(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記携帯端末は、前記第2ネットワークキーと共に前記データ通信装置から携帯端末に送信されたSSIDと、前記第2のMACアドレスとに基づいて、前記第1ネットワーク
キーを生成するネットワークキー生成部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の作業機のデータ通信システム。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照しながら、本発明の各実施形態による作業機のデータ通信システムを説明する。なお、以下に説明する各実施形態及び図面において、作業機のデータ通信システムにおける同一の構成部材には、同一の符号及び同一の名称を付すこととする。従って、同一の符号及び同一の名称が付された構成部材については、同じ説明を繰り返さない。
【0014】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態による作業機のデータ通信システム10aの概略構成を示す図である。
図1に示すように、作業機のデータ通信システム10aでは、作業機に関する様々なデータを取得可能なデータ通信装置30aを作業機に設け、このデータ通信装置30aで取得したデータを、外部の携帯端末40aに簡単に送信できるようにしたものである。ここで、データ通信装置30aで取得したデータを、携帯端末40aに送信するにあたっては、必ず、データ通信装置30aと携帯端末40aとの認証を必要とし、認証が成立した場合のみ、データを送信することとしている。
【0015】
作業機としては、トラクタ、コンバイン、田植機等の農業機械、バックホー等の建設機械が考えられるが、トラクタ1を例にとり説明する。
図11に示すように、トラクタ1は、前後に車輪が取り付けられた走行車両(走行車体)2に、エンジン3、変速装置4等を搭載して構成されている。エンジン3の後方には、独立搭載型のキャビン7が設けられており、キャビン7内には運転席8が設けられている。また、走行車両2の後部には、3点リンク機構5が昇降可能に設けられると共に、エンジン3からの動力を伝達するPTO軸が設けられている。3点リンク機構5には、肥料散布装置、耕耘装置、農薬散布装置、播種散布装置、収穫装置などの作業装置9が着脱自在となっている。本実施形態では、
図11に示すように肥料散布装置が3点リンク機構5に取りつけられている。
【0016】
図1に示すように、制御装置20とデータ通信装置30aは、車両用通信ネットワーク(例えば、Controller Area NetworkやFlexRayなど)N1により接続されている。制御装置20は、トラクタ1の走行系制御や作業系制御等を行うものであって、走行系制御として、エンジンの動作を制御したり、作業系制御として、運転席の周囲に設けられた操作レバーや操作スイッチなどの操作具からの入力を受けると、入力値に従って3点リンク機構5の昇降、PTO軸の出力(回転数)などの動作を制御する。トラクタ1の走行系制御や作業系制御を行うときの制御信号や制御を行うための各種検出信号(例えば、センサが検出した信号)は、車両用通信ネットワークN1に出力されて、トラクタ1の各部に伝達される。なお、制御装置20による走行系制御や作業系制御は、上述したものに限定されない。
【0017】
データ通信装置30aは、車両用通信ネットワークN1に出力された信号を読み込むことにより、トラクタに関する様々なデータを取得するものである。データ通信装置30aは、例えば、車両用通信ネットワークN1に出力された様々な信号(各種センサが検出した検出信号、制御するための制御信号、異常などを示す警告信号など)を取得する。また、データ通信装置30aは、取得した様々なデータを外部に出力するため、トラクタ側のネットワーク(車両用通信ネットワークN1)と、トラクタの外部のネットワーク(例えば、ワイドエリアネットワーク)との接続をするものである。
【0018】
例えば、車両用通信ネットワークN1に属する制御装置20及びデータ通信装置30aなどの搭載機器と、ワイドエリアネットワークに属する携帯端末40aとの間でデータの送受信を実行するために、データ通信装置30aは、異なるネットワークの通信プロトコルの変換等や様々な通信処理を行う。
詳しくは、データ通信装置30aは、様々な通信処理を行う通信処理部32を備えている。この通信処理部32は、Wi-Fi(登録商標)等の近距離の無線通信の処理を行う。この実施形態では、通信処理部32は、通信規格であるIEEE802.11シリーズに対応したWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)により無線通信を行うための処理を行う。通信処理部32は、少なくとも、ネットワーク上の物理アドレスである自己のMACアドレスと、ネットワーク名を示すためのSSIDを記憶している。
【0019】
一方、携帯端末40aは、例えば、比較的演算能力の高いスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレットPC等の携帯型コンピュータなどである。携帯端末40aは、Wi-Fi(登録商標)等の近距離の無線通信を行う。この携帯端末40aは、通信に関する処理を行う通信処理部41を備えている。通信処理部41は、通信モジュール等から構成されたもので、少なくとも、ネットワーク上の物理アドレスである自己のMACアドレスを記憶している。
【0020】
以下、データ通信装置30aと携帯端末40aとの通信処理について説明する。
データ通信装置30aには、自己のMACアドレスである第2MACアドレスだけでなく、特定の携帯端末40aが有するMACアドレスである第1MACアドレスが記憶されている。データ通信装置30aには、予め携帯端末40aに対応する第1MACアドレスを書き込んでおく。
【0021】
例えば、本発明で説明するMACアドレスによる認証方式(MAC認証方式)とは別の方法で、予めデータ通信装置30aと携帯端末40aとの認証を行い、認証が成立したときに、携帯端末40aに記憶された第1MACアドレスを、認証が成立した携帯端末40aからデータ通信装置30aに出力して、当該第1MACアドレスをデータ通信装置30aに書き込んでおく。或いは、データ通信装置30aの販売時に、データ通信装置30aを購入したユーザ等が所有する携帯端末40aの第1MACアドレスを、製造メーカや販売会社などがデータ通信装置30aに書き込んでもよい。
【0022】
データ通信装置30aは、許可判定部34と、データ通信部35とを備えている。許可判定部34及びデータ通信部35は、当該データ通信装置30aに格納されたプログラム等から構成されている。
許可判定部34は、第1MACアドレスと第2MACアドレスとに基づいて、データ通信装置30aと携帯端末40aとの認証を行うと共に取得したデータの送信を携帯端末40aに行うか否を判定するものである。
【0023】
具体的には、許可判定部34は、第1認証部36と、第2認証部37とを備えている。
第1認証部36は、第1MACアドレスと第2MACアドレスとの認証を行う前に、まず、携帯端末40aの第1ネットワークキーと、データ通信装置30aの第2ネットワークキーとの認証を行うものである。
詳しくは、第1MACアドレスの出力の前に、携帯端末40aから出力された第1ネットワークキーをデータ通信装置30aが受信すると、第1認証部36は、受信した第1ネットワークキーと、データ通信装置30aが有する第2ネットワークキーとの認証を行う。例えば、第1ネットワークキーと第2ネットワークキーとが一致して認証が成立すると、第1認証部36は、データ通信装置30aと携帯端末40aとの通信を許可する。
【0024】
第1認証部36によってデータ通信装置30aと携帯端末40aとの通信が許可されると、データ通信装置30aは、第1MACアドレスの受信待機状態となる。
なお、第1ネットワークキーと第2ネットワークキーとが一致しておらず認証が不成立の場合、第1認証部36は、データ通信装置30aと携帯端末40aとの通信を許可せず、データ通信装置30aを、携帯端末40aの第1MACアドレスが受信できない状態にする。
【0025】
第2認証部37は、第1MACアドレスと第2MACアドレスとの認証を行う。携帯端末40aから出力された第1MACアドレスをデータ通信装置30aが受信すると、第2認証部37は、受信した第1MACアドレスと同じMACアドレスが当該データ通信装置30aに記憶されているか検索を行う。そして、第2認証部37は、受信した第1MACアドレスと同じMACアドレスが、当該データ通信装置30aに記憶されている場合、データ通信装置30aが取得したデータを、携帯端末40aに出力することを許可する。
【0026】
言い換えれば、データ通信装置30aが有するMACアドレス(第2MACアドレス)と、携帯端末40aの特定の第1MACアドレスとが、データ通信装置30aに記憶されていて、第2MACアドレスと第1MACアドレスとが対応している場合、第2認証部37は、データの送信を許可する。つまり、第2認証部37は、ネットワークキーによる認証が成立し且つMACアドレスによる認証が成立した場合に、データの送信の許可を行う。
【0027】
一方、第2認証部37は、携帯端末40aから出力された第1MACアドレスと同じMACアドレスが、当該データ通信装置30aに記憶されていない場合、データ通信装置30aが取得したデータを、携帯端末40aに出力することを許可しない。言い換えれば、データ通信装置30aが有する第2MACアドレスが記憶されているものの、携帯端末40aから出力された特定の第1MACアドレスが、データ通信装置30aに記憶されておらず、第2MACアドレスと第1MACアドレスとが対応していない場合、第2認証部37は、データの送信を許可しない。データ通信部35は、許可判定部34からのデータの送信許可を受けると、データ通信装置30aで取得したデータを無線通信によって携帯端末40aに送信する。
【0028】
以上、本発明によれば、携帯端末40aに予め割り当てられた第1MACアドレスと、データ通信装置30aに予め割り当てられた第2MACアドレスとによって認証を行うため、わざわざ認証用の情報を携帯端末40aやデータ通信装置30aに記憶させる必要がなく、認証作業を簡素化することができる。
[第2実施形態]
第1実施形態では、特定の携帯端末40aのMACアドレスが予めデータ通信装置30aに記憶されていたが、この第2実施形態では、管理サーバ50b等を用いて、特定の携帯端末40aのMACアドレスをデータ通信装置30aに記憶させるものである。以下、第1実施形態と異なる構成について説明する。
【0029】
図2に示すように、管理サーバ50bは、関連記憶部51と、登録部52と、関連付判定部53と、許可情報出力部54とを備えている。
関連記憶部51は、農業機械に関する情報、携帯端末に関する情報及びユーザに関する情報とを記憶するものである。
図3に示すように、関連記憶部51には、農業機械に関する情報として、トラクタ1を識別するためのトラクタの製造番号及び機種、制御装置20を識別するための製造番号、データ通信装置30bを識別するための製造番号等が記憶されている。なお、トラクタの製造番号及び機種、制御装置20の製造番号、データ通信装置30bの製造番号は、それぞれ農業機械側を特定するための農業機械特定情報である。農業機械特定情報は、トラクタ1、制御装置20、データ通信装置30bを識別するためのユニークなものであればどのようなものであってもよい。
【0030】
関連記憶部51には、携帯端末に関する情報として、携帯端末40bに応じた電話番号が記憶されている。電話番号は、携帯端末40bを特定するための携帯端末特定情報である。携帯端末特定情報は、携帯端末40bを識別するためのユニークなものであればどのようなものであってもよい。
関連記憶部51には、ユーザに関する情報として、ユーザの住所、氏名、ユーザが管理サーバ50bにログインするためのユーザIDやパスワード等が記憶されている。
【0031】
以降、関連記憶部51に記憶された携帯端末特定情報及び農業機械特定情報と、携帯端末40bから出力された携帯端末特定情報及び農業機械特定情報とを区別するため、関連記憶部51に記憶された携帯端末特定情報のことを「記憶携帯情報」といい、関連記憶部51に記憶された農業機械特定情報のことを「記憶農業機械情報」といい、携帯端末40bから出力された携帯端末特定情報のことを「出力携帯情報」といい、携帯端末40bから出力された農業機械特定情報のことを「出力農業機械情報」という。
【0032】
登録部52は、携帯端末特定情報と農業機械特定情報とが管理サーバ50bに入力されると、入力された携帯端末特定情報と、農業機械特定情報を関連付けて、これらを関連記憶部51に記憶するものである。また、登録部52は、携帯端末特定情報と農業機械特定情報との関連付けを行ったとき、認証に用いる第1許可キーを生成(発行)して、この第1許可キー、携帯端末特定情報、農業機械特定情報を関連付けて関連記憶部51に登録(記憶)する。
【0033】
例えば、トラクタ1の販売時に、トラクタ1を購入したユーザが所有する携帯端末の電話番号(携帯端末特定情報)、トラクタ1の製造番号及び機種(農業機械特定情報)が管理サーバ50bに入力されると、登録部52は、携帯端末の電話番号、トラクタ1の製造番号及び機種を関連付けて、関連記憶部51に記憶する。また、登録部52は、これらの電話番号、製造番号及び機種に対応する第1許可キーを生成して、関連記憶部51に記憶する。
【0034】
また、データ通信装置30bの販売時に、データ通信装置30bを購入したユーザの携帯端末の電話番号と、データ通信装置30bの製造番号が管理サーバ50baに入力され
ると、トラクタ1と同様に、登録部52は、電話番号、製造番号及び機種を関連付けて、第1許可キーと共に関連記憶部51に記憶する。
つまり、登録部52は、携帯端末特定情報、農業機械特定情報とを関連付けて関連記憶部51に記憶すると共に、関連付けと同時に第1許可キーを発行して記憶する。
【0035】
なお、携帯端末特定情報、農業機械特定情報の関連付けを行う登録は、販売会社のコンピュータから管理サーバ50bに携帯端末特定情報、農業機械特定情報を送信することによって行ってもよいし、その他の方法であってもよい。
関連付判定部53は、管理サーバ50bに携帯端末40bから出力された携帯端末特定情報(出力携帯情報)と、関連記憶部51に記憶された記憶携帯情報及び記憶機械情報に基づき、出力携帯情報が関連付けされているか否かを判定する。
【0036】
例えば、関連付判定部53は、出力携帯情報及び出力農業機械情報が管理サーバ50bに入力されると、関連記憶部51に出力携帯情報及び出力農業機械情報と同じものが、互いに関連付けられて記憶されているか否かを判定する。このとき、関連記憶部51に、出力携帯情報及び出力農業機械情報が互いに関連付けられて記憶されている場合、関連付判定部53は、関連付けが行われていると判定する。一方、関連記憶部51に出力携帯情報及び出力農業機械情報が関連付けられて記憶されていない場合、関連付判定部53は、関連付けが行われてないと判定する。
【0037】
許可情報出力部54は、関連付判定部53が関連付けが行われていると判定した場合に、関連付けが行われていると判定された出力携帯情報及び出力農業機械情報に対応した第1許可キーを関連記憶部51から読み出し、第1許可キーを携帯端末40aに出力する。許可情報出力部54は、関連付判定部53が関連付けが行われていないと判定した場合には、出力携帯情報に対応する第1許可キーは存在しないため、出力はしない。
【0038】
携帯端末40bは、認証情報出力部42と、特定情報出力部43と、特定情報要求部44を備えている。これら認証情報出力部42、特定情報出力部43及び特定情報要求部44は、携帯端末40bに格納されたプログラム等から構成されている。
特定情報要求部44は、後述するように、データ通信装置30bに記憶された農業機械特定情報を要求するもので、特定情報出力部43は、データ通信装置30bから取得した農業機械特定情報と、携帯端末特定情報とを管理サーバ50bに出力するものである。なお、管理サーバ50bへの農業機械特定情報及び携帯端末特定情報の送信は、携帯端末40bが管理サーバ50bへログインしている状態で行うことが好ましい。
【0039】
認証情報出力部42は、認証に必要な情報をデータ通信装置30bに出力するもので、例えば、管理サーバ50bから取得した第1許可キーをデータ通信装置30bに送信すると共に、携帯端末40bの第1MACアドレスをデータ通信装置30bに送信する。
データ通信装置30bの通信処理部32は、認証に必要な情報を記憶する認証情報記憶部33と、携帯端末40bに第1MACアドレスを要求すると共に携帯端末40bから送信された第1MACアドレスを認証情報記憶部33に書き込むアドレス管理部38を備えている。
【0040】
認証情報記憶部33は、例えば、携帯端末40bから送信された第1MACアドレス、予め定められた自己の第2MACアドレス、予め記憶された農業機械特定情報、予め記憶された許可キー(第2許可キー)が記憶されている。第2許可キーは、第1許可キーの正当性を判断するものである。
また、データ通信装置30bの許可判定部34は、第1ネットワークキーと第2ネットワークキーとの認証を行う第1認証部36と、第1MACアドレスと第2MACアドレスとの認証を行う第2認証部37との他に、携帯端末40bから出力された第1許可キーと、認証情報記憶部33に記憶された第2許可キーとの認証を行う第3認証部39を備えている。
【0041】
例えば、第3認証部39は、携帯端末40bから送信された第1ネットワークキーと第2ネットワークキーとの認証成立後であって、第1MACアドレスと第2MACアドレスとの認証前に、第1許可キーと第2許可キーとの認証を行う。例えば、第1許可キーと第2許可キーとが一致して認証が成立すると、第3認証部39は、アドレス管理部38にアドレスの要求及びアドレスの書込みの許可をする(要求書込許可)を行う。アドレス管理部38は、要求書込許可がなされると、まず、携帯端末40bに第1MACアドレスの要求を行う。また、アドレス管理部38は、携帯端末40bから第1MACアドレスの送信がなされてデータ通信装置30bが第1MACアドレスを受信すると、受信した第1MACアドレスを認証情報記憶部33に書き込む。
【0042】
なお、第1許可キーと第2許可キーとの認証が不成立の場合、第3認証部39は、アドレス管理部38に要求書込許可をしないため、携帯端末40bから第1MACアドレスを取得することができない。
図4は、データ通信装置、携帯端末、管理サーバの動作をまとめたものである。
図4に基づいて、第2実施形態における作業機のデータ通信システム10bの動作について説明する。
【0043】
まず、データ通信装置30bと、携帯端末40bとのペアリングを行うにあたっては、まず、携帯端末40bの認証情報出力部42によって第1ネットワークキーをデータ通信装置30cに出力する(ステップS100)。データ通信装置30bが第1ネットワークキーを受信すると、データ通信装置30bの第1認証部36は、第2ネットワークキーを読み出し、受信した第1ネットワークキーとの認証を行う(ステップS101)。ここで、第1ネットワークキーと第2ネットワークキーとの認証が成立している場合、第1認証部36は、ネットワークキーによる認証が成立したことを携帯端末40bに送信する(ステップS102)。ネットワークキーによる認証が成立すると、携帯端末40bの特定情報要求部44によって農業機械特定情報をデータ通信装置30bに要求できるようになる。
【0044】
携帯端末40bは、特定情報要求部44によってデータ通信装置30bの認証情報記憶部33に格納された農業機械特定情報の要求を行う(ステップS103)。
携帯端末40bから農業機械特定情報の要求を受信すると、データ通信装置30bは、認証情報記憶部33に記憶された農業機械特定情報を携帯端末40bに出力する(ステップS104)。携帯端末40bは、農業機械特定情報を取得すると、当該農業機械特定情報を一時的に記憶する。
【0045】
次に、ユーザは、携帯端末40bを用いて管理サーバ50bにログインする。例えば、携帯端末40bに、ユーザIDやパスワードを入力して、当該携帯端末40bによってユーザID及びパスワードを管理サーバ50bに出力する(ステップS200)。管理サーバ50bは、携帯端末40bから出力されたユーザID及びパスワードが関連付けして関連記憶部51に記憶されている場合、携帯端末40bのログインを許可する(ステップS201)。
【0046】
管理サーバ50bは、ログインが許可された携帯端末40bの携帯端末特定情報の要求及び農業機械特定情報の要求をする(ステップS202)。携帯端末40bの特定情報出力部43は、管理サーバ50bからの携帯端末特定情報の要求及び農業機械特定情報の要求を受けて、自己の携帯端末特定情報(出力携帯情報)を管理サーバ50bに出力すると共に、データ通信装置30bから取得した農業機械特定情報(出力農業機械情報)を管理サーバ50bに出力する(ステップS203)。
【0047】
管理サーバ50bに出力携帯情報及び出力農業機械情報が入力されると、管理サーバ50bの登録部52は、関連記憶部51に記憶された記憶携帯情報の中に、出力携帯情報に一致する記憶携帯情報があるか否かの判定を行うと共に、出力農業機械情報に一致する記憶農業機械情報があるか否かの判定を行う(ステップS204)。
また、管理サーバ50bの登録部52は、関連記憶部51に記憶された記憶携帯情報の中に、出力携帯情報と一致する記憶携帯情報が存在すると共に出力農業機械情報と一致する記憶農業機械情報があると、記憶携帯情報と記憶農業機械情報との関連付けがなされているか否かの判定を行う(ステップS205)。
【0048】
ここで、記憶携帯情報と記憶農業機械情報との関連付けがなされている場合は、既に、出力携帯情報と出力農業機械情報とが関連付けされているため、管理サーバ50bの登録
部52は、第1許可キーの発行はせずに、処理を関連付判定部53に移行させて、関連付判定部53は関連付けがなされたと判定する。
一方、記憶携帯情報と記憶農業機械情報との関連付けがなされていない場合、管理サーバ50bの登録部52は、出力携帯情報と出力農業機械情報とを、関連付けして(ステップS206)、これらを関連記憶部51に記憶させると共に、出力携帯情報及び農業機械特定情報に対応する第1許可キーの発行を行う(ステップS207)。
【0049】
例えば、
図5(a)に示すように、関連記憶部51には、記憶携帯情報及び記憶農業機械情報が記憶されていたとする。ここで、携帯端末40bから出力携帯情報として「012-9354-2973」が管理サーバ50bに出力され、出力農業機械情報として「20891(トラクタの製造番号,M115A(トラクタの機種)」が管理サーバ50bに出力されたとする。
関連記憶部51内を見てみると、携帯端末40bから出力された出力携帯情報である「012-9354-2973」及び出力農業機械情報である「20891,M115A」は、既に、関連記憶部51に記憶されている(関連記憶部51内にある)ものの、「012-9354-2973」は、別の記憶農業機械情報である「10013,M115A」と関連付けられている。
【0050】
つまり、携帯端末40bから出力された出力携帯情報(「012-9354-2973」)と、出力農業機械情報(「20891,M115A」)とは、関連記憶部51内において、互いに関連付けられていない。
そのため、
図5(b)に示すように、管理サーバ50bの登録部52は、出力携帯情報である「012-9354-2973」と出力農業機械情報である「20891,M115A」とを関連付けして関連記憶部51に記憶すると共に、これらに対応する第1許可キーを発行する。
【0051】
関連付判定部53は、登録部52によって第1許可キーが発行されると、出力携帯情報である「012-9354-2973」と出力農業機械情報「20891,M115A」とが関連付けが行われていると判定し、許可情報出力部54に許可キーの出力を指令する(ステップS208)。
許可情報出力部54は、出力携帯情報と一致した記憶携帯情報に関連付けられた記憶農業機情報の検索を行う(ステップS209)。記憶農業機械情報の検索後、許可情報出力部54は、当該記憶農業機械情報に対応付けられた第1許可キーを関連記憶部51から抽出する(ステップS210)。第1許可キーの抽出後、許可情報出力部54は、携帯端末40bに第1許可キーを出力する(ステップS211)。
【0052】
なお、ステップS207の時点で、出力携帯情報、出力農業機械情報、第1許可キーのそれぞれの関連性は分かっているため、関連付判定部53が許可情報出力部54に第1許可キーの出力を指令した時点で、ステップS208及びステップS209の処理を省略してよい。
携帯端末40bの認証情報出力部42は、管理サーバ50bから送信された第1許可キーを受信すると、当該第1許可キーをデータ通信装置30bに送信する(ステップS212)。
【0053】
データ通信装置30bが第1許可キーを受信すると、第3認証部39は、第2許可キーを読み出して、受信した第1許可キーとの認証を行う(ステップS213)。第3認証部39(許可判定部34)は、第1許可キーと第2許可キーとの認証が成立すると、データ通信部35に対してデータの送信を許可する(ステップS214)。データ通信部35は、データの送信の許可を受けて、データ通信装置30bが取得したデータを携帯端末40bに出力する(ステップS215)。
【0054】
また、第3認証部39は、アドレス管理部38に要求書込許可を行う(ステップS216)。アドレス管理部38は、要求書込許可がなされると、携帯端末40bに第1MACアドレスの要求を行う(ステップS217)。
携帯端末40bの認証情報出力部42は、アドレス管理部38からの第1MACアドレスの要求を受けて、自己の第1MACアドレスをデータ通信装置30bに送信する(ステップS218)。データ通信装置30bが第1MACアドレスを受信すると、アドレス管理部38は、携帯端末40bから送信された第1MACアドレスを記憶する。
【0055】
このように、管理サーバ50bから発行された第1許可キーを用いて、携帯端末40bとデータ通信装置30bとの認証を行うことができると共に、データ通信装置30bへの
第1MACアドレスの登録を行うことができる。
データ通信装置30bに所定の携帯端末40bにおける第1MACアドレスの登録が終了していて、データ通信装置30bと携帯端末40bとの認証を行う場合は、許可キーによる認証を省略することができる。
【0056】
図6に示すように、データ通信装置30bと携帯端末40bとの認証を行う場合、まず、上述したように、ネットワークキーによる認証を行う(ステップS100〜ステップS102)。そして、携帯端末40bの認証情報出力部42によって、データ通信装置30bに第1MACアドレスを出力する(ステップS300)。携帯端末40bから出力された第1MACアドレスをデータ通信装置30bが受信すると、第2認証部37は、受信した第1MACアドレスと同じMACアドレスが当該データ通信装置30bに記憶されているか検索を行う(S301)。第2認証部37は、受信した第1MACアドレスと同じMACアドレスが、当該データ通信装置30bに記憶されている場合、データ通信装置30bが取得したデータを、携帯端末40aに出力することを許可する(S302)。
【0057】
データ通信部35は、データの送信の許可を受けて、データ通信装置30bが取得したデータを携帯端末40bに出力する(ステップS303)。
例えば、携帯端末40bとデータ通信装置30bとの認証(ペアリング)を初めて行う場合(認証を最初に行う場合)、
図4に示した手順のように、管理サーバ50bと携帯端末40bとの間で処理を行って、第1許可キーを取得し、この第1許可キーを用いて携帯端末40bとデータ通信装置30bとの認証を行うようにすれば、セキュリティが低下することなく、データ通信装置30bからデータを取得することができる。特に、この実施形態では、携帯端末40bとデータ通信装置30bとの認証と同時に、携帯特定情報と農業機械特定情報との関連付けの登録を行うことができるため、登録及び認証作業を簡素化することができる。
【0058】
一方、携帯端末40bとデータ通信装置30bとの認証を一度行ったことがある場合(ペアリングが2回目以降)には、
図6に示した手順のように、データ通信装置30bと携帯端末40bとの間で処理を行って、MACアドレスによる認証を行うようにすれば、セキュリティを確保しながら簡単にデータ通信装置30bからデータを取得することができる。
[第3実施形態]
第2実施形態では、携帯特定情報と農業機械特定情報との関連付けの登録と、データ通信装置30bと携帯端末40bとのペアリングとを同時に行っていたが、第3実施形態では、ペアリングとは別に携帯特定情報と農業機械特定情報との関連付けの登録を行うようにしたものである。
【0059】
図7は、第3実施形態におけるデータ通信システムの概略構成を示す図である。
図8は、データ通信装置と携帯端末と管理サーバとの動作をまとめたものである。
図7,8に基づいて、第3実施形態における作業機のデータ通信システム10の動作について説明する。なお、上述した実施形態と同様の部分は説明を省略する。
携帯端末40cを用いて管理サーバ50cにログインする。例えば、携帯端末40cに、ユーザIDやパスワードを入力して、当該携帯端末40cによってユーザID及びパスワードを管理サーバ50cに出力する(ステップS400)。管理サーバ50cは、携帯端末40cから出力されたユーザID及びパスワードが関連付けして関連記憶部51に記憶されている場合、携帯端末40cのログインを許可する(ステップS401)。
【0060】
管理サーバ50cにログインされている状態で、携帯端末40cに記憶された携帯端末特定情報及び農業機械特定情報を管理サーバ50cに出力する(ステップS402)。管理サーバ50cに、携帯端末特定情報(出力携帯情報)及び農業機械特定情報(出力農業機械情報)が入力されると、登録部52は、出力携帯情報と出力農業機械情報とが既に関連付けなされていないか否かの判定を行い(ステップS402)、関連付けがなされていない場合は、出力携帯情報及び出力農業機械情報を関連記憶部51に記憶する(ステップS403)。また、管理サーバ50cの登録部52は、出力携帯情報と出力農業機械情報との関連付けと同時に第1許可キーの発行を行い(ステップS404)、第1許可キーを
出力携帯情報及び出力農業機械情報に対応付けて関連記憶部51に記憶する(ステップS405)。データ通信装置30cと携帯端末40cとのペアリング時には、上述したように、ステップS200〜205、ステップS211〜S218の処理を行うことによりデータを取得することができる。
[第4実施形態]
上述した実施形態では、携帯端末に第1ネットワークキーが記憶されていたが、第4実施形態では、自動的に、第1ネットワークキーの生成を行うようにしたものである。なお、ネットワークキーの生成以外の部分は、上述した第1実施形態〜第3実施形態と同様であるため、共通の部分は説明を省略する。
【0061】
図9に示すように、携帯端末40dは、ネットワークキー生成部45を備えている。このネットワークキー生成部45は、携帯端末40dに格納されたプログラム等から構成されている。
ネットワークキー生成部45は、ネットワーク名(SSID)と、ネットワークキーとに基づいて、第1ネットワークキーを生成するものである。
【0062】
詳しくは、
図10に示すように、データ通信装置30dは、外部に対してネットワーク名(SSID)及び第2MACアドレスを含むビーコンを出力する(ステップS600)。携帯端末40dは、データ通信装置30dからのビーコンを受信すると、ネットワークキー生成部45は、データ通信装置30dから出力されたSSID及び第2MACアドレスを予め定められた方法によって数値化(例えば、10進数や2進数)する(ステップS601)。そして、ネットワークキー生成部45は、数値化したSSID及び第2MACアドレスを、ネットワークキーを生成するための関数に代入したり、引数として採用することにより、第1ネットワークキーの生成を自動的に行う(ステップS602)。即ち、ネットワークキー生成部45は、SSID及び第2MACアドレスによってネットワークキーを生成するための関数や引数(生成式という)を備えていて、この生成式[f(SSID、第2MACアドレス)]により、第1ネットワークキーを生成する。
【0063】
ネットワークキー生成部45によって第1ネットワークキーの生成が行われると、携帯端末40dは、生成した第1ネットワークキーをデータ通信装置40dに自動的に送信する(ステップS603)。データ通信装置40d(第1認証部36)は、携帯端末40dから送信された第1ネットワークキーと、予め記憶された第2ネットワークキーとにより認証を行い、認証が成立すると、携帯端末40dとデータ通信装置40dとの無線通信を許可する。
【0064】
なお、データ通信装置40dにも、自己のMACアドレス(第2MACアドレス)とSSIDとにより、自動的にネットワークキーを生成する生成式[f
−1(f(SSID、第2MACアドレス))]を備えていることが好ましい。
以上、本発明によれば、携帯端末40dとデータ通信装置30dとの間で無線通信を行うために必要な第1ネットワークキーを自動的に生成するため、携帯端末40dとデータ通信装置30dとのペアリングの際に、携帯端末に第1ネットワークキーを入力する手間が省け、認証作業をより簡素化することができる。
【0065】
なお、上述したデータ通信装置30a〜30dは、作業機のデータを取得するものであればよいが、データ通信装置30a〜30dは、農業機械(例えば、トラクタ1)が動作しているときの様々なデータ(トラクタ1に関するデータ)を、自動的に収集して記憶するものであれば好ましい。
例えば、トラクタ1の後部に作業装置9として耕耘装置が連結されてトラクタ1が動作したときは、ロータリーの回転数、ロータリーの負荷、エンジン回転数、車速、耕深などのデータが車両用通信ネットワークに出力され、データ通信装置30a〜30dは、ロータリーの回転数、ロータリーの負荷、エンジン回転数、車速、耕深などのデータを車両用通信ネットワークを介して取得する。
【0066】
また、作業装置9が肥料散布装置、農薬散布装置、播種散布装置である場合は、車速、エンジン回転数、散布量(肥料散布量、農薬散布量、播種散布量)などのデータが車両通信ネットワーク上に出力され、データ通信装置30a〜30dは、車速、エンジン回転数
、肥料散布量、農薬散布量、播種散布量を取得する。或いは、作業装置9が収穫装置である場合は、車速、エンジン回転数、収穫量などのデータが車両通信ネットワーク上に出力され、データ通信装置30a〜30dは、車速、エンジン回転数、収穫量を取得する。
【0067】
収集したデータは、データ通信装置30a〜30dに記憶されるようになっている。データ通信部35は、携帯端末40a〜40dとデータ通信装置30a〜30dとのペアリングが成立後(データの送信許可が出た後)に、データ通信装置30a〜30dに記憶されているデータを、携帯端末40a〜40dに出力することが好ましい。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。上述した実施形態では、作業機の1つである農業機械を例にあげて説明したが、作業機はトラクタ、コンバイン、田植機等の農業機械に限定されず、バックホー等の建設機械であってもよい。