特許第5881595号(P5881595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881595
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】ロールベーラ装置
(51)【国際特許分類】
   A01F 15/08 20060101AFI20160225BHJP
【FI】
   A01F15/08 R
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-283788(P2012-283788)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-124147(P2014-124147A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年2月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】特許業務法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】和田 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】山中 健史
(72)【発明者】
【氏名】岸 徹
(72)【発明者】
【氏名】岡田 晋輔
(72)【発明者】
【氏名】井上 亨
【審査官】 中澤 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−338252(JP,A)
【文献】 特開昭61−254123(JP,A)
【文献】 特開2005−013044(JP,A)
【文献】 特開2003−310041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 1/00−1/06
A01F 12/00
A01F 13/00−17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される飼料作物をロール状の飼料ベールに成形するロールベーラ装置であって、前後方向一方側が開口された半割状の固定筐体と、前記固定筐体との共働下にベーラ室を形成する半割状の可動筐体であって、前記ベーラ室を閉塞する閉塞位置及び開放する開放位置をとり得る可動筐体と、幅方向視において前後方向一方側に開く半円を形成するように前記固定筐体に支持された複数の固定側回転ローラと、前記可動筐体が閉塞位置に位置された状態の幅方向視において前後方向他方側に開く半円を形成するように前記可動筐体に支持された複数の可動側回転ローラとを有しているロールベーラ装置において、
幅方向に延び且つ周方向に隣接する前記回転ローラ間の隙間の径方向外方側に位置する複数の支持バーと、
対応する前記回転ローラの径方向外方側を覆うように前記複数の支持バーに支持された可撓性シートとを備えていることを特徴とするロールベーラ装置。
【請求項2】
前記固定筐体は、前記複数の固定側回転ローラをそれぞれ支持する複数の固定側支持軸の軸線方向一端側部及び他端部が連結される左右一対の固定側側壁と、前後方向一方側の前記開口を形成し且つ前記複数の固定側回転ローラの少なくとも一部の径方向外方を覆うように、前記一対の固定側側壁の間を連結する固定側周壁とを含み、
前記可動筐体は、前記複数の可動側回転ローラをそれぞれ支持する複数の可動側支持軸の軸線方向一端部及び他端部が連結される左右一対の可動側側壁と、閉塞位置に位置された際に前記固定筐体の開口と対向する開口を形成しつつ前記複数の可動側回転ローラの少なくとも一部の径方向外方を覆うように、前記一対の可動側側壁の間を連結する可動側周壁とを含み、
前記可動側周壁は、前記可動筐体の前記開口に臨み且つ前記可動筐体が閉塞位置に位置された際に下方に位置する可動側下部回転ローラと前記可動側下部回転ローラから周方向に順に配置された一又は複数の可動側回転ローラとを外部に露出する下方開口を有し、
前記下方開口を介して露出される前記可動側回転ローラの径方向外方側が前記可撓性シートによって覆われていることを特徴とする請求項1に記載のロールベーラ装置。
【請求項3】
前記可撓性シートは、前記下方開口を介して露出される前記可動側回転ローラと対向するカバー領域と、前記カバー領域から前記固定筐体の側へ延在された延在領域とを有し、
前記可動筐体を閉塞位置に位置させた際に、前記可撓性シートの前記延在領域が前記固定筐体及び前記可動筐体によって挟まれることを特徴とする請求項2に記載のロールベーラ装置。
【請求項4】
前記可動筐体には、周方向に関し前記可動側下部回転ローラよりも前記固定筐体に近接する側で且つ径方向に関し前記可動側下部回転ローラの軸線よりも外方側において、前記一対の可動側周壁を連結する連結バーが設けられ、
前記可撓性シートは、前記複数の支持バーに加えて前記連結バーにも支持されていることを特徴とする請求項2又は3に記載のロールベーラ装置。
【請求項5】
前記可動筐体に直接又は間接的に支持された状態で前記延在領域を前記固定側周壁のエッジに押し付ける板バネを備えていることを特徴とする請求項2から4の何れかに記載のロールベーラ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飼料作物をロール状の飼料ベールに成形するロールベーラ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
稲等の飼料作物をロール状の飼料ベールに成形するロールベーラ装置は、従来から広く利用されている。
前記ロールベーラ装置は、固定筐体と、可動筐体と、前記固定筐体に半円状に配置された複数の固定側回転ローラと、前記可動筐体に半円状に配置された複数の可動側回転ローラとを含んでいる。
【0003】
詳しくは、前記可動筐体は、前記固定筐体と共働してベーラ室を形成する閉塞位置と前記ベーラ室を開放する開放位置とをとり得るように構成されている。
前記複数の固定側回転ローラ及び前記複数の可動側回転ローラは、前記可動筐体を閉塞位置に位置させた際に、側面視略円形状のロール空間を形成するように配置されており、前記ロール空間に投入された飼料作物が前記複数の回転ローラによって円筒状の飼料ベールに成形される。
【0004】
ところで、一の回転ローラとこれに隣接する他の回転ローラとの間には周方向に関し隙間が存在する。
従って、前記ロール空間内の飼料作物の一部が前記隙間を介して外方へこぼれ落ちることになり、飼料作物に無駄が生じるという問題があった。
【0005】
この点に関し、下記特許文献には、前記回転ローラの径方向外方に側面視半円状のカバーを設けると共に、隣接する前記回転ローラ間の隙間内に突入するように前記カバーに側面視三角形状の凸部を設けたロールベーラ装置が開示されている。
【0006】
前記特許文献に記載の従来のロールベーラ装置は、前記凸部によって前記隙間を埋めることで前記隙間を介して前記ロール空間から外方へ漏れ出る飼料作物の量を減少させつつ、前記カバーによって飼料作物が機外に放出されることを有効に防止し得る点において有用である。
【0007】
しかしながら、前記従来のロールベーラ装置においては、前記カバー及び前記凸部が剛性部材で形成されており、従って、前記凸部付きの前記カバーの製造にコストがかかるという問題があった。
【0008】
又、複数の前記凸部を対応する隙間に位置させつつ、剛性の前記カバーを装着させなければならず、前記カバーの取付作業やメンテナンス時における取り外し作業に手間がかかるという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−061453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、斯かる従来技術に鑑みなされたものであり、複数の回転ローラによって画されるロール空間からの飼料作物の流出を有効に防止できるロールベーラ装置であって、構造簡略化及びコスト低廉化を図ることができ、且つ、脱着作業性を向上させ得るロールベーラ装置の提供を、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記目的を達成するために、供給される飼料作物をロール状の飼料ベールに成形するロールベーラ装置であって、前後方向一方側が開口された半割状の固定筐体と、前記固定筐体との共働下にベーラ室を形成する半割状の可動筐体であって、前記ベーラ室を閉塞する閉塞位置及び開放する開放位置をとり得る可動筐体と、幅方向視において前後方向一方側に開く半円を形成するように前記固定筐体に支持された複数の固定側回転ローラと、前記可動筐体が閉塞位置に位置された状態の幅方向視において前後方向他方側に開く半円を形成するように前記可動筐体に支持された複数の可動側回転ローラとを有しているロールベーラ装置において、幅方向に延び且つ周方向に隣接する前記回転ローラ間の隙間の径方向外方側に位置する複数の支持バーと、対応する前記回転ローラの径方向外方側を覆うように前記複数の支持バーに支持された可撓性シートとを備えたロールベーラ装置を提供する。
【0012】
前記固定筐体は、前記複数の固定側回転ローラをそれぞれ支持する複数の固定側支持軸の軸線方向一端側部及び他端部が連結される左右一対の固定側側壁と、前後方向一方側の前記開口を形成し且つ前記複数の固定側回転ローラの少なくとも一部の径方向外方を覆うように、前記一対の固定側側壁の間を連結する固定側周壁とを含み、前記可動筐体は、前記複数の可動側回転ローラをそれぞれ支持する複数の可動側支持軸の軸線方向一端部及び他端部が連結される左右一対の可動側側壁と、閉塞位置に位置された際に前記固定筐体の開口と対向する開口を形成しつつ前記複数の可動側回転ローラの少なくとも一部の径方向外方を覆うように、前記一対の可動側側壁の間を連結する可動側周壁とを含み得る。
この場合、前記可動側周壁は、前記可動筐体の前記開口に臨み且つ前記可動筐体が閉塞位置に位置された際に下方に位置する可動側下部回転ローラと前記可動側下部回転ローラから周方向に順に配置された一又は複数の可動側回転ローラとを外部に露出する下方開口を有し得る。
一形態においては、前記下方開口を介して露出される前記可動側回転ローラの径方向外方側が前記可撓性シートによって覆われる。
【0013】
前記一形態において、好ましくは、前記可撓性シートは、前記下方開口を介して露出される前記可動側回転ローラと対向するカバー領域と、前記カバー領域から前記固定筐体の側へ延在された延在領域とを有し、前記可動筐体を閉塞位置に位置させた際に、前記可撓性シートの前記延在領域が前記固定筐体及び前記可動筐体によって挟まれるように構成され得る。
【0014】
前記一形態において、前記可動筐体に、周方向に関し前記可動側下部回転ローラよりも前記固定筐体に近接する側で且つ径方向に関し前記可動側下部回転ローラの軸線よりも外方側において、前記一対の可動側周壁を連結する連結バーが設けられる場合には、好ましくは、前記可撓性シートは、前記複数の支持バーに加えて前記連結バーにも支持される。
【0015】
前記一形態において、好ましくは、前記可動筐体に直接又は間接的に支持された状態で前記延在領域を前記固定側周壁のエッジに押し付ける板バネが備えられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るロールベーラ装置によれば、幅方向に延び且つ周方向に隣接する回転ローラ間の隙間の径方向外方側に位置するように複数の支持バーが備えられ、対応する前記回転ローラの径方向外方側を覆うように前記複数の支持バーに可撓性シートが支持されているので、複雑な構造を要すること無く且つ安価に、前記隙間を縮小させた状態で対応する前記回転ローラの径方向外方を覆うことができ、これにより、ベーラ室から前記隙間を介して外方へ漏れ出る飼料作物量を有効に減少させることができる。
【0017】
さらに、前記可撓性シートの可撓性によって、対応する前記回転ロールの径方向外方を剛性カバーで覆う構成に比して、前記可撓性シートの取付作業及び取り外し作業を容易に行うことができる。
また、複数の回転ローラによって画されるロール空間に過剰量の飼料作物が供給されたとしても、前記可撓性シートの可撓性によって前記ロール空間の飼料密度を緩和させることができ、これにより、前記回転ローラに過度な負荷がかかることを有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係るロールベーラ装置が適用されたコンバインベーラの側面図である。
図2図2は、図1に示す前記コンバインベーラの背面図である。
図3図3は、前記ロールベーラ装置の斜視図である。
図4図4は、前記ロールベーラ装置の縦断側面図であり、図2におけるIV-IV線に沿った縦断側面を示している。
図5図5は、前記ロールベーラ装置の変形例の縦断側面図である。
図6図6は、本発明の他の実施の形態に係るロールベーラ装置の部分縦断側面図である。
図7図7は、図6に示す前記ロールベーラ装置の変形例の部分縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るロールベーラ装置の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2に、それぞれ、本実施の形態に係るロールベーラ装置100Aが適用されたコンバインベーラ1の側面図及び背面図を示す。
【0020】
図1及び図2に示すように、前記コンバインベーラ1は、本機フレーム10と、前記本機フレーム10に支持された左右一対の走行装置20と、前記本機フレーム10に支持された運転部30と、前方に位置するように前記本機フレーム10に支持された刈取部40と、供給される飼料作物を受け入れてロール状の飼料ベールを形成する前記ロールベーラ装置100Aと、前記刈取部40によって刈り取られた飼料作物を前記ロールベーラ装置100Aへ向けて搬送する搬送部50とを備えている。
【0021】
図3に、前記ロールベーラ装置100Aの斜視図を示す。
又、図4に、図2におけるIV-IV線に沿った前記ロールベーラ装置100Aの縦断側面図を示す。
【0022】
図3及び図4に示すように、前記ロールベーラ装置100Aは、固定筐体110と、前記固定筐体110との共働下にベーラ室を形成する可動筐体120と、前記固定筐体110に支持された複数の固定側回転ローラ130と、前記可動筐体120に支持された複数の可動側回転ローラ140とを有し、前記ベーラ室に供給される飼料作物を前記複数の固定側回転ローラ130及び前記複数の可動側回転ローラ140によってロール状の飼料ベールに成形し得るように構成されている。
【0023】
前記固定筐体110は、前後方向一方側(本実施の形態においては後方側)が開口110aとされた半割状とされており、前記本機フレーム10等の固定部材に固定設置されている。
【0024】
詳しくは、前記固定筐体110は、左右一対の固定側側壁111と、前後方向一方側の前記開口110aを形成しつつ前記一対の固定側側壁111の間を連結する固定側周壁112とを有している。
【0025】
前記可動筐体120は、前後方向他方側(本実施の形態においては前方側)が開口120aとされた半割状とされており、前記ベーラ室を閉塞する閉塞位置と前記ベーラ室を前後方向一方側且つ下方に開放する開放位置とをとり得るように構成されている。
【0026】
本実施の形態においては、図3及び図4に示すように、前記可動筐体120は、開閉機構として作用する油圧シリンダ装置150を介して前記固定筐体110に連結されている。
【0027】
詳しくは、前記固定筐体110の上部には固定側アーム155が連結されており、前記可動筐体120には可動側アーム156が連結されている。
【0028】
前記油圧シリンダ装置150は、中空のシリンダ151と、前記シリンダ内に油室を画しつつ前記シリンダ151に対して進退自在とされたピストン152とを有しており、前記シリンダ151及びピストン152の一方が、前記固定側アーム155の自由端部に、幅方向に延びる第1枢支軸155a回り回動自在に連結され、且つ、前記シリンダ151及び前記ピストン152の他方が、前記可動側アーム156の自由端部に、幅方向に延びる第2枢支軸156a回り回動自在に連結されている。
【0029】
前記可動筐体120は、左右一対の可動側側壁121と、当該可動筐体120が閉塞位置に位置された際に前記固定筐体110における前後方向一方側の前記開口110aと対向する開口120aを形成しつつ前記一対の可動側側壁121の間を連結する可動側周壁122とを有している。
【0030】
前記複数の固定側回転ローラ130は、図4に示すように、幅方向視において前後方向一方側(本実施の形態においては後方側)に開く半円を形成するように前記固定筐体110に支持されている。
【0031】
詳しくは、幅方向に延びる複数の固定側支持軸131が、幅方向視において前後方向一方側(本実施の形態においては後方側)に開く半円を形成するように配置された状態で、前記一対の固定側側壁111に連結されている。
そして、前記複数の固定側回転ローラ130は、前記複数の固定側支持軸131にそれぞれ支持されている。
【0032】
前記複数の可動側回転ローラ140は、図4に示すように、前記可動筐体120が閉塞位置に位置された状態の幅方向視において、前記複数の固定側回転ローラ130と共働して幅方向視円形のロール空間を形成するように、前記可動筐体120に支持されている。
【0033】
即ち、前記複数の可動側回転ローラ140は、前記可動筐体120が閉塞位置に位置された状態の幅方向視において前後方向他方側(本実施の形態においては前方側)に開く半円を形成するように配置されている。
【0034】
詳しくは、幅方向に延びる複数の可動側支持軸141が、前記可動筐体120が閉塞位置に位置された状態の幅方向視において、前後方向他方側(本実施の形態においては前方側)に開く半円を形成するように配置され、且つ、その一端部及び他端部が前記一対の可動側側壁121に連結されている。
そして、前記複数の可動側回転ローラ140は、前記複数の可動側支持軸141にそれぞれ支持されている。
【0035】
図4に示すように、本実施の形態に係る前記ロールベーラ装置100Aは、さらに、周方向に隣接する前記回転ローラ130、140間の隙間190の径方向外方側に位置し且つ幅方向に延びる複数の支持バー160と、対応する前記回転ローラ130、140の径方向外方側を覆うように前記複数の支持バー160に支持された可撓性シート170とを有している。
【0036】
ここで、前記隙間190とは、一の回転ローラ(例えば、図4における符号140(1))と周方向に隣接する他の回転ローラ(例えば、図4における符号140(2))との間に設けられた周方向に関する空間を意味し、前記隙間190の径方向外方側とは、前記一の回転ローラ(例えば、符号140(1))の軸線及び前記他の回転ローラ(例えば、符号140(2))の軸線を通る第1仮想円弧191より径方向外方で、且つ、前記一の回転ローラ(例えば、140(1))の径方向最外方部分及び前記他の回転ローラ(例えば、140(2))の径方向最外方部分を通る第2仮想線192より径方向内方を意味する。
【0037】
かかる構成を備えた前記ロールベーラ装置100Aにおいては、前記可撓性シート170を、対応する前記回転ローラ130、140の外周面、並びに、前記隙間190内においては前記第1仮想円弧191に近接させた状態で、対応する前記回転ローラ130、140の径方向外方を覆うことができ、これにより、前記ロール空間から前記隙間190を介して外方へ漏れ出る飼料作物の量を有効に減少させることができる。
【0038】
また、対応する前記回転ローラ130、140の径方向外方側を覆う前記可撓性シート170が可撓性を有している為、剛性カバーを用いて前記回転ローラ130、140の径方向外方を覆う場合に比して、取付作業及び取り外し作業を容易に行うことができる。
【0039】
さらに、ロール状の飼料ベールに成形する際には前記回転ローラ130、140を回転させつつ前記ロール空間内に飼料作物を供給するが、この際に、前記ロール空間に過剰な飼料作物が供給されたとしても、前記可撓性シート170の可撓性によって前記ロール空間内の飼料密度を緩和させることができ、前記回転ローラ130、140に過度な負荷がかかることを有効に防止できる。
なお、前記可撓性シート170としては、可撓性を有する限り種々の材質のシートを利用可能であるが、例えば、シリコン性シートやポリウレタン性シート等が好適に使用され得る。
【0040】
図4に示すように、本実施の形態においては、前記可撓性シート170は、前記複数の可動側回転ローラ140のうち、前記可動筐体120が閉塞位置に位置された際に前記固定側回転ローラ130に隣接し且つ下方に位置する可動側下部回転ローラ140(1)と前記可動側下部回転ローラ140(1)から周方向に順に隣接された複数の可動側回転ローラ140(2)、140(3)とを覆っている。
【0041】
詳しくは、前記可動側周壁121は、前記可動側下部回転ローラ140(1)と前記可動側下部回転ローラ140(1)から周方向に順に隣接された複数(図示の形態においては2個)の可動側回転ローラ140(2)、140(3)とを外部に露出する下方開口120bを形成するように構成されている。
【0042】
そして、前記可撓性シート170は、前記複数の回転ローラ130、140のうち前記下方開口120bを介して露出される前記回転ローラの径方向外方側を覆うように配置されている。
図示の形態においては、前記可撓性シート170は、前記可動側下部回転ローラ140(1)を含む3つの可動側回転ローラ140(1)、140(2)、140(3)の径方向外方側を覆っている。
【0043】
即ち、前記可動側下部回転ローラ140(1)とこれに隣接する可動側回転ローラ(以下、第2可動側下部回転ローラ140(2)という)との間における隙間190の径方向外方側に第1支持バー160(1)が配置され、前記第2可動側下部回転ローラ140(2)とこれに隣接する可動側回転ローラ(以下、第3可動側下部回転ローラ140(3)という)との間における隙間の径方向外方側に第2支持バー160(2)が配置され、前記第2可動側下部回転ローラ140(2)とこれに隣接する可動側回転ローラ(以下、第3可動側下部回転ローラ140(3)という)との間における隙間の径方向外方側に第3支持バー160(3)が配置されている。
【0044】
そして、前記可撓性シート170は、対応する前記可動側下部回転ローラ140(1)、前記第2可動側下部回転ローラ140(2)及び前記第3可動側下部回転ローラ140(3)の径方向外方側を覆うように、前記第1〜第3支持バー160(1)、160(2)、160(3)に支持されている。
【0045】
図4に示すように、本実施の形態においては、前記可撓性シート170は、前記可動筐体120における前記下方開口120bを介して露出される前記可動側回転ローラ140(1)〜140(3)と対向するカバー領域171に加えて、前記カバー領域171から前記固定筐体110の側へ延在された延在領域172を有している。
【0046】
前記延在領域172は、前記可動筐体120を閉塞位置に位置させた際に、前記固定筐体110及び前記可動筐体120によって挟まれるようになっている。
かかる構成によれば、前記固定筐体120及び前記可動筐体120の接合部分から飼料作物が漏れ出ることを有効に防止することができる。
【0047】
図示の形態においては、図4に示すように、前記可動筐体120を閉塞位置に位置させた際に、周方向に関し、前記固定筐体110の前記開口110aに臨み且つ下方に位置する固定側下部回転ローラ130(1)と前記可動側下部回転ローラ140(1)との間に位置し、且つ、径方向に関し、前記可動側下部回転ローラ140(1)及び前記固定側下部回転ローラ130(1)の軸線を通る前記第1仮想円弧線191より外方に位置するように、前記可動筐体120に境界側支持バー165を設け、前記可撓性シート170を、前記複数の支持バー160に加えて前記境界側支持バー165にも支持させることができる。
【0048】
かかる構成によれば、前記固定側下部回転ローラ130(1)及び前記可動側下部回転ローラ140(1)間の隙間を減少させ、前記ロール空間から前記隙間を介して外方へ漏れ出る飼料作物の量を有効に減少させることができる。
【0049】
前記境界支持バー165を有さない構成(図5)においては、補強部材として前記可動筐体120に備えられる連結バー125(図4及び図5参照)を、前記可撓性シート170の支持部材として兼用することも可能である。
【0050】
即ち、図4及び図5に示すように、前記可動筐体120には、強度を向上させる為に前記一対の可動側側壁121の間を連結する前記連結バー125が備えられている。
この場合において、図5に示すように、前記可撓性シート170を、前記複数の支持バー160に加えて前記連結バー125にも支持させることができる。
【0051】
かかる構成によれば、前記可撓性シート170を、前記可動側下部回転ローラ140(1)の外周面に可及的に近接させた状態で安定して支持することができる。
なお、図4及び図5に示す形態においては、前記連結バー125は、周方向に関し前記可動側下部回転ローラ140(1)よりも前記固定筐体110に近接する側で且つ径方向に関し前記可動側下部回転ローラ140(1)の軸線よりも外方側に配置されている。
【0052】
図6及び図7に、他の実施の形態に係るロールベーラ装置100Bの拡大縦断側面図を示す。図6及び図7は、それぞれ、図4におけるVI部及び図5におけるVII部の拡大図である。
なお、図6及び図7中、前記ロールベーラ装置100Aにおけると同一部材には同一符号を付している。
【0053】
前記他の形態に係るロールベーラ装置100Bは、前記ロールベーラ装置100Aに比して、さらに、付勢機構200を有している。
前記付勢機構200は、前記可撓性シート170の前記延在領域172を前記固定筐体110における前記固定側周壁112のエッジに向けて押圧するように構成されている。
【0054】
詳しくは、図6及び図7に示すように、前記付勢機構200は、前記可動筐体120に直接又は間接的に支持された状態で前記可撓性シート170の前記延在領域172を前記固定側周壁112のエッジに押し付ける板バネ210を有している。
【0055】
かかる構成を備えた前記ロールベーラ装置100Bにおいては、前記可動筐体120を閉塞位置に位置させた際に、前記可動筐体120及び前記固定筐体110間の接合部から飼料作物が漏れ出ることをより確実に防止することができる。
【0056】
即ち、前述の通り、飼料ベールの形成は、前記可動筐体120を閉塞位置に位置させた状態で前記ベーラ室へ飼料作物を供給しつつ前記回転ローラ130、140を回転させることによって行われる。
【0057】
通常、前記ベーラ室に十分な量の飼料作物が供給された否かの判断、即ち、前記ベーラ室への飼料作物の供給状態から供給停止状態への移行の判断は、前記可動筐体120が閉塞位置から移動したか否かに基づいて行われる。
【0058】
つまり、前記ベーラ室内の飼料作物が所定量を超えると、前記飼料作物によって前記可動筐体120が閉塞位置から開放位置へ向けて若干押動される。前記可動筐体120のかかる移動をセンサによって検出することで、前記ベーラ室に十分な量の飼料作物が供給されたと判断することができる。
【0059】
ところで、前記可動筐体120が閉塞位置から開放位置へ向かって移動されると、前記可動筐体120及び前記固定筐体110の接合部から飼料作物が外方へ漏れ出ることになる。
前記付勢機構200を備えれば、前記可動筐体120が閉塞位置から若干量移動したとしても、前記可動筐体120及び前記固定筐体110の間を前記可撓性シート170によって覆うことができ、これにより、飼料作物の流出を有効に防止することができる。
【0060】
図示の形態においては、前記板バネ210は、前記連結バー125を利用して前記可動筐体120に支持されている。
【0061】
詳しくは、前記可動筐体120には、前述の通り、強度を向上させる為に前記一対の可動側側壁121の間を連結する前記連結バー125が備えられている。
前記板バネ210は、先端部が前記可撓性シート170の前記延在領域172における径方向外方側に当接して前記延在領域172を前記固定側周壁112のエッジに押し付けるように、基端部が前記連結バー125にボルト等の締結部材を介して連結されている。
当然ながら、前記板バネ210を、前記可動筐体120に設けられる他の支持部材に連結させることも可能である。
【符号の説明】
【0062】
100A、100B ロールベーラ装置
110 固定筐体
111 固定側側壁
112 固定側周壁
120 可動筐体
120b 下方開口
121 可動側側壁
122 可動側周壁
130 固定側回転ローラ
130(1) 固定側下部回転ローラ
131 固定側支持軸
140 可動側回転ローラ
140(1) 可動側下部回転ローラ
160 支持バー
165 境界側支持バー
170 可撓性シート
171 カバー領域
172 延在領域
191 固定側及び可動側の下部回転ローラの軸線を通る仮想円弧線
210 板バネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7