特許第5881522号(P5881522)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881522
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】ヒール・ガイド
(51)【国際特許分類】
   B21D 37/12 20060101AFI20160225BHJP
【FI】
   B21D37/12
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-106194(P2012-106194)
(22)【出願日】2012年5月7日
(65)【公開番号】特開2013-233555(P2013-233555A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2015年2月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】井本 耕一
【審査官】 石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭56−126927(JP,U)
【文献】 特開平02−104427(JP,A)
【文献】 特開2000−135521(JP,A)
【文献】 特開2010−120126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 37/12
B21D 5/01
B21D 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的な近接移動によりワークに対するプレス加工を行うパンチ及びダイ間において該パンチ及びダイの一方側に設けられ他方側の先端を摺動ガイドするヒール・ガイドであって、
前記パンチ及びダイの一方に対して前記近接移動に対する交差方向の少なくとも一側に位置する設置部と、
該設置部上に前記近接移動に沿った方向で設置固定される摺動ガイド用のガイド部とを備え、
前記設置部は、前記交差方向の外側に向けて前記パンチ及びダイの他方側に漸次突出するように傾斜した設置面を備え、
前記ガイド部は、前記設置面に沿って傾斜し該設置面に突き当てられる突当面を備えた、
ことを特徴とするヒール・ガイド。
【請求項2】
請求項1記載のヒール・ガイドであって、
前記設置部を、前記パンチ及びダイの一方に対して前記交差方向の両側に設け、
前記ガイド部を、前記各設置部上に設置固定した、
ことを特徴とするヒール・ガイド。
【請求項3】
請求項1記載のヒール・ガイドであって、
前記設置部を、前記パンチ及びダイの一方に対する前記交差方向の一側に設けて、前記ガイド部を、前記交差方向の一側で前記設置部上に設置固定し、
前記ガイド部は、前記パンチ及びダイの一方との間で前記パンチ及びダイの他方を摺動ガイドする、
ことを特徴とするヒール・ガイド。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のヒール・ガイドであって、
前記パンチ及びダイの他方の先端が、前記交差方向の両側から前記パンチ及びダイの一方側に突出し前記ガイド部に摺動ガイドされる板状のヒール部を備えた、
ことを特徴とするヒール・ガイド。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のヒール・ガイドであって、
前記パンチ及びダイの一方の先端に、前記パンチ及びダイの一方側に向けて突出する凸状の凸加工面を備え、
前記パンチ及びダイの他方の先端に、前記凸加工面との間に前記ワークを挟み込む凹状の凹加工面を備えた、
ことを特徴とするヒール・ガイド。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のヒール・ガイドであって、
前記設置面及び突当面の傾斜角は、前記交差方向に対して3度に設定された、
ことを特徴とするヒール・ガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス加工時に例えばパンチをダイに対して摺動ガイドするヒール・ガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
プレス加工機においては、上型及び下型にプレス加工を担うパンチ及びダイが支持され、上型及び下型間を金型ガイドでガイドしつつプレス加工を行うものがある(例えば特許文献1)。
【0003】
このプレス加工機では、金型ガイドのガイドによりプレス加工精度を向上することができる。
【0004】
これに対し、より高精度のプレス加工が要求される場合は、更にパンチをダイに対して摺動ガイドするヒール・ガイドを備えたものがある。
【0005】
図7は、ヒール・ガイドを備えたプレス加工機の要部断面図である。
【0006】
プレス加工機101は、パンチ103及びダイ105と、ヒール・ガイド107とを備えている。
【0007】
パンチ103は、先端に凹状のパンチ加工面109を有し、ダイ105は、先端に凸状のダイ加工面111を有している。パンチ加工面109及びダイ加工面111は、パンチ103の下降によりワークとしての板材Wを挟み込んで曲げ加工を行う。
【0008】
ヒール・ガイド107は、ダイ105に対する左右両側に設けられたガイド部113,115を備えている。ガイド部113,115は、ダイ105側の設置部117,119上に上下方向で載置固定されている。また、ガイド部113,115は、左右外側が下型121側に突き当てられて、両者間の位置ずれによる拡がりが抑制されている。
【0009】
かかるヒール・ガイド107は、下降するパンチ103先端のヒール部123,125をガイド部113,115間で摺動ガイドし、パンチ加工面109をダイ加工面111に位置決めるようになっている。
【0010】
また、曲げ加工時には、板材Wの挟み込みによってパンチ103のヒール部123,125が左右外側に撓もうとするが、これをヒール・ガイド107のガイド部113,115で抑制する。
【0011】
こうした位置決め及び撓み抑制を通じて、ヒール・ガイド107を備えたプレス加工機101では高精度の曲げ加工を行うことができる。
【0012】
ところで、例えば磁気ディスク装置のヘッド・サスペンションの材料のように、薄く固い微小な板材を高精度に曲げ加工するには、パンチ103及びダイ105の極めて高精度な位置決めが要求される。
【0013】
この場合、プレス加工機101では、ヒール・ガイド107のガイド部113,115間の寸法管理を高精度で行う必要がある。
【0014】
この寸法管理は、上記のようにガイド部113,115の左右外側を下型121側に突き当て、この状態でガイド部113,115間がパンチ103の寸法と一致するように調整すれば実現可能である。
【0015】
しかし、かかる構造では、ガイド部113,115の左右方向の内外両側、つまりガイド部113,115間の寸法及びガイド部113,115自体の寸法を正確に調整する必要があり、寸法管理に手間がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2010−120126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
解決しようとする問題点は、ガイド部間の高精度の寸法管理に手間がかかる点である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、ガイド部間の高精度の寸法管理を容易に行わせるために、相対的な近接移動によりワークに対するプレス加工を行うパンチ及びダイ間において該パンチ及びダイの一方側に設けられ他方側の先端を摺動ガイドするヒール・ガイドであって、前記パンチ及びダイの一方に対して前記近接移動に対する交差方向の少なくとも一側に位置する設置部と、該設置部上に前記近接移動に沿った方向で設置固定される摺動ガイド用のガイド部とを備え、前記設置部は、前記交差方向の外側に向けて前記パンチ及びダイの他方側に漸次突出するように傾斜した設置面を備え、前記ガイド部は、前記設置面に沿って傾斜し該設置面に突き当てられる突当面を備えたことを最も主な特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ガイド部の突当面を設置面に突き当てることで、ガイド部を前記交差方向外側で他部材に突き当てることなく位置ずれを抑制できる。結果として、ガイド部間の高精度の寸法管理を、前記交差方向内側での寸法調整のみで容易に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ヒール・ガイドを備えたプレス加工機の要部平面図である(実施例1)。
図2図1のプレス加工機のII―II線矢視に係る断面図である(実施例1)。
図3】ヒール・ガイドを備えたプレス加工機の断面図である(実施例2)。
図4図3のプレス加工機のパンチとワークとの関係を示す平面図である(実施例2)。
図5】ヒール・ガイドを備えたプレス加工機の正面図である(実施例3)。
図6図5のプレス加工機のVI−VI線矢視に係る断面図である(実施例3)。
図7】ヒール・ガイドを備えたプレス加工機の要部断面図である(従来例)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ガイド部間の高精度の寸法管理を容易に行わせるという目的を、ガイド部を設置する設置部の設置面及び該設置面に突き当てられるガイド部の突当面を傾斜させることで実現した。
【0022】
設置面及び突当面は、パンチ及びダイの一方側に設けられ、それらの傾斜は、パンチ及びダイの近接移動に対する交差方向の外側に向けてパンチ及びダイの他方側に漸次突出するように設定する。
【0023】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0024】
[プレス加工機の構成]
図1は、本発明の実施例1に係るヒール・ガイドを備えたプレス加工機の要部断面図、図2は、同II−II線矢視に係る断面図である。
【0025】
プレス加工機1は、図1及び図2のように、例えば磁気ディスク装置のヘッド・サスペンションの材料である金属箔のように、薄く固い微小な板材(ワーク)Wの曲げ加工(プレス加工)を行うものである。この本実施例のプレス加工機1は、加工を担うパンチ3及びダイ5と、ヒール・ガイド7とを備えている。
【0026】
パンチ3は、図示しない上型側に支持され、上型と共に上下方向に移動可能となっている。本実施例のパンチ3は、ダイ5側に向けて下降することで、ダイ5に対し上下方向で相対的に近接移動することになる。
【0027】
このパンチ3は、例えば矩形角柱状に形成され、左右方向(近接移動に対する交差方向)で分割形成された対称なパンチ部材9,11の合わせ構造となっている。
【0028】
パンチ3の下端(先端)には、凹部13が形成され、その内周面により凹状の凹加工面としてパンチ加工面15が形成されている。また、パンチ3の下端には、両側から一対のヒール部17,19が下方側に向けて突出している。
【0029】
ヒール部17,19は、相互に対向する板状であり、その下端(先端)には、左右角部21,23が曲面状に形成されている。パンチ3の下方側には、ダイ5が対向配置されている。なお、ヒール部17,19は、凹部13の左右両側に位置するパンチ3の下端からなり、下方側に向けて特別に延設したものでなくても良い。
【0030】
ダイ5は、パンチ3側に向けて上方に突出する凸部からなっている。本実施例のダイ5は、その平面形状がヘッド・サスペンションに応じて台形形状となっている。
【0031】
このダイ5は、その上端(先端)側がパンチ3の凹部13によりも若干小さい断面形状となっている。ダイ5の上端は、その外周面からなる凸状の凸加工面としてダイ加工面25を備えている。
【0032】
ダイ加工面25は、パンチ3の下降により、パンチ加工面15との間で板材Wを挟み込んで曲げ加工を行う。かかるパンチ3の下降が、ヒール・ガイド7によってガイドされる。
【0033】
本実施例のヒール・ガイド7は、パンチ3及びダイ5の一方側としてのダイ5側に設けられ、同他方側としてのパンチ3の先端を摺動ガイドするものである。このヒール・ガイド7は、一対の設置部27,29と、一対のガイド部31,33とからなっている。
【0034】
設置部27,29は、ダイ5に一体の板状であり、ダイ5に対して左右方向の両側に位置する。設置部27,29の左右外縁部は下型35側に支持され、ダイ5は設置部27,29を介して下型35側に支持される。
【0035】
設置部27,29の上面は、左右方向に対して傾斜した設置面37,39を構成している。設置面37,39の傾斜は、左右方向の外側に向けて漸次パンチ3側(パンチ3及びダイ5の他方側)である上方に突出するように設定されている。本実施例では、設置面37,39の傾斜角θが左右方向に対して3度程度となっている。これら設置面37,39上には、ガイド部31,33が上下方向で各別に載置固定されている。
【0036】
ガイド部31,33は、例えば矩形ブロックからなっている。ガイド部31,33の下面は、設置面37,39に応じて傾斜した突当面41,43となっている。
【0037】
ガイド部31,33は、その突当面41,43を設置面37,39に上下方向で突き当て、この状態で設置部27,29に対してボルト47,49により上下方向で締結固定されている。かかる突き当てにより、ガイド部31,33は左右方向外側への位置ずれによる拡がりが抑制されている。なお、ボルト47,49は、それぞれガイド部31,33の二点において締結を行い、ガイド部31,33の回り止めの機能も有する。ただし、ボルト47,49は、ガイド部31,33の一点において締結を行ってもよい。この場合でも、突当面41,43及び設置面37,39の傾斜によるガイド部31,33の回り止めを行うことができる。
【0038】
これらのガイド部31,33は、左右方向で対向するガイド面50,51を備えている。ガイド面50,51間は、その寸法がパンチ3の左右方向の寸法と略同一であり、パンチ3の下降を摺動ガイドする。ガイド部31,33の左右外側には、下型35との間に隙間Sが形成されている。
【0039】
かかるガイド部31,33の取り付け時には、予めパンチ3を下降させ、ガイド面50,51をパンチ3の左右外面53,55に当接させる。この状態で、ガイド部31,33をボルト47,49によって設置部27,29に対して締結固定する。このため、ガイド部31,33間は、その寸法がパンチ3の左右の幅と一致した状態に調整され、高精度の寸法管理を容易に行わせることができる。
【0040】
なお、ガイド部31,33は、その左右方向での固定位置が寸法調整に応じて僅かに変化することになるが、この変化量は、極めて微小でありボルト47,49のバックラッシュによって許容される。
[曲げ加工]
プレス加工機1では、予め板材Wをダイ5のダイ加工面25上に配置し、この状態でパンチ3をダイ5側に向けて下降させる。パンチ3の下降時は、図示しない金型ガイド等により、パンチ3がダイ5に対して左右方向で概ね位置決められている。
【0041】
パンチ3の下降が進むと、パンチ3がヒール・ガイド7に摺動ガイドされ、ダイ5に対して左右方向で正確に位置決められる。
【0042】
すなわち、パンチ3は、その下端のヒール部17,19が、下降に応じてヒール・ガイド7のガイド部31,33間に入れ込まれる。なお、ヒール部17,19の入れ込みは、曲面状の角部21,23によるガイドで円滑に行わせることができる。
【0043】
かかる入れ込みにより、パンチ3は、ヒール部17,19の左右外面53,55がガイド部31,33のガイド面50,51に摺動し、ダイ5に対して左右方向で正確に位置決められることになる。
【0044】
このとき、ヒール部17,19側からガイド部31,33に左右外側への力が入力されても、その力が突当面41,43を介して設置面37,39で受けられる。
【0045】
従って、ガイド部31,33は、左右方向外側への位置ずれによる拡がりが抑制されて、パンチ3のダイ5に対する位置決めを精度良く行わせることができる。
【0046】
この位置決め状態でパンチ3の下降が進むと、パンチ3のパンチ加工面15及びダイ5のダイ加工面25間で板材Wを挟み込んで曲げ加工を高精度で行うことができる。
【0047】
この曲げ加工時には、板材Wの挟み込みによってパンチ3のヒール部17,19が左右外側に撓もうとするが、これをヒール・ガイド7のガイド部31,33で抑制することができる。
【0048】
つまり、ガイド部31,33は、左右方向外側への位置ずれによる拡がりが抑制されているので、ヒール部17,19に反力を付与して撓みを確実に抑制できる。
【0049】
結果として、板材Wの高精度な曲げ加工を実現できる。
[実施例1の効果]
本実施例のヒール・ガイド7は、相対的な近接移動によりワークに対するプレス加工を行うパンチ3及びダイ5間において両者の一方側であるダイ5側に設けられ同他方であるパンチ3下端のヒール部17,19を摺動ガイドするヒール・ガイドであって、ダイ5に対して近接移動に対する交差方向(左右方向)の両側に位置する一対の設置部27,29と、設置部27,29上に近接移動に沿った方向(上下方向)で設置固定される摺動ガイド用のガイド部31,33とを備え、設置部27,29が、左右方向の外側に向けてパンチ3側に漸次突出するように傾斜した設置面37,39を備え、ガイド部31,33が、設置面37,39に沿って傾斜し該設置面37,39に突き当てられる突当面41,43を備えている。
【0050】
従って、ヒール・ガイド7は、ガイド部31,33に左右外側への力が入力されても、これを突当面41,43を介して設置面37,39で受けることができる。
【0051】
このため、本実施例では、ガイド部31,33を左右方向外側で下型35等の他部材に突き当てることなく位置ずれ(拡がり)を抑制できる。
【0052】
結果として、ガイド部31,33間の高精度の寸法管理を、ガイド部31,33自体の寸法調整を省略して、左右方向内側の寸法調整(ガイド部31,33間の寸法調整)のみで容易に行わせることができる。
【0053】
特に、本実施例の傾斜した設置面37,39及び突当面41,43は、ガイド部31,33の設置部27,29上での左右方向の固定位置に拘わらず位置ずれを抑制可能とする。
【0054】
このため、本実施例では、ガイド部31,33の固定位置を調整しながら、ガイド部31,33間の寸法調整及びそれによる高精度の寸法管理を極めて容易に行わせることができる。
【0055】
また、固定位置の調整は、予め下降させたパンチ3にガイド部31,33を突き当てることで可能となる。従って、本実施例では、作業性の向上を図ることができると共に、ガイド部31,33間の寸法をパンチ3に確実に一致させて寸法管理の精度を向上することもできる。
【0056】
また、本実施例においては、ダイ5の先端にパンチ3側に向けて突出する凸状のダイ加工面25を備え、パンチ3の先端にダイ加工面25との間に板材Wを挟み込む凹状のパンチ加工面15を備えている。
【0057】
このため、ダイ加工面25及びパンチ加工面15間での板材Wの挟み込みにより、パンチ3先端のヒール部17,19が左右外側に撓もうとするが、これをガイド部31,33によって確実に抑制することができる。結果として、高精度の曲げ加工を実現できる。
【0058】
また、本実施例では、突当面41,43及び設置面37,39の傾斜角が左右方向に対して3度に設定されている。
【0059】
このため、本実施例では、ガイド部31,33の左右方向外側への位置ずれを確実に抑制し、且つパンチ3のヒール部17,19の外側への撓みも確実に抑制することができる。
【実施例2】
【0060】
図3は、本発明の実施例2に係るヒール・ガイドを備えたプレス加工機の断面図、図4は、図3のプレス加工機のパンチとワークとの関係を示す平面図である。なお、本実施例では、基本構成が上記実施例1と共通するため、対応する部分に同符号又は同符号にAを付加した符号を用いて重複した説明を省略する。
【0061】
図3のように、本実施例では、パンチ3A及びダイ5Aの一方側としてのパンチ3A側にヒール・ガイド7Aを設けたものであり、基本的に実施例1のパンチ3とダイ5とを逆向きにした構成に対応する。
【0062】
本実施例のパンチ3Aは、下方に突出する凸部からなり、下端に凸加工面としてパンチ加工面15Aを備えている。このパンチ3Aの左右両側には、ヒール・ガイド7Aの一対の設置部27A,29Aが設けられている。
【0063】
設置部27A,29Aは、その下面が設置面37A,39Aを構成する板状であり、設置面37A,39Aの傾斜は、左右方向外側に向けて漸次ダイ5A側(パンチ3A及びダイ5Aの他方側)である下方に突出するように設定される。これら設置面37A,39Aに、ガイド部31A,33Aが上下方向で各別に設置固定されている。
【0064】
ガイド部31A,33Aは、その上面が設置面37A,39Aに応じて傾斜した突当面41A,43Aを構成するブロック状となっている。これらガイド部31A,33Aは、突当面41A,43Aを設置面37A,39Aに上下方向で突き当て、この状態で設置部27A,29Aに対してボルト47,49により締結固定されている。
【0065】
本実施例のガイド部31A,33Aは、図4のように、パンチ3Aの長手方向(前後方向)一部に対応する両側に位置し、ワークWとの干渉を避けるようになっている。
【0066】
一方、ダイ5Aは、その上端(先端)に凹部13A内周の凹加工面としてダイ加工面25Aが形成されている。また、ダイ5Aの上端には、両側から一対のヒール部17A,19Aが上方側に向けて突出している。
【0067】
ダイ5Aの左右両側には、ワークWを弾性支持する弾性支持部57が設けられている。弾性支持部57は、ダイ5Aのベース59上に付勢部材としてのスプリング60が設けられている。スプリング60上には、支持ブロック61が設けられている。支持ブロック61は、スプリング60の付勢力によって上方への突出位置で保持され、付勢力に抗して下降可能となっている。
【0068】
突出位置では、支持ブロック61の上面63がダイ5Aよりも上方に突出する。これにより、両弾性支持部57は、支持ブロック61の上面63間でワークWを架け渡して支持する。
【0069】
かかるプレス加工機1Aでは、予め板材Wをダイ5Aの弾性支持部57の支持ブロック61上に支持し、この状態でパンチ3Aをダイ5A側に向けて下降させる。
【0070】
パンチ3Aの下降が進むと、パンチ3A側のガイド部31A,33A間にダイ5A側のヒール部17A,19Aが入り込み、パンチ3Aをダイ5Aに対して正確に位置決めることができる。
【0071】
従って、本実施例においても、上記実施例1と同様、パンチ3Aのパンチ加工面15A及びダイ5Aのダイ加工面25A間で板材Wを挟み込んで曲げ加工を高精度で行うことができる。
【0072】
この曲げ加工時には、ワークWを予め支持する弾性支持部57の支持ブロック61が、パンチ3A側の壁部65,67に押圧されて下降退避する。このとき、パンチ3Aは、弾性支持部57側からの付勢力を受けるので、姿勢が安定してより高精度で曲げ加工を行わせることができる。
【0073】
その他、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【実施例3】
【0074】
図5は、本発明の実施例3に係るヒール・ガイドを備えたプレス加工機の正面図、図6は、図5のプレス加工機の断面図である。なお、本実施例では、基本構成が上記実施例1と共通するため、対応する部分に同符号又は同符号にBを付加した符号を用いて重複した説明を省略する。また、図6においては、図面上に現れない対称な構成を括弧書きで示している。
【0075】
本実施例のプレス加工機1Bは、図5及び図6のように、ヘッド・サスペンションの材料等の薄く固い微小なワークWのせん断加工(プレス加工)を行うものである。この本実施例のプレス加工機1Bでは、ガイド部31B,33Bをダイ5Bの前後方向(図5の紙面直交方向)の一側にのみ設け、ガイド部31B,33Bとダイ5Bとの間でパンチ3Bを摺動ガイドする。
【0076】
パンチ3Bは、板状に形成されており、下端の凹部13B内周にせん断用の凹加工面としてパンチ加工面15Bが形成されると共に下端両側から一対のヒール部17B,19Bが突出している。
【0077】
ダイ5Bは、設置部27Bに対して上方に突出するステップ状に形成され、その上面がせん断用の凸加工面としてダイ加工面25Bとなっている。ダイ加工面25Bは、前後方向でパンチ加工面15Bとの間にワークWを挟み込んでせん断加工するようになっている。
【0078】
設置部27Bは、ダイ5Bに沿って左右方向に延設され、上面が前後方向に対して傾斜した設置面37Bを構成している。設置面37Bの傾斜は、前後方向の外側に向けて漸次パンチ3B側(パンチ3B及びダイ5Bの他方側)である上方に突出するように設定される。
【0079】
これら設置面37B上には、ガイド部31B,33Bが左右方向で並設固定されている。ガイド部31B,33Bは、相互間に左右方向の隙間を有し且つダイ5Bとの間に前後方向の隙間を有して配置されている。ガイド部31B,33Bは、ダイ5Bとの隙間内でパンチ3Bを摺動ガイドするようになっている。
【0080】
これらのガイド部31B,33Bは、突当面41B,43Bを設置面37B,39Bに上下方向で突き当て、この状態で設置部27Bに対してボルト47,49により締結固定されている。
【0081】
かかるプレス加工機1Bでは、予め板材Wをダイ5Bのダイ加工面25B上に配置し、この状態でパンチ3Bをダイ5B側に向けて下降させる。
【0082】
パンチ3Bの下降が進むと、ダイ5B側のヒール・ガイド7Bのガイド部31B,33Bとダイ5Bとの間にパンチ3B側のヒール部17B,19Bが入り込み、パンチ3Bをダイ5Bに対して正確に位置決めることができる。
【0083】
この位置決め状態でパンチ3Bの下降が進むと、パンチ3Bのパンチ加工面15B及びダイ5Bのダイ加工面25B間で板材Wを高精度でせん断することができる。
【0084】
なお、ワークWのせん断時には、ガイド部31B,33Bの左右方向の隙間により、ワークWがガイド部31B,33Bに干渉することを抑制でき、作業を円滑に行わせることができる。
【0085】
このような本実施例においても、上記実施例1と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0086】
3 パンチ
5 ダイ
7 ヒール・ガイド
15 パンチ加工面
17,19 ヒール部
25 ダイ加工面
27,29 設置部
31,33 ガイド部
37,39 設置面
41,43 突当面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7