(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外壁部材の一部に、前記外壁部材とは別の部材の複数が係合可能とされ、前記別の部材の内、少なくとも内側に位置する別の部材と前記外壁部材の一部によって前記流路が形成される請求項1に記載の水処理装置。
前記外壁部材の一部に、当該外壁部材の背面側に突出しないように係合凹部が形成され、前記外壁部材とは別の部材に前記係合凹部に係合可能な係合部が形成されている請求項1に記載の水処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の水処理装置に係る実施形態として、浄化槽に備えられる担体濾過槽及び消毒槽を図面に基づいて説明する。
〔実施形態〕
(浄化槽の全体構成)
図1及び
図2に示すように、浄化槽1は、その外槽本体2の中に、外槽本体2の上流側壁3に設けられた原水の流入口5から、外槽本体2の下流側壁4に設けられた放流口6にかけて、被処理水中の固形分を分離する沈殿分離槽7と、嫌気性微生物による嫌気的処理を行う嫌気濾床槽8と、複数の担体を曝気により被処理水中で流動させつつ好気性微生物による好気的処理を行う担体流動槽10と、担体流動槽10で処理された被処理水を担体で濾過する移動床式の担体濾過槽20と、担体濾過槽20で濾過された被処理水を一時貯留する処理水槽80と、処理水槽80に貯留された被処理水を消毒して放流口6から外部に放流する消毒槽90とを備える。
【0020】
流入口5から流入した被処理水は、沈殿分離槽7で固形分が沈殿分離され、第1バッフルプレートB1に案内されて第1横隔壁W1に沿って上昇し、第1横隔壁W1に設けてある第1移流口A1からオーバーフローにより嫌気濾床槽8に流入する。尚、嫌気濾床槽8は、嫌気性微生物を保持する嫌気濾床9を備える。
【0021】
第1移流口A1から嫌気濾床槽8に流入した被処理水は、第2バッフルプレートB2に案内されて第1横隔壁W1に沿って下降し、嫌気濾床9を上向きに通過して嫌気的処理されると共に浮遊物質が捕捉され、固形物がほとんど分解された被処理水が第3バッフルプレートB3に案内されて、第2横隔壁W2に設けた第2移流口A2からオーバーフローにより担体流動槽10に流入する。
【0022】
担体流動槽10には、曝気用の散気部11が底部に設けられている。好気性微生物を担持した多数の流動担体12が、散気部11からの曝気によって、被処理水と共に流動できるように収容されている。
【0023】
図3(a),(b)に示すように、担体流動槽10に流入した被処理水は、散気部11からの曝気により酸素の供給を受けながら流動担体12と共に流動して好気的処理をされた後、汚泥等の浮遊物質と共に、担体濾過槽20の側壁部材22に設けた第3移流口A3からオーバーフローにより担体濾過槽20内に流入する。
【0024】
第3移流口A3から担体濾過槽20に流入した被処理水は、複数の濾過担体21によって形成された濾過層によって濾過処理をされた後、担体濾過槽20のカバー部材60の下側に設けた第4移流口A4から処理水槽80に流入して一時貯留される。
【0025】
処理水槽80に貯留された被処理水は、消毒槽90の上部に設けられている流入路109から消毒槽90内に流入する。流入路109は、消毒槽90の第1部材91と第2部材93とを組み合わせることによって消毒槽90の左端に形成される上下方向に沿う流路であって、その上端及び下端のそれぞれが開口してある。また、流入路109の途中の内壁(第2部材93の第1仕切壁94)には、消毒槽90の第1貯留部106(
図17参照)に通じる第5移流口A5が設けてある。
【0026】
図17に示すように、処理水槽80に貯留された被処理水は、消毒槽90の流入路109の下端の開口から流入路109内に流入して、次いでオーバーフローにより第5移流口A5から消毒槽90の第1貯留部106に流入する。
【0027】
第1貯留部106には、放流エアリフトポンプP2が設けられている。第1貯留部106に流入した被処理水は、放流エアリフトポンプP2により汲み上げられて、管形成部材101の上部側面に開口してある吐出口D2から薬剤筒受台102上に吐出される。
【0028】
薬剤筒受台102上に吐出された被処理水は、薬剤筒105内の薬剤と接触して消毒された後、薬剤筒受台102の右端から、薬剤筒受台102の下側に形成されている第2貯留部108に流下して一旦貯留される。
【0029】
図18に示すように、第2貯留部108に貯留された被処理水は、外槽本体2の下流側壁4に設けた放流口6を介してオーバーフローによって外部に放流される。
【0030】
(担体濾過槽)
図5に示すように、担体濾過槽20は、側壁部材22と、ホッパー部材40と、スロート部材50と、カバー部材60とを備えて構成されている。
【0031】
〔側壁部材〕
図6に示すように、側壁部材22は、第1側壁部分23と、ヒンジ部分29と、第2側壁部分30とを備える。そして、平面視において第1側壁部分23と第2側壁部分30とが略直角に交差するように、ヒンジ部分29において折り曲げられて形成される。
【0032】
図5に示すように、第1側壁部分23には、上部に第3移流口A3が形成され、下部に第6移流口A6が形成されており、下端に空気吹き出し部72(
図10参照)が設けられている。尚、
図3に示すように、第3移流口A3と第6移流口A6は、担体流動槽10の被処理水が第3移流口A3から担体濾過槽20に流入すると共に、担体濾過槽20の被処理水が第6移流口A6から担体流動槽10に流入するように、被処理水が、担体流動槽10と担体濾過槽20との間で循環できるように構成されている。また、第3移流口A3及び第6移流口A6は、担体流動槽10の流動担体12が担体濾過槽20に流入したり、あるいは担体濾過槽20の濾過担体21が担体流動槽10に流出しないように複数のスリット孔で形成されている。
【0033】
図5に示すように、第1側壁部分23における、第2側壁部分30と交差して隅部を形成する部分には、円弧状の横断面を有する第1水路壁部24が上下方向に沿って直線状に設けられている。
【0034】
第1側壁部分23の内面側の下部には、下側ほど第1水路壁部24から離れるように第1水路壁部24の下部から斜めに分岐する第1分岐部26が設けられている。また、第1水路壁部24の側端部には、後述するホッパー部材40とスロート部材50とを取り付けるための係合凹部25が上下方向に亘って形成されており、第1分岐部26の側端部にもまた後述するホッパー部材40を取り付けるための係合凹部27が形成されている。
【0035】
第2側壁部分30における、第1側壁部分23と交差して隅部を形成する部分には、円弧状の横断面を有する第2水路壁部31が上下方向に沿って直線状に設けられている。また、第2側壁部分30の内面下部には、下側ほど第2水路壁部31から離れるように第2水路壁部31の下部から斜めに分岐する第2分岐部33が設けられている。
【0036】
第2水路壁部31の側端部には、後述するホッパー部材40とスロート部材50とを取り付けるための係合凹部32が上下方向に亘って形成されており、第2分岐部33の側端部にもまた後述するホッパー部材40を取り付けるための係合凹部34が上下方向に亘って形成されている。
【0037】
また、第1側壁部分23、及び第2側壁部分30のそれぞれの側端部には、後述するカバー部材60を取り付けるための係合部28及び係合部35が上下方向に亘って形成されている。
【0038】
また、
図9に示すように、係合凹部25は第1側壁部分23に対して垂直方向に形成されており、係合凹部32は第2側壁部分30に対して垂直方向に形成されている。そして、係合部28は第1側壁部分23に対する角度が鈍角となる方向に形成されており、係合部35は第2側壁部分30に対する角度が鈍角となる方向に形成されている。
【0039】
〔ホッパー部材〕
図5に示すように、ホッパー部材40は、円弧状の横断面を有する直線状の第3水路壁部41と、第3水路壁部41の下端に連設されるスカート部43とを備える。
【0040】
スカート部43の外面には、下端側ほど末広がりとなる2つの扁平な傾斜面が角錐状に形成されている。
【0041】
第3水路壁部41の右及び左の側端部には、係合部42が上下方向に亘って形成されている。右及び左の係合部42のそれぞれは、第1水路壁部24の係合凹部25、及び第2水路壁部31の係合凹部32に係合可能に構成されている。また、スカート部43の右及び左の側端部には、係合部45が上下方向に亘って形成されている。右及び左の係合部45のそれぞれは、第1分岐部26の係合凹部27及び第2分岐部33の係合凹部34に係合可能に構成されている。そして、第3水路壁部41の右及び左の係合部42のそれぞれの下端にスカート部43の右及び左の係合部45が連設される。
【0042】
〔スロート部材〕
スロート部材50は、円弧状の横断面を有する直線状の第4水路壁部51と、第4水路壁部51の下端に連設される逆スカート部52とを備える。第4水路壁部51の右及び左の側端部には、係合部55が上下方向に亘って形成されている。右及び左の係合部55のそれぞれは、第1水路壁部24の係合凹部25及び第2水路壁部31の係合凹部32のそれぞれに係合可能に構成されている。
【0043】
図10及び
図11に示すように、逆スカート部52の底面には、上端側ほど末広がりとなる2つの扁平な傾斜面53が角錐状に形成されている。そして、逆スカート部52の上面側には、複数のリブ54が立設されており、これらのリブ54の端部が、外側に少しはみ出した状態で設けられている。
【0044】
〔カバー部材〕
図5に示すように、カバー部材60は、略L字状の横断面を有する胴体部61を備え、胴体部61の底壁70(
図11参照)には、図示しないが、下端側ほど幅狭くなる2つの扁平な傾斜面が角錐状に形成されている。
【0045】
胴体部61の第1胴側面62には、その下部に第4移流口A4が形成されており、またその側端部に、係合凹部63が上下方向に亘って形成されている。係合凹部63は、側壁部材22の第2側壁部分30の係合部35と係合可能に構成されている(
図9参照)。尚、第4移流口A4は、濾過担体21が流出しないように複数のスリット孔で形成されている。
【0046】
胴体部61の第2胴側面64の側端部には、係合凹部65が上下方向に亘って形成されている。係合凹部65は、側壁部材22の第1側壁部分23の係合部28と係合可能に構成されている(
図9参照)。
【0047】
第2胴側面64の側端部における上下方向の中間部位から第2胴側面64の底壁の側端部に亘るように仕切壁66が設けられている。仕切壁66の上端面が、消毒槽90の一部を載置可能な載置部67として構成されている。
【0048】
また、接続片69が、第2胴側面64の横外方に突出するように、第2胴側面64の係合凹部65の上端から仕切壁66の載置部67に亘って係合凹部65に連設されている(
図12参照)。接続片69は、後述する消毒槽90の第2部材93の被接続凹部100と係合可能に構成されている(
図19参照)。
【0049】
〔担体濾過槽の組付け〕
担体濾過槽20の組付けを行う場合、先ず、
図6に示すように、平面視において第1側壁部分23と第2側壁部分30とが略直角に交差するように、ヒンジ部分29において折り曲げることによって、側壁部材22を形成する。
【0050】
このとき、第1側壁部分23の第1水路壁部24の一側端と、第2側壁部分30の第2水路壁部31の一側端とが当接して、C字状の横断面を有する揚水管T1の一部が形成される。
【0051】
次いで、
図7に示すように、スロート部材50を側壁部材22の下方に配置し、スロート部材50の第4水路壁部51の右及び左の側端部のそれぞれの係合部55を、側壁部材22の第1水路壁部24の係合凹部25及び第2水路壁部31の係合凹部32に嵌め込みつつ、スロート部材50の逆スカート部52の下端が、第1水路壁部24及び第2水路壁部31のそれぞれの下端と同じ位置(面一)になるまで、スロート部材50を上方にスライド移動させて取り付ける。
【0052】
次いで、ホッパー部材40を、側壁部材22の第1水路壁部24及び第2水路壁部31の前に配置して、第3水路壁部41の右の係合部42を第1水路壁部24の係合凹部25に嵌め込み、且つスカート部43の右の係合部45を第1分岐部26の係合凹部27に嵌め込んだ後、第3水路壁部41の左の係合部42を第2水路壁部31の係合凹部32に嵌め込み、且つスカート部43の左の係合部45を第2分岐部33の係合凹部34に嵌め込んで取り付ける(
図9参照)。勿論、このホッパー部材40の取り付け作業については、第3水路壁部41の左の係合部42を第2水路壁部31の係合凹部32に嵌め込み、且つスカート部43の左の係合部45を第2分岐部33の係合凹部34に嵌め込んだ後、第3水路壁部41の右の係合部42を第1水路壁部24の係合凹部25に嵌め込み、且つスカート部43の右の係合部45を第1分岐部26の係合凹部27に嵌め込むようにしても良い。
【0053】
図20に示すように、第3水路壁部41の右の係合部42の揚水路R1側の側面と、この側面に対向する第1水路壁部24の係合凹部25の内面とは、係合した際に上下に亘って面と面が合わさるシール面48が形成され、揚水路R1内を流れる空気や被処理水が係合部42を通過して揚水路R1の外側へ漏れることを抑制している。
【0054】
また、シール面48と揚水路R1との間の第3水路壁部41の壁面を、上下方向に亘って揚水路R1の外側に引退させるように少し折り曲げた形状にして、第1水路壁24との間に空気抜き通路49を形成している。このため、第1水路壁24と第3水路壁部41との係合部分の隙間に進入した空気は、空気抜き通路49を通って上方へ抜けやすくなり、揚水路R1内を流れる空気が揚水路R1の外側に漏れることをさらに抑制することができる。この空気抜き通路49は、第1水路壁24を揚水路R1側に引退させて形成してあってもよいし、シール面48と揚水路R1との間の第1水路壁24または第3水路壁部41に上下方向に形成した凹部で形成してあってもよい。
【0055】
同様に、第3水路壁部41の左の係合部42の揚水路R1側の側面と、この側面に対向する第2水路壁部31の係合凹部32の内面との間にシール面48が形成され、第3水路壁部41の左の係合部42の内側壁面を揚水路R1の外側に少し引退させてあり、第1水路壁24との間に空気抜き通路49が形成されている。
【0056】
また、第3水路壁部41の右の係合部42の下端に連接されるスカート部43の右の係合部45と、第1分岐部26の係合凹部27との間にも、図示しないシール面および空気抜き通路が連設されている。そして、第3水路壁部41の左の係合部42の下端に連接されるスカート部43の左の係合部45と、第2分岐部33の係合凹部34との間にも、図示しないシール面および空気抜き通路が連設されている。
【0057】
また、スロート部材50の第4水路壁部51の右の側端部の係合部55と、第1水路壁部24の係合凹部25との間にも図示しないシール面と空気抜き通路が形成されている。そして、スロート部材50の第4水路壁部51の左の側端部の係合部55と、第2水路壁部31の係合凹部32との間にも図示しないシール面と空気抜き通路が形成されている。
【0058】
このとき、
図10及び
図11に示すように、スロート部材50の逆スカート部52は、ホッパー部材40のスカート部43の内側に配置される。また、スロート部材50の第4水路壁部51の上端と、ホッパー部材40の内面との間に、濾過担体21は通過できないが、空気や被処理水が通過できる隙間S1が形成される。さらに、スロート部材50における逆スカート部52の上面側に立設されている複数のリブ54の端部が、ホッパー部材40のスカート部43の下端部分の内面に当接し、これにより、スロート部材50の逆スカート部52の上端部分と、ホッパー部材40のスカート部43の下端部分の内面との間に、濾過担体21は通過できないが、空気や被処理水が通過できる隙間S2が形成される。
【0059】
次いで、
図8に示すように、カバー部材60の第1胴側面62の係合凹部63、及び第2胴側面64の係合凹部65のそれぞれに、側壁部材22の第2側壁部分30の係合部35、及び第1側壁部分23の係合部28が嵌め込まれるように、カバー部材60を、側壁部材22に対して平面視で斜めの方向から接近させて取り付ける。
【0060】
係合部28及び係合部35のそれぞれは、第1側壁部分23及び第2側壁部分30のそれぞれに対する角度が鈍角な方向に形成されているので、側壁部材22にホッパー部材40が取り付けられ、第1側壁部材23と第2側壁部材30の位置が固定された後であっても、カバー部材60の係合凹部63及び係合凹部65を斜め方向から挿入するだけで、カバー部材60を側壁部材22に容易に取り付けることが可能となる。
【0061】
最後に、
図12に示すように、第2横隔壁W2の担体流動槽10側の側面に上下方向に沿って設けた2つの縦リブ15の間に、担体濾過槽20の側壁部材22のヒンジ部分29を嵌め込むことによって、担体濾過槽20が、浄化槽1の外槽本体2の中に固定される。尚、担体濾過槽20の上端には開口部73が形成されており、複数の濾過担体21をこの開口部73から担体濾過槽20の中に入れて充填することができる。担体濾過槽20には、比重が水よりも大きい略球形の濾過担体21(
図2、
図3(a)参照)が多数充填される。
【0062】
2つの縦リブ15は、強度が弱いヒンジ部分29を保護するとともに、万が一ヒンジ部分29の一部が破損し、その破損部から揚水路R1の空気が漏れてきても、その空気を上方に導く空気抜き通路としても機能する。
【0063】
〔担体濾過槽のエアリフトポンプ〕
図1に示すように、担体濾過槽20のエアリフトポンプP1は、上下方向に延びる円筒状の揚水管T1と、揚水管T1に空気を供給する送気管F1とを備える。
【0064】
図7及び
図11に示すように、揚水管T1は、側壁部材22(外壁部材の一例)の第1水路壁部24及び第2水路壁部31、ホッパー部材40の第3水路壁部41、並びにスロート部材50の第4水路壁部51を備えて構成され、側壁部材22に対して、スロート部材50とホッパー部材40とを取り付けることによって、側壁部材22の隅部に形成される。
【0065】
図3及び
図11に示すように、揚水管T1の上端及び下端のそれぞれに吐出口D1及び流入口E1が開口され、内側に揚水路R1(流路)が形成されている。尚、吐出口D1は、担体濾過槽20における被処理水の液面よりも高い位置に設定される。
【0066】
図4及び
図10に示すように、空気吹き出し部72は、側壁部材22の第1側壁部分23の下端、即ち担体濾過槽20の底部付近に配置されている。図示しないが、空気吹き出し部72の担体流動槽10側の端部に送気管F1が接続されている。そして
図10及び
図11に示すように、空気吹き出し部72の他端部が揚水管T1の流入口E1の真下に開口している。
【0067】
図11に示すように、送気管F1(
図1参照)により供給された空気が空気吹き出し部72から噴出されると、空気が揚水管T1の流入口E1から揚水路R1内に入り込み、揚水路R1内の被処理水と混合する。これにより、揚水路R1の被処理水の比重が軽くなり、当該被処理水が水圧によって揚水路R1を上方に押し上げられて、吐出口D1(
図3(a)参照)より排出される。
【0068】
このエアリフトポンプP1の作用によって、担体濾過槽20の底部付近に集まってきた濾過担体21が、被処理水と共に揚水管T1の流入口E1に吸い込まれて揚水路R1を上方に移動し、吐出口D1から排出されるという動作が繰り返され、これにより、濾過担体21が洗浄される。
【0069】
また、本実施形態においては、ホッパー部材40におけるスカート部43の2つの扁平な傾斜面44によって、当該傾斜面44の下端に向かうほど、担体濾過槽20の内壁の水平断面積が狭くなる。そのため、槽内を沈降してくる濾過担体21は傾斜面44の上部で滞留し易く、滞留した複数の濾過担体21によって、被処理水を濾過する濾過層が形成される。
【0070】
さらに、本実施形態においては、空気吹き出し部72から供給された空気の中で、揚水管T1の流入口E1に入り込まなかった空気は、スロート部材50における逆スカート部52の底面の傾斜面53に沿って案内されて、スロート部材50の逆スカート部52の上端部分と、ホッパー部材40のスカート部43の下端部分の内面との間の隙間S2から、ホッパー部材40のスカート部43の中に流入する。そして、スカート部43の中に流入した空気は、スカート部43の傾斜面44の裏面に沿って案内されて、スロート部材50の第4水路壁部51の上端と、ホッパー部材40の内面との間の隙間S1を通って、揚水管T1の揚水路R1に合流するように構成されている。
【0071】
(消毒槽)
図4及び
図13に示すように、消毒槽90は、下流側壁4側に配置される第1部材91と、担体濾過槽20側に配置される第2部材93と、放流エアリフトポンプP2における揚水管T2の一部を構成する管形成部材101と、薬剤筒105(
図17参照)を設置するための薬剤筒受台102とを備えて構成される。
【0072】
〔第1部材〕
図13及び
図18に示すように、第1部材91は、略長方形状の背側壁91aと、該背側壁91aの下端から立設する下側壁91b、該底面の左右両端のそれぞれからに立設する右側壁91c及び左側壁91dとを備える。そして、これら下側壁91b、右側壁91c、及び左側壁91dから構成される開口の全周縁にフランジ部91fが形成されている。尚、図示しないが、本実施形態における浄化槽1の外槽本体2の下流側壁4には、外槽本体2の深さ方向に沿って内側に膨出すると共に外周面で内側に凹む複数の変形防止用のコルゲート部が並設されている。第1部材91の横断面形状は、これらのコルゲート部の形状に沿うように形成されている。
【0073】
図13及び
図16に示すように、第1部材91の左側壁91dにおけるフランジ部91fの上部分は、流入路109(
図17参照)を構成するため横外方に少し突出して設けられており、第1部材91の背側壁91aの内側面には、後述する第2仕切壁107を構成するための第1仕切リブ92が立設されている。また、第1部材91の背側壁91aには、ソケット74(
図18参照)を挿通させるための貫通孔91gが設けられている。ソケット74は、消毒槽90を下流側壁4に固定する際に使用される。
【0074】
〔第2部材〕
図13、
図14、
図16に示すように、第2部材93は、垂直面と傾斜面とを有する背側壁93aと、背側壁93aの右端に立設する右側壁93bと、背側壁93aの左側に設けられる左側壁93cとを備える。これらの背側壁93aの下端、右側壁93b、及び左側壁93cから構成される開口の全周縁にフランジ部93dが形成されている。
【0075】
図14に示すように、右側壁93bは、背側壁93aの垂直面に対して平面視で略直角に交差するように設けられている。
【0076】
また
図14に示すように、左側壁93cには、上下方向に沿う溝である貯留凹部96及び流路凹部97が形成されている。そして、
図13、
図14、
図16に示すように、貯留凹部96及び流路凹部97は第1仕切壁94によって区画されている。
図15に示すように、貯留凹部96は、消毒槽90における第1貯留部106を構成し、その下部には、横断面が円弧状の第1支持リブ96aが内側に突出するように設けられている。
【0077】
また
図13、
図14、
図16に示すように、第2部材93には、右側壁93b、背側壁93a、及び第2仕切リブ95によって大貯留凹部98が形成されている。大貯留凹部98は、消毒槽90の内側の第2貯留部108を構成する。第2仕切リブ95は、貯留凹部96と大貯留凹部98とを区画するものであり、後述する設置用リブ99の一部と一体となっている。また、この第2仕切リブ95は、消毒槽90を組み立てる際に上述の第1部材91の第1仕切リブ92と当接して第2仕切壁107を形成し、これにより第1貯留部106と第2貯留部108とを区画する。
【0078】
図13〜
図15に示すように、第2部材93の大貯留凹部98には、薬剤筒受台102を設置するための設置用リブ99が形成されている。この設置用リブ99は、背側壁93a及び左側壁93cの外周面でコの字状に内側に凹ませて大貯留凹部98の内側に膨出させるようにして形成されており、平面視でコの字状の設置面99aを有する。
【0079】
図14及び
図15に示すように、第2部材93の左側壁93cの外面における貯留凹部96と流路凹部97との間に形成される窪みには、担体濾過槽20のカバー部材60の端部に形成してある接続片69を嵌め込むための、被接続凹部100が形成されている。
【0080】
〔管形成部材〕
図13に示すように、管形成部材101は、U字状の横断面を有する縦長の部材である。管形成部材101の右側壁101aの上部に、吐出口D2となる切欠きが形成されている。さらに、
図14及び
図15に示すように、管形成部材101の下部における右側壁101a及び左側壁101bのそれぞれの内面に、対峙するように内側に突出する2つの第2支持リブ101cが設けられている。
【0081】
〔薬剤筒受台〕
図13及び
図16に示すように、薬剤筒受台102は、底壁102aと、該底壁102aの上端から立設する上側壁102bと、該底壁102aの下端から立設する下側壁102cと、該底壁102aの左端からに立設する左側壁102dとを備える。
【0082】
底壁102aの上面には、円弧状の横断面を有する2つの設置壁104が、対峙するように立設されている(
図19参照)。これらの2の設置壁104の間に、円筒状の薬剤筒105(
図17参照)の下部を嵌め込むことによって、薬剤筒受台102に薬剤筒105を固定することができる。
【0083】
左側壁102dには、管形成部材101の吐出口D2が配置される位置に対応する部分に切欠き部102fを形成しており、さらにU字状の横断面を有する外嵌部103を設けている。外嵌部103は、管形成部材101の上部に外嵌する。
【0084】
〔消毒槽の組付け〕
消毒槽90の組付けを行う場合、
図14及び
図15に示すように、先ず第2部材93の貯留凹部96に対して、管形成部材101を嵌め込んで固定する。このとき、管形成部材101の右側壁101aの外側面のうち吐出口D2よりも下側の部分が、第2仕切リブ95と一体となっている設置用リブ99の部分の外側面に密着した状態となる。さらに
図17に示すように、管形成部材101の下端と、貯留凹部96の底面との間に、被処理水が流入可能な隙間S3が形成される。
【0085】
次いで、
図16に示すように、薬剤筒受台102を、第2部材93の設置用リブ99の設置面99a(
図14参照)の上に載置しつつ、その外嵌部103を、管形成部材101の上部に外嵌させる。このとき、管形成部材101の吐出口D2が、薬剤筒受台102の切欠き部102fに対して開口した状態となる。
【0086】
そして、第1部材91のフランジ部91fと第2部材93のフランジ部93dとを突き合わせてシール材を介して接着することによって、内側に流入路109、第1貯留部106、及び第2貯留部108が形成されて、上部が開口する消毒槽90が組み立てられる。
【0087】
消毒槽90を外槽本体2の下流側壁4に固定する際は、
図18に示すように、消毒槽90の第1部材91を下流側壁4に配置して、第1部材91の貫通孔と、下流側壁4の貫通孔との位置を合わせ、ソケット74を消毒槽90の内側から、第1部材91の貫通孔91gと下流側壁4の貫通孔4aとに亘るように挿入して外槽本体2の外側に配置した雌ネジ部材82に螺入して締結する。これにより、消毒槽90の第1部材91の貫通孔91gの周縁部が、ソケット74のフランジ部及び下流側壁4の貫通孔4aの周縁部により挟持されて、第1部材91が外槽本体2の下流側壁4に固定される。尚、放流口6はソケット74の内側に形成されている貫通孔によって構成される。
【0088】
尚、本実施形態では、消毒槽90の第1部材91のフランジ部91fを含む外側面の略全体(流入路109を構成するフランジ部91fを除く)が、外槽本体2の下流側壁4に形成されている図示しないコルゲート部に沿って密着し得るように構成されている。
【0089】
また、
図19に示すように、本実施形態においては、担体濾過槽20と消毒槽90とが、担体濾過槽20のカバー部材60の端部に形成してある接続片69を、消毒槽90の第2部材93に形成してある被接続凹部100に嵌め込みつつ、カバー部材60の接続片69の下端に連設してある載置部67に、消毒槽90の端部を設置することによって一体的に接合されている。そして、担体濾過槽20と消毒槽90とが隙間なく接合していることによって、担体流動槽10と処理水槽80とが区画されている。
【0090】
〔消毒槽の放流エアリフトポンプ〕
図17に示すように、消毒槽90の放流エアリフトポンプP2は、上下方向に延び、且つ楕円形の横断面を有する筒状の揚水管T2と、揚水管T2に空気を供給する送気管F2とを備える。
【0091】
図14及び
図15に示すように、揚水管T2は、第2部材93(外壁部材の一例)の貯留凹部96と、管形成部材101とを備えて構成され、第2部材93の貯留凹部96に対して、管形成部材101を嵌め込むことによって形成される。
【0092】
図17に示すように、揚水管T2の内側に揚水路R2(流路)が形成される。また、管形成部材101の吐出口D2が揚水管T2の吐出口D2となり、管形成部材101の下端が揚水管T2の流入口E2となる。
【0093】
送気管F2は、揚水管T2を構成する際に組み付けられる。即ち、送気管F2を第2部材93の貯留凹部96の中に配置した後、管形成部材101を嵌め込むことによって、送気管F2が揚水管T2の中に組み付けられる。このとき、
図15に示すように、送気管F2は、貯留凹部96の第1支持リブ96aと、管形成部材101の2つの第2支持リブ101cによって、挟持された状態で固定される。
【0094】
図17に示すように、送気管F2により供給された空気が揚水路R2内に噴出されると、空気が揚水路R2内の被処理水と混合する。これにより、揚水路R2の被処理水の比重が軽くなり、当該被処理水が水圧によって揚水路R2を上方に押し上げられて、吐出口D2より排出される。
【0095】
消毒槽90の第1貯留部106に流入した被処理水は、上記放流エアリフトポンプP2の作用によって、管形成部材101の下端と貯留凹部96の底面との間に形成された隙間S3を通って、揚水管T2の流入口E2から吸い込まれ、さらに揚水路R2を上方に移動し、揚水管T2の吐出口D2から薬剤筒受台102上に吐出される。
【0096】
〔その他の実施形態〕
1.上述の実施形態では、揚水管T1は、側壁部材22の第1水路壁部24及び第2水路壁部31、ホッパー部材40の第3水路壁部41、並びにスロート部材50の第4水路壁部51を備えて構成し、側壁部材22に対して、スロート部材50とホッパー部材40とを取り付けることによって、側壁部材22の隅部に形成されるが、この構成に限定されるものではなく、側壁部材22に対して1つの別の部材を取り付けることで形成されても良い。また、
図21に示すように、折り曲げ可能な側壁部材122に第1水路壁部124と第2水路壁部131を設け、側壁部材122を折り曲げた時に第1水路壁部124と第2水路壁部131とが当接することで揚水管T101が形成されるように構成しても良い。
【0097】
2.上述の実施形態では、本発明に係る水処理装置の例として、担体濾過槽20及び消毒槽90を挙げたが、これに限定されるものではなく、その他の水処理装置として、浄化槽や、浄化槽に備えられる嫌気槽や好気槽などの水処理槽を挙げることができる。例えば、
図22及び
図23に示すように、浄化槽1の仕切板110や外槽本体2において、上下方向に沿う2つの縦リブ111を一体成形しておき、それらの縦リブ111にU字状の横断面を有する縦長の部材112を取り付けることによって、エアリフトポンプP3の揚水管T3を形成するようにしても良い。このような浄化槽1におけるエアリフトポンプとしては、例えば、汚泥を上流側に配置される沈殿分離槽等に返送する汚泥返送用エアリフトポンプが挙げられる。
【0098】
3.上述の実施形態では、揚水管Tの揚水路R(流路)が、外壁部材の一部と、外壁部材とは別の部材とを組み合わせて形成されるが、この構成に限定されるものではなく、外壁部材が、分割可能な複数の部材を備えて構成されており、これらの複数の部材のうちの少なくとも2つの部材を組み合わせることによって、揚水管Tの揚水路Rが形成されるように構成しても良い。
【0099】
4.本発明に係る水処理装置のエアリフトポンプの揚水管Tの中には、上述の実施形態において
図15に示した第1支持リブ96a及び第2支持リブ101cに限らず、必要に応じて、例えば、
図24(a),(b)に示すように整流板113を設けるようにしたり、また
図25(a),(b)に示すように、フィルター機能を有するスリット構造114を設けるようにしたり、またあるいは
図26(a),(b)に示すように、複数の縦リブ115を設けて揚水管を多重管に構成するようにしても良い。