【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための発明に係るガスタービンケーシングの組立分解治具は、
回転軸線を中心として回転するロータの外周を覆い、周方向の一部を形成する第一周割ケーシングと該周方向の他の一部を形成する第二周割ケーシングとが締結具で接続されているガスタービンケーシングの組立分解治具において、前記第一周割ケーシングと前記第二周割ケーシングとのうち、一方の周割ケーシングに固定される固定部と、該固定部から延びて他方の周割ケーシングの外面に対向するジャッキ受け部とを有することを特徴とする。
【0009】
まず、ガスタービンケーシングの分解時における当該組立分解治具の利用形態について説明する。
【0010】
ここで、ガスタービンケーシングは、ロータの回転軸線が延びている軸方向の一部を形成する中央側ケーシングと、中央側ケーシングに対して軸方向の端側を形成する端側ケーシングとが第一締結具で接続されて構成されているとする。さらに、中央側ケーシングは、その周方向の一部を形成する中央側第一周割ケーシングと、周方向の他の一部を形成する中央側第二周割ケーシングとが第二締結具で接続されて構成されているとする。また、端側ケーシングは、その周方向の一部を形成して中央側第一周割ケーシングと軸方向で隣り合って第一締結具で接続されている端側第一周割ケーシングと、周方向の他の一部を形成して中央側第二周割ケーシングと軸方向で隣り合って第一締結具で接続されている端側第二周割ケーシングとが、第三締結具で接続されて構成されているとする。
【0011】
まず、当該組立分解治具のうち、第一組立分解治具の固定部を端側第一周割ケーシングに固定し、第一組立分解治具のジャッキ受け部と軸方向で間隔をあけて第二組立分解治具の固定部が対向するよう、この固定部を端側第二周割ケーシングに固定する。
【0012】
次に、中央側第一周割ケーシングと中央側第二周割ケーシングとを接続している第二締結具を外し、端側第一周割ケーシングと端側第二周割ケーシングとを接続している第三締結具を外し、中央側第
二周割ケーシングと端側第
二周割ケーシングとを接続している第一締結具を外す。
【0013】
次に、第一組立分解治具のジャッキ受け部と第二組立分解治具の固定部との間、又は、第一組立分解治具の固定部と第二組立分解治具のジャッキ受け部との間にジャッキを配置する。
【0014】
続いて、ジャッキの両端部の間隔を広げて、中央側第二周割ケーシングから端側第二周割ケーシングを軸方向に離す。そして、端側第二周割ケーシングが軸方向で離れている状態で、この中央側第二周割ケーシングを中央側第一周割ケーシングから離す。
【0015】
以上のように、中央側第二周割ケーシングを中央側第一周割ケーシングから離す際には、この中央側第二周割ケーシングから端側第二周割ケーシングが軸方向で離れている状態であるため、この中央側第二周割ケーシングを中央側第一周割ケーシングから容易に離すことができる。
【0016】
次に、ガスタービンケーシングの組立時における当該組立分解治具の利用形態について説明する。
【0017】
ここで、ガスタービンケーシングは、周方向の一部を形成する第一周割ケーシングと周方向の他の一部を形成する第二周割ケーシングとが締結具で接続されて構成されているとする。
【0018】
まず、第一周割ケーシングと第二周割ケーシングとのうち、熱による変形により、周方向の両端部における径方向の間隔が狭い一方の周割ケーシングに組立分解治具の固定部を固定する。
【0019】
次に、第二周割ケーシングを第一周割ケーシングと対向するよう配置する。
【0020】
次に、第一周割ケーシングと第二周割ケーシングとのうち、周方向の両端部における径方向の間隔が狭い一方の周割ケーシングに固定されている組立分解治具のジャッキ受け部と、周方向の両端部における径方向の間隔が広い他方の周割ケーシングの外面との間にジャッキを配置する。
【0021】
続いて、ジャッキの両端部の間隔を広げて、他方の周割ケーシングの周方向の両端部における径方向の間隔を狭め、一方の周割ケーシングの周方向の両端部に他方の周割ケーシングの周方向の両端部を対向させる。
【0022】
そして、両端部が互いに対向している一方の周割ケーシングと他方の周割ケーシングとを締結具で接続する。
【0023】
以上のように、熱による経年変形により、第一周割ケーシングの周方向の両端部と第二周割ケーシングの周方向の両端部とが互いに対向しなくなっても、強制的に、第一周割ケーシングの周方向の両端部と第二周割ケーシングの周方向の両端部とを互いに対向させることができるので、第一周割ケーシングと第二周割ケーシングとを容易に接続することができる。
【0024】
ここで、前記ガスタービンケーシングの組立分解治具において、前記第一周割ケーシング及び前記第二周割ケーシングは、それぞれ、互いに対向して前記締結具で接続されるフランジ部を有しており、前記固定部は、前記一方の周割ケーシングの前記フランジ部に固定され、前記ジャッキ受け部は、前記他方の周割ケーシングの前記フランジ部に対向してもよい。
【0025】
第一周割ケーシングのフランジ部と第二周割ケーシングのフランジ部とは、互いに接触するものある。このため、当該組立分解治具では、両周割ケーシングに跨るように配置しても、大型化を避けることができる。フランジ部は、ケーシング中で比較的剛性が高いため、ジャッキからの力を受けても、この力による変形を最小限にすることができる。
【0026】
また、前記ガスタービンケーシングの組立分解治具において、前記ジャッキ受け部に、前記他方の周割ケーシングの外面と間隔をあけて対向し、前記回転軸線に対する径方向に垂直な径方向受け面が形成されていてもよい。
【0027】
まず、第一周割ケーシングと第二周割ケーシングとのうち、一方の周割ケーシングに当該組立分解治具を固定する。次に、当該組立分解治具と他方の周割ケーシングの外面との間にジャッキを配置する。そして、ジャッキの両端部の間隔を広げて、他方の周割ケーシングの周方向の両端部における径方向の間隔を狭める。この際、当該組立分解治具では、ジャッキの両端部が広がる方向に対して、垂直な径方向受け面でジャッキが発生する力を受けるので、ジャッキを安定支持することができる。
【0028】
また、前記ガスタービンケーシングの組立治具において、前記ジャッキ受け部及び前記固定部には、前記回転軸線が延びる軸方向の一方の側を向き且つ該軸方向に垂直な軸方向受け面が形成されていてもよい。
【0029】
まず、複数の当該組立分解治具のうち、第一組立分解治具の固定部を端側第一周割ケーシングに固定し、第一組立分解治具のジャッキ受け部と軸方向で間隔をあけて第二組立分解治具の固定部が対向するよう、この固定部を端側第二周割ケーシングに固定する。次に、第一組立分解治具のジャッキ受け部と第二組立分解治具の固定部との間、又は、第一組立分解治具の固定部と第二組立分解治具のジャッキ受け部との間にジャッキを配置する。そして、ジャッキの両端部の間隔を広げて、中央側第二周割ケーシングから端側第二周割ケーシングを軸方向に離す。この際、当該組立分解治具では、ジャッキの両端部が広がる方向に対して、垂直な軸方向受け面でジャッキが発生する力を受けるので、ジャッキを安定支持することができる。
【0030】
上記目的を達成するための発明に係るガスタービンケーシングの組立分解治具セットは、
前記ガスタービンケーシングの組立分解治具を複数備え、複数の前記組立分解治具のうちの一部は、前記第一周割ケーシングに固定される前記固定部を有する第一径方向治具を成し、複数の該組立分解治具のうちの他の一部は、前記第二周割ケーシングに固定される前記固定部を有する第二径方向治具を成してもよい。
【0031】
当該組立分解治具セットでは、第一周割ケーシングの周方向の両端部における径方向の間隔が熱影響で広がった場合、第二周割ケーシングに第二径方向治具を固定し、第二径方向治具と第一周割ケーシングの外面との間にジャッキを配置する。そして、ジャッキの両端部の間隔を広げて、第一周割ケーシングの周方向の両端部における径方向の間隔を狭める。
【0032】
また、当該組立分解治具セットでは、第二周割ケーシングの周方向の両端部における径方向の間隔が熱影響で広がった場合、第一周割ケーシングに第一径方向治具を固定し、第一径方向治具と第二周割ケーシングの外面との間にジャッキを配置する。そして、ジャッキの両端部の間隔を広げて、第二周割ケーシングの周方向の両端部における径方向の間隔を狭める。
【0033】
よって、当該組立分解治具セットでは、第一周割ケーシングの周方向の両端部における径方向の間隔が熱影響で広がった場合でも、第二周割ケーシングの周方向の両端部における径方向の間隔が熱影響で広がった場合でも、対応することができる。
【0034】
また、当該組立治具セットでは、中央側第一周割ケーシングから中央側第二周割ケーシングを外す際、まず、第一径方向治具の固定部を端側第一周割ケーシングに固定し、第一径方向治具のジャッキ受け部と軸方向で間隔をあけて第二径方向治具の固定部が対向するよう、この固定部を端側第二周割ケーシングに固定する。次に、第一径方向治具のジャッキ受け部と第二径方向治具の固定部との間、又は、第一径方向治具の固定部と第二径方向治具のジャッキ受け部との間にジャッキを配置する。続いて、ジャッキの両端部の間隔を広げて、中央側第二周割ケーシングから端側第二周割ケーシングを軸方向に離す。そして、端側第二周割ケーシングが軸方向で離れている状態で、この中央側第二周割ケーシングを中央側第一周割ケーシングから離す。
【0035】
よって、当該組立分解治具セットでは、中央側第二周割ケーシングから端側第二周割ケーシングが軸方向に離れている状態で、この中央側第二周割ケーシングを中央側第一周割ケーシングから離すことができる。
【0036】
また、前記ガスタービンケーシングの組立分解治具セットにおいて、一対の前記第一径方向治具と、一対の前記第二径方向治具とを備え、一対の前記第一径方向治具のうち、一方の該第一径方向治具は、前記第一周割ケーシングの周方向の一端部に固定される前記固定部を有し、他方の該第一径方向治具は、該第一周割ケーシングの周方向の他端部に固定される前記固定部を有し、一対の前記第二径方向治具のうち、一方の該第二径方向治具は、前記第二周割ケーシングの周方向の一端部に固定される前記固定部を有し、他方の該第二径方向治具は、該第二周割ケーシングの周方向の他端部に固定される前記固定部を有してもよい。
【0037】
当該組立分解治具セットでは、第一周割ケーシングの周方向の両端部における径方向の間隔が熱影響で広がった場合、第二周割ケーシングの周方向の一端部に一方の第二径方向治具を固定し、この第二周割ケーシングの周方向の他端部に他方の第二径方向治具を固定する。次に、一方の第二径方向治具と第一周割ケーシングの外面との間にジャッキを配置すると共に、他方の第二径方向治具と第一周割ケーシングの外面との間にジャッキを配置する。そして、両方のジャッキの両端部の間隔を広げて、第一周割ケーシングの周方向の両端部における径方向の間隔を狭める。
【0038】
また、当該組立分解治具セットでは、第二周割ケーシングの周方向の両端部における径方向の間隔が熱影響で広がった場合、第一周割ケーシングの周方向の一端部に一方の第一径方向治具を固定し、この第一周割ケーシングの周方向の他端部に他方の第一径方向治具を固定する。次に、一方の第一径方向治具と第二周割ケーシングの外面との間にジャッキを配置すると共に、他方の第一径方向治具と第二周割ケーシングの外面との間にジャッキを配置する。そして、両方のジャッキの両端部の間隔を広げて、第二周割ケーシングの周方向の両端部における径方向の間隔を狭める。
【0039】
また、当該組立治具セットでは、中央側第一周割ケーシングから中央側第二周割ケーシングを外す際、まず、一方の第一径方向治具の固定部を端側第一周割ケーシングの周方向の一端部に固定し、この第一径方向治具のジャッキ受け部と軸方向で間隔をあけて、一方の第二径方向治具の固定部が対向するよう、この固定部を端側第二周割ケーシングの周方向の一端部に固定する。さらに、他方の第一径方向治具の固定部を端側第一周割ケーシングの周方向の他端部に固定し、この第一径方向治具のジャッキ受け部と軸方向で間隔をあけて、他方の第二径方向治具の固定部が対向するよう、この固定部を端側第二周割ケーシングの周方向の他端部に固定する。次に、一方の第一径方向治具のジャッキ受け部と一方の第二径方向治具の固定部との間、又は、一方の第一径方向治具の固定部と一方の第二径方向治具のジャッキ受け部との間にジャッキを配置する。さらに、他方の第一径方向治具のジャッキ受け部と他方の第二径方向治具の固定部との間、又は、他方の第一径方向治具の固定部と他方の第二径方向治具のジャッキ受け部との間にジャッキを配置する。続いて、各ジャッキの両端部の間隔を広げて、中央側第二周割ケーシングから端側第二周割ケーシングを軸方向に離す。そして、端側第二周割ケーシングが軸方向で離れている状態で、この中央側第二周割ケーシングを中央側第一周割ケーシングから離す。
【0040】
上記目的を達成するための発明に係るガスタービンケーシングの組立分解治具セットは、
前記ガスタービンケーシングの組立分解治具を少なくとも一対備え、一対の前記組立分解治具は、それぞれ径方向治具を成し、一方の径方向治具は、前記一方の周割ケーシングの周方向の一端部に固定される前記固定部を有し、他方の径方向治具は、該一方の周割ケーシングの周方向の他端部に固定される前記固定部を有してもよい。
【0041】
当該組立分解治具セットでは、第一周割ケーシングと第二周割ケーシングとのうち、他方の周割ケーシングの周方向の両端部における径方向の間隔が熱影響で広がった場合、一方の周割ケーシングの周方向の一端部に一方の径方向治具を固定する。次に、一方の周割ケーシングの周方向の他端部に他方の径方向治具を固定する。そして、両方のジャッキの両端部の間隔を広げて、他方の周割ケーシングの周方向の両端部における径方向の間隔を狭める。
【0042】
上記目的を達成するための発明に係るガスタービンケーシングの組立分解治具セットは、
前記ガスタービンケーシングの組立分解治具を複数備え、複数の前記組立分解治具は、それぞれ軸方向治具を成し、一部の軸方向治具は、第一軸方向治具として前記第一周割ケーシングに固定される前記固定部を有し、他の一部の軸方向治具は、第二軸方向治具として、いずれかの該第一軸方向治具と組を成し、該組を成す該第一軸方向治具と前記回転軸線が延びる軸方向に間隔をあけて、前記第二周割ケーシングに固定される前記固定部を有し、前記第一軸方向治具の前記ジャッキ受け部と、該第一軸方向治具と組を成す前記第二軸方向治具の前記固定部とには、それぞれ、前記軸方向で互いに間隔をあけて対向する軸方向受け面が形成されていてもよい。
【0043】
当該組立治具セットでは、中央側第一周割ケーシングから中央側第二周割ケーシングを外す際、まず、第一軸方向治具の固定部を端側第一周割ケーシングに固定し、第一軸方向治具のジャッキ受け部と軸方向で間隔をあけて第二軸方向治具の固定部が対向するよう、この固定部を端側第二周割ケーシングに固定する。次に、第一軸方向治具のジャッキ受け部と第二軸方向治具の固定部との間、又は、第一軸方向治具の固定部と第二軸方向治具のジャッキ受け部との間にジャッキを配置する。続いて、ジャッキの両端部の間隔を広げて、中央側第二周割ケーシングから端側第二周割ケーシングを軸方向に離す。そして、端側第二周割ケーシングが軸方向で離れている状態で、この中央側第二周割ケーシングを中央側第一周割ケーシングから離す。
【0044】
よって、当該組立分解治具セットでは、中央側第二周割ケーシングから端側第二周割ケーシングが軸方向に離れている状態で、この中央側第二周割ケーシングを中央側第一周割ケーシングから離すことができる。
【0045】
また、前記ガスタービンケーシングの組立分解治具セットにおいて、一対の前記第一軸方向治具と、一対の該第一軸方向治具と組を成す一対の前記第二軸方向治具とを備え、一対の前記第一軸方向治具のうち、一方の該第一軸方向治具は、前記第一周割ケーシングの周方向の一端部に固定される前記固定部を有し、他方の該第一軸方向治具は、該第一周割ケーシングの周方向の他端部に固定される前記固定部を有し、一対の前記第二軸方向治具のうち、一方の該第二軸方向治具は、前記一方の第一軸方向治具と前記軸方向に間隔をあけて、前記第二周割ケーシングの周方向の一端部に固定される前記固定部を有し、他方の該第二軸方向治具は、前記他方の第一軸方向治具と前記軸方向に間隔をあけて、該第二周割ケーシングの周方向の他端部に固定される前記固定部を有してもよい。
【0046】
当該組立治具セットでは、中央側第一周割ケーシングから中央側第二周割ケーシングを外す際、まず、一方の第一軸方向治具の固定部を端側第一周割ケーシングの周方向の一端部に固定し、この第一軸方向治具のジャッキ受け部と軸方向で間隔をあけて、一方の第二軸方向治具の固定部が対向するよう、この固定部を端側第二周割ケーシングの周方向の一端部に固定する。さらに、他方の第一軸方向治具の固定部を端側第一周割ケーシングの周方向の他端部に固定し、この第一軸方向治具のジャッキ受け部と軸方向で間隔をあけて、他方の第二軸方向治具の固定部が対向するよう、この固定部を端側第二周割ケーシングの周方向の他端部に固定する。次に、一方の第一軸方向治具のジャッキ受け部と一方の第二軸方向治具の固定部との間、又は、一方の第一軸方向治具の固定部と一方の第二軸方向治具のジャッキ受け部との間にジャッキを配置する。さらに、他方の第一軸方向治具のジャッキ受け部と他方の第二軸方向治具の固定部との間、又は、他方の第一軸方向治具の固定部と他方の第二軸方向治具のジャッキ受け部との間にジャッキを配置する。続いて、各ジャッキの両端部の間隔を広げて、中央側第二周割ケーシングから端側第二周割ケーシングを軸方向に離す。そして、端側第二周割ケーシングが軸方向で離れている状態で、この中央側第二周割ケーシングを中央側第一周割ケーシングから離す。
【0047】
上記目的を達成するための発明に係るガスタービンは、
前記ガスタービンケーシングの組立分解治具と、前記第一周割ケーシング及び前記第二周割ケーシングを有する前記ガスタービンケーシングと、を備えていることを特徴とする。
【0048】
また、上記目的を達成するための発明に係るガスタービンは、
前記ガスタービンケーシングの組立分解治具セットと、前記第一周割ケーシング及び前記第二周割ケーシングを有するガスタービンケーシングと、を備えていることを特徴とする。
【0049】
また、上記目的を達成するためのガスタービンケーシングの組立方法は、
回転軸線を中心として回転するロータの外周を覆い、周方向の一部を形成する第一周割ケーシングと該周方向の他の一部を形成する第二周割ケーシングとが締結具で接続されるガスタービンケーシングの組立方法において、前記第一周割ケーシングと前記第二周割ケーシングとのうち、一方の周割ケーシングに固定される固定部と、該固定部から延びて他方の周割ケーシングの外面に対向するジャッキ受け部とが形成されている組立分解治具を準備する治具準備工程と、前記第一周割ケーシングと前記第二周割ケーシングとのうち、周方向の両端部における径方向の間隔が狭い一方の周割ケーシングに前記組立分解治具の前記固定部を固定する治具固定工程と、前記第二周割ケーシングを前記第一周割ケーシングと対向するよう配置する周割ケーシング配置工程と、前記第一周割ケーシングと前記第二周割ケーシングとのうち、周方向の両端部における径方向の間隔が狭い前記一方の周割ケーシングに固定されている前記組立分解治具の前記ジャッキ受け部と、周方向の両端部における径方向の間隔が広い他方の周割ケーシングの外面との間にジャッキを配置するジャッキ配置工程と、前記ジャッキの両端部の間隔を広げて、前記他方の周割ケーシングの周方向の両端部における径方向の間隔を狭め、前記一方の周割ケーシングの周方向の両端部に該他方の周割ケーシングの周方向の両端部を対向させるジャッキ操作工程と、前記両端部が互いに対向している前記一方の周割ケーシングと前記他方の周割ケーシングとを前記締結具で接続するケーシング接続工程と、を実行することを特徴とする。
【0050】
当該ガスタービンケーシングの組立方法では、周方向の両端部における径方向の間隔が広い他方の周割ケーシングの両端部の径方向の間隔を狭めて、一方の周割ケーシングの周方向の両端部に他方の周割ケーシングの周方向の両端部を対向させる。このため、当該組立方法では、一方の周割ケーシングと他方の周割ケーシングとを容易に締結具で接続することができる。
【0051】
また、上記目的を達成するためのガスタービンケーシングの分解方法は、
回転軸線を中心として回転するロータの外周を覆い、該回転軸線が延びている軸方向の一部を形成する中央側ケーシングと該中央側ケーシングに対して該軸方向の端側を形成する端側ケーシングとが第一締結具で接続されているガスタービンケーシングであって、前記中央側ケーシングは、その周方向の一部を形成する中央側第一周割ケーシングと、周方向の他の一部を形成する中央側第二周割ケーシングとが第二締結具で接続されて構成されており、前記端側ケーシングは、その周方向の一部を形成して前記中央側第一周割ケーシングと前記軸方向で隣り合って前記第一締結具で接続されている端側第一周割ケーシングと、周方向の他の一部を形成して前記中央側第二周割ケーシングと前記軸方向で隣り合って前記第一締結具で接続されている端側第二周割ケーシングとが、第三締結具で接続されて構成されているガスタービンケーシングの分解方法において、
前記端側第一周割ケーシングと前記端側第二周割ケーシングとのうち、一方の周割ケーシングに固定される固定部と、該固定部から延びて他方の周割ケーシングの外面に対向するジャッキ受け部とが形成されている複数の組立分解治具を準備する治具準備工程と、複数の前記組立分解治具のうち、第一組立分解治具の前記固定部を前記端側第一周割ケーシングに固定し、該第一組立分解治具の前記ジャッキ受け部と前記軸方向で間隔をあけて第二組立分解治具の前記固定部が対向するよう該固定部を前記端側第二周割ケーシングに固定する治具固定工程と、前記中央側第一周割ケーシングと前記中央側第二周割ケーシングとを接続している前記第二締結具を外し、前記端側第一周割ケーシングと前記端側第二周割ケーシングとを接続している前記第三締結具を外し、前記中央側第
二周割ケーシングと前記端側第
二周割ケーシングとを接続している前記第一締結具を外す締結具外し工程と、前記第一組立分解治具の前記ジャッキ受け部と前記第二組立分解治具の前記固定部との間、又は、前記第一組立分解治具の前記固定部と前記第二組立分解治具の前記ジャッキ受け部との間にジャッキを配置するジャッキ配置工程と、前記ジャッキの両端部の間隔を広げて、前記中央側第二周割ケーシングから前記端側第二周割ケーシングを前記軸方向に離すジャッキ操作工程と、前記端側第二周割ケーシングが前記軸方向で離れている状態で前記中央側第二周割ケーシングを前記中央側第一周割ケーシングから離す中央側ケーシング外し工程と、を実行することを特徴とする。
【0052】
当該ガスタービンケーシングの分解方法では、中央側第二周割ケーシングから端側第二周割ケーシングが軸方向で離れている状態で、中央側第二周割ケーシングを中央側第一周割ケーシングから離す。よって、当該分解方法では、中央側第二周割ケーシングを中央側第一周割ケーシングから容易に離すことができる。