(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
下流側吸気通路部と、その下流側吸気通路部より径大の上流側吸気通路部と、前記下流側吸気通路部と前記上流側吸気通路部とを連絡するものであってテーパ形状の連絡通路部とから形成される吸気通路をスロットルボディ内に備え、前記吸気通路のうち前記下流側吸気通路部又は前記上流側吸気通路部の少なくともいずれか一方にスロットルバルブを配置したスロットルバルブ装置において、
前記上流側吸気通路部の中心軸と前記下流側吸気通路部の中心軸とを平行に配置し、
その一方の中心軸を他方の中心軸と同一位置となる状態からその軸方向に直交する方向であって前記スロットルバルブのシャフト軸の延びる方向に沿って偏芯させたことを特徴とするスロットルバルブ装置。
前記中心軸に直交する断面視において、前記下流側吸気通路部の内壁が前記上流側吸気通路部の内壁の内側に位置することを特徴とする請求項1に記載のスロットルバルブ装置。
スロットルボディの外側に配置されて、スロットル軸に接続される隣接部材を前記吸気通路に隣接する位置に配置し、前記吸気通路における前記上流側吸気通路部の中心軸を前記隣接部材が配置された側とは反対側に偏芯させたことを特徴とする請求項2に記載のスロットルバルブ装置。
前記スロットルボディ内に備えられた複数個の前記吸気通路のうち少なくとも一つの前記吸気通路における前記上流側吸気通路部の中心軸を、前記下流側吸気通路部の中心軸に対して前記スロットルボディの中央位置方向側に偏芯させたことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載のスロットルバルブ装置。
前記吸気通路を前記スロットルボディ内に2つ備え、前記2つの上流側吸気通路部の中心軸を、吸気通路の並列方向内側にそれぞれ偏芯させたことを特徴とする請求項2に記載のスロットルバルブ装置。
前記スロットルボディ同士を連結する連装部材を前記吸気通路に隣接する位置に配置し、前記吸気通路における前記上流側吸気通路部の中心軸を前記連装部材が配置された側とは反対側に偏芯させたことを特徴とする請求項1又は2に記載のスロットルバルブ装置。
前記下流側吸気通路部にメインスロットルバルブを備えると共に、前記上流側吸気通路部にサブスロットルバルブを備えたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスロットルバルブ装置。
前記上流側吸気通路部に配置した前記スロットルバルブのシャフト軸位置より下流側に前記上流側吸気通路部の直径を一定とした均径領域を形成したことを特徴とする請求項8に記載のスロットルバルブ装置。
前記連絡通路部の内壁両面にテーパを形成し、スロットルバルブ軸の軸線方向外側のテーパを前記スロットルバルブ軸の軸線方向中央位置側のテーパよりも小さくしたことを特徴とする請求項5に記載のスロットルバルブ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、従来既知のスロットルバルブ装置の一例を
図8に示す。スロットルバルブ装置110は、スロットルボディ112の内部に吸気通路114が形成されており、その吸気通路114内にメインスロットルシャフト116に固定されたメインスロットルバルブ118とサブスロットルシャフト120に固定されたサブスロットルバルブ122の二つのスロットルバルブが回転自在に備えられている。吸気通路114は、メインスロットルバルブ118を備えた下流側吸気通路部分124と、サブスロットルバルブ122を備えた上流側吸気通路部分126と、それら下流側吸気通路部分124と上流側吸気通路部分126とを連絡する連絡通路部分128とから成る。下流側吸気通路部分124と上流側吸気通路部分126とは円筒形状(断面真円形状)であり、連絡通路部分128は部分円錐形状であり、上流側吸気通路部分126の中心軸と下流側吸気通路部分124の中心軸と連絡通路部分128の中心軸は、同一軸線(O−O線)上に配置されている。一般的に、サブスロットルバルブ122の直径は、吸気効率を上げるために、メインスロットルバルブ118よりも大きな直径となっており、上流側吸気通路部分126の内径は下流側吸気通路部分124の内径よりも大きな直径となっている。
【0005】
オートバイ等の自動二輪車の場合、四輪車よりも狭い収納空間にスロットルバルブ装置を搭載する必要があるため、また、その限られた収容空間を有効活用するためにも、スロットルボディにはより小型化が求められる。しかし、例えば、多気筒エンジン用のスロットルバルブ装置のように、吸気通路を複数並列に連結したものでは、スロットルボディ全体の横幅が大きくなってしまうという問題がある。特に、サブスロットルバルブ側の吸気通路部分の方がメインスロットルバルブ側の吸気通路部分よりも径が大きいため、サブスロットルバルブ側のスロットルボディの横幅は必要以上に大きくなる。一方、スロットルボディ自体を小型化すると吸気通路も狭くなり流路抵抗も増加するので、スロットルバルブ装置に吸気される空気量が減少したり、空気量制御の精度が低下する等の別の問題が発生する場合があり好ましくない。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑みて為されたものであり、スロットルバルブ装置において、それぞれの吸気通路を狭くすることなくスロットルボディ全体の小型化を実現し、また、スロットルボディ周辺に有効利用可能な空間を発生させることができるスロットルバルブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明に係るスロットルバルブ装置は、下流側吸気通路部と、その下流側吸気通路部より径大の上流側吸気通路部と、前記下流側吸気通路部と前記上流側吸気通路部とを連絡するものであってテーパ形状の連絡通路部とから形成される吸気通路をスロットルボディ内に備え、前記吸気通路のうち前記下流側吸気通路部又は前記上流側吸気通路部の少なくともいずれか一方にスロットルバルブを配置したスロットルバルブ装置において、前記上流側吸気通路部の中心軸と前記下流側吸気通路部の中心軸とを平行に配置し、その一方の中心軸を他方の中心軸と同一位置となる状態からその軸方向に直交する方向であって前記スロットルバルブのシャフト軸の延びる方向に沿って偏芯させたことを特徴とする。
請求項2記載の発明に係るスロットルバルブ装置は、前記中心軸に直交する断面視において、前記下流側吸気通路部の内壁が前記上流側吸気通路部の内壁の内側に位置することを特徴とする。
請求項3記載の発明に係るスロットルバルブ装置は、
前記下流側吸気通路部に配置されるメインスロットルバルブを備えるメインスロットルシャフトと
、前記上流側吸気通路部に配置されるサブスロットルバルブを備え
前記メインスロットルシャフトと同方向に延びるサブスロットルシャフト
とを有し、前記上流側吸気通路部の中心軸を前記下流側吸気通路部の中心軸と同一軸状態か
ら前記
メインスロット
ルシャフト軸と平行に偏芯させたことを特徴とする。
請求項4記載の発明に係るスロットルバルブ装置は、スロットルボディの外側に配置されて、スロットル軸に接続される隣接部材を前記吸気通路に隣接する位置に配置し、前記吸気通路における前記上流側吸気通路部の中心軸を前記隣接部材が配置された側とは反対側に偏芯させたことを特徴とする。
請求項5記載の発明に係るスロットルバルブ装置は、前記スロットルボディ内に備えられた複数個の前記吸気通路のうち少なくとも一つの前記吸気通路における前記上流側吸気通路部の中心軸を、前記下流側吸気通路部の中心軸に対して前記スロットルボディの中央位置方向側に偏芯させたことを特徴とする。
請求項6記載の発明に係るスロットルバルブ装置は、前記吸気通路を前記スロットルボディ内に2つ備え、前記2つの上流側吸気通路部の中心軸を、吸気通路の並列方向内側にそれぞれ偏芯させたことを特徴とする。
請求項7記載の発明に係るスロットルバルブ装置は、前記スロットルボディ同士を連結する連装部材を前記吸気通路に隣接する位置に配置し、前記吸気通路における前記上流側吸気通路部の中心軸を前記連装部材が配置された側とは反対側に偏芯させたことを特徴とする。
請求項8記載の発明に係るスロットルバルブ装置は、前記下流側吸気通路部にメインスロットルバルブを備えると共に、前記上流側吸気通路部にサブスロットルバルブを備えたことを特徴とする。
請求項9記載の発明に係るスロットルバルブ装置は、前記上流側吸気通路部に配置した前記スロットルバルブのシャフト軸位置より下流側に前記上流側吸気通路部の直径を一定とした均径領域を形成したことを特徴とする。
請求項10記載の発明に係るスロットルバルブ装置は、前記連絡通路部の内壁両面にテーパを形成し、スロットルバルブ軸の軸線方向外側のテーパを前記スロットルバルブ軸の軸線方向中央位置側のテーパよりも小さくしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るスロットルバルブ装置によれば、従来は同一軸上に位置していた下流側吸気通路部分と上流側吸気通路部分のうち、一方の中心軸を他方の中心軸に対してその軸方向に直交する方向にずらすことにより、吸気通路内部を狭くすることなく、スロットルバルブ装置全体の小型化が図れたり、スロットルバルブ装置周辺に有効利用できるスペース(空間)を生むことができる。例えば、下流側吸気通路部分の中心軸を偏位させれば、偏位させた側と反対側に偏位させた分だけスペースを形成することができ、そのスペース内に他の部品を配置する等して有効活用することができる。また、そのスペースを使ってスロットルボディ自体を厚くする等の補強すれば、スロットルボディの剛性又は連結強度を向上することもできる。特に、
中心軸(軸心方向)に直交する断面視において、下流側吸気通路部分の内壁を上流側吸気通路部分の内壁よりも内側に位置することとすれば、径小の下流側吸気通路部分が径大の上流側吸気通路部分の径方向外側に突出することがなく、スロットルバルブ装置全体の小型化を実現できる。
また、このとき、下流側吸気通路部分と上流側吸気通路部分とをテーパ状の連絡通路部分によって連絡しているので、連絡通路部分での流路抵抗を抑制することができる。なお、吸気性能への影響を考えて、偏位させる幅は4mm以下が好ましい。このように、吸気通路の断面積を減らすことなく(吸気効率を減少させることなく)、全体のサイズを縮小できるので、全開時の通路面積は従来と同様に確保でき、吸気性能を阻害することもない。
【0009】
また
、上流側吸気通路部分の中心軸を、下流側吸気通路部分の中心軸と同軸位置となる状態から下流側吸気通路部分に配置したスロットルバルブのシャフト軸に沿って平行に偏位させれば、
中心軸(軸心方向)に直交する断面視において、下流側吸気通路部分に配置したスロットルバルブのシャフト軸と下流側吸気通路部分の中心軸とを含む平面上に上流側吸気通路部分の中心軸を位置させることになる。この構成であれば、上流側吸気通路部分の中心軸はシャフト軸方向に偏位しているが、シャフト軸に直交する方向には偏位していないため、好適に流路抵抗の抑制を図ることができる。
また
、隣接部材(スロットルシャフトを駆動するための駆動機構、シャフト角変位量を検知するための検知手段、又はスロットルボディ同士を連結するため連装部材等)を吸気通路に隣接する位置に配置し、吸気通路における上流側吸気通路部分の中心軸を隣接部材が配置された側とは反対側(隣接部材の位置より離れる方向)に偏位させれば、隣接部材が上流側吸気通路部分と干渉することを防ぎつつ、上流側吸気通路部分の軸間を狭くすることができる。特に、隣接部材が配置された位置にスペースを生じることができるので、レイアウトの自由度を増すことができる。例えば、連装部材(隣接部材)を使ってそれぞれ2個の吸気通路を有するスロットルボディを2個連結させた四気筒エンジン用のスロットルバルブ装置であれば、各スロットルボディのそれぞれの上流側吸気通路部分の中心軸を、下流側吸気通路部分の中心軸より内側方向に偏位させることで、各スロットルボディ上流側部の間にスペースができ、その空いたスペースを有効利用することができる。
【0010】
また
、本発明は、複数の吸気通路を有する多気筒エンジン用のスロットルバルブ装置にも適用できる。複数の吸気通路を有する多気筒エンジン用のスロットルバルブ装置においては、下流側吸気通路部分と上流側吸気通路部分のうち、径大の上流側吸気通路部分の中心軸をスロットルバルブ装置の中央側に偏位させることにより、スロットルボディの横幅を小さくでき、結果的にスロットルバルブ装置全体を小型化することができる。このとき、隣接する吸気通路における上流側吸気通路部分の中心軸同士の軸間距離を、対応して隣接する下流側吸気通路部分の中心軸同士の軸間距離よりも狭くすれば、気筒設計によって下流側吸気通路部分の軸間が予め定まっている場合でも、スロットルボディを小型化することができる。
また
、本発明は、一の吸気通路内にメインスロットルバルブとサブスロットルバルブの二つのスロットルバルブを備えたスロットルバルブ装置にも適用できる。このとき、上流側吸気通路部分のスロットルバルブのシャフト軸位置より下流側に上流側吸気通路部分の直径を一定とした均径領域を形成すれば、上流側吸気通路部分のスロットルバルブの稼動時において、そのスロットルバルブと連絡通路部分の内壁との干渉を好適に防ぐことができる。また、連絡通路部分の内壁両面にテーパを形成しつつ、外側のテーパを中央位置側のテーパよりも小さくすれば、連絡通路部分の外側内壁をフラットにする場合に比べて中央位置側のテーパが過剰となることを防ぎ、流路抵抗を抑制し、スロットルバルブと連絡通路部分の内壁との干渉を好適に防ぐことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づき、本発明に係るスロットルバルブ装置の一実施形態について説明する。
図1は、本発明に係るスロットルバルブ装置、具体的には四気筒エンジン用のスロットルバルブ装置を示す略断面図である。
図2は、そのスロットルバルブ装置のA−A断面図である。
図3は、本発明に係るスロットルバルブ装置(四気筒エンジン用のスロットルバルブ装置)と従来のスロットルバルブ装置(四気筒エンジン用のスロットルバルブ装置)とを比較した概略図である。
【0013】
本実施例におけるスロットルバルブ装置は、
図1や
図3に示すように、例えば4つの吸気通路を有する四気筒エンジン用のスロットルバルブ装置である。四気筒エンジン用のスロットルバルブ装置10は、2個のスロットルボディ12にそれぞれ2つの吸気通路14を備え、その2個のスロットルボディ12を連装手段16で連装しているものである。2個のスロットルボディ12は、
図1や
図3で左側の第一スロットルボディ12Xと、右側の第二スロットルボディ12Yとから成る。なお、スロットルバルブ装置10は、複数のスロットルボディを連装手段16で連装するものでなく、1個のスロットルボディで構成するものであっても良い。また、本発明が適用できるスロットルバルブ装置は、四気筒エンジン用のスロットルバルブ装置に限るものではない(吸気通路14の数が4個に限るものではない)。
【0014】
スロットルボディ12内に形成される各吸気通路14は、下流側吸気通路部分18と、上流側吸気通路部分20と、下流側吸気通路部分18と上流側吸気通路部分20とを連絡する連絡通路部分22とから成るものである。上流側吸気通路部分20はエアクリーナー(図示せず)に連絡し、下流側吸気通路部分18はエンジンの各シリンダ(図示せず)に連絡している。スロットルボディ12における下流側吸気通路部分18に対応する位置には、運転者のアクセル操作によって回転操作されるメインスロットルシャフト24が回転自在に取り付けられている。そのメインスロットルシャフト24に、吸気流量を調節するためのメインスロットルバルブ26が固定されている。スロットルボディ12における上流側吸気通路部分20に対応する位置には、サブスロットルシャフト28が回転自在に取り付けられている。そのサブスロットルシャフト28には、上流側吸気通路部分20を開閉するためのサブスロットルルバルブ30が固定されている。サブスロットルバルブ30の直径は、メインスロットルバルブ30よりも大きな直径となっており、上流側吸気通路部分20の内径は下流側吸気通路部分18の内径よりも大きな直径となっている。
【0015】
本実施例のスロットルバルブ装置10においては、並列に配置された2個のスロットルボディ12(第一スロットルボディ12Xと第二スロットルボディ12Y)にそれぞれ2個の吸気通路14が並列に備えられている。各吸気通路14は
図1や
図3の左方から右方に向けて、第一吸気通路14A、第二吸気通路14B、第三吸気通路14C、第四吸気通路14Dとして説明する。第一吸気通路14Aは、第一上流側吸気通路部分20Aと第一連絡通路部分22Aと第一下流側吸気通路部分18Aとから成る。同様に、第二吸気通路14Bは、第二上流側吸気通路部分20Bと第二連絡通路部分22Bと第二下流側吸気通路部分18Bとから成る。第三吸気通路14Cは、第三上流側吸気通路部分20Cと第三連絡通路部分22Cと第三下流側吸気通路部分18Cとから成る。第四吸気通路14Dは、第四上流側吸気通路部分20Dと第四連絡通路部分22Dと第四下流側吸気通路部分18Dとから成る。また、各上流側吸気通路部分20A,20B,20C,20Dに該当する位置の各スロットルボディ12の上流側部を
図3の左方から右方に向けて、第一上流側部12A、第二上流側部12B、第三上流側部12C、第四上流側部12Dとする。
【0016】
図1や
図3の左端の第一吸気通路14Aにおいて、第一上流側吸気通路部分20Aの中心軸をAO1−AO1とし、第一下流側吸気通路部分18Aの中心軸をAO2−AO2とすると、中心軸AO1−AO1と中心軸AO2−AO2とは平行ではあるが、中心軸AO1−AO1と中心軸AO2−AO2は偏芯した位置に配置される。即ち、第一上流側吸気通路部分20Aの中心軸AO1−AO1は、スロットルボディ12(12X)の内側(中央寄り)に偏芯した構造となっており、第一上流側部12Aの左端の壁面は第二上流側部12B寄りに偏芯して配置することが可能となる。なお、このとき、吸気性能に影響を与えないために、偏芯させる幅は4mm以下に設定することが好ましい。
【0017】
また、
図1や
図3の右端の第四吸気通路14Dにおいて、第四上流側吸気通路部分20Dの中心軸をDO1−DO1とし、第四下流側吸気通路部分18Dの中心軸をDO2−DO2とすると、中心軸DO1−DO1と中心軸DO2−DO2とは平行ではあるが、中心軸DO1−DO1と中心軸DO2−DO2は偏芯した位置に配置される。即ち、第四上流側吸気通路部分20Dの中心軸DO1−DO1は、スロットルボディ12(12Y)の内側(中央寄り)に偏芯した構造となっており、第四上流側部12Dの右端の壁面は第三上流側部12C寄りに偏芯して配置することが可能となる。なお、上記と同様の理由から、ここでも偏芯させる幅は4mm以下に設定することが好ましい。
【0018】
一方、
図1や
図3の左から2番目の第二吸気通路14Bにおいて、第二上流側吸気通路部分20Bの中心軸をBO1−BO1とし、第二下流側吸気通路部分18Bの中心軸をBO2−BO2とすると、中心軸BO1−BO1と中心軸BO2−BO2とは平行ではあるが、中心軸BO1−BO1と中心軸BO2−BO2は偏芯した位置に配置する。即ち、第二上流側吸気通路部分20Bの中心軸BO1−BO1は、第一上流側吸気通路部分20Aの中心軸AO1−AO1に近い位置(スロットルボディ12Xの中央寄り)に配置される。この結果、第二上流側部12Bは第一上流側部12A寄りに偏芯した構造となって、第二上流側部12Bの外側外壁を従来のものよりも内側(スロットルボディ12Xの中央寄り)に偏位させる(L2)ことができる。言い換えると、第二上流側吸気通路部分20Bの中心軸BO1−BO1の位置は、第二下流側吸気通路部分18Bの中心軸BO2−BO2の位置と比べて、連装手段16から離れた側に配置される。なお、このとき、吸気性能に影響を与えないために、偏芯させる幅は4mm以下に設定することが好ましい。
【0019】
また、
図1や
図3の右から2番目の第三吸気通路14Cにおいて、第三上流側吸気通路部分20Cの中心軸をCO1−CO1とし、第三下流側吸気通路部分18Cの中心軸をCO2−CO2とすると、中心軸CO1−CO1と中心軸CO2−CO2とは平行ではあるが、中心軸CO1−CO1と中心軸CO2−CO2は偏芯した位置に配置する。即ち、第三上流側吸気通路部分20Cの中心軸CO1−CO1は、第四上流側吸気通路部分20Dの中心軸DO1−DO1側(スロットルボディ12Yの中央寄り)の位置に配置される。この結果、第三上流側部12Cは第四上流側部12D寄りに偏芯した構造となって、第三上流側部12Cの外側外壁を従来のものよりも内側(スロットルボディ12Yの中央寄り)に偏位させる(L3)ことができる。言い換えると、第三上流側吸気通路部分20Cの中心軸CO1−CO1の位置は、第三下流側吸気通路部分18Cの中心軸CO2−CO2の位置と比べて、連装手段16から離れた側に配置される。なお、上記と同様の理由から、ここでも偏芯させる幅は4mm以下に設定することが好ましい。
【0020】
このとき、下流側吸気通路部分18と上流側吸気通路部分20との内径差により、連絡通路部分22の内壁にはテーパが形成されることになる。特に、本実施例においては、スロットルボディ12の外側位置側のテーパに比べて、中央位置側のテーパの方が大きく形成されている。このテーパは、本実施例のように連絡通路部分22の内壁両側にテーパを形成することが好ましい。このように内壁両側にテーパを形成することにより、一方のテーパ(例えば、中央位置側のテーパ)が過剰になることを防ぎ、流路抵抗を抑制し、メインスロットルバルブ26やサブスロットルバルブ30と連絡通路部分22との干渉を防ぐことができる。なお、本実施例では上記理由から内壁両側にテーパを形成しているが、場合によっては、連絡通路部分22の内側(中央位置側)にのみテーパを形成し、外側位置側はフラットとする構成でもよい。
また、連絡通路部分22がテーパ形状であるため、
図2に示すように、軸心方向に直交する断面視において、下流側吸気通路部分18の内壁32は上流側吸気通路部分20の内壁34の内側に位置することになる。この構成により、流路抵抗を抑制し、スムーズな空気の流れを実現することができる。
【0021】
また一方、サブスロットルバルブ30と連絡通路部分22の内壁との干渉を防ぐことに重点を置くのであれば、上流側吸気通路部分20のサブスロットルバルブ30のサブスロットルシャフト28の位置より下流側に上流側吸気通路部分20の直径を一定とした均径領域を形成してもよい。本実施例においては、この均等領域はサブスロットルバルブ30の半径程度であるが、均等領域をより広くすれば、連絡通路部分22のテーパがきつくなるという面もあるが、サブスロットルバルブ30の稼動時において、そのサブスロットルバルブ30と連絡通路部分22の内壁との干渉をより好適に防ぐことができる。
【0022】
また、
図2に示すように、本実施例においては、上流側吸気通路部分20(20A,20B,20C,20D)の中心軸(AO1,BO1,CO1,DO1)を下流側吸気通路部分18(18A,18B,18C,18D)に配置したメインスロットルバルブ26のメインスロットルシャフト24に沿って平行に偏芯させている。そのため、下流側吸気通路部分18(18A,18B,18C,18D)に配置したメインスロットルバルブ26のメインスロットルシャフト24と下流側吸気通路部分18(18A,18B,18C,18D)の中心軸(AO2,BO2,CO2,DO2)とを含む平面上に上流側吸気通路部分20(20A,20B,20C,20D)の中心軸(AO1,BO1,CO1,DO1)を位置させることになる。この構成であれば、上流側吸気通路部分20(20A,20B,20C,20D)の中心軸(AO1,BO1,CO1,DO1)はメインスロットルシャフト24方向に偏芯しているが、メインスロットルシャフト24に直交する方向には偏芯していないため、上流側吸気通路部分20(20A,20B,20C,20D)と下流側吸気通路部分18(18A,18B,18C,18D)とのぶれを防ぎ、流路抵抗の抑制を図ることができる。なお、
図2に示すように、吸気通路は断面円形状であるが、楕円形状、長円形状等の非真円形状に形成されていてもよい。
【0023】
ここで、本発明の四気筒エンジン用のスロットルバルブ装置10と、従来の四気筒エンジン用のスロットルバルブ装置110とを
図3に基づいて比較する。
図3に示すように、従来のスロットルバルブ装置110における下流側吸気通路部分124の中心軸をO−Oとした場合に、本発明の第一下流側吸気通路部分18Aの中心軸AO2−AO2は、従来の下流側吸気通路部分124の中心軸O−Oと同じ位置(スロットルボディの吸気通路下流側の開口部位置は同じである)に配置する。また、その他の3箇所の下流側吸気通路部分18B,18C,18Dの中心軸BO2−BO2,CO2−CO2,DO2−DO2は、従来の下流側吸気通路部分124の中心軸O−Oとそれぞれ同じ位置に配置する。
【0024】
本発明では、第一吸気通路14Aの上流側吸気通路部分20Aの中心軸AO1−AO1を中央寄り(第二上流側部12B寄り)に偏芯させたことにより、第一上流側部12Aの外側外壁を従来のものよりも内側(中央寄り)に偏位させる(L1)ことができる。同様に、第四吸気通路14Dの上流側吸気通路部分20Dの中心軸DO1−DO1を中央寄り(第三上流側部12C寄り)に偏芯させたことにより、第四上流側部12Dの外側外壁を従来のものよりも内側(中央寄り)に偏位させる(L4)ことができる。これによって、吸気通路14の断面積を減少させることなく、スロットルボディ12全体の横幅を縮小し、スロットルバルブ装置10自体を小型化できる。
【0025】
また、本実施例のように、複数個のスロットルボディ12X,12Yの間を連装手段16で連装して一つのスロットルボディ12を構成した場合、連装手段16を挟んで配置される上流側部12B,12Cの間隔を開けることが可能になる。即ち、第二上流側部12B及び第三上流側部12Cをそれぞれ各スロットルボディ12X,12Yの中心寄りに偏芯させることにより、第二上流側部12Bと第三上流側部12Cとの間(連装手段16を備えた位置)のスペースを広げることができる(
図3のL2,L3)。この結果、レイアウトの自由度を増加させることができる。
【0026】
このように、隣接する吸気通路における上流側吸気通路部分20の中心軸同士の軸間距離(AO1とBO1間又はCO1とDO1間)は、対応して隣接する下流側吸気通路部分18の中心軸同士の軸間距離(AO2とBO2間又CO2とDO2間)よりも狭くなる。径大の上流側吸気通路部分20の中心軸同士の軸間距離を狭くすることにより、スロットルボディ12X,12Yそれぞれの全幅、ひいては、スロットルバルブ装置10全体を小型化することができる。特に、気筒設計によって下流側吸気通路部分18の軸間が予め定められている場合であっても、上流側吸気通路部分20の中心軸の位置を調整することにより、スロットルバルブ装置10を小型化することができる。
【0027】
なお、本実施例においては、2個のスロットルボディにそれぞれ2つずつ吸気通路を備え、その2個のスロットルボディを連装手段にて連装している四気筒エンジン用のスロットルバルブ装置において、外側に配置された吸気通路(吸気通路14A,14D)において上流側吸気通路部分(上流側吸気通路部分20A,20D)の軸中心(中心軸AO1−AO1,DO1−DO1)を中央位置方向に偏芯させ、且つ、連装手段に隣接する位置に配置された吸気通路(吸気通路14B,14C)において上流側吸気通路部分(上流側吸気通路部分20A,20D)の軸中心(中心軸BO1−BO1,CO1−CO1)を連装手段より離れた側に偏芯させて配置した構成について説明したが、本発明の実施態様はこれに限定されない。
【0028】
例えば、
図4に示すように、2個のスロットルボディ12(12X,12Y)にそれぞれ2つずつ吸気通路14を備え、その2個のスロットルボディ12を連装手段16にて連装している四気筒エンジン用のスロットルバルブ装置10において、外側に配置された吸気通路14A,14Dの
中心軸AO1,DO1はそのままとし、連装手段16に隣接する位置に配置された吸気通路14B,14Cにおいてのみ上流側吸気通路部分20B,20Cの
中心軸BO1,CO1をその連装手段16より離れた側(スロットルボディ12X,12Yの内側)に偏芯させる構成であってもよい。
なお、ここでは、吸気通路14に隣接する位置に配置する部品の一例として連装手段16を挙げて説明したが、隣接部材はこれに限らず、例えば、スロットルシャフトを駆動するための駆動機構、シャフト角変位量を検知するための検知手段等でも同様である。これらの隣接部材が上流側吸気通路と干渉することを防ぎ、スペースを広げることができる。この結果、レイアウトの自由度を増加させることができる。
【0029】
また、図示は略すが、他にも、1個のスロットルボディに2つの吸気通路を備えている二気筒エンジン用のスロットルバルブ装置において、そのそれぞれの吸気通路において上流側吸気通路部分の
中心軸を中央位置方向に偏芯させる構成であってもよい。また、1個のスロットルボディに3つの吸気通路を備えている三気筒エンジン用のスロットルバルブ装置において、その両外側の2つの吸気通路において上流側吸気通路部分の
中心軸を中央位置方向に偏芯させる構成であってもよい。また、1個のスロットルボディに4つの吸気通路を備えている四気筒エンジン用のスロットルバルブ装置において、その両外側の2つの吸気通路において上流側吸気通路部分の
中心軸を中央位置方向に偏芯させる構成であってもよい。
【0030】
さらには、
図5に示すように、単気筒エンジン用のスロットルボディ12であってもよい。この場合、径小の下流側吸気通路部分18の中心軸O2を片方に偏芯させることにより、偏芯させた側とは反対側に偏芯させた分だけスペースを形成することができる。そのスペースは、他の部品を配置する等して有効活用することができる。また、そのスペースを使ってスロットルボディ12自体を厚くする等の補強すれば、スロットルボディ12の剛性又は連結強度を向上することもできる。
また、
図6に示すように、上流側吸気通路部分20にサブスロットルバルブ30を備えず、下流側吸気通路部分18のみにメインスロットルバルブ24を備えただけのスロットルバルブ装置10にも適用できる。この場合も上述した実施例と同様、上流側吸気通路部分20の中心軸(AO1,BO1,CO1,DO1)と下流側吸気通路部分18の中心軸(AO2,BO2,CO2,DO2)とをずらすことにより、吸気通路14を狭くすることなくスロットルボディ12全体の小型化を実現し、また、スロットルボディ12周辺に有効利用可能なスペースを発生させることができるという効果が得られる。
なお、これらに係る他の構成及び効果は上述した実施例と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0031】
また、本発明の応用例として、
図7に示すように、上流側吸気通路部分20にサブスロットルバルブ30を備えず、下流側吸気通路部分18にもメインスロットルバルブ24を備えない単なる吸気通路14(吸気通路装置40)としても本発明の構成を適応できる。
なお、本実施形態における吸気通路装置40は、
図7に示すような、一のボディ12に複数(ここでは2つ)の吸気通路14(14A,14B)を備えている吸気通路装置40であってもよいが、これに限定されず、一のボディに一の吸気通路を備える吸気通路装置等(図示略)であっても構わない。
【0032】
この場合、本実施形態における吸気通路装置40は、下流側吸気通路部分18と、その下流側吸気通路部分18より径大の上流側吸気通路部分20と、下流側吸気通路部分18と上流側吸気通路部分20とを連絡するものであってテーパ形状の連絡通路部分22とから形成される吸気通路14をボディ12内に備え、上流側吸気通路部分20の中心軸O1−O1と下流側吸気通路部分18の中心軸O2−O2とを平行に配置し、その一方の中心軸(O1−O1又はO2−O2)を他方の中心軸(O1−O1又はO2−O2)に対してその軸方向に直交する方向に偏芯させたことを特徴としている。
また、この吸気通路装置40は、中心軸(O1−O1及びO2−O2)に直交する断面視において、下流側吸気通路部分18の内壁が上流側通路部分20の内壁の内側に位置することを特徴としている。
また、この吸気通路装置40は、隣接部材(例えば、スロットルシャフトを駆動するための駆動機構、シャフト角変位量を検知するための検知手段、又はスロットルボディ同士を連結するため連装部材等)を吸気通路14に隣接する位置に配置し、吸気通路14における上流側吸気通路部分20の中心軸O1−O1を隣接部材が配置された側とは反対側に偏芯させてもよい。
また、この吸気通路装置40は、吸気通路14をそのボディ12内に複数個(例えば、
図7に示すように2個)備えてもよい。吸気通路14をそのボディ12内に複数個備えた場合、この吸気通路装置40は、上流側吸気通路部分20の中心軸(AO1−AO1及び/又はBO1−BO1)を、下流側吸気通路部分18の中心軸(AO2−AO2及び/又はBO2−BO2)に対してボディ12の中央位置方向側に偏芯させてもよい。また、この吸気通路装置40は、隣接する吸気通路14A,14Bにおける上流側吸気通路部分20A,20Bの中心軸AO1−AO1,BO1−BO1同士の軸間距離を、対応して隣接する下流側吸気通路部分18A,18Bの中心軸AO2−AO2,BO2−BO2同士の軸間距離よりも狭くしてもよい。
【0033】
本実施例(吸気通路装置40)における効果も、上述した実施例(スロットルバルブ装置10)の場合と同様である。
即ち、本実施形態による吸気通路装置40によれば、従来は同一軸上に位置していた下流側吸気通路部分18と上流側吸気通路部分20のうち、一方の中心軸(O1−O1又はO2−O2)を他方の中心軸(O1−O1又はO2−O2)に対してその軸方向に直交する方向にずらすことにより、吸気通路14内部を狭くすることなく、吸気通路装置40全体の小型化が図れたり、吸気通路装置40周辺に有効利用できるスペース(空間)を生むことができる。例えば、下流側吸気通路部分18の中心軸O2−O2を偏位させれば、偏位させた側と反対側に偏位させた分だけスペースを形成することができ、そのスペース内に他の部品を配置する等して有効活用することができる。また、そのスペースを使ってボディ12自体を厚くする等の補強すれば、ボディ12の剛性又は連結強度を向上することもできる。特に、中心軸(O1−O1及びO2−O2)に直交する断面視において、下流側吸気通路部分18の内壁を上流側吸気通路部分20の内壁よりも内側に位置することとすれば、径小の下流側吸気通路部分18が径大の上流側吸気通路部分20の径方向外側に突出することがなく、吸気通路装置40全体の小型化を実現できる。
また、このとき、下流側吸気通路部分18と上流側吸気通路部分20とをテーパ状の連絡通路部分22によって連絡しているので、連絡通路部分22での流路抵抗を抑制することができる。なお、吸気性能への影響を考えて、偏位させる幅は4mm以下が好ましい。このように、吸気通路14の断面積を減らすことなく(吸気効率を減少させることなく)、全体のサイズを縮小できるので、全開時の通路面積は従来と同様に確保でき、吸気性能を阻害することもない。
また、隣接部材を吸気通路14に隣接する位置に配置し、吸気通路14における上流側吸気通路部分20の中心軸O1−O1を隣接部材が配置された側とは反対側(隣接部材の位置より離れる方向)に偏位させれば、隣接部材が上流側吸気通路部分20と干渉することを防ぎつつ、上流側吸気通路部分20の軸間を狭くすることができる。特に、隣接部材が配置された位置にスペースを生じることができるので、レイアウトの自由度を増すことができる。例えば、
図7に示す2個の吸気通路14を有する吸気通路装置40を、連装部材(隣接部材)を使って2個連結させた四気筒エンジン用の吸気通路装置(図示略)であれば、各ボディ12のそれぞれの上流側吸気通路部分20の中心軸O1−O1を、下流側吸気通路部分18の中心軸O2−O2より内側方向に偏位させることで、各ボディ12上流側部の間にスペースができ、その空いたスペースを有効利用することができる。
また、特に、
図7に示すような一のボディ12に複数(ここでは2つ)の吸気通路14(14A,14B)を有する吸気通路装置40においては、下流側吸気通路部分18A,18Bと上流側吸気通路部分20A,20Bのうち、径大の上流側吸気通路部分20A,20Bの中心軸(AO1−AO1,BO1−BO1)を吸気通路装置40の中央側に偏位させることにより、ボディ12の横幅を小さくでき、結果的に吸気通路装置40全体を小型化することができる。このとき、隣接する吸気通路14A,14Bにおける上流側吸気通路部分20A,20Bの中心軸AO1−AO1,BO1−BO1同士の軸間距離を、対応して隣接する下流側吸気通路部分18A,18Bの中心軸AO2−AO2,BO2−BO2同士の軸間距離よりも狭くすれば、気筒設計によって下流側吸気通路部分18A,18Bの軸間が予め定まっている場合でも、ボディ12を小型化することができる。
なお、本実施例に係る他の構成及び効果は、上述した実施例(スロットルバルブ装置10)と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。