特許第5881410号(P5881410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5881410ワイヤーコンベア構成用折曲線材及びそれを用いて構成したワイヤーコンベア
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881410
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】ワイヤーコンベア構成用折曲線材及びそれを用いて構成したワイヤーコンベア
(51)【国際特許分類】
   B65G 15/54 20060101AFI20160225BHJP
   B65G 17/06 20060101ALI20160225BHJP
   B65G 17/08 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   B65G15/54
   B65G17/06 D
   B65G17/08
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2011-283471(P2011-283471)
(22)【出願日】2011年12月26日
(65)【公開番号】特開2013-133181(P2013-133181A)
(43)【公開日】2013年7月8日
【審査請求日】2013年8月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】596066219
【氏名又は名称】株式会社ケイズベルテック
(74)【代理人】
【識別番号】100081558
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 晴男
(74)【代理人】
【識別番号】100154287
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 貴広
(72)【発明者】
【氏名】里薗 勝成
(72)【発明者】
【氏名】清野 弘一
【審査官】 大野 明良
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−131401(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02170168(GB,A)
【文献】 米国特許第03679050(US,A)
【文献】 米国特許第02149776(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 15/00−15/64
B65G 17/06
B65G 17/08
A23G 3/02
A47J 37/00−37/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤーコンベアを構成するための金属製線材製折曲線材であって、一仮想平面上において下向き縦方向の短尺縦辺、横方向の長尺横辺及び上向き縦方向の短尺縦辺から成る裾広がりの凹陥部を適宜数備え、両端に位置する前記凹陥部を形成する前記長尺横辺の端部、前記仮想平面から10〜45度の範囲で湾折曲して立ち上げられており、前記立ち上げられた前記長尺横辺の端部に続く前記上向き縦方向の短尺縦辺の端部にフックを備えて成り、前記凹陥部他の折曲線材の前記凹陥部に嵌め込まれることによって前記他の折曲線材と連結可能であるワイヤーコンベア構成用折曲線材。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤーコンベア構成用折曲線材を連結して構成したワイヤーコンベア。
【請求項3】
主ワイヤーコンベアの上側に配置されて前記主ワイヤーコンベア上の搬送物を押える補助ワイヤーコンベアである、請求項2に記載のワイヤーコンベア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワイヤーコンベア構成用折曲線材及びそれを用いて構成したワイヤーコンベアに関するものであり、より詳細には、各種食品や機械の生産ライン、加工ライン、洗浄ライン等における搬送ライン構築のために用いられるワイヤーコンベアを構成するための折曲線材、並びに、それを用いて構成したワイヤーコンベアに関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記ワイヤーコンベアは、一般にステンレス製の線材を折曲した折曲線材を連結していくことにより構成される。その折曲線材は、線材を下向き縦方向、横方向、上向き縦方向、横方向の順に折曲して成るやや裾広がりの凹陥部を横に何個か連設し、両端にフックを形成したものである。この折曲線材は、その凹陥部を別の折曲線材の凹陥部に嵌め付けることにより多数連結され、以てワイヤーコンベアが構成される。このワイヤーコンベアは一般に、各折曲線材を直接駆動スプロケットに掛回すことにより循環駆動され、各折曲線材は、それに連結されている後続の折曲線材を引張る関係となる
【0003】
このワイヤーコンベアは、各種工場において生産、加工、洗浄等のラインに広く利用されている。そして、その一般的使用形態が、上に加工品を載せて搬送することであることは言うまでもないが、例えば、除水のために加工品に上下方向又は横方向からエアを吹き付けるような場合は、搬送手段としての主ワイヤーコンベア21の上側に、加工品20揺動、翻転を押さえるための押さえ用の補助ワイヤーコンベア22が配備される(図4参照)。また同様に、フライヤー23内でフライ物を搬送しつつ油揚げする際にも、搬送用の主ワイヤーコンベア21の上側に、フライ物の動きを抑制するための押さえ用ワイヤーコンベア22が配設される(図5参照)。
【0004】
これらの場合、上側の補助ワイヤーコンベア22は、加工品を傷付けないように軽く押さえるために弛み気味に張られ、下側の主ワイヤーコンベア21に軽く接触する状態にされ、主ワイヤーコンベア21との間に速度差がある。そのため、上側の補助ワイヤーコンベア22の両端部のフックが下側の主ワイヤーコンベア21に引っ掛かかることによる故障が起こりやすい、という問題がある。このフックの引掛りは、特に、上側の補助ワイヤーコンベア22の下側のワイヤーコンベア21からの離れ際24において起こりやすい。
【0005】
また、加工品の搬送路を長くする場合は、複数のワイヤーコンベア25、26を連設し、加工品20が、下流側のワイヤーコンベア25から上流側のワイヤーコンベア26に乗り移れるようにする(図6参照)。しかるに、ワイヤーコンベア25、26は搬送路においては平坦な状態にあるが、端部ローラー27に沿って巡回する際には、その平坦性を失って線材がはみ出る傾向にあるため、一方の側のワイヤーコンベアのフックが他方の側のワイヤーコンベアに引っ掛かるおそれが生ずる。殊に、加工品20がワイヤーコンベア25、26間の隙間28に落ちることを防止すべく、該隙間を28を小さくするために端部ローラーを小径とする場合にそのおそれが増し、故障が誘発されやすくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2787267号公報
【特許文献2】特許第3893063号公報
【特許文献3】特許第4384966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、従来のワイヤーコンベアにおいては、上側に押さえ用の補助ワイヤーコンベアを配して使用する場合や、複数のワイヤーコンベアを連設して使用する場合において、一方のワイヤーコンベアのフックが他方のワイヤーコンベアに引っ掛かり、故障の原因となることが少なくなかった。
【0008】
そこで、本発明はそのような問題のない、即ち、上側に押さえ用の補助ワイヤーコンベアを配して使用する場合や、複数のワイヤーコンベアを連設して使用する場合において、一方のワイヤーコンベアの線材両端部のフックが他方のワイヤーコンベアに引っ掛かって故障が誘発されるおそれのない、ワイヤーコンベアを構成するための折曲線材及びそれを用いて構成したワイヤーコンベアを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、ワイヤーコンベアを構成するための金属製線材製折曲線材であって、一仮想平面上において下向き縦方向の短尺縦辺、横方向の長尺横辺及び上向き縦方向の短尺縦辺から成る裾広がりの凹陥部を適宜数備え、両端に位置する前記凹陥部を形成する前記長尺横辺の端部、前記仮想平面から10〜45度の範囲で湾折曲して立ち上げられており、前記立ち上げられた前記長尺横辺の端部に続く前記上向き縦方向の短尺縦辺の端部にフックを備えて成り、前記凹陥部他の折曲線材の前記凹陥部に嵌め込まれることによって前記他の折曲線材と連結可能であるワイヤーコンベア構成用折曲線材である。
【0010】
上記課題を解決するための請求項に係る発明は、上記構成のワイヤーコンベア構成用折曲線材を連結して構成したワイヤーコンベアである。このワイヤーコンベアは、主ワイヤーコンベアの上側に配置されて前記主ワイヤーコンベア上の搬送物を押える補助ワイヤーコンベアとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るワイヤーコンベア構成用折曲線材は、上述したように両端部が若干上向きに湾折曲されているため、この折曲線材を用いて構成されたワイヤーコンベアは、進行方向両縁部が上がった、あるいは、下がったものとなる。
【0012】
従って、例えば、全体が平坦な搬送面の主ワイヤーコンベアの上側に配設される加工品押さえ用の補助ワイヤーコンベアを、本折曲線材を用いて、下側循環時において進行方向両縁部が上がるように構成すれば、その両縁部が下側の主ワイヤーコンベアの平坦な搬送面から離れることになり、補助ワイヤーコンベアの主ワイヤーコンベアからの離隔時において、その両側のフックが主ワイヤーコンベアに引っ掛かるおそれが皆無となり、以て、フックの引掛りに起因する故障の発生が確実に防止される効果がある。
【0013】
また、搬送路の長尺化のためにワイヤーコンベアが連設される場合において、上流側と下流側のワイヤーコンベアのうちの少なくとも一方を、本折曲線材を用いて搬送面の両縁部が下がるように構成すれば、上流側のワイヤーコンベアと下流側のワイヤーコンベアの対向部において各縁部同士が離隔し、互いに干渉することがなくなるため、やはり、一方のワイヤーコンベアのフックが他方のワイヤーコンベアに引っ掛かることに起因する故障の発生が確実に防止される効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る折曲線材の端部の構成を示す斜視図である。
図2】本発明に係る折曲線材の端部の構成を示す正面図である。
図3】本発明に係る折曲線材の連結方法を示す平面図である。
図4】従来の折曲線材で構成したワイヤーコンベアの問題点を説明するための図である。
図5】従来の折曲線材で構成したワイヤーコンベアの問題点を説明するための図である。
図6】従来の折曲線材で構成したワイヤーコンベアの他の問題点を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための形態につき、添付図面を参照しつつ説明する。図中1、2は本発明に係る折曲線材で、ステンレス、鉄等の線状原材を折曲して形成される。その線径は、搬送物の重量、大きさに応じ、通例0.9〜6mmの範囲で選定される。
【0016】
線状原材の折曲は、基本的には従来の折曲線材の場合と同様にして行われる。即ち、先ず線状原材で形成される長尺横辺7を、図3に示されるように、一仮想平面上において下向き縦方向に折曲して短尺縦辺を形成し、次いで横方向(水平方向)に折曲して長尺横辺5を形成し、続いて上向き縦方向に折曲して短尺縦辺を形成し、更に横方向(水平方向)に折曲して長尺横辺7を形成していく方法で、両側の短尺縦辺4、6とその間の長尺横辺5とで構成される裾広がりの凹陥部8を、長尺横辺7を介して適宜数連設する。そして、両端に位置する凹陥部8を形成する短尺縦辺4、6の端部を延長してフック9を形成して完成となる。
【0017】
しかるに、本発明に係る折曲線材1、2においては、上記加工工程の他に更に、両端部の長尺横辺5の外端部を、上記仮想平面から10〜45度の範囲で湾折曲して立ち上げ、湾折曲部10を設ける工程が加わる。図2には、湾折曲部10として折曲して形成したものが示されているが、湾曲させて形成することもある。なお、以上の説明は、必ずしも折曲加工の工程順を示すものではなく、例えば、最初にフック9を形成する等、任意の順にて折曲加工し得ることは言うまでもない。
【0018】
この折曲線材1、2を用いてのワイヤーコンベアの構成は、従来の場合と同様に、折曲線材1の凹陥部8を他の折曲線材2の凹陥部8に嵌め込むことによって行うが、この折曲線材1、2を用いて構成したワイヤーコンベアの場合は、進行方向両縁部が角度α分上がった、あるいは、下がったものとなる(図2参照)。
【0019】
従って、例えば、全体が平坦な搬送面の主ワイヤーコンベアの上側に配設される加工品押さえ用の補助ワイヤーコンベア(図4、5参照)を、本折曲線材1、2を用いて構成したものとすることで、下側の主ワイヤーコンベアに当接ないし近接するその下側循環時において、進行方向両縁部が上がるように構成すれば、その両縁部が下側の主ワイヤーコンベアの平坦な搬送面から角度α分離れることになる(図2参照)。従って、補助ワイヤーコンベアのフックが主ワイヤーコンベアに引っ掛かることがなくなる。
【0020】
また、搬送路の長尺化のためにワイヤーコンベアを連結する場合(図6参照)、上流側と下流側のワイヤーコンベアのうちの少なくとも一方を本折曲線材1、2を用いて構成し、搬送面の両縁部が下がるように構成すれば、上流側のワイヤーコンベアと下流側のワイヤーコンベアの対向部において各縁部同士が離隔することになるため、やはり、一方のワイヤーコンベアのフック9が他方のワイヤーコンベアに引っ掛かるおそれが皆無となり、フック9の引掛りに起因する故障の発生が確実に防止される。
【0021】
この発明をある程度詳細にその最も好ましい実施形態について説明してきたが、この発明の精神と範囲に反することなしに広範に異なる実施形態を構成することができることは明白である。従って、この発明は、請求の範囲において限定した以外はその特定の実施形態に制約されるものではない。
【符号の説明】
【0022】
1 折曲線材
2 折曲線材
4 短尺縦辺
5 長尺横辺
6 短尺縦辺
7 長尺横辺
8 凹陥部
9 フック
10 湾折曲部






図1
図2
図3
図4
図5
図6