(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881443
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】油性化粧料の製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 8/04 20060101AFI20160225BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20160225BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20160225BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20160225BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20160225BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20160225BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20160225BHJP
A61Q 1/06 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
A61K8/04
A61K8/19
A61K8/25
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/81
A61K8/92
A61Q1/06
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-19895(P2012-19895)
(22)【出願日】2012年2月1日
(65)【公開番号】特開2013-159559(P2013-159559A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】會田 健二
(72)【発明者】
【氏名】田原 寿夫
【審査官】
岩下 直人
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−220322(JP,A)
【文献】
特開2005−053915(JP,A)
【文献】
特開2010−116366(JP,A)
【文献】
特開2005−314392(JP,A)
【文献】
特開2009−256322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/04
A61K 8/19
A61K 8/25
A61K 8/31
A61K 8/37
A61K 8/81
A61K 8/92
A61Q 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)融点が60〜140℃の固形ワックス及び(B)25℃において液状の油剤を、成分(A)の融点以上の温度で溶解した後、溶解した融点未満の温度まで冷却したものと、
(C)平均粒子径1nm〜10μmの有機変性粘土鉱物又はシリカを、
0〜50℃で混合分散して中間バルクを製造し、
得られた中間バルクを含む全成分を、60〜150℃で加熱混合する油性化粧料の製造方法。
【請求項2】
中間バルク中、成分(A)の含有量が1〜35質量%である請求項1記載の油性化粧料の製造方法。
【請求項3】
中間バルク中、成分(A)及び(B)の質量割合が、(A)/(B)=0.01〜0.
6である請求項1又は2記載の油性化粧料の製造方法。
【請求項4】
中間バルク中、成分(C)の含有量が1〜35質量%である請求項1〜3のいずれか1項記載の油性化粧料の製造方法。
【請求項5】
成分(C)が、シリカである請求項1〜4のいずれか1項記載の油性化粧料の製造方法。
【請求項6】
中間バルクと、成分(C)以外の粉体を含む全成分を混合する請求項1〜5のいずれか1項記載の油性化粧料の製造方法。
【請求項7】
油性化粧料が、油性口唇化粧料である請求項1〜6のいずれか1項記載の油性化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油性化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧料の外観や、塗布後の肌上の化粧膜に、きらきらとした真珠様光輝感を付与し、魅力ある演出をするため、メイクアップ化粧料などの油性化粧料の多くには、パール顔料やラメ等の粉体が配合されている。
このような油性化粧料は、通常、ワックス、液状油、粉体等の原料を混合して増粘、又は加熱・混合し、加熱溶融状態で金型又は容器に流し込み、冷却固化又は増粘することにより製造される。金型又は容器に流し込む際は、加熱溶融状態で粘度が低いため、パール顔料など、大きく、比重が大きい粉体は沈みやすく、固化又は増粘したときには、パール顔料などが偏在してしまうという問題がある。更に、パール顔料などの大きな粒子が偏在することにより、設定色との色差が生じたり、偏在した箇所を使用した際に、ざらつきを感じてしまうという問題がある。
【0003】
このような問題を改善するため、無機粉体や油性ゲル化剤などを配合して、溶融粘度を高めることにより、固化したときにもパール顔料などの粉体を均一に分散させることが検討されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、溶融粘度を高めるためには、特に無機粉体を多量に配合する必要があり、塗布時ののび、軽さなどの使用感が悪くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−194523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、粉体が均一に分散し、塗布時の使用感に優れ、ざらつきがなく、のびの軽い油性化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、固形ワックス、25℃において液状の油剤及び特定の無機粉体を、特定の方法により中間バルクとして用いれば、上記課題を解決した油性化粧料が得られることを見出した。
【0007】
本発明は、(A)固形ワックス及び(B)25℃において液状の油剤を、成分(A)の融点以上の温度で溶解した後、溶解した融点未満の温度まで冷却したものと、
(C)平均粒子径1nm〜10μmの無機粉体を、
0〜50℃で混合分散した中間バルクを含有する油性化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の油性化粧料は、成分(C)以外の粉体が沈降せず、均一に分散し、塗布時にざらつきがなく、のびの軽い使用感が得られるものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明で用いる中間バルクは、(A)固形ワックス及び(B)25℃において液状の油剤を、成分(A)の融点以上の温度で溶解した後、溶解した融点未満の温度まで冷却したものと、(C)平均粒子径1nm〜10μmの無機粉体を、0〜50℃で混合分散して得られるものである。
成分(A)の固形ワックスは、25℃において固体の油性成分で、例えば、キャンデリラロウ、ライスワックス、サンフラワーワックス、カルナウバロウ、木ロウ等の植物性ワックス;ミツロウ、鯨ロウ等の動物性ワックス;モンタンワックス、オゾケライト等の鉱物系ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、セレシン等の石油系ワックス;硬化ひまし油、水素添加ホホバ油、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、シリコーンワックス、フッ素系ワックス、ポリエチレンワックス、合成ミツロウ等の合成ワックス;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸等の脂肪酸;セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、水添ジリノレイルアルコール等の高級アルコールなどが挙げられる。
中でも、キャンデリラロウ、ライスワックス、サンフラワーワックス、カルナウバロウ等の植物性ワックス;マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、セレシン等の石油系ワックス;ポリエチレンワックス等の合成ワックスが好ましく、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、セレシン等の石油系ワックス;ポリエチレンワックス等の合成ワックスがより好ましい。
【0010】
成分(A)の固形ワックスは、粉体が油性化粧料中に沈降せず、均一に混合できる点、液状油を固化して粉体分散時の粘度を上げる点、油性化粧料及び中間バルクからの液状油の染み出しを抑制する点から、融点が60〜140℃であるのが好ましく、60〜105℃がより好ましい。
【0011】
成分(A)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、粉体が油性化粧料中に沈降せず、均一に混合できる点、液状油を固化して粉体分散時の粘度を上げる点、油性化粧料及び中間バルクからの液状油の染み出しを抑制する点から、中間バルク中に、1〜35質量%含有するのが好ましく、3〜25質量%がより好ましく、5〜15質量%含有するのがさらに好ましい。
【0012】
成分(B)25℃において液状の油剤は、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されずに使用することができる。例えば、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、スクワラン、スクワレン等の直鎖又は分岐の炭化水素油;脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等のエステル油;オクチルドデカノール、オレイルアルコール、ヘキシルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール等の高級アルコール;ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、高級アルコール変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン油;フルオロポリエーテル、パーフルオロアルキルエーテルシリコーン等のフッ素油などが挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0013】
これらのうち、直鎖又は分岐の炭化水素油;脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル等のエステル油;高級アルコールが好ましく、より具体的には、例えば、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、スクワラン、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、エルカ酸オクチルドデシル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、アボガド油、ヒマワリ油、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、オクチルドデカノール等が挙げられる。中でも、重質流動イソパラフィン、スクワラン、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソトリデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、マカデミアナッツ油、ホホバ油、ヒマワリ油、オクチルドデカノールが好ましい。
【0014】
成分(B)は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、均一に混合できる点から、中間バルク中に、30〜98質量%含有するのが好ましく、53〜94質量%がより好ましく、65〜90質量%有するのがさらに好ましい。
また、中間バルク中、成分(A)及び(B)の質量割合は、粉体が油性化粧料中に沈降せず、均一に混合できる点、液状油を固化して粉体分散時の粘度を上げる点、及び分散物の液状油の染み出しを抑制する点から、(A)/(B)=0.01〜0.6が好ましく、0.04〜0.45がより好ましく、0.08〜0.3がさらに好ましい。
【0015】
成分(C)の無機粉体は、平均粒子径1nm〜10μmであり、2nm〜5μmのものが好ましく、5nm〜1μmのものがより好ましい。
無機粉体としては、例えば、ジステアルジモニウムヘクトライト、ジステアルジモニウムベントナイト、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイト等の有機変性粘土鉱物;シリカ、酸化チタン、酸化鉄、合成金雲母等が挙げられる。
成分(C)としては、有機変性粘土鉱物又はシリカが好ましく、粉体を油性化粧料中で沈降させず、均一に混合できる点から、シリカがより好ましい。
本発明に用いるシリカは、のびの軽い使用感が得られる点で、粒子形状が球形であり、及び多孔質ではないことが好ましい。また、粉体が油性化粧料中に沈降せず、均一に配合できる点、25℃において液状の油剤を増粘して粉体分散時の粘度を上げる点から、BET法による比表面積は10〜700m
2/gが好ましく、15〜400m
2/gがより好ましく、20〜250m
2/gがさらに好ましい。また、粒子表面が親水性であることが好ましい。
【0016】
成分(C)は、粉体が油性化粧料中に沈降せず、均一に混合できる点、液状油を増粘して粉体分散時の粘度を上げる点、油性化粧料及び中間バルクからの液状油の染み出しを抑制する点から、中間バルク中に、1〜35質量%含有するのが好ましく、3〜30質量%がより好ましく、5〜25質量%含有するのがさらに好ましい。
【0017】
中間バルクは、まず、(A)固形ワックス及び(B)液状油を、成分(A)の融点以上の温度で溶解した後、溶解した融点未満の温度まで冷却する。
融点以上の温度は、融点より10℃以上高い温度であるのが好ましく、成分(A)を2種以上用いる際には、最も高い融点以上にして、全固形ワックスを溶解させる。溶解時間は、5分〜3時間であるのが好ましく、5分〜2時間がより好ましく、10分〜1時間がさらに好ましい。
その後、溶解した融点未満の温度まで冷却するが、融点より20℃以上低い温度に冷却するのが好ましく、具体的には0〜50℃が好ましく、20〜35℃まで冷却するのがより好ましい。
【0018】
次に、成分(C)の無機粉体を加え、0〜50℃、好ましくは15〜45℃で混合分散する。これにより、冷却して粘度が高くなった成分(A)及び(B)の混合物中に、成分(C)を均一に分散させる。
混合分散は、通常の方法により行えば良く、例えば、ヘンシェルミキサー、ディスパー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等を用いて行うことができる。また、混合・撹拌時間は、1分〜2時間であるのが好ましく、2分〜1時間がより好ましく、3分〜30分がさらに好ましい。
成分(C)の無機粉体を、予め中間バルク中に配合することにより、後の工程、特に他の成分と加熱混合する工程や、製品形態において、パール顔料などの粉体の沈降を抑制することができる。また、成分(C)の分散性向上により、従来よりも少ない量の添加で、溶融粘度及び使用時の粘度を高めることができるので、均一に混合でき、塗布時のざらつきがなく、のびが低下することもない。
【0019】
中間バルクは、溶融粘度、使用時の粘度、使用感等の点から、油性化粧料全組成中に0.5〜70質量%含有するのが好ましく、2〜55質量%がより好ましく、3〜30質量%含有するのがさらに好ましい。
【0020】
本発明の油性化粧料は、前記のようにして得られる中間バルクを含有するものであるが、それ以外に、通常の化粧料に用いられる成分(C)以外の粉体、油性成分を含有することができる。
かかる粉体としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、体質顔料、着色顔料、パール顔料等を用いることができる。
体質顔料としては、例えば、ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、タルク、セリサイト、マイカ、カオリン、クレー、ベントナイト、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の無機顔料及びこれらの複合粉体が挙げられる。
【0021】
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物、マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体、更にカーボンブラック等の無機顔料、タール系色素、レーキ顔料等の有機顔料、カルミン等の天然色素などが挙げられる。
【0022】
パール顔料としては、雲母、合成金雲母、ガラス等の表面を酸化チタン、酸化鉄、酸化ケイ素、紺青、酸化クロム、カルミン、有機顔料等の着色剤で被覆したものなどを用いることができる。また、複合粉体として、酸化チタン被覆雲母、酸化鉄被覆雲母、黒酸化鉄被覆雲母チタン、黒酸化鉄被覆合成金雲母、ベンガラ被覆雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、酸化クロム雲母チタン、酸化鉄被覆ガラス末等が挙げられる。
これらの粉体は、通常の方法により、撥水処理、撥水・撥油化処理等の各種表面処理を施したものを用いることもできる。
これらの粉体のうち、パール顔料は、油中での分散性に課題があるものであるが、本発明においては、このようなパール顔料でも、化粧料中に均一に分散させることができ、好適に配合することができる。
【0023】
これらの粉体は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、化粧料の外観や、塗布後の肌上の化粧膜に、きらきらとした真珠様光輝感を付与し、魅力ある演出をする点から、全組成中に0.1〜70質量%含有するのが好ましく、1〜50質量%がより好ましく、2〜20質量%含有されるのがさらに好ましい。
【0024】
また、油性成分としては、中間バルクに用いられる成分(A)及び(B)と同様のものを用いることができる。
これらの油性成分は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、硬度及び粘度調整、使用感、経時安定性、潤い感付与等の点から、全組成中に20〜95質量%、更に40〜90質量%含有されるのが好ましい。
【0025】
さらに、本発明の油性化粧料は、前記成分以外に、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、揮発性炭化水素油、揮発性シリコーン油、揮発性フッ素油、パルミチン酸デキストリン等の油性ゲル化剤、高分子化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料、香料、色素、ラメ、防汚剤、保湿剤、水等を含有することができる。
【0026】
本発明の油性化粧料は、前記中間バルクを含む全成分を、通常の方法に従って混合することにより製造することができる。混合する際の温度は特に制限されないが、60〜150℃で加熱混合するのが好ましい。
本発明においては、(A)固形ワックス及び(B)25℃において液状の油剤を、成分(A)の融点以上の温度で溶解した後、溶解した融点未満の温度まで冷却したものと、(C)平均粒子径1nm〜10μmの無機粉体を、0〜50℃で混合分散した中間バルクと、成分(C)以外の粉体を含む全成分を混合して得られる油性化粧料が好ましい。
【0027】
本発明の油性化粧料は、固形状又はペースト状が好ましく、中でも固形状が好ましい。また、口紅、リップクリーム、リップグロス、リップライナー、口紅用下地、口紅オーバーコート等の口唇化粧料、ファンデーション、アイシャドウ、チーク等として、適用することができる。油性口唇化粧料として好適である。
【実施例】
【0028】
実施例1〜8、比較例1〜6
表1に示す組成の油性口紅(固形状)を製造し、溶融時のパール顔料保持率、成型時のパール顔料の偏りのなさ、使用感(塗布時ののびの軽さ、一塗り目のざらつき感のなさ)を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0029】
(製造方法)
(1)実施例1〜8、比較例1〜4:
中間バルクに用いる成分(A)及び(B)を110℃で30分間混合した後、25℃まで冷却した。その後、成分(C)を加え、表1に示す温度で10分間、ヘンシェルミキサーで混合し、中間バルクを調製した。なお、比較例3の組成では、液状油がなく均一混合が困難であったため、中間バルクを調製することができなかった。
次に、得られた中間バルクと、その他の全成分を、105℃で40分間加熱混合した後、型に流し込み、油性口紅を得た。
【0030】
(2)比較例5及び6:
全成分を105℃で40分間加熱混合した後、型に流し込み、油性口紅を得た。
【0031】
(評価方法)
(1)溶融時のパール顔料保持率:
105℃に加熱した油性口紅を、100℃に加熱した高さ62mmの試験管に流し込み、100℃で30分間静置した後、パール顔料による光輝感のある部分の高さを測定し、溶融時のパール顔料保持率を、次式にて算出した。
溶融時のパール顔料保持率(%)
=(パール顔料による光輝感のある部分の高さ(mm)/62mm)×100
【0032】
(2)成型時のパール顔料の偏りのなさ:
20名の専門評価者が、未塗布時の油性口紅の先端の外観と、塗布後の先端の外観を比較観察し、パール顔料の偏在の有無を目視評価した。結果を、「差がほぼない」と評価した人数で示した。
パール顔料の偏在がない場合は、未塗布・塗布後の間で、油性口紅の先端の外観に変化は見られないが、偏在がある場合は、パール顔料が、口紅先端に局在化しているため、ぎらつきが強く表れる。
【0033】
(3)使用感(塗布時ののびの軽さ):
20名の専門評価者が、油性口紅を塗布した時ののびの軽さについて官能評価した。結果を、「のびが軽い」と評価した人数で示した。
【0034】
(4)使用感(一塗り目のざらつき感のなさ):
20名の専門評価者が、未使用の口紅を最初に一塗りした時のざらつき感について官能評価した。結果を、「ざらつきがない」と評価した人数で示した。
【0035】
【表1】