(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881683
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】人間工学的なディスペンサインターフェース
(51)【国際特許分類】
A47J 31/44 20060101AFI20160225BHJP
A47J 31/52 20060101ALI20160225BHJP
A47J 31/56 20060101ALI20160225BHJP
H01H 25/06 20060101ALI20160225BHJP
H01H 25/00 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
A47J31/44 100
A47J31/44 120
A47J31/52
A47J31/56
H01H25/06 B
H01H25/00 B
【請求項の数】15
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-510630(P2013-510630)
(86)(22)【出願日】2011年5月20日
(65)【公表番号】特表2013-532000(P2013-532000A)
(43)【公表日】2013年8月15日
(86)【国際出願番号】EP2011058223
(87)【国際公開番号】WO2011144720
(87)【国際公開日】20111124
【審査請求日】2014年5月16日
(31)【優先権主張番号】10163635.5
(32)【優先日】2010年5月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599132904
【氏名又は名称】ネステク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114270
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 朋也
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】カーン, アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】トゥルキ, ダニエル
【審査官】
大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/037806(WO,A1)
【文献】
特開2009−089791(JP,A)
【文献】
スイス国特許発明第00693016(CH,A5)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0096054(US,A1)
【文献】
特開2005−038850(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/44
31/24
31/52
31/56
H01H 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の飲料原材料を処理し、得られた飲料を注出するための飲料調製モジュールと、
パラメータによって前記処理を制御するための制御ユニットであって、前記パラメータが前記制御ユニットに記憶された値に対して設定される、制御ユニットと、
前記制御ユニットに接続され、前記値をユーザから取得して前記制御ユニット内に記憶するためのユーザインターフェース(20)とを有し、
前記ユーザインターフェースが、前記パラメータの第1の値に関連付けられた第1のユーザセレクタ(21)と、前記パラメータの第2の値に関連付けられた第2のユーザセレクタ(22)とを含む、飲料を調製するための装置(1)であって、
前記第1及び第2のユーザセレクタ(21、22)の各々が、
調整方向におけるユーザ操作時に、前記ユーザセレクタに関連付けられた前記値を前記ユーザセレクタに関連付けられた値の範囲から選択されたユーザ選択調整値にシフトするための、ユーザ操作の調整方向(211、221)と、
開始方向におけるユーザ操作時に、前記制御ユニットを開始して前記ユーザ選択調整値を前記記憶値として記憶し、及び/又は前記記憶値として前記ユーザ選択調整値に設定された前記パラメータによって前記処理を開始するための、ユーザ操作の開始方向(212、222)とを含むことを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記ユーザセレクタ(21、22)の各々においては、前記調整方向(211、221)と前記開始方向(212、222)が異なり、特に互いに対してほぼ垂直である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ユーザセレクタ(21、22)の各々においては、前記調整方向(211、221)が弓形、特に円形であり、前記開始方向(212、222)が直線であり、又はその反対である、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記ユーザセレクタ(21、22)の各々が、プッシュアンドターンボタン又はプッシュアンドスライドボタンである、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のユーザセレクタ(21)が、値の第1の範囲(211)に関連付けられ、前記第2のユーザセレクタ(22)が、前記第1の範囲と重複しない第2の範囲(221)に関連付けられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
値の前記範囲(211、221)の各々が、前記範囲を相応にシフトさせるためにユーザによって再プログラミング可能な範囲内において中間値などの基準値を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記制御ユニットが、前記ユーザセレクタ(21、22)の一方の前記開始方向(212、222)におけるユーザ操作と同時に、前記記憶値に設定された前記パラメータによって前記処理を自動的に開始するように構成される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ユーザセレクタ(21、22)が、特に前記ユーザ選択調整値を示す記号を含み前記調整方向(211、221)を表示するユーザ視認可能なマーキング(211a、221a)、及び特にパラメータ化された飲料を示す記号を含み前記開始方向(212、222)を表示するユーザ視認可能なマーキング(212a、222a)を有し、又は前記マーキングに隣接する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
値の前記範囲(211、221)が、前記処理により注出される前記飲料のさまざまな量の範囲を表す、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記第1のユーザセレクタ(21)が少量の範囲(211)に関連付けられ、前記第2のユーザセレクタ(22)が多量の範囲(221)に関連付けられ、前記範囲の各々は、量域、及び中間量値などの基準量値を有し、前記範囲の各々の前記量域は、その基準量値の25〜50%の範囲内にある、請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1のユーザセレクタ(21)が、30〜50mlの範囲内の第1の中間量値に関連付けられ、及び/又は前記第2のユーザセレクタ(22)が、90〜130mlの範囲内の第2の中間量値に関連付けられる、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
値の前記範囲が、
前記処理により注出される前記飲料のさまざまな温度、又は
前記処理により注出される前記飲料のさまざまな飲料原材料比
の範囲を表す、請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記飲料調製モジュールが、水などの液体を風味付け原材料内に流通させることによって飲料を調製するように構成される、請求項1〜12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記飲料調製モジュールが、前記風味付け原材料を含有するカプセルを受け入れ、液体を風味付けするために前記液体を前記カプセル内に流通させて前記飲料を形成し、随意に、前記飲料の形成と同時に前記カプセルを排出し、特に前記カプセルを使用済みカプセル収集器(6)へ排出するように構成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記飲料調製モジュールが、挽いたコーヒー、インスタントコーヒー、茶葉、インスタント茶、液体ミルク、粉末ミルク、及びカカオ含有原材料から選択される少なくとも1つの原材料を処理するように構成される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、飲料調製装置の分野に関する。特に、この分野は、飲料を調製するためのユーザによるそのような装置の人間工学的な操作に関する。
【0002】
本発明の説明のために、「飲料」は、茶、コーヒー、ホット又はコールドチョコレート、ミルク、スープ、離乳食などのあらゆる液体食品を含むことを意味する。「カプセル」は、任意の材料の封入パッケージ、特に気密パッケージ、例えばプラスチック、アルミニウム、再生可能及び/又は生分解性パッケージ、並びに原材料を含有するソフトポッド又は剛性カートリッジを含む、任意の形状及び構造の封入パッケージ内の事前に小分けされたあらゆる飲料原材料を含むことを意味する。
【背景技術】
【0003】
特定の飲料調製装置は、浸出又は溶解される原材料を含有するカプセルを使用し、他の装置では、原材料は装置内で貯蔵されて自動的に分与され、又は他のものは、飲料の調製時に加えられる。
【0004】
ほとんどのコーヒーメーカは、低温の水源からの液体、又は加熱抵抗器、サーモブロック若しくはその他の加熱手段によって実際に加熱された液体を圧送する液体用、たいていは水用のポンプを含む充填手段を有する。
【0005】
そのような装置は通常、飲料原材料を保持し浸出させるための抽出ユニットを有する。原材料を抽出ユニット内に導入し、使用と同時に原材料を除去するために、抽出ユニットは、ユーザによって操作可能であるハンドルによって作動し得る閉鎖機構を有する。装置を作動するためのさまざまな構成が、当技術分野で開示されている。
【0006】
欧州特許第1208782号明細書は、コーヒーカプセルを浸出させる抽出ユニットを含む主要本体を有するコーヒーメーカを開示している。抽出ユニットは、主要本体の後方から前方に約180°の角度で主要本体を回転させることができるハンドルによって開閉される。ハンドルは、一方の端部が手で操作可能な横断ロッドによって連結され、反対側の端部が抽出ユニットの開閉機構に枢動式に装着されたL字状のレバーの対を有する。枢動可能なL字状のレバーは、中間レバーの対によって抽出ユニットの可動部を駆動し、この中間レバーの対は、第1の端部がこの可動の抽出ユニット部分に連結され、第2の端部がL字状のレバーのコーナに連結される。米国特許出願公開第2008/0006159号、米国特許第7,165,488号、国際公開第2007/111884号パンフレット、及び欧州特許第1829469号明細書は、ハンドルによって手動で開閉可能である抽出ユニットを有する別の飲料装置を開示している。
【0007】
ごく最近では、以下の文献で示すように、具体的には飲料調製装置のユーザにとって容易な操作及びそのような装置の人間工学的な構成を対象とする取り組みが為されている。
【0008】
欧州特許第1878368号明細書は、支持ベース上に回転可能に装着された機能ブロックを有する飲料装置を開示している。機能ブロックは、支持ベースから取り外し可能であるように設計することができる。欧州特許第1864598号明細書は、接続架台上に装着することができる自動式飲料装置を開示している。自動式飲料装置は、接続架台に連結されても、又はそこから連結解除されても作動可能であるように構成される。国際公開第2009/074553号パンフレット及び国際公開第2010/015427号パンフレットは、片手で持ち上げることができるように構成された飲料調製装置を開示している。
【0009】
ユーザが装置の作動を制御することを可能にするために、例えば以下の参照文献で言及するようにさまざまなシステムが当技術分野で開示されている。オーストラリア国特許第410377号明細書、スイス国特許第682798号明細書、ドイツ国第4429353号明細書、ドイツ国第20200419号明細書、ドイツ国第202006019039号明細書、ドイツ国第2007008590号明細書、欧州特許第1448084号明細書、欧州特許第1676509号明細書、欧州特許第08155851.2号明細書、フランス国第2624844号明細書、イギリス国第2397510号明細書、米国特許第4,377,049号、米国特許第4,458,735号、米国特許第4,554,419号、米国特許第4,767,632号、米国特許第4,954,697号、米国特許第5,312,020号、米国特許第5,335,705号、米国特許第5,372,061号、米国特許第5,375,508号、米国特許第5,731,981号、米国特許第5,645,230号、米国特許第5,836,236号、米国特許第5,959,869号、米国特許第6,182,555号、米国特許第6,354,341号、米国特許第6,759,072号、米国特許出願公開第2007/0157820号、国際公開第97/25634号パンフレット、国際公開第99/50172号パンフレット、国際公開第2004/030435号パンフレット、国際公開第2004/030438号パンフレット、国際公開第2006/063645号パンフレット、国際公開第2006/090183号パンフレット、国際公開第2007/003062号パンフレット、国際公開第2007/003990号パンフレット、国際公開第2008/104751号パンフレット、国際公開第2008/138710号パンフレット、国際公開第2008/138820号パンフレット、国際公開第2009/135821号パンフレット、国際公開第2010/003932号パンフレット、及び国際公開第2010/037806号パンフレット。
【0010】
ドイツ国特許第202006019039号明細書、オーストラリア国第410377号明細書、米国特許第4,377,049号、米国特許第4,554,419号、米国特許第4,954,697号、米国特許第5,685,435号、米国特許第6,759,072号、米国特許第6,182,555号、国際公開第2004/030438号パンフレット、国際公開第2006/090183号パンフレット、国際公開第2007/003990号パンフレット、国際公開第2008/13871号パンフレット及び国際公開第2010/003932号パンフレットは、空洞内の飲料出口を介して充填される飲料容器を受けるための下側開放空洞を有する、ほぼ直立した前面と、下側開放空洞の開口の上方の前面の上部にある、ユーザインターフェースとして配置されたほぼ垂直な上側スクリーン、タッチスクリーン及び/又はタッチパッドとを備えた飲料注出装置を開示している。フランス国特許第2624844号明細書は、飲料容器を充填するための開放空洞を備えた前面と、空洞開口の隣の装置の前面内に収容されたキーボード及びモニタを備えたマイクロコンピュータとを有する飲料ディスペンサを開示している。より最新のユーザインターフェースシステムは、国際公開第2006/063645号パンフレットに教示されるような、ユーザカップ上に直接充填するレベルを設定するためのユーザ移動可能なレーザポインタ、又は国際公開第2009/135821号パンフレットに開示されるような、カップ上の所望の充填レベルを指し示す指又はユーザ操作物体の位置を取得し、自動的にカップをそのようなレベルまで充填するためのセンサを含むことができる。
【0011】
コーヒーメーカ、特に挽いたコーヒーのカプセルを用いるコーヒーメーカの分野では、リステロット(ristretto)サイズ又はエスプレッソサイズのコーヒーの注出を求めるための第1のボタンと、通常サイズ又はルンゴ(lungo)サイズのコーヒーの注出を求めるための第2のボタンとを備えたユーザインターフェースを設けることがよく知られている。2つのボタンの各々に関連付けられた飲料の量は、たいていユーザ個人の好みに合わせてユーザによって再プログラミングされてよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
国際公開第2010/037806号パンフレットは、ユーザが小さいカップと大きいカップの間で選択する2つの位置に中立位置から移動可能な人間工学的なトグルスイッチを備えたコーヒーメーカを開示している。各位置に関連付けられた注出飲料の量は、ユーザによってプログラミング可能である。プログラミングモードを開始し、終了するために補助ホイールセレクタが設けられる。プログラミングモードでは、トグルスイッチは、再プログラミングされる注出開始位置にユーザによって移動される。ユーザは、所望の量に到達するまでトグルスイッチを注出開始位置に保ち、次いで、この所望の量は、このトグルスイッチの飲料注出開始位置に関連付けられた新しい量として記憶される。トグルスイッチの位置に関連付けられた量が変更される度に、ユーザは、プログラミングモードを再開する必要がある。そのようなシステムでは、ユーザは、自分の好みに合わせて注出量を容易に調整することができる。しかし、複数のユーザが同じ装置を使用するとき、彼らは、この注出量に合意する、又は装置を定期的に再プログラミングする、又は手動の注出モードを開始する必要がある。
【0013】
本発明の好ましい目的は、従来技術のユーザインターフェースの欠点の少なくとも一部を軽減する簡単なユーザインターフェースを備えた飲料調製装置を提供することである。
【0014】
特に、本発明の目的は、システムの厄介な再プログラミングをユーザ毎に行わなくても、さまざまな好みを有するさまざまなユーザによって使用することができる、注出される飲料のパラメータ、例えば飲料の量又は味覚強度に関する所定値を選択するための簡単な人間工学的なユーザインターフェースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は、飲料を調製するための装置であって、1つ又は複数の飲料原材料を処理し、得られた飲料を注出するための飲料調製モジュールと、パラメータによってそのような処理を制御するための制御ユニットであって、パラメータが制御ユニットに記憶された値に対して設定される、制御ユニットと、制御ユニットに接続され、この記憶された値をユーザから取得して制御ユニット内に記憶するためのユーザインターフェースとを有する装置に関する。ユーザインターフェースは、パラメータの第1の値に関連付けられた第1のユーザセレクタと、パラメータの第2の値に関連付けられた第2のユーザセレクタとを含み、第1の値は通常、第2の値とは異なる。
【0016】
例えば、装置は、コーヒー、茶、又はスープ用装置である。装置は、高温若しくは低温の水又は別の液体を、挽いたコーヒー又は茶又はチョコレート又はカカオ又はミルクの粉末などの、調製される飲料の風味付け原材料を含有するカプセルに通すことによって抽出ユニット内で飲料を調製するように構成され得る。
【0017】
抽出ユニットは、ハンドルによって、第1の構成、すなわち、風味付け原材料が抽出ユニットに導入され、及び/又はそこから排出される移送構成、並びに第2の構成、すなわち液体が風味付け原材料内に
流通されて飲料を調製する
流通構成から移動され得る。抽出ユニットの
流通及び移送の構成は、通常、ハンドルの
流通位置及び移送位置にそれぞれ対応する。
【0018】
通常、装置は、ポンプ、加熱器、ドリップトレイ、原材料収集器、液体タンク、及び液体タンクと抽出ユニットの間の流体連結をもたらすための流体連結システムのうちの1つ又は複数を含む。液体供給源、例えばリザーバと抽出ユニットの間の流体回路の構成、すなわち適切な飲料調製モジュールは、例えば国際公開第2009/074550号パンフレットにより詳細に開示されている。
【0019】
本発明によれば、第1及び第2のユーザセレクタの各々は、調整方向におけるユーザ操作時に、ユーザセレクタに関連付けられた値をユーザセレクタに関連付けられた値の範囲から選択されたユーザ選択調整値にシフトするための、ユーザ操作の調整方向を含む。さらには、ユーザセレクタの各々は、開始方向におけるユーザ操作時に、制御ユニットを開始してユーザ選択調整値を記憶値として記憶し、及び/又は記憶値としてユーザ選択調整値に設定されたパラメータによって処理を開始するための、ユーザ操作の開始方向を含む。通常、調整方向は、各ユーザセレクタにおいて開始方向とは異なる。
【0020】
故に、装置は、後に続く飲料処理のために、対応するユーザセレクタを操作してユーザが選択及び微調整することができる、飲料調製プロセスのパラメータの値に各々が関連付けられる2つのユーザセレクタを有する。
【0021】
故に、各セレクタは、ユーザの操作の2つの方向、すなわち、セレクタに関連付けられた値を調整するための第1の方向と、パラメータの調整値の記憶を開始し、及び/又はこの調整値に設定されたパラメータによって処理を開始するための第2の方向とを有する。
【0022】
故に、本発明の装置、特に制御ユニット及びインターフェースは、さまざまな構成を有することができる。第1の構成では、調整方向は、値を所望の調整値にシフトすることだけに関連付けられており、開始方向は、パラメータの調整値の記憶に関連付けられ、飲料処理の開始は、この開始方向又はユーザセレクタの別の方向又はさらに別のユーザセレクタに関連付けられる。第2の構成では、調整方向は、値のシフト及びその値の、パラメータの所望の調整値としての同時記憶に関連付けられ、開始方向は、所望の調整値に設定されたパラメータによる飲料処理の開始に関連付けられる。
【0023】
同じ装置を使用するさまざまなユーザが、異なるユーザが同じ装置を使用する度に手動で装置を操作することなく、又は装置を厄介なプロセスで再プログラミングする必要なく、各ユーザの好みを満たすために簡単な方法で調整することができるパラメータによる飲料調製を求めることは当然である。
【0024】
故に、ユーザは、同じセレクタを一方の方向に操作して飲料調製パラメータの調整値を選択し、調整値を記憶するため、及び/又は制御ユニットによって調整値に設定されたパラメータによって飲料調製プロセスを開始するために、別の方向、つまり開始方向に操作することができる。したがって、非常に簡単で直感的なインターフェースが設けられ、さまざまなユーザが飲料調製パラメータに対してさまざまな値を選択することを可能にする。
【0025】
各ユーザセレクタにおいては、調整方向及び開始方向は、互いにほぼ垂直になり得る。各ユーザセレクタにおいては、調整方向は、弓形、特に円形になることができ、開始方向は直線でもよく、又はその反対でもよい。例えば、ユーザセレクタは、プッシュアンドターンボタン又はプッシュアンドスライドボタンである。ボタンは回され又は摺動され、例えばその範囲内の選択可能な値を有する直線又は弓形のルーラに沿って、ボタンが回る経路又は摺動する経路に沿って、値の任意範囲の調整値を選択することができ、次いでボタンは開始方向に押し込まれる。
【0026】
例えば、第1のユーザセレクタは、値の第1の範囲に関連付けられ、第2のユーザセレクタは、第1の範囲と重複しない第2の範囲に関連付けられる。この場合、2つの範囲は別個のものであり、これらの範囲が組み合わされたとき、どのようなユーザでも容易に直感的に得ることができる広い幅域の値を含むことができる。
【0027】
インターフェースの人間工学性をさらに改善するために、各セレクタは、特に調整値を示す記号を含み調整方向を表示するユーザ視認可能なマーキングと、特にパラメータ化された飲料を示す記号を含み開始方向を表示するユーザ視認可能なマーキングとを有し、又はこれらのマーキングに隣接することができる。調整方向に関するセレクタの適正なマーキングは、例えば選択可能な調整値の等級付け(例えば離散数「1」、「2」、「3」、「4」)などのさまざまな調整値を示す記号を有し、開始方向に関しては、そのようなタイプのカップ(エスプレッソ又はルンゴ)に注出されるパラメータ化された飲料に関する記号を有する。
【0028】
値の各範囲は、そのような範囲を相応にシフトさせるためにユーザによって再プログラミング可能である中間値などの基準値を有することができる。
【0029】
好ましい実施形態では、制御ユニットは、ユーザセレクタの開始方向におけるユーザ操作と同時に、記憶値に設定されたパラメータによって飲料を形成する処理を自動的に開始するように構成される。故に、ユーザは、最初にパラメータの調整値を選択し、次いで、ユーザセレクタを開始方向に操作することによって処理の開始を求めることができ、この調整値は、ユーザセレクタを調整方向に操作することによる調整値の選択時に、又はユーザセレクタを開始方向に操作したときに同時に記憶される。したがって、後者の場合、飲料処理の開始及びパラメータの調整値の記憶は、ユーザインターフェース上でのユーザの同一操作によってトリガされる。
【0030】
通常、ユーザによって選択可能な値の範囲は、飲料原材料の処理により注出される飲料のさまざまな量の範囲を表している。例えば、値は、不溶解性の、溶解性の、及び/又は分散性の、固形原材料、例えば挽いたコーヒー又は茶葉を
通って
流通される水量を表している。
【0031】
例えば、第1のユーザセレクタは少量の範囲に関連付けられ、第2のユーザセレクタは多量の範囲に関連付けられ、各範囲は、量域と、中間量値などの基準量値とを有し、各範囲の量域は、その基準量値の25〜50%の範囲内にある。第1のユーザセレクタは、30〜50mlの範囲内の第1の中間量値に関連付けられてもよく、及び/又は第2のユーザセレクタは、70〜100mlの範囲内の第2の中間量値に関連付けることができる。特に、コーヒーメーカは、エスプレッソ、例えば20〜60mlの調整可能な量を注出するための第1のユーザセレクタと、ルンゴ、例えば70〜150mlの範囲内の量を注出するための第2のユーザセレクタとを有することができる。
【0032】
一般的に言えば、値の範囲は、飲料調製プロセスのあらゆるパラメータ、例えば飲料原材料(複数可)の処理により注出される飲料のさまざまな温度、又は飲料原材料(複数可)の処理により注出される飲料のさまざまな飲料原材料比を表すことができる。例えば、値の範囲は、注出飲料内に含まれる添加物、例えばコーヒー、茶、又はチョコレート内に任意選択で含まれる砂糖及び/又はミルクを示すことができる。
【0033】
特定の実施形態では、ユーザセレクタ(複数可)は、飲料調製プロセス中に調整方向に操作されてよい。この場合、パラメータの値は、現在又は後に続く飲料原材料の処理に対して調整される。その場合、パラメータの値は、現在の原材料処理、すなわちパラメータの異なる調整値ですでに開始した原材料処理に対して調整され、プロセスは、技術的に実行可能である限り変更され得る。例えば、値が注出飲料の量を表す場合、プロセス中の量の増大は、特定の制限を有することなく可能にすることができるが、プロセス中に調製された飲料の量の低減は、低減が求められた時点でまだ調製されていない飲料の量に限定される。言い換えれば、調製された飲料の量を、ユーザが所望の値の変更を求めた時点ですでに注出された飲料の量以下まで低減することは通常不可能である。この下限値に到達したとき、原材料処理は、通常停止される。
【0034】
通常、飲料調製モジュールは、水などの液体を風味付け原材料内に
流通させることによって飲料を調製するように構成される。特に、飲料調製モジュールは、風味付け原材料を含有するカプセルを受け入れ、液体を風味付けするために液体をカプセル内に
流通させ、飲料を形成するように構成される。飲料調製モジュールは、飲料の形成と同時にカプセルを排出する、特にカプセルを装置の使用済みカプセル収集器へと排出するようにさらに構成することができる。
【0035】
例えば、飲料調製モジュールは、挽いたコーヒー、インスタントコーヒー、茶葉、インスタント茶、液体ミルク、粉末ミルク、及びカカオ含有原材料から選択される少なくとも1つの原材料を処理するように構成される。飲料調製装置は、特にカプセル入り風味付け原材料を、重力によって飲料調製モジュール内に導入するための通路を有することができ、その操作部は、ハンドルが移送位置にあるときにこの通路のほぼ上方及び/又は隣接して位置する。故に、その移送位置にあるハンドルは、原材料を装置の通路に挿入するユーザの手の近くに位置しており、それにより、原材料の挿入からハンドルの手動による操作まで最小限の手の動きしか必要とされない。
【0036】
次に本発明を以下の概略図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明による飲料調製装置の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1及び2は、本発明による飲料調製装置1の実施形態を示している。装置1は、電気コード9を介して、通常は主要電源によって通電することができる。
【0039】
装置1は、ハウジング2によって覆われた内部の飲料調製モジュールを有する。飲料調製モジュールは、風味付け原材料、特に、そのようなモジュールに供給される原材料など、カプセル内に事前に小分けされた原材料を保持し、液体をその中に
流通させて飲料を形成するように構成される。
【0040】
例えば水などの液体が格納され、タンク3から飲料調製モジュールに供給され得る。飲料は形成と同時に注出領域5、5’、例えばユーザのカップ又はマグを保持するための支持体に出口4を介して注出することができる。注出領域は第1のカップ支持体5を含むことができ、この第1のカップ支持体は、より大きいカップのために、例えばルンゴ又は特大量の飲料を注出するために、より低い第2のカップ支持体5’にアクセス可能となるように出口4の下方から離れる方向に移動可能である。低い方のカップ支持体5’は、装置1の基部8に連結され得る。適切な移動可能なカップ支持体は、例えば、その内容が参照によって本明細書に組み込まれる欧州特許第1867260号明細書及び国際公開第2009/074557号パンフレットに開示される。
【0041】
装置1はまた、出口4’に連結された、例えば発泡させたミルク及び/又は茶を調製するための蒸気及び/又は高温水の発生器も含む。
【0042】
飲料調製モジュールに隣接して、装置1は、使用済み風味付け原材料、例えばカプセル内に含有された、例えば抽出した際の挽いたコーヒー又は茶のための収集器6を有することができる。収集器6は、例えば重力によって、排出された使用済み風味付け原材料を飲料調製と同時に収集器6に収集するために飲料調製モジュールの下方に位置付けられ得る。適切な収集器は、例えば、参照によって本明細書に組み込まれる国際公開第2009/074559号パンフレット及び国際公開第2009/135869号パンフレットに開示される。
【0043】
装置1は、例えばカプセル入り原材料をモジュール内に装填する及び/又はそのような原材料をモジュールから排出するための移送位置と、液体を原材料内に
流通させるための
流通位置との間で移動可能なハンドル10を有する。
【0044】
通常、ハンドル10は、飲料調製モジュールの、抽出ユニットなどの、原材料室を備えた原材料ホルダを、風味付け原材料をホルダ内に挿入し及び/又はホルダから排出するための移送位置と、液体を原材料ホルダ内の風味付け原材料内に
流通させて飲料を形成するための
流通位置とから操作させる。通常、原材料ホルダ、例えば抽出ユニットは2つの相対的に移動可能な部分を有し、これらの部分は離されて、原材料ホルダを移送位置へと開き、近付けられて原材料ホルダを
流通位置へと閉じる。この
流通位置では、原材料ホルダは、液体を原材料内で適切に案内することを確実にするために、風味付け原材料を緊密に封入することができる。
【0045】
図2に示す
流通位置では、ハンドル10は、装置1の上面2a上に又はその中に載置されている。特にハンドル10はハウジング2と同一面となることができる。
【0046】
図1に示すように、ハンドル10は、人間工学的理由から、すなわちハンドル10が移送位置から
流通位置まで移動されるときにユーザの手に接触する面12を好都合に配置することによってハンドル10に力をかけることを容易するために、その先端部11においてわずかに湾曲され又は曲げられた直線バーとして全体的に成形された単一アームレバーである。
流通位置(
図2)では、先端部11を備えたハンドル10は、例えば、ハウジング2の表面の洗浄を容易にするために、対応する形状を有するハウジング2と同一面となり得る。
【0047】
故に、ハンドル10は、例えばカプセル内に封入された風味付け原材料が飲料調製モジュール内に例えば通路7を介して挿入される移送位置と、風味付け原材料が飲料調製モジュール内に収容されて液体がその中で
流通されて飲料を形成し得る
流通位置との間でハンドルを移動させるために人の手によって接触されて操作されるように配置された操作部12を有する。
【0048】
図1は、移送位置と
流通位置(
図2)の間の中間位置にあるハンドル10を示している。移送位置では、ハンドル10は、例えばカプセル入り風味付け原材料を飲料調製モジュール内に挿入することを可能にするために通路7を完全に露出するように上方向に枢動される。
【0049】
通路7は、風味付け原材料を重力によって飲料調製モジュール内に導入するように配置され得る。操作部12は、例えばカプセル入り風味付け原材料の通路7への手動による導入と、同じ手によるハンドル10の手動による操作との間の連携を容易にするために、ハンドル10が移送位置にあるときに、通路7のほぼ上方に及び/又は隣接して位置することができる。
【0050】
さらには、装置1は、飲料調製モジュール内で風味付け原材料内の液体の
流通を開始するためのユーザインターフェース20を含む。ユーザインターフェース20は、少量の飲料、例えばエスプレッソを注出するための第1のセレクタ21と、多量の飲量、例えばルンゴを注出するための第2のセレクタ22とを含む。
【0051】
装置1は、例えばマスタースイッチとして、又は出口4’を備えた高温水及び/又は蒸気の発生器を作動させるためのトグル23をさらに含む。トグル23は、装置1の状態を表示するためにLED24に関連付けられ得る。例えば、トグル23がマスタースイッチであるとき、LED24は、装置1の電源が投入されていることを表示することができる。トグル23が水及び/又は蒸気の発生器とリンクされているとき、LED24は高温水及び/又は蒸気を注出するための準備状態を表示することができる。
【0052】
飲料調製モジュールは通常、以下の構成要素のうち1つ又は複数を含む。
a)こうした飲料の風味付け原材料、特にカプセル内に供給される事前に小分けされた原材料を受け入れ、流入する水などの液体の流れをこの原材料を通して飲料出口4まで案内するための、抽出ユニットなどの原材料ホルダ、
b)原材料ホルダに供給されて流入する液体の流れを加熱するための、サーモブロックなどのインライン加熱器、
c)この液体をインライン加熱器を通して圧送するためのポンプ、
d)この液体を液体タンク3などの液体供給源から飲料出口4まで案内するための1つ又は複数の流体連結部材、
e)特に、インターフェースを介してユーザから指示を受け入れ、インライン加熱器及びポンプを制御するための印刷回路板(PCB)を備える、電気制御ユニット、及び
f)原材料ホルダ、インライン加熱器、ポンプ、液体リザーバ3、原材料収集器6、この液体の流れ、この液体の圧力、及びこの液体の温度の特性から選択された少なくとも1つの作動特性を感知し、そのような特性(複数可)を制御ユニットに通信するための1つ又は複数の電気センサ。
【0053】
加熱器は、サーモブロック又は瞬間加熱器(ODH)、例えば欧州特許第1253844号明細書、欧州特許第1380243号明細書及び欧州特許第1809151号明細書に開示されたODHタイプでよい。適切な抽出ユニット及びカプセル管理の例は、例えば参照によって本明細書に組み込まれる、国際公開第2005/004683号パンフレット、国際公開第2007/135136号パンフレット、及び国際公開第2009/043630号パンフレットに開示される。適切な飲料調製モジュールは、例えば参照によって本明細書に組み込まれる、国際公開第2009/074550号パンフレット及び国際公開第2009/130099号パンフレットに開示される。
【0054】
ハンドル10及びユーザインターフェース20は、
図2に示すように、ハンドル10を
流通位置になるように操作した際、人の手がハンドル10の操作部12と接触している間も、その手によってユーザインターフェース20を操作可能であるように配置され得る。
【0055】
例えば、操作部12は、人指し指、中指、薬指、及び小指の1つ又は複数によって接触され且つ操作可能であり、ユーザインターフェース20は、他の指(複数可)がハンドル10と接触している間も、すなわちハンドル10をその
流通位置になるように移動させた後ハンドル10から手を移動させる必要なしに、その手の親指によって操作可能である。好都合には、操作部12は、手によって操作されるように特別に構成された表面又は形状を有することができ、例えば操作面12は、表面構造又は表面構成などの手段、特にユーザの手に摩擦を生じさせる滑り止め面を含むことができる。
【0056】
装置1は、飲料を送出するための出口4を有する前面2bを有し、ユーザインターフェース20は、前面2b上に又はこれに隣接して位置している。特に、ユーザインターフェース20は、ハンドルの
流通位置に到達した際、ユーザの手がハンドル10上の操作部12にあっても容易にアクセス可能なように、操作部12の下方に位置している(
図2)。例えば、ハンドル10が
流通位置にあるとき、ユーザインターフェース20は、2から4cmの距離だけ操作部12から離間する。
【0057】
次に、装置1について、飲料調製モジュールと共にその制御ユニット及びインターフェース20を参照してより詳細に説明する。
【0058】
前述したように、飲料調製モジュールは、1つ又は複数の飲料原材料を処理し、得られた飲料を出口4から注出するように構成される。装置1は、記憶された値に設定されたパラメータによって飲料原材料(複数可)の処理を制御するための制御ユニットを含み、この制御ユニットに接続されたユーザインターフェース20は、そのような値をユーザから取得し、この値を制御ユニット内に記憶するように構成される。
【0059】
図1及び2に示すように、ユーザインターフェース20は、パラメータの第1の値に関連付けられた第1のユーザセレクタ21と、パラメータの第2の値に関連付けられた第2のユーザセレクタ22とを有し、第1の値は、第2の値とは異なる。
【0060】
本発明によれば、第1及び第2のユーザセレクタ21、22の各々は、調整方向におけるユーザ操作時に、ユーザセレクタに関連付けられた値をユーザセレクタに関連付けられた値の範囲から選択されたユーザ選択調整値にシフトするための、ユーザ操作の調整方向を含む。さらには、ユーザセレクタ21、22の各々は、開始方向におけるユーザ操作時に、制御ユニットを開始させてユーザ選択調整値を記憶値として記憶し、及び/又は記憶値としてユーザ選択調整値に設定されたパラメータによって処理を開始するための、ユーザ操作の開始方向を含む。調整方向は、図示する実施形態の各ユーザセレクタにおいて開始方向とは異なる。
【0061】
特にボタン21、22を回す又は回転させることにより、周囲211、222は、例えば、ボタン21、22の各部211、221上の、例えば「1」〜「5」などの印211a、221aによって記号化された値の範囲内の調整値を選択するために、LED213、223などの固定式表示部の正面に変位される。調整値の記憶は、ボタン21、22を回す又は回転させるのと同時でよい。装置1の特定の実施形態では、調整値の5つの位置が、各セレクタ21、22上に示される。当然ながら、これより多い又は少ない、離数値又は連続値の目盛り位置を実現することも可能である。例えば、位置の数は、2個から12個の範囲内、特に4個から7個の位置など、3個から10個の位置でもよい。セレクタ21、22に関連付けられる範囲はまた、異なる数の位置を有することもできる。
【0062】
例えば小さいカップ及び大きいカップなどのパラメータ化された飲料の記号212a、222aを有する中央部又はヘッド212、222を押さえる又は押し込むことにより、表示部211、221に面している記号化数字(「1」〜「5」)に対応する値を、ボタン21、22を回転させる又は回すことによってまだ行われていない場合、後に続く飲料調製プロセスのパラメータを設定するために制御ユニットによって取得及び記憶することができ、及び/又は記憶した調整値をパラメータとして原材料処理を開始してもよい。
【0063】
LED213、223は、制御ユニットによる値の取得及び記憶、及び/又は対応して面しているLED213、223の値に対応するパラメータによる注出プロセスに応答することができる。通常、記憶した調整値に面するLED213、223は、調整されている飲料のタイプについてユーザに人間工学的フィードバックを与えるために飲料調製プロセス中に亘って作動される。
【0064】
各ユーザセレクタ21、22においては、調整方向、すなわち周囲部211、221に沿った回転、及び開始方向、すなわち中央部又はヘッド212、222の圧力又は押さえ方向は、互いにほぼ垂直である。
図2に示すように、各ユーザセレクタ21、22においては、調整方向は、周囲部211、221に沿って弓形方向、例えば円形方向であり、開始方向は、中央部又はヘッド212、222に対して垂直な直線方向である。各ユーザセレクタ21、22は、プッシュアンドターンボタンの形態で設けられてよい。
【0065】
例えば、第1のユーザセレクタ21は値の第1の範囲に関連付けられ、第2のユーザセレクタ22は第1の範囲と重複しない第2の範囲に関連付けられる。値の範囲は、当然ながら重複していてもよい。
【0066】
値の各範囲は、値の範囲を相応にシフトさせるためにユーザによって再プログラミング可能になり得る範囲内において、周囲部211、221上の数字「3」によって記号化された中間値などの基準値を有することができる。
【0067】
(
図2では参照番号「1」〜「5」によって記号化された)値の範囲は、そのような処理により注出される飲料のさまざまな量の範囲を表すことができる。例えば第1のセレクタ21の選択可能な調整値の範囲は、15〜50mlから25〜65mlの間でシフトさせることができる。第2のセレクタ22の選択可能な調整値の範囲は、55〜90mlから80〜150mlの間でシフトさせることができる。所望の場合、ユーザに(
図2では参照番号「3」によって記号化された)中間周辺の値域を再プログラミングさせることも当然ながら可能であり、中間値が35mlである場合、この範囲を25〜45mlから15〜55mlの間に広げてよく、中間値が95mlの場合、この範囲を75〜115mlから60〜130mlの間に広げてよく、又はそれぞれ中間値の周りで1つの範囲から他の範囲に縮小してもよい。
【0068】
好ましくは、制御ユニットは、ユーザセレクタ21、22の1つの開始方向におけるユーザ操作と同時に、記憶した調整値に設定されたパラメータによって処理を自動的に開始するように構成される。故に、原材料処理を開始するために別のユーザセレクタ又はユーザ操作は必要とされない。
【0069】
図2に示すように、第1のユーザセレクタ21、すなわちエスプレッソボタンは、少量の範囲に関連付けられ、第2のユーザセレクタ22、すなわちルンゴボタンは、多量の範囲に関連付けられる。ユーザセレクタ21、22に関連付けられた各範囲は、量域と、中間量値などの基準量値とを有することができ、各範囲の量域は、この基準量値の25〜50%の範囲内にある。
【0070】
コーヒーメーカの場合、第1のユーザセレクタ21は、30〜50mlの範囲内の第1の中間量値に関連付けることができ、及び/又は第2のユーザセレクタは、70〜110mlの範囲内の第2の中間量値に関連付けられてよい。
【0071】
変形形態では、値の範囲は、飲料原材料の処理により注出される飲料のさまざまな温度、又はそのような処理により注出される飲料のさまざまな飲料原材料比の範囲を表すことができる。
【0072】
ボタン21、22の各部211、221上の番号「1」から「5」によって記号化された量の範囲に沿った各位置間の増分は、1〜5℃の温度、特に、セレクタ21、22によって設定されたパラメータが注出飲料、例えばコーヒー、茶、又はスープの温度に関連するときは2〜3℃に対応することができる。値が、調製される飲料の原材料の重量比又は体積比、例えばミルク中に溶解された及び/又は分散されたカカオ又はチョコレート、及び/又は水性液体中の水又は砂糖を表すとき、1つの調整値から隣の調整値への増分は、0.01〜0.1、特に0.03〜0.07の範囲内でよい。