(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
入力電圧が供給されるスイッチ回路、前記スイッチ回路と出力電圧を出力する出力端との間に接続されたコイル、及び前記スイッチ回路と前記コイルとの間のノードとグランドに接続された電源線との間に接続され、ダイオードと抵抗との直列回路を含むコンバータ部と、
前記出力電圧に応じたフィードバック電圧と参照電圧とを比較し、その比較結果に応じて前記スイッチ回路をオンオフ制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記スイッチ回路のオフ期間に前記ダイオード及び前記抵抗を介して前記コイルに流れるコイル電流の傾斜を前記ノードの電圧に基づいて検出し、該検出されたコイル電流の傾斜に応じたスロープ電圧を生成する電流傾斜検出回路と、
前記スロープ電圧を前記出力電圧に応じた電圧に付加して前記フィードバック電圧を生成する、又は前記スロープ電圧を前記出力電圧に応じて設定された基準電圧に付加して前記参照電圧を生成する加算回路と、
前記入力電圧及び前記出力電圧に基づいて、前記スイッチ回路のオン期間を決定するタイマ回路と、
を備える、電源装置。
出力電圧に応じたフィードバック電圧と参照電圧とを比較し、その比較結果に応じて、入力電圧が供給されるスイッチ回路をオンオフ制御する電源装置の制御方法であって、
前記スイッチ回路のオフ期間に、前記スイッチ回路と前記出力電圧が出力される出力端との間に接続されたコイルに、前記スイッチ回路と前記コイルとの間のノードとグランドに接続された電源線との間に接続されるダイオード及び抵抗を介して流れるコイル電流の傾斜を、前記ノードの電圧に基づいて検出し、
その検出結果に応じたスロープ電圧を生成し、
前記スロープ電圧を前記出力電圧に応じた電圧に付加して前記フィードバック電圧を生成する、又は前記スロープ電圧を前記出力電圧に応じて設定された基準電圧に付加して前記参照電圧を生成し、
前記入力電圧及び前記出力電圧に基づいて、前記スイッチ回路のオン期間を決定する、
ことを特徴とする電源装置の制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態を
図1〜
図5に従って説明する。
図1に示すように、DC−DCコンバータは、入力電圧Viに基づいて出力電圧Voを生成するコンバータ部11と、出力電圧Voに基づいてコンバータ部11を制御する制御回路12とを含む。
【0011】
コンバータ部11は、トランジスタT1,T2、コイルL1、コンデンサC1を含む。入力電圧Viが供給される入力端子Piと、出力電圧Voを出力する出力端子Poとの間は、メイン側のトランジスタT1とコイルL1が直列に接続されている。また、入力端子Piと、入力電圧Viより低い電圧を供給するための電源線との間にはメイン側のトランジスタT1と同期側のトランジスタT2が直列に接続されている。
【0012】
メイン側のトランジスタT1及び同期側のトランジスタT2はNチャネルMOSトランジスタである。トランジスタT1の第1端子(ドレイン)は入力電圧Viが供給される入力端子Piに接続され、トランジスタT2の第2端子(ソース)はトランジスタT2の第2端子(ドレイン)に接続され、トランジスタT2の第1端子(ソース)は入力電圧Viより低い電位の電源線(本実施形態ではグランド)に接続されている。トランジスタT1の制御端子(ゲート)には制御回路12から制御信号DHが供給され、トランジスタT2の制御端子(ゲート)には制御回路12から制御信号DLが供給されている。
【0013】
トランジスタT1,T2は、制御信号DH,DLに応答してオンオフする。制御回路12は、メイン側のトランジスタT1と同期側のトランジスタT2を相補的にオンオフするように制御信号DH,DLを生成する。つまり、トランジスタT1,T2はスイッチ回路の一例として挙げられる。そして、制御回路12は、スイッチ回路としての機能を有するトランジスタT1をオンオフするスイッチ制御回路を含む。
【0014】
両トランジスタT1,T2間の接続点は、コイルL1の第1端子(入力側端子)に接続され、コイルL1の第2端子は出力端子Poに接続されている。また、コイルL1の第2端子(出力側端子)は平滑用コンデンサC1の第1端子に接続され、コンデンサC1の第2端子はグランドに接続されている。コンデンサC1は、出力電圧Voを平滑化する平滑回路に含まれる。
【0015】
メイン側のトランジスタT1がオンし同期側のトランジスタT2がオフした場合、コイルL1に入力電圧Viと出力電圧Voとの差に応じたコイル電流ILが流れ、コイルL1にはエネルギー(電力)が蓄積される。メイン側のトランジスタT1がオフし同期側のトランジスタT2がオンすると、コイルL1は蓄えたエネルギを放出し、そのコイルL1に誘導電流(コイル電流IL)が流れる。制御回路12は、帰還される出力電圧Voに基づいて、制御信号DH,DLのパルス幅を調整する。
【0016】
次に、本実施形態の制御回路の構成を説明する。
制御回路12は、比較器(コンパレータ)21、RS−フリップフロップ回路(RS−FF回路)22、タイマ回路23、駆動回路24、ドライバ回路25,26、電流傾斜検出回路27、加算回路28、抵抗R1,R2、基準電源E1を含む。
【0017】
比較器21の反転入力端子には、出力電圧Voに基づく電圧が供給される。本実施形態では、抵抗R1,R2により生成された電圧が供給される。抵抗R1の第1端子に出力電圧Voが帰還され、抵抗R1の第2端子は抵抗R2の第1端子に接続され、抵抗R2の第2端子はグランドに接続されている。抵抗R1と抵抗R2の間の接続点は比較器21の反転入力端子に接続されている。抵抗R1,R2は、それぞれの抵抗値に応じて、出力電圧Voを分圧した電圧(分圧電圧,フィードバック電圧)VFBを生成する。このフィードバック電圧VFBの値は、抵抗R1,R2の抵抗値の比と、出力電圧Voとグランドの電位に対応する。従って、抵抗R1,R2は、出力電圧Voに比例したフィードバック電圧VFBを生成する。
【0018】
比較器21の非反転入力端子には、参照電圧VR1が供給される。比較器21は、フィードバック電圧VFBと参照電圧VR1とを比較し、その比較結果に応じた信号Vc1を生成する。本実施形態において、比較器21は、フィードバック電圧VFBが参照電圧VR1よりも低いときにHレベルの信号Vc1を生成し、フィードバック電圧VFBが参照電圧VR1よりも高いときにLレベルの信号Vc1を生成する。この信号Vc1は、RS−FF回路22に供給される。
【0019】
RS−FF回路22は、セット端子に信号Vc1が供給され、リセット端子に信号S2が供給される。RS−FF回路22は、Hレベルの信号Vc1に応答してHレベルの信号S1を出力し、Hレベルの信号S2に応答してLレベルの信号S1を出力する。つまり、RS−FF回路22に対して、信号Vc1はセット信号であり、信号S2はリセット信号である。RS−FF回路22から出力される信号S1は、タイマ回路23と駆動回路24に供給される。
【0020】
タイマ回路23は、Hレベルの信号S1に応答して、その信号S1の立ち上がりタイミングから所定時間経過後にHレベルのパルス信号S2を出力する。所定時間は、例えば、入力電圧Viと出力電圧Voに依存する時間である。つまり、タイマ回路23は、信号S1の立ち上がりタイミングから、入力電圧Viと出力電圧Voに依存した時間経過後にHレベルのパルス信号S2を出力する。上記のRS−FF回路22は、Hレベルの信号S2に応答してLレベルの信号S1を出力する。この結果、RS−FF回路22から出力される信号S1は、入力電圧Viと出力電圧Voに依存した期間、Hレベルとなる。即ち、タイマ回路23は、RS−FF回路22から出力される信号S1のパルス幅を決定する。
【0021】
タイマ回路23の一例を
図2に従って説明する。
図2に示すように、タイマ回路23は、オペアンプ31,32、インバータ回路33、コンデンサC11、抵抗R11、トランジスタT11〜T14を含む。
【0022】
オペアンプ31の非反転入力端子には入力電圧Viが供給されている。オペアンプ31の反転入力端子は抵抗R11の第1端子に接続され、その抵抗R11の第2端子はグランドに接続されている。また、抵抗R11の第1端子はトランジスタT11に接続されている。トランジスタT11はNチャネルMOSトランジスタであり、ソースが抵抗R11に接続され、ゲートがオペアンプ31の出力端子に接続され、ドレインはトランジスタT12に接続されている。
【0023】
抵抗R11の両端子間には、この抵抗R11に流れる電流と抵抗値に応じた電位差が生じる。オペアンプ31は、抵抗R11とトランジスタT11の間のノードの電位を、入力電圧Viと等しくするように、トランジスタT11のゲート電圧を生成する。従って、トランジスタT11には、入力電圧Viに応じた電流が流れる。
【0024】
トランジスタT12はPチャネルMOSトランジスタであり、ソースにバイアス電圧VBが供給され、ドレインはトランジスタT11に接続され、ゲートは同トランジスタT12のドレインとトランジスタT13のゲートに接続されている。トランジスタT13はトランジスタT12と同型のMOSトランジスタであり、ソースにバイアス電圧VBが供給されている。従って、トランジスタT12とトランジスタT13はカレントミラー回路に含まれ、このカレントミラー回路は、両トランジスタT12,T13の電気的特性に応じて、トランジスタT11に流れる電流と比例した電流をトランジスタT13に流す。
【0025】
トランジスタT13のドレインはコンデンサC11の第1端子とトランジスタT14に接続され、コンデンサC11の第2端子はグランドに接続されている。トランジスタT14はNチャネルMOSトランジスタであり、ソースがグランドに接続され、ドレインがトランジスタT13、即ちコンデンサC11の第1端子に接続されている。つまり、トランジスタT14はコンデンサC11に並列接続されている。
【0026】
トランジスタT14のゲートには、インバータ回路33により信号S1を論理反転した信号S1xが供給されている。信号S1は、
図1に示すRS−FF回路22から出力される信号であり、信号S1がHレベルであるときにメイン側のトランジスタT11がオンし、信号S1がLレベルであるときにメイン側のトランジスタT11がオフする。
【0027】
一方、トランジスタT14は、信号S1xがHレベルであるとき、つまり信号S1がLレベルである時にオンし、信号S1xがLレベル(信号S1がHレベル)であるときにオフする。コンデンサC11にはトランジスタT13から入力電圧Viに依存した電流が供給される。そして、オンしたトランジスタT14は、コンデンサC11の両端子を互いに接続するため、コンデンサC11の第1端子はグランドレベルとなる。トランジスタT14がオフすると、コンデンサC11は、トランジスタT13から供給される電流により充電される。この結果、コンデンサC11の第1端子のレベルは、グランドレベルから入力電圧Viに応じて上昇する。
【0028】
即ち、タイマ回路23は、
図1に示すメイン側のトランジスタT11がオフしているときにコンデンサC11の両端子間を短絡して、ノードN12の電圧Vn1をグランドレベルにリセットする。そして、トランジスタT11がオンすると、コンデンサC11の充電を開始する。その結果、ノードN12の電圧Vn1が入力電圧Viに応じて上昇する。
【0029】
ノードN12はオペアンプ32の非反転入力端子に接続され、オペアンプ32の反転入力端子には出力電圧Voが供給されている。オペアンプ32は、ノードN12の電圧Vn1と出力電圧Voとを比較し、その比較結果に応じた信号S2を出力する。上記のように、ノードN12の電圧Vn1は入力電圧Viに応じて変化する。オペアンプ32は、電圧Vn1が出力電圧Voよりも低いときにLレベルの信号S2を出力し、電圧Vn1が出力電圧Voよりも高くなるとHレベルの信号S2を出力する。そして、電圧Vn1は、メイン側のトランジスタT1がオンすると上昇する。従って、トランジスタT1がオンしてからHレベルの信号S2が出力されるまでの期間は、入力電圧Viと出力電圧Voに依存する。
【0030】
尚、コンデンサC11を充電するための電流、即ちトランジスタT11に流れる電流は、入力電圧Viに比例する。その結果、トランジスタT1がオンしてからHレベルの信号S2が出力されるまでの期間は、入力電圧Viに反比例する。そして、オペアンプ32は電圧Vn1と出力電圧Voを比較するため、トランジスタT1がオンしてからHレベルの信号S2が出力されるまでの期間は、出力電圧Voに比例する。つまり、トランジスタT1がオンしている期間(オン期間)は、入力電圧Viに反比例し、出力電圧Voに比例する。トランジスタT1がオフしている期間(オフ期間)は、出力電圧Voに反比例する。従って、制御回路12は、ほぼ一定のスイッチング周波数となるよう制御する。
【0031】
図1に示すように、駆動回路24は、信号S1に基づいて、コンバータ部11のトランジスタT1,T2を、相補的にオンオフするように、制御信号SH,SLを生成する。なお、駆動回路24において、両トランジスタT1,T2が同時にオンしないように、制御信号SH,SLにデッドタイムを設定してもよい。ドライバ回路25は、高電位側の電源端子にバイアス電圧VBが供給され、低電位側の電源端子がコンバータ部11のトランジスタT1,T2間のノードに接続されている。ドライバ回路25は、制御信号SHに応答して制御信号DHを出力する。ドライバ回路26は、高電位側の電源端子にバイアス電圧VBが供給され、低電位側の電源端子がグランドに接続されている。ドライバ回路26は、制御信号SLに応答して制御信号DLを出力する。
【0032】
本実施形態において、駆動回路24は、Hレベルの信号S1に応答してHレベルの信号SHとLレベルの信号SLを出力し、Lレベルの信号S1に応答してLレベルの信号SHとLレベルの信号SLを出力する。メイン側のトランジスタT1は、Hレベルの信号SHに基づく制御信号DHに応答してオンし、Lレベルの信号SHに基づく制御信号DHに応答してオフする。同様に、同期側のトランジスタT2は、Hレベルの信号SLに基づく制御信号DLに応答してオンし、Lレベルの信号SLに基づく制御信号DLに応答してオフする。
【0033】
上記のコンパレータ21は、出力電圧Voが参照電圧VR1より低くなるとHレベルの信号Vc1を出力し、RS−FF回路22は、その信号Vc1に応答してHレベルの信号S1を出力する。タイマ回路23は、Hレベルの信号S1が出力されてから所定時間経過後にHレベルの信号S2を出力し、RS−FF回路22はその信号S2に応答してLレベルの信号S1を出力する。駆動回路24は、信号S1に応答してトランジスタT1,T2をオンオフするための制御信号SH,SLを出力する。
【0034】
従って、制御回路12は、出力電圧Voが参照電圧VR1より低くなるとメイン側のトランジスタT1をオンし、同期側のトランジスタT2をオフする。メイン側のトランジスタT1をオンしてから所定時間経過後、メイン側のトランジスタT1をオフし、同期側のトランジスタT2をオンする。再び出力電圧Voが参照電圧VR1より低くなると、制御回路12はメイン側のトランジスタT1をオンし、同期側のトランジスタT2をオフする。
【0035】
言い換えると、制御回路12は、出力電圧Voが参照電圧VR1より低くなると、所定期間メイン側のトランジスタT1をオンし、所定期間経過後にトランジスタT1をオフする。メイン側のトランジスタT1をオンする期間を「オン期間」とし、トランジスタT1をオフする期間を「オフ期間」とする。トランジスタT2は、トランジスタT1に対して相補的に制御されるため、「オン期間」にオフし、「オフ期間」にオンする。
【0036】
電流傾斜検出回路27は、コイルL1に流れるコイル電流ILの負の傾斜を検出し、その検出した傾斜に応じた補正電圧VSを生成する。加算回路28は、基準電源E1の基準電圧VR0に、電流傾斜検出回路27にて生成された補正電圧VSを加算して上記の参照電圧VR1を生成する。
【0037】
コイルL1に流れるコイル電流ILは、メイン側のトランジスタT1がオンされると増加し、メイン側のトランジスタT2がオフされると減少する。つまり、コイル電流ILは、その波形において、オン期間は正の傾斜にて変化し、オフ期間は負の傾斜にて変化する。このようなコイル電流ILの変化分は、コイル電流ILにおけるリップル成分であり、このリップル成分はメイン側のトランジスタT1のオンオフに対応して変化する。
【0038】
従って、電流傾斜検出回路27は、このコイル電流ILのリップル成分を検出し、そのリップル成分に応じた補正電圧VSを生成する。なお、コイル電流ILは、上記したように、メイン側のトランジスタT1がオフされると、徐々に減少する。
【0039】
出力電圧Voのリップル成分は、主に、コイルL1に流れるコイル電流と、コンデンサC1を接続することによる抵抗成分(等価直列抵抗:ESR)により決定される。出力電圧Voの変動量を低減する、即ち出力電圧Voのリップル成分(振幅)を小さくするためには、コンデンサC1におけるリーク電流を小さくする、即ち等価直列抵抗の抵抗値を小さくする方法がある。例えば、積層セラミックコンデンサは、平滑用コンデンサとして従来用いられた導電性高分子コンデンサと比べて等価直列抵抗の抵抗値が小さい。従って、例えば積層セラミックコンデンサのように等価直列抵抗の抵抗値が小さなコンデンサを用いると、リップル成分が少なくなって出力電圧Voが安定化する。
【0040】
そして、制御回路12のコンパレータ21は、出力電圧Voを抵抗R1,R2により分圧したフィードバック電圧VFBを、参照電圧VR1と比較する。このコンパレータ21に供給されるフィードバック電圧VFBは、出力電圧Voよりも変動量が少なく、ほぼ一定電圧となる。このため、参照電圧VR1を変化させる必要がある。そして、参照電圧VR1の変化量は、従来の出力電圧Voのリップル成分と対応することが好ましい。従って、本実施形態では、コイル電流ILのリップル成分を検出し、そのリップル成分に応じて参照電圧VR1を増加させる。つまり、電流傾斜検出回路27は、コイル電流ILのリップル成分を検出し、そのリップル成分に応じて徐々に増加する補正電圧VSを生成する。
【0041】
加算回路28は、基準電源E1の基準電圧VR0に、電流傾斜検出回路27にて生成された補正電圧VSを加算して上記の参照電圧VR1を生成する。この参照電圧VR1は、メイン側のトランジスタT1がオフしている期間におけるコイル電流ILのリップル成分に対応して増加する。
【0042】
コンパレータ21は、フィードバック電圧VFBよりも参照電圧VR1が高くなると、Hレベルの信号Vc1を出力する。この信号Vc1に応答してRS−FF回路22がHレベルの信号S1を出力することにより、メイン側のトランジスタT1がオンする。トランジスタT1がオンすることにより、入力電圧Viと出力電圧Voとの差電圧に応じてコイルL1のコイル電流ILが増加する。このコイル電流ILに応じて、コンデンサC1において充放電によって平滑化された出力電圧Voが生成される。
【0043】
例えば負荷急変等により、出力電圧Voが低下すると、出力電圧Voが参照電圧VR1より低くなるタイミングが早くなり、Hレベルの信号Vc1が出力されるタイミングが早くなる。即ち、トランジスタT1のオフ期間が短くなる。一方、出力電圧Voが上昇すると、出力電圧Voが参照電圧VR1より低くなるタイミングが遅くなり、Hレベルの信号Vc1が出力されるタイミングが遅くなる。即ち、トランジスタT1のオフ期間が長くなる。
【0044】
このような動作により、トランジスタT1がオンされるタイミングは、出力電圧Voと参照電圧VR1との比較結果に基づいて決定される。したがって、出力電圧Voの高低に基づいてオンタイミング(オフ時間)が調整され、出力電圧Voが基準電圧VR0に基づく一定電圧(目標電圧)に近づくように制御される。つまり、基準電圧VR0は、出力電圧Voを制御する目標の電圧に応じて設定されている。そして、出力電圧Vo等が安定した状態では、オフ期間におけるコイル電流ILの変化量は、一定値であるため、
図5に示すように、安定した間隔(周期)でトランジスタT1,T2をオンオフすることができる。このため、従来と比べて、コイル電流ILのリップル成分を低減し、出力電圧Voを安定化することができる。
【0045】
次に、電流傾斜検出回路27の構成例を説明する。
図3に示すように、電流傾斜検出回路27は、オペアンプ41、遅延回路42、スイッチSW1、コンデンサC21を含む。
【0046】
オペアンプ41の非反転入力端子は
図1に示すコンバータ部11に含まれるコイルL1の入力側端子、即ちトランジスタT11,T12間のノードに接続され、そのノードにおける電圧(以下、コイル電圧)VLが供給される。また、このノードにはスイッチSW1の第1端子が接続されている。スイッチSW1の第2端子は、オペアンプ41の反転入力端子と、コンデンサC21の第1端子に接続され、コンデンサC21の第2端子はグランドに接続されている。スイッチSW1の制御端子は遅延回路42に接続されている。
【0047】
遅延回路42には、
図1に示すメイン側のトランジスタT11をオンオフ制御するための制御信号DHが供給される。
図4に示すように、遅延回路42は、Hレベルの制御信号DHに応答してHレベルの信号CSを出力し、Lレベルの制御信号DHに応答してそのLレベルの信号DHから所定時間遅延してLレベルの信号CSを出力する。スイッチSW1は、Hレベルの信号CSに応答してオンし、Lレベルの信号に応答してオフする。
【0048】
スイッチSW1がオンすると、オペアンプ41の両端子にはコイル電圧VLが供給される。また、このコイル電圧VLはコンデンサC21の第1端子に供給される。従って、コンデンサC21の第1端子の電圧は、オペアンプ41の端子電圧と等しくなる。
【0049】
スイッチSW1がオフすると、オペアンプ41の反転入力端子とコンデンサC21の第1端子にはコイル電圧VLが供給されなくなる。その結果、オペアンプ41の反転入力端子の電圧は、コンデンサC21の端子電圧、即ち、コンデンサC21によりスイッチSW1をオフする直前の電圧を保持した電圧となる。このコンデンサC21に保持した電圧を保持電圧VLsとする。
【0050】
上記の遅延回路42は、オペアンプ41の2つの入力端子に供給される電圧が互いに同じ値であるときに、その2つの入力端子のうちの何れか一方(本実施形態では反転入力端子)における電圧をコンデンサC21に保持するために設けられている。上記したように、オペアンプ41の非反転入力端子は
図1に示すコイルL1の入力側端子に直接的に接続され、オペアンプ41の反転入力端子はスイッチSW1を介して接続されている。また、オペアンプ41の反転入力端子にはコンデンサC21が接続されている。そして、コイル電圧VLは、
図1に示すトランジスタT1,T2の切り替えに応じて変化する。このため、スイッチSW1をオンしているときに、オペアンプ41の両端子における電圧レベルが互いに相違する期間がある。このため、スイッチSW1をオフするタイミングをトランジスタT1,T2の切り替えよりも所定時間遅らせることで、オペアンプ41の両入力端子の電圧レベルが互いに等しくなってからスイッチSW1をオフしてその電圧をコンデンサC21に保持するようにしている。
【0051】
図1において、コイル電圧VLは、トランジスタT1のオン期間では、入力電圧Viに応じた電圧となる。そして、コイル電圧VLは、トランジスタT2のオフ期間に、同期側のトランジスタT2のオン抵抗によって、コイル電流ILに応じて変化する。なお、オフ期間に、コイル電流ILは減少し、そのコイル電流ILに応じてコイル電圧VLが上昇する(
図4参照)。
【0052】
オペアンプ41は、両端子における電位差を増幅した電圧をスロープ電圧VSとして出力する。この電圧VSは、コイル電圧VLと保持電圧VLsの電位差に対応する、即ち、オフ期間におけるコイル電流ILの変化量(リップル成分)に対応する。このスロープ電圧VSは、
図4に示すように、オン期間は0V(破線で示すレベル)となり、スイッチSW1がオフされると、徐々に増加する。
【0053】
このように、電流傾斜検出回路27は、コイル電流ILのリップル成分のみを検出し、その検出結果に応じたスロープ電圧VSを生成する。従って、出力端子Poに接続された負荷(図示略)によるコンバータ部11における電流(出力電流Io)のDC的な増減は、スロープ電圧VSに影響しない。このため、出力電流を検出する方式と比べて、安定した出力電圧Voを生成することができる。
【0054】
以上記述したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)制御回路12の電流傾斜検出回路27は、コイル電流ILのリップル成分のみを検出し、その検出結果に応じたスロープ電圧VSを生成する。加算回路28は、基準電圧VR0にスロープ電圧VSを加算して参照電圧VR1を生成する。そして、比較器21は、出力電圧Voに応じたフィードバック電圧VFBと参照電圧VR1とを比較し、その比較結果に応じた信号Vc1を出力する。制御回路12は、この信号Vc1に基づいてコンバータ部11のトランジスタT1,T2をオンオフするようにした。その結果、リップルが少ない出力電圧VoであってもトランジスタT1,T2を周期的にオンオフ制御することができるため、出力電圧Voの安定化を図ることができる。
【0055】
(2)電流傾斜検出回路27は、コイル電流ILのリップル成分のみを検出し、その検出結果に応じたスロープ電圧VSを生成する。従って、出力端子Poに接続された負荷によるコンバータ部11における電流(出力電流Io)のDC的な増減は、スロープ電圧VSに影響しない。このため、出力電流を検出する方式と比べて、安定した出力電圧Voを生成することができる。
【0056】
(3)平滑用コンデンサC1を接続することによる等価直列抵抗(ESR)の抵抗値を小さくすることができるため、コンデンサC1に積層セラミックコンデンサを用いることができ、DC−DCコンバータの小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0057】
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態は、コイル電流ILのリップル成分に応じたスロープ電圧VSを基準電圧VR0に付加して参照電圧VR1を生成し、その参照電圧VR1と出力電圧Voに応じたフィードバック電圧VFBを比較するようにした。つまり、出力電圧Voと基準電圧VR0において、基準電圧VR0側にスロープ電圧を付加した。これに対し、スロープ電圧を出力電圧Vo側に付加するようにしてもよい。
【0058】
例えば、
図6に示すように、制御回路12aは、加算回路28aを含む。加算回路28aの第1の入力端子は抵抗R1と抵抗R2の間に接続され、フィードバック電圧VFBが供給される。加算回路28aの第2の入力端子には電流傾斜検出回路27に接続され、スロープ電圧VSが供給される。加算回路28aは、第1の入力端子に供給される電圧に対して、第2の入力端子に供給される電圧を反転した電圧を加算する、即ち
図7に示すようにフィードバック電圧VFBからスロープ電圧VSを減算してフィードバック電圧VF2を生成する。比較器21は、加算回路28aから出力されるフィードバック電圧VF2と、基準電源E1から供給される基準電圧VR0(参照電圧)とを比較し、その比較結果に応じた信号Vc1を出力する。このように構成したDC−DCコンバータは、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0059】
・上記実施形態において、タイマ回路23を、信号S1の立ち上がりタイミングから、入力電圧Viと出力電圧Voに依存した時間経過後にHレベルのパルス信号S2を出力するように構成した。このタイマ回路23の構成を適宜変更してもよい。
【0060】
例えば、タイマ回路23を固定された時間経過後に信号S2を出力するように構成してもよい。また、タイマ回路23を、出力電圧Voのみに依存したタイミングで信号S2を出力するように構成してもよい。また、タイマ回路23を、入力電圧Viのみに依存したタイミングで信号S2を出力するように構成してもよい。
【0061】
・上記実施形態では、スイッチ回路、第2のスイッチ回路の一例としてMOSトランジスタを開示したが、バイポーラトランジスタを用いてもよい。また、複数のトランジスタを含むスイッチ回路を用いても良い。
【0062】
・上記実施形態では、同期側のトランジスタT2のオン抵抗により、コイル電圧VLがコイル電流ILに応じて変化するようにしている。従って、コイル電圧VLがコイル電流ILに応じて変化可能であれば、同期側のスイッチの構成を適宜変更してもよい。例えば、トランジスタT2に換えて、抵抗とダイオードの直列回路を接続するようにしてもよい。
【0063】
・上記実施形態では、
図3に示す遅延回路42に制御信号DHを供給するようにしたが、トランジスタT1のオン期間又はオフ期間に対応する信号であればよく、
図1に示す信号SH、信号S1を遅延回路42に供給するようにしてもよい。また、トランジスタT2をオンオフするための信号DH,SHを論理反転して遅延回路42に供給する、又は信号DH,SHを遅延回路に供給してその遅延回路内で論理反転するようにしてもよい。
【0064】
上記各実施形態に関し、以下の付記を開示する。
(付記1)
入力電圧が供給されるスイッチ回路と、前記スイッチ回路と出力電圧を出力する出力端との間に接続されたコイルとを含むコンバータ部と、
フィードバック電圧と参照電圧とを比較し、その比較結果に応じて前記スイッチ回路をオンオフ制御する制御回路と、
を有し、
前記制御回路は、
前記スイッチ回路のオフ期間に前記コイルに流れるコイル電流の傾斜を検出し、その検出結果に応じたスロープ電圧を生成する電流傾斜検出回路と、
前記スロープ電圧を前記出力電圧に応じた電圧に付加して前記フィードバック電圧を生成する、又は前記スロープ電圧を前記出力電圧に応じて設定された基準電圧に付加して前記参照電圧を生成する加算回路と、
を有することを特徴とする電源装置。
(付記2)
前記コンバータ部は、
前記スイッチ回路と前記コイルとの間のノードに接続された第2のスイッチ回路を含み、
前記制御回路は、前記スイッチ回路と前記第2のスイッチ回路とを相補的にオンオフ制御し、
前記コイルにはオンした前記第2のスイッチ回路を介して前記コイル電流が流れ、
前記電流傾斜検出回路は、前記ノードの電圧に基づいて前記コイル電流の傾斜を検出する、
ことを特徴とする付記1に記載の電源装置。
(付記3)
前記コンバータ部は、
前記スイッチ回路と前記コイルとの間のノードと電源線との間に接続され、ダイオードと抵抗との直列回路を含み、
前記コイルには前記スイッチ回路のオフ期間に前記ダイオード及び前記抵抗を介して前記コイル電流が流れ、
前記電流傾斜検出回路は、前記ノードの電圧に基づいて前記コイル電流の傾斜を検出する、
ことを特徴とする付記1に記載の電源装置。
(付記4)
前記電流傾斜検出回路は、
第1の入力端子が前記ノードに接続され、第2の入力端子がスイッチを介して前記ノードに接続され、前記第1の入力端子と前記第2の入力端子との差電圧に応じて前記スロープ電圧を出力するオペアンプと、
前記第2の入力端子に接続されたコンデンサと、
を有し、前記スイッチは前記スイッチ回路のオン期間とオフ期間とに応じてオンオフする、
ことを有することを特徴とする付記2又は3に記載の電源装置。
(付記5)
出力電圧に応じたフィードバック電圧と参照電圧とを比較し、その比較結果に応じて、入力電圧が供給されるスイッチ回路をオンオフ制御する制御回路であって、
前記スイッチ回路と前記出力電圧が出力される出力端との間に接続されたコイルに、前記スイッチ回路のオフ期間に流れるコイル電流の傾斜を検出し、その検出結果に応じたスロープ電圧を生成する電流傾斜検出回路と、
前記スロープ電圧を前記出力電圧に応じた電圧に付加して前記フィードバック電圧を生成する、又は前記スロープ電圧を前記出力電圧に応じて設定された基準電圧に付加して前記参照電圧を生成する加算回路と、
を有することを特徴とする制御回路。
(付記6)
出力電圧に応じたフィードバック電圧と参照電圧とを比較し、その比較結果に応じて、入力電圧が供給されるスイッチ回路をオンオフ制御する電源装置の制御方法であって、
前記スイッチ回路と前記出力電圧が出力される出力端との間に接続されたコイルに流れるコイル電流の傾斜を検出し、その検出結果に応じたスロープ電圧を生成し、 前記スロープ電圧を前記出力電圧に応じた電圧に付加して前記フィードバック電圧を生成する、又は前記スロープ電圧を前記出力電圧に応じて設定された基準電圧に付加して前記参照電圧を生成する、
ことを特徴とする電源装置の制御方法。