特許第5881475号(P5881475)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5881475-酸化マグネシウム薄膜の製造方法 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881475
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】酸化マグネシウム薄膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 5/06 20060101AFI20160225BHJP
   H01J 9/02 20060101ALI20160225BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   C01F5/06
   H01J9/02 F
   H01L21/316 X
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-47615(P2012-47615)
(22)【出願日】2012年3月5日
(65)【公開番号】特開2013-180942(P2013-180942A)
(43)【公開日】2013年9月12日
【審査請求日】2014年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108764
【氏名又は名称】タテホ化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北垣 昌規
【審査官】 田澤 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−129522(JP,A)
【文献】 特開2010−080300(JP,A)
【文献】 特開2000−303185(JP,A)
【文献】 特開平05−283401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01F 5/00−5/42
H01J 9/00−9/52
H01L 21/00−21/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方から撮影した電子顕微鏡写真において、三角形状の微粒子が表面に形成されている、酸化マグネシウム薄膜を、ミストCVD法によって10nm/min〜25nm/minの成長速度で製造する、酸化マグネシウム薄膜の製造方法。
【請求項2】
酸化マグネシウム原料溶液を霧化させ、発生したミスト状の酸化マグネシウム原料を加熱された基板上に供給し熱分解させることで、10nm/min〜25nm/minの成長速度で前記基板上に前記酸化マグネシウム薄膜を形成する、請求項に記載の酸化マグネシウム薄膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化マグネシウム薄膜、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交流型プラズマディスプレイ(AC型PDP)では、ガス放電空間を挟んで背面基板と前面基板が対向配置され、一方の基板又は両方の基板表面には、互いに対となる電極が形成される。さらにその電極表面が誘電体層により被覆され、当該誘電体層の上には保護層が形成されている。この保護層は、作動電圧を低減させ、かつ、ガス放電空間に生成するプラズマから誘電体層を保護するためのものである。従来、当該保護層を形成するための材料としては、二次電子放出係数が高く、耐スパッタ性に優れる酸化マグネシウムが広く利用されている。
【0003】
保護層たる酸化マグネシウム膜を成膜するにあたっては、従来、真空蒸着、スパッタリング、電子ビーム蒸着等が用いられてきたが、これらの方法では1000℃を超える高温下での成膜工程が必要になり、生産性が低いという問題があった。さらに、真空チャンバー内で成膜をする必要があり、大画面のパネルを製造する場合、大規模な設備投資が必要になるという問題もあった。
【0004】
このような問題を解決するために、特許文献1では、有機マグネシウム錯化合物等の酸化マグネシウム原料を加熱して気化させ、キャリアガスと共に、加熱されてある基材の表面に吹き付ける、加熱によるCVD法を用いた酸化マグネシウムの製造方法が記載されている。
【0005】
この方法では、原料を加熱して気化させるために、蒸気圧が比較的高い酸化マグネシウム原料(酸化マグネシウム薄膜を作る為のマグネシウム化合物)を選択する必要があり、使用できる原料が制限されるという欠点があった。また、酸化マグネシウム原料が有機マグネシウム錯化合物である場合、この化合物は発火性を持つ場合が多く、取り扱いが困難であるという欠点もあった。さらには、基板を比較的高温に加熱する必要があるため、例えばプラスチック基板等への成膜が困難であるなどの欠点もあった。製造される酸化マグネシウム薄膜に関しては、真空下での電子ビーム蒸着法で製造されるものと比較して、放電開始電圧が高く、膜が均一でない、といった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−54281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記現状に鑑み、真空下での成膜プロセスを必要とせず、しかも、電子ビーム蒸着法で製造された薄膜と比較して同等の物性を示し得る酸化マグネシウム薄膜を提供することを課題とする。
【0008】
また本発明は、真空下での実施を必要とせず、酸化マグネシウム原料を幅広く選択でき、基板の加熱を比較的低温で行うこともでき、電子ビーム蒸着法で製造された薄膜と比較して同等の物性を示し得る酸化マグネシウム薄膜を与えることが可能な、酸化マグネシウム薄膜の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々検討を重ねた結果、成長速度を所定の範囲に調製しつつミストCVD法により酸化マグネシウム薄膜を形成することで、当該酸化マグネシウム薄膜が特異な形状の微粒子で形成されること、及び、この酸化マグネシウム薄膜は安定した放電特性を示し、電子ビーム蒸着法で製造された薄膜と同等の放電開始電圧を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、上方から撮影した電子顕微鏡写真において、三角形状の微粒子が表面に形成されている、酸化マグネシウム薄膜である。
【0011】
また本発明は、酸化マグネシウム原料溶液を霧化させ、発生したミスト状の酸化マグネシウム原料を基板上で熱分解させることで、10nm/min〜25nm/minの成長速度で前記基板上に前記酸化マグネシウム薄膜を形成する、酸化マグネシウム薄膜の製造方法でもある。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、真空下での成膜プロセスに依拠することなく、電子ビーム蒸着法で製造された薄膜と比較して同等の物性を示し得る酸化マグネシウム薄膜を提供することができる。しかも、酸化マグネシウム原料を幅広く選択することが可能で、基板の加熱を比較的低温で行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の酸化マグネシウム薄膜を製造するために使用する大気開放型ミストCVD装置を示す概略図
図2】実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた酸化マグネシウム薄膜について測定した放電開始電圧を示すグラフ
図3】実施例1で得られた酸化マグネシウム薄膜の表面を撮影した走査型電子顕微鏡写真
図4】実施例1で得られた酸化マグネシウム薄膜の断面を撮影した走査型電子顕微鏡写真
図5】比較例1で得られた酸化マグネシウム薄膜の表面を撮影した走査型電子顕微鏡写真
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明の酸化マグネシウム薄膜は、基材上に形成された酸化マグネシウム薄膜である。その薄膜表面を上方から走査型電子顕微鏡により撮影すると、図3に示すように、三角形状の微粒子が多数表面に形成されている。三角形状の微粒子の大きさはよくそろっており、均一性が高い。各微粒子間には空隙が観察されるが、その空隙のサイズは、微粒子そのものよりも小さい。本発明の酸化マグネシウム薄膜において、微粒子の三角形の一辺の長さは30〜500nmであり、好ましくは50〜300nmである。
【0016】
本発明の酸化マグネシウム薄膜の断面を走査型電子顕微鏡により撮影すると、図4に示すように、微粒子が基材表面に多数析出することで酸化マグネシウム薄膜が形成されていることが観察される。
【0017】
特許文献1に記載された加熱による原料の気化を利用したCVD法を用いて製造された酸化マグネシウム薄膜では、当該文献の図3および段落[0024]に記載されているように、表面に多数の柱状結晶が形成されているが、本発明のような三角形状の微粒子は表面に形成されていない。
【0018】
このような特異な形状を有する微粒子が多数表面に形成された本発明の酸化マグネシウム薄膜は、安定した放電特性を示し、電子ビーム蒸着法で製造された薄膜と同等の放電開始電圧を達成することができる。
【0019】
本発明の酸化マグネシウム薄膜は高純度の酸化マグネシウムからなるものであるが、膜の放電特性を向上させるために、マグネシウム以外の2価、3価又は4価の金属を、マグネシウムに対して金属元素換算で10〜10000ppm程度含むものであってもよい。具体的な金属元素の種類としては、ベリリウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブテン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、セリウム、ネオジウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム及びジスプロシウム等が挙げられ、中でも、アルミニウム、及びカルシウムが好適である。好ましくは10〜1000ppmである。添加量がこの範囲であれば、結晶性や透明性がより高い酸化マグネシウム薄膜を得ることができる。
【0020】
本発明の酸化マグネシウム薄膜の平均膜厚は特に限定されないが、約200〜600nm程度である。
【0021】
本発明の酸化マグネシウム薄膜が表面に形成される基材としては特に限定されないが、例えば、金属、金属酸化物、ガラス、陶磁器、セラミックス、プラスチック、紙等を挙げることができる。また、本発明の酸化マグネシウム薄膜は基板の加熱がある程度低温であっても形成することができるので、プラスチックからなる基板を好適に使用することができる。
【0022】
次に、本発明の酸化マグネシウム薄膜を製造する方法について説明する。
【0023】
本発明の製造方法では、特許文献1に記載された加熱による原料の気化を利用したCVD法ではなく、原料溶液に超音波を印加することでミスト状の原料ガスを発生させる、いわゆるミストCVD法を採用する。ミストCVD法で実施するために使用する成膜装置の概略図を図1に示す。
【0024】
酸化マグネシウム原料溶液としては、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、蓚酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、りん酸マグネシウム等の、有機酸又は無機酸のマグネシウム塩を水及び/又は有機溶媒に溶解したものが挙げられる。その他、マグネシウムエトキシド、ビスアセチルアセトナトマグネシウム、ビスジピバロイルメタナトマグネシウム等の有機マグネシウム等を有機溶媒に溶解したものも使用できる。また、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム等を酸に溶解したものを使用することができる。これらの原料は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、酸化マグネシウム原料を溶かす有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、アセトン、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、テトラヒドロフラン、トルエン等の有機溶媒を使用することができる。
【0025】
具体的な手順としては、まず、酸化マグネシウム原料を溶媒に溶解させ、金属マグネシウム濃度が1〜20wt%の酸化マグネシウム原料溶液を調製する。酸化マグネシウム薄膜にマグネシウム以外の金属を微量含ませる場合には、この原料溶液に、マグネシウム以外の2価、3価又は4価の金属の化合物を、マグネシウムに対して金属元素換算で10〜10000ppm程度添加すればよい。金属化合物としては、前記金属元素の酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩等が挙げられ、中でも、酸化物が好適である。
【0026】
得られた酸化マグネシウム原料溶液を必要量、図1に示すようなCVD装置の原料気化器11に投入する。一方、成膜対象である基材1を、基材加熱台15の上に設置する。基材加熱台の下方にはホットプレート17を設置しており、ホットプレート17の温度を300〜700℃に設定して、基材1を加熱保持する。また、本発明ではホットプレート17の温度は比較低温(例えば300〜600℃)であってもよく、この場合、プラスチック基板を好適に使用できる。
【0027】
ガス源19はキャリアガスの発出源である。キャリアガスとしては、例えば空気、その流量は例えば10L/min程度であるが、以上に限定されない。ガス源19はガス導管21により基材1の上面まで接続されており、ガス導管21はさらに、ガス導管21と基材1との間で原料気化器11に接続されている。ガス源19の近傍のガス導管21には流量計25が設置され、ガス源19から流出するガスの流量を測定する。
【0028】
原料気化器11の下方には超音波振動子23を設置している。例えば周波数を2.4MHzとして超音波振動子23を作動させることで、原料気化器11内の原料溶液13が霧化し、ミスト状の原料ガスが発生する。発生したミスト状の原料ガスは、ガス導管21内でキャリアガスと混合され、キャリアガスと共に基材1の上面まで輸送される。なお、図1中の矢印は気体(キュリアガス及びミスト状の原料ガス)の移動方向を示す。
【0029】
加熱されている基材1の上面に接触した酸化マグネシウム原料ガスは、基板上で酸化マグネシウムに熱分解されることで、酸化マグネシウム薄膜が基板1上に形成される。本方法では、原料を霧化するので、原料を高温に加熱する必要がない。また、原料を気化させる方法ではないので、蒸気圧が比較的高い酸化マグネシウム原料を選択する必要がない。
【0030】
本発明の酸化マグネシウム薄膜を形成するためには、以上のようなミストCVD法においてその成長速度を調節することが極めて重要である。具体的には、成長速度を10nm/min〜25nm/minの範囲に調節する。成長速度とは、形成される薄膜の膜厚に関するものであり、成膜中の時間あたりの膜厚の増加量を示すものである。これにより、三角形状の微粒子が多数表面に形成された酸化マグネシウム薄膜を製造することができる。成長速度が上記範囲外にあると、三角形状ではなく、球状または立方体状の微粒子が表面に形成されることになる(例えば図5を参照)。このような微粒子が形成された酸化マグネシウム薄膜では、放電特性が安定せず放電時にちらつきが生じたり、放電開始電圧が高くなったりといった問題が生じる。
【0031】
ミストCVD法における成長速度は、原料気化器11に投入する原料溶液の投入量を変更することで調節することができる。原料溶液の投入量を多くすると、原料の霧化に必要なエネルギーが増大する結果、原料の霧化を抑制でき、成長速度が低減される。逆に原料溶液の投入量を少なくすると成長速度が増大する。
【0032】
以上のミストCVD法を実施することで、基板表面に三角形状の微粒子が多数形成された酸化マグネシウム薄膜を製造することができる。
【0033】
本発明の酸化マグネシウム薄膜は安定した放電特性を示し、放電開始電圧が低いため、プラズマディスプレイパネルにおける誘電体層用保護膜として好適に使用することができる。その他、液体吐出ヘッド・インクジェットヘッドの圧電体薄膜、キャパシタ材料等の高誘電体膜、蛍光ランプの蛍光層保護膜、薄膜EL素子の誘電体層、不揮発性メモリの電極間に形成される金属酸化物薄膜等に使用できる。
【実施例】
【0034】
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1)
酢酸マグネシウム四水和物17.5gを蒸留水332.5gに溶解させ、5wt%酢酸マグネシウム水溶液を作製した。これを、酸化マグネシウム原料溶液とする。
【0036】
図1に示すような大気開放型CVD装置の原料気化器に原料溶液を225g投入し、10mm角のステンレス(SUS304)基板を基材加熱台の上に設置した。
【0037】
基材加熱台の下方に設置しているホットプレートの温度を430℃に設定して、基板を加熱保持した。キャリアガスとして、10L/minの流量で空気を流した。
【0038】
原料気化器の下方に設置した超音波振動子を作動させて原料溶液を霧化させ、ミスト状の原料ガスをキャリアガスと共に基材加熱台まで輸送し、基板上で熱分解させることで、ミストCVD法による成膜を実施した。
【0039】
基板上に形成される薄膜の膜厚を膜厚測定装置でモニターしながら、膜厚が約300nmに達するまで成膜を継続した後、成膜を完了した。膜厚と成膜に要した時間から、成長速度を算出した。
【0040】
本実施例で得られた酸化マグネシウム薄膜の平均膜厚は310.6nm、成長速度は18.3nm/minであった。
【0041】
得られた酸化マグネシウム薄膜を電極ホルダーに装着し、放電評価装置にセットし、放電開始電圧を計測した。本評価装置は対向放電方式であり、電極間距離が5mmとなるように2枚の電極を配置し、6%Xe+94%Ne混合ガス雰囲気中で周波数20kHzの電力を印加し、真空チャンバー内の圧力を200〜1800Paとした時の放電開始電圧を測定した。結果を図2に示す。
【0042】
測定時の放電において、ちらつき、一部非点灯等の異常放電は生じなかった。
【0043】
また、走査型電子顕微鏡(SEM)によって酸化マグネシウム薄膜の表面及び断面を撮影した。得られた顕微鏡写真を図3および図4に示す。
【0044】
(実施例2)
原料気化器に投入する原料溶液の投入量を250gに変更した点以外は、実施例1と同様にミストCVD法による成膜を実施した。得られた酸化マグネシウム薄膜の平均膜厚は311.2nm、成長速度は12.0nm/minであった。
【0045】
実施例1と同様に放電開始電圧を計測した。結果を図2に示す。測定時の放電において、ちらつき、一部非点灯等の異常放電は生じなかった。
【0046】
実施例1と同様に、顕微鏡写真の撮影を行った。
【0047】
(実施例3)
原料気化器に投入する原料溶液の投入量を150gに変更した点以外は、実施例1と同様にミストCVD法による成膜を実施した。得られた酸化マグネシウム薄膜の平均膜厚は309.8nm、成長速度は22.9nm/minであった。
【0048】
実施例1と同様に放電開始電圧を計測した。結果を図2に示す。測定時の放電において、ちらつき、一部非点灯等の異常放電は生じなかった。
【0049】
実施例1と同様に、顕微鏡写真の撮影を行った。
【0050】
(比較例1)
原料気化器に投入する原料溶液の投入量を300gに変更した点以外は、実施例1と同様にミストCVD法による成膜を実施した。得られた酸化マグネシウム薄膜の平均膜厚は310.8nm、成長速度は5.2nm/minであった。
【0051】
実施例1と同様に放電開始電圧を計測した。結果を図2に示す。測定時の放電において、ちらつき、一部非点灯等の異常放電が生じる不具合があった。
【0052】
実施例1と同様に、顕微鏡写真の撮影を行った。上面を撮影して得られた顕微鏡写真を図5に示す。
【0053】
(比較例2)
原料気化器に投入する原料投入量を100gに変更した点以外は、実施例1と同様にミストCVD法による成膜を実施した。得られた酸化マグネシウム薄膜の平均膜厚は314.8nm、成長速度は26.4nm/minであった。
【0054】
実施例1と同様に放電開始電圧を計測した。結果を図2に示す。測定時の放電において、ちらつき、一部非点灯等の異常放電が生じる不具合があった。
【0055】
実施例1と同様に、顕微鏡写真の撮影を行った。
【0056】
(比較例3)
電子ビーム蒸着法(EB法)によって、基板加熱温度250℃として、ステンレス基板上に酸化マグネシウム薄膜を形成した。得られた酸化マグネシウム薄膜の平均膜厚は354.2nm、成長速度は20.8nm/minであった。
【0057】
これを電極に用い、実施例1と同様に放電開始電圧を計測した。結果を図2に示す。測定時の放電において、ちらつき、一部非点灯等の異常放電は生じなかった。
【0058】
実施例1と同様に、顕微鏡写真の撮影を行った。
【0059】
(比較例4)
特許文献1の実施例の記載に従って、大気開放下での化学気相析出法(CVD法)によって、原料にMg(C・2HOを用いて、250℃で気化させた後、基材加熱台の下方に設置しているホットプレートの温度を650℃に設定し、成膜を実施した。得られた酸化マグネシウム薄膜の平均膜厚は302.1nm、成長速度は11.4nm/minであった。
【0060】
実施例1と同様に放電開始電圧を計測した。結果を図2に示す。測定時の放電において、ちらつき、一部非点灯等の異常放電が生じる不具合があった。
【0061】
実施例1と同様に、顕微鏡写真の撮影を行った。
【0062】
以上の結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
表1より、ミストCVD法で成長速度を10nm/min〜25nm/minの範囲とした実施例1〜3では、上面から観察した時に表面に三角形状の微粒子が形成された酸化マグネシウム薄膜が形成され、この薄膜は、EB蒸着により形成された酸化マグネシウム薄膜(比較例3)と同等の、安定した放電特性を示すことが分かる。比較例1及び2では、ミストCVD法を用いているものの成長速度が上記範囲内にないため、酸化マグネシウム薄膜表面に三角形状の微粒子が形成されておらず、また、放電特性が安定していない。従来の加熱によるCVD法を用いた比較例4では、上面から観察した時に表面に柱状の微粒子が形成された酸化マグネシウム薄膜が形成され、放電特性が安定していない。
【0065】
さらに、図2より、実施例1〜3で形成された酸化マグネシウム薄膜は、EB蒸着により形成された酸化マグネシウム薄膜(比較例3)と同等の放電開始電圧を示すことが分かる。比較例2および比較例4では、実施例1〜3及び比較例3と比較すると放電開始電圧が高くなっている。
【符号の説明】
【0066】
1 基材
11 原料気化器
13 原料溶液
15 基材加熱台
17 ホットプレート
19 ガス源
21 ガス導管
23 超音波振動子
25 流量計
図1
図2
図3
図4
図5