレイ52に交差点拡大図が表示され、右サブディスプレイ53に走行モードが表示されている状態で、
図7の下段に示すように、ウインカが操作されてウインカが右方向を指したとする。
【0112】
かかる場合、表示切替部11bは、
図7の下段に示すように、ウインカが指す右方向に対応する右サブディスプレイ53へ車両の右前方が撮像された右前方カメラ画像を割込表示させる。なお、ウインカが左方向を指した場合、表示切替部11bは、左サブディスプレイ52へ車両の左前方が撮像された左前方カメラ画像を表示させる。
【0113】
これにより、運転者は、車両を右左折させる場合に、車両がこれから進行する方向から視線を大きく逸らすことなく、車両の進行先が撮像された車両周辺のカメラ画像を視認することができる。
【0114】
なお、ウインカの作動中における表示態様は、これに限定するものではない。例えば、車両が右左折する場合と、車両が車線変更する場合とでカメラ74によって撮像された画像の合成処理を切替えるように車載表示システム1を構成してもよい。かかる構成とした場合、車載表示システム1は、車線変更のために操作されたウインカが指す方向に対応した車両後方の周辺画像をウインカの指す方向に対応した方のサブディスプレイに表示させる。これにより、運転者は、車線変更の際、バックミラーでは確認が困難な後続車を容易に確認することができる。
【0115】
なお、右左折と車線変更の判別は、ナビゲーション装置で探索した経路と自車位置との関係(右左折する交差点からの距離により判断)や、ナビゲーション装置から得られる交差点迄の距離、速度、車線情報により推測することが可能である。
【0116】
また、表示切替部11bは、ウインカの作動中に、カメラ画像を表示させない方のサブディスプレイに対して表示規制を行う。例えば、表示切替部11bは、
図7の下段に示すように、カメラ画像を表示させない方の左サブディスプレイ52に一面黒の画像を表示させることによって表示規制を行う。
【0117】
これにより、車載表示システム1では、車両が右左折する場合に、運転者がカメラ画像を表示しない方のサブディスプレイ(ここでは、左サブディスプレイ52)に視線を奪われることを防止することができる。
【0118】
なお、表示規制されて表示されなくなった情報は、メインディスプレイ51に表示中の情報よりも優先順位が高い場合、表示切替部11bによって表示先がメインディスプレイ51へ変更される。また、メインディスプレイ51に表示中の情報よりも優先順位が低い場合、表示規制されて表示されなくなった情報は、表示切替部11bによって保留タスク情報(
図5参照)として記憶部12へ記憶される。
【0119】
次に、
図8、
図9、
図10を参照し、HMI系制御部10が実行する処理について説明する。
図8、
図9、
図10は、実施形態に係るHMI系制御部10が実行する処理を示すフローチャートである。
【0120】
HMI系制御部10は、電源が投入されている間、
図8に示す処理を所定周期で繰り返し実行する。具体的には、HMI系制御部10は、まず、新規の表示要求があるか否かを判定し(ステップS101)、新規の表示要求がないと判定した場合(ステップS101,No)、処理を終了する。
【0121】
一方、HMI系制御部10は、新規の表示要求があると判定した場合(ステップS101,Yes)、表示要求が走行系であるか否かを判定する(ステップS102)。
【0122】
そして、HMI系制御部10は、走行系であると判定した場合(ステップS102,Yes)、表示要求された情報の走行系情報における優先順位を判別する走行系優先順位判別を行う(ステップS103)。続いて、HMI系制御部10は、表示要求された走行系情報のうち優先順位最高の情報を右サブディスプレイ53へ表示させ(ステップS104)、処理をステップS107へ移す。
【0123】
また、HMI系制御部10は、表示要求が走行系でないと判定した場合(ステップS102,No)、表示要求された情報のエンタメ系情報における優先順位を判別するエンタメ系優先順位判別を行う(ステップS105)。続いて、HMI系制御部10は、表示要求されたエンタメ系情報のうち優先順位最高の情報を左サブディスプレイ52へ表示させ(ステップS106)、処理をステップS107へ移す。
【0124】
なお、HMI系制御部10は、左サブディスプレイ52または右サブディスプレイ53に情報を表示させる場合、車速センサ26により検出された車速が「0」且つPブレーキ25が作動中でない場合、所定の情報の表示を規制する。
【0125】
例えば、HMI系制御部10は、ディスクプレーヤ部42によって再生される動画や、DTV部43によって受信されるテレビ映像、走行系車載装置22によって取得された車両の動作履歴等、運転者へ提供する情報量が比較的多い情報に対して表示規制を行う。
【0126】
また、HMI系制御部10は、ステップS107において、優先順位が最高の情報以外の情報をメインディスプレイ51へ表示させる。その後、HMI系制御部10は、メインディスプレイ51、左サブディスプレイ52、右サブディスプレイ53に表示させた情報に関する音声報知を行い(ステップS108)、処理を終了する。
【0127】
なお、本実施形態の車載表示システム1では、デフォルト画像が設定されており、かかるデフォルト画像は常時表示要求の状態となっている。このため、HMI系制御部10は、割込みの表示要求が一つもない場合、デフォルト画像(例えば、オーディオやエアコンの動作モードや、走行モードなど)をメインディスプレイ51およびサブディスプレイへ表示させる。
【0128】
例えば、HMI系制御部10は、表示要求がない場合、右サブディスプレイ53へ燃料の残量や、どれだけ省燃費運転を行ったかを示すエコ表示を行わせ、左サブディスプレイ52へオーディオやエアコンに関する表示を行わせる。さらに、かかる場合、HMI系制御部10は、メインディスプレイ51へ車両の走行位置を示す地図を表示させる。このような画像(表示状態)が、デフォルト画像(デフォルト表示状態)として設定されている。
【0129】
また、HMI系制御部10は、
図8に示す処理と並行して、
図9に示す処理を所定周期で繰り返し実行する。具体的には、HMI系制御部10は、保留タスク情報(
図5参照)があるか否かを判定する(ステップS201)。そして、HMI系制御部10は、保留タスク情報がないと判定した場合(ステップS201,No)、処理を終了する。
【0130】
一方、HMI系制御部10は、保留タスク情報があると判定した場合(ステップS201,Yes)、割込表示の解除が有ったか否かを判定する(ステップS202)。そして、HMI系制御部10は、割込表示の解除がないと判定した場合(ステップS202,No)、処理を終了する。
【0131】
一方、HMI系制御部10は、割込表示の解除があったと判定した場合(ステップS202,Yes)、現状で表示要求されている各情報の優先順位を判別し(ステップS203)、表示先の割り振りを行う(ステップS204)。
【0132】
ここで、HMI系制御部10は、現状で表示要求されている各情報のうち、優先順位が最高(第1位)の情報がエンタメ形状である場合、情報の表示先を左サブディスプレイ52へ割り振る。一方、優先順位が最高の情報が走行系情報の場合、情報の表示先を右サブディスプレイ53へ割り振る。
【0133】
これにより、例えば、サブディスプレイに表示中の情報が表示解除された場合、メインディスプレイ51に表示されていた情報がサブディスプレイへ表示されることになる。さらに、保留タスク情報として記憶されていた情報のうち、優先順位が最高の情報がメインディスプレイ51へ表示されることになる。
【0134】
つまり、HMI系制御部10は、表示要求されている情報のうち、優先順位が最高のエンタメ系情報を左サブディスプレイ52へ、優先順位が最高の走行へ情報を右サブディスプレイ53へ表示させる。
【0135】
さらに、HMI系制御部10は、表示要求されている残りの情報については、エンタメ系および走行系を問わず、表示可能な数だけメインディスプレイ51へ表示させ、メインディスプレイ51へ表示できなかった情報については、保留タスク情報として記憶させておく。そして、HMI系制御部10は、ステップS204で表示割り振りを行った後、表示させた保留タスク情報に関する音声報知を行い(ステップS305)、処理を終了する。
【0136】
また、HMI系制御部10は、
図8および
図9に示す処理と並行して、
図10に示す処理を所定周期で繰り返し実行する。具体的には、HMI系制御部10は、ウインカが作動中か否かを判定する(ステップS301)。そして、HMI系制御部10は、ウインカが作動中でないと判定した場合(ステップS301,No)、処理を終了する。
【0137】
一方、HMI系制御部10は、ウインカが作動中であると判定した場合(ステップS301,Yes)、ウインカの指す方向が右折方向か否かを判定する(ステップS302)。そして、HMI系制御部10は、右折方向であると判定した場合(ステップS302,Yes)、右サブディスプレイ53へ車両の右前方が撮像された右前方カメラ画像を表示させる(ステップS303)。続いて、HMI系制御部10は、左サブディスプレイ52に対して表示規制を行い(ステップS304)、処理を終了する。
【0138】
また、HMI系制御部10は、ウインカの指す方向が右折方向でないと判定した場合(ステップS302,No)、左サブディスプレイ52へ車両の左前方が撮像された左前方カメラ画像を表示させる(ステップS305)。続いて、HMI系制御部10は、右サブディスプレイ53に対して表示規制を行い(ステップS306)、処理を終了する。
【0139】
なお、上記した実施形態に記載したサブディスプレイの配置は一例であり、これに限定するものではない。例えば、インストルメントパネル内でスピードメータおよびタコメータの左右いずれか一方に、左サブディスプレイ52および右サブディスプレイ53を並べて配置してもよい。かかる場合、左サブディスプレイ52は、右サブディスプレイ53よりもメインディスプレイ51に近い位置へ配置される。
【0140】
また、上記した実施形態では、ウインカの作動中に、カメラ画像を表示しない方のサブディスプレイに対して表示規制を行ったが、カメラ画像を表示しない方のサブディスプレイの表示態様は、これに限定するものではない。ここで、
図11を参照し、カメラ画像を表示しない方のサブディスプレイの表示態様に関する変形例について説明する。
【0141】
図11は、実施形態の変形例に係る表示態様の一例を示す説明図である。
図11の上段に示すように、左サブディスプレイ52に交差点拡大図を表示させ、右サブディスプレイ53に走行モードを表示させた状態で、
図11の下段に示すように、ウインカが操作され、ウインカが左折方向を指したとする。
【0142】
かかる場合、左サブディスプレイ52に左前方カメラ画像を表示させ、右サブディスプレイ53に、それまで左サブディスプレイ52に表示されていた交差点拡大図を表示させるように車載表示システム1を構成してもよい。
【0143】
なお、このような動作は、ウインカ操作に基づくカメラ画像表示時における各画像の優先順位(走行系/エンタメ系の区別無く)を記憶しておき、ウインカ操作時に表示要求状態にある画像の内、最高の優先順位の画像をカメラ画像が表示されたサブディスプレイと反対側のサブディスプレイに表示するようにする方法等により実現できる。
【0144】
かかる構成によれば、ウインカの作動中であっても、表示要求されているエンタメ系情報のうち優先順位が最高の情報(ここでは、交差点拡大図)をインストルメントパネル内で運転者へ分かりやすく表示させることができる。
【0145】
また、メインディスプレイ51、左サブディスプレイ52、右サブディスプレイ53の構成は、
図1に示すものに限定するものではない。ここで、
図12を参照し、メインディスプレイ51、左サブディスプレイ52、右サブディスプレイ53の構成に関する変形例について説明する。
図12は、変形例に係るディスプレイ50の構成を示す説明図である。
【0146】
図12に示すように、変形例に係るディスプレイ50は、ダッシュボードにおける運転者および助手席の同乗者に面する略全領域を表示領域とする表示装置によって構成される。かかる構成とする場合、運転者から正面中央に見える表示領域をメータ領域54とする。かかるメータ領域54には、スピードメータやタコメータ、ウインカの指す方向を示すシグナルランプ等を表示させる。
【0147】
また、運転者から見てメータ領域54の右側の表示領域を右サブディスプレイ53aとして機能させ、運転者から見てメータ領域54の左側の表示領域を左サブディスプレイ52aとして機能させる。さらに、左サブディスプレイ52aよりも助手席に近く、ダッシュボードの中央における表示領域をメインディスプレイ51aとして機能させる。
【0148】
このように、本変形例では、一台のディスプレイ50における表示領域を複数に分割して、それぞれメインディスプレイ51a、左サブディスプレイ52a、右サブディスプレイ53aとして機能させる。これにより、ディスプレイ50は、メインディスプレイ51a、左サブディスプレイ52a、右サブディスプレイ53aに対して個別に配線を取り回す必要がないため、車両への取り付け作業を容易に行うことができる。
【0149】
また、上記した実施形態では、メインディスプレイ51が1種類の情報を表示可能な表示装置の場合について説明したが、メインディスプレイ51は、複数種類の情報を同時に表示可能な表示装置であってもよい。
【0150】
かかる場合、車載表示システム1は、表示要求された複数の情報のうち優先順位が最高(1位)の情報をサブディスプレイによって表示させ、優先順位が2位以下の情報のうちメインディスプレイ51が表示可能な数の情報をメインディスプレイ51へ表示させる。そして、車載表示システム1は、メインディスプレイ51によって表示できなかった情報を保留タスク情報として記憶部12へ記憶させる。
【0151】
また、上記した実施形態では、ウインカの作動中に、ウインカの指す方向に対応する車両周辺のカメラ画像をサブディスプレイへ割込表示させたが、ウインカの作動中にサブディスプレイへ割込表示させる情報は、カメラ画像に限定するものではない。
【0152】
例えば、車載表示システムに車両周辺の歩行者や他車両等の走行の障害となる物体を検知するレーダを設け、ウインカが操作された場合に、レーダの検知結果に基づいてウインカが指す方向に対応する車両周辺の情報をサブディスプレイへ割込表示させてもよい。
【0153】
かかる場合、車載表示システムは、ウインカが操作された場合に、例えば、自車両と走行車線と障害物とを模式的に示した鳥瞰図を生成し、作動中のウインカが指す方向に対応する方のサブディスプレイへ割込表示させる。かかる構成によっても、車載表示システムは、運転に役立つ情報を分かりやすく運転者へ提供することができる。
【0154】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。