特許第5881535号(P5881535)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5881535-シート貼付装置及び貼付方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881535
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】シート貼付装置及び貼付方法
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/02 20060101AFI20160225BHJP
   B65C 9/18 20060101ALI20160225BHJP
   B65C 9/36 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   B65C9/02
   B65C9/18
   B65C9/36
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-119364(P2012-119364)
(22)【出願日】2012年5月25日
(65)【公開番号】特開2013-244988(P2013-244988A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102980
【氏名又は名称】リンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101188
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 義雄
(72)【発明者】
【氏名】杉下 芳昭
【審査官】 谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−106911(JP,A)
【文献】 特開昭52−037800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 9/02,9/18,9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1接着シートを第1繰出方向に繰り出し、当該第1接着シートを第1押圧位置で被着体の被着面に押圧して貼付する第1貼付手段と、
第2接着シートを第2繰出方向に繰り出し、当該第2接着シートを第2押圧位置で前記被着体の被着面に押圧して貼付する第2貼付手段と、
第1及び第2貼付手段と被着体とを相対移動させる移動手段とを備えたシート貼付装置であって、
前記移動手段は、往路方向及び当該往路の逆方向の復路方向に前記相対移動が可能に設けられ、
前記第1貼付手段は、前記移動手段が往路方向に前記相対移動を行うときに、前記第1接着シートを繰り出しながら、当該第1接着シートを、押圧手段42Rを介して前記被着面に押圧して貼付し
前記第2貼付手段は、前記移動手段が復路方向に前記相対移動を行うときに、前記第2接着シートを繰り出しながら、当該第2接着シートを、押圧手段42Lを介して前記第2被着面に押圧して貼付することを特徴とするシート貼付装置。
【請求項2】
前記第1及び第2貼付手段は、前記被着面に平行で前記相対移動方向に直交する直交方向からの側面視野において、前記第1繰出方向と第2繰出方向とが相互に接近する対向配置とされていることを特徴とする請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記被着体と前記第1貼付手段又は第2貼付手段とを前記直交方向に相対移動可能な幅方向調整手段を備えていることを特徴とする請求項1又は2記載のシート貼付装置。
【請求項4】
第1貼付手段と被着体とが往路方向に相対移動するときに、当該第1貼付手段で第1接着シートを第1繰出方向に繰り出しながら、当該第1接着シートを、押圧手段42Rを介して第1押圧位置で被着体の被着面に押圧して貼付する工程と、
第2貼付手段と被着体とが前記往路の逆方向である復路方向に相対移動するときに、当該第2貼付手段で第2接着シートを第2繰出方向に繰り出しながら、当該第2接着シートを、押圧手段42Lを介して第2押圧位置で前記被着体の被着面に押圧して貼付する工程とを行うことを特徴とするシート貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置及び貼付方法に係り、更に詳しくは、被着体に少なくとも2枚の接着シートを貼付することができるシート貼付装置及び貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被着体にラベル等の接着シートを貼付するシート貼付装置が広く利用されるに至っており、かかるシート貼付装置としては、例えば、特許文献1に開示されている。特許文献1のシート貼付装置は、被着体を搬送する搬送手段と、この搬送手段の搬送方向に並設されて接着シートを貼付可能な2体の貼付機とを備え、被着体を搬送手段の搬送方向上流側から下流側に搬送する途中で、搬送方向上流側の貼着機で被着体に1枚目の接着シートを貼付した後、被着体を更に下流側に搬送し、搬送方向下流側の貼着機で2枚目の接着シートを貼付するように構成されている。
【0003】
特許文献2のシート貼付装置は、第1接着シートを繰り出す第1繰出手段と、第2接着シートを繰り出す第2繰出手段と、繰り出された第1及び第2接着シートを吸着保持後、シリンダの作動によって被着体に押圧可能な押圧手段とを備えて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−153346号公報
【特許文献2】特開2009−67441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のシート貼付装置では、被着体を供給する供給位置が搬送方向上流側となるのに対し、接着シートを貼付した被着体の排出位置は搬送方向下流側となる。このような構成では、被着体を供給位置に供給する供給装置及び、被着体を排出位置から排出する排出装置を別々に設けなければならず、これら供給装置や排出装置といった周辺機器を含めた設備が大型化したり構造が複雑化したりする、という不都合がある。ここで、多関節ロボット等の移載装置を用いることで、供給装置と排出装置とを単一のものとして被着体の供給及び搬送の両方を行えるが、この場合、移載装置自体が被着体を給排出する移動距離が長くなり、移載装置に大きなものを採用しなければならず、周辺機器を含めた設備の大型化は避けられない。
【0006】
また、引用文献2のシート貼付装置は、第1及び第2接着シートをそれぞれ貼付するため、押圧手段でシリンダを作動し、第1接着シートを被着体に押圧する動作と、第2接着シートを吸着保持する位置に戻る動作と、第2接着シートを被着体に押圧する動作との3つの動作が不可欠となる。このため、同文献のシート貼付装置では、単位時間当たりに接着シートを貼付する貼付能力が低くなる、という不都合を生じる。
【0007】
[発明の目的]
本発明の目的は、周辺機器を含めた設備が大型化、複雑化することを防止でき、且つ、単位時間当たりに複数枚の接着シートを貼付する貼付能力を向上させることができるシート貼付装置及び貼付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、第1接着シートを第1繰出方向に繰り出し、当該第1接着シートを第1押圧位置で被着体の被着面に押圧して貼付する第1貼付手段と、
第2接着シートを第2繰出方向に繰り出し、当該第2接着シートを第2押圧位置で前記被着体の被着面に押圧して貼付する第2貼付手段と、
第1及び第2貼付手段と被着体とを相対移動させる移動手段とを備えたシート貼付装置であって、
前記移動手段は、往路方向及び当該往路の逆方向の復路方向に前記相対移動が可能に設けられ、
前記第1貼付手段は、前記移動手段が往路方向に前記相対移動を行うときに、前記第1接着シートを繰り出しながら、当該第1接着シートを、押圧手段42Rを介して前記被着面に押圧して貼付し
前記第2貼付手段は、前記移動手段が復路方向に前記相対移動を行うときに、前記第2接着シートを繰り出しながら、当該第2接着シートを、押圧手段42Lを介して前記第2被着面に押圧して貼付する、という構成を採っている。
【0009】
本発明において、前記第1及び第2貼付手段は、前記被着面に平行で前記相対移動方向に直交する直交方向からの側面視野において、前記第1繰出方向と第2繰出方向とが相互に接近する対向配置とされる、という構成を採ってもよい。
【0010】
更に、前記被着体と前記第1貼付手段又は第2貼付手段とを前記直交方向に相対移動可能な幅方向調整手段を備える、という構成も好ましくは採用される。
【0011】
また、本発明の貼付方法は、第1貼付手段と被着体とが往路方向に相対移動するときに、当該第1貼付手段で第1接着シートを第1繰出方向に繰り出しながら、当該第1接着シートを、押圧手段42Rを介して第1押圧位置で被着体の被着面に押圧して貼付する工程と、
第2貼付手段と被着体とが前記往路の逆方向である復路方向に相対移動するときに、当該第2貼付手段で第2接着シートを第2繰出方向に繰り出しながら、当該第2接着シートを、押圧手段42Lを介して第2押圧位置で前記被着体の被着面に押圧して貼付する工程とを行う、という方法を採っている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被着体を往路方向に相対移動させて第1接着シートを貼付した後、復路方向に相対移動させて第2接着シートを貼付することで、被着体の供給位置と各接着シートが貼付された被着体の排出位置とを同じ位置にすることができる。これにより、被着体の供給と排出とを同じ移載装置で行うことができ、供給と排出とで異なる移載装置を用いる場合に比べ、周辺機器を含めた設備が大型化、複雑化することを防止することができる。また、被着体の供給位置と排出位置とが異なり、且つ、移載装置を単一のものとした場合に比べて当該移載装置の移動距離を短くでき、これによっても設備が大型化、複雑化することを防止することができる。更に、移動手段による往路での相対移動動作と、復路での相対移動動作との2つの動作で第1及び第2接着シートをそれぞれ貼付でき、単位時間当たりに複数枚の接着シートを貼付する貼付能力を向上させることが可能となる。
【0013】
また、側面視野において、第1及び第2貼付手段が第1繰出方向と第2繰出方向とが相互に接近する対向配置とされることで、第1及び第2押圧位置を近付けることができ、第1及び第2接着シートそれぞれを被着体に貼付するための相対移動距離を短縮し、単位時間当たりに接着シートを貼付する貼付能力をより向上させることが可能となる。
【0014】
更に、幅方向調整手段を有する場合、被着面に接着シートを貼付する位置のバリエーションを増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態に係るシート貼付装置の概略正面図。
図2】(A)〜(D)は、第1及び第2接着シートを貼付した被着体の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
なお、本明細書におけるX軸、Y軸、Z軸は、それぞれが直交する関係にあり、X軸及びY軸は、水平面内の軸とし、Z軸は、水平面に直交する軸とする。さらに、本実施形態で方向を示した場合、「上」がZ軸の矢印方向で「下」がその逆方向、「左」がX軸の矢印方向で「右」がその逆方向、「前」がY軸の矢印方向で「後」がその逆方向とする。
【0017】
図1において、シート貼付装置10は、第1接着シートAS1を第1繰出方向FD1に繰り出し、当該第1接着シートAS1を第1押圧位置PP1で被着体WKの被着面WK1に押圧して貼付する第1貼付手段SM1と、第2接着シートAS2を第2繰出方向FD2に繰り出し、当該第2接着シートAS2を第2押圧位置PP2で被着体WKの被着面WK1に押圧して貼付する第2貼付手段SM2と、第1及び第2貼付手段SM1、SM2と被着体WKとをX軸方向に相対移動させる移動手段11と、被着体WKと第1貼付手段SM1又は第2貼付手段SM2とを被着面WK1に直交する方向(Z軸方向)に相対移動可能な高さ方向調整手段16と、被着体WKと第1貼付手段SM1又は第2貼付手段SM2とを被着面WK1に平行で相対移動方向に直交する直交方向(Y軸方向)に相対移動可能な幅方向調整手段17と、第1貼付手段SM1支持された入力手段27とを備えて構成されている。
【0018】
前記第1貼付手段SM1は、第1剥離シートRL1に第1接着シートAS1が仮着された第1原反RS1を支持する支持軸34Rと、第1剥離シートRL1を折り返して第1接着シートAS1を第1剥離シートRL1から剥離する剥離手段としての剥離板35Rと、ブラケット41Rを介して剥離板35Rに支持され、剥離板35Rで剥離された第1接着シートAS1を被着体WKの被着面WK1に押圧して貼付する押圧手段としての押圧ローラ42Rと、第1接着シートAS1が剥離された第1剥離シートRL1が掛け回されるとともに、駆動機器としての回動モータDM2Rによって回転駆動される駆動ローラ37Rと、駆動ローラ37Rとの間に第1剥離シートRL1を挟み込むピンチローラ38Rと、第1剥離シートRL1を図示しない駆動機器によって所定のトルクで巻き取る巻取軸39Rとを備えて構成され、フレームFrRに支持されている。なお、押圧ローラ42Rの最も下方の位置が第1押圧位置PP1となる。
【0019】
前記第2貼付手段SM2は、支持軸34Lが第2剥離シートRL2に第2接着シートAS2が仮着された第2原反RS2を支持する点で第1貼付手段SM1と相違するが、構成的には第1貼付手段SM1と同等であり、Y−Z平面と平行な平面に対して当該第1貼付手段SM1と面対称に配置されている。これにより、第1及び第2貼付手段SM1、SM2は、直交方向からの側面視野(Y軸方向からの視野)において、第1繰出方向FD1と第2繰出方向FD2とが相互に接近する対向配置とされている。よって、第1貼付手段SM1の付番の末尾のRをLとして読み替えることで理解可能なので詳細な説明は省略する。なお、押圧ローラ42Lの最も下方の位置が第2押圧位置PP2となる。
【0020】
前記移動手段11は、駆動機器としての回動モータDM1を介して回転可能な駆動ローラ30と、駆動ローラ30の左側に配置された従動ローラ31と、駆動ローラ30及び従動ローラ31に掛け回された閉ループ状のベルト32とを備え、駆動ローラ30の回転方向を切り換えることでベルト32上の被着体WKを左右方向に往復移動可能となっている。本実施形態では、図1中実線で示される被着体WKの位置が当該被着体WKの供給及び排出位置としての移載位置となっている。なお、ベルト32上の被着体WKを左方向へ移動させる経路を往路、同じく被着体WKを右方向へ移動させる経路を復路とする。
【0021】
前記高さ方向調整手段16は、駆動機器としての直動モータ44R、44Lからなり、それぞれのスライダ45R、45LにフレームFrR、FrLが支持され、第1及び第2貼付手段SM1、SM2を上下方向に相対移動可能に設けられている。
【0022】
前記幅方向調整手段17は、駆動機器としての直動モータ46R、46Lからなり、それぞれのスライダ47R、47Lに各直動モータ44R、44Lが支持され、第1及び第2貼付手段SM1、SM2を前後方向に相対移動可能に設けられている。
【0023】
前記入力手段27は、光センサや撮像手段等の検知手段により構成され、移動手段11上に載置された被着体WKにおける被着面WK1のZ軸方向の位置、被着体WKのX軸方向の位置及び被着体WKのY軸方向の位置を検知可能に設けられている。
【0024】
次に、実施形態に係る第1及び第2接着シートAS1、AS2の貼付方法について説明する。
【0025】
先ず、第1及び第2貼付手段SM1、SM2それぞれに、図1に示されるように第1及び第2原反RS1、RS2をセットする。次に、被着面WK1における第1及び第2接着シートAS1、AS2のY軸方向の貼付位置が所定の位置となるように、幅方向調整手段17が直動モータ46R、46Lを駆動し、第1及び第2貼付手段SM1、SM2それぞれをY軸方向に移動させる。このとき直動モータ46R、46Lを駆動させるのは、オペレータが図示しない手動スイッチを介して駆動させたり、予め決められた位置に自動で移動するようにしたりすることができる。これにより、被着面WK1のY軸方向において任意の位置に各接着シートAS1、AS2を貼付できるようになる(図2(A)〜(D)参照)。次に、図示しない操作スイッチによって自動運転の指令が入力されると、第1及び第2貼付手段SM1、SM2が回動モータDM2R、DM2Lを駆動し、第1及び第2原反RS1、RS2を繰り出す。この繰出によって第1及び第2接着シートAS1、AS2の先端が各剥離板35R、35Lの先端から所定長さ剥離され、これら各先端が図示しないセンサによって検知されると、第1及び第2貼付手段SM1、SM2が回動モータDM2R、DM2Lの駆動を停止してスタンバイ状態となる。
【0026】
そして、図示しない移載装置が被着体WKを移載位置に載置すると、高さ方向調整手段16が直動モータ44R、44Lを駆動し、第1及び第2貼付手段SM1、SM2をZ軸方向に移動させる。このとき入力手段27が被着面WK1のZ軸方向の位置を検知する。本実施形態の場合、入力手段27が反射型の光センサで構成され、当該入力手段27が発光しながら被着体WKの最下位置から上昇し、発光した光を反射するものがなくなった時点で直動モータ44Rの駆動が停止し、図示しない記憶手段が被着面WK1のZ軸方向の位置を記憶する。これにより、高さ方向調整手段16が入力手段27による第1被着面WK1の位置認識を基に、第1押圧位置PP1が被着面WK1よりもやや下方となり、押圧ローラ42Rによって適度な押圧力で第1接着シートAS1を被着面WK1に付与し得る位置に第1貼付手段SM1を移動させる。なお、高さ方向調整手段16は、直動モータ44Rの停止後も直動モータ44Lを駆動し、第2押圧位置PP2が被着面WK1よりもやや上方となって、押圧ローラ42Lによって第2接着シートAS2が被着面WK1に押圧されない位置に第2貼付手段SM2を移動させる。
【0027】
次いで、移動手段11が回動モータDM1を駆動し、ベルト32を回動させて被着体WKを往路方向に移動させる。そして、被着体WKが図示しないセンサによって検出されると、第1貼付手段SM1が回動モータDM2Rを駆動し、被着体WKの搬送速度に合わせて第1原反RS1を繰り出し、剥離板35Rで第1接着シートAS1を第1剥離シートRL1から剥離しながら、押圧ローラ42Rで第1剥離シートRL1を被着面WK1に押圧して貼付する。
【0028】
第1接着シートAS1の貼付が完了した被着体WKの右端が剥離板35Lの下方を通過したことが図示しないセンサによって検出されると、移動手段11が、回動モータDM1を停止し、被着体WKの往路方向への移動を停止させる。次いで、高さ方向調整手段16が直動モータ44R、44Lを駆動し、図示しない記憶手段に記憶した被着面WK1のZ軸方向の位置を基準に第1及び第2貼付手段SM1、SM2をZ軸方向に移動させる。これにより、第1押圧位置PP1が被着面WK1よりもやや上方となり、押圧ローラ42Rによって次に繰り出された第1接着シートAS1が被着面WK1に押圧されない位置に第1貼付手段SM1が移動する。また、第2押圧位置PP2が被着面WK1よりもやや下方となり、押圧ローラ42Lによって適度な押圧力で第2接着シートAS2を被着面WK1に付与し得る位置に第2貼付手段SM2が移動する。
【0029】
次いで、移動手段11が回動モータDM1を駆動し、ベルト32を回動させて被着体WKを復路方向に移動させる。そして、被着体WKが図示しないセンサによって検出されると、第2貼付手段SM2が回動モータDM2Lを駆動し、被着体WKの搬送速度に合わせて第2原反RS2を繰り出し、剥離板35Lで第2接着シートAS2を第2剥離シートRL2から剥離しながら、押圧ローラ42Lで第2剥離シートRL2を被着面WK1に押圧して貼付する。その後、第1及び第2接着シートAS1、AS2の貼付が完了した被着体WKが移載位置に達すると、図示しない検知手段によって検知され、移動手段11が回動モータDM1を停止し、被着体WKが図示しない移載装置により排出される。
【0030】
ここで、被着面WK1における第1及び第2接着シートAS1、AS2の貼付位置は、それらのX軸及びY軸方向の貼付位置やサイズを変えることで種々のバリエーションがあり、図2(A)〜(D)に示される貼付態様が例示できる。同図(A)では、第1接着シートAS1が第2接着シートAS2より小さい平面サイズとされ、第1貼付手段SM1で第1接着シートAS1を貼付後、第2貼付手段SM2で第1接着シートAS1の全部を覆うように第2接着シートAS2を貼付する。同図(B)では、上記と同様にして第1接着シートAS1の貼付後、第1接着シートAS1のX軸方向一部を覆うように第2接着シートAS2を貼付する。同図(C)では、上記と同様にして第1接着シートAS1の貼付後、第1接着シートAS1を覆うことなく、当該第1接着シートAS1に対してY軸方向に隣接する位置に第2接着シートAS2を貼付する。同図(D)では、第1及び第2接着シートAS1、AS2が同一形状とされ、上記と同様にして、第1接着シートAS1の貼付後、第1接着シートAS1の全部を覆うように第2接着シートAS2を貼付する。これらの貼付バリエーションは、幅方向調整手段17によって決定することができる。
【0031】
従って、このような実施形態によれば、被着体WKの供給位置と各接着シートAS1、AS2が貼付された被着体WKの排出位置とを同じ位置にすることができる。これにより、被着体WKの供給と排出とを同じ移載装置で行うことができ、供給と排出とで異なる移載装置を用いる場合に比べ、周辺機器を含めた設備が大型化、複雑化することを防止することができる。また、被着体WKの供給位置と排出位置とが異なり、且つ、移載装置を単一のものとした場合に比べて当該移載装置の動作距離を短くでき、これによっても設備が大型化、複雑化することを防止することができる。更に、移動手段11による往路での相対移動動作と、復路での相対移動動作との2つの動作で第1及び第2接着シートAS1、AS2を貼付でき、単位時間当たりに複数枚の接着シートを貼付する貼付能力を向上させることが可能となる。しかも、第1及び第2押圧位置がX軸方向に対向配置されるので、第1接着シートAS1を貼付してから第2接着シートAS2を貼付するまでの移動手段11による被着体WKの移動距離を短くでき、貼付能力をより一層高めることが可能となる。
【0032】
以上のように、本発明を実施するための最良の構成、方法等は、前記記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上説明した実施形態に対し、形状、位置若しくは配置等に関し、必要に応じて当業者が様々な変更を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0033】
例えば、前記実施形態において、被着体WKに貼付する接着シートAS1、AS2の枚数は3枚以上としてもよい。この場合、前述のように第1及び第2接着シートAS1、AS2を貼付した後、その被着体WKを排出せず、更に被着体WKを移動手段11により往復移動させて被着面WK1に第1及び第2接着シートAS1、AS2の少なくとも一方を貼付すればよい。なお、何重にも接着シートを重ね貼りする場合、重ね貼りした接着シートの高さに合わせて、高さ方向調整手段16が直動モータ44R、44Lを駆動し、第1及び第2貼付手段SM1、SM2を上昇させるか、移動手段11を下降させるか、それら両方を上昇又は下降させて貼付するようにしてもよい。
【0034】
また、入力手段27は、光センサや撮像手段以外に、オペレータや上位コンピュータ等によって、被着体WKにおける被着面WK1のZ軸方向の位置、被着体WKのX軸方向の位置及び被着体WKのY軸方向の位置を入力できるシーケンサやパーソナルコンピュータ等としてもよい。
【0035】
更に、第1及び第2接着シートAS1、AS2の平面形状や厚み、表面の柄や印刷内容等は、同じであっても異なっていてもよい。
【0036】
また、第1及び第2貼付手段SM1、SM2は、側面視野において、第1繰出方向FD1と第2繰出方向FD2とが相互に遠ざかる背向配置となるように配置してもよい。
【0037】
更に、移動手段11は、被着体WKを停止させておき、各貼付手段SM1、SM2を移動させてもよいし、各貼付手段SM1、SM2と被着体WKとの両方を移動させてもよい。
また、幅方向調整手段17及び高さ方向調整手段16は、被着体WKが相対移動中に第1及び第2貼付手段SM1、SM2を前後方向や上下方向に移動させ、第1接着シートAS1及び第2接着シートAS2の貼付位置を決定する構成としてもよい。
更に、剥離手段をローラにしたり、押圧手段を圧縮エアの噴出するもので構成したりしてもよい。
また、第1貼付手段SM1と第2貼付手段SM2とは、面対称となる配置でなくてもよく、被着体WKの往復移動により第1貼付手段SM1及び第2貼付手段SM2が当該被着体WKに第1及び第2接着シートAS1、AS2を貼付できる限りにおいて、それらが面対称となる配置からずれていたとしてもよい。この要件は、第1繰出方向と第2繰出方向との関係においても同様である。
更に、第1又は第2貼付手段SM1、SM2を被着面WK1に対して上昇させなくてもよい。この場合、スタンバイ状態で各剥離板35R、35Lの先端から剥離される接着シートAS1、AS2の長さを短くしたり無くしたりして調整すればよい。
【0038】
また、前記実施形態における駆動機器は、回動モータ、直動モータ、リニアモータ、単軸ロボット、多関節ロボット等の電動機器、エアシリンダ、油圧シリンダ、ロッドレスシリンダ及びロータリシリンダ等のアクチュエタ等を採用することができる上、それらを直接的又は間接的に組み合せたものを採用することもできる(実施形態で例示したものと重複するものもある)。
【符号の説明】
【0039】
10 シート貼付装置
11 移動手段
17 幅方向調整手段
AS1 第1接着シート
AS2 第2接着シート
FD1 第1繰出方向
FD2 第2繰出方向
PP1 第1押圧位置
PP2 第2押圧位置
SM1 第1貼付手段
SM2 第2貼付手段
WK 被着体
WK1 被着面
図1
図2