特許第5881617号(P5881617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5881617二酸化炭素捕捉プロセス用の水洗法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881617
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】二酸化炭素捕捉プロセス用の水洗法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/34 20060101AFI20160225BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20160225BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   B01D53/34
   B01D53/14ZAB
   B01D53/62
【請求項の数】29
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-548986(P2012-548986)
(86)(22)【出願日】2011年1月10日
(65)【公表番号】特表2013-517126(P2013-517126A)
(43)【公表日】2013年5月16日
(86)【国際出願番号】US2011020631
(87)【国際公開番号】WO2011087972
(87)【国際公開日】20110721
【審査請求日】2012年9月13日
【審判番号】不服2015-4260(P2015-4260/J1)
【審判請求日】2015年3月4日
(31)【優先権主張番号】12/985,613
(32)【優先日】2011年1月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/294,971
(32)【優先日】2010年1月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503416353
【氏名又は名称】アルストム テクノロジー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ポントブライアンド マイケル ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】バブラオ バラス
【合議体】
【審判長】 真々田 忠博
【審判官】 中澤 登
【審判官】 後藤 政博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−126439(JP,A)
【文献】 特開2009−179546(JP,A)
【文献】 米国特許第5378442(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0193970(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D53/34-53/73,53/74-53/85,53/92,53/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収塔における溶媒を含有する二酸化炭素吸収溶液との蒸気−液接触によって、二酸化
炭素が吸収、除去された二酸化炭素除去済み煙道ガスから、吸収塔の水洗セクションにお
いて、溶媒を回収する方法であって、前記方法は、
二酸化炭素除去済み煙道ガスから溶媒を回収し、溶媒を含有する洗浄水及び低減された溶媒を含有する煙道ガスを形成するため、吸収塔の放出制御セクションにおいて、実質的に溶媒を含有しない水ストリームを導入し、二酸化炭素除去済み煙道ガスと向流接触させ、;及び
低減された溶媒を含有する煙道ガスを冷却し、これにより、冷却された煙道ガス及び使用済み洗浄水を形成するため、吸収塔の煙道ガス冷却セクションにおいて、冷却された洗浄水を導入し、低減された溶媒を含有する煙道ガスと向流接触させる、
ことを含んでなる、二酸化炭素除去済み煙道ガスからの溶媒の回収法。
【請求項2】
溶媒がアミン含有溶液である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
さらに、
洗浄水セクションによって吸収される溶媒の量を、二酸化炭素除去済み煙道ガスと接触
する水ストリームの量を調節することによって調節し;及び
含有する溶媒が低減された煙道ガスから除去される水の量を、含有する溶媒が低減され
た煙道ガスと接触する冷却される洗浄水の温度を調節することによって調節する
ことを含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項4】
さらに、
煙道ガス冷却セクションと放出制御セクションとの間に配置した収集装置にて使用済み
洗浄水を収集し;
収集した使用済み洗浄水を収集装置から除去し;
除去した使用済み洗浄水の少なくとも一部を冷却して、冷却された洗浄水を形成し;及

冷却された洗浄水の少なくとも一部を煙道ガス冷却セクションに戻す
ことを含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項5】
さらに、煙道冷却ガスセクションから除去する使用済み洗浄水の量を、煙道ガス冷却セ
クションに戻す冷却した洗浄水の量を調節することによって調節することを含んでなる、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
さらに、煙道ガス冷却セクションにおいて二酸化炭素除去済み煙道ガスから除去する水
の量を、含有する溶媒が低減された煙道ガスと接触される冷却された洗浄水の温度を調節
することによって調節することを含んでなる、請求項5記載の方法
【請求項7】
さらに、
煙道ガス冷却セクションと放出制御セクションとの間に配置した収集装置にて使用済み
洗浄水を収集し;
収集した使用済み洗浄水を収集装置から除去し;
除去した使用済み洗浄水の少なくとも一部を放出制御セクションに戻す
ことを含んでなる、請求項1記載の方法。
【請求項8】
さらに、
除去した使用済み洗浄水を熱交換器に供給し;
除去した使用済み洗浄水を冷却して、冷却された洗浄水を形成し;及び
冷却された洗浄水を煙道ガス冷却セクションに供給する
ことを含んでなる、請求項7記載の方法。
【請求項9】
さらに、放出制御セクションにおいて、二酸化炭素除去済み煙道ガスを、除去した使用
済み洗浄水及び水ストリームと向流接触させて、溶媒を含有する洗浄水を形成することを
含んでなる、請求項7記載の方法。
【請求項10】
さらに、
放出制御セクション内において、収集装置において溶媒含有洗浄水を収集し;及び
溶媒含有洗浄水の少なくとも一部を、放出制御セクションにおいて再利用する
ことを含んでなる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
放出制御セクションにおいて再利用する溶媒含有洗浄水の一部を、煙道ガス冷却セクシ
ョンからの使用済み洗浄水と合わせ、合わせた溶媒含有洗浄水及び使用済み洗浄水を放出
制御セクションに供給する、請求項10記載の方法。
【請求項12】
さらに、溶媒含有洗浄水の少なくとも一部を吸収塔の吸収剤床に供給することを含んで
なる、請求項10記載の方法。
【請求項13】
溶媒を含有する二酸化炭素吸収溶液との蒸気−液接触によって二酸化炭素が吸収、除去
された二酸化炭素除去済み煙道ガスから、吸収塔において、溶媒を回収するためのシステ
ムであって、前記システムは、
二酸化炭素除去済み煙道ガスから溶媒を回収し、溶媒を含有する洗浄水及び低減された溶媒を含有する煙道ガスを形成するため、溶媒を含有しない水ストリームを導入し、二酸化炭素除去済み煙道ガスと向流接触させるよう構成された、放出制御セクション;及び
低減された溶媒を含有する煙道ガスを冷却し、二酸化炭素除去済み煙道ガスから水を凝縮させ、これにより、冷却された煙道ガス及び使用済み洗浄水を形成するため、冷却された洗浄水を導入し、低減された溶媒を含有する煙道ガスと接触させるよう構成された煙道ガス冷却セクションを含んでなる、二酸化炭素除去済み煙道ガスからの溶媒回収システム。
【請求項14】
溶媒がアミン化合物である、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
さらに、放出制御セクションにおいて吸収される溶媒の量を、二酸化炭素除去済み煙道
ガスと接触する水ストリームの量を調節することによって調節するように設定されたコン
トローラーを含んでなる、請求項13記載のシステム。
【請求項16】
さらに、含有する溶媒が低減された煙道ガスから除去する水の量を、含有する溶媒が低
減された煙道ガスと接触する冷却された洗浄水の温度を調節することによって調節するよ
うに設定されたコントローラーを含んでなる、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
さらに、
煙道ガス冷却セクションと放出制御セクションとの間に配置された収集装置であって、
煙道ガス冷却セクションから使用済み洗浄水を集めるように設定された収集装置;
収集装置の液だめと液体連通する、集めた使用済み洗浄水を収集装置から除去するため
のポンプ;
ポンプと液体連通する、除去した使用済み洗浄水の少なくとも一部を冷却して、冷却さ
れた洗浄水を形成するための熱交換器;及び
吸収塔内に配置され、熱交換器と液体連通する液分配器であって、煙道ガス冷却セクシ
ョンにおいて、冷却された洗浄水を分配するように設定された液分配器
を含んでなる、請求項13記載のシステム。
【請求項18】
さらに、吸収塔内に配置され、ポンプと液体連通する第2の液分配器であって、放出制
御セクションにおいて、除去した使用済み洗浄水の少なくとも一部を分配するように設定
された第2の液分配器を含んでなる、請求項17記載のシステム。
【請求項19】
さらに、
放出制御セクションと吸収剤床との間に配置された収集装置であって、放出制御セクシ
ョンから溶媒含有洗浄水を集めるように設定された収集装置;
収集装置の液だめと液体連通する、集めた溶媒含有洗浄水を放出制御セクション除去す
るためのポンプ;及び
除去した溶媒含有洗浄水の少なくとも一部を第2の液分配器に導くためのライン
を含んでなる、請求項18記載のシステム。
【請求項20】
さらに、第2の液分配器に供給される再循環液体を含み、再循環液体が、放出制御セク
ションから除去した溶媒含有洗浄水の少なくとも一部及び煙道ガス冷却セクションからの
使用済み洗浄水の少なくとも一部を含むものである、請求項19記載のシステム。
【請求項21】
前記水ストリームを、前記二酸化炭素除去済み煙道ガスと向流に導入することは、さらに、前記放出制御セクションを出る際に前記煙道ガスの前記溶媒がかなり低くなるよう低減するために十分な水ストリームを提供することを含む、請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記水ストリームを、前記二酸化炭素除去済み煙道ガスと向流に導入することは、さらに、前記放出制御セクションの入口と出口の間の煙道ガスの温度変化が僅かとなるような温度で前記水ストリームを提供することを含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
前記放出制御セクションの入口と出口の間の煙道ガスの温度変化が僅かとなるよう、前記放出制御セクションで温度を調整する、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記水ストリーム循環流量を減じ、前記放出制御セクションの入口と出口の間の前記煙道ガスの僅かな温度変化を提供するため、前記放出制御セクションにおける、前記水ストリームと前記二酸化炭素除去済み煙道ガスとの間の前記溶媒濃度の勾配を調整する、請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記煙道ガス冷却セクションで除去された前記溶媒は僅かである、請求項1記載の方法。
【請求項26】
前記放出制御セクションへの前記除去された使用済み洗浄水の少なくとも一部の流量を調整することにより、前記放出制御セクションにおける、前記水ストリームと前記二酸化炭素除去済み煙道ガスとの間の前記溶媒濃度の勾配を調整する、請求項7記載の方法。
【請求項27】
前記除去された使用済み洗浄水の少なくとも一部が、前記放出制御セクションの上部に提供される、請求項7記載の方法。
【請求項28】
前記煙道ガス冷却セクションで除去された前記溶媒は僅かである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
溶媒を含有する二酸化炭素吸収溶液との蒸気−液接触によって、二酸化炭素が吸収、除去された二酸化炭素除去済み煙道ガスから、溶媒を回収する方法であって、前記方法は、
前記二酸化炭素除去済み煙道ガスから前記溶媒を回収し、溶媒を含有する洗浄水及び低減された溶媒を含有する煙道ガスを主に形成するため、実質的に溶媒を含有しない水ストリームを導入し、前記二酸化炭素除去済み煙道ガスと向流接触させ、;及び
低減された溶媒を含有する煙道ガスを主に冷却し、これにより、冷却された煙道ガス及び使用済み洗浄水を形成するため、冷却された洗浄水を導入し、低減された溶媒を含有する煙道ガスと向流接触させることを含んでなる、二酸化炭素除去済み煙道ガスからの溶媒の回収法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、米国仮特許出願第61/294,971号(2010年1月14日出願)の優先権を主張するものであり、その内容を本明細書に含める。
【0002】
本発明は、二酸化炭素(CO2)捕捉プロセス用の水洗システムに係る。さらに詳しくは、本発明は、CO2吸収後の煙道ガスを洗浄して、溶媒の放出を低減し、水の中立性を維持する方法及びシステムに係る。
【背景技術】
【0003】
空気汚染の制御及び環境に対する関心の見地から、石炭、石油、及び他の炭素燃料の燃焼から生ずる二酸化炭素(CO2)放出物の量及び濃度を低減する必要性が認められる。この目的のため、燃焼から生ずる煙道ガス(一般に「排気ガス」とも呼ばれる)から二酸化炭素を除去する方法が現在も開発されている。このような方法の1つは、溶媒水溶液を使用する煙道ガスからのCO2の吸収を利用するものである。溶媒の例として、アミン含有溶液が含まれる。アミンの例としては、例えば、アルカノールアミン、モノエタノールアミン等及びその組み合わせ及び混合物が含まれる(以下、「アミン類」又は「アミン化合物」と表示する)が、ただし、これらに限定されない。
【0004】
アミン類の使用による溶媒系のCO2除去法の例は、米国特許第5,318,758号に開示されている(参照して、その全体を本明細書に含める)。当該米国特許は、吸収塔において煙道ガスから二酸化炭素を吸収するための溶液として、アミン化合物の水溶液を使用することによって脱炭酸ガスを行う方法を提案している。
【0005】
一般に、煙道ガスからCO2を除去する溶媒系の方法は、ガス供給物ブロワーによって供給される煙道ガスを含み、煙道ガスを冷却塔によって冷却し、ついで、吸収塔に供給する。吸収塔のCO2吸収セクションでは、煙道ガスを、少なくとも1つのノズルを介して吸収溶液供給ポートを通って供給される吸収溶液と向流接触させる。その結果、煙道ガス中のCO2が吸収溶液によって吸収、除去される。CO2を吸収した吸収溶液を、吸収液排出ポンプによって、吸収溶液排出ポートを通って再生塔に送る。再生塔では、使用済み吸収溶液を再生し、再び、吸収溶液供給ポートを通って吸収塔に供給する。
【0006】
多くの溶媒系CO2捕捉プロセスは、溶媒と煙道ガスとの間の発熱反応を含み、この発熱反応は吸収塔における温度プロフィールにつながる。方法のパラメーターに応じて、塔における最大温度(「温度バルジ」としても知られている)が、吸収塔の頂部、底部又は中央セクションにおいて生ずる。この温度上昇のために、塔に沿うプロセスにおいて生ずるいくらかの溶媒損失がある。これらの溶媒損失は、主に、吸収塔の頂部から排出されつつある二酸化炭素除去済み煙道ガスを介して生ずる。
【0007】
アミン類のような化学溶媒によるCO2捕捉プロセスでは、この放出損失を低減するために、吸収塔の頂部に洗浄セクションを含めることができる。二酸化炭素除去済み煙道ガスを、吸収塔の頂部の洗浄セクションにおいて洗浄液と接触させ、ガス相から溶媒のいくらかを捕捉し、液相で回収する。この液相において回収された溶媒は、CO2吸収プロセスにおいて直接使用されるか、又は溶媒補給セクションに送られる。
【0008】
CO2吸収塔の上流におけるガス分離プロセスに応じて、吸収塔に入る煙道ガスはほとんど飽和状態である。溶媒能力を維持するためには、水の蓄積と共に、溶媒の損失を生ずることなくプロセスを実施することが重要である。吸収塔における過剰な水の蓄積は溶媒濃度の希釈につながり、その物質移動特性及び塔に沿った分圧の変化に影響を及ぼす。従って、確実に、プロセスに導入される水の量及び排出される水の量が非常に近似していること(「水の中立性」と呼ばれる)が重要である。既に知られている及び開示されている洗浄セクションは、低減された溶媒の中立性を提供するものではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここに記載する方法及びシステムは、少なくともこれらの課題を解決することが認められる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ここに示す態様によれば、吸収塔における溶媒を含有する二酸化炭素吸収溶液との蒸気−液接触によって、二酸化炭素が吸収、除去された二酸化炭素除去済み煙道ガスから、吸収塔の水洗セクションにおいて、溶媒を回収する方法であって、前記方法は、吸収塔の放出制御セクションにおいて、実質的に溶媒を含有しない水ストリームを、二酸化炭素除去済み煙道ガスと向流接触させ、二酸化炭素除去済み煙道ガスから溶媒を回収して、溶媒を含有する洗浄水及び含有する溶媒が低減された煙道ガスを形成し;及び吸収塔の煙道ガス冷却セクションにおいて、冷却された洗浄水を、含有する溶媒が低減された煙道ガスと向流接触させ、含有する溶媒が低減された煙道ガスを冷却し、これにより、冷却された煙道ガス及び使用済み洗浄水を形成することを含んでなる、二酸化炭素除去済み煙道ガスからの溶媒の回収法が提供される。
【0011】
ここに示す他の態様によれば、溶媒を含有する二酸化炭素吸収溶液との蒸気−液接触によって二酸化炭素が吸収、除去された二酸化炭素除去済み煙道ガスから溶媒を回収するためのシステムであって、前記システムは、実質的に溶媒を含有しない水ストリームを二酸化炭素除去済み煙道ガスと向流接触させ、二酸化炭素除去済み煙道ガスから溶媒を回収して、溶媒を含有する洗浄水及び含有する溶媒が低減された煙道ガスを形成するように設定された放出制御セクション;及び冷却された洗浄水を、含有する溶媒が低減された煙道ガスと向流接触させ、含有する溶媒が低減された煙道ガスを冷却し、及び二酸化炭素除去済み煙道ガスから水を凝縮させ、これにより、冷却された煙道ガス及び使用済み洗浄水を形成する煙道ガス冷却セクションを含んでなる、二酸化炭素除去済み煙道ガスからの溶媒回収システムが提供される。
【0012】
上記の及び他の特徴は、以下の図面及び詳細な説明によって例示される。
【0013】
図面を参照する(各図において、同様の部材については同様の符号を付している)。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ここに記載の具体例による水洗セクションを有するCO2吸収塔を示す。
図2】ここに記載の具体例による水洗セクションを有するCO2吸収塔を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、少なくとも1つの吸収剤床110及び水洗セクション112を有する吸収塔100を示す。この配置において、水洗セクション112は、少なくとも2つのセクション、すなわち、放出制御セクション114及び煙道ガス冷却セクション116に分割されている。
【0016】
煙道ガス118を吸収塔100に供給し、ガスは吸収塔の長さLの少なくとも一部の間を上昇する。少なくとも1つの吸収剤床110では、煙道ガス118中に存在する二酸化炭素(CO2)を、煙道ガスをCO2吸収溶液119と向流接触させることによって吸収する。1具体例では、CO2吸収溶液119はアミン含有溶液である。アミンの例としては、例えば、アルカノールアミン、モノエタノールアミン等、及びその組み合わせ及び/又は混合物が含まれるが、ただし、これらに限定されない(以下、「アミン類」又は「アミン化合物」という)。アミン含有溶液は、アンモニア系溶液によるCO2の捕捉に関与する化学反応の速度を促進するために促進剤を含むこともできる。例えば、促進剤としては、アミン(例えば、ピペラジン)又は酵素(例えば、炭酸脱水酵素又はその類似体)が含まれ、溶液の形又は固体又は半固体の表面上に固定化して使用される。
【0017】
煙道ガス118からのCO2の除去により、二酸化炭素除去済み煙道ガス120が形成される。二酸化炭素除去済み煙道ガス120は、例えば、蒸気の形のCO2吸収溶液を含有する(以下、「溶媒」という)。例えば、二酸化炭素除去済み煙道ガス120は、蒸気の形のアミン溶媒を含有する。
【0018】
二酸化炭素除去済み煙道ガス120における溶媒を吸収し、及びこれによって除去又は低減するために、二酸化炭素除去済み煙道ガス120を、吸収塔の長さLの少なくとも一部を上昇させ、水洗セクション112と遭遇させる。図1に示すように、二酸化炭素除去済み煙道ガス120は、二酸化炭素除去済み煙道ガスからの溶媒の低減又は除去を容易なものとする放出制御セクション114と遭遇する。
【0019】
放出制御セクション114は水ストリーム122(「補給水」ともいう)を含む。水ストリーム122は、相対的には、例えば、溶媒のような汚染物及び不純物を含むものではなく、二酸化炭素除去済み煙道ガス120からの溶媒の吸収を容易なものとする。図面には示していないが、水ストリーム122としては、プロセス自体の内部のいかなる部位からもの、例えば、再生器の凝縮物等を使用できる。
【0020】
二酸化炭素除去済み煙道ガスは吸収塔100の長さLの少なくとも一部を上昇し、水ストリームは吸収塔の少なくとも一部を下降するため、二酸化炭素除去済み煙道ガス120は水ストリーム122と接触する。
【0021】
水ストリーム122は、汚染物及び不純物を比較的含んでいないため、二酸化炭素除去済み煙道ガス120と水ストリームとの間の溶媒(例えば、アミン)濃度の勾配は大きく、結果として、二酸化炭素除去済み煙道ガスから溶媒が吸収され、含有する溶媒が低減された煙道ガス124が形成される。放出制御セクション114から排出される、含有する溶媒が低減された煙道ガス124は、ほとんど溶媒を含有しておらず、従って、蒸気相の溶媒の損失が低減される。この大きい濃度勾配により、放出制御セクション114についての水循環流量は非常に小さい。逆に、これは、放出制御セクション114から出る煙道ガス124の温度に影響を及ぼす。
【0022】
放出制御セクション114では、二酸化炭素除去済み煙道ガス120の入口温度と、含有する溶媒が低減された煙道ガス124の出口温度との間に最小の変化がある。従って、含有する溶媒が低減された煙道ガス124の温度を下げ、過剰の水を除去するために、煙道ガス124を煙道ガス冷却セクション116(煙道ガス124を水と接触させて、冷却された煙道ガス125を形成する)に供給する。水の中立性の維持、すなわち、吸収塔100から排出される水の量を、吸収塔に導入される水の量と同じ又は同様に保つことが、煙道ガス冷却セクション116によって容易なものとなる。煙道ガス124は、吸収塔100の長さLの少なくとも一部を上ることによって煙道ガス冷却セクション116に入る。
【0023】
煙道ガス冷却セクション116では、溶媒放出制御は最小であり、従って、煙道ガス冷却セクション116からの使用済み洗浄水126を、吸収塔100における他の部位で又は煙道ガスから汚染物を除去するプロセス全体において使用することができる。
【0024】
なお図1を参照すると、1具体例では、煙道ガス冷却セクション116は液分配器128を含む。液分配器128は、例えば、吸収塔100において洗浄水132を分散するためにノズル等を有するマニホルド130、及びさらに、吸収塔内において洗浄水を分散させるために液分配プレート134を含むことができる。
【0025】
煙道ガス冷却セクション116は、液分配器128の下に配置された充填トレー、プレート等のような物質移動装置136を含んでいてもよい。図1に示すように、物質移動装置136は、液分配プレート134の下に配置される。煙道ガス冷却セクション116は、物質移動装置136の下に配置された液収集プレートのような収集装置138(吸収塔100の長さLの少なくとも一部を下降した洗浄水132を集めるように機能する)を含んでいてもよい。収集装置138は洗浄水を液だめ140に供給し、ここで、洗浄水は使用済み洗浄水126として取り出される。
【0026】
ポンプ142は、収集装置138の液だめ140と液体連通している(例えば、パイピング、チュービング、ダクトネットワーク等によって)。ポンプ142は、収集装置138によって集められ、液だめ140に送られた水の除去を容易なものとする。
【0027】
熱交換器144はポンプ142と液体連通しており、使用済み洗浄水126の温度を低下して、冷却した液体145を形成するように設定されている。図1に示すように、冷却した液体145の少なくとも一部を、煙道ガス冷却セクション内で再循環させる。1具体例では、図1に示すように、冷却した洗浄水は、煙道ガス冷却セクション116に供給される洗浄水132を補足する。ただし、洗浄水132を、冷却した液体145のみで構成することができるため、システムは限定されない。
【0028】
さらに図1を参照すると、分岐ライン146がポンプ142及び収集装置138と液体連通している。分岐ライン146は、使用済み洗浄水126を全量ではなく、より少ない量として、冷却した後に煙道ガス冷却セクション116に戻すようにするために設置されている。例えば、使用済み洗浄水126の一部を熱交換器144に供給し、取り出した液体の一部を分岐ライン146に供給することができる。1実施例では、使用済み洗浄水126の50%を熱交換器144に供給し、使用済み洗浄水の50%を分岐ライン146に供給する。
【0029】
分岐ライン146は、水洗浄システム112から除去される使用済み洗浄水126の量を調節するため又は分岐ラインを通って流れる使用済み洗浄水の量を調節するために、1以上の制御弁148又は他の流量制御装置を含んでいてもよい。分岐ライン146に供給される使用済み洗浄水126を、リーン溶媒補給タンク(図示していない)又は吸収塔100の頂部(図示していない)に送ることができる。使用済み洗浄水126は、アミン溶媒をわずかに含有するか、全く含有しないため、煙道ガス処理システム全体内の他の部位においても使用される。
【0030】
煙道ガス浄化セクション116と同様に、放出制御セクション114も、放出制御セクションにおいて洗浄水を集めるための収集装置150を含む。収集装置150は物質移動装置152と吸収溶液分配器154との間に配置される。吸収溶液分配器154は、吸収剤床110を通るCO2吸収溶液119の分配を容易なものとする。煙道ガス118が吸収塔100の長さLの少なくとも一部を下降し、CO2吸収溶液が反対方向に移動するため、CO2吸収溶液119は煙道ガス118と向流接触する。
【0031】
さらに、図1における放出制御セクション114を参照すると、液分配器156(液分配装置ともいう)が吸収塔100内に配置され、水ストリーム122の源と液体連通している。液分配器156は、水ストリーム122を放出制御セクション114内で分配するように設定されている。
【0032】
分岐ライン158が、収集装置150の液だめ160と液体連通して配置されている。分岐ライン158は、分岐ライン146と液体連通していてもよく、放出制御セクション114から取り出される溶媒を含有する洗浄水161の量を調節するために、1以上の制御弁162又は流量制御装置を含むことができる。放出制御システム114からの溶媒含有洗浄水161は、リーン溶媒補給タンク(図示していない)に又は吸収塔100の頂部に送られるか、又は煙道ガスから汚染物を除去するシステム全体内で使用される。
【0033】
コントローラー164が、上記の1以上の部材と連絡していてもよい。コントローラー164は、例えば、一般的な用途のコンピューター、用途特化集積回路、又は空圧式、電気式又は機械式コントローラーである。コントローラー164は、溶媒の放出を制御し及び洗浄水システム112又はCO2除去システム全体において水の中立性を維持するために、1以上のシステムパラメーターを自動的に調節するように設定されている。例えば、図1に示すように、コントローラー164は、熱交換器144、ポンプ142又は流量制御弁148、162と連絡している。ただし、コントローラー164は他の部材と連絡していてもよいため、システムは限定されない。
【0034】
1具体例では、コントローラー164は、洗浄水システム112によって回収される溶媒(例えば、アミン)の量を、二酸化炭素除去済み煙道ガス120と接触される水ストリームの量を調節することによって調節するように設定されている。例えば、コントローラー164が溶媒放出又はシステムの溶媒損失が所定の基準値を満たしている又は超えていることを検出した場合、コントローラー164は、放出制御セクション114に添加する水ストリーム122の量を増大するように作動できる。
【0035】
他の具体例では、コントローラー164は、煙道ガス冷却セクション116において、二酸化炭素除去済み煙道ガス120と接触される洗浄水132の温度を調節し、これにより、含有する溶媒が低減された煙道ガス124から除去される水の量を調節することによって、水の中立性を制御するに設定されている。水の中立性は、例えば、水洗セクション122(水洗浄の中立性のため)又はCO2システム全体(システムの中立性のため)に添加される水ストリーム122の量を評価又は測定し、ガス冷却セクション116から除去される(例えば、ポンプ142又は分岐ライン146によって)水の量と比較することによっても制御される。
【0036】
コントローラー164によって行われる比較に応じて、コントローラーは、含有する溶媒が低減された煙道ガス124から除去される水の量を調節し、これにより、水の中立性を所望の範囲内に維持するために、洗浄水132の温度を(例えば、熱交換器144への洗浄水の流量を調節することによって)上昇又は低下することができる。コントローラー164は、例えば、吸収塔100において収集される溶媒の濃度を測定し、溶媒の濃度が特定の基準値を満足する場合には洗浄水の温度を調節することができる。
【0037】
他の具体例では、コントローラー164は、分岐ライン146に供給される使用済み洗浄水126の量を、流量制御弁148又はポンプ142の1以上を調節することによって制御することもできる。
【0038】
放出制御セクション114の液分配器156は、例えば、塔内において水ストリーム122を分散させるためのノズル等をもつマニホルド166、及び塔100内において洗浄水をさらに分配するための液分配プレート168を含んでなることができる。
【0039】
他の具体例では、図2に示すように、吸収塔100(先に詳述したように、洗浄セクション112及び関連する部材を含む)は、使用済み洗浄水の少なくとも一部を煙道ガス冷却セクション116に再循環し、取り出した液の少なくとも一部を放出制御セクション114に供給するように設定されている。
【0040】
図2に示すように、液だめ140はポンプ142と液体連通している。ポンプ142は、液だめ140から使用済み洗浄水126を取り出す。取り出した後、使用済み洗浄水126の一部を、先に詳述したように、熱交換器144に供給する。使用済み洗浄水126の他の部分を放出制御セクション114に供給する。
【0041】
放出制御セクション114に供給される使用済み洗浄液126の量は、煙道ガス冷却セクション116と放出制御セクション114との間に位置する制御弁170を開閉することによって制御される。制御弁170は手動的又は自動的に作動される。制御弁170をコントローラー164と連絡させて、ここに記載するような他の源によって放出制御セクション114に供給される洗浄水の量に関する情報、読み又は信号に基づいて制御弁170を開閉することができる。
【0042】
含有する溶媒が低減された煙道ガス124は、非常にわずかな量の溶媒を含有するか、全く含有しないため、煙道ガス124を接触した使用済み洗浄水126は非常に低い溶媒濃度を有するであろう。このように、使用済み洗浄水126は、煙道ガス冷却セクション116における再使用のために再循環されるか、又は放出制御セクション114に供給される。使用済み洗浄水126の再使用により、水ストリーム122の形で吸収塔に供給される新鮮な水及び洗浄水132の量が低減される。
【0043】
放出制御セクション114に供給される水の量を増大することによって、二酸化炭素除去済み煙道ガス120と向流接触する水の適切な循環及び分配が容易なものとなる。放出制御セクション114における水の適切な循環及び分配を維持することによって、二酸化炭素除去済み煙道ガス120から所望量の溶媒を除去できる。放出制御セクション114における適切な水の循環の維持は、使用済み洗浄水126を放出制御セクションに供給することによって達成される。これらの試みは、新鮮な水、例えば、水ストリーム122を放出制御セクションに供給することに関連するコストを増大させない。
【0044】
放出制御セクション114に供給される水ストリーム122の量をさらに低減するため、ポンプ172によって液だめ160から分岐ライン158に取り出した溶媒含有洗浄水161の少なくとも一部を、放出制御セクションの頂部に再循環及び供給することができる。
【0045】
図2に示すように、分岐ライン158における溶媒含有洗浄水161の少なくとも一部をライン174によって導き、使用済み洗浄水126の少なくとも一部と合わせて、再循環液体176を形成する。再循環液体176を、マニホルド166を介して放出制御セクション114の頂部に導入する。放出制御セクション114に導入されると、再循環液体176は、水ストリーム122と共に、吸収塔100の長さLの少なくとも一部を降下し、これにより、二酸化炭素除去済み煙道ガス120から溶媒を吸収し、煙道ガス124を形成する。
【0046】
放出制御セクション114に供給される溶媒含有洗浄水161の量は制御弁178によって調節される。図2に示すように、制御弁178はライン174に配置されるが、制御弁178を分岐ライン158に配置することもできる。制御弁178をコントローラー164と連絡させて、ここに記載するような他の源によって放出制御セクション114に供給される洗浄水の量に関する情報、読み又は信号に基づいて制御弁178を開閉することができる。
【0047】
上記の具体例は、下記の実施例において例示されるものであり、実施例は、記載した具体例の特定の態様を説明するために示すものである。実施例は、具体例を何れかの様式に限定するために示すものではない。
【実施例1】
【0048】
図1に示すシステムの効率を説明するために、水の中立性と共に、溶媒の放出に関する効果を示すように、シミュレーションを行った。このシミュレーションでは、〜260 Mwe(電気エネルギーメガワット)亜炭燃焼発電プラントから排出されるCO290%を含有する煙道ガスを使用した。要求される溶媒の放出を〜2ppmv(百万分容量部)と仮定した。入口における煙道ガスの条件に基づき、煙道ガス出口温度を、水の中立性を得るために、〜44.4℃(112°F)となるように算定する。シミュレーションでは、アミン含有吸収溶液を使用した。
【0049】
下記の表は、図1に示すシステムの効果を、一般的な方法、すなわち、ただ1つの洗浄水床を有する方法と比較して示すものである。一般的な方法では(下記のケース1)、循環を、水の中立性を提供するように、出口ガス温度に近いものとなるように維持することによって調節する場合には、溶媒の放出制御が達成されない(9ppmv:2ppmv)。一方、循環流量を、〜7ppmvの溶媒放出を提供するように調節する場合には(ケース3)、出口温度は水の中立性の制約を満足しない。図1に示すシステムでは、溶媒放出の制御及び水の中立性の両方が達成される。
【表1】
【実施例2】
【0050】
図2に示すシステムの効率を説明するために、水の中立性と共に、溶媒の放出に関する効果を示すように、シミュレーションを行った。図2のシステムを、図1によるシステムと同様に、一般的な方法、すなわち、ただ1つの洗浄水床を有する方法と比較した。
【0051】
一般的なフロースキームでは(下記のケース4)、循環を、水の中立性を提供するように、出口ガス温度に近いものとなるように維持することによって調節する場合には、溶媒の放出制御が達成されない(9ppmv:2ppmv)。循環流量を、〜7ppmvの溶媒放出を提供するように調節する場合には(ケース5)、煙道ガスの出口温度は水の中立性の制約を満足しない。図1によるシステムを使用することによって、溶媒放出の制御及び水の中立性の両方が達成されるが(ケース6)、溶媒放出率は、図2によるシステムを利用することによって、さらに低下される(ケース7)。
【表2】
【0052】
各種の例示的な具体例を参照して発明を記述したが、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、各種の変更をなし、その部材を均等物で置換できることが理解されるであろう。さらに、その本質的な範囲を逸脱することなく、本発明の教示に特別な状況及び物質を適合するように幾多の変形をなすことができる。従って、本発明は、この発明を実施するための最良の形態として示した特別な具体例に限定されるものではなく、本発明は特許請求の範囲の範囲に含まれる全ての具体例を含むものである。
図1
図2