特許第5881649号(P5881649)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881649
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】角膜移植片の挿入システム
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/14 20060101AFI20160225BHJP
【FI】
   A61F2/14
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-149315(P2013-149315)
(22)【出願日】2013年7月18日
(62)【分割の表示】特願2010-501188(P2010-501188)の分割
【原出願日】2008年3月26日
(65)【公開番号】特開2013-230391(P2013-230391A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2013年8月12日
(31)【優先権主張番号】11/692,835
(32)【優先日】2007年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507341183
【氏名又は名称】リヴィジョン・オプティックス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075270
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ディシュラー,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー,ネッド
(72)【発明者】
【氏名】レ,アラン・ゴク
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0004381(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0235430(US,A1)
【文献】 特表2009−524486(JP,A)
【文献】 特表2008−539033(JP,A)
【文献】 特表2008−531074(JP,A)
【文献】 特表2008−512208(JP,A)
【文献】 特表2008−512205(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0039993(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角膜移植片を送達デバイスに固定する方法であって、
先端部を有する送達デバイスであって、前記先端部が頂部遠位部分と底部遠位部分との間に保持空間を有する前記送達デバイスを提供する工程と、
角膜移植片が流体の表面張力によって実質的に応力のない形態で前記保持空間に保持されるように、前記角膜移植片及び前記流体を前記保持空間内に配置する工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記送達デバイス及び前記角膜移植片を、保管液を含む保管容器内に配置する工程を更に含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記送達デバイスの前記先端部にキャップを配置する工程を更に含む、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、前記角膜移植片の前面を前記頂部遠位部分に隣接させ、前記角膜移植片の後面を前記底部遠位部分に隣接させる工程を更に含む、方法。
【請求項5】
角膜移植片の挿入システムであって、
遠位端および近位端を有する送達デバイスと、
前記送達デバイスの前記遠位端における保持空間であって、頂部遠位部分と底部遠位部分との間に規定される前記保持空間と、
前記保持空間内に保持される角膜移植片と、
記保持空間内に配置された流体と、
を備え
前記保持空間及び前記角膜移植片は、前記角膜移植片が前記流体の表面張力によって実質的に応力のない形態で前記保持空間に保持されるように構成されている、
角膜移植片の挿入システム。
【請求項6】
請求項5に記載の挿入システムにおいて、前記保持空間は、前記角膜移植片の直径よりも大きな幅を有する、挿入システム。
【請求項7】
請求項5に記載の挿入システムにおいて、前記角膜移植片が1mmから7mmの直径を有する、挿入システム。
【請求項8】
請求項5に記載の挿入システムにおいて、前記保持空間の高さは、前記角膜移植片の中心厚さより大きい、挿入システム。
【請求項9】
請求項5に記載の挿入システムにおいて、前記送達デバイスの前縁は丸み付けされている、挿入システム。
【請求項10】
請求項5に記載の挿入システムにおいて、前記送達デバイスは、前記遠位端付近に隣接する湾曲部分を有する、挿入システム。
【請求項11】
請求項10に記載の挿入システムにおいて、前記湾曲部分は、第1の湾曲部であり、前記送達デバイスは、前記第1の湾曲部分の近位にある第2の湾曲部を有する、挿入システム。
【請求項12】
請求項5に記載の挿入システムにおいて、前記頂部遠位部分及び前記底部遠位部分は平坦である、挿入システム。
【請求項13】
請求項12に記載の挿入システムにおいて、前記平坦な頂部遠位部分と前記平坦な底部遠位部分とは、実質的に平行である、挿入システム。
【請求項14】
請求項5に記載の挿入システムにおいて、前記角膜移植片は、前面及び後面を有し、前記角膜移植片は、その前面が前記頂部遠位部分に隣接し、その後面が前記底部遠位部分に隣接するように、前記保持空間に保持される、挿入システム。
【請求項15】
請求項5に記載の挿入システムにおいて、前記送達デバイスは、前記頂部遠位部分を通るスロットであって、前記送達デバイスの前縁まで延在するスロットを有する、挿入システム。
【請求項16】
請求項15に記載の挿入システムにおいて、前記送達デバイスは、前記底部遠位部分を通る底部スロットであって、前記送達デバイスの前縁まで延在する底部スロットを更に有する、挿入システム。
【請求項17】
請求項1に記載の方法において、前記送達デバイスの近位端から前記保持空間まで延在するチャネルを介して流体を送達することを更に含み、送達された流体が前記保持空間から前記角膜移植片を押し出す、方法。
【請求項18】
請求項5に記載の挿入システムにおいて、前記送達デバイスの近位端から前記保持空間まで延在する流体チャネルを更に備える、挿入システム。
【請求項19】
請求項18に記載の挿入システムにおいて、前記送達デバイスの近位端は、流体供給デバイスに結合可能に構成されている、挿入システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明の分野は、全体として、角膜移植片に関し、より具体的には、角膜移植片の挿入システムに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]良く知られているように、ヒトの眼の異常は視覚障害に結び付く可能性がある。いくつかの代表的な異常としては、近視、遠視、および乱視に結び付く可能性がある眼の形状の変化、ならびに、老眼に結び付く可能性がある、水晶体の弾性の低下などの眼全体に存在する組織の変化が挙げられる。これらの異常に対処しようとする、角膜移植片を含む様々な技術が開発されてきた。
【0003】
[0003]角膜移植片は、角膜の形状を変えることによって視覚障害を補正することができる。角膜移植片はアンレーまたはインレーとして分類することができる。アンレーは、角膜の外側層、例えば上皮が移植片の上に成長し、それを包み込むことができるように、角膜の上に配置される移植片である。インレーは、例えば、角膜にフラップを切り込み、フラップの下にインレーを挿入することによって、角膜組織の一部分の下で角膜に外科的に埋め込まれる移植片である。インレーおよびアウトレーは両方とも、前部角膜の形状を変化させることによって、角膜とは異なる屈折率を有することによって、またはそれらの両方によって、角膜の屈折力を変えることができる。角膜はヒトの眼球系の中で最も屈折の強い光学素子であるので、角膜の前面を変えることは、屈折異常によって引き起こされる視覚障害を補正する特に有用な方法である。
【0004】
[0004]使用前の角膜移植片を保管し、外科処置中に角膜移植片を保管場所から取り出すための、改善された装置、システム、および方法が必要とされている。また、角膜移植片を角膜に送達し、角膜移植片を損傷することなく、角膜移植片を角膜の中または上の所望部位に精密に置くための、改善された装置、システム、および方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
[0005]本明細書において、角膜移植片を保管し、取り出し、角膜移植片を角膜の中または上に送達するための装置、システム、および方法が提供される。
[0006]一実施形態では、挿入システムは、角膜移植片を角膜の中または上の所望部位に送達する挿入器を備える。挿入器は、遠位端および近位端を有する細長い本体を備える。細長い本体は、その遠位端に、送達すべき角膜移植片を保持する保持空間を有する。保持空間は、細長い本体の頂部遠位部分と底部遠位部分との間に形成される。好ましい一実施形態では、移植片を水和させておき、かつ溶液の表面張力によって移植片を保持空間内で保持するため、溶液、例えば生理食塩水が、角膜移植片を含む保持空間をほぼ充填する。挿入器の細長い本体はまた、角膜の曲率に沿う湾曲部分と、挿入器と患者の顔の造作、例えば鼻との間に隙間を作るクリアランスベンド(clearance bend)とを有してもよい。
【0006】
[0007]一実施形態では、角膜移植片は挿入器の保持空間に事前装填され、事前装填済みの挿入器は、使用時まで、保管用流体、例えば生理食塩水で充填された保管容器内に保管される。一実施形態では、移植片が事前装填された後、キャップが挿入器の遠位端上に配置される。キャップは、挿入器の保持空間を取り囲んで、角膜移植片が保管中に保管流体内で保持空間から外れるのを防ぐ。角膜移植片を挿入器に事前装填することによって、外科医は、移植片のサイズが小さく壊れやすい性質であるために困難な、移植片の取出しと挿入器への移植片の取付けとを別個に行う必要がない。
【0007】
[0008]一実施形態による角膜移植片を送達する方法は、角膜移植片を含む挿入器を角膜の中または上の所望部位に位置付けることを含む。所望部位において、角膜移植片は、外科器具、例えばカニューレによって、挿入器の保持空間内で押さえつけられる。外科器具は、挿入器のスロットを介して保持空間内の移植片にアクセスする。角膜移植片が外科器具によって押さえつけられた状態で、挿入器は引込されて、角膜移植片が挿入器から解放され、角膜移植片が所望部位に置かれる。移植片を所望部位で押さえつけ、挿入器を引込して移植片を解放することによって、外科医は、移植片を所望位置に精密に置くことができる。
【0008】
[0009]本発明の他のシステム、方法、特徴、および利点は、以下の図面および詳細な説明を検討することで、当業者には明白になるであろう。そのような追加のシステム、方法、特徴、および利点はすべて本明細書に含まれ、本発明の範囲内にあり、かつ添付の特許請求の範囲によって保護されるものとする。また、本発明は、例示的実施形態の詳細に限定されないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による挿入器およびキャップを備える挿入システムの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態による挿入器上に配置されたキャップの斜視図である。
図3】本発明の一実施形態による挿入器の遠位端の側面図である。
図4】本発明の一実施形態による挿入器の遠位端の拡大斜視図である。
図5A】本発明の一実施形態による、角膜移植片を角膜上に置いている挿入器を示す図である。
図5B】角膜移植片を角膜上に置いている挿入器の拡大図である。
図5C】本発明の一実施形態による、角膜にフラップを形成することによって露出した角膜の内表面上に角膜移植片を置いている挿入器を示す図である。
図5D】本発明の一実施形態による、角膜に形成されたポケット内に角膜移植片を置いている挿入器を示す図である。
図6】本発明の一実施形態による、保管用流体で充填された容器に保管されている挿入器およびキャップを示す図である。
図7】本発明の一実施形態による、挿入器の近位端に取り付けられたルアーロックを備えた挿入器の斜視図である。
図8】本発明の一実施形態による、挿入器の近位端に接続された注射器を備えた挿入器の斜視図である。
図9】本発明の別の実施形態による挿入器の斜視図である。
図10】本発明の一実施形態による挿入器の遠位端の背面図である。
図11】本発明の一実施形態による、角膜移植片を角膜上に置いている挿入器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0024]図1〜5は、角膜移植片、例えばインレーを、角膜の中または上に送達するのに特に適した、一実施形態による挿入システムを示す。挿入システムは、移植片をその使用前に保管するのにも適している。挿入システムは、チタン、ステンレス鋼、プラスチック、または他の生体適合性材料で作られてもよい、細長い本体を有する挿入器100を含む。挿入器100は、ほぼ平面の頂面および底面を有する遠位部分を備える。挿入器100の遠位部分は、さらに後述するように、挿入器と患者の顔の造作(例えば、鼻、頬など)との間に隙間を作るように挿入器が曲げられた、クリアランスベンド104を含む。挿入器100の遠位部分はまた、さらに後述するように、患者の角膜の形状に沿うように輪郭が定められた湾曲部分103を含む。湾曲部分103は挿入器100の底面側では凹面になっている。
【0011】
[0025]挿入器100はさらに、挿入器によって送達される角膜移植片200を保持する保持空間101を含む。好ましくは、生理食塩水、BSS、または他の溶液(図示なし)が保持空間101内に配置されて、生理食塩水の表面張力によって移植片200がその中で保持される。生理食塩水は、毛細管力によって保持空間101内に留まり、それによって移植片が水和されて保たれる。挿入器はまた、図4に示されるように、頂部挿入器スロット102および底部挿入器スロット110を含む。後述するように、挿入器スロット102および110により、移植片200を精密に配置するために、外科医がスロットを介して患者の角膜を見ることができる。それに加えて、頂部挿入器スロット102により、外科医が、移植片200を保持空間101内で所望位置で押さえつけながら、挿入器100を引込して移植片200を解放することができる。外科医は、頂部挿入器スロット102を通り抜けることができる、カニューレ、シンスキーフック(Sinskey hook)、または他の器具などの外科器具を用いて移植片200を押さえつけてもよい。頂部挿入器スロット102は挿入器100の前縁111まで延在するので、挿入器100を引込しながら、器具が移植片200を押さえつけることができる。挿入器の前縁111は、角膜を損傷するのを防ぐため、好ましくは丸み付けされる。
【0012】
[0026]好ましい実施形態では、保持空間101の幅「w」は、図3に示されるような、挿入器100によって送達される移植片200の直径よりもわずかに大きい。例示的な一実施形態では、移植片200は約1.5mmの直径を有し、保持空間101の幅「w」は1.6〜1.7mmである。挿入器100の丸み付けされた前縁111は移植片200の外周に沿う。保持空間101の中心長さ「l」は移植片200の直径よりもわずかに大きい。図3に示されるように、中心長さ「l」は、前縁111の中心から保持空間101の奥壁113まで延在する。保持空間101の幾何学形状、および保持空間101内の生理食塩水の表面張力により、移植片200は挿入器100内でほぼ心合わせされて保たれる。保持空間101内の十分な生理食塩水が移植片を十分に水和させて保つことを確保するため、保持空間101の高さは移植片200の中心厚さの数倍であってもよい。
【0013】
[0027]挿入器100は、挿入器100を形成するように切断され曲げ加工されたロッドから製造されてもよい。一実施形態では、円筒状のチタンロッドが切断され曲げ加工されて、挿入器100が形成される。この実施形態では、挿入器100の近位部分はほぼ円筒状であり、挿入器100の遠位部分に向かって先細状になった角度を成す部分を有する。
【0014】
[0028]挿入器システムはさらに、テフロン(登録商標)(PTFE)で作られてもよい挿入器キャップ300を含む。一実施形態では、挿入器キャップ300はほぼ円筒状であり、図2に示されるように、挿入器100の側部を係合することによって、挿入器100の遠位端にぴったり嵌めることができる。
【0015】
[0029]好ましい一実施形態では、後で外科医が移植処置中に使用するため、移植片200は挿入器100に事前装填され、包装される。この実施形態では、移植片200は、移植片200の頂面が挿入器100の頂面に面するように向き付けられた状態で、挿入器100の保持空間101に事前装填される。移植片200は、移植片200および挿入器100の保持空間101の両方を溶液中に、例えば生理食塩水中に沈め、それらを両方とも沈めたまま移植片200を保持空間101に挿入することによって事前装填されてもよい。移植片200が挿入器100に事前装填された後、挿入器キャップ300が挿入器100の遠位端上に配置される。キャップ300は、保持空間101が依然として溶液に沈められたまま、挿入器100上に配置されてもよい。挿入器キャップ300と組み合わされた事前装填済みの挿入器100は、図6に示されるように、生理食塩水410もしくは他の適切な溶液で充填されたバイアル400または他の保管容器に入れられる。挿入器キャップ300は、生理食塩水410で充填されたバイアル400に入れられているとき、移植片200が挿入器100から外れるのを防ぐ。バイアル400は、キャップを閉められ、使用時まで挿入システムを保管するために殺菌された外装420に入れられる。
【0016】
[0030]次に、一実施形態による挿入システムを使用する移植処置について述べる。この実施形態では、事前装填済みの挿入器100は、外装420、および生理食塩水410で充填されたバイアル400から取り出される。次に、無菌の手術用スポンジ(図示なし)または他の吸収性材料を挿入器キャップ300の開放端上に配置することによって、挿入器キャップ300と挿入器101との間の空間内にある生理食塩水が取り除かれる。スポンジは、キャップ300と挿入器101との間の開口部を介する毛管作用によって、キャップ300の内部から生理食塩水を抜き取る。キャップ300がほぼ円筒形状を有する実施形態では、開口部は、円筒状のキャップ300と、挿入器100の平面の頂面および底面との間に形成される。生理食塩水は、キャップ300が依然として挿入器100上にある状態で、キャップ300と挿入器100との間の空間から取り除かれる。これは、キャップ300が挿入器100から取り外されるとき、毛管作用によってキャップ300が移植片200を挿入器100から引き抜いてしまうのを防ぐために行われる。生理食塩水が取り除かれた後、キャップ300は挿入器100から取り外される。この時点では、移植片200を水和させておくため、少量の生理食塩水またはBSSが挿入器100の保持空間101に加えられてもよい。生理食塩水は、毛細管力によって保持空間101内に留まり、それによって、処置の間、移植片200が水和されて保たれる。さらに、処置の間、移植片200が挿入器100から落ちないように、生理食塩水の表面張力によって移植片200が挿入器100の保持空間101内で保持される。この表面張力および保持空間101の幾何学形状によって、移植片200が挿入器100内で心合わせされて保たれる。外科医がより良好に挿入器100を保持できるように、図5Aに示されるように、ハンドル500が挿入器100の近位端に取り付けられてもよい。ハンドルは、使い捨てブレードに付けるハンドルに類似していてもよい。さらに、外科医は、挿入器100の形体に基づいて移植片の適切な向きを判断してもよい。例えば、挿入器100の、したがって移植片200の頂部が上向きのとき、挿入器100の湾曲部分103の凹面状の底面は下向きになっている。
【0017】
[0031]次に、外科医は、移植片200を患者の角膜に移植してもよい。角膜の内部にアクセスするため、フラップが角膜に切り込まれ、持ち上げられて、角膜の内部、例えば角膜の支質床(stroma bed)を露出させてもよい。この一例が図5Cに示されており、フラップ1120が角膜600に切り込まれ、角膜の支質床1100を露出させるように引き開けられている。フラップ1120はフラップヒンジ1110によって角膜600に付着されている。フラップ1120は、レーザー、例えばフェムト秒レーザー、機械的角膜切開刀を使用して、または手作業で切断されてもよい。角膜組織にフラップを形成するいくつかの方法、および他の関連情報は、「Method for Keratophakia Surgery」という名称の、2004年8月23日出願の同時係属中の米国特許出願第10/924,152号にさらに詳細に記載されており、その全体を参照により本明細書に組み込む。内部が露出すると、外科医は、角膜600上の所望部位に、例えば、図5Aに示されるように、患者の瞳孔または視軸に移植片200があるようにして、挿入器100を位置付ける。挿入器100を位置付ける前に、外科医は、生理食塩水を保持空間101から取り除かないように注意して、外科用スポンジを使用して挿入器100の外表面上の余分な流体を取り除いてもよい。クリアランスベンド104により、外科医が挿入器100を操作する際に挿入器が患者の顔の造作(例えば、鼻)を邪魔しないことが可能になっている。移植片200を精密に位置付けるため、外科医は、挿入器スロット102および110と透明である移植片200とを介して角膜600を見てもよい。移植片200が所望部位にあるとき、外科医は、外科用カニューレ、シンスキーフック、または他の器具610を使用して、底部スロット100を介して移植片200が角膜600の支質床に優しく触れるように、移植片200を角膜600上に押さえつける。この器具610は、図5Bに示されるように、頂部挿入器スロット102を介して移植片200を押さえつける。次に、外科医は、挿入器100を角膜600から引込して、移植片200を挿入器100から解放するとともに、移植片200を所望部位に置く。移植片200が精密に所望部位にない場合、外科医は、外科用スポンジ、先端が丸み付けされた器具、または他の器具を使用して、移植片200を所定位置へと優しく動かしてもよい。図5Cに示される例では、移植片200は患者の瞳孔1130上で心合わせされている。移植片200が正確に位置付けられた後、外科医はフラップ1120を移植片200の上に配置する。
【0018】
[0032]移植片200は、レーシック処置と同時にまたはレーシック後に移植されてもよい。レーシック処置の間にフラップが角膜に切り込まれるので、同じフラップが移植片200を移植するのに使用されてもよい。移植片200がレーシック後に移植される場合、レーシックフラップは再度開かれてもよく、または、挿入器100は、フラップとその下にある角膜組織との間で所望位置まで前進させられてもよい。この例では、レーシック処置は遠視力を補正するのに使用されてもよく、移植片は近視力を提供するのに使用される。さらなる詳細は、例えば、「Small Diameter Inlays」という名称の、2006年10月30日出願の米国特許出願第11/554,544号に見出すことができ、その明細書を参照により本明細書に組み込む。
【0019】
[0033]移植片200はまた、開いたフラップの代わりに閉じたフラップを介して移植されてもよい。この実施形態では、挿入器100の遠位部分は、フラップとその下にある角膜組織との間に挿入され、フラップとその下にある角膜組織との間で角膜の所望位置まで前進させられてもよい。挿入器100の遠位部分は、好ましくは、挿入器100が角膜創傷の伸長を引き起こさないように、薄い断面を有する。挿入器100の湾曲部分103は角膜の曲率に沿っており、角膜に対する応力を最小限に抑えながら、挿入器がフラップとその下にある角膜組織との間でより容易に動くことが可能になっている。さらに、挿入器100の頂面は、好ましくは、図3に示されるように、挿入器100の前縁111まで下向きに傾斜する下方傾斜部分(downward slopping portion)115を有する。この実施形態では、移植片200を所望部位で押さえつけ、移植片200を挿入器100から解放するため、外科用カニューレまたは他の器具も、フラップとその下にある角膜組織との間に挿入されてもよい。
【0020】
[0034]移植片200はまた、角膜の内部にアクセスする異なる方法を使用して移植されてもよい。例えば、角膜の内部は、角膜に切り込まれた層状のポケット、チャネル、または経路を介してアクセスされてもよい。さらなる詳細は、例えば、「Ocular Tissue Separation Areas With Barrier Regions For Inlays Or Other Refractive Procedures」という名称の、2006年6月1日出願の米国特許出願第11/421,597号に見出すことができ、その明細書を参照により本明細書に組み込む。角膜にポケットを作成する方法は、「Method of Creating Stromal Pockets for Corneal Implants」という名称の、2003年1月16日公開の米国特許出願公開第2003/0014042号に記載されており、その全体をやはり参照により本明細書に組み込む。例えば、挿入器は、角膜に切り込まれたチャネルまたはポケットに挿入され、チャネルを介して前進させられて、移植片を角膜内の所望部位で位置付けてもよい。移植片を所望部位で押さえつけるのに使用される外科用カニューレまたは他の器具のためのアクセスを提供するため、第2のチャネルも角膜に切り込まれてもよい。ポケットは、角膜移植片を受け入れるために角膜組織内に形成される陥凹部であり、角膜に形成されたチャネルを介してアクセスされてもよい。図5Dは、開口部710を介して角膜600に形成されたポケット700内に移植片200を配置している挿入器100の一例を示す。
【0021】
[0035]別の実施形態では、挿入器100は、挿入器100を通り、挿入器100の近位端から保持空間101まで延在するチャネルを含んでもよい。挿入器100の近位端は、チャネルを介して流体を保持空間101に送達するため、流体で、例えば生理食塩水で充填された注射器に接続されてもよい。この実施形態では、チャネルは保持空間101の後部に流体を送達してもよい。これにより、外科医が、少量の流体を保持空間101内に送達して移植片200を水和し、かつ/または、移植片200を挿入器100から解放するため、移植片200を保持空間101から優しく押し出すことが可能になる。例えば、移植片200が角膜上の所望部位にあるとき、外科医は、チャネルを介して流体を送達して、移植片200を挿入器101から解放する助けとしてもよい。これは、移植片200を押さえつけるのに使用される器具の代わりに、またはそれと併せて行われてもよい。図7は、注射器または他の流体送達デバイスの対応するルアーロックと噛合するように構成されたルアーロック810を挿入器100の近位端に備える、一実施形態による挿入器100を示す。図8は、チャネルを介して流体を送達するため、ルアーロック810を介して注射器820が挿入器100の近位端に接続された一実施形態を示す。
【0022】
[0036]図9および10は、別の実施形態による挿入器900の遠位部分を示す。この実施形態では、挿入器900は、角膜に送達するために移植片1000を中に保持するように構成された、カニューレ910またはチューブを備える。カニューレ910は、好ましくは、挿入器900によって送達される移植片1000の幅よりわずかに大きい幅を有する。カニューレ910はまた、好ましくは、移植片1000の厚さよりもわずかに大きい高さを有する。カニューレ910の遠位端920は、好ましくは、応力がかからない状態で移植片1000を保持するように形作られる。カニューレ910は、角膜の曲率に沿うように、その幅および/または長さに沿ってわずかに湾曲していてもよい。使用前に移植片1000が水和されていることを確保するため、かつ/または移植片1000を挿入器900から解放するため、挿入器900のチャネルを介して、流体が、例えば生理食塩水もしくはBSSが移植片1000に送達されてもよい。
【0023】
[0037]挿入器900はまた、移植片1000を角膜内の所望部位で押さえつけるため、外科用カニューレ、シンスキーフック、または他の器具をそこを介して使用することができる、頂部挿入器スロット930を含む。挿入器900はまた、図10に示されるように、移植片が押さえつけられているとき、移植片1000がそこを介して角膜に接触することができる底部開口部940を含む。好ましくは、カニューレ910による切断、およびカニューレの先端による角膜または移植片に対する損傷を防ぐため、カニューレ910の先端の縁部および角は平滑であり、丸み付けされる。外科医がより容易に取り扱えるようにするため、ハンドルが挿入器の近位端に取り付けられてもよい。さらに、挿入器900のチャネルを介して流体を移植片に送達するため、注射器または他の流体送達デバイスが挿入器900に接続されてもよい。図11は、クリアランスベンド945と、例えば流体送達デバイスを挿入器910に接続するため、挿入器910の近位端に任意のルアーロック960を備えた細長い部分950とを含む、挿入器910全体を示す。
【0024】
[0038]移植片1000は、上述のものに類似した処置を使用して角膜に移植されてもよい。例えば、フラップが角膜に切り込まれ、角膜の支質床を露出させるように持ち上げられてもよい。次に、外科医は、挿入器900を使用して移植片1000を所望部位に位置付けてもよい。移植片1000が所望位置にあるとき、外科医は、外科用カニューレまたは他の器具を使用して、頂部挿入器スロット930を介して移植片1000を保持してもよい。外科医は、移植片1000の底面が角膜に接触するようにして、挿入器900の底部開口部940を介して移植片1000を押さえつけてもよい。移植片1000が所望部位で押さえつけられた状態で、外科医は、挿入器900を引込して移植片1000を角膜上に置く。外科医はまた、挿入器のチャネルを介して移植片1000に流体を送達して、移植片1000を挿入器900から解放してもよい。移植片1000が正確に位置付けられた後、外科医はフラップを移植片1000の上に配置する。図11は、移植片1000を所望部位に置くため、角膜の所望部位の上に位置付けられた挿入器900の一例を示す。
【0025】
[0039]移植片1000はまた、角膜内の所望位置にアクセスするために角膜に切り込まれたチャネル、ポケット、または経路を介して移植することを含む、他の処置を使用して移植されてもよい。これらの処置では、挿入器900は、チャネル、ポケット、または経路を介して所望位置まで動かされてもよい。挿入器900の断面が薄いことにより、挿入器900が、チャネル、ポケット、または経路を介して前進させられる際の、角膜に対する応力が最小限に抑えられる。移植片1000を所望部位で押さえつけるのに使用される外科器具のためのアクセスを提供するため、第2のチャネルも角膜に切り込まれてもよい。
【0026】
[0040]本明細書に記載される挿入器システムは、様々なタイプの角膜移植片を移植するのに使用されてもよい。例えば、挿入器システムは、眼内レンズなど、角膜の内部深くに、またはインレーなど、より深いところに角膜移植片を移植するのに使用されてもよい。挿入器システムはまた、角膜の表面上にアンレーを配置するのに使用されてもよい。したがって、挿入器システムは、角膜内の様々な深さで、様々な剛性、サイズ、および性質の角膜移植片を移植するのに使用されてもよい。角膜移植片は、インレー、レンズなどであってもよい。
【0027】
[0041]上述の明細書において、特定の実施形態を参照して本発明を記載してきた。しかし、本発明のより広範な趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な修正および変更を行ってもよいことが明白であろう。別の例として、一実施形態の特徴はそれぞれ、他の実施形態に示される他の特徴と混合し適合させることができる。さらに別の例として、方法の実施形態における工程の順序が変更されてもよい。当業者には知られている特徴およびプロセスが、同様に、所望に応じて組み込まれてもよい。それに加えて、かつ当然ながら、所望に応じて特徴が付加されたり差し引かれてもよい。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物に照らしたものを除いて限定されないものとする。
[形態1]
遠位端および近位端を有する細長い本体と、
前記細長い本体の前記遠位端における、角膜移植片を中に保持するように構成された保持空間であって、前記細長い本体の頂部遠位部分と底部遠位部分との間に規定される保持空間と、
前記細長い本体の前記頂部遠位部分を通るスロットであって、前記細長い本体の前縁まで延在するスロットとを備える、角膜移植片の挿入システム。
[形態2]
形態1に記載の挿入システムにおいて、前記保持空間が、前記挿入器によって送達される前記角膜移植片の直径よりも20パーセント増し以下の幅を有する挿入システム。
[形態3]
形態1に記載の挿入システムにおいて、前記細長い本体の前記頂部遠位部分が前記前縁に向かって下向きに傾斜している挿入システム。
[形態4]
形態1に記載の挿入システムにおいて、前記前縁が半円である挿入システム。
[形態5]
形態1に記載の挿入システムにおいて、前記細長い本体の前記遠位部分を通る底部スロットをさらに備える挿入システム。
[形態6]
形態5に記載の挿入システムにおいて、前記底部スロットが、前記細長い本体の前記前縁まで延在し、前記頂部遠位部分を介して前記スロットとほぼ整列された挿入システム。
[形態7]
形態1に記載の挿入システムにおいて、前記細長い本体が材料の単一片から作られる挿入システム。
[形態8]
形態7に記載の挿入システムにおいて、前記材料がチタンを含む挿入システム。
[形態9]
形態1に記載の挿入システムにおいて、前記細長い本体が前記遠位端付近に湾曲部分を有する挿入システム。
[形態10]
形態9に記載の挿入システムにおいて、前記細長い本体の前記湾曲部分が角膜の曲率にほぼ適応する挿入システム。
[形態11]
形態9に記載の挿入システムにおいて、前記細長い本体が前記湾曲部分に近接した曲げ部分を有する挿入システム。
[形態12]
形態1に記載の挿入システムにおいて、前記細長い本体を通り、前記保持空間から前記近位端まで延在するチャネルをさらに備える挿入システム。
[形態13]
形態12に記載の挿入システムにおいて、前記チャネルを流体送達デバイスに接続する、前記細長い本体の前記近位端に取り付けられたルアーロックをさらに備える挿入システム。
[形態14]
形態1に記載の挿入システムにおいて、前記細長い部材の前記保持空間内で保持される角膜移植片をさらに含む挿入システム。
[形態15]
形態14に記載の挿入システムにおいて、前記角膜移植片が1mmから7mmの直径を有する挿入システム。
[形態16]
形態15に記載の挿入システムにおいて、前記保持空間が、前記角膜移植片の直径よりも20パーセント増し以下の幅を有する挿入システム。
[形態17]
形態14に記載の挿入システムにおいて、前記細長い本体の前記遠位端上に配置されるキャップをさらに備え、前記キャップが前記細長い本体の前記保持空間をほぼ取り囲む挿入システム。
[形態18]
形態17に記載の挿入システムにおいて、少なくとも部分的に流体で充填された保管容器をさらに備え、前記キャップおよび前記細長い本体の前記保持空間が前記流体に沈められる挿入システム。
[形態19]
形態18に記載の挿入システムにおいて、前記流体が生理食塩水を含む挿入システム。
[形態20]
角膜移植片を送達する方法であって、
前記角膜移植片を受け入れる部位を角膜の上または中に形成する工程と、
角膜移植片を中に含むとともに、前記細長い本体の頂部遠位部分と底部遠位部分との間に規定される保持空間を備える挿入器の遠位端を、前記部位に位置付ける工程と、
前記挿入器の前記保持空間から前記角膜移植片を取り除く工程と、
前記角膜移植片を前記部位で前記角膜の上または中に置く工程とを含む、方法。
[形態21]
形態20に記載の方法において、前記挿入器が、前記頂部遠位部分を通り、前記挿入器の前縁まで延在するスロットをさらに備え、前記方法が、
前記保持空間内の前記角膜移植片を、前記スロットを介して外科器具を用いて押さえつける工程と、
前記角膜移植片を前記角膜の上または中に置くため、前記挿入器を前記角膜から引込する工程とをさらに含む方法。
[形態22]
形態20に記載の方法において、
前記角膜にフラップを形成する工程と、
角膜床を露出させるため、前記フラップを持ち上げる工程と、
前記角膜移植片を前記角膜床上に配置する工程と、
前記フラップを前記角膜床上の前記角膜移植片の上に置く工程とをさらに含む方法。
[形態23]
形態20に記載の方法において、
前記部位までのチャネルを前記角膜内に形成する工程と、
前記部位にアクセスするため、前記チャネルを介して前記挿入器の前記遠位端を前進させる工程とをさらに含む方法。
[形態24]
形態20に記載の方法において、
前記角膜移植片を受け入れるため、前記角膜内にポケットを形成する工程と、
前記挿入器の前記遠位端を前記ポケットに前進させる工程とをさらに含む方法。
[形態25]
形態20に記載の方法において、前記角膜移植片を含む前記保持空間が溶液でほぼ充填され、前記流体の表面張力によって前記角膜移植片が前記保持空間内で保持される方法。
[形態26]
形態25に記載の方法において、前記溶液が生理食塩水を含む方法。
[形態27]
角膜移植片を送達デバイスに固定する方法であって、
先端部を有する送達デバイスであって、前記先端部が頂部遠位部分と底部遠位部分との間に保持空間を有する前記送達デバイスを提供する工程と、
角膜移植片が流体の表面張力によって応力のない形態で前記保持空間に保持されるように、前記角膜移植片及び前記流体を前記保持空間内に配置する工程と、
を含む、方法。
[形態28]
形態27に記載の方法において、前記送達デバイス及び前記角膜移植片を、保管液を含む保管容器内に配置する工程を更に含む、方法。
[形態29]
形態27に記載の方法において、前記送達デバイスの前記先端部にキャップを配置する工程を更に含む、方法。
[形態30]
形態27に記載の方法において、前記角膜移植片の前面を前記頂部遠位部分に隣接させ、前記角膜移植片の後面を前記底部遠位部分に隣接させる工程を更に含む、方法。
[形態31]
角膜移植片の挿入システムであって、
遠位端および近位端を有する送達デバイスと、
前記送達デバイスの前記遠位端における保持空間であって、頂部遠位部分と底部遠位部分との間に規定される前記保持空間と、
前記保持空間内に保持される角膜移植片と、
前記角膜移植片が流体の表面張力によって応力のない形態で前記保持空間に保持されるように、前記保持空間内に配置された流体と、
を備える、角膜移植片の挿入システム。
[形態32]
形態31に記載の挿入システムにおいて、前記保持空間は、前記角膜移植片の直径よりも大きな幅を有する、挿入システム。
[形態33]
形態31に記載の挿入システムにおいて、前記角膜移植片が1mmから7mmの直径を有する、挿入システム。
[形態34]
形態31に記載の挿入システムにおいて、前記保持空間の高さは、前記角膜移植片の中心厚さより大きい、挿入システム。
[形態35]
形態31に記載の挿入システムにおいて、前記送達デバイスの前縁は丸み付けされている、挿入システム。
[形態36]
形態31に記載の挿入システムにおいて、前記送達デバイスは、前記遠位端付近に隣接する湾曲部分を有する、挿入システム。
[形態37]
形態36に記載の挿入システムにおいて、前記湾曲部分は、第1の湾曲部であり、前記送達デバイスは、前記第1の湾曲部分の近位にある第2の湾曲部を有する、挿入システム。
[形態38]
形態31に記載の挿入システムにおいて、前記頂部遠位部分及び前記底部遠位部分は平坦である、挿入システム。
[形態39]
形態38に記載の挿入システムにおいて、前記平坦な頂部遠位部分と前記平坦な底部遠位部分とは、実質的に平行である、挿入システム。
[形態40]
形態31に記載の挿入システムにおいて、前記角膜移植片は、前面及び後面を有し、前記角膜移植片は、その前面が前記頂部遠位部分に隣接し、その後面が前記底部遠位部分に隣接するように、前記保持空間に保持される、挿入システム。
[形態41]
形態31に記載の挿入システムにおいて、前記送達デバイスは、前記頂部遠位部分を通るスロットであって、前記送達デバイスの前縁まで延在するスロットを有する、挿入システム。
[形態42]
形態31に記載の挿入システムにおいて、前記送達デバイスは、前記底部遠位部分を通る底部スロットであって、前記送達デバイスの前縁まで延在する底部スロットを更に有する、挿入システム。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7
図8
図9
図10
図11