【文献】
小林真盛、内野健太郎、石曽根隆,アジリジニル基を有する高分子の合成と高分子反応,高分子論文集,日本,高分子学会,2007年,Vol.64, No.10,688-696
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
グラフト化化合物は、(1)アジリジニル基とポリマー基とを両方有する第一化合物と、(2)少なくとも1つの酸性基を有する第二化合物と、を反応させることにより、生成される。この反応は、第二化合物上の酸性基による第一化合物上アジリジニル環の開環と、第一化合物のポリマー基を第二化合物に結合する(すなわち、グラフト化する)結合基の生成と、をもたらす。一部の実施形態では、第二化合物は、少なくとも1つの酸性基を有するポリマー物質であり、第一化合物と第二化合物の反応の生成物は、グラフト化コポリマーを生成する。
【0011】
用語「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも1つの」と互換的に用いられ、1つ以上の記載された要素を意味する。
【0012】
端点による数範囲の引用は、いずれも、その範囲の端点、その範囲内のすべての数、並びに述べられた範囲内の任意のより狭い範囲を含むことを意味する。
【0014】
【化2】
の三員環構造を意味し、式中、各R
1は独立して水素又はアルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル)である。星印は、アジリジニル基が化合物の残部に結合している箇所を示す。
【0015】
本明細書で使用するとき、用語「ポリマー」及び「重合性」は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー又はこれらに類するものである物質を指す。同様に、用語「重合する」及び「重合」は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー又はこれらに類するものの製造プロセスを指す。用語「コポリマー」及び「共重合性」は、2つ以上の異なるモノマーを用いて調製されたポリマーを指すのに使用することができる。
【0016】
用語「アルキル」は、アルカンのラジカルである一価の基を指し、直鎖、分枝鎖、環式、二環式又はこれらの組み合わせである基を含む。アルキル基は通常、1〜30個の炭素原子を有する。一部の実施形態では、アルキル基は、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を含有する。アルキル基の例としては、限定するものではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、エチルヘキシル、及びイソボルニルが挙げられる。
【0017】
用語「ヘテロアルキル」は、1つ以上の−CH
2−基がチオ、オキシ又は−NRa−(式中、Raは水素又はアルキルである)で置換されているアルキル基である一価基を指す。ヘテロアルキルは、直鎖、分枝鎖、環式、二環式又はそれらの組み合わせであってよく、最大で60個の炭素原子と最大で40個のヘテロ原子を含むことができる。一部の実施形態では、ヘテロアルキルは、最大で50個の炭素原子と最大で30個のヘテロ原子、最大で40個の炭素原子と最大で30個のヘテロ原子、最大で30個の炭素原子と最大で20個のヘテロ原子、最大で20個の炭素原子と最大で15個のヘテロ原子、又は最大で10個の炭素原子と最大で8個のヘテロ原子を含む。
【0018】
用語「アルキレン」は、アルカンのラジカルである二価の基のことを指す。アルキレンは、直鎖、分枝鎖、環式、二環式又はこれらの組み合わせであり得る。アルキレンは通常、1〜30個の炭素原子を有する。一部の実施形態では、アルキレンは、1〜20個、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を含有する。アルキレンのラジカル中心は、同一炭素原子上(即ち、アルキリデン)、又は異なる炭素原子上に存在し得る。
【0019】
用語「ヘテロアルキレン」は、チオ、オキシ又は−NR
a−(式中、R
aは水素又はアルキル)で置換された1個以上の−CH
2−基を有する二価のアルキレンを指す。ヘテロアルキレンは、直鎖、分枝鎖、環式、二環式又はそれらの組み合わせであってよく、最大で60個の炭素原子と最大で40個のヘテロ原子を含むことができる。一部の実施形態では、ヘテロアルキレンは、最大で50個の炭素原子と最大で30個のヘテロ原子、最大で40個の炭素原子と最大で30個のヘテロ原子、最大で30個の炭素原子と最大で20個のヘテロ原子、最大で20個の炭素原子と最大で15個のヘテロ原子、又は最大で10個の炭素原子と最大で8個のヘテロ原子を含む。
【0020】
用語「アリール」は、芳香族及び炭素環である一価の基を指す。アリールは、芳香環と結合又は縮合した1〜5個の環を有し得る。少なくとも1つの環は芳香環であり、残りの他の環は、芳香環、非芳香環又はこれらの組み合わせであり得る。アリール基の例としては、限定するものではないが、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、アンスリル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナンスリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニル、及びフルオレニルが挙げられる。
【0021】
用語「アリーレン」は、炭素環及び芳香族である二価の基を指す。この基は、結合している、縮合している、又はこれらの組み合わせである1〜5個の環を有する。少なくとも1つの環は芳香環であり、残りの他の環は、芳香環、非芳香環又はこれらの組み合わせであり得る。一部の実施形態では、アリーレン基は最大で5個、最大で4個、最大で3個、最大で2個、又は1個の芳香環を有する。例えば、アリーレン基は、フェニレン、ビフェニレン、テルフェニレン、フルオレニレン又はナフタレンであり得る。
【0022】
用語「ヘテロアリーレン」は、芳香族及び複素環式である二価基を指す。すなわち、ヘテロアリーレンは、5〜6員を有する芳香環の中に少なくとも1つのヘテロ原子を含む。好適なヘテロ原子は典型的には、オキシ、チオ、又は−NR
3−基(式中、R
3は水素又はアルキルである)である。この基は、連結している、縮合している、又はこれらの組み合わせである1〜5個の環を有し得る。少なくとも1つの環はヘテロ芳香環であり、残りの他の基は、芳香環、非芳香環、ヘテロ環、炭素環又はこれらの組み合わせであり得る。一部の実施形態では、ヘテロアリーレンは最大で5個、最大で4個、最大で3個、最大で2個、又は1個の環を有する。ヘテロアリーレン基としては、限定するものではないが、トリアジン−ジイル、ピリジン−ジイル、ピリミジン−ジイル、ピリダジン−ジイル及びこれらに類するものが挙げられる。
【0023】
用語「アルコキシ」は、式−ORの一価の基を指し、式中、Rはアルキル基である。
【0024】
用語「アラルキル」は、アリール基で置換されたアルキル基である一価基を指す。
【0025】
用語「アリールオキシ」は、式−OArの一価の基(式中、Arはアリール基である)を指す。
【0026】
用語「アリールオキシアルキル」は、アリールオキシ基で置換されたアルキル基である一価基を指す。
【0027】
用語「カルボニル」は、炭素が二重結合で酸素に結合されている式−(CO)−の二価の基を指す。
【0028】
用語「カルボニルオキシ」は、式−(CO)O−の二価の基を指すために互換的に使用される。用語「カルボキシル」は、−(CO)OH及び/又はこれらの塩を指す。
【0029】
用語「カルボニルイミノ」は、式−(CO)NR
b−(式中、R
bは、水素、アルキル、アリール、アラルキル、アシル、アルキルスルホニル又はアリールスルホニルである)の二価の基を指す。
【0030】
用語「オキシ」は、二価の基−O−を指す。
【0031】
用語「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を指す。同様に、用語「(メタ)アクリレート」はアクリレート(すなわち、アクリレートエステル)及びメタクリレート(すなわち、メタクリレートエステル)の両方を指し、用語「(メタ)アクリルアミド」はアクリルアミド及びメタクリルアミドの両方を指す。
【0032】
グラフト化化合物は、式(I)の第一化合物と、
【0033】
【化3】
少なくとも1つの酸性基を有する第二化合物と、を含む反応混合物から生成される。式(I)中、各R
1は独立して水素又はアルキルである。R
2基は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせを含有する二価基である。R
2基は、任意選択で、オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせを更に含むことができる。R
3基は、水素又はアルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル)である。Q基は、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含む第一モノマー組成物の重合生成物であるポリマー基である。
【0034】
R
1に好適なアルキル基は、典型的には、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有する。多くの実施形態では、アジリジニル基は、少なくとも1つのR
1基が水素であり、少なくとも1つのR
1基がアルキルである。一部のより具体的な実施形態では、アジリジニル環上のR
1基のうちの1つはメチルであり、残りのR
1基は水素である。
【0035】
二価の基R
2は、少なくとも1つのアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせを含有する。これらの基のうちの1つに加え、R
2は、オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせを更に含むことができる。すなわち、一部の実施形態では、R
2は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせである。他の実施形態では、R
2は、(a)少なくとも1つのアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせと、(b)少なくとも1つのオキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせと、を含む。オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせは、例えば、次の(1)〜(3)のために使用することができる:(1)アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン及びヘテロアリーレンから選択される2つ以上の基と一緒に連結させるため、(2)アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンを、アジリジニル基に、ポリマー基に又はアジリジニル基とポリマー基の両方に結合するため、あるいは(3)(1)と(2)の両方。
【0036】
一部の実施形態では、R
2は、第一連結基(オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−、又はこれらの組み合わせである)を用いて第二基(アルキエン(alkyene)、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)に結合された第一基(アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロリーレンである)を含む。第二基は、第二連結基(オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせである)を用いて第三基(アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)に更に結合させることができる。第三基は、第三連結基(オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせである)を用いて第四基(アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)に更に結合させることができる。オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせから選択される追加の連結基を用いて、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン及びヘテロアリーレンから選択される追加の基を更に結合させることができる。
【0037】
他の実施形態では、R
2は、オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせから各々選択される2つの基の間に配置される第一基(アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)を含む。これらの基のうちの一方はポリマー基に結合し、もう一方はアジリジニル基に結合する。これらの2つの基は、典型的には同じであるが、異なってもよい。
【0038】
更に他の実施形態では、2つ以上のアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレン基は、オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせから選択される2つの基の間に配置される。これらの基のうちの一方はポリマー基に結合し、もう一方はアジリジニル基に結合する。これらの2つの基は、典型的には同じであるが、異なってもよい。2つ以上のアルキレン基、ヘテロアルキレン基、アリーレン基又はヘテロアリーレン基は、典型的には、オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−基又はこれらの組み合わせを通して、互いに結合される。
【0039】
一部の式(I)の化合物はまた、式(Ia)の化合物である。
【0041】
式(I)からのR
2基は、式(Ia)中では−(CO)−R
4−(CO)−に等しい。R
4基は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせを含む二価の基である。任意選択で、R
4基は、オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせを更に含むことができる。すなわち、一部の実施形態では、R
4は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせである。他の実施形態では、R
4は、(a)少なくとも1つのアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせと、(b)少なくとも1つのオキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせと、を含む。
【0042】
式(I)のR
2基と同様に、式(Ia)のR
4基は、第一連結基(オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせである)を用いて第二基(アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)に結合された第一基(アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)を含むことができる。第二基は、第二連結基(オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせである)を用いて第三基(アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)に更に結合させることができる。第三基は、第三連結基(オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせである)を用いて第四基(アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)に更に結合させることができる。オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせから選択される追加の連結基を用いて、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン及びヘテロアリーレンから選択される追加の基を更に結合させることができる。
【0043】
一部の実施形態では、式(Ia)のR
4基は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである。代表的なアルキレン基は、1〜30個の炭素原子、1〜20個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。代表的なヘテロアルキレン基は2〜60個の炭素原子と1〜40個のヘテロ原子、2〜40個の炭素原子と1〜30個のヘテロ原子、2〜20個の炭素原子と1〜15個のヘテロ原子、又は2〜10個の炭素原子と1〜6個のヘテロ原子を有し得る。代表的なアリーレン基としては、限定するものではないが、フェニレン(例えば、メタ−フェニレン又はパラ−フェニレン)及びビフェニレンが挙げられる。代表的なヘテロアリーレンとしては、限定するものではないが、トリアジン−ジイル、ピリジン−ジイル、ピリミジン−ジイル及びピリダジン−ジイルが挙げられる。
【0044】
一部のより具体的な式(Ia)による化合物は、式(Ib)のものであり、式中、R
4はアリーレンである。
【0046】
一部のより具体的な式(Ib)の化合物では、アリーレンは、式(Ic)のようにフェニレンである。
【0048】
式(Ia)の化合物の他の例は、式(Id)のものである。
【0050】
式(Id)中で、二価の基−Ar
1−(CO)−X−R
5−X−(CO)−Ar
1−は、式(Ia)中のR
4に等しく、二価の基−(CO)−Ar
1−(CO)−X−R
5−X−(CO)−Ar
1−(CO)−は、式(I)中のR
2に等しい。各Ar
1はアリーレンであり、各X基はオキシ又は−NR
3−である。R
5基は、アルキレン若しくはヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせであり、オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせを更に含むことができる。すなわち、一部の実施形態では、R
5は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせである。他の実施形態では、R
5は、(a)少なくとも1つのアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせと、(b)少なくとも1つのオキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせと、を含む。
【0051】
R
2及びR
4の両方と同様に、R
5基は、第一連結基(オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせである)を用いて第二基(アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)に結合された第一基(アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)を含むことができる。第二基は、第二連結基(オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせである)を用いて第三基(アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)に更に結合させることができる。第三基は、第三連結基(オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせである)を用いて第四基(アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)に更に結合させることができる。オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせから選択される追加の連結基を用いて、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン及びヘテロアリーレンから選択される追加の基を更に結合させることができる。
【0052】
一部の式(Id)の化合物では、各Ar
1は、式(Ie)のようにフェニレンである。
【0054】
R
1基、X基、R
5基及びQ基は、式(Id)について上記で定義したものと同じである。
【0055】
式(Ie)の一部の特定の実施形態では、R
5基は、アルキレン又はヘテロアルキレンである。好適なアルキレン基は、多くの場合、1〜30個の炭素原子、1〜20個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。好適なヘテロアルキレン基は、多くの場合、2〜60個の炭素原子と1〜40個のヘテロ原子、2〜40個の炭素原子と1〜30個のヘテロ原子、2〜20個の炭素原子と1〜15個のヘテロ原子、又は2〜10個の炭素原子と1〜6個のヘテロ原子を有する。
【0056】
式(Ia)の化合物の他の例は、(If)のものである。
【0058】
式(If)中で、−X−R
5−X−は、式(Ia)中のR
4に等しく、−(CO)−X−R
5−X−(CO)−は、式(I)中のR
2に等しい。X基及びR
5基は、式(Id)について上記に定義したものと同じである。式(If)の一部の特定の実施形態では、各Xはオキシ又は−NR
3−であり、R
5基はアルキレン又はヘテロアルキレンである。
【0059】
式(I)の化合物の更に他の例は、式(Ig)のものである。
【0061】
式(Ig)中で、二価の基−R
6−(CO)−R
7−(CO)−R
6−は、式(I)中のR
2基に等しい。各R
6は独立して、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、1〜4個の炭素原子、又は1〜3個の炭素原子を有するアルキレンである。R
7基は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせであり、オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせを更に含むことができる。すなわち、一部の実施形態では、R
7は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせである。他の実施形態では、R
7は、(a)少なくとも1つのアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせと、(b)少なくとも1つのオキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせと、を含む。
【0062】
R
2及びR
4又はR
5と同様に、R
7基は、第一連結基(オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせである)を用いて第二基(アルキエン(alkyene)、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)に結合された第一基(アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)を含むことができる。第二基は、第二連結基(オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせである)を用いて第三基(アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)に更に結合させることができる。第三基は、第三連結基(オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせである)を用いて第四基(アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン又はヘテロアリーレンである)に更に結合させることができる。オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせから選択される追加の連結基を用いて、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン及びヘテロアリーレンから選択される追加の基を更に結合させることができる。
【0063】
一部の式(Ig)の化合物は、式(Ih)の化合物である。
【0065】
式(Ih)中で、二価の基−X−R
8−X−は、式(Ig)中のR
7基に等しい。各X基は独立してオキシ又は−NR
3−である。R
8基は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせなどの二価の基であり、オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせを更に含むことができる。すなわち、一部の実施形態では、R
8は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせである。他の実施形態では、R
8は、(a)少なくとも1つのアルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせと、(b)少なくとも1つのオキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせと、を含む。
【0066】
式(Ih)の一部の特定の実施形態では、R
8基はアルキレン基又はヘテロアルキレン基であり、Xはオキシである。好適なアルキレン基は、多くの場合、1〜30個の炭素原子、1〜20個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。好適なヘテロアルキレン基は、多くの場合、2〜60個の炭素原子と1〜40個のヘテロ原子、2〜40個の炭素原子と1〜30個のヘテロ原子、2〜20個の炭素原子と1〜15個のヘテロ原子、又は2〜10個の炭素原子と1〜6個のヘテロ原子を有する。
【0067】
式(I)及び(Ia)〜(Ih)の化合物すべては、Q基を有し、これは、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含む第一モノマー組成物の重合生成物である。この重合反応は、フリーラジカル重合反応又はアニオン性重合反応であり得る。
【0068】
ポリマー基Q(すなわち、第一ポリマー基Q)を生成するために、任意の好適なエチレン性不飽和モノマーを使用することができる。好適なモノマーとしては、限定するものではないが、様々な(メタ)アクリレート(すなわち、様々な(メタ)アクリレートエステル)、(メタ)アクリル系酸、(メタ)アクリルアミド、ビニル又はこれらに類するものが挙げられる。一部の実施形態では、Qは、これを生成するために使用されるモノマーがすべて同じであるホモポリマー基である。他の実施形態では、Qは、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーである。
【0069】
一部の実施形態では、式(I)の化合物のポリマー基Qは、1つ以上の(メタ)アクリレートから生成される。これらの(メタ)アクリレートは、多くの場合、式(II)のものである。
【0071】
この式中、R
10基は水素又はメチルであり、R
9基はアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキル又はアリールオキシアルキルである。好適なアルキル基は、多くの場合、1〜20個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有する。好適なヘテロアルキル基は、多くの場合、2〜30個の炭素原子と1〜16個のヘテロ原子、2〜20個の炭素原子と1〜12個の炭素原子、2〜10個の炭素原子と1〜6個のヘテロ原子、又は2〜6個の炭素原子と1〜4個のヘテロ原子を有する。これらのアルキル基及びヘテロアルキル基は、直鎖、分枝鎖、環式、二環式又はこれらの組み合わせであり得る。好適なアラルキル基は、多くの場合、7〜18個の炭素原子を有する。例は、フェニルで置換されたアルキル基である。好適なアリールオキシアルキル基は、多くの場合、7〜18個の炭素原子を有する。例は、オキシフェニルでアルキル基である。これらのモノマーは、ホモポリマーに生成されると、広範囲のガラス転移温度を有し得る。
【0072】
式(I)の化合物の特定の用途に応じた所望のガラス転移温度をもたらすモノマーを選択することができる。より具体的には、ガラス転移温度が20℃以上であるポリマーQ基は、熱可塑性である傾向を有する。本発明で使用する場合、用語「熱可塑性」は、加熱した際に流動し、その後、冷却して室温にした際にその最初の状態に戻るポリマー物質を意味する。ガラス転移温度が20℃未満であるポリマー基は、エラストマーである傾向を有する。本発明で使用する場合、用語「エラストマー」とは、その最初の長さの少なくとも2倍まで延伸することができ、解放した際にほぼその最初の長さまで縮むポリマー物質を意味する。
【0073】
一部の実施形態では、ポリマー基Qを生成するために使用される式(II)のモノマーは、n−ブチルアクリレート、デシルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソデシルメタクリレート、イソノニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、イソトリデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、2−メチルブチルアクリレート、4−メチル−2−ペンチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−プロピルアクリレート及びn−オクチルメタクリレートなどの(メタ)アクリレートから選択される。これらのモノマーをホモポリマー基に生成すると、ガラス転移温度は20℃未満、10℃未満又は0℃未満になる傾向がある。
【0074】
他の実施形態では、ポリマー基Qを生成するために使用される式(II)のモノマーは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ノニルフェノールメタクリレート、セチルアクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニルシクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート及び3,3,5トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート(すなわち、(メタ)アクリレートエステル)から選択される。これらのモノマーをホモポリマー基に生成すると、ガラス転移温度は少なくとも20℃、少なくとも30℃、少なくとも40℃又は少なくとも50℃になる傾向がある。
【0075】
これらの(メタ)アクリレートモノマーのいずれかは、任意選択で、アミノ基、ヒドロキシル基又はエポキシ基などの基で置換されてもよい。これらの置換基は、モノマーの極性を拡大する傾向を有する。ヒドロキシル置換基を有する(メタ)アクリレートの例としては、限定するものではないが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシルブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。エポキシ置換基を有する(メタ)アクリレートとしては、限定するものではないが、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられる。アミノ基を有する(メタ)アクリレートの例としては、限定するものではないが、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのN,N−ジアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0076】
(メタ)アクリレートはまた、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート又はポリ(アルコキシアルキル(メタ)アクリレート)であってもよく、これらとしては、例えば、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは極性分子である傾向を有する。
【0077】
ポリマー基Qは、典型的には、非酸性モノマーから調製される。Q基がモノマーの混合物から調製される場合、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも97重量%、少なくとも98重量%又は少なくとも99重量%のモノマーは、カルボキシル基などの酸性基を有さない(すなわち、これらのモノマーは酸性基を有さない)。一部の実施形態では、第一モノマー組成物中のモノマーはすべて酸性基を有さない。ポリマー基Qを生成するために使用される酸性モノマーの量が多過ぎると、単一のアジリジニル基を有する式(I)の化合物を調製するのが困難になり得る。
【0078】
一部の特定のQ基は、例えば、ポリ(ベンジルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(フェノキシエチルアクリレート)、及び、ランダム又はブロックポリ(イソボルニルアクリレート−コ−ベンジルメタクリレート)などの(メタ)アクリレートから調製される。
【0079】
ポリマー基Qを生成するための他の好適なエチレン性不飽和モノマーは、(メタ)アクリルアミド、アルキルアクリルアミド(t−ブチルアクリルアミドなど)、モノアルキルアミノアルキルアクリルアミド(メチルアミノエチルアクリルアミドなど)、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド(ジメチルアミノエチルアクリルアミドナドなど)及びこれらに類するものである。
【0080】
ポリマー基Qを生成するために使用できる更に他の好適なエチレン性不飽和モノマーは、ビニルエーテルモノマー、ビニルアリールモノマー、ビニル複素環式モノマー、ビニルエステルモノマー及びこれらに類するものなどの様々なビニルモノマーである。好適なビニルエーテルモノマーとしては、例えば、ビニルメチルエーテルが挙げられる。好適なビニルアリールモノマーとしては、限定するものではないが、スチレン、α−メチルスチレン、アルキル置換スチレン(例えば、ビニルトルエン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、tert−ブチルスチレン)及びこれらに類するものが挙げられる。これらのビニルアリールモノマーのいずれかは、アミノ、ヒドロキシル、アルコキシ、ハロ及びこれらに類するものから選択される1つ以上の基で置換されてもよい。好適なビニル複素環式モノマーとしては、限定するものではないが、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン及びn−ビニルカプロラクタム(vinylcarpolactam)が挙げられる。好適なビニルエステルとしては、限定するものではないが、ビニルアセテート及びビニルプロプリオネートが挙げられる。ビニルアリールモノマー、ビニル複素環式モノマー及び一部のビニルエステルモノマーなどのモノマーは、ホモポリマー基に生成すると、ガラス転移温度が少なくとも20℃、少なくとも30℃、少なくとも40℃又は少なくとも50℃になる傾向を有する。
【0081】
一部の特定のQポリマー基は、ビニルアリールモノマー、ビニル複素環式モノマー又はこれらの組み合わせなどのビニルモノマーから調製される。これらのQ基は、ホモポリマー、ランダムコポリマー又はブロックコポリマーであり得る。ブロックコポリマーは、2つ以上のブロックを有することができる。一部のブロックコポリマーは、ポリ(ビニルアリールモノマー)の第一ブロックと、ポリ(ビニル複素環式モノマー)の第二ブロックと、を有する。一部の具体的なポリマーの例は、ポリ(スチレン)、ランダムポリ(スチレン−コ−ビニルピリジン)及びジ−ブロックポリ(スチレン−コ−ビニルピリジン)である。
【0082】
ポリマー基Qは、任意の好適な分子量を有することができる。多くの実施形態では、重量平均分子量(Mw)は、5,000グラム/モル(すなわち、5,000ダルトン)を超える。例えば、重量平均分子量は、7,500グラム/モル超、10,000グラム/モル超、12,000グラム/モル超、15,000グラム/モル超、20,000グラム/モル超であり得る。重量平均分子量は、多くの場合、最大150,000グラム/モル、最大120,000グラム/モル、最大100,000グラム/モル、最大80,000グラム/モル、最大60,000グラム/モル又は最大40,000グラム/モルである。分子量が大き過ぎる場合、得られる式(I)の化合物は、第一化合物の重量に基づいて許容不可能なほど低濃度のアジリジニル基しか有さない恐れがある。すなわち、アジリジニル基に帰せられるこの化合物の重量%は、ポリマー基に帰せられる第一化合物の重量%と比較して許容不可能なほど低いものとなり得る。
【0083】
ポリマー基Qはアニオン性重合又はフリーラジカル重合のいずれかにより生成することができるが、多くの場合、フリーラジカル重合技術が使用される。重合反応は、典型的には、反応開始剤の存在下で生じる。任意の既知の反応開始剤を使用できるが、この反応開始剤は、多くの場合、アゾ化合物である。好適なアゾ化合物としては、限定するものではないが、DuPont(Wilmington,DE)から商品名VAZO 64で市販されている2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、DuPontから商品名VAZO 67で市販されている2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、DuPontから商品名VAZO 52で市販されている2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)及び4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)が挙げられる。4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)などのカルボキシ含有反応開始剤の使用が多くの場合好ましいが、それは、このような反応開始剤が、式(I)の化合物の調製に関与するポリマー中間体(Q−(CO)−OH)がカルボキシル基を有する可能性を増大させる傾向を有するからである。反応開始剤は、典型的には、モノマー組成物中のモノマーの重量に基づいて、0.01〜5重量%の範囲、0.05〜3重量%の範囲、0.05〜2重量%の範囲、0.05〜1重量%の範囲、又は0.1〜1重量%の範囲の量で添加される。反応開始剤の量は、ポリマー基Qの重量平均分子量を制御するために使用することができる。使われる反応開始剤の量が多いほど、より多くのポリマー鎖が生成される。これにより、より低い重量平均分子量を有するポリマー鎖が生じる。逆に、反応開始剤の量が少量であるほど、生成されるポリマー鎖のうち、より高い重量平均分子量を有するものは少なくなる。
【0084】
ポリマー基Qを生成するために使用されるモノマー組成物には、分子量を制御するために、連鎖移動剤を含むこともできる。有用な連鎖移動剤の例としては、限定するものではないが、四臭化炭素、アルコール、メルカプタン及びこれらの混合物が挙げられる。例えば、3−メルカプトプロピオン酸などのカルボキシル含有連鎖移動剤の使用が、多くの場合、好ましい。これらのカルボキシル含有連鎖移動剤は、式(I)の化合物の調製に関与するポリマー中間体がカルボキシル基を有する可能性を増大させる傾向を有する。
【0085】
連鎖移動剤は、ほとんどのエチレン性不飽和モノマーについて、使用することができる。連鎖移動剤が使用された場合、ポリマー物質の一方の端部は多くの場合反応開始剤に由来する基になり、もう一方の端部は連鎖移動剤に由来する基になり得る。反応開始剤又は連鎖移動剤のうちの少なくとも1つは、酸性官能基(例えば、カルボキシル基)を供給するように選択され得る。酸性官能基を含む反応開始剤及び連鎖移動剤の両方を使用することは、ほとんどのポリマー鎖が酸性官能基を含有する可能性を増大させる傾向を有する。
【0086】
連鎖移動剤の代わりに、モノマー組成物には、Alfa Aesar(Ward Hill,MA)から市販されている2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)、1,1,3,3−テトラエチル−2,3−ジヒドロ−1H−イソインドリン−2−イルオキシ、ジ−tert−ブチルニトロキシド、又はAlfa Aesarから市販されている4−オキソ−TEMPOなどのニトロキシド媒介剤を含ませることができる。この重合反応は、「リビング」又は「制御されている」と考えられ、所望されるように開始及び終了させることができる。この制御機構は、アルコキシアミン結合を生成するための活性(すなわち、増殖している)ポリマー鎖上のフリーラジカルに対するニトロキシド媒介剤の可逆性カップリングに依存している。ニトロキシド媒介剤を添加すると、ポリマー鎖のラジカルがハロゲン原子にキャップされ、更なる増殖が不可能になる。しかしながら、ある温度では、アルコキシアミン結合は、開裂させることができ、ポリマー鎖を活性にして成長を持続させることが可能になる。それゆえに、アクティブポリマー鎖とドーマントポリマー鎖の間の均衡は、重合のために使用される温度範囲の選択により制御することができる。この温度範囲は、典型的には、100℃〜160℃の範囲である。得られるポリマー物質は、比較的狭い分子量分布を有する傾向がある。
【0087】
ニトロキシド媒介剤は、多くの場合、スチレンなどのモノマーの重合に使用される。ニトロキシド化合物が使用されると、ポリマー物質の一方の端部は多くの場合反応開始剤から誘導される基になり、もう一方の端部はニトロキシド化合物にすることができる。これらのうちの少なくとも1つは、典型的には、酸官能基(例えば、カルボキシル基)を供給するように選択される。例えば、反応開始剤が4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)であり、ニトロキシド媒介剤TEMPOが使用される場合、ポリマーの一方の端部は、通常、−NH−C(CN)(CH
3)−CH
2−CH
2−COOH基である。この例では、カルボキシル基は、反応開始剤により供給される。
【0088】
一部の場合では、ニトロキシド媒介剤及び反応開始剤種は、1つの化合物から得ることができる。例えば、一部のアルコキシアミン化合物は、特定の温度で分解して、反応開始ラジカルとニトロキシドラジカルの両方を生じることができる。このような反応開始剤は、Messerschmidt et al.による論文(Macromolecules,41(2008))に記載されている。分解されたアルコキシアミンからの反応開始剤種はまた、カルボキシル基を有し得、生じたポリマー基に鎖の一方の端部にカルボキシル基を残す。鎖のもう一方の端部は、分解されたアルコキシアミン化合物のニトロキシド部分でキャップされる。Leenen et al.(e−Polymers,number 71(2005))及びDufils et al.(Polymer,48(2007))による論文に記載されている1つのこのような化合物は、2−メチル−2−(N−tert−ブチル−N−(1’ジエチルホスホノ−2,2’−ジメチルプロピル)アミノキシル)プロパン酸である。
【0089】
本発明で使用するとき、用語「多分散性」又は「多分散指数」は、分子量分布の尺度であり、ポリマーの数平均分子量(Mn)で除算した重量平均分子量(Mw)を指す。すべてが同じ分子量のものであるポリマー物質は1.0の多分散性を有し、一方、1種以上の分子量を有するポリマー物質は1.0を超える多分散性を有する。多分散性は、例えば、ゲル透過クロマトグラフィーを使用して決定することができる。多分散指数は、典型的には、10.0未満、5.0未満、2.0未満、1.5未満、1.4未満、1.3未満、1.2未満又は1.1未満である。ニトロキシド媒介剤が使用されると、多分散指数は、多くの場合、1.0〜1.4の範囲、1.0〜1.3の範囲、又は1.0〜1.2の範囲である。従来の連鎖移動剤がニトロキシド媒介剤の代わりに使用される場合などの非リビング重合方法が使用される場合には、多分散指数は、多くの場合、1.5〜10.0の範囲、1.5〜6.0の範囲、1.5〜4の範囲、1.5〜2.0の範囲、1.5〜2.0の範囲又は1.6〜2.0の範囲である。
【0090】
式(I)の化合物は、反応スキームAに示すように、生成することができる。
【0092】
反応スキームAでは、式(III)の化合物は、カルボキシル末端ポリマーである。Q基は、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含む第一モノマー組成物の重合生成物を含むポリマー基である。Q基は、多くの場合、フリーラジカル重合法又はアニオン性重合法により、調製される。式(IV)の化合物は、ビス−アジリジン化合物である。式(III)中のポリマー基Q、並びに、式(IV)中のR
1及びR
2は、式(I)について上記で定義したものと同じである。
【0093】
式(III)の化合物は、典型的には、カルボキシル基を1つだけ有する。すなわち、ポリマー基Qは、通常、カルボキシル基を含有しないか、又は少量のカルボキシル基しか含有しない。ポリマー基Q中の複数のカルボキシル基は、式(IV)のビス−アジリジン化合物と反応する際に、化学的架橋の生成を引き起こす傾向を有する。しかしながら、カルボキシル基の濃度が十分に低い場合には、これらの基とビス−アジリジン化合物の反応可能性は最小化することができる。すなわち、Q基中では低レベルのカルボキシル基が使用され得る。
【0094】
反応スキームAは、典型的には、式(III)の化合物中の酸性基に対して、式(IV)のビスアジリジン化合物中のアジリジニル基をモル過剰で使用する。アジリジニル基のモル数は、多くの場合、酸性基のモル数の少なくとも2倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3倍、少なくとも3.5倍、又は少なくとも4倍である。この過剰は、ビス−アジリジン化合物中のアジリジニル基の両方が式(III)のカルボキシル基末端ポリマーと反応するのを最小化する傾向を有する。この反応により、アジリジニル環の一方は開環するが両方は開環しない。式(I)の所望の生成物は、式(III)のカルボキシル末端ポリマーとの反応により開環されきっていないアジリジニル基を有する。
【0095】
反応スキームAは、典型的には、式(III)のポリマー及び式(IV)のビス−アジリジン化合物と混和性である溶媒の存在下で室温にて生じることができる。式(I)の化合物の調製に好適な溶媒としては、限定するものではないが、トルエン、キシレン、酢酸エチル及びメチルエチルケトンが挙げられる。得られた式(I)のアジリジニル末端ポリマーは、次に、アジリジニル末端ポリマーと不混和性である大量の溶媒の添加により、析出させられる。溶媒の体積は、多くの場合、生成物溶液の体積の少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも8倍又は少なくとも10倍である。生成物(すなわち、式(I)の化合物)の析出に好適な溶媒としては、限定するものではないが、メタノールが挙げられる。析出したポリマー物質は、次に、濾過し、乾燥させることができる。収率(%)は、多くの場合、85%超、90%超、92%超又は95%超である。
【0096】
反応スキームAは、式(I)の化合物を調製するための柔軟な方法を提供する。より具体的には、フリーラジカル重合反応を用いる中間体カルボキシル含有化合物Q−(CO)OHの生成により、ポリマー基Qを生成するために使用されるモノマーの選択を非常に柔軟なものにすることができる。
【0097】
いったん生成すると、式(I)の第一化合物は、酸性基を有する第二化合物と反応させることができる。このような反応は、第一ポリマー基Qを第二化合物にグラフト化する結合基の生成をもたらす。この結合基は、式(I)の第一化合物のアジリジニル基と第二化合物の酸性基の反応から生じる。
【0098】
反応スキームBは、1つのこのような反応の例である。この反応スキームでは、式(I)の化合物は、カルボキシル含有化合物G−(CO)OHと反応して、式(VI)のグラフト化化合物を生成する。この反応スキームでは、第二化合物上の酸性基は、カルボキシル基である。式(V)及び(VI)中のG基は、任意の好適な有機基であることができ、多くの場合、ポリマー基である。
【0100】
式G−(CO)OH (V)のカルボキシル含有化合物は例示を容易にするためにただ1つのカルボキシル基を以って反応スキームに示しているが、この化合物は任意の好適な数のカルボキシル基を有し得る。すなわち、最終生成物は、複数のグループの式−(CO)OC(R
1)
2C(R
1)
2NH−R
2−NH−C(R
1)
2C(R
1)
2−O(CO)−Qを含むことができる。第二化合物が複数のカルボキシル基を有する場合、これらのカルボキシル基のすべて又は任意の割合が式(I)の化合物と反応させることができる。
【0101】
一部の実施形態では、第二化合物は、少なくとも1つの酸性基を有するポリマー物質(すなわち、第二ポリマー物質)である。第二化合物は、多くの場合、複数の酸性基を有する。反応生成物はグラフト化コポリマーであり、第二化合物がこのグラフト化コポリマーの主鎖であり、第一化合物のポリマー基はペンダント基である。酸性基がカルボキシル基である場合、グラフト化コポリマーは、1つ以上のグループの式−(CO)OC(R
1)
2C(R
1)
2NH−R
2−NH−C(R
1)
2C(R
1)
2−O(CO)−Qを有することができ、式中、R
1、R
2及びQは、上記に定義したものと同じである。
【0102】
少なくとも1つの酸性基を有する任意のポリマー物質は、第二ポリマー物質として使用することができる。好ましくは、第二ポリマー物質は、複数の酸性基を有する。一部の好適な第二ポリマー物質は、酸性モノマーを含む第二モノマー組成物の重合により、生成される。好適な酸性モノマーは、典型的には、エチレン性不飽和基と、酸性基又は酸性基の塩と、を有する。酸性モノマーは例えば、エチレン性不飽和カルボン酸(すなわち、酸性基は−COOH基である)、エチレン性不飽和ホスホン酸(すなわち、酸性基は−PO
3H
2基である)、エチレン性不飽和スルホン酸(すなわち、酸性基は−SO
3H基である)又はこれらの塩であり得る。複数の酸性モノマーを使用することができる。複数の酸性モノマーが使用される場合、これらは、同じ又は異なる酸性基を有することができる。
【0103】
例の酸性モノマーとしては、限定するものではないが、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸、オレイン酸、β−カルボキシエチルアクリレート、2−アクリルアミドエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸及びこれらに類するものが挙げられる。酸性モノマーが塩形態である場合、塩のカチオンは、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム又はリチウムのイオン)、アルカリ土類のイオン(例えば、カルシウム、マグネシウム又はストロンチウムのイオン)、アンモニウムイオン、1つ以上のアルキル基で置換されたアンモニウムイオン、1つ以上のアリール基で置換されたアンモニウムイオン、又は1つ以上のアリール基と1つ以上のアルキル基で置換されたアンモニウムイオンであり得る。多くの実施形態では、酸性モノマーは、エチレン性不飽和カルボン酸である(すなわち、酸性基はカルボキシル基である)。
【0104】
一部の例では、第二ポリマー物質は、酸性モノマーのホモポリマーである。例えば、第二ポリマー物質は、ポリ((メタ)アクリル酸)であることができる。他の例では、第二ポリマー物質は、酸性モノマーと少なくとも1つの他のエチレン性不飽和モノマーとを含む第二モノマー組成物から生成されるコポリマーである。式(I)中のポリマー基Qの生成に好適なモノマーとして上記した任意のエチレン性不飽和モノマーを第二モノマー組成物中で使用することができる。
【0105】
一部のより具体的な第二ポリマー物質は、例えば、(a)(メタ)アクリル酸と(b)少なくとも1つの(メタ)アクリレート(すなわち、(メタ)アクリレートエステル)とを含む第二モノマー組成物から生成することができる。この(メタ)アクリレートエステルモノマーは、(メタ)アクリル酸と非三級アルコールとの反応生成物である。非三級アルコールは、典型的には、1〜20個の炭素原子、1〜18個の炭素原子、3〜18個の炭素原子、1〜14個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、2〜12個の炭素原子、3〜12個の炭素原子、又は4〜12個の炭素原子を有する。このアルコールは、典型的には脂肪族であって芳香族ではなく、式R
11OHを有することができ、式中、R
11は、アルキル基(直鎖アルキル基、シクロアルキル基又はビシクロアルキル基を含む)、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基である。非三級アルコールの好適な例としては、限定するものではないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、3−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、3,5,5−トリメチル−1−ヘキサノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メチル−1−ヘキサノール、1−ノナノール、2−ノナノール、1−デカノール、2−デカノール、1−ドデカノール、1−トリデカノール、2−トリデカノール(tridencanol)、1−テトラデカノール、1−オクタデカノール、2−オクタデカノール、シトロネロール、ジヒドロシトロネロール、2−プロピルヘプタノール、イソボルネアール(isoborneal)、フェニルメタノール、フェノキシエタノール及びこれらに類するものが挙げられる。
【0106】
(メタ)アクリレートは、多くの場合、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、オクタデシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ドデシルアクリレート、ベンジルアクリレート及びこれらの混合物から選択される。
【0107】
他の任意選択のコモノマーも第二モノマー組成物中に存在し得る。これらの任意選択のコモノマーとしては、限定するものではないが、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド及びN,N−ジエチルアクリルアミド)、N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、N,N’−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、N−ビニルピロリドン、シアノアルキル(メタ)アクリレート(例えば、シアノエチルアクリレート)及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(例えば、ヒドロキシエチルメタクリレート)が挙げられる。更に他の好適なコモノマーとしては、ポリエチレングリコールアクリレート、エトキシエチルアクリレート及びエトキシエトキシエチルアクリレートなどのポリ(アルキレンオキシド)アクリレートが挙げられる。
【0108】
第二モノマー組成物は、多くの場合、1〜30重量%の(メタ)アクリル酸と70〜99重量%の(メタ)アクリレート(すなわち、(メタ)アクリレートエステル)を含有する。重量%は、第二ポリマー物質を調製するために使用される第二モノマー組成物中のモノマーの合計重量に基づく。この組成物を有するポリマー物質は、ガラス転移温度が20℃未満、10℃未満、0℃未満、−10℃未満又は−20℃未満であるエラストマー物質となる傾向を有する。このようなポリマー物質は、感圧性接着剤組成物などの様々な接着剤組成物で使用することができる。より多量の(メタ)アクリル酸が含まれる場合、第二ポリマー物質のガラス転移温度及び剛性は、望ましくないほど高くなる恐れがある。しかしながら、(メタ)アクリル酸が少なすぎる場合、第二ポリマー物質が第一化合物と反応する可能性が減少するか、あるいは、得られるグラフト化コポリマーにおけるグラフト化部位があまりにも少なくなる。存在するグラフト化部位があまりにも少ない場合には、グラフトポリマー、及び、グラフトポリマーを含有する任意の接着剤の凝集強度は、許容できないほど低くなる恐れがある。
【0109】
一部の例では、第二モノマー組成物は、第二モノマー中のモノマーの合計重量に基づいて、1〜25重量%の(メタ)アクリル酸と75〜99重量%の(メタ)アクリレートエステル、1〜20重量%の(メタ)アクリル酸と80〜99重量%の(メタ)アクリレートエステル、1〜15重量%の(メタ)アクリル酸及び85〜99重量%の(メタ)アクリレートエステル、1〜10重量%の(メタ)アクリル酸と90〜99重量%の(メタ)アクリレートエステル、又は5〜15重量%の(メタ)アクリル酸と85〜95重量%の(メタ)アクリレートを含有する。
【0110】
モノマーに加えて、第二モノマー組成物は、典型的には、様々なモノマーのフリーラジカル重合のための反応開始剤も含む。重合開始剤は、熱反応開始剤、光開始剤(photoinitator)、又はその両方であってよい。フリーラジカル重合反応に既知である任意の好適な熱反応開始剤又は光開始剤(photoinitator)を使用できる。反応開始剤は、典型的には、第二モノマー組成物中のモノマーの合計重量に基づいて、0.01〜5重量%の範囲、0.01〜2重量%の範囲、0.01〜1重量%の範囲又は0.01〜0.5重量%の範囲の量で存在する。
【0111】
一部の実施形態では、熱反応開始剤が使用される。熱反応開始剤は、典型的には、ペルオキシド、アゾ化合物、過硫酸塩又はレドックス(還元−酸化)系である。好適なペルオキシドとしては、これらに限定するものではないが、ベンゾイルペルオキシド、シクロヘキサンペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジセチルペルオキシジカルボネート及びラウリルペルオキシドが挙げられる。好適なアゾ化合物としては、限定するものではないが、DuPont(Wilmington,DE)から商品名VAZO 67で市販されている2,2’−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)、DuPontから商品名VAZO 64で市販されている2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)及びDuPontから商品名VAZO 52で市販されている2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)が挙げられる。好適な過硫酸塩としては、限定するものではないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム及び過硫酸アンモニウムが挙げられる。好適なレドックス系としては、限定するものではないが、過硫酸塩と還元剤(ピロ亜硫酸ナトリウム又は亜硫酸水素ナトリウムなど)の組み合わせ、ペルオキシドと三級アミン(ジメチルアニリンなど)の組み合わせ、又は、ヒドロペルオキシド(例えば、クメンヒドロペルオキシド)と遷移金属(例えば、コバルトナフタレン)の組み合わせが挙げられる。
【0112】
一部の実施形態では、光開始剤が使用される。光開始剤の一部の例は、ベンゾインエーテル(例えば、ベンゾインメチルエーテル若しくはベンゾインイソプロピルエーテル)及び置換ベンゾインエーテル(例えば、アニソインメチルエーテル)である。光開始剤の他の例は、2,2−ジエトキシアセトフェノン又は2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(Ciba Corp.(Tarrytown,NY)から商品名IRGACURE 651で、若しくはSartomer(Exton,PA)から商品名ESACURE KB−1で市販されている)などの置換アセトフェノンである。光開始剤の更に別の例は、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換α−ケトール、2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド、及び、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシムである。
【0113】
第二モノマー組成物は、典型的には、フリーラジカル重合反応を調整することにより、第二ポリマー物質の分子量を制御するための連鎖移動剤も含む。好適な連鎖移動剤としては、限定するものではないが、ハロゲン化炭化水素(例えば、四臭化炭素)、メルカプタン(例えば、ラウリルメルカプタン、ブチルメルカプタン、エタンチオール、イソオクチルチオグリコレート(IOTG)、2−エチルヘキシルチオグリコレート、2−エチルヘキシルメルカプトプロピオネート、2−メルカプトイミダゾール及びメルカプトエチルエーテル)などのイオウ化合物が挙げられる。特定の有機溶媒はまた、エタノール、イソプロパノール及び酢酸エチルなどの連鎖移動剤として機能することができる。
【0114】
第二モノマー組成物中に含まれる連鎖移動剤の量は、所望の分子量及び使用される具体的な連鎖移動剤に依存する。イオウ化合物と比較して、例えば、有機溶媒は通常、より不活性であり、大量に存在させる必要がある。連鎖移動剤は、多くの場合、第二モノマー組成物中のモノマーの合計重量に基づいて0.001〜10重量%の範囲の量で存在する。この量は、多くの場合、第二モノマー組成物中のモノマーの合計重量に基づいて0.01〜5重量%、0.01〜2重量%、0.01〜1重量%、又は0.01〜0.5重量%の範囲である。
【0115】
第二ポリマー物質は、任意の好適な方法又はプロセス(例えば、米国特許第5,986,011号(Ellis))を用いて、第二モノマー組成物から調製することができる。多くの実施形態では、不活性有機溶媒を使用しない方法又は非常にわずかな量の不活性有機溶媒(例えば、第二モノマー組成物の合計重量に基づいて5重量%未満、3重量%未満、2重量%未満、1重量%未満、又は0.5重量%未満)を使用する方法が使用される。モノマー及び得られるコポリマー物質が互いに混和性である場合、このような方法を使用することができる。しかしながら、一部の実施形態では、反応物質と生成物の混和性をもたらすために、不活性有機溶媒が大量に使用される。第二モノマー組成物中に含まれる場合、不活性有機溶媒は、典型的には、第二モノマー組成物の合計重量に基づいて20重量%以下、15重量%以下、又は10重量%以下である。
【0116】
第二ポリマー物質を生成するために使用される一部のプロセスでは、第二モノマー組成物は、重合に先立って、シート上に配置することができ、2枚のシートの間に配置することができ、又はパッケージ化材料により少なくとも部分的に包囲することができる。シート又はパッケージ化材料は、多くの場合、第二ポリマー物質を調製するために使用される特定の重合方法に基づいて選択される。例えば、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリエチレンテレフタレート又はアイオノマー(iconomer)ポリマーなどの可撓性熱可塑性ポリマーを使用することができる。
【0117】
一部の実施形態では、第二モノマー組成物は、米国特許第5,804,610号(Hamer et al.)に記載のように、封止したパウチなどのパッケージ化材料内で重合される。使用されるパッケージ化材料の量は、典型的には、パッケージ化材料と第二モノマー組成物の合計重量に基づいて、約0.5重量%〜約20重量%の範囲である。例えば、パッケージ化材料は、1〜20重量%、1〜15重量%、2〜15重量%、1〜10重量%、2〜10重量%、1〜5重量%又は2〜5重量%の範囲であり得る。パッケージ化材料の厚さは、多くの場合、0.01ミリメートル〜0.25ミリメートルの範囲、0.01〜0.20ミリメートルの範囲、0.01〜0.10ミリメートルの範囲、又は0.03〜0.10ミリメートルの範囲である。パウチは、任意の好適なサイズを有することができるが、多くの場合、サイズは、0.1〜500グラム、1〜500グラム、1〜200グラム、1〜100グラム、2〜100グラム、5〜100グラム、又は5〜50グラムの第二モノマー組成物を収容できるように選択される。
【0118】
熱重合プロセスが使用される場合、好適なシート又はパッケージ化材料は、典型的には、第二モノマー組成物の重合温度よりも高い融解温度を有する。シート又はパッケージ化材料は、多くの場合、少なくとも90℃、少なくとも100℃又は少なくとも120℃の融点を有する。融点は、多くの場合、200℃未満、175℃未満、又は150℃未満である。重合温度は、熱反応開始剤の活性化温度に依存する。例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)を用いる反応は約80℃にて行うことができるが、一方、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルペンタンニトリル)を用いる反応は約70℃にて行うことができる。
【0119】
一部の熱重合プロセスでは、第二モノマー組成物を収容するパッケージ化材料は、モノマーを重合するのに十分な時間にわたって熱交換媒質内に浸漬される。熱交換媒質は、例えば、水、ペルフルオロ化液、グリセリン、又はプロピレングリコールであり得る。あるいは、熱重合に必要な熱は、パッケージ化された第二モノマー組成物を、加熱した金属圧板、加熱した金属ローラー又はマイクロ波エネルギーに近接して配置することにより、供給することができる。
【0120】
光重合プロセスが使用される場合、好適なシート又はパッケージ化材料は、典型的には、シート又はパッケージ化材料に、十分な量の化学線(例えば、紫外線)を透過させて、第二モノマー組成物に到達させる。発光スペクトルの少なくとも60%又は少なくとも70%が280〜400ナノメートルの範囲であり、強度が約0.1〜25mW/cm
2である紫外線光が、多くの場合、選択される。
【0121】
一部の光重合プロセス中、第二モノマー組成物を収容する封止されたパウチを、水浴又は他の熱転移流体中に浸漬することにより、温度を制御することができる。例えば、パッケージ化された第二モノマー組成物は、最高で90℃の温度にて制御された水浴中に浸漬することができるが、多くの場合、50℃以下の温度にて制御される。温度は、多くの場合、5〜50℃、5〜40℃又は5〜30℃の範囲で制御される。
【0122】
任意の所望の分子量の第二ポリマー物質が反応スキームBにおいて調製及び使用できるが、重量平均分子量は、多くの場合、少なくとも50,000グラム/モル、少なくとも100,000グラム/モル、少なくとも200,000グラム/モル、又は少なくとも500,000グラム/モルである。一部の実施形態では、重量平均分子量は、最大で3,000,000グラム/モル、最大で2,000,000グラム/モル、最大で1,000,000グラム/モルであり得る。第二ポリマー物質の分子量が増加するにつれて、第二ポリマー物質を第一化合物と混合することはより困難になる恐れがある。
【0123】
第二ポリマー物質がエラストマー物質である場合、重量平均分子量は、多くの場合、200,000〜2,000,000グラム/モルの範囲、200,000〜1,000,000グラム/モルの範囲、500,000〜2,000,000グラム/モルの範囲、又は500,000〜1,000,000グラム/モルの範囲である。分子量が大き過ぎると、エラストマー物質は良好に流れなくなり、得られるグラフトポリマーからコーティングを調製するのが困難になる恐れがある。しかしながら、分子量が少な過ぎると、凝集強度は、望ましくないほど低くなる恐れがある。
【0124】
グラフト化コポリマーを調製するために、少なくとも1つの酸性基(好ましくは複数の酸性基)を有する第二ポリマー物質は、単一のアジリジニル基と第一ポリマー基とを両方有する第一化合物と、反応さることができる。第二化合物上の酸性基がカルボキシル基である場合には、この反応は、式−(CO)OC(R
1)
2C(R
1)
2NH−R
2−NH−C(R
1)
2C(R
1)
2−O(CO)−Qの少なくとも1つのペンダント基(好ましくは複数の酸性基)を有するグラフト化コポリマーの生成をもたらし、式中、R
1、R
2及びQは、上記に定義したものと同じである。
【0125】
第二ポリマー物質が、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリレートエステルを含有する第二モノマー組成物から生成されたコポリマーである場合には、得られるグラフト化コポリマーは、多くの場合、−(CO)OR
11基と−(CO)OC(R
1)
2C(R
1)
2NH−R
2−NH−C(R
1)
2C(R
1)
2−O(CO)−Q基とを含むペンダント基を有する炭化水素主鎖を有する。R
1基、R
2基、R
11基及びQ基は、先に定義したものと同じである。−(CO)OR
11基は、第二モノマー混合物中に含まれる(メタ)アクリレートエステルからのものである。ペンダント基−(CO)OC(R
1)
2C(R
1)
2NH−R
2−NH−C(R
1)
2C(R
1)
2−O(CO)−Qは、第二ポリマー物質上のカルボキシル基と第二化合物上のアジリジニル基との反応から生じる。第二ポリマー物質を生成するために使用される(メタ)アクリル酸由来の未反応の−(CO)OH基が存在する場合には、これらの基も、グラフト化コポリマー中に存在することができる。
【0126】
グラフト化コポリマーの一部の実施形態では、第二ポリマー物質は、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリレートエステルを含有する第二モノマー組成物から生成されるエラストマー物質であり、一方、第一化合物は、第二ポリマー物質と混和性ではない第一ポリマー基Qを有するように選択される。すなわち、第一ポリマー基Qは、第二ポリマー物質から相分離する。この相分離により、グラフト化コポリマーの物理的架橋として機能する第一ポリマー基の別々の領域の生成がもたらされる。グラフト化コポリマーは、感圧性接着剤などの接着剤として使用することができる。接着剤の凝集強度は、グラフト化化合物中のより多くのグラフト化基の挿入により(すなわち、より多くの−(CO)OC(R
1)
2C(R
1)
2NH−R
2−NH−C(R
1)
2C(R
1)
2−O(CO)−Qペンダント基を通して)増加する傾向を有する。
【0127】
物理的架橋は、典型的には、ポリマー鎖内の交絡の自然又は誘導生成に依存し、感圧性接着剤組成物などの接着剤組成物の凝集強度を増加させる傾向を有する。物理的架橋は、多くの場合、感圧性接着剤が比較的高温で融解状態で加工することができ、それでいながら、より低温でも架橋形態をとることができることから、所望される。すなわち、感圧性接着剤は、ホットメルト接着剤として使用することができる。対照的に、化学的架橋感圧性接着剤は、典型的には、ホットメルト接着剤として加工することができない。ホットメルト加工は、多くの場合、不活性有機溶媒の使用を最小化又は削減することができるため、望ましいと考えられる。不活性有機溶媒の最小化又は削減は、環境的及び経済的観点の両方から望ましいものであり得る。
【0128】
エラストマーである第二ポリマー物質から相分離させるために、並びに、物理的架橋をもたらすために、第一化合物は、多くの場合、周囲温度にて第二化合物中に不混和性であるように選択される。物理的架橋は、第一化合物が少なくとも20℃以上のガラス転移温度を有すると、促進される。このような第一化合物を生成するために、ポリマー基Qを生成するのに使用されるモノマーは、多くの場合、ホモポリマーとして重合されたときに、少なくとも20℃に等しいガラス転移温度を有するように選択される。好適なモノマーは、(メタ)アクリレート又は様々なビニルモノマー(例えば、ビニルエーテルモノマー、ビニルアリールモノマー、ビニル複素環式モノマー、ビニルエステルモノマー及びこれらに類するもの)であり得る。
【0129】
ポリマー基Qを生成するための具体的モノマーとしては、限定するものではないが、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ノニルフェノールメタクリレート、セチルアクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボルニルシクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、1−アダマンチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート及び3,3,5トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、アルキル置換スチレン(例えば、ビニルトルエン、ジメチルスチレン、イソプロピルスチレン、tert−ブチルスチレン)、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、n−ビニルカプロラクタム(n-vinylcarpolactam)、酢酸ビニル、ビニルプロプリオネート又はこれらの混合物が挙げられる。
【0130】
ガラス転移温度に加えて、第一化合物の分子量(例えば、ポリマー基Qの分子量)は、グラフト化コポリマーが相分離及び物理的架橋を行うかどうかに影響し得る。第一化合物中のポリマー基Qの分子量が少なくとも5000グラム/モルの重量平均分子量を有する場合には、相分離の生じる可能性がより高い。すなわち、第一化合物は、重量平均分子量が5000グラム/モルを超えるように選択される。Q基の重量平均分子量は、多くの場合、7,500グラム/モル超、10,000グラム/モル超、12,000グラム/モル超、15,000グラム/モル超、又は20,000グラム/モル超である。感圧性接着剤の凝集強度は、ポリマー基Qの重量平均分子量が増加するにつれて、増加する傾向を有する。
【0131】
しかしながら、ポリマー基Qの高分子量が極端に大きくなると、第二ポリマー物質との反応により生成される重量基準当たりのペンダント基の数は減少する恐れがある。すなわち、ポリマー基Qの重量が増加するにつれて、式−(CO)OC(R
1)
2C(R
1)
2NH−R
2−NH−C(R
1)
2C(R
1)
2−O(CO)−Qのペンダント基を重量基準当たりに多く生成することがより困難になる恐れがある。ポリマー基Qの重量平均分子量は、多くの場合、最大で150,000グラム/モルである。例えば、この重量平均分子量は、最大120,000グラム/モル、最大100,000グラム/モル、最大80,000グラム/モル、最大60,000グラム/モル又は最大40,000グラム/モルであり得る。
【0132】
一部の特定のグラフト化コポリマーは、エラストマー第二ポリマー物質と、第二ポリマー物質とは混和性ではない第一化合物と、から生成される。第一化合物は、ポリ(ビニルアリールモノマー)(例えば、ポリ(スチレン))などのホモポリマー、ポリ(ビニルアリールモノマー)の第一ブロックとポリ(ビニル複素環式モノマー)の第二ブロックとを有するブロックコポリマー(例えば、ジ−ブロックポリ(スチレン−コ−ビニルピリジン))、又は、ポリ(ビニルアリールモノマー)とポリ(ビニル複素環式モノマー)のランダムコポリマー(例えば、ランダムポリ(スチレン−コ−ビニルピリジン))であるQポリマー基を有する。第二ポリマー物質は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリレートエステルを含有する第二モノマー組成物の重合生成物であり得る。
【0133】
グラフト化コポリマーを調製するために、第二ポリマー物質は、多くの場合、ホットメルトプロセスを用いて、第一化合物と反応させる。第二ポリマー物質を調製し、次に、第一化合物と混合する。任意の好適なホットメルト方法を使用して、第一化合物を第二化合物と混合することができる。一部の方法では、第二ポリマー物質は、パウチなどのパッケージ化材料内に配置され(例えば、第二ポリマー物質は、パッケージ化材料内で調製することができる)、C.W.Brabender(Hackensack,NJ)から市販されているもののような混合装置内で又は押出成形機内で第一化合物と組み合わされる。混合装置は、第二ポリマー物質を包囲しているパッケージ化材料の破砕、融解又はその両方を行うことができる。
【0134】
グラフト化コポリマーを生成するのに、並びに、任意選択でパッケージ化材料を融解するのに、十分である任意の好適な反応時間及び温度を使用することができる。例えば、第一化合物は、少なくとも100℃、少なくとも110℃又は少なくとも120℃に等しい温度にて、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも10分、又は少なくとも20分にわたって第二ポリマー物質と混合することができる。温度及び時間は、多くの場合、パッケージ化材料が融解するように、選択される。パッケージ化材料の量及びパッケージ化材料のタイプは、グラフト化化合物の所望の特性がパッケージ化材料により悪影響を受けないように、選択される。
【0135】
このグラフト化化合物は、多くの場合、接着剤として使用される。そのため、このグラフト化化合物は、多くの場合、粘着性であり、感圧性接着剤として使用することができる。しかしながら、より高い粘着度が所望される場合、追加の粘着付与剤をグラフト化化合物と混合することができる。感圧性接着剤組成物に典型的に含まれる任意の粘着付与剤を使用してよい。固体又は液体粘着付与剤のいずれかを使用してよい。固体粘着付与剤は、一般には、約10,000グラム/モル以下の数平均分子量(Mn)、及び約70℃を超える軟化点を有する。液体粘着付与剤は、約0℃〜約70℃の軟化点を有する粘稠な物質である。固体粘着付与樹脂が一般的に好ましい。
【0136】
好適な粘着付与樹脂として、ロジン及びその誘導体(例えばロジンエステル)、ポリテルペン及び芳香族修飾ポリテルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、並びに、炭化水素樹脂、例えば、αピネン系樹脂、βピネン系樹脂、リモネン系樹脂、脂肪族炭化水素系樹脂、芳香族修飾炭化水素系樹脂、芳香族炭化水素樹脂、及びジシクロペンタジエン系樹脂が挙げられる。これらの粘着付与樹脂は、所望される場合には、感圧性接着剤層へのこれらの色の影響を低下させるために、水素添加され得る。
【0137】
グラフト化コポリマーと任意の融解したパッケージ化材料は、多くの場合、ダイを用いて、フィルム又はコーティングとして送達される。このフィルム又はコーティングは、多くの場合、基材の一方又は両方の主表面上に配置される。金属含有物質、ポリマー物質、セラミック物質又はガラスから生成されるものなどの任意の好適な基材を使用することができる。基材は剛性又は可撓性、透明又は不透明、並びに任意の好適な厚さであり得る。フィルム又はコーティングが感圧性接着剤である場合には、基材は裏材であり得る。好適な裏材としては、限定するものではないが、紙、布(織布又は不織布)、ポリ(塩化ビニル)、ポリウレタン、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン又はこれらのコポリマー)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリカーボネート、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、ポリ(エチレンアクリル酸))、発泡体(ポリウレタン又はポリアクリレートから調製されるものなど)、金属箔及びこれらに類するものが挙げられる。
【0138】
一部の実施形態では、グラフト化コポリマーは、2つの基材の間に配置される。第一基材は、例えば、感圧性接着剤に好適な裏材であることができ、第二基材は剥離ライナーであることができる。例えば、シリコーンコーティング(シリコーン剥離ライナー)、ポリフルオロポリエーテルコーティング又はポリフルオロエチレンコーティングでコーティングされた裏材のような任意の好適な剥離ライナーを使用することができる。
【0139】
接着剤組成物中で使用されるのに加えて、グラフト化コポリマーは、他の表面及び物質を化学的に変えるのに使用することができる。例えば、第二化合物は、カルボキシル基を有する膜、あるいは、カルボキシル含有物質で改質された表面、カルボキシル含有物質で改質された無機物質表面、カルボキシル基を有する繊維又はカルボキシル含有物質で改質された表面、カルボキシル基を有する超吸着ポリマー又はこれらに類するものなどの任意のカルボキシル含有物質であることができる。これらのカルボキシル含有物質を式(I)の化合物と反応させることは、接触角の変更、湿潤性の変更又は他の物質との適合性の変更をもたらすのに使用することができる。例えば、親水性表面を変性させて、疎水性表面を生成することができる。
【0140】
反応混合物、グラフト化コポリマー又はグラフト化コポリマーの製造方法である様々な事項が提供される。
【0141】
事項1は、反応混合物である。この反応混合物は、(a)式(I)の第一化合物と、
【0142】
【化15】
(b)少なくとも1つの酸性基を有する第二化合物と、を含む。式(I)中、各R
1は独立して水素又はアルキルである。R
2基は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせを含有する二価基である。R
2基は、任意選択で、オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせを更に含むことができる。R
3基は、水素又はアルキルである。Q基は、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含む第一モノマー組成物の重合生成物であるポリマー基(すなわち、第一ポリマー基)である。
【0143】
事項2は、第二化合物が複数の酸性基を有するポリマー物質(すなわち、第二ポリマー物質)である、事項1の反応混合物である。
【0144】
事項3は、第二化合物が複数のカルボキシル基を有するエラストマー物質である、事項1又は2の反応混合物である。
【0145】
事項4は、第二化合物が、(a)(メタ)アクリル酸と、(b)少なくとも1つの(メタ)アクリレートエステルと、を含む第二モノマー組成物の重合生成物である、事項1〜3のいずれかの反応混合物である。
【0146】
事項5は、Qが5000グラム/モル超の重量平均分子量を有する、事項1〜4のいずれかの反応混合物である。
【0147】
事項6は、Qを生成するために使用される少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーが、ホモポリマーとして重合される場合に、少なくとも20℃に等しいガラス転移温度を有するように選択される、事項1〜5のいずれかの反応混合物である。
【0148】
事項7は、第一モノマー組成物がスチレン、α−メチルスチレン又はアルキル置換スチレンを含む、事項1〜6のいずれかの反応混合物である。
【0149】
事項8は、第一モノマー組成物が(メタ)アクリレートエステル、(メタ)アクリルアミド又はこれらの組み合わせを含む、事項1〜6のいずれかの反応混合物である。
【0150】
事項9は、Q基がランダムコポリマーであり、第一モノマー組成物がビニルアリールモノマー及びビニル複素環式モノマーを含む、事項1〜6のいずれかの反応混合物である。
【0151】
事項10は、Q基がブロックコポリマーであり、第一モノマー組成物が、ポリ(ビニルアリールモノマー)の第一ブロックと、ポリ(ビニル複素環式モノマー)の第二ブロックと、を含む、事項1〜6のいずれかの反応混合物である。
【0152】
事項11は、グラフト化コポリマーである。このグラフト化コポリマーは、(1)式(I)の第一化合物と、
【0153】
【化16】
(2)少なくとも1つの酸性基を有するポリマー物質である第二化合物と、を含む、反応混合物の生成物である。式(I)中、各R
1は独立して水素又はアルキルである。R
2基は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせを含有する二価基である。R
2基は、任意選択で、オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせを更に含むことができる。R
3基は、水素又はアルキルである。Q基は、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含む第一モノマー組成物の重合生成物であるポリマー基(すなわち、第一ポリマー基)である。
【0154】
事項12は、第二化合物が、(a)(メタ)アクリル酸と(b)少なくとも1つの(メタ)アクリレートエステルとを含む第二モノマー組成物から調製されるエラストマー物質である、事項11のグラフト化コポリマーである。
【0155】
事項13は、Q基が5000グラム/モル超の重量平均分子量を有する、事項11又は12のグラフト化コポリマーである。
【0156】
事項14は、Q基を生成するために使用される少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーが、ホモポリマーとして重合される場合に、少なくとも20℃に等しいガラス転移温度を有するように選択される、事項11〜13のいずれかのグラフト化コポリマーである。
【0157】
事項15は、グラフト化コポリマーの製造方法である。この方法は、(1)式(I)の第一化合物と、
【0158】
【化17】
(2)少なくとも1つの酸性基を有するポリマー物質である第二化合物と、を含む、反応混合物の生成物である。式(I)中、各R
1は独立して水素又はアルキルである。R
2基は、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン又はこれらの組み合わせを含有する二価基である。R
2基は、任意選択で、オキシ、カルボニル、カルボニルオキシ、カルボニルイミノ、−NR
3−又はこれらの組み合わせを更に含むことができる。R
3基は、水素又はアルキルである。Q基は、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含む第一モノマー組成物の重合生成物であるポリマー基(すなわち、第一ポリマー基)である。この方法は、第一化合物のアジリジニル基を第二化合物の少なくとも1つの酸性基と反応させてグラフト化コポリマーを生成する工程を更に含む。
【0159】
事項16は、反応混合物が、反応混合物の合計重量に基づいて0〜5重量%未満の不活性有機溶媒を含有する、事項15の方法である。
【0160】
事項17は、第二ポリマー物質が、(a)(メタ)アクリル酸と(b)少なくとも1つの(メタ)アクリレートエステルとを含む第二モノマー組成物から調製されるエラストマーである、事項15又は16の方法である。
【0161】
事項18は、Q基が5000グラム/モル超の重量平均分子量を有する、事項15〜17のいずれかの方法である。
【0162】
事項19は、Q基を生成するために使用される少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーが、ホモポリマーとして重合される場合に、少なくとも20℃に等しいガラス転移温度を有するように選択される、事項15〜18のいずれかの方法である。
【0163】
事項20は、方法がホットメルトプロセスである、事項15〜19のいずれかの方法である。
【0164】
事項21は、反応混合物が、反応混合物の合計重量に基づいて0〜5重量%未満の不活性有機溶媒を含有する、事項15〜20のいずれかの方法である。
【実施例】
【0165】
すべてのパーセントは、特に指示しない限り、重量に基づく。
【0166】
以下の実施例で使用される材料は、特に説明しない限り、Alfa Aesar(Ward Hill,MA)又はSigma−Aldrich Company(St.Louis,MO)から購入した。
【0167】
モノマーに、Alfa Aesar(Ward Hill,MA)からの阻害物質除去樹脂(CAS # 9003−70−7)を充填したカラムをゆっくりと通過させることにより、モノマーから阻害物質を除去した。このやり方で処理したモノマーは、「処理済みモノマー」と呼ぶ。
【0168】
試験方法:分子量分布
化合物の分子量分布は、従来のゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて特性評価した。GPC機器は、Waters Corporation(Milford,MA)から入手したが、高速液体クロマトグラフィーポンプ、オートサンプラー、紫外検出器及び屈折率検出器を備えた。クロマトグラフに、2つの5マイクロメートルのPLgel MIXED−Dカラム(Varian Inc.(Palo Alto,CA)から入手可能)を取り付けた。
【0169】
ポリマー又は乾燥ポリマーサンプルを0.5%(重量/体積)の濃度にてテトラヒドロフランに溶解させ、VWR International(West Chester,PA)から入手可能である0.2マイクロメートルのポリテトラフルオロエチレンフィルターを通して濾過することにより、ポリマー溶液のサンプルを調製した。
【0170】
得られたサンプルをGPCに注入し、35℃に維持したカラムを通して毎分1ミリリットルの速度で溶出させた。このシステムを、最小二乗法あてはめ分析を用いてポリスチレン標準で較正して、検量線を確立した。重量平均分子量(Mw)及び多分散指数(重量平均分子量を数平均分子量で除算したもの)をこの標準検量線に対して各サンプルについて計算した。
【0171】
剪断強度
接着剤の剪断強度は、サンプルの内部強度又は凝集性に直接関連し、典型的には、接着剤ストリップを固定した標準的な平らな表面から接着剤ストリップを引き剥がすのに必要とされる力の量により定量化される。具体的には、試験パネルに対して平行に、一定荷重又は静荷重を用い応力を加えることで、ステンレス鋼製試験パネルから、接着剤をコーティングした裏材の画定された領域を引き剥がすのに必要とされる時間の観点から、剪断強度を測定した。
【0172】
ポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)をコーティングすることにより調製された接着剤ストリップを用いて、剪断力試験を行った。接着剤コーティングは約0.05ミリメートル(mm)の厚さを有した。切断した接着剤ストリップをきれいなステンレス鋼パネルに貼付した結果、各接着剤ストリップの25.4mm×25.4mm部分はパネルとしっかりと接触し、各接着剤ストリップの一方の端部は自由であった(すなわち、パネルに接着していなかった)。接着剤ストリップを有するパネルは、伸びた自由端とパネルが180°の角度を形成するようにラックに保持され、自由端は1キログラムの錘を吊るすことにより、引張にかけられた。各接着剤ストリップが試験パネルから分離する経過時間を分単位で剪断強度として記録した。各接着剤サンプルについて、2回の剪断試験を実施し、結果を平均した。
【0173】
剥離接着力
剥離接着力は、特定の角度及び除去速度で測定された接着剤ストリップをステンレス鋼試験パネルから取り外すのに必要とされる力であり、接着剤ストリップの幅当たりのニュートン(N/dm)単位で表される。各試験について、およそ12.5mmの幅と10〜12センチメートル(cm)の長さを有する接着剤ストリップを試験パネルのきれいな面に貼付した。硬質ゴムローラーを用いて、接着剤ストリップを固定した。取り外した角度が180°になるよう、接着剤ストリップの自由端を折り返した。自由端を接着テスタースケール(Instrumentors,Inc.(Strongsville,OH)からのSlip/Peel Tester Model 3M90)の水平アームに取り付けた。次に、制御速度(12”/分(30.5cm/分))でスケールから離れるよう動く装置のプラットフォームにステンレス鋼製プレートを取り付けた。接着剤ストリップを試験パネルに貼付した直後に、付着を確立させる誘導時間を作らずに剥離試験を開始した。試験時には、剥離時の最大力及び最小力の両方の平均値として、ニュートン単位で目盛を読み取った。剥離試験は各サンプルについて3回実施し、平均することで剥離接着値を生成した。
【0174】
準備例P1及びP2(酸含有ポリスチレン):
100グラムの処理済みスチレンモノマーを500ミリリットル(mL)フラスコに2.34グラムの4,4’アゾビス(4−シアノ吉草酸)(ABCVA)反応開始剤、0.85グラムの2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)及び電磁撹拌棒と共に添加することにより、酸末端(酸含有)ポリスチレンポリマーP1を調製した。フラスコをゴムセプタムで封止し、よく混合し、窒素で20分にわたってき起泡させた。このフラスコを次に135℃での油浴に移し、その温度で10時間にわたって保持した。反応中、最初の赤色のモノマー配合物は、淡黄色のような色に変化した。生成物を放冷し、次に、ゆっくりと大過剰の低温メタノールに添加した。析出したポリマーを回収し、真空オーブン内で一晩乾燥させた。ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)分析に基づいて、重量平均分子量(Mw)は15,000グラム/モルであり、多分散性は1.08であった。
この方法を用いるがABCVA及びTEMPOの使用量を表1で示すように変更して、別の酸末端p(スチレン)ポリマーP2を調製した。
【0175】
【表1】
P1及びP2を生成するために使用される重合反応を反応スキームCに示す。
【0176】
【化18】
【0177】
準備例P3及びP4(アジリジニル含有ポリスチレン):
酸含有ポリマーP1を過剰な二官能性アジリジン化合物と反応させることにより、アジリジニル末端(アジリジニル含有)ポリスチレンポリマーP3を調製した。具体的には、50グラムの酸官能性ポリマーP1を、1,1’−イソフタライルビス(2−メチルアジリジン)のトルエン溶液(5重量%)120グラムの中に溶解させた。
【0178】
【化19】
24時間にわたってよく混合した後、得られた溶液をゆっくりと大過剰の低温メタノールに添加した。析出したポリマーを回収し、真空下で乾燥させ、トルエンに再溶解させた。このポリマーに低温メタノール中で二回目の析出をさせ、回収し、真空下で一晩乾燥させた。GPC分析に基づいて、重量平均分子量は15,300グラム/モルであり、多分散指数は1.10であった。
【0179】
この方法を用い、但し酸含有ポリスチレンポリマーP2で出発して、追加のアジリジニル末端ポリスチレンポリマーP4を調製した。各ポリマーを官能化するために使用されたビスアジリジン溶液の量は、酸含有ポリマー前駆体を製造するために使用されたABCVAの濃度に依存した。より具体的には、1,1’−イソフタライルビス(2−メチルアジリジン)を、ABVCAの使用量と比較して常に6倍モル過剰にした。
【0180】
【表2】
【0181】
準備例P5及びP6(酸含有ポリ(ベンジルメタクリレート)):
100グラムのベンジルメタクリレート(BMA)、1.17グラムの3−メルカプトプロピオン酸(MPA)、0.44グラムの熱反応開始剤、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(DuPont(Wilmington,DE)からのVAZO−67)及び100グラムのトルエンを電磁撹拌棒を収容している狭小ネックガラスボトルに添加することにより、酸末端(酸含有)ポリ(ベンジルメタクリレート)ポリマーP5を調製した。この配合物をよく混合し、窒素で20分にわたって起泡させた。このボトルを次に密閉し、回転及び加熱水浴(Atlas,Inc.(Athens,GA)から商品名Launder−O−meterで市販)に70℃にて20時間にわたって定置した。冷却後、溶液ポリマーを大過剰の低温メタノールにゆっくり添加した。析出物を回収し、一晩真空下で乾燥させた。GPC分析に基づいて、最終生成物P5は、重量平均分子量(Mw)が16,250グラム/モルであり、多分散指数は1.79であった。
【0182】
この方法を用い、但しメルカプトプロピオン酸の使用量を表3に示すように変更して、別の酸末端ポリ(ベンジルメタクリレート)ポリマーP6を調製した。
【0183】
【表3】
【0184】
準備例P7及びP8(アジリジニル含有ポリ(ベンジルメタクリレート)):
75グラムの酸含有ポリ(ベンジルメタクリレート)ポリマーP5をP2の代わりに使用したことを除いて準備例3におけるのと同じ手順工程に従って、アジリジニル末端(アジリジニル含有)p(ベンジルメタクリレート)ポリマーP7を調製した。ポリマーP5を、1,1’−イソフタライルビス(2−メチルアジリジン)のトルエン溶液(5重量%)100グラムの中に溶解させた。GPC分析に基づいて、重量平均分子量(Mw)は16,700グラム/モルであり、多分散指数は1.80であった。
【0185】
この方法を用い、但し酸含有ポリマーP6で出発して、別のアジリジニル末端ポリ(ベンジルメタクリレート)ポリマーP8を調製した。ポリマーを官能化するために使用されたビスアジリジン溶液の量は、酸官能性ポリマー前駆体を製造するために使用されたメルカプトプロピオン酸の濃度に依存した。より具体的には、1,1’−イソフタライルビス(2−メチルアジリジン)を、メルカプトプロピオン酸の使用量と比較して常に3倍モル過剰にした。
【0186】
【表4】
【0187】
準備例P9及びP10(酸含有ポリ(メチルメタクリレート)):
56グラムのメチルメタクリレート(MMA)、0.83グラムの3−メルカプトプロピオン酸(MPA)、0.55グラムの熱反応開始剤、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(VAZO−67)及び45グラムのトルエンを電磁撹拌棒を収容している狭小ネックガラスボトルに添加することにより、酸末端(酸含有)ポリ(メチルメタクリレート)ポリマーP9を調製した。この配合物をよく混合し、窒素で20分にわたって起泡させた。このボトルを次に密封し、回転及び加熱水浴(Atlas,Inc.(Athens,GA)から商品名Launder−O−meterで市販)に70℃にて20時間にわたって定置した。冷却後、溶液ポリマーを大過剰の低温メタノールにゆっくり添加した。析出物を回収し、一晩真空下で乾燥させた。GPC分析に基づいて、最終生成物P9は、重量平均分子量(Mw)が14,850グラム/モルであった。
【0188】
この方法を用い、但しメルカプトプロピオン酸の使用量を表5に示すように変更して、別の酸末端p(メチルメタクリレート)ポリマーP10を調製した。
【0189】
【表5】
【0190】
準備例P11及びP12(アジリジニル含有ポリ(メチルメタクリレート)):
50グラムの酸含有ポリ(メチルメタクリレート)ポリマーP9をP1の代わりに使用したことを除いて準備例3におけるのと同じ手順工程に従って、アジリジニル末端(アジリジニル含有)ポリ(メチルメタクリレート)ポリマーP11を調製した。P9を、1,1’−イソフタライルビス(2−メチルアジリジン)のトルエン溶液(5重量%)66グラムの中に溶解させた。GPC分析に基づいて、最終生成物P11は、重量平均分子量(Mw)が15,100グラム/モルであり、多分散指数は1.26であった。
【0191】
この方法を用い、但し表5に記載の酸含有ポリマーP10で出発して、別のアジリジン末端ポリ(メチルメタクリレート)ポリマーP12を調製した。ポリマーを官能化するために使用されたビスアジリジン溶液の量は、酸含有ポリマー前駆体を調製するために使用されたメルカプトプロピオン酸の濃度に依存した。より具体的には、1,1’−イソフタライルビス(2−メチルアジリジン)の使用量は、メルカプトプロピオン酸の使用量と比較して、少なくとも3倍モル過剰に等しかった。
【0192】
【表6】
【0193】
準備例P13(酸含有ランダムポリ(スチレン−コ−ビニルピリジン)):
45グラムの処理済みスチレンモノマーと5グラムの処理済みビニルピリジンモノマーを250mLフラスコに0.7グラムのABCVA反応開始剤、0.383グラムの2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)及び電磁撹拌棒と共に添加することにより、酸末端(酸含有)ランダムポリ(スチレン−コ−ビニルピリジン)ポリマーP13を調製した。フラスコをゴムセプタムで封止し、よく混合し、窒素で20分にわたってき起泡させた。このフラスコを次に135℃での油浴に移し、その温度で10時間にわたって保持した。反応中、最初の赤色のモノマー配合物は、淡黄色のような色に変化した。生成物を放冷し、次に、ゆっくりと大過剰の低温メタノールに添加した。析出したポリマーを回収し、真空オーブン内で一晩乾燥させた。GPC分析に基づいて、重量平均分子量(Mw)は18,800グラム/モルであり、多分散指数は1.22であった。
【0194】
準備例P14(アジリジニル含有ランダムポリ(スチレン−コ−ビニルピリジン)):
酸含有ポリマーP13を酸含有ポリマーP1の代わりに使用したことを除いて準備例3におけるのと同じ手順工程に従って、アジリジニル末端(アジリジニル含有)ポリ(スチレン−コ−ビニルピリジン)ポリマーP14を調製した。より具体的には、50グラムの酸含有ポリマーP13を、1,1’−イソフタライルビス(2−メチルアジリジン)のトルエン溶液(5重量%)40グラムの中に溶解させた。GPC分析に基づいて、最終生成物P14は、重量平均分子量(Mw)が18,250であり、多分散性は1.28であった。
【0195】
準備例P15(酸含有ブロックポリ(スチレン−コ−ビニルピリジン)):
処理済みスチレン及び処理済みビニルピリジンを用いて、酸末端(酸含有)ブロックポリ(スチレン−コ−ビニルピリジン)ポリマーP15を調製した(各モノマーは、阻害物質除去樹脂を充填したカラムをゆっくりと通過させて、回収した)。45グラムの処理済みスチレンモノマーと0.7グラムのABCVAと0.383グラムのTEMPOの組み合わせを、電磁撹拌棒を収容している250mLフラスコに添加した。フラスコをゴムセプタムで封止し、よく混合し、窒素で20分にわたってき起泡させた。このフラスコを次に135℃での油浴に移し、その温度で8時間にわたって保持した。反応中、最初の赤色のモノマー配合物は、淡黄色のような色に変化した。
【0196】
8時間後、10グラムの処理済みビニルピリジンモノマーを封止フラスコ内にて窒素で5分にわたって起泡させた。次に、注射器を用いて5グラムのビニルピリジンをポリスチレン反応フラスコに移し、135℃の反応温度を更に5時間にわたって保持した。反応生成物を放冷し、次に、ゆっくりと大過剰の低温メタノールに添加した。析出したポリマーを濾過し、回収し、真空オーブン内で一晩乾燥させた。GPC分析に基づいて、最終生成物P15は、重量平均分子量(Mw)が15,400グラム/モルであり、多分散指数は1.31であった。
【0197】
準備例P16(アジリジニル含有ブロックポリ(スチレン−コ−ビニルピリジン)):
酸含有ポリマーP15を酸含有ポリマーP1の代わりに使用したことを除いて準備例3におけるのと同じ手順工程に従って、アジリジニル末端(アジリジニル含有)ブロックポリ(スチレン−コ−ビニルピリジン)ブロックポリマーP16を調製した。より具体的には、40グラムの酸含有ポリマーP15を、1,1’−イソフタライルビス(2−メチルアジリジン)のトルエン溶液(5重量%)35グラムの中に溶解させた。GPC分析に基づいて、最終生成物P16は、重量平均分子量(Mw)が16,110グラム/モルであり、多分散指数は1.25であった。
【0198】
準備例P17(N,N’−(ヘキサン−1,6−ジイル)ビス−(2−メチルアジリジン−1−カルボキサミド)):
2−メチルアジリジン(15.05グラム、0.26モル)を1時間かけて滴下することにより1,6−ジイソシアナトヘキサン(20.00グラム、0.12モル、Aldrich)のトルエン(40mL)溶液に、氷浴で冷却しながら、添加した。室温にて合計24時間にわたって撹拌した後、溶媒の一部を真空下で除去したところ、無色油(45.76グラム、トルエン中70重量%の濃度)として、N,N’−(ヘキサン−1,6−ジイル)ビス−(2−メチルアジリジン−1−カルボキサミド)を得た。
【0199】
【化20】
【0200】
準備例P18(3−アジリジン−1−イル−プロピオン酸2−(3−アジリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−ヘキシルエステル)):
Cytek,Inc.(Woodland Park,NJ)から入手したHDODA(ヘキサンジオールジアクリレート、20.00グラム、0.09モル)と2−メチルアジリジン(15.07グラム、0.26モル)を室温にて一晩撹拌した。この混合物を真空下に置き、1.5時間にわたって撹拌したところ、無色油(29.82グラム)として(3−アジリジン−1−イル−プロピオン酸2−(3−アジリジン−1−イル−プロピオニルオキシ)−ヘキシルエステル)を得た。
【0201】
【化21】
【0202】
準備例19(1,10−デカンジオールビス(3−(2−メチルアジリジン−1−カルボニル)安息香酸)エステル):
イソフタロイルジクロリド(1950グラム、9.60モル)を、電磁撹拌機、温度及び起泡機を取り付けた3L三口丸底フラスコに添加した。このフラスコを55℃にて加熱した。次に、1,10−デカンジオール(112グラム、0.64モル)をフラスコに少しずつ添加した。この反応混合物を55℃にて1時間にわたって撹拌した後、過剰なイソフタロイルジクロリドを真空蒸留(200mTorr(26.7Pa)、100℃)により回収し、再利用した。イソフタロイルジクロリド残留物を完全に回収できるように、蒸留しながら乾燥窒素流を混合物を通して起泡させた。生成物は、白色固体(311グラム)であり、1,10−デカンジオールビス(3−クロロカルボニル安息香酸)エステルであった。
【0203】
NaOH水溶液(10.0重量%溶液563グラム)、トルエン(500mL)及び2−メチルアジリジン(純度90%の2−メチルアジリジン89.3グラム、1.41モル)を、電磁撹拌機、温度計及び添加漏斗を取り付けた3L三口丸底フラスコに添加した。この混合物を撹拌し、−10℃〜−5℃の範囲で冷却した。この撹拌済み混合物に、1,10−デカンジオールビス(3−クロロカルボニル安息香酸)エステル(311グラム)のトルエン(500mL)溶液を30分間かけて添加した。添加が完了してから、混合物を室温にて一晩撹拌した。有機相を次に水で洗浄し、硫酸マグネシウム(MgSO
4)上で乾燥させ、濾過し、室温にて真空下で濃縮した。この生成物は、淡黄色油としての331.5グラムの1,10−デカンジオールビス(3−(2−メチルアジリジン−1−カルボニル)安息香酸)エステルであった。
【0204】
【化22】
次に、この物質のトルエン溶液(15重量%)を調製した。
【0205】
準備例P20(ポリ(エチレングリコール)1000ビス(3−(2−メチルアジリジン−1−カルボニル)安息香酸)エステル):
イソフタロイルジクロリド(812グラム、4.0モル)を、電磁撹拌機、温度計及びアダプターを取り付けた1L三口丸底フラスコに添加した。このフラスコを100℃にて加熱した。このフラスコに、ポリ(エチレングリコール)1000(158グラム、0.16モル、重量平均分子量約1000グラム/モル)を25回に分けて添加した。この反応混合物を100℃にて1時間にわたって撹拌した後、過剰なイソフタロイルジクロリドを真空蒸留(200mTorr(26.7Pa)、100℃)により回収し、再利用した。イソフタロイルジクロリド残留物を完全に回収できるように、蒸留しながら乾燥窒素流を混合物を通して起泡させた。淡黄色液体(210グラム)であるポリ(エチレングリコール)1000ビス(3−クロロカルボニル安息香酸)を生成物として得た。
【0206】
トリエチルアミン(35.1グラム、0.35モル)、2−メチルアジリジン(純度90%の2−メチルアジリジン22.0グラム、0.35モル)及びCH
2Cl
2(250mL)を、電磁撹拌機、温度計及び添加漏斗を取り付けた1L三口丸底フラスコに添加した。この混合物を撹拌し、−10℃に冷却した。ポリ(エチレングリコール)1000ビス(3−クロロカルボニル安息香酸)エステル(210グラム)のCH
2Cl
2(250mL)溶液を60分間かけて添加した。この混合物を室温にて110時間にわたって撹拌しておき、その後、白色の析出物を濾過により回収した。濾液を高真空下で室温にて濃縮したところ、淡黄色液体として203グラムの(ポリ(エチレングリコール)1000ビス(3−(2−メチルアジリジン−1−カルボニル)安息香酸)エステルを得た。
【0207】
【化23】
次に、この物質のトルエン溶液(40重量%)を調製した。
【0208】
準備例P21(酸含有ポリスチレン):
酸末端(酸含有)ポリスチレンポリマーP21を調製した。処理済みスチレンモノマー(300グラム)を、8グラムのABCVA反応開始剤、2.5グラムのTEMPO及び80グラムのキシレンと共に、1000mLフラスコに添加した。凝縮器及び機械的撹拌ブレードを取り付けたこのフラスコを温度制御油浴に定置した。フラスコの内容物をよく混合し、窒素で20分にわたってパージした。油浴を次に140℃に上げ、その温度で12時間にわたって保持した。反応中、最初の赤色のモノマー配合物は、淡黄色のような色に変化した。このフラスコを冷却し、200グラムのトルエンを添加して、粘稠なポリマー溶液P21を溶解させた。GPC分析に基づいて、最終生成物P21は、重量平均分子量(Mw)が17,350グラム/モルであり、多分散指数は1.29であった。H−NMR分析に基づいて、スチレンモノマーからポリマーへの転化は、約78%であった。酸含有ポリスチレンP21をメタノール中に析出させ、乾燥させ、THF中に50%固形分にて再溶解させた。
【0209】
準備例P22〜P25(様々なアジリジニル含有ポリスチレン):
酸含有ポリマー溶液P21を次に別個の広口びん内で、下記の表7に従って様々なビスアジリジン溶液P17〜P20と混合して、様々なアジリジニル含有ポリマー物質を調製した。各準備例22〜25について、アジリジン官能基の量は、ポリマーからの酸官能基の少なくとも6倍モル過剰であった(すなわち、アジリジニル基のモル数は、酸性基のモル数の少なくとも6倍超であった)。サンプルを一晩混合しておき、その後、低温メタノール中に析出させ、固体を濾過し、真空下で一晩乾燥させた。
【0210】
酸含有ポリマーのすべてがただ一つのビスアジリジン分子に結合し、過剰なビスアジリジンはメタノール中に析出しないと仮定して、反応すると予測される官能化工程において使用された固体の量(グラム)で、回収された乾燥した生成物の量を除算して、収率%を計算した。
【0211】
【表7】
【0212】
準備例P26〜P33(様々なエラストマー物質):
様々な、酸性ペンダント基を有するエラストマーポリマー物質を、イソオクチルアクリレート(IOA)及びアクリル酸(AA)から調製した。Mw及びアクリル酸含有量を体系的に変動させた。サンプルのMwは、表8に示されているようにIOTG連鎖移動剤の濃度を変えることにより、変動させた。P26〜P33について表8に示している相対量を使用して、イソオクチルアクリレート、アクリル酸、イソオクチルチオグリコレート(IOTG)及び2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(Ciba Specialty Chemicals(Tarrytown,NY)から商品名IRGACURE 651で市販)をアンバーボトル内でよく混合した。各配合物の一部(26グラム)を注入し、気泡を残さないように透明なポリ酢酸ビニルパウチ内に熱封止した。このパウチは、熱封止ポリ(エチレン酢酸ビニル)フィルムにより調製され、各パウチ重量は約1.4グラムであった。ポリ(エチレン酢酸ビニル)は、Flint Hills Resources(Witchita,Kansas)から商品名VA−24で入手し、0.065mmの厚さを有するフィルムに流延成形した。各パウチを17℃の一定温度水浴に浸漬し、各面上に8分にわたって紫外線(365nm、4mW/cm
2)を照射して、モノマー組成物を重合させた。生成物は、エラストマー物質であった。このポリマー物質をテトラヒドロフラン中に溶解させ、ゲル透過クロマトグラフィーを用いて分析した。
【0213】
【表8】
【0214】
実施例及び比較実施例の調製
エラストマー物質P26〜P33のパウチを、グラフトポリマーを添加せずにブレンド(比較実施例C1〜C5)し、酸含有ポリマーであるグラフトポリマーとブレンド(比較例C6〜C9)し、あるいは、アジリジニル含有ポリマーであるグラフトポリマーとブレンド(実施例1〜26)した。このブレンドは、C.W.Brabender(Hackensack,NJ)から商品名BRABENDER(Half Size Mixer)で市販されている高温配合機を用いて行った。エラストマー物質のパウチを150℃にしながら、100回転毎分(rpm)にて5分にわたって混合した。パウチのエラストマー物質を高温配合機に添加するときに、任意選択で粘着付与剤を様々な量で添加した。いったんパウチ及びエラストマー物質が均一に溶融して見えたところで、グラフト化させる任意のコポリマーを添加した。グラフト化させるコポリマーをゆっくり添加し、150℃にしながら100rpmで10分にわたって混合させた。混合チャンバーを次に100℃に冷却し、混合パドルの回転を逆にして、得られた物質を排出させ、回収した。
【0215】
いったん冷却してから、1グラムの配合済み物質を、下塗PETライナー(Mitsubishi(Greer,SC)から入手した製品番号3SAB)とシリコーン処理済み剥離ライナー(Siliconature SPA(Godega di Sant’Urbano,Italy)からのSilphan S36)の間に配置した。この構成体を、加熱したプレス機(Carver,Inc.(Wabash,IN))のプレートの間に配置した。プレート温度は80℃に設定した。この構成体を次に、配合物質が厚さ約0.05ミリメートル(mm)になるまで、圧縮した。冷却後、試験サンプルを次にこの構成体から切り出し、シリコーン剥離層を剪断及び剥離接着試験直前に剥がした。
【0216】
比較例C1〜C5(エラストマー物質単独)
酸含有ポリマー又はアジリジニル含有ポリマーなどのグラフトポリマーを添加せずに上記手順を用いてパウチ内に収容されたエラストマー物質P26〜P33を高温配合機内で個別に混合した。剪断強度及び剥離接着強度を測定することにより、試験サンプルを評価した。結果を表9に示す。
【0217】
【表9】
【0218】
比較実施例C6〜C9(酸含有ポリマーとブレンドされたエラストマー物質):
表10に示す様々な酸含有ポリマーで上記手順を用いて、個々のパウチ内のエラストマー物質P26を高温配合機内で混合した。剪断強度及び剥離接着強度を測定することにより、試験サンプルを評価した。結果を表10に示す。
【0219】
【表10】
表10:比較実施例C6〜C10
【0220】
実施例1〜22(アジリジニル含有ポリマーとブレンドされたエラストマー物質):
表11に示す様々なアジリジニル含有ポリマーで上記手順を用いて、個々のパウチ内のエラストマー物質を高温配合機内で混合した。剪断強度及び剥離接着強度を測定することにより、試験サンプルを評価した。結果を表11に示す。
【0221】
【表11】
【0222】
実施例23〜26(グラフト化コポリマーと粘着付与剤):
表12に示す粘着付与剤とアジリジニル含有ポリマーで上記手順を用いて、個々のパウチ内のエラストマー物質を高温配合機内で混合した。剪断強度を測定することにより、試験サンプルを評価した。実施例24の剥離強度を測定した。結果を表12に示す。
【0223】
【表12】