(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明文では、本明細書の説明の一部を構成しいくつかの特定の実施形態を例として示した添付の一連の図面を参照する。本発明の範囲又は趣旨を逸脱することなく他の実施形態が想到され、実施されうる点は理解すべきである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0014】
特に断らないかぎり、本明細書及び「特許請求の範囲」で使用される特徴の大きさ、量、及び物理的特性を表わす数字はすべて、いずれの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがて、そうでないことが示されないかぎり、前述の明細書及び添付の「特許請求の範囲」で示される数値パラメータは、当業者が本明細書に開示される教示内容を用いて得ようとする所望の特性に応じて変化しうる近似値である。端点による数の範囲の使用は、その範囲内(例えば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)のすべての数及びその範囲内の任意の範囲を含むものである。
【0015】
電子物品が提供される。当該電子物品は、その上に導電性素子が配置される基板を有しうる。導電性素子は、基板と直接接触するか又は基板と隣接させることができる。一般的に、提供される電子物品は、容量性電子装置の構成要素である。容量性電子装置としては、例えば、コンデンサ、アクチュエーター、人工筋肉及び臓器、スマート材料及び構造、微小電気機械(MEMS)装置、微小流体装置、音響装置、エレクトロルミネセントランプ、電子インク及びペーパー、電子リーダー、並びにセンサーが挙げられる。基板は、その上に配置される導電性素子を支持することが可能な任意の非導電性材料であってよい。基板はほぼ平坦な表面を有してよく、剛性又は可撓性のものであってよい。剛性基板の例としては、容量性電子装置の動作温度において幾何学的に安定な表面を有するガラス、セラミックス、又は結晶材料が挙げられる。可撓性基板の例としては、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアクリレート(例えば、ポリ(メチルメタクリレート)、PMMA)、ポリカーボネート、ポリプロピレン、高密度又は低密度ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、及びポリエチレンスルフィドなどの熱可塑性フィルム、並びに、セルロース誘導体、ポリイミド、ポリイミドベンゾオキサゾール、ポリベンゾオキサゾール、及び高T
g環状オレフィンポリマーなどの熱硬化性フィルムが挙げられる。支持体は更に、米国特許第7,215,473号(フレミング(Fleming))に述べられるもののような、その上に少なくとも1層の架橋ポリマー層が設けられた透明な多層光学フィルム(「MOF」)、絶縁性でありその上に導電性素子を塗布することを支持しうる、通常、シート又はウェブの形態のポリエステル、ポリアセテート、ポリアクリル、ポリイミド又は他の任意のポリマー材料などのポリマー基板を含みうる。
【0016】
いくつかの実施形態では、導電性素子は、溶液として周囲温度及び周囲圧力で塗布することができる。例えば、米国特許出願公開第2007/0146426号(ネルソン(Nelson)ら)は、トランジスターの導電性素子用の導電性インクを含むインクジェット印刷された層から作製される薄膜トランジスターについて開示している。更に、米国特許出願公開第2008/0187651号(リー(Lee)ら)は、電子装置の導電性素子として有用な導電性金属ナノ粒子を含む導電性インク配合物について開示している。更に、米国特許出願公開第2008/0218075号(チルデスリー(Tyldesley)ら)は、エレクトロルミネセントディスプレイにおける銀導電性インクの使用について開示している。他の実施形態では、当業者には周知である無電解めっき法によって導電性素子を塗布することができる。いくつかの実施形態では、導電性素子は、蒸発又はマグネトロンスパッタリングなどの蒸着法によって塗布することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、導電性素子は、高導電性金属を含んでもよい。典型的な高導電性金属としては、元素としての銀、銅、アルミニウム、金、パラジウム、プラチナ、ニッケル、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、及び亜鉛が挙げられる。銀−金、銀−パラジウム、金−銀−パラジウムなどのこれらの金属の合金、又はこれらの金属を、互いとの混合物又は他の金属との混合物として含有する分散液を使用することもできる。導電性素子において有用な他の材料として、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、酸化インジウム亜鉛、ガリウム及び/若しくはホウ素などの他のドーパントを添加した酸化亜鉛、亜鉛−スズ酸化物(スズ酸亜鉛)、若しくは他のTCO、又はこれらの組み合わせなどの、透明導電性金属酸化物(TCO)がある。提供される電子物品において使用することが可能な基板及び導電性素子に有用な材料は、例えば米国特許出願公開第2009/0303602号(ブライト(Bright)ら)に開示されている。
【0018】
導電性素子はパターン化することができる。「パターン化された」とは、導電性素子が、形成部若しくは構造の規則的な配列又はランダムな配列、又はこれらの組み合わせを含みうる1乃至複数の構成、又はこうした構成を製造するプロセスを有しうることを意味する。パターンは、陽極酸化、光複製、レーザーアブレーション、電子ビームリソグラフィー、ナノインプリントリソグラフィー、光接触リソグラフィー、エッチング、投影リソグラフィー、光学干渉リソグラフィー、及び傾斜リソグラフィーなどのパターン形成技術を使用して形成することができる。次に、必要に応じて、このパターンを、ウェットエッチング又はドライエッチングなどのサブトラクティブ技術を使用して、存在する基板材料を除去することによって、基板中に転写すことができる。パターンは、レジストパターンをウェットエッチング又はドライエッチングすることによって基板中に転写することができる。レジストパターンは、当業者には周知の方法を使用して、ポジフォトレジスト及びネガフォトレジストなどの様々なレジスト材料から製造することができる。ウェットエッチングとしては、例えば、酸浴槽を使用して酸感受性層をエッチングすること、又は現像液を使用して露光若しくは未露光のフォトレジストを除去することが挙げられる。ドライエッチングとしては、例えば、反応性イオンエッチング、又は例えば高エネルギーレーザービーム若しくはイオンビームなどの高エネルギービームを使用した、アブレーションを挙げることができる。パターン化された導電性素子は、マスクを介して、又は直接印刷法によって基板上に直接成膜することができる。
【0019】
提供される電子物品は、ポリマー結合剤、及び結合剤中に保持された1〜80体積%の粒子状充填剤からなる高誘電率複合材料を含む。高誘電率複合材料は、ホットメルト接着剤などの熱可塑性接着剤、熱硬化性接着剤、又はスクリーン印刷可能な材料である結合剤を含みうる。スクリーン印刷可能な材料は、架橋されていてもいなくともよいが、その中に保持された分散された充填剤を安定化させ、提供される電子物品の構成要素上にスクリーン印刷することが可能な粘度を有する比較的低分子量のポリマーである。一般的に、高誘電率複合材料は、接着剤である場合、充填される際に感圧性である。任意の非接着剤、接着剤、又はスクリーン印刷可能な結合剤の組み合わせも考えられる。
【0020】
高誘電率複合材料は、低い密度、低いマイクロ波損失(誘電損失)、及び高い誘電率を有する複合材料である。高誘電率複合材料は、容量性装置などの電子装置において有用でありうる。このような高誘電率複合材料は、開示される試験方法に従って測定した場合に、約4〜約10,000、約4〜約100、約4〜約50、又は約8〜約30の誘電率を有しうる。更に、提供される電子物品において有用な高誘電率複合材料は、開示される試験方法に従って測定した場合に、5.0未満、1.0未満、0.5未満、0.1未満、及び更には0.02未満の損失正接を有しうる。一般的に容量性装置は、互いに近接して配置されるが、プレートの間に絶縁材料を有し、X−Y平面を規定する2枚のほぼ平行なプレート(電極)を含んでいる。Z方向は、X−Y平面に垂直であり、プレート間に加えられる誘電材料が存在しない場合の電場の大まかな方向を規定する。更に、容量性装置は、プレート間に1以上の電気活性材料を有しうる。一方のプレートで生成された電場が他方のプレートに届くように、2枚のプレート同士が充分に近いことが重要である。しかしながら、一方のプレート上に蓄積される一切の変化がそのプレート上に留まり、他方のプレートに移行して「短絡」を生じないこともやはり重要である。コンデンサの最も単純な絶縁材料は、空気である。空気の誘電率は1であり、非導電性である。しかしながら、空気の低い誘電率のため、相当の電荷蓄積量又は静電容量を得るためには、コンデンサの2枚のプレートが極めて大きい面積を有し、互いに極めて近接していることが必要となる。したがって、静電容量を高め、又は装置の小型化を図るうえで、2枚のプレートを物理的により大きく離間させながらも、一方のプレートで発生した電場が他方のプレートと実質上重なるように、誘電率の高い充填材料をプレート間に配置することが望ましい。一般的に、提供される電子装置においては、容量性プレートは、約5μm〜約200μm、約5μm〜約100μm、約5μm〜約50μm、又は更には約5μm〜約25μm、離間させることができる。
【0021】
提供される高誘電率複合材料は、導電性素子から放射される電場をX−Y平面内で、かつZ方向には電気活性層(EAL)に集束させる助けとなる電場の「レンズ」として機能しうる。誘電複合材料のこのような「レンズ」効果は、EALの性能に対する「レンズ」としての有効性に影響する2つの主要なパラメータとして、誘電率及び誘電損失正接を有する。誘電複合材料の誘電率はEALにおける電場の強さに影響し、損失正接は、放散してEALに利するところのない電場の尺度である。
【0022】
一般的に、より高い値に増大する誘電率を有する複合材料は、電場をX−Y平面及びZ方向の標的層上に、所定の限界値までより強く集束することができる。しかしながら、複合材料の誘電率が高すぎると、電場が「レンズ」効果によって所望のEAL上に効率的に集束されない場合がある。高誘電率複合材料はまた、損失正接にともなうような、抵抗による熱放散による電場の損失を生じうる。したがって、特定の電子物品に対して、電気活性層上に最小の損失で電場を集束させる助けとなる、最適な誘電率及び損失特性(損失正接として測定される)が存在する。
【0023】
高誘電率複合材料は、上記に定義したようなX、Y及びZ方向の電場に対して大きく影響する。したがって、誘電複合材料は特定の用途に対して最適化して、誘電率及び損失正接を異方的に調節することができる。試験方法を用いて特定の試験法に基づく結果を得ることができるが、これらの結果は、特定の最終用途に適した異方電気特性を備えた誘電複合材料を有する物品を設計するために用いることができる性能値を求めるうえで有用でありうる。したがって、当業者であれば、必要な場合に新たな試験方法を必要に応じて考案して、各特定の体積の複合材料の誘電率及び誘電損失正接を求めることができる。代替的なアプローチとして、本明細書において提供される試験方法を用いて材料群を最適化し、最終用途のアセンブリにおける誘電材料の最終体積を試験することができる。
【0024】
誘電率及び損失正接は、Z方向又はX−Y平面、又はその間において異なる有効動作レベルに最適化することができる。一例として、特定の用途では、誘電複合材料は、X−Y平面内で8〜25の誘電率、0.5未満の損失正接及び4〜1000の範囲の誘電率を有してよく、損失正接はZ方向には0.1未満である。特定の用途では、誘電複合材料の誘電率は、X−Yに対するZの比、又はZに対するXYの比として1:1、1:2、1:3、更には1:4〜1:10又はそれ以上で変化しうる。損失正接はまた、最終用途のニーズに応じてX−Yに対するZの比、又はZに対するX−Yの比として1:1、1:2、1:3、更には1:4〜1:10又はそれ以上で変化しうる。
【0025】
提供される高誘電率複合材料は、導電性素子から放射され、電気活性層の方向に延びる電場を集束する助けとなる電場「レンズ」として機能しうる。一般的に、誘電率が高い複合材料ほど、標的(電気活性)層上に電場をより強く集束することができる。しかしながら、複合材料の誘電率が高すぎると、電場が所望の標的層によって効率的に吸収されない可能性がある。高誘電率複合材料はまた、抵抗による熱放散による電場の損失を生じうる。したがって、特定の電子物品に対して、電気活性層上に最小の損失で電場を集束させる助けとなる、最適な誘電率及び損失特性(損失正接として測定される)が存在する。
【0026】
容量性プレート間の絶縁体(誘電体)としてポリマーを使用することは周知である。高い誘電率を有する充填剤をポリマーに添加することによって、充填剤/ポリマー複合材料の誘電率を高めることも知られている。例えば電子産業においては、ポリマー結合剤と、高誘電率の無機充填剤又は金属充填剤とを使用することによって、絶縁体として使用するための高誘電率複合材料を製造することが一般的に行われている。例えば、ガラス気泡(glass bubbles)の表面上に金属コーティングがビーズを形成する場合に生じるような導電性材料の不連続層を有する、粒子状充填剤をポリマーに添加することができる。また、粒子状充填剤は、コア本体を実質的に包囲する導電性材料の連続的なコーティングを有してもよい。コア本体には、ガラス気泡、セラミック繊維、針状繊維、セラミック又はガラスのマイクロスフェア、セラミック又はガラスの長球、セラミック材料の薄片、又は様々な形状及びサイズの他の高誘電率材料の小さな塊が含まれうる。コア本体は中実であってもよく、実質的に中空であってもよい。例示的なセラミック材料としては、二酸化ケイ素、チタン酸バリウム、及び二酸化チタンが挙げられる。このような複合材料では、2枚のプレート間の電場の伝達の強さ(通常、誘電損失として測定される)は、金属の厚さ、金属の種類、充填剤の形状、充填剤のサイズ、マイクロ波の周波数、及びポリマー材料のマイクロ波損失によって影響される。導電性粒子は、導電性材料からなり、粒子の外表面として導電層を本来的に有する中実の粒子とすることも考えられる。提供される電子物品及び方法用の充填剤粒子として、炭素粒子又は繊維も考えられる。
【0027】
高誘電率複合材料は、結合剤を含む。提供される高誘電率接着複合材料の結合剤は、ポリマー材料の網目構造でありうる。結合剤は連続的であってよく、空隙又は気体を含みうる。結合剤は中実又は発泡させたものであってよく、充填剤粒子を互いに結合させる機能を有するマイクロ波透過性ポリマーを含みうる。結合剤は、約65℃よりも高い温度、約95℃よりも高い温度で安定的であってよく、中に保持される充填剤材料のコストを相殺するために安価なものであってよい。提供される電子物品の結合剤は、マイクロ波透過性接着剤であってよい。
【0028】
提供される組成物の結合剤は、非極性材料〜極性又は芳香族材料に及ぶ低誘電損失(マイクロ波透過性)ポリマーを含んでもよい。例えば1GHzのような高周波数における材料の誘電損失は一般的に、ポリマーの極性及び/又は芳香族性、並びに組成物中に含まれる量とともに増大する。したがって、極性又は芳香族性材料は、低濃度で存在する場合に、提供される組成物において有用でありうる。一般的に、提供される組成物中に高濃度の結合剤が使用される場合に、非極性の飽和した材料を使用することができる。また、結合剤は一般的に、マイクロ波周波数を吸収する顕著な官能基を有していなくともよい。
【0029】
提供される高誘電率接着複合材料の結合剤は、接着剤を含みうる。接着剤は、熱可塑性又は熱硬化性の接着剤であってよい。一般的な熱可塑性接着剤としては、例えばホットメルト接着剤が挙げられる。ホットメルト接着剤としては、天然又は合成ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、合成ポリイソプレン、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマーゴム(EPDM)、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ポリ(α−オレフィン)、スチレン−ブタジエンランダムコポリマー、フルオロエラストマー、シリコーンエラストマー、及びこれらの組み合わせが挙げられる。一般的な熱硬化性接着剤としては、例えば、エチレン−グリシジル(メタ)アクリレートコポリマー、フェノール系接着剤、又は(メタ)アクリル接着剤などのエポキシ系接着剤が挙げられる。これらの接着剤は、熱的、反応的(水分硬化など)、又は光化学的に架橋することができる。提供される結合剤は、アクリル感圧性接着剤を含みうる。一般的に、アクリル感圧性接着剤は実質上無溶媒であり、紫外線又は可視光硬化性である。
【0030】
結合剤は、溶媒中で配合し、充填剤と混合し、ライナー上又は提供される電子物品の層であってもなくてもよい基板層上にコーティングすることができる。溶媒は、乾燥によって除去することができる。結合剤は、必要に応じて活性化させて結合剤を架橋することができる、架橋剤などの添加剤を含みうる。架橋添加剤は、両末端で反応して、コーティング及び乾燥プロセスにおいて結合剤を架橋することができる2官能性分子を含むか、あるいは熱又は放射線によって活性化することができる熱又は光化学開始剤を含みうる。
【0031】
無溶媒アクリル感圧性接着剤は、極性モノマー及び非極性モノマーを含みうる前駆体から調製することができる。非極性モノマーは、例えば、そのアルキル基が平均で約4〜14個の炭素原子を有する非3級アルコールのアクリル酸エステル、及び極性コモノマーを含みうる。適当なアクリル酸エステルとしては、例えば、イソオクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、及びステアリルアクリレートが挙げられる。適当な極性コモノマーとしては、例えば、アクリル酸、アクリルアミド、メタクリル酸、イタコン酸、ジメチルアクリルアミドなどの特定の置換アクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、2−フェノキシエチルアクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。極性コモノマーは、約1〜約50重量部のアクリル感圧性接着剤前駆体を含みうる。
【0032】
無溶媒のアクリル感圧性接着剤前駆体は、多官能性アクリレートモノマーを含んでもよい。このような多官能性アクリレートモノマーとしては、例えば、グリセロールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、トリメタノールトリアクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメチルアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ビス[1−(2−アクリルオキシ)]−p−エトキシフェニルジメチルメタン、ビス[l−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシ)]−p−プロポキシフェニル−ジメチルメタン、トリス−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリメタクリレート、分子量200〜500のポリエチレングリコールのビスメタクリレート、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
アクリル感圧性接着剤前駆体に使用される多官能性アクリレートモノマーは、約0.05〜約1重量部の前駆体を含みうる。
【0033】
モノマー及びその比率は、通常は粘着性かつ感圧性の接着剤コポリマーを与えるように選択することができる。一般的に、このことは、モノマー混合物が、約50〜約98重量部のアクリレート型モノマー、及びこれと共重合することが可能な約2〜約50重量部の極性モノマーをこれらの合計が100重量部となるように含みうることを意味する。一般的に、必要に応じて複数のアクリレート型モノマー及び/又は複数の極性モノマーを混合物中に用いることができる。必要に応じて、更なる粘着性付与材料をアクリル混合物に加えることができる。
【0034】
無溶媒アクリルPSA前駆体は、例えば熱及び光開始剤などの任意の公知の開始剤を加えることによって感受性化することができる。前駆体を重合するうえで有用な光開始剤としては、ベンゾインエーテル(ベンゾインメチルエーテル又はベンゾインイソプロピルエーテルなど)、置換ベンゾインエーテル(アニソインメチルエーテルなど)、置換アセトフェノン(2,2−ジエトキシアセトフェノン及び2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなど)、置換αケトール(2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなど)、及び光活性オキシム[1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル]オキシムなど)が挙げられる。市販の光開始剤としては、例えば、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals)より販売されるIRGACURE 651などのIRGACUREシリーズの開始剤が挙げられる。適当な光源に所望の露光時間にわたって曝露されると、前駆体が重合するような有効量の光開始剤が用いられる。例えば、このような光開始剤は、一般的に、100重量部の全前駆体モノマー当たり約0.05〜5部を与える量で使用される。有用な無溶媒アクリル感圧性接着剤が、例えば米国特許第6,339,111号及び同第6,436,532号(いずれもムーン(Moon)ら)に開示されている。
【0035】
本明細書に開示される材料の薄層の光重合は、不活性雰囲気中で行うことによって酸素による阻害を防止することができる。窒素、二酸化炭素、ヘリウム、又はアルゴンなどの任意の公知の不活性雰囲気が好適であり、少量の酸素はなお許容されうる。いくつかの実施形態では、放射線により感受性化された混合物の層を、選択された紫外線放射に対して透過性を有するポリマーフィルムで覆ってから空気中でこのフィルムを通じて照射することによって、充分に不活性の雰囲気を実現することができる。蛍光ブラックライト灯の列を使用して、良好な重合の結果を得ることができる。一般的に、300〜400nmの波長域の1平方センチメートル当たり約1000mJよりも低い照射率の照射を使用することが可能であり、当業者の技能の範囲内の特定の選択は、光開始剤の選択及びモノマーの選択によって導かれる。その選択及び量が所望の結果を妨げない、色素、粘着性付与剤、強化剤、充填剤、酸化防止剤などの他の材料を、放射線により感受性化された接着剤前駆体混合物中に混合することができる。
【0036】
提供される組成物は、スクリーン印刷可能な材料を結合剤として含んでもよい。本開示においては、「スクリーン印刷可能な」なる用語は、上記に述べたような高誘電率粒子で充填した場合に安定的な分散液を形成するだけの充分に高い粘度を有する、低分子量の有機オリゴマー又はポリマーのことを指す。これらの有機オリゴマー又はポリマーは無溶媒配合物としてスクリーン印刷するか、あるいはコーティング用の溶媒を含んでもよい。
【0037】
相溶化剤を含むか又は含まない2以上の接着ポリマーの混合物を、得られる混合物が目的とする用途に充分な機械的特性を有するかぎりにおいて、結合剤として使用することができる。コーティングされる充填剤の低い充填濃度、かつ約1GHzよりも低い低周波数では、ほとんどすべてのポリマーが、高い極性を有するものであっても、基質材料中で機能する。マイクロ波損失は、コーティングされる充填剤の充填率が大きくなるに従って、更に周波数が大きくなるに従って増大するため、官能基が少なく、芳香族性が低く、かつ極性のないポリマーが一般的に用いられる。約6〜10GHzの複合材料の用途では、ポリオレフィン及びポリテトラフルオロエチレンが一般的に用いられる。したがって、提供される電子物品は、高いMHz(10
8Hzよりも高い)〜GHzの範囲(10
12Hzよりも高い)の低い損失を有する複合接着材料を含む。
【0038】
提供される電子物品用の高誘電率の充填剤は、コア本体、その本体を実質上封入する導電層、及びその導電層を少なくとも部分的に覆う絶縁層を有しうる。提供される電子装置において有用な高誘電率の充填剤は、複合材料の誘電率を高めるために用いられる一般的な充填剤よりも低い密度を有するものでよく、複合材料中に混合される際に誘電損失を大きく増大させない。充填剤のサイズ、形状、及び組成は、一般的に使用されるマイクロスフェア、針状繊維、及び/又は薄片の特定の用途及び周波数域に対して選択することができる。充填剤は、下記に述べるような導電性材料でコーティングすることができる。本発明の複合材料中の粒子状充填剤の密度は、一般的に約3.5g/ccよりも低い(通常は2.7g/ccよりも低い)。特定の用途では、約1.0g/ccよりも低い密度を有する粒子状充填剤を使用することができる。特定の用途における複合材料の所望の誘電率は、使用される充填剤の種類及び量によって決定されうる。所望の誘電率が高くなるに従って、二酸化チタン又はチタン酸バリウム充填剤を使用して調製される当該技術分野において周知の材料は、より高い充填剤の含量及び高い密度で調製されなければならない。
【0039】
針状繊維は、ポリマー材料、又はセラミックス若しくは粉砕ガラスなどの無機材料を含んでもよい。いくつかの実施形態では、針状繊維は短く切断されたストランド状のガラス繊維である(オハイオ州トレド所在のオーウェンス・コーニング社(Owens Corning)よりFIBERGLAS Milled Fibers 731ED 1/32インチ(762μm)として販売されるもの)。これらの繊維は、15.8μmの平均直径及び40:1のアスペクト比を有する。雲母は、一般的に使用されている無機薄片である。一般的に雲母薄片材料は、2.9g/ccの平均密度及び2.8m
2/gの平均表面積を有する(カナダ、オンタリオ州トロント所在のゼメックス・インダストリアル・ミネラルズ社(Zemex Industrial Minerals,Inc.)よりSuzorite 200HKとして販売される)。中空のマイクロスフェアは、二酸化チタンなどの、複合材料の誘電率を高めるために従来使用されている充填剤を覆って用いられる。このようなマイクロスフェアは、ガラス、セラミック、及び/又はポリマー材料から形成することができる。一般的にはマイクロスフェアの材料はガラスであるが、セラミック及びポリマー材料が好適である。
【0040】
いくつかの実施形態では、粒子状充填剤は、中空のガラスマイクロスフェアを含む。10〜350μmの範囲の平均外径が好適である。マイクロスフェアの平均外径の範囲は15〜50μmでよい。マイクロスフェアの密度は、ASTM D2840に従って測定した場合に、約0.25〜0.75g/cc(通常約0.30〜0.65g/cc)であってよい。ガラスマイクロスフェアは、スリー・エム社(3M Company)(ミネソタ州セントポール)より販売されるソーダ石灰ホウケイ酸塩ガラスであるSCOTCHLITE Glass Bubblesとすることができる。一般的に、これらのマイクロスフェアは、顕著に破裂することなく少なくとも約6.9MPa(1,000psi)の流体静力学的圧力に耐えるだけの充分な強度を有さなければならない。破砕されたマイクロスフェアは複合材料の密度を増大させるものであり、本発明の望ましい低密度、低マイクロ波損失という特徴には寄与しない。K37 SCOTCHLITE Glass Bubblesは、この目的を満たすものである。これらのK37グラスバブルズは、0.37g/ccの平均密度、約40μmの平均直径、並びに90%の目標残存率及び80%の最小残存率で3,000psi(20.7MPa)のアイソスタティック破砕強度を有する。アイソスタティック破砕強度が10,000psi(68.9MPa)であり、平均直径が約30μmであるS60/10,000 SCOTCHLITE Glass Bubblesなどのより高強度のマイクロスフェアを使用することもできるが、これらのマイクロスフェアは、平均直径が0.60g/ccとより大きい。
【0041】
粒子状充填剤は、高誘電率複合材料の約1〜約80体積%、又は約5〜約45体積%を占めてよい。約1体積%よりも低い濃度では、複合材料の誘電率に大きな変化は生じない。約80体積%よりも高い濃度は、複合材料を一体に保持するうえで基質材料が不充分となりうることから望ましくない。粒子の充填率が高いと、接着組成物の粘着性が低くなりうる。発泡した、又は不足した基質複合材料では、残りの35体積%の相当量が空気又は別の気体である。上記範囲の上側に充填剤体積充填率を有する実施形態では、一般的により高強度のマイクロスフェア、例えばS60/10,000を含むことにより、複合材料を溶融処理する際にマイクロスフェアが顕著に破裂することが防止される。粒子が本質的に導電性ではない場合には、少なくとも部分的に粒子を包囲した導電層が与えられうる。
【0042】
充填剤を実質的に包囲するように、導電性コーティング層を粒子状充填剤の表面に与えることができる。「実質的に包囲する」とは、平均で、粒子状充填剤中の粒子の表面積の少なくとも50%、表面積の少なくとも75%、又は表面積の少なくとも90%が、導電性コーティングによって覆われていることを意味する。導電層は、粒子状充填剤の表面と直接的に接触してもよく、又は表面と隣接してもよい。導電層が粒子の表面と隣接する場合、他の層、通常は絶縁層を、粒子の外表面と導電層との間に設けることができる。導電性コーティング材料は、特定の用途の周波数域を考慮して選択される。所望の特性としては、使用される厚さで表面を濡らす、低コスト、及び材料の入手しやすさがある。一般的には、アルミニウム、ステンレス鋼、銀、チタン、及びタングステンが用いられる。
【0043】
コーティングが表面上にビーズを形成する場合に生じるような導電性材料の不連続層は、誘電率を低下させうるものである。マイクロ波の周波数域における損失が低い複合材料では、導電性コーティング層の厚さは、約5〜500ナノメートル(nm)(より一般的には約10〜100nm)の範囲であってよい。低密度の複合材料では、厚さが約100nmよりも小さい層が一般的である。
【0044】
特定のサイズの充填剤粒子では、導電性コーティングの厚さ及び種類は、誘電損失の度合いの重要な因子である。極めて薄いコーティングは、極めて高いマイクロ波損失につながることが分かっている。一切の特定の理論によって束縛されることを望むものではないが、これは、マイクロ波放射の電場との結合によるものと考えられる。この種のマイクロ波損失は、導電性コーティングの厚さが増大するに従って低下する。しかしながら、導電性コーティングの厚さが増大するに従って、マイクロ波放射の磁場成分との結合によるマイクロ波損失が増大する。現在では、マイクロ波放射の両方の成分との結合が低い、中間の導電性コーティングの厚さにおいて最小のマイクロ波損失が実現されている。
【0045】
実質的に絶縁性の層を導電層上に設けることによって、基質材料の誘電率を高めるために、このような高い充填量の充填剤粒子が基質材料中に分散される場合に、絶縁層によって粒子状充填剤を実質的に包囲するとともに電気的短絡を防止することも知られている。このような絶縁層は、例えば米国特許第6,562,448号(チャンバーライン(Chamberlain)ら)に開示されている。このような絶縁層は、例えば約4nmと薄くすることができる。このコーティングの材料は、通常、望ましくない化学反応を避けるために、導電性コーティングとの適合性について選択される。例えば、導電性コーティングにアルミニウムが使用される場合、絶縁層には亜酸化アルミニウムが適している。いくつかの実施形態では、絶縁層はセラミックス又はポリマーを含みうる。セラミックスは、セラミックス又は非導電性ポリマーを含みうる。例示的なセラミックスとしては、酸化アルミニウム又は酸化ケイ素などの非導電性金属酸化物が挙げられる。
【0046】
絶縁層は、任意の有用な手段によって与えることができる。一般的に、これは、導電層がアルミニウムを含む場合、酸化アルミニウムなどの導電性コーティング材料の酸化物を形成するうえで充分な条件及び量で、成膜プロセスに酸素を導入することによって実現することができる。また、絶縁層を、当業者には周知の方法に従って、溶液で、又は複合溶液でコーティングしてもよい。
【0047】
提供される高誘電率接着複合材料は、本発明の複合材料と似た組成を有する参照複合材料と比較することができる。この参照複合材料は、充分な量の二酸化チタン又はチタン酸バリウム充填剤、又は別の適当な市販のマイクロ波透過性充填剤を含有することにより、本発明の複合材料の誘電率の約5%以内の誘電率を与える。本発明の複合材料は、本発明の充填剤を含有する。提供される複合材料は通常、参照複合材料の密度の約95%よりも低い密度(通常、85%よりも低い)を有する。
【0048】
いくつかの実施形態では、提供される複合材料の充填材料は、導電性コーティング、導電性コーティングを封入した非導電層、低密度、及び溶融加工が可能な充分な強度の4つの特性を備えたガラスマイクロスフェアとすることができる。更に低い密度を有する中空のガラスマイクロスフェアを、提供される複合材料中に使用することもできる。
【0049】
ガラス気泡又は粉砕ガラス繊維のような非導電性充填剤粒子を、従来のコーティング法などの任意の有用な手段によって薄い金属膜でコーティングすることができる。これらの方法には、スパッター蒸着、蒸発コーティング、及び陰極アークコーティングなどの物理的蒸着法、化学的蒸着、並びに、無電解めっき又はミラーリングなどの溶液コーティング法が含まれる。いずれの場合も、粒子が均一にコーティングされるように粒子表面が金属源に適切に曝露され、また、適切なフィルム厚さが得られるように、適切な配慮がなされなければならない。例えば、スパッター蒸着では、コーティング厚さが曝露時間及び蒸着速度によって制御される金属蒸気フラックス下で、粒子を攪拌することができる。絶縁コーティングは、例えば、金属を蒸着しながら同時に粒子表面の近傍に酸素を添加することにより、同様のプロセスで与えることができる。
【0050】
複合材料は、コーティングされた粒子を熱可塑性材料中に取り込むことによって形成することができる。これは、例えば、熱可塑性材料を溶融し、コーティングされた粒子を溶融物中に機械的に混合することなどの任意の有用な手段によって行うことができる。このようなプロセスにおける典型的な装置としては1軸及び2軸押出機があり、そのプロセス条件は、コーティングされた粒子が熱可塑性材料と緊密かつ均一に混合される一方で、摩耗又は破断などの機械的な破損をしないように通常は選択される。得られた複合材料は、任意の有用な手段によって最終的な物品に成形することができる。このような物品の例としては、レンズ及び平面アンテナが挙げられる。射出成形などの溶融加工法、又は加熱プラテンプレスを使用することができる。
【0051】
粒子状充填剤が、目立った間隙なく基質材料によって実質上包囲されている場合には、連続的な基質が得られる。連続的基質に使用されるよりも少ない量の基質材料では、不連続的基質が形成されうる。粒子状充填剤は不連続的基質中では互いに結合されうるが、基質材料を離れずに、網目構造を通じて連続的経路を辿ることは通常はできない。
【0052】
ディスプレイ装置を組み立てる方法も更に提供される。提供される方法は、導電性素子を基板に隣接して配置することにより、導電性基板を形成することを含む。基板に隣接してパターン化することができる導電性素子を配置する方法については、上記に述べた。提供される方法は、更に、透明基板に隣接して透明導体を配置することによって、透明電気活性基板を形成することを含む。透明導体は、当業者には周知の、導電性素子を基板に隣接して配置するために用いられるのと同じ方法を含む任意の手段によって、透明基板に隣接して塗布することができる。いくつかの実施形態では、透明導体は酸化インジウムスズを含み、透明基板はガラスを含む。上記に定義したような電気活性層を、透明電気活性基板と少なくとも部分的に接触するように、透明導体に隣接して蒸着又は配置する。いくつかの実施形態では、導電性素子を基板上に直接配置し、透明導体を透明基板上に直接配置することができ、高誘電率複合材料は、導電性基板上の導電性素子、電気活性基板、又はその両方と接触する。次いで上記に定義したような高誘電率複合材料を導電性基板上の導電性素子、透明電気活性基板上の電気活性層、又はその両方に塗布することができる。最後に、高誘電率接着複合材料が導電性基板上の導電性素子及び透明電気活性基板上の電気活性層と接触してディスプレイ装置を形成するように、導電性基板を透明電気活性基板上に積層することができる。高誘電率複合材料は、感圧性接着剤複合材料であってよい。また、高誘電率複合材料は非接着性であってもよい。その場合、クランプ又はフレームなどのクランプ様装置に圧力を加えて使用して、装置が適切に機能するように各層を組み立て、層同士を一体に保持することができる。
【0053】
提供される方法及び電子物品のいくつかの実施形態を、図面によってより深く理解することができる。
図1は、提供される電子物品のいくつかの実施形態において有用な充填剤に含まれる粒子の概略図である。
図1において、粒子100は、非導電性本体である、中空で空気102を封入したガラスマイクロスフェア104から構成されている。導電性金属層106が、非導電性本体104を実質上封入している。非導電性金属酸化物である絶縁層108が、導電層106を実質上封入している。粒子100は、本明細書において開示される、提供される電子物品及び方法において有用な高誘電率接着剤の一部として、結合剤中に取り込むことができる。
【0054】
図2a及び2bは、提供される方法において有用な構成要素の概略図である。一実施形態では、透明電気活性基板(
図2a)は、その上に透明金属酸化物層204(酸化インジウムスズ)が配置されたガラス基板202を有する。導電性基板(
図2b)は、可撓性ポリマー基板212(いくつかの実施形態ではポリイミド)上に配置されたパターン化金属導電性素子214を有している。パターン化金属導電性素子214、及び基板の、パターン化金属導電性素子214によって覆われていない部分は、高誘電率接着複合材料216によって覆われている。
【0055】
図2cは、透明電気活性基板(
図2a)が導電性基板(
図2b)に積層された、提供される電子物品(エレクトロルミネセントランプ200)の一実施形態の概略図である。
図2cに示される電子物品は、基板212上に配置されたパターン化金属導電性素子214を有している。高誘電率接着複合材料216は、導電性基板214及び蛍光体である電気活性層206と接触している。透明導体204(酸化インジウムスズ)が、蛍光体層206上に配置されている。透明導体204は、ガラス透明基板202上に配置されている。
【0056】
提供される物品及び方法は、電子装置に使用することができるディスプレイ装置に取り入れることができる。例示的な電子装置としては、アクチュエーター、人工筋肉及び臓器、スマート材料及び構造、微小電気機械(MEMS)装置、微小流体装置、音響装置、エレクトロルミネセントランプ、電子インク及びペーパー、電子リーダー、並びにセンサーが挙げられる。
【0057】
以下の実施例によって本発明の目的及び利点を更に説明するが、これらの実施例において記載される特定の材料及びその量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不要に限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0058】
コーティングされた粒子の調製
実施例において高誘電率充填剤として使用されるコーティングされた粒子は、最初に高導電性金属層でコーティングし、外側を導電層でコーティングしたグラスバブルズ/繊維/セラミックマイクロスフェアである。これらのコーティングを、それぞれの金属の物理的蒸着によって調製した。金属粒子及び炭素粒子などの他の充填剤を、物理的蒸着によって酸化アルミニウムなどの電気絶縁外層でコーティングすることによって、高誘電率充填剤を得た。
【0059】
物理的蒸着(PVD)プロセスを行うための装置310を
図3a及び3bに示す。装置310は、粒子攪拌器316を収容した真空チャンバ314を画定するハウジング312を有している。必要に応じてアルミニウム合金で形成することができるハウジング312は、垂直な向きに配置された中空の円筒である(高さ45cm、直径50cm)。基部318は、高真空ゲートバルブ322用のポート320を有しており、ポート320に続いて15cmの拡散ポンプ324、及び粒子攪拌器316の支持部326が配されている。チャンバ314は、10
−6torr(0.13mPa)の範囲のバックグラウンド圧にまで脱気することができる。
【0060】
ハウジング312の上部は、直流マグネトロンスパッター蒸着ソース330(US Gun II、ユー・エス社(US,INC)(カリフォルニア州サンホセ))用の外部マウントが取り付けられた、取り外し可能なゴム製Lガスケットで封止されたプレート328を有している。ソース330内には、金属スパッターターゲット332(13cm×20cm、厚さ1.25cm)が固定されている。スパッターソース330は、アーク抑制式Sparc−le 20(アドバンスド・エナジー・インダストリーズ社(Advanced Energy Industries,Inc)(コロラド州、フォートコリンズ))が取り付けられたMDX−10 Magnetron Drive(アドバンスドエナジーインダストリーズ社(Advanced Energy Industries,Inc)(コロラド州、フォートコリンズ))によって作動される。
【0061】
粒子撹拌器316は、上部336に四角形の開口部34(16.5cm×13.5cm)が設けられた中空の円筒(長さ24cm×直径19cm、水平)である。開口部334はスパッターターゲット332の表面336の真下、7cmの位置に配置されているため、スパッタリングされた金属原子は攪拌器容積338に入ることができる。攪拌器316は、シャフト340にその軸と整列させて取り付けられている。シャフト340は四角形の断面を有しており、これに4枚の四角形のブレード342がボルト固定されて、支持粒子を攪拌するための攪拌機構又はパドルを形成している。ブレード342はそれぞれ、ブレード342と攪拌器の円筒体316とによって形成される4つの区画のそれぞれに含まれる粒子体積間の連通を促すための2個の穴344を有している。この粒子攪拌器は、最大で2000cm
3の体積のグラスバブルズ又は他の基材を収容することができる。この装置の典型的な使用の態様を下記実施例に述べる。
【0062】
粉末電気抵抗率試験
コーティングされた粒子の体積電気抵抗率を、社内製の試験セルを使用して測定した。試験セルは、断面積が1.0cm
2の円筒状の空洞を有するDERLINブロックからなるものを用いた。空洞の底を真鍮電極で覆った。他方の電極は、断面積が1.0cm
2の真鍮円筒体とし、これを空洞内に嵌め込んだ。試験するコーティングされた粒子を、底部電極から1.0cmの高さにまで空洞内に満たした。次に、真鍮円筒体を挿入し、粉末に作用する全体の圧力が18psi(124kPa)となるように真鍮円筒体の上に重りを載せた。電極をデジタルマルチメータに接続して抵抗を測定した。この構成によれば、測定される抵抗は粒子の体積抵抗率に相当することになる。
【0063】
コーティングされた粒子を含む複合材料
【0064】
ポリエチレン複合材料
コーティングされた粒子を、160℃の温度に維持したBrabenderバッチミキサー中でポリマー溶融物(ポリエチレン、ENGAGE 8200、ダウ社(Dow))に加えた。2種類の材料を、約15〜20分間、65rpmでブレードを回転させることによって互いに混合することによって、複合材料を形成した。溶融した複合材料を、最初に2枚のポリエステルライナーの間に置いて3層のサンドウィッチ構造とすることによって、複合材料の平板なフィルムを形成した。次に、このサンドウィッチ構造を2枚のアルミニウムプレートの間に置いた。次にこのアセンブリ全体を、加熱したCarver labプレス(モデル2518、フレッド・エス・カーバー社(Fred S.Carver Co.)(インディアナ州ワバシュ))に挿入し、1000psi(6900kPa)の圧力及び150℃の温度で平板なフィルムに成形した。アルミニウムプレート間にシムを挿入して各試料の厚さを調節した。複合材料の各フィルムは、直径約18cm及び厚さ1.0〜1.5mmであった。
【0065】
エポキシ複合材料
2液型DEVCON 5 Minuteエポキシ(デブコン社(Devcon)、マサチューセッツ州ダンバース)を使用して、エポキシ複合材料を調製した。既知の重量のコーティングされた粒子と2液型エポキシとを、プラスチックビーカー中でスパチュラでよく混合した。2分後、アルミニウムプレート上に置かれた剥離ライナー上に混合物を注いだ。この混合物及びアルミニウムプレートの上に別の剥離ライナーを置いた。シムを挿入して所望の厚さとした。次にこのサンドウィッチアセンブリを、室温に維持したCarver labプレスに挿入した。5000psi(35MPa)の圧力を加え、最低で1時間維持した。
【0066】
各複合材料は、直径10cm及び厚さ1.5〜2.0mmであった。
【0067】
誘電率の測定(実施例1〜5に使用)
各複合材料の誘電特性を、1kHz以下の低周波数でLCRメーター(モデル72−960、テンマ社(TENMA)、オハイオ州センタービル)を用いて、室温(23℃)で測定した。底部電極は、直径10cmのアルミニウムプレートとした。上部電極は、直径4cmのアルミニウムプレートとした。プレートの厚さは1.4cmであった。底部電極をLCRメーターのマイナス端子に接続し、上部電極をプラス端子に接続した。平板な各複合材料試料を電極間に置いた。18psi(124kPa)の力に相当する重りを上部電極の上に載せて、各電極と試料表面とを密着させた。測定された静電容量(ピコファラデー(pF))を用い、下式を用いて複合材料の誘電率(k)を計算した。
K=C×d/e
0×A
式中、Cは、静電容量をpFで測定した値であり、dは、スラブの厚さをmで測定した値であり、Aは、上部電極の断面積=50cm
2=5×10
−3m
2であり、e
0=8.85×10
−12F/mである。
【0068】
実施例1及び比較例
市販の高誘電率(k)充填剤を比較例において使用した。BaTiO
3は、約1200の極めて高い誘電率を示す。BaTiO
3は、フェロ社(Ferro Corporation)(オハイオ州クリーブランド)より購入した。638.46gのスリー・エム社(3M)製SCOTCHLITE S60グラスバブルズを粒子攪拌器に装填し、スパッター蒸着によってグラスバブルズをアルミニウムでコーティングした。標的には3kWの出力を加えて、コーティングを24時間行った。チャンバを空気でベントし、試料の小部分(10cm
3)を取り出して粉末抵抗率を測定した。3.5ω・cmの抵抗率が得られた。チャンバを通じた3.0sccmの流れを用い、部分酸素雰囲気下でアルミニウムの反応性スパッター蒸着によって外側絶縁層を塗布した。3kWの出力を8時間加えて、絶縁層を形成した。チャンバをベントし、粒子を取り出した。測定された粉末抵抗率は30メガオーム/cmであった。
【0069】
10、20、30、40及び50体積%の充填剤濃度で、エポキシ複合材料を調製した。誘電率の値を測定し、下記表1に示した。
【表1】
【0070】
(実施例2)
異なるサイズのスリー・エム社(3M)製グラスバブルズ上に金属及び金属酸化物コーティングを物理的蒸着することによって、以下の充填剤を調製した。各複合材料はポリエチレン基質中で調製し、誘電率の値を下記表2に示した。
【表2】
【0071】
(実施例3)
RCF 600ガラス薄片を、エヌ・ジー・エフ・カナダ社(NGF Canada)より購入した。ガラス薄片にタングステンをコーティングした後、酸化アルミニウム絶縁層をコーティングして高誘電率充填剤を調製した。409.64gのRCF−600ガラス薄片を粒子攪拌器に装填し、タングステン金属ターゲットを使用して最初にタングステンでコーティングした。3.00kWの陰極出力を9時間加えた。コーティングの後、上記の粉末抵抗率装置を使用して、充填剤の抵抗率を確認した。抵抗率を測定したところ1.0ω・cmであった。アルミニウムスパッター標的を使用して、外側絶縁AlO
x層を蒸着した。スパッターチャンバ内において部分酸素雰囲気下で、2.00kWの陰極出力を7時間加えた。5.0sccmの酸素流をアルゴンとともにチャンバに導入した。スパッタープロセスの圧力は、10mtorr(1.33Pa)に維持した。充填剤は、Mω・cm(メガオーム・センチメートル)の範囲の粉末抵抗率を示した。各複合材料はポリエチレン中で調製し、誘電率の値を下記表3に示した。
【表3】
【0072】
(実施例4)
AlOx絶縁層を、キャボット社(Cabot)のVulcanカーボンブラック(XC72R)上にスパッター蒸着した。誘電率の値を測定し、コーティングしていないカーボンブラックとの比較を表4に示した。高い損失正接の値は、コーティングしていないカーボンブラックが損失を生じやすい材料であることを示している(高い誘電損失)。
【表4】
【0073】
(実施例5)
アルミニウム粉末(1〜3マイクロメートル)をアトランティック・イクイップメント・エンジニアズ社(Atlantic Equipment Engineers)(ニュージャージー州バーゲンフィールド)より購入した。絶縁AlOx層を反応性スパッタリングによって蒸着した。誘電率及び損失正接(括弧内)の値を表5に示す。
【表5】
【0074】
実施例6の試験方法
剥離力試験
接着フィルムの試料を、1インチ(2.54cm)のゴムローラー及び約0.35kg/平方cmの手の圧力で、厚さ45μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに積層した。この接着フィルム/PETの積層体から、幅1インチ(2.54cm)のストリップを切り取った。この試験ストリップの接着フィルム側を、アセトンで1回、ヘプタンで3回拭くことによって予めきれいにしたステンレス鋼プレートに、2kgのゴムローラーで積層した。積層した試験試料を周囲条件下に1時間置いた。接着フィルム試料/PET試験試料を、180°の角度で毎分30.5cmの速度でステンレス鋼の表面から剥離した。その力を、ImassモデルSP−2000試験機(アイマス社(Imass Inc.)、バージニア州アコード)によって測定した。
【0075】
誘電特性を測定するための方法(実施例6)
試料の形態:厚さ約1mm、直径40mmのフィルム又は薄いシート液体材料については、特殊な液体セル、スペーサーで隔離された金属電極又はくし形電極が利用可能である。
【0076】
この測定では、平行プレート電極の形態を選択した。直流導電率の通常の直接測定法は、これらのゲル試料は取り扱いが困難であるために適用できなかった。
【0077】
誘電率の測定値は、平行プレート電極及びAndeen Hagerling 2500A 1kHz超高精度静電容量ブリッジを使用し、「固体電気絶縁の交流損失特性及び誘電率(誘電定数)の標準的試験法(Standard Test Methods for AC Loss Characteristics and Permittivity(Dielectric Constant) of Solid Electrical Insulation)」と題するASTM D150に従って得た。各接着剤試料を、試料中に気泡が生じないように注意しながら、目標とする全体の厚さ(約1.8〜1.9mm)にまで注意深く積層した。積層した接着剤試料を、直径40mm、厚さ2mmの2枚の研磨した真鍮製ディスクの間に挿入した。次に、この真鍮電極で試料を挟んだアセンブリを、平行プレート試料コンデンサと、Andeen Hagerling 2500A 1kHz超高精度静電容量ブリッジとの間の界面を形成するために、Mopsik固定具に挿入した。各コンデンサの有限サイズによって生じる漏れ磁場の静電容量を説明するため、各測定にわずかな補正を適用した。
【0078】
試料の誘電率及び直流導電率を、Novocontrol高温広帯域誘電分光計(0.01〜10MHz)により、平行プレートの形態(上記の写真を参照)で測定した。直流導電率は、周波数に対する仮想誘電率データ(誘電損失)を、直流導電機構と同時に作動する単一の誘電緩和プロセスに対してフィッティングすることによる低周波数での外挿から得ることができる。この多変量フィッティングを用いることで、本発明者らは、低周波数での誘電緩和機構の残留効果が導電率から確実に取り除かれるようにすることができた。テフロン及びPMMAで得られた結果は、文献においてこれまでに報告されている内容とよく一致している。正確と考えられるこの導電率の測定法の最大の分解能は、約e
−17S/cmである。
【0079】
(実施例6A〜6D)
誘電性充填剤Aの調製
詳細な説明において述べられ、
図1及び2に示される装置を以下のように使用して、誘電性充填剤Aを調製した。スリー・エム社(3M)製S60グラスバブルズの粒径は15〜65マイクロメートルの範囲であり、中央値は30マイクロメートルである。1400cc(430g)のS60 SCOTCHLITEグラスバブルズ粒子を、対流式オーブン中、150℃で6時間乾燥させた。乾燥した粒子を粒子攪拌装置10に入れ、チャンバ14を脱気した。チャンバ圧が10
−5torr(1.33mPa)の範囲となった時点で、アルゴンスパッタリングガスをチャンバ14に約10mtorr(1.33Pa)の圧力で導入した。金属アルミニウムをスパッターターゲットとして使用した。次に、2.50kWの陰極出力を加えることによって蒸着プロセスを開始した。アルミニウム蒸着プロセスの間、粒子攪拌器のシャフト40を約4rpmで回転させた。20時間後に出力を停止した。アルゴンスパッターガスに加えて、酸素ガスを5sccm(1分当たりの標準立方cm)の速度で導入することにより、AlO
x層をその上にコーティングした。全体の圧力を10mtorr(1.33Pa)に維持した。4rpmで粒子を攪拌しながら、2.00kWの陰極出力を18時間加えた。18時間の終了時点でチャンバを周囲条件にまでベントし、攪拌器から粒子を取り出した。アルミニウムコーティングしたS60グラスバブルズの粉末抵抗率は2ω・cmよりも低く、最終的なコーティングの粉末抵抗率は、Mω・cm(メガオーム・cm)の範囲であった。
【0080】
誘電性充填剤Bの調製
誘電性充填剤Bの調製法
詳細な説明において述べられ、
図1及び2に示される装置を以下のように使用して、以下の手順に従って誘電性充填剤Bを調製した。iM30K SCOTCHLITEグラスバブルズ(スリー・エム社(3M Company)、ミネソタ州セントポール)は、18マイクロメートルの平均粒径を有する。503.95gのiM30K SCOTCHLITEグラスバブルズ粒子を、対流式オーブン中、150℃で6時間乾燥させた。乾燥した粒子を粒子攪拌装置10に入れ、チャンバ14を脱気した。チャンバ圧が10
−5torr(1.33mPa)の範囲となった時点で、アルゴンスパッタリングガスをチャンバ14に約10mtorr(1.33Pa)の圧力で導入した。四角形の金属タングステンをスパッターターゲットとして使用した。次に、3.00kWの陰極出力を加えることによって蒸着プロセスを開始した。タングステン蒸着プロセスの間、粒子攪拌器のシャフト40を約4rpmで回転させた。13時間後に出力を停止した。タングステンコーティングしたグラスバブルズの粉末抵抗率は0.6ω・cmであった。アルゴンスパッターガスに加えて、酸素ガスを5sccm(1分当たりの標準立方cm)の速度で導入することにより、AlOx層をその上にコーティングした。全体の圧力を10mtorr(1.33Pa)に維持した。4rpmで粒子を攪拌しながら、2.00kWの陰極出力を7時間加えた。7時間の終了時点でチャンバを周囲条件にまでベントし、攪拌器から粒子を取り出した。最終的なコーティングの粉末抵抗率は、Mω・cm(メガオーム・cm)の範囲であった。
【0081】
シロップA−80% N−ビニルピロリドンと20%アクリルアミド(重量基準)の混合物を互いに混合して、NVP/アクリルアミド混合物を形成した。10重量%(wt%)のこの混合物、16.99重量%の更なるN−ビニルピロリドン、及び72.97重量%のイソオクチルアクリレートを、0.04重量%のIRGACURE 651と混合した。この混合物を部分重合させて、米国特許第6,339,111号(ムーン(Moon)ら)に教示されるようなシロップを形成した。部分重合させたシロップの重量に対して、更なるIRGACURE 651(0.369重量%)及び0.149重量%の1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA)を部分重合させたシロップに加えてシロップAを形成した。
【0082】
(実施例6A〜6D)
実施例6A−誘電性充填剤A(充填率20重量%)を含む複合材料。
500mLのプラスチック製ビーカーに、240gのシロップAと60gの誘電性充填剤Aとを入れた。次に材料を標準的な実験用ブレードミキサーを用いて混合した後、減圧下で5分間脱気した。次に材料を、1.5ミル(38μm)のシー・ピー・フィルムズ社(CPFilms)製T−10ライナーと、2ミル(50.8μm)のシー・ピー・フィルムズ社(CPFilms)製T−30ライナーとの間に、13フィート/分(4m/分)の速度で、2ミル(50.8μm)の厚さにコーティングした。接着剤コーティングの表面において受容されるエネルギーが約270mJ/cm
2となるように、コーティングに蛍光ブラックライトランプを照射した。この材料の誘電率は、1kHzにおいて7.19であった。2.0ミル(50.8μm)の接着剤同士を積層して厚さ2mmの試料を形成することにより、誘電率試験試料を調製した。
【0083】
実施例6B−誘電性充填剤A(充填率30重量%)を含む複合材料。
500mLのプラスチック製ビーカーに、210gのシロップAと90gの誘電性充填剤Aとを入れた。次に材料を標準的な実験用ブレードミキサーを用いて混合した後、5分間脱気した。次に、材料を13フィート/分(4m/分)の速度で、2.0ミル(50.8μm)の厚さに、間にコーティングした。接着剤コーティングの表面において受容されるエネルギーが約270mJ/cm
2となるように、コーティングに蛍光ブラックライトランプを照射した。この材料の誘電率は、1kHzにおいて15.71であった。2.0ミル(50.8μm)の接着剤同士を積層して厚さ2mmの試料を形成することにより、誘電率試験試料を調製した。
【0084】
実施例6C−誘電性充填剤B(充填率25重量%)を含む複合材料。
1ガロン(3.78リットル)の容器に、487.5gのシロップA、368.55gのイソオクチルアクリレート、118.95gのN−ビニルピロリドン、及び325gの誘電性充填剤Bを入れた。材料を標準的な実験用ブレードミキサーを用いて混合した後、減圧下で15分間脱気した。次にこの溶液を、1.5ミル(38μm)のシー・ピー・フィルムズ社(CPFilms)製T−10ライナーと、2ミル(50.8μm)のシー・ピー・フィルムズ社(CPFilms)製T−30ライナーとの間に、15フィート/分(4.5m/分)の速度で、0.9ミル(23μm)の厚さにコーティングした。次に接着剤コーティングの表面において受容されるエネルギーが約270mJ/cm
2となるように、コーティングに蛍光ブラックライトランプを照射した。この材料の誘電率は、1kHzにおいて9.68であった。0.9ミル(23μm)の接着剤同士を積層して厚さ1mmの試料を形成することにより、誘電率試験試料を調製した。
【0085】
実施例6D−誘電性充填剤B(充填率35重量%)を含む複合材料。
1リットルの容器に、92.87gのシロップA、70.20gのイソオクチルアクリレート、22.66gのN−ビニルピロリドン、及び100gの誘電性充填剤Bを入れた。材料を標準的な実験用ブレードミキサーを用いて混合した後、減圧下で15分間脱気した。次にこの溶液を、1.5ミル(38μm)のシー・ピー・フィルムズ社(CPFilms)製T−10ライナーと、2ミル(50.8μm)のシー・ピー・フィルムズ社(CPFilms)製T−30ライナーとの間に、15フィート/分(4.5m/分)の速度で、0.9ミル(23μm)の厚さにコーティングした。次に接着剤コーティングの表面において受容されるエネルギーが約270mJ/cm
2となるように、コーティングに蛍光ブラックライトランプを照射した。この材料の誘電率は、1kHzにおいて15.00であった。0.9ミル(23μm)の接着剤同士を積層して厚さ1mmの試料を形成することにより、誘電率試験試料を調製した。
【0086】
剥離接着力
剥離接着力(180°)を、実施例6A〜6Dで調製した接着剤で測定し、このデータを下記表に示す。幅1インチ(2.54cm)の接着剤試料を、幅1インチ(2.54cm)/厚さ2ミル(51μm)のアルミニウム箔と、幅2インチ(5.08cm)/厚さ1.23mmのステンレス鋼試験プレートとの間に接着した。試験試料の調製後、試料の調製と180°剥離試験との間に1時間のドウェル時間をおいた。180°剥離試験を、12インチ(30.5cm)/分で、2秒間のデータ収集遅延時間の後に10秒間のデータ収集時間を取って行った。「フェース面」(FS)及び「裏面」(BS)の両方の接着力試験を行った。接着剤の「フェース面」は、「最も容易に剥離できる」ライナーを剥離した際に露出する接着剤の面とした。接着剤の「裏面」は、「フェース面」に対して反対側の面とした。180°剥離試験は、「フェース面」(FS)及び「裏面」(BS)の両方がステンレス鋼プレートに接着した状態で行った。最後に、180°剥離試験後にステンレス鋼プレートに接着したまま残留した接着剤の比率(%)として「転写率(%)」を記録した。結果を下記表6に示す。
【表6】
【0087】
表6のデータは、1kHzにおいて約7〜16の高い誘電率を有する実施例6A〜6Dの複合材料は、相当の剥離強度も有し、高誘電率接着複合材料として有用でありうることを示すものである。
【0088】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく本発明に様々な変更及び改変を行いうる点は、当業者には明らかであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不要に限定されない点、また、こうした実施例及び実施形態はあくまで例として与えられるものであり、本発明の範囲は、本明細書において以下に記載される「特許請求の範囲」によってのみ限定されるものである点は理解すべきである。本開示に引用される参照文献はすべて、その全体を本明細書に援用するものである。