特許第5881696号(P5881696)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881696
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】円環状の骨トンネル形成デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20160225BHJP
   A61B 17/16 20060101ALI20160225BHJP
   A61B 17/04 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   A61B17/56
   A61B17/16
   A61B17/04
【請求項の数】9
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2013-519213(P2013-519213)
(86)(22)【出願日】2011年7月11日
(65)【公表番号】特表2013-534451(P2013-534451A)
(43)【公表日】2013年9月5日
(86)【国際出願番号】IL2011000549
(87)【国際公開番号】WO2012007941
(87)【国際公開日】20120119
【審査請求日】2014年7月9日
(31)【優先権主張番号】61/363,247
(32)【優先日】2010年7月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513005165
【氏名又は名称】ミニンヴェイシヴ リミティッド
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100125070
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100121212
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 弥栄子
(74)【代理人】
【識別番号】100122688
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100117743
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 美由紀
(74)【代理人】
【識別番号】100163658
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 順造
(74)【代理人】
【識別番号】100174296
【弁理士】
【氏名又は名称】當麻 博文
(72)【発明者】
【氏名】ショレヴ、モルデハイ
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィ、ギラド
【審査官】 沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−501132(JP,A)
【文献】 特表2008−510526(JP,A)
【文献】 特表平08−509918(JP,A)
【文献】 特開平08−033635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/56
A61B 17/04
A61B 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節鏡視下手術において使用するための円環状の骨トンネル形成デバイスであって、
当該デバイスは、
中空の細長いボディを有し、該ボディは、中空の細長いボディのヘッドを有し、前記中空の細長いボディのヘッドは、剛性を有する円弧の形状を定めており、該円弧は円環状の経路を定めており、前記中空の細長いボディのヘッドは、外科用ニードルを内部に含んでおり、該外科用ニードルは、前記円環状の経路に沿って骨を貫通するトンネルを形成するように構成され、かつ、
当該デバイスは、
伸び出し可能および引き込み可能な支持要素を有し、該支持要素は、少なくとも1つの伸び出した形態と、少なくとも1つの引き込んだ形態との間で移動可能であり、
前記支持要素が、前記の少なくとも1つの伸び出した形態になっている場合には、前記支持要素は、前記剛性を有する円弧によって定められた前記経路に沿って位置するように構成された部分を有しており、
前記支持要素、前記中空の細長いボディのヘッドとが、前記骨を把持するように構成されている、
前記デバイス。
【請求項2】
前記外科用ニードルが、剛性を有する外科用ニードルである、請求項1に記載の円環状の骨トンネル形成デバイス。
【請求項3】
さらに、剛性を有する円環状の中空チューブ(34)を有し、該中空チューブは、前記ニードルに対して可逆的に連結されるように、および少なくとも1つのガイドワイヤ(130)を担持するように構成されており、前記剛性を有する円環状の中空チューブは、前記中空の細長いボディ内に少なくとも部分的に、移動可能に配置されており、それにより前記剛性を有する円環状の中空チューブは、前記中空の細長いボディのヘッド内のオリフィスを通って動くことができるようになっている、請求項1または2に記載の円環状の骨トンネル形成デバイス。
【請求項4】
さらに、支持要素駆動機構を有し、該支持要素駆動機構は、前記支持要素を動かすように構成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の円環状の骨トンネル形成デバイス。
【請求項5】
前記伸び出し可能および引き込み可能な支持要素が、伸び出しの際に、予め定められた位置に到達するように構成されており、該予め定められた位置において前記円環状の経路と交わる、請求項1に記載の円環状の骨トンネル形成デバイス。
【請求項6】
さらに、ハンドルを有し、該ハンドルは、前記外科用ニードルを駆動して、前記円環状の通路に沿って前記骨を貫通するトンネルを形成させるように構成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の円環状の骨トンネル形成デバイス。
【請求項7】
さらに、少なくとも1つの支持要素制御部を有し、該支持要素制御部は、前記支持要素駆動機構の運動を制御するように構成されている、請求項に記載の円環状の骨トンネル形成デバイス。
【請求項8】
当該デバイスが、さらに、チューブ駆動機構を有し、該チューブ駆動機構は、前記剛性を有する円環状の中空チューブの動きを制御するように構成されており、かつ、
当該デバイスが、さらに、少なくとも1つのチューブ制御部を有し、該チューブ制御部は、前記チューブ駆動機構の運動を制御するように構成されている、請求項1〜のいずれか1項に記載の円環状の骨トンネル形成デバイス。
【請求項9】
さらに、前記弧に沿った外科用ニードルの移動の程度を表示するための表示器が組み込まれている、請求項1〜のいずれか1項に記載の円環状の骨トンネル形成デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連する出版物に対する参照
本願は、2010年7月11日に出願された米国仮出願第61/363,247号の優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、概しては、関節鏡視下(arthroscopic)手術において使用するための、骨トンネル形成(bone tunneling)デバイスおよび調節可能な縫合糸パサー(suture passer:縫合糸を貫通させる器具)に関する。詳細には、本発明は、縫合糸を直接的に骨に通すことができる縫合糸パサーに関するものであり、骨に埋め込まれた別個独立したアンカーを必要としない、および/または、事前に骨を貫通するトンネルを形成すること(例えば、ドリル加工または何らかの他の行為およびそれに引き続く骨の破片の除去)や次いで縫合糸をそのトンネルに通すことを必要としないものである。本発明は、骨をドリル加工することなく、骨の周囲を把持しながら縫合糸をその骨に通すことができるように構成された、調節可能な縫合糸パサーを提供する。更には、本発明は、破砕を生じないまたは骨を著しく弱めない、調節可能な縫合糸パサーを提供する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
例えば、断裂した腱板の修復等の関節鏡視下での処置における、骨に対する靱帯の再連結は、通常2つのステップを伴う。先ず、アンカーを骨に挿入する。次に、縫合糸を靱帯組織、その次にアンカーに通し、それにより靱帯を骨に結び付けることにより、靱帯を骨に連結させる。
【0004】
この方法にはいくつかの欠点がある。先ず、靱帯を骨に連結するために、2つの別々の行為を行わなければならない。即ち、骨へのアンカーの挿入、および靱帯の縫合である。少なくとも2つの別個のセットのツールの関与を必要とすることは、単一のツールを使用しながら外科処置を行うのと比べて、本質的に該処置を複雑にさせる。
【0005】
加えて、アンカーを配置するには骨へのドリル加工(drilling)を必要とすることがある。ドリル加工は、除去しなければならない破片を生成し、また骨へのストレスを増大させることがある。上述の処置は、必要なツールの配置および作動を可能とするために、大きなアクセスポートおよび/または切開手術をしばしば必要とする。
【0006】
アンカーを必要としない方法は、一般に、骨に複数の穴(bore)を生成することを必要とする。米国特許第6523417号には、軟組織を骨に縫合するための方法が開示されており、該方法では、骨に孔穴(hole)をドリル加工し、そこに切り込み(slit cut)を入れる。PCT特許出願WO09/107121には、軟組織を骨に縫合する方法が開示されており、該方法では、ある角度(好ましくは70゜)にて2つの穴が骨に作られる。PCT特許出願WO10/056785、WO10/056786およびWO10/056787には、縫合糸アンカリングシステムが開示されており、該方法では、直交する2つの穴が骨に作られる。これらの方法の主な欠点は、ある角度での複数の穴の存在が骨を著しく弱め、後に骨を損傷し、破砕し、そして最終的に弱体化させる可能性を増大させることである。該刊行物における主な欠点は、これらの方法が、処置において使用されるツールのアクセスおよび作動を可能とするために、侵襲性の高い手術を必要とすることである。
【0007】
米国特許第6328744号には骨縫合(bone suturing)デバイスが開示されており、該デバイスでは、ヒンジ連結されたハンドルによるニードルにかかる力に起因して、ニードルは直角ではない角度でかつ湾曲した経路で骨に入る。その発明の好ましい実施形態では、第2のニードルも使用され、2つの側から穴が生成される。第2のニードルの目的は、骨を遠くへ押すというよりもむしろ骨に入るために第1のニードルにより使用される圧力を増加させることであるが、第2のニードルにより実際に為される安定化の量は限られる。それは、2つのニードルが同じ側から骨に入るからである。このように、骨に対する安定化を可能とするデバイスを提供することは、長年の要求である。
【0008】
このように、縫合糸を骨に通すことにより靱帯と骨とを直接的に連結することができ、別個のアンカー、または、骨を通る2つの直交する孔穴をドリルで開けることによる骨の弱体化を何ら必要とせず、かつ、ニードルが入る側とは別の側から骨を支持するデバイスに対して、長年の要求がある。
【0009】
更には、前記連結を提供するために縫合糸をしっかりと通すことができるデバイスに対して、長年のさらなる要求がある。
【0010】
更には、侵襲性が最小の小さい切開を通じて骨表面に適用できるツールを提供し、次いで第2のより大きなプロファイルへと変換でき、アクセス切開位置を拡大することなく骨内の弧状の経路に沿って骨表面に固定することを可能とする、ツールを提供することに対して、長年のさらなる要求がある。
【発明の概要】
【0011】
発明の要旨
本発明において開示される関節鏡視下での骨トンネル形成デバイスは、骨トンネル形成、縫合糸を該トンネルに通すこと、および、筋肉または靱帯を骨に固定することを可能とするように設計されている。当該デバイスは、ニードルが骨を貫通できる十分な力でニードルを突き出す(ejecting)ための手段を有する。これは、骨を貫通するために必要な力を加えることを可能とするのに十分な安定性で、骨にニードルアプリケータを固定することにより可能となる。ニードルがガイドワイヤに連結された場合、該ガイドワイヤを使用して軟組織および骨を通して縫合糸を運ぶことができ、従って別個のアンカーを何ら必要とせずに軟組織を骨に連結することが可能となる。
【0012】
全体的には、本発明に開示される関節鏡視下での骨トンネル形成デバイスは、実質的に円環状である骨構造体に(即ち、骨の周囲に対して)固定される。次いで、ニードルの貫通が骨に対しておおよそ直角で行われる。その後、その周囲に沿った2つの地点を接続する弧状のトンネルが形成される。
【0013】
本発明は、関節鏡視下での骨トンネル形成デバイスを提供し、当該デバイスは、骨の周囲上の2つの地点(point)によって定められる弧を通過するトンネル形成を行う。該トンネルは、ドリル加工を必要とせずに、剛性を有するニードルデバイスの貫通により形成される。
【0014】
一つの実施形態によれば、当該関節鏡視下での骨トンネル形成デバイスは、縫合糸に接続されており、該縫合糸は、形成されるトンネルを同時に貫通する。次いで、該縫合糸は、組織、筋肉または靱帯を骨に固定するために用いることができる。
【0015】
当該関節鏡視下での骨トンネル形成デバイスは、とりわけ、剛性を有するニードルを有し、該ニードルは、骨の周囲に沿った第1の地点において骨を貫通し、かつ、前記関節鏡視下での骨トンネル形成デバイスは、伸び出し可能および引き込み可能な支持要素(後述する)を有し、該支持要素は、弧(即ち、ニードル)が骨を出る場所の近くの、骨の周囲に沿った第2の地点に反力(counter force)を与える。そのような伸び出し可能および引き込み可能な支持要素により、ドリル加工なしでのトンネル形成が可能となる。
【0016】
完全なループの形態となって骨中に形成された弧(arc)を通して縫合糸が固定されるため、アンカーが不要である。
【0017】
伸び出し可能および引き込み可能な支持要素(これは反力を提供する)は、トンネル形成が行われている間、当該骨トンネル形成デバイスを骨上に固定する。
【0018】
伸び出し可能および引き込み可能な支持要素は、少なくとも1つの伸び出した形態から少なくとも1つの引き込んだ形態へと形態を変えることが可能である。
【0019】
ユニット全体は、切開に入るとき(伸び出し可能および引き込み可能な支持要素が引き込んだ形態となっているとき)には低い形状を有し、固定デバイスが配備されたとき(即ち、伸び出し可能および引き込み可能な支持要素が伸び出した形態となっているとき)にはわずかに大きな形状を有する。
【0020】
従って、前記ユニットは、腱板(rotary cuff)の修復のための侵襲性が真に最小な初めてのツールであり、その流線形の非ドリル加工構造を配備するために大きな皮下の空間を必要としない。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「突き出し(ejecting)」とは、ドリル加工または骨材料(例、破片)の除去無しでの、ある要素の、骨を通過する貫通またはトンネル形成の行為をいう。
【0022】
従って、本発明の一つの目的は、関節鏡視下手術において使用するための円環状の骨トンネル形成デバイス(および調節可能な縫合糸パサー)を開示することであって、当該デバイスは、(a)中空の細長いボディを有し、前記中空の細長いボディは、中空の細長いボディのヘッドを有し、該ヘッドは、剛性を有する円弧体を画定し、前記中空の細長いボディは、外科用ニードルを有し、前記外科用ニードルは、前記剛性を有する円弧体によって形成された経路に沿って骨を貫通するトンネルを形成するように構成されており、かつ、当該デバイスは、(b)伸び出し可能および引き込み可能な支持要素を有し、前記支持要素は、少なくとも1つの伸び出した形態から少なくとも1つの引き込んだ形態へと形態を変えることが可能である。
【0023】
前記支持要素は、前記伸び出した形態において、前記剛性を有する円弧体により形成された前記経路に沿って位置するように構成されていることが強調される。
【0024】
前記伸び出した形態における前記支持要素、および前記中空の細長いヘッドボディは、前記骨の周囲に沿った少なくとも2つの地点から前記骨を把持するように構成されていることが更に強調される。
【0025】
本発明の他の目的は、上で定義した、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記外科用ニードルは、剛性を有する外科用ニードルである。
【0026】
本発明の他の目的は、上で定義した、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記外科用ニードルが、剛性を有し、かつ直線状または実質的に円弧の形状のいずれかである。
【0027】
本発明の他の目的は、上で定義した、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記剛性を有する円環状の中空チューブが十分に剛性を有するので、それが前記円弧に沿って前記骨を貫通するときにその円形状が維持される。
【0028】
本発明の他の目的は、上で定義した、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記中空の細長いボディが、上面および下面を有すること、およびシャフト(50)を更に有することを特徴とし、更に、前記中空の細長いボディのヘッドが、前記シャフトの遠位端に位置し、かつ前記中空の細長いボディのヘッドの前記下面を形成する前記弧の凹面と共に前記剛性を有する円弧体を画定し、かつ、前記外科用ニードルの通過を可能とするのに十分な直径のオリフィスをその遠位端に有する。
【0029】
本発明の他の目的は、上で定義した、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記伸び出し可能および引き込み可能な支持要素(54)が前記シャフトの遠位端に連結されており、かつ、前記伸び出し可能および引き込み可能な支持要素(54)が、前記支持要素が伸び出されているときに、前記湾曲した中空の細長いボディのヘッドの下面の反対にあり、かつ前記剛性を有する円弧体により形成された経路に沿ってその遠位端が位置するように配置されている。
【0030】
本発明の他の目的は、上で定義した、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、追加的に、剛性を有する円環状の中空チューブ(34)(以下、円環状の剛性中空チューブまたは中空チューブという)を有し、該剛性を有する円環状の中空チューブ(34)は、前記ニードルに対して可逆的(reversibly)に連結されるように、および少なくとも1つのガイドワイヤ(130)を担持するように構成されており、前記剛性を有する円環状の中空チューブは、前記中空のボディ内に少なくとも部分的に、移動可能に配置されており、それにより前記剛性を有する円環状の中空チューブは、前記ボディの近位−遠位方向に沿って、および前記中空の細長いボディのヘッドのオリフィスを通って動くことができる。
【0031】
本発明の他の目的は、上で定義した、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記剛性を有する円環状の中空チューブが十分に剛性を有するので、それが前記円弧に沿って前記骨を貫通するときにその円形状が維持される。
【0032】
本発明の他の目的は、上で定義した、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、支持要素駆動機構を追加的に有し、該支持要素駆動機構が、支持要素制御部(support element control)が作動した際に、前記支持要素の動きを駆動するように構成されている。
【0033】
本発明の他の目的は、関節鏡視下手術において使用するための湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、それらは、(a)中空の細長いボディを有し、該中空の細長いボディは、上面および下面を有し、中空の細長いボディのヘッド(90)およびシャフト(50)を有し、前記中空の細長いボディのヘッドは、前記シャフトの遠位端に位置し、前記中空の細長いボディのヘッドの前記下面を形成する前記弧の凹面と共に実質的に円弧状の円弧体を備え、かつ外科用ニードルの通過を可能とするために十分な直径のオリフィスをその遠位端に有し、かつ、前記シャフトは実質的に直線状であり、(b)伸び出し可能および引き込み可能な支持要素(54)を有し、該支持要素(54)は前記シャフトの遠位端に連結されており、かつ、該支持要素(54)は、前記支持要素が伸び出されているときに、前記湾曲した中空の細長いボディのヘッドの下面の反対にあるように配置されており、かつ、該支持要素(54)は、その遠位端が前記縫合糸ニードルにより形成された弧の経路に沿って位置するように伸び出すように設計されており、(c)円環状の剛性中空チューブ(34)を有し、該円環状の剛性中空チューブ(34)は、ニードルに連結されるように、およびガイドワイヤ(130)を担持するように構成されており、前記剛性を有する円環状の中空チューブは少なくとも部分的に前記中空のボディ内に移動可能に配置されており、それにより、前記剛性を有する円環状の中空チューブは前記ボディの近位−遠位方向に沿って、および前記オリフィスを通って動くことができ、(d)駆動機構用ハウジング(10)を有し、該駆動機構用ハウジング(10)は、前記ボディの近位側に連結されており、(e)ハンドル(12)を有し、該ハンドル(12)は、前記駆動機構用ハウジングおよび前記シャフトの下面のうちの少なくとも1つに連結されており、(f)支持要素駆動機構を有し、該支持要素駆動機構は、少なくとも部分的に前記駆動機構用ハウジング内に配置されており、かつ前記支持要素制御部および前記支持要素に接続され、それにより、前記支持要素制御部が作動した際に、前記支持要素駆動機構は前記支持要素を動かし、(g)前記支持要素駆動機構とは独立した中空チューブ駆動機構を有し、該中空チューブ駆動機構は、前記中空チューブの動きを制御するように構成されており、前記中空チューブ駆動機構は少なくとも部分的に前記駆動機構用ハウジング内に配置されており、(h)少なくとも1つの支持要素制御部を有し、該支持要素制御部は、前記支持要素駆動機構の運動を制御するように構成されており、かつ、(i)少なくとも1つの中空チューブ制御部を有し、該中空チューブ制御部は、前記中空チューブ駆動機構の運動を制御するように構成されている。前記中空チューブ駆動機構が作動した際に、前記中空チューブが概して湾曲した経路に沿って遠位方向に移動することは本発明の本質の中に含まれる。
【0034】
前記中空チューブ駆動機構および前記支持要素駆動機構が独立して動作することは本発明の本質の中に含まれる。
【0035】
更には、伸び出されたときの前記支持要素、および前記中空の細長いボディのヘッドが、骨の周囲に沿った少なくとも2つの地点から骨を把持するように構成されていることは、本発明の本質の中に含まれる。
【0036】
更には、前記中空チューブ駆動機構が作動した際に、前記中空チューブが概して湾曲した経路に沿って遠位方向に移動し、それにより前記骨を貫通すること、更に、前記支持要素が作動した際に、それが伸び出され、前記湾曲した中空の細長いボディのヘッドの下面から前記ニードルに対する支持を提供し、それにより前記骨が、前記伸び出し可能および引き込み可能な支持要素ならびに前記中空の細長いボディのヘッドにより把持されることは、本発明の本質の中に含まれる。
【0037】
本発明の更なる目的は、そのような湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記伸び出し可能および引き込み可能な支持要素は、伸び出しの際に、前記中空チューブの遠位端に対して予め定められた位置に到達するように構成されており、それにより前記中空チューブの前記遠位端と前記支持要素の上面との距離が、縫合糸が通過されるべき骨にわたってスリップフィット(滑り込んではまり合うこと)を提供する。
【0038】
換言すれば、前記伸び出し可能および引き込み可能な支持は、伸び出しの際に、縫合糸ニードルおよび中空チューブにより形成された弧の経路に沿ってその遠位端が位置するように伸び出されるように構成される。
【0039】
本発明の更なる目的は、そのような湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記引き込み可能な支持要素は、ニードル抜出し器を更に有する。
【0040】
本発明の更なる目的は、そのような湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記駆動機構用ハウジングと前記シャフトとの間に配置されたベアリングハウジングを更に有する。
【0041】
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記ハンドルは、遠位に位置する移動可能なセグメント、および近位に位置する動かないセグメントを有し、前記移動可能なセグメントが前記支持要素駆動機構と物理的に接続されている。
【0042】
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記中空の細長いボディのヘッド(90)は、前記中空チューブ(34)と機構的に連絡している剛性支持要素(70)を更に有し、該剛性支持要素(70)がその経路に沿って前記中空チューブを維持するように構成されている。
【0043】
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記中空の細長いボディのヘッド(90)が、剛性支持要素(70)を更に有し、該剛性支持要素(70)は、近位−遠位方向におけるその運動を妨げることなく前記中空の細長いボディのヘッド内の前記中空チューブ(34)と接触し、それにより前記中空チューブの運動をガイドし、かつそれが折り重なる能力、クリンプする能力、または、前記支持要素に対して前記中空の細長いボディのヘッドの遠位端からの経路から外れる経路に沿って移動する能力を制限する。
【0044】
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記中空チューブの前記弧に沿った移動の程度を表示するための表示手段を更に組み込んでいる。
【0045】
本発明の更なる目的は、そのような湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記表示手段は、前記シャフトの1つの側に配置された窓部、および前記シャフト内に位置するインジケータを有し、該インジケータが、前記中空チューブ駆動機構に物理的に接続されており、それにより、前記インジケータの移動距離が、前記中空チューブの遠位端の移動距離に比例し、かつ、前記インジケータが、前記インジケータの移動の少なくとも一部分が前記窓部を通じて可視的であるように配置されている。
【0046】
本発明の更なる目的は、上で定義した、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記窓部が配置される前記シャフトの側においてマークを更に有し、前記マークが、前記インジケータが前記マークに到達したときに前記中空チューブの遠位端が完全に伸び出されるように配置されている。
【0047】
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記支持要素制御部は、(a)ねじ山形成されたロッド(24)を有し、(b)回転可能なハンドル(14)を有し、該回転可能なハンドル(14)は、前記ねじ山形成されたロッドが通過するねじ山形成されたオリフィスを有し、(c)迅速解放ピン(16)を有し、該迅速解放ピン(16)は、係合した形態と、および脱係合した形態とを有し、前記係合した形態となっているときには前記ねじ山形成されたロッド(24)の動きを可能とし、かつ前記脱係合した形態となっているときには前記ねじ山形成されたロッド(24)の動きを防止するように構成されており、かつ(d)スライダを有し、該スライダは、(i)前記ねじ山形成されたロッドの外径より大きい内径の円筒状オリフィス(26)を有し、前記円筒状オリフィスは、前記回転可能なハンドルに対して遠位において前記円筒状ロッドの周りに配置されており、(ii)前記支持要素駆動機構に物理的に接続されたタブ(22)を有し、タブ(22)は、前記ボディの近位−遠位軸に沿ってスライドするように構成されており、かつ部分的に前記ボディの中に、および部分的に前記ボディなしで配置されており、かつ、(iii)前記タブを前記円筒状オリフィスに物理的に接続する剛性接続手段を有する。
【0048】
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記中空チューブ制御部は、回転可能なハンドル(18)を有し、該回転可能なハンドル(18)が、前記中空チューブ駆動機構に物理的に接続されており、それにより、前記中空チューブの遠位端の移動距離が前記回転可能なハンドルの回転角度に比例する。
【0049】
本発明の更なる目的は、そのような湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記回転可能なハンドルが、中空のシャフトを有し、該中空のシャフトは、内側にねじ山が形成されており、かつ前記中空チューブ駆動機構の近位端に物理的に連結されているねじ山形成されたロッドに係合する。
【0050】
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記中空チューブ制御部が、中空チューブ駆動機構リリースタブ(20)を更に有し、該中空チューブ駆動機構リリースタブ(20)は、前記中空チューブ駆動機構に物理的に接続されており、それにより、前記駆動機構リリースの作動が前記中空チューブをその最も遠い位置まで遠位に駆動する。
【0051】
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記中空チューブ駆動機構が、前記中空チューブに対して十分な力を付与し、それにより、前記中空チューブの遠位端に連結されたニードルが骨を貫通するために十分な力を与えられる。
【0052】
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記十分な力は、約500〜約600ニュートンの範囲内にある。
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記中空チューブ駆動機構は、(a)少なくとも1つのトラックを有し、該少なくとも1つのトラックは、前記ボディの遠位−近位軸に沿って前記中空の細長いボディ内に配置されており、(b)接続ワイヤ(132)を有し、接続ワイヤ(132)は、前記中空の細長いボディ内にループを形成し、前記ループの近位端は前記中空チューブ制御機構に物理的に接続されており、(c)遠位スライド可能部材(4)を有し、該遠位スライド可能部材(4)は、前記トラック内に配置されており、かつ前記ガイドワイヤ(130)および前記接続ワイヤにより形成された前記ループの1つの脚部が前記中空の細長いボディを妨げられずに貫通することを可能としながら前記トラックに沿ってスライドするように構成されており、前記遠位スライド可能部材が、(i)実質的に平坦な遠位端および(ii)チャンネルを有し、該チャンネルは前記遠位スライド可能部材を貫通し、前記接続ワイヤにより形成された前記ループの第2の脚部が前記遠位スライド可能部材を貫通し、(d)複数の追加的なスライド可能部材(2)を有し、該複数の追加的なスライド可能部材(2)は、前記トラック内に配置されており、かつ前記ガイドワイヤ(130)および前記接続ワイヤにより形成された前記ループの一つの脚部が前記中空の細長いボディを妨げられずに貫通することを可能としながら前記トラックに沿ってスライドするように構成されており、前記追加的なスライド可能部材の各々は、チャンネルを有し、該チャンネルは前記遠位スライド可能部材を貫通し、前記接続ワイヤにより形成された前記ループの第2の脚部が前記遠位スライド可能部材を貫通し、かつ、(e)中空チューブアクチュエータ(6)を有し、該中空チューブアクチュエータ(6)は、最も近位に位置するスライド可能部材の近位において前記ボディ内に配置されており、かつ前記中空チューブ制御部に係合するように配置されている。
【0053】
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記スライド可能部材(ビーズ)(2,4)は、その周囲の回りに刻み目(204)を有するシリンダーの形状を有し、前記チャンネル(206)が、前記シリンダーの長手軸に実質的に垂直に、刻み目内において前記シリンダーを貫通するものを開示することである。
【0054】
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記中空の細長いボディは、その長さの少なくとも一部分に沿って少なくとも1つのボディスロット(330)を更に有し、前記中空の細長いボディのヘッドが、その長さの少なくとも一部分に沿って少なくとも1つの中空の細長いボディのヘッドスロット(390)を更に有し、かつ、前記中空チューブ駆動機構が、(a)前記中空チューブ制御部に物理的に接続された中空チューブアクチュエータ(310)を有し、前記中空チューブアクチュエータは、前記細長い中空のボディ内に配置されており、かつ前記中空のボディの近位−遠位軸に沿ってスライドするように構成されており、かつ、(b)ヨーク(300)を有し、該ヨーク(300)は、前記中空の細長いボディの外側に配置されており、前記ヨークは、実質的にその近位端において、前記ボディスロット(330)を貫通する接続を介して前記中空チューブアクチュエータにピボット可能に接続されており、かつ、実質的にその遠位端において、前記中空の細長いボディのヘッドスロット(390)を貫通する接続を介して前記中空チューブにピボット可能に接続されている。
【0055】
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記支持要素駆動機構は、アクチュエータ(58)を有し、該アクチュエータ(58)は、前記中空の細長いボディの下面に沿って配置されており、かつ、前記中空の細長いボディの遠位−近位軸に沿ってスライドするように、および前記支持要素制御部の遠位端および前記支持要素の近位端に係合するように構成されている。
【0056】
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記支持要素駆動機構が、(a)アクチュエータ(58)を有し、該アクチュエータ(58)は、前記中空の細長いボディの下面に沿って配置されており、かつ、前記中空の細長いボディの遠位−近位軸に沿ってスライドするように、および前記支持要素制御部の遠位端および前記支持要素の近位端に係合するように構成されており、かつ、(b)ヨーク(340)を有し、該ヨーク(340)は、その近位端において、前記アクチュエータ(58)にピボット可能に接続されており、かつ前記支持要素にピボット可能に接続されている。
【0057】
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記中空チューブ制御部および前記支持要素制御部のうちの少なくとも1つが、モータによって機械的に作動される。
【0058】
本発明の更なる目的は、上記のいずれかにおいて定義される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または調節可能な縫合糸パサーを開示することであって、前記湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または前記調節可能な縫合糸パサーが腱ホルダを有する。
【0059】
本発明の更なる目的は、そのような湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または縫合糸パサーを開示することであって、前記腱ホルダは、把持部材(800)を有し、該把持部材(800)は、前記ボディと前記中空の細長いボディのヘッドとの間で前記細長いボディの遠位−近位軸に沿ってスライドし得るように前記細長いボディの上側に配置されており、かつその移動の少なくとも一部分についてその遠位端が前記ボディの遠位端を越えて伸長し、前記腱ホルダがスライダ(810)を有し、該スライダ(810)が前記中空の細長いボディにスライド可能に接続されており、その遠位端は、前記把持部材の近位端に連結されており、かつ、マニピュレータ(820)を有し、該マニピュレータ(820)は、前記細長いボディの上側に配置されており、かつ前記スライダの近位側に連結されている。
【0060】
本発明の更なる目的は、上で定義した通りの湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または縫合糸パサーを開示することであって、前記中空チューブが、約1〜約3mmの範囲内の外径、約0.5〜約1.5mmの範囲内の内径(前記ガイドワイヤがそれを貫通する)、約7.5mm〜約15mmの範囲内の曲率半径、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つを有することを特徴とするものを開示することである。
【0061】
本発明の更なる目的は、上で定義した通りの湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または縫合糸パサーを開示することであって、前記ニードルが、円形、三角形、長方形またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される断面領域を有することを特徴とするものを開示することである。
【0062】
本発明の更なる目的は、上で定義した通りの湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または縫合糸パサーを開示することであって、前記剛性を有する円環状の中空チューブが、円形、三角形、長方形またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される断面領域を有することを特徴とするものを開示することである。
【0063】
本発明の更なる目的は、上で定義した通りの湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスおよび/または縫合糸パサーを開示することであって、前記剛性を有する円環状の中空チューブが、硬化耐食鋼から選択される生体適合性の金属から作られているものを開示することである。
【0064】
本発明の更なる目的は、関節鏡視下手術の間に骨を貫通するトンネルを形成するための方法を開示することであり、当該方法は、(a)湾曲した骨トンネル形成デバイスを用意することを有し、該骨トンネル形成デバイスは、(i)中空の細長いボディを有し、該中空の細長いボディは、円弧体を画定する中空の細長いボディのヘッドを有し、前記中空の細長いボディのヘッドは、外科用ニードルを有し、該外科用ニードルは、前記円弧体により形成された経路に沿って骨を貫通するトンネルを形成するように構成されており、かつ、(ii)中空の細長いボディを有し、該中空の細長いボディは、伸び出し可能および引き込み可能な支持要素を有し、該支持要素は、少なくとも1つの伸び出した形態から少なくとも1つの引き込んだ形態へと形態を変えることが可能であり、(b)骨の周囲に隣接させて前記デバイスの前記中空の細長いボディを配置することを有し、(c)前記ニードルを前記骨に固定することを有し、(d)前記引き込み可能な支持要素を前記円弧体により形成された経路に沿ってある位置まで伸び出させ、それにより、前記骨の周囲に沿った2つの地点において前記支持要素および前記中空の細長いボディにより前記骨を把持することを有し、(e)前記ニードルを作動させ、それにより前記円弧体の経路に沿って前記骨を貫通するトンネルを形成することを有し、前記骨を貫通するトンネルを形成する前記ステップは、ドリル加工なしで行われる。
【0065】
本発明の更なる目的は、関節鏡視下手術の間に骨を貫通するトンネルを形成し、かつアンカーを使用せずに組織、筋肉または靱帯を骨に連結するための方法を開示することであり、当該方法は、(a)湾曲した骨トンネル形成デバイスを用意することを有し、該骨トンネル形成デバイスは、(i)上面および下面を有する中空の細長いボディを有し、該細長いボディは、該中空の細長いボディのヘッド(90)およびシャフト(50)を有し、前記中空の細長いボディのヘッドは、前記シャフトの遠位端に位置しており、かつ前記中空の細長いボディのヘッドの前記下面を形成する前記弧の凹面と共に実質的に円環状の弧を画定し、かつ、その遠位端において、外科用ニードルの通過を可能とするのに十分な直径のオリフィスを有し、(ii)伸び出し可能および引き込み可能な支持要素(54)を有し、該支持要素(54)は、前記シャフトの遠位端に連結されており、かつ、前記支持要素が伸び出したときに、それが、前記湾曲した中空の細長いボディのヘッドの下面の反対にあるように配置されており、かつ前記円弧体により形成された経路に沿って位置しており、伸び出したときの前記支持要素、および前記中空の細長いボディのヘッドは、前記骨の周囲に沿った少なくとも2つの地点から前記骨を把持するように構成されており、(iii)剛性中空チューブ(34)を有し、該剛性中空チューブ(34)は、ニードルに対して可逆的に連結されるように、および少なくとも1つのガイドワイヤ(130)を担持するように構成されており、前記中空チューブは、少なくとも部分的に前記中空のボディ内に移動可能に配置されており、それにより、前記剛性中空チューブは、前記ボディの近位−遠位方向に沿って、および前記中空の細長いボディのヘッド中の前記オリフィスを通じて動くことができ、(iv)支持要素駆動機構を有し、該支持要素駆動機構は、支持要素制御部が作動した際に、前記支持要素の動きを駆動するように構成されており、(v)剛性中空チューブ駆動機構を有し、該剛性中空チューブ駆動機構は、前記支持要素駆動機構とは独立しており、該剛性中空チューブ駆動機構は、前記中空チューブの動きを制御するように構成されており、(b)ガイドワイヤをデバイスに貫通させることを有し、該デバイスは、外科用ニードルが骨を貫通するような十分な力を外科用ニードルに付与することができ、(c)外科用ニードルを前記ガイドワイヤに連結することを有し、(d)縫合糸を前記ガイドワイヤの近位端に連結することを有し、(e)前記外科用ニードルを前記中空の細長いボディに接続することを有し、(f)前記デバイスの前記中空の細長いボディのヘッドを骨の周囲に隣接させて配置することを有し、(g)前記円弧体により形成された経路に沿った位置において前記湾曲した中空の細長いボディのヘッドの下面まで前記引き込み可能な支持要素を伸び出させ、それにより前記骨の周囲に沿った2つの地点において前記支持要素および前記中空の細長いボディのヘッドにより前記骨を把持することを有し、(h)前記剛性中空チューブおよび前記ニードルを作動させ、それにより前記ニードルを前記骨にトンネル通過させることを有し、かつ、(i)前記ガイドワイヤを前記骨を通して引っ張り、それにより前記縫合糸を前記軟組織を通して引っ張り、かつ前記軟組織を前記骨に連結し、前記ニードルを作動させ、それにより前記ニードルを前記骨に貫通させ、かつ、前記ガイドワイヤを前記骨を通して引っ張り、それにより前記縫合糸を前記軟組織を通して引っ張り、かつ前記軟組織を前記骨に連結することを有する。
【0066】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、ここで、前記外科用ニードルは剛性外科用ニードルである。
【0067】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記外科用ニードルは剛性を有し、かつ直線状または実質的に円環状/湾曲した形状を有するかのいずれかである。
【0068】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記剛性を有する円環状の中空チューブは十分に剛性を有し、それにより、それが前記円弧に沿って前記骨を貫通するときにその円形状が維持される。
【0069】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記骨を貫通するトンネルリングする前記ステップは、前記円弧体の経路に沿って前記ニードルをトンネル通過させるステップを追加的に有する。
【0070】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記デバイス内に前記ニードルを維持するステップを追加的に有する。
【0071】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記支持要素を伸び出させる前記ステップが、前記骨の周囲に沿って前記骨をしっかりと把持するステップを更に有する。
【0072】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記中空チューブを作動させる前記ステップが、前記剛性中空チューブを概して湾曲した経路に沿って遠位方向に移動させることにより、前記骨を貫通させるステップを追加的に有する。
【0073】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記支持要素は、作動した際に伸び出し、かつ前記中空の細長いボディのヘッド(90)および前記ニードルの位置を固定し、それによりそれらが前記骨表面と重なったままとなるのを確実とする。
【0074】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記支持要素は、作動した際に伸び出し、かつ前記湾曲した中空の細長いボディのヘッドの下面から前記ニードルを固定し、それにより前記支持要素が伸び出したときに、それが前記縫合糸ニードルにより形成された円弧の経路に沿って位置し、それにより前記伸び出し可能および引き込み可能な支持要素および前記中空の細長いボディのヘッドにより前記骨を把持するものを開示することである。
【0075】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記支持要素は、作動した際に伸び出し、かつ前記湾曲した中空の細長いボディのヘッドの下面から前記ニードルに対する支持を提供し、それにより、前記支持要素が伸び出したときに、それが前記縫合糸ニードルにより形成された円弧の経路に沿って位置し、それにより前記伸び出し可能および引き込み可能な支持要素および前記中空の細長いボディのヘッドにより前記骨を把持する。
【0076】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記中空チューブ駆動機構と前記支持要素駆動機構とが独立して機能する。
【0077】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記伸び出し可能および引き込み可能な支持要素は、伸び出した時に、前記中空チューブの遠位端に対して予め定められた位置に到達するように構成されており、それにより、前記中空チューブの前記遠位端と前記支持要素の上面との距離が、縫合糸が通過するべき骨にわたってスリップフィットを提供するようになっている。
【0078】
換言すれば、前記伸び出し可能および引き込み可能な支持は、伸び出した時に、その遠位端が縫合糸ニードルにより形成された弧の経路に沿って位置するように伸び出すように設計されている。
【0079】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記伸び出し可能および引き込み可能な支持要素は、ニードル抜出し器(60)を更に有する。
【0080】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記支持要素駆動機構の運動を制御するステップを追加的に有する。
【0081】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記剛性中空チューブ駆動機構の運動を制御するステップを追加的に有する方法を開示することである。
【0082】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記骨のドリル加工または骨材料の除去を必要とせずに前記関節鏡視下手術を行うステップを追加的に有する。
【0083】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記中空チューブの移動の程度を表示するための表示手段を導入するステップを追加的に有する。
【0084】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記表示手段が、(a)窓部を有し、該窓部は、前記シャフトの一つの側に配置されており、かつ(b)インジケータを有し、該インジケータは前記シャフト内に位置しており、前記剛性中空チューブ駆動機構に対して物理的に接続されており、それにより前記インジケータの移動距離が前記剛性中空チューブの遠位端の移動距離に比例し、かつ前記インジケータは、前記インジケータの移動の少なくとも一部分が前記窓部を通して可視的であるように配置されている。
【0085】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記窓部が配置されている前記シャフトの側においてマークを更に有し、前記インジケータが前記マークに到達したときに前記剛性中空チューブの遠位端が完全に伸び出すように、前記マークが配置されている。
【0086】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、前記十分な力が約500〜約600ニュートンの範囲内にある。
【0087】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、約1〜約3mmの範囲内の外径、約0.5〜約1.5mmの範囲内の内径、約7.5mm〜約15mmの範囲内の曲率半径、またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの特性を有する前記中空チューブを用意するステップを追加的に有する。
【0088】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、円形、三角形、長方形またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される断面領域を有する前記ニードルを用意するステップを追加的に有する。
【0089】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、円形、三角形、長方形またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される断面領域を有することを特徴とする前記剛性を有する円環状の中空チューブを用意するステップを追加的に有する。
【0090】
本発明の更なる目的は、上記方法を開示することであって、硬化耐食鋼から選択される生体適合性の金属から作られた前記剛性を有する円環状の中空チューブを用意するステップを追加的に有する。
【図面の簡単な説明】
【0091】
本明細書に開示される発明を図面を参照してこれより説明する。
図1A図1Aは、本発明の一つの実施形態による、本明細書に開示される湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスまたは調節可能な縫合糸パサーの等角投影図である。
図1B図1Bは、本発明の一つの実施形態による、本明細書に開示される湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスまたは調節可能な縫合糸パサーの等角投影図である。
図1C図1Cは、本発明の一つの実施形態による、本明細書に開示される湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスまたは調節可能な縫合糸パサーの等角投影図である。
図2a図2a−2dは、本明細書に開示される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスまたは調節可能な縫合糸パサーの図であって、ここでは、支持要素が伸び出した状態となっているものを示している。
図2b図2a−2dは、本明細書に開示される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスまたは調節可能な縫合糸パサーの図であって、ここでは、支持要素が伸び出した状態となっているものを示している。
図2c図2a−2dは、本明細書に開示される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスまたは調節可能な縫合糸パサーの図であって、ここでは、支持要素が伸び出した状態となっているものを示している。
図2d図2a−2dは、本明細書に開示される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスまたは調節可能な縫合糸パサーの図であって、ここでは、支持要素が伸び出した状態となっているものを示している。
図3図3は、本明細書に開示される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスまたは調節可能な縫合糸パサーの遠位端の断面図を表し、ガイドワイヤを骨に挿入するためのその使用を示している。
図4図4図3と同じ図を表すが、支持要素が引き込まれた後のものである。
図5A図5Aは、本発明の別の好ましい実施形態の遠位端の図を表す。
図5B図5Bは、本発明の別の好ましい実施形態の遠位端の図を表す。
図5C図5Cは、本発明の別の好ましい実施形態の遠位端の図を表す。
図5D図5Dは、本発明の別の好ましい実施形態の遠位端の図を表す。
図6A図6Aは、本発明の好ましい実施形態による、スライド可能部材2および4を示す図である。
図6B図6Bは、本発明の好ましい実施形態による、スライド可能部材2および4を示す図である。
図6C図6Cは、本発明の好ましい実施形態による、スライド可能部材2および4を示す図である。
図6D図6Dは、本発明の好ましい実施形態による、スライド可能部材2および4を示す図である。
図7図7は、本発明の好ましい実施形態による、剛性中空チューブ駆動機構のアセンブリの断面図である。
図8図8は、本発明の好ましい実施形態による、剛性中空チューブ制御部の等角投影図である。
図9図9は、本発明の好ましい実施形態による、支持要素制御部の等角投影図である。
図10図10は、本発明の別の実施形態による、本明細書に開示される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスまたは調節可能な縫合糸パサーの図である。
図11図11は、本発明の前記第2の実施形態による、本明細書に開示される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスまたは調節可能な縫合糸パサーの遠位端の内部図である。
図12図12は、本明細書に開示される、湾曲状/円環状の骨トンネル形成デバイスまたは調節可能な縫合糸パサーのための電動制御システムの概略を表す図である。
図13図13は、更に腱ホルダを有する本発明の実施形態の概略を表す図である。
図14図14は、シャフトの脱連結が可能である電動式ツールを利用する本発明の実施形態の概略図である。
図15a図15a−15bは、円形と三角形との組み合わせの断面領域を有する中空チューブを利用する本発明の実施形態の概略図である。
図15b図15a−15bは、円形と三角形との組み合わせの断面領域を有する中空チューブを利用する本発明の実施形態の概略図である。
図16a図16a−16bは、わずかに湾曲したニードルを利用する本発明の別の実施形態を示す図である。
図16b図16a−16bは、わずかに湾曲したニードルを利用する本発明の別の実施形態を示す図である。
図17図17は、中空チューブの寸法を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
好ましい実施形態の詳細な説明
以下の説明では、本発明の種々の態様を説明する。説明の目的で、本発明の完全な理解を提供するために具体的詳細を示している。本発明の必須の特性に影響せずに詳細において異なる本発明の他の実施形態が存在することは当業者に明らかであろう。従って、本発明は、図面において描写され、明細書で説明されたものに限定されず、特許請求の範囲に示されるものとしてのみ限定され、特許請求の範囲の最も広い解釈によってのみ決定される適切な範囲を有する。
【0093】
本発明は、関節鏡視下手術において使用するための円環状の骨トンネル形成デバイスを提供する。当該デバイスは、
a.中空の細長いボディを有し、該ボディは、中空の細長いボディヘッドを有し、該ボディヘッドは、剛性を有する円弧体(circular ark)を画定し、前記中空の細長いボディヘッドは、外科用ニードルを有し、該外科用ニードルは、前記剛性を有する円弧体によって形成された経路に沿って骨を通過するトンネルを形成するように構成されており、かつ、
b.伸び出しおよび引き込み可能な支持要素を有し、該支持要素は、少なくとも1つの伸び出した形態から少なくとも1つの引き込んだ形態へと、形態を変えることが可能(reconfigurable)である。
【0094】
前記支持要素が、前記伸び出した形態において、前記円弧体により形成された経路に沿って位置するように構成されることは、本発明の本質の中に含まれる。
【0095】
前記伸び出した形態における支持要素、および前記中空の細長いボディが、前記骨の周囲に沿った少なくとも2つの地点から該骨を把持するように構成されることは、本発明の本質の中に含まれる。
【0096】
本発明の別の実施形態によれば、上記で定義した外科用ニードルは、剛性を有する外科用ニードルである。
【0097】
本発明の別の実施形態によれば、外科用ニードルの形状はわずかに湾曲しており、かつ円弧体を近似的に画定している。
【0098】
本発明はまた、関節鏡視下手術の間に骨を貫通するトンネルを形成するための方法を提供する。当該方法は、(a)湾曲した骨トンネル形成デバイスを用意することを有し、該湾曲した骨トンネル形成デバイスは、中空の細長いボディを有し、該中空の細長いボディは、中空の細長いボディのヘッド(以下、ヘッドという)を有し、前記ヘッドは円弧体を画定し、前記中空の細長いボディは、外科用ニードルを有し、該外科用ニードルは、前記剛性を有する円弧体により形成された経路に沿って骨を貫通するトンネルを形成するように構成されており、かつ、該湾曲した骨トンネル形成デバイスは、中空の細長いボディを有し、該中空の細長いボディは、伸び出し可能および引き込み可能な支持要素を有し、該支持要素は、少なくとも1つの伸び出した形態から少なくとも1つの引き込んだ形態へと形態を変えることが可能であり、(b)骨の周囲に隣接させて前記デバイスの前記中空の細長いボディを配置することを有し、(c)前記ニードルを前記骨に固定することを有し、(d)前記引き込み可能な支持要素を前記剛性を有する円弧体により形成された経路に沿ってある位置まで伸び出させ、それにより、前記骨の周囲に沿った2つの地点において前記支持要素および前記中空の細長いボディにより前記骨を把持することを有し、(e)前記剛性中空チューブおよび前記ニードルを作動させ、それにより前記剛性を有する円弧体の経路に沿って前記骨を貫通するトンネルを形成することを有し、前記骨を貫通するトンネルを形成する前記ステップは、何らのドリル加工も伴わずに行われる。
【0099】
上述の通り、本発明は、関節鏡視下での骨トンネル形成デバイスを提供する。該関節鏡視下での骨トンネル形成デバイスは、骨の外周における2点により画定される弧を通るトンネルを形成する。該トンネルは、ドリル加工を必要とせずに、剛性を有する中空チューブに連結されたニードルデバイスの貫通により形成される。
【0100】
一つの実施形態によれば、前記関節鏡視下での骨トンネル形成デバイスは縫合糸に接続され、該縫合糸は同時に、上記のように形成されたトンネルを通り抜ける。該縫合糸は、次いで、組織、筋肉または靱帯を骨組織に固定するために使用され得る。
【0101】
前記関節鏡視下での骨トンネル形成デバイスは、とりわけ、剛性中空チューブを有し、該剛性中空チューブは、骨の周囲に沿った第1の地点において骨を貫通し、かつ、前記関節鏡視下での骨トンネル形成デバイスは、伸び出し可能および引き込み可能な支持要素(以下で説明する)を有し、該支持要素は、前記弧(即ち、ニードル)が骨を出る場所の近くの、骨の周囲に沿った第2の地点において反力を提供する。このような伸び出し可能および引き込み可能な支持要素は、ドリル加工なしでのトンネリングを可能とする。
【0102】
アンカーは必要とされない。完全なループ構造で骨中に形成された弧を通じて縫合糸が固定されるためである。
【0103】
伸び出し可能および引き込み可能な支持(これが反力を提供する)デバイスは、トンネリングが行われている間に、骨トンネル形成デバイスを骨上に固定する。
【0104】
切開に入るときにはユニット全体は低い形状であり、固定デバイスが配備されるときにはわずかに大きな形状となる。
【0105】
従って、前記ユニットは、腱板(rotary cuff)の修復のための侵襲性が真に最小な初めてのツールであり、その流線形のドリル加工無しの構成を配備するために大きなアクセス切開および/または大きな皮下の空間を必要としない。
【0106】
本発明の円環状のトンネル形成器(tunneler)/調節可能な縫合糸パサーは、以下の利点を特徴とする。
【0107】
(a)大抵の先行技術のデバイスとは異なり、本発明の円環状トンネル形成器/調節可能な縫合糸パサーは、骨へのドリル加工を行わず、本発明は代替的に、引き込み可能な支持要素により骨に適用される力により可能となる一貫した十分な力を、ニードルにより骨に適用される力への対抗力としてニードルに適用することにより、骨を貫通するトンネルを形成する。
【0108】
(b)骨の貫通は、弧形状の経路(例、単一の骨の入り口)に従って行われる。いくつかの公知の先行技術刊行物は、2つの直交する穴/チャンネルをドリル加工することによる関節鏡視下手術の実行に言及している。上述したように、そのような直交する穴は、骨の弱体化により骨の破砕を引き起こす可能性がある。
【0109】
(c)縫合糸パサーは調節可能である。新規のデバイス構造(即ち、以下で説明するような、伸び出し可能および引き込み可能な支持要素)のため、それは、異なる骨の直径ならびに異なる形状および構造を受け入れることができる。換言すれば、本発明のデバイスは、種々のサイズ、形状および骨の寸法に適合する。以下、用語「約」とは、参照する値の上下25%の範囲をいう。
【0110】
本明細書で用いられる場合、用語「ニードル」は、組織を貫通するために医療行為において用いられる任意の形状の器具を示すものと理解される。従って、非限定的な例として、該用語は、外科用ニードルやランス(lances)等の器具を含むものと理解される。それはまた、中空の器具および中空でない器具の両方を含むものと理解される。
【0111】
本明細書で用いられる場合、用語「スリップフィット(slip fit)」とは、2つの機械的構成要素のはめあいをいう。
【0112】
本明細書で用いられる場合、用語「突き出し(ejecting)」とは、ドリル加工または骨材料(例、破片)の除去を何ら伴わない、骨を通過する要素の貫通またはトンネル形成の行為をいう。
【0113】
本明細書で用いられる場合、用語「調節可能な」とは、円環状の骨トンネル形成デバイス/縫合糸パサーが異なる骨の直径ならびに異なる形状および構造を受け入れることができることをいう。
【0114】
本明細書で用いられる場合、用語「支持(support)」とは、骨の周囲へのユニットの固定により、中空の細長いボディのヘッドのユニットを骨表面と重なった状態に維持することをいう。
【0115】
本明細書で用いられる場合、用語「固定(fixation)」とは、中空チューブ駆動機構によって力が加えられているときに中空の細長いボディのヘッドおよび/または外科用ニードルおよび/または中空チューブが変位しないことをいい、中空の細長いボディのヘッドおよび/または外科用ニードルおよび/または中空チューブのポジションが、同じ選択されたポジションに維持されることを確実にすることをいう。
【0116】
ここで図1を参照する。図1は、本明細書に開示される本発明の好ましい実施形態1000の等角投影図を表す。図1Aは、円環状の骨トンネル形成デバイス/調節可能な縫合糸パサーの外部の図を表す。中空の細長いボディは、ツールの遠位部分を形成する。ボディの遠位部分は、中空の細長いボディのヘッド90(以下、ヘッドまたは中空の細長いボディのヘッドという)を有し、該ヘッド90は、好ましい実施形態において、図に示されるように下向きに湾曲しており、ヘッドは剛性を有しかつ基本的に半円の弧を描き、弧の凹面は下側にある。近位部分はシャフト50である。本発明の好ましい実施形態では、アセンブリを容易にするために、中空の細長いボディは2つの別個のピース51および52から作られ、これらは、ボディとその中に見出される構成要素の組み立ての最終工程において連結される。ボディは、固い不活性ポリマーまたは金属等の任意の好適な生体適合性材料から作られていてもよい。ヘッドの遠位端はオリフィスを含み、該オリフィスを、剛性を有する円環状の中空チューブ34が貫通する。該剛性を有する円環状の中空チューブは、その遠位端において機構30を有し、該機構30により、適切なサイズの外科用ニードルまたはランス(lance)32と接続することができ、かつ、該機構は、ヘッド内に配置されており、それにより、前後に動くことおよびヘッドの末端から十分な距離だけ伸び出すことができ、そのため、ニードルまたはランスは、ヘッドが描く弧の直径と等しい直径の円を通じて実質的に円環状の経路を描くことができる。外科用ニードルまたはランスを剛性を有する円環状の中空チューブの末端に連結させることができる手段は、当該技術分野で周知である。
【0117】
ニードルの伸び出しの間に骨を安定化させ、ニードルがツールから突出する際に骨に入ることができるように、ツールは、伸び出し可能および引き込み可能な支持要素54を更に有する。該支持要素54は、伸び出されたときに、ニードル以外に骨の周囲に沿った第2の地点において骨を把持する。支持要素が作動される機構の詳細は以下に与える。
【0118】
ツールの駆動機構は、ボディの近位端に連結された駆動機構用ハウジング10内に収容される。制御部および機構は、駆動機構用ハウジング内に位置する。ハンドル12は、ツールの下側において、ボディまたは駆動機構用ハウジングに対して、あるいは両方に対して、連結されている。中空ツールおよび支持要素の運動は、独立した制御部および駆動システムにより制御される。図1Aに示される図では、これらの制御部および駆動システムの要素の一部を見ることができる。回転可能なハンドル18は、剛性を有する円環状の中空チューブのための駆動機構に接続され、それにより、剛性を有する円環状の中空チューブの遠位端の動きはハンドルの回転角度に比例する。迅速解放タブ20の作動は、剛性を有する円環状の中空チューブをその移動の終端に直接動かす。支持要素駆動システムの構成要素の一部も図1Aに見ることができる。回転可能なノブ14が支持要素の駆動機構に接続されることにより、伸び出される程度は該ノブの回転角度に比例する。回転可能なノブ18は中央のねじ山形成されたオリフィスを有し、該オリフィスは、ねじ山形成されたロッド24に係合する。ノブが回転されたとき、それはねじ山形成されたロッドの長さの下に動く。制御機構はタブ22も有し、タブ22は、支持要素のための駆動機構に物理的に係合する。タブは、ノブ14の遠位でねじ山形成されたロッドにフィットするオリフィス、および、オリフィスをタブの遠位端に接続する堅固なコネクタを有する。支持要素制御機構は、迅速解放ピン16をも有し、その作動は、支持要素がその移動の終端に直接移動することを可能とする。
【0119】
本発明の好ましい実施形態では、それは、剛性を有する円環状の中空チューブがどれほど遠くに移動したかを決定するための手段も有する。図1Aに示される実施形態では、シャフトの片側は窓部512を有する。剛性を有する円環状の中空チューブ駆動機構は、マークまたは他のインジケータ604を有し、これは、窓部を通じてみることができ、その移動の境界に対する剛性を有する円環状の中空チューブの現在の位置を表示する。マーク514はボディ上に配置され、インジケータ604がマーク514に到達したときに、剛性を有する円環状の中空チューブが移動の終端に到達したことをユーザーは知る。
【0120】
ここで図1Bを参照する。図1Bは、実施形態1000の等角投影図であって、ボディ51の左手側を取り除いて中空のボディの内部を明らかにしたものを提供する。この実施形態では、剛性を有する円環状の中空チューブのための駆動機構は、互いに連結された一連のスライド可能部材(ビーズ)を有する。ボディの内部は、その上側または下側あるいは両方において、トラック522を有する。トラック522はスライド可能部材の移動をガイドする。遠位のスライド可能部材4はその前側において平坦であり、中空チューブの近位端に係合する。残りのスライド可能部材2は、前側において平坦である必要はない。以下に詳細に説明されるように、好ましい実施形態では、それらは実質的に円環状の形状を表す。この実施形態では、駆動機構は、その近位端において、剛性を有する円環状の中空チューブアクチュエータ6も有し、剛性を有する円環状の中空チューブアクチュエータ6は、剛性を有する円環状の中空チューブ制御部に係合し、それにより、剛性を有する円環状の中空チューブ制御部が前方に移動したときに、それはアクチベーターの前方への移動を引き起こし、それによりスライド可能部材が遠位方向にスライドし、中空チューブが押される。
【0121】
支持要素のための作動機構を図1Bに示される図において同様に見ることができる。この実施形態では、支持要素作動機構は、アクチュエータ58を有し、アクチュエータ58は、その近位端において、支持要素制御部の遠位端に係合し、その遠位端において、支持要素接続ヨーク56に係合し、それにより支持要素制御部の前方への移動がアクチュエータ58の(軸582に沿った)前方移動、従って接続ヨーク56の前方移動を強いる。接続ヨークは、ピボット要素(例、アセンブリがその周りを回転できるピン)562を介して支持要素にピボット可能に接続される。支持要素は、作動されたときに、軸542に沿って移動する。支持要素の遠位端は、作動されたときに、剛性を有する円弧体により形成された経路に沿って位置することが強調されるべきである。
【0122】
別の実施形態によれば、シャフトの円環状断面/プロファイルが提供される。この実施形態によれば、円環状の形状は、切開(それを通じて円環状トンネル形成器/縫合糸パサーが挿入される)の2つの部分の最良の接着/連結を確実にする。そのような形状は、手術の間に生じ得る任意の漏れ(例えば、内側ボリュームを拡張するために外科医によって通常用いられる食塩水の漏れ)を有意に低減する。
【0123】
上述の剛性を有する円環状の中空チューブ駆動機構は、数百ニュートン(特に、約500〜約600ニュートンの範囲内)の力を中空チューブに与えることができ、これは、剛性を有する円環状の中空チューブが骨を貫通するために十分なものより大きい。
【0124】
突出するニードルが、中空の細長いボディのヘッドを骨表面から遠くに変位させるよりむしろ、骨を実際に貫通することを保証するために、支持を提供して、ニードルが入る側とは反対の骨の周囲へのユニットの固定により、中空の細長いボディのヘッドユニットを骨表面と重なった状態に維持しなければならない。従って、ツールは、伸び出し可能/引き込み可能な支持要素を有し、これは、引き込まれたときに、ヘッドの反対のツールの下側から伸び出す。ここで図2aおよび2bを参照する。これらは、支持要素54が伸び出された後のツールの実施形態1000を示す。本発明の好ましい実施形態では、支持要素は、ニードル抜出し器(needle extractor)60を追加的に有する。
【0125】
ニードル抜出し器60は、貫通要素32を支持要素54内に維持することに関与する。それは、貫通要素32内に位置する穴601により可能となる。ニードル抜出し器60は穴601内に貫通し、それにより貫通要素32が支持要素54から外れることを防止する。
【0126】
貫通要素32は、骨内に押されることができ、かつそれを貫通することができる鋭い要素である。貫通要素32は、ワイヤ130をそれと共に引く(130は60の近位端に接続される)。
【0127】
骨を通じて周囲の地点1から周囲の地点2に至る完全な弧の経路が形成されると、ニードル抜出し器60は穴601内に留まり、一方、アーチ型の剛性中空チューブ34はハウジング90に戻る。
【0128】
ニードル抜出し器60は、貫通要素32が支持要素54内に入るのを可能とするが、それが動いてヘッド内に可逆的に戻ったときに、それが剛性を有する円環状の中空チューブ34から放出するのを確実にする。
【0129】
ニードル抜出し器60は弾性の要素であり、一方向には屈曲可能であるが、反対方向には固い。実施形態1000(図1に示される)は、それを押す捩りばねにより軸上を回転する固いフックとしてニードル抜出し器60を開示している。
【0130】
しかしながら、いくつかの他の実施形態を利用してもよいことが理解されるべきである。例えば、ニードル抜出し器60の機械的特性(即ち、その弾性およびばね様の特性)を活用することができる。
【0131】
ここで図2cおよび2dを参照する。これらは、ニードル抜出し器60のばね様の特性が利用される実施形態を示す。
【0132】
このような実施形態において、ニードル抜出し器60は、支持要素54の内側表面に組み込まれていてもよい。この実施形態によれば、ニードル抜出し器60は、伸び出された形態および引き込まれた形態という2つの形態により特徴付けられる。
【0133】
伸び出された形態では、ニードル抜出し器60は、支持要素54の内径を実質的に減少させ、ニードル抜出し器60の引き込まれた形態では支持要素54の内径は実質的に同じままである。
【0134】
ニードル抜出し器60のばね様の特性のため、それに対する力の適用により、それは引き出された形態から引き込まれた形態へと形態を変えることができる。
力が適用されなくなると、ニードル抜出し器60は引き込まれた形態から伸び出された形態に戻るというように形態が変わる。
【0135】
この実施形態によるニードル抜出し器60のデフォルトの形態は伸び出された形態であり、支持要素54の内径が低減されている。
【0136】
貫通要素32が支持要素54に入ると、ニードル抜出し器60は伸び出された形態から引き込まれた形態へと形態を変えられ、貫通要素32に圧力を適用してそれを支持要素54内に維持する。
【0137】
支持要素54は1つまたは複数の前記ニードル抜出し器60を有してもよいことは強調されるべきである。
【0138】
ここで図2dを参照する。図2dは上記の実施形態を示すが、貫通要素32が支持要素54内に一体化されている。
【0139】
図2bは、貫通要素(例えば、ニードルまたはランス)32が支持要素54内にあり、かつ剛性を有する円環状の中空チューブ34が引き戻された後に、ニードル抜出し器60がどのように機能するかの拡大図を描写する。
【0140】
要素54の遠位面はプロング62を備えており、プロング62は、支持要素54がいったん所望の位置に位置取りするとそのいかなる運動も防止すように構成されていることを留意すべきである。
【0141】
好ましい実施形態では、ニードル抜出し器は、支持要素の下側に配置され、かつ、中空のレセプタクルを有する。周囲の地点2へ到達すると、貫通要素(ニードルまたはランス)32は中空のレセプタクル内に入る。
【0142】
ツールの使用後に支持要素または剛性を有する円環状の中空チューブのいずれかが引き込まれたとき、貫通要素は、ニードル抜出し器60の中空のレセプタクル内に留まる。
【0143】
ここで図3を参照する。図3は、剛性を有する円環状の中空チューブがその移動を完了した後のツールの実施形態1000の断面図を示す。ガイドワイヤ130は剛性を有する円環状の中空チューブを貫通し、かつ、ランス32(この図では、これは、図中で影付きの領域として示す骨を貫通している)の近位端に連結されている。
【0144】
次いで、縫合糸をガイドワイヤの遠位端に連結し、軟組織を貫通ならびに骨内に入るおよび貫通することができる。図3に示す図では、ニードルはニードル抜出し器60内に入っている。
【0145】
ここで図4を参照する。図4は、支持要素が引き込まれた後のツールの断面図を示す。この図では、剛性を有する円環状の中空チューブは、いまだ骨内にあり、また、ニードルは、ニードル抜出し器内に留まり、ガイドワイヤ130を担持していることを見ることができる。
【0146】
引き込み可能な支持要素54中のキャビティは、貫通要素32をその位置に固定する貫通要素32のための「入れ子ボリューム」を提供し、それにより周囲組織へのいかなる損傷も防止する。
【0147】
ここで図5A−5Dを参照する。図5A−5Dは、ツールの別の好ましい実施形態の遠位端を描写する。この実施形態によれば、骨内にまだない剛性を有する円環状の中空チューブ34の区画に対して、それがその移動の終端においてニードル抜出し器60に係合することを確実とするために、追加的な放射状支持が与えられる。
【0148】
この実施形態では、支持要素はタブ5421を更に有する。タブ5421は、ヘッド(90)の片側においてスロット5422を通じて突出する。
【0149】
タブ5421は、スロット5422中をスライドし、移動の境界に対する剛性を有する円環状の中空チューブの現在の位置を表示する。
【0150】
最も顕著なことに、この実施形態は、剛性支持要素70を更に有する。支持要素は、ヘッドの右半分と左半分との間に位置し、デバイスの好ましい実施形態では、ヘッドおよびボディは、アセンブルされたときにデバイスの左半分および右半分を形成する2つの嵌り合った部品から製造される。
【0151】
図5Aは、剛性支持要素70を有するヘッド90の外部図を示す。それは、ヘッドの2つの半分の間にそれがどのように位置しているかを描写する。
【0152】
図5Bは、支持要素70を適所に有する、ヘッドの部分切り取り図を示す。剛性支持要素70の等角投影図を図5Cに見ることができる。支持要素70は、ヘッド90の上部分と実質的に同じ曲率を有する弧の形状を有する。支持要素の両側のスロットは、それがアセンブルされたときに、それをヘッドの2つの半分の間の適所に保持する。支持要素70は、中空チューブの運動を妨げることなく剛性を有する円環状の中空チューブ34と接触するために十分な深さを有する。従って、剛性支持要素は、剛性を有する円環状の中空チューブ34に対する追加的な支持を提供し、それが屈曲またはクリンピング(および任意の他の変形)するのを防止し、剛性を有する円環状の中空チューブは、図5Dおよび図6Dに示されるように、それをニードルキャッチャ60に戻すことになる経路に沿ってのみ移動するように束縛される。
【0153】
ここで図6Aを参照する。図6Aは、スライド可能部材2の好ましい実施形態を描写する。好ましい実施形態では、スライド可能部材は実質的に円筒形状であり、シリンダーの胴部の周りに(即ち、その周囲の周りであって、かつシリンダーの長手軸に垂直に)刻み目204を有する。刻み目は、ガイドワイヤ130が妨げられずに通過することを可能とする。端部202の少なくとも1つは、トラック522中にフィットし、トラック522は、該部材がボディの遠位−近位軸に沿ってスライドすることを可能とする。該部材は円環状の断面を有するが、トラックに沿って転がらないことに留意されたい。
【0154】
チャンネル206は、シリンダーの長手軸に実質的に垂直な軸に沿ってスライド可能部材を貫通する。ボディの近位−遠位軸に沿って配置された接続ワイヤ132はチャンネルを貫通し、それにより、複数のスライド可能部材を接続する。接続ワイヤはループ状に形成され、その近位端は、剛性を有する円環状の中空チューブ駆動機構に係合し、ツールの使用後に剛性を有する円環状の中空チューブが引き込まれることを可能とする。図に示されるように、ガイドワイヤ130と同様、チャンネルを貫通しない接続ワイヤ132中のループの脚部は、刻み目204を介してスライド可能部材の外側を通過する。
【0155】
ここで図6Bを参照する。図6Bは、遠位スライド可能部材4の好ましい実施形態を描写する。円筒形状402、刻み目404およびチャンネル406の全体は、図5Aに示されるスライド可能部材2の構成要素202、204および206に類似している。他のスライド可能部材とは異なり、遠位スライド可能部材は、剛性を有する円環状の中空チューブ34に直接的に係合し/作動させる。そのため、前方(即ち、ヘッド90に向かう動きの方向)に向いて配向した平坦面410、および、剛性を有する円環状の中空チューブ34の近位端に適合し、好ましい実施形態ではそれに物理的に接続されているチャンネル408が設けられる。
【0156】
剛性支持部材70を組み込んだ本発明の実施形態では、スライド可能部材2は、図6Aに示されるものとはいくぶん形態が異なる。これらの実施形態におけるスライド可能部材2の形態を図6Cに示している。スライド可能部材は概して円筒形状を保持するが、刻み目は、シリンダーの軸に関してもはや対称的ではない。むしろ、刻み目2004は、シリンダーの直径の大部分を通じて切断され、スライド可能部材2は支持要素70の下を通過し得る。結果として、接続ワイヤ132の通過を可能とするように構成されたチャンネル2006は、略図に示されるように、その中心から変位する。第2の刻み目2008が部材の反対側に作られ、ガイドワイヤ130の通過を可能とする。シリンダー(2002)の片側は、トラック522上をスライドするように構成される。支持部材70、スライド可能部材2、および伸び出されたポジション(即ち、それに連結されたニードルがニードルキャッチャ60に到達した後)における剛性を有する円環状の中空チューブ34を示す概略的なアセンブリの略図を図6Dに与えている。
【0157】
ここで図7を参照する。図7は、本発明の一つの実施形態による、剛性を有する円環状の中空チューブ駆動機構のアセンブリの断面図を表す。スライド可能部材は、オリフィス206および406を通じて接続ワイヤ132を介して接続され、トレーンを形成する。接続ワイヤ132は刻み目204および404を通じてループして戻り、ループの近位端が剛性を有する円環状の中空チューブ制御部に係合することにより、剛性を有する円環状の中空チューブ制御部が作動されたときに、スライド可能部材はタンデムに移動し、それにより、剛性を有する円環状の中空チューブ34およびその遠位端に接続されたニードルまたはランス32を移動させる。ガイドワイヤ130は刻み目204および404を貫通し、それにより、ガイドワイヤ(これは、上述の通り、剛性を有する円環状の中空チューブ34を貫通し、ニードルまたはランス32に接続されている)の動きは妨げられない。
【0158】
ここで図8を参照する。図8は、本発明の好ましい実施形態による、中空チューブ(駆動機構)制御部の等角投影図を表す。
【0159】
制御機構は、駆動機構用ハウジング10の内部および周囲に配置される。回転可能なノブ18は、実質的に円環状のハンドル(好ましい実施形態では、操作を容易にするために、それはギザギザであるか、またはその周囲は複数の刻み目または突起を備えている)、および、中空のシャフト186を有し、該シャフトの内壁はねじ山が形成されている。駆動機構用ハウジング10は、中空のシャフト186に対してスリップフィットを提供するために適切な内径のチャンネル、および、中空チューブアクチュエータ6が貫通するオリフィスを有する遠位壁を有する。ねじ山形成されたシャフトは、該シャフトの長手軸に実質的に垂直にかつ実質的にその遠位端に配置された、溝182をその外壁の周囲の辺りに更に有する。ねじ山形成された中空のシャフトは、ねじ山形成されたロッド602に係合し、該ロッドは、中空チューブアクチュエータ6の近位端に物理的に接続されている。中空チューブ駆動機構リリースタブ20は、駆動機構用ハウジング10のボディにピボット可能に接続される。中空チューブ駆動機構リリースタブは、中央ピボッティングボディから伸長する2つの突起を有し、その一つ(212)は溝182に係合し、その一つは、操作のために用いられる駆動機構用ハウジング10の上を伸長する。
【0160】
図8Aは、駆動機構リリースタブ20がその係合ポジションにあるときにみられる中空チューブ制御部の図を示す。この形態では、突起212は、ハンドル18がボディの遠位−近位軸に沿って動くのを防止するため、ハンドルの回転は、ねじ山形成されたロッド602をシャフトの長さに沿って移動させ、それにより、中空チューブアクチュエータ6と、アクチュエータ6により係合された中空チューブ駆動機構の残り(図8には示していない)を介してスライド可能部材(例えば、2および4)および中空チューブ34とを駆動する。中空チューブが動く距離は、ノブ18の回転角度に比例する。図8Aでは、ねじ山形成されたロッドは、その移動の最も遠い位置において示されており、ねじ山形成されたロッドの更なる運動は、駆動機構ハウジング10の遠位壁によりブロックされる。
【0161】
その外部突起への圧力の適用はタブ20を作動させ、突起212をその脱係合ポジションに移動させる。図8Bは、その脱係合ポジションにあるタブ20を有する中空チューブ制御部を示す。この形態では、ツールの遠位−近位軸に沿ったノブ18の動きが妨げられないため、この場合、ノブ18を回すことなく、それを押すまたは引くことにより中空チューブ34を動かすことが可能である。近位方向へノブ18を引くことにより中空チューブ34は90中に回収される。
【0162】
ここで図9を参照する。図9は、本発明の好ましい実施形態による、支持要素制御部を描写する等角投影図を表す。図9Aは外部図を示し、図9Bおよび9Cは支持要素制御部の内部機構を描写し、ハンドル12が除去されている。図9に描写される支持要素制御部の実施形態では、それは、ねじ山形成されたロッド24と、迅速解放ピン(quick-reliece pin、クイックリリースピン)16を有している。該迅速解放ピン16は、その脱係合ポジション(図9Bにあるように)にあるときにねじ山形成されたロッドの動き(軸上および回転の両方)がブロックされ、その係合ポジション(図9Cにあるように)にあるときにねじ山形成されたロッドの動きが許可されるように構成される。
【0163】
支持要素制御部は、回転可能なノブ14を更に有し、回転可能なノブ14は、内側にねじ山が形成されたオリフィスを有し、該オリフィスは、ねじ山形成されたロッド24のねじに係合する。回転可能なノブ18と同様、最も好ましい実施形態では、操作を容易にするために、ノブ14の周囲はギザギザであるか、または複数の刻み目または突起を備える。制御部はスライダも有し、スライダは、タブ22を有し、ねじ山形成されたロッド24へのスリップフィットを提供するために少なくとも十分な内径の円環状オリフィス26、およびオリフィスをタブに連結する剛性コネクタを有する。タブ22は、シャフト50の下側に沿ってスライドする部分27、および、シャフトの下を伸長する突起を有する。この実施形態の支持要素制御部を有する、円環状トンネル形成器/調節可能な縫合糸パサーのいくつかの実施形態の遠位部分、シャフト50の下側はスロットを有し、該スロットは、突起がシャフト50の近位−遠位軸に沿って自由に動くことを可能とし、他の実施形態では、シャフト50は、下側の外側にトラックを有し、そこをタブ22およびそれにより係合された支持要素駆動機構の部分がスライドする。
【0164】
図9に示される支持要素制御部の実施形態では、それは、以下の通りに、支持要素駆動機構に係合する。ノブ14が回されると、それは、ねじ山形成されたロッド24の長さに沿って移動する。移動が遠位方向である場合、ノブはオリフィス26に係合し、それによりタブ22を遠位方向に移動させる。スライディング部分27が遠位方向に動くにつれ、それは支持要素駆動機構(例、アクチュエータ58)の近位端に係合し、それにより支持要素を伸び出させる。ユーザーが支持要素の引き込みを望むときは、ノブ14を反対方向に回し、それをねじ山形成されたロッド24に沿って近位方向に移動させる。この動きは、ノブ14とオリフィス26との間にギャップを残すことになる。次に、シャフト50の下を伸長する部分に圧力を適用することで手動によりタブ22を近位方向に移動させることができる。
【0165】
図9Bに示されるように、迅速解放ピン16がその係合ポジションにあるとき、それは、ねじ山形成されたロッド24を物理的に保持することにより(例えば、引き込み可能な万力様のグリップを介して)、またはねじ山形成されたロッド中の刻み目に係合することにより、ねじ山形成されたロッド24が動くことを防止する。図9Cに示されるように、ピン16が脱係合されているときには、それはもはやねじ山形成されたロッド24の運動を防止しない。駆動機構リリースタブ20の係合と類似の様式にて、迅速解放ピンの係合は、ノブ14を回す必要なく、ユーザーが手動で支持要素制御部を動かすことを許容する。
【0166】
ここで図10を参照する。図10は、本明細書に開示される円環状トンネル形成器/調節可能な縫合糸パサーの第2の実施形態2000の図を示す。図10に示される実施形態は、中空チューブおよび支持要素駆動機構、および支持要素駆動機構の追加的な実施形態を組み込んでいる。
【0167】
図10に示される中空チューブ駆動機構の実施形態では、シャフト50は、ボディの少なくとも1つの側の長さの少なくとも一部分に沿ってボディスロット330を組み込み、かつ、ヘッド90は、ヘッドの少なくとも1つの側の長さの少なくとも一部分に沿ってヘッドスロット390を組み込む。スライダ310は、その近位端において中空チューブ制御部に係合する。ヨーク300は、ボディスロット330を貫通するピン320によりスライダ310にピボット可能に接続され、ヘッドスロット390を貫通するピン324により中空チューブ34の近位端にピボット可能に接続される。中空チューブ制御部が係合されているとき、スライダ310は遠位方向に移動し、それにより、ヨーク300は、スライダ310の移動距離に比例して中空チューブ34を遠位方向に移動させる。この実施形態では、中空チューブ制御部は、ベアリングハウジング330を更に有する。
【0168】
図10は、支持要素駆動機構の第2の実施形態も示している。この実施形態では、支持要素駆動機構はアクチュエータ58を有し、アクチュエータ58は、その近位端において、支持要素制御部に係合し、かつ、実質的にその遠位端において、ピン(図10には示されていない)を介してヨーク340にピボット可能に接続されている。ヨーク340は、実質的にその遠位端において、支持要素にピボット可能に接続されている。支持要素制御部が係合されているとき、アクチュエータ58は遠位方向に移動し、それによりヨーク340は下向きに動き、支持要素を伸び出させる。図10に示される実施形態では、ハンドル12は、可動の遠位部分12Aおよび動かない近位部分12Bという2つの部分を有する。示した実施形態では、ハンドルは、ユーザーがハンドルの該2つの部分の底においてオリフィスを通じて自分の指を置くことによりハンドルを把持できるように設計されている。ハンドルの可動の遠位部分は、シャフト50の下側中のスロット中にフィットするタブを更に有する。
【0169】
この実施形態では、支持要素制御部は、アクチュエータ58に係合する、ハンドルの可動部分を有し、好ましい実施形態では、これら2つは物理的に接続されている。ハンドルの可動部分が動くにつれ、アクチュエータ58はタンデムに動き、ヨーク340を動かして、支持要素を伸び出させまたは引き込ませる。
【0170】
ここで図11を参照する。図11は、本発明のこの第2の実施形態による、円環状トンネル形成器/調節可能な縫合糸パサーの遠位端の内部の図を示す。図11Aに示される図は、ガイドワイヤ130がどのようにヘッドおよびシャフトを貫通するのか、および、中空チューブアクチュエータ58がどのようにヨーク340に係合するのかを描写する。図11Bは、本発明のこの実施形態による、支持要素駆動機構の作動を示す。アクチュエータ58が遠位方向に動いたとき、それはヨーク340に係合する。実質的にその遠位端において、ヨークはベアリング332を介して支持要素54に接続される。アクチュエータの動きと共にヨークがタンデムに下降するにつれ、支持要素は下および前方に引かれ、従ってその作動位置に伸び出す。
【0171】
これまで説明した実施形態では、デバイスの作動は手動で行われる。ここで図12を参照する。図12は、中空チューブ制御部および支持機構制御部が電気的に作動される実施形態の概略的な描写を表す。モータ700は、回転可能なノブ14および18の少なくとも1つに係合する。図に示した実施形態では、2つの回転可能なノブの各々はモータにより係合されており、モータ700Aは回転可能なノブ14に係合し、モータ700Bは回転可能なノブ18に係合している。医療用デバイスを作動させるために適切である当該技術分野で知られる任意の種類のモータを用いてよい。本発明の好ましい実施形態では、モータ700Aおよび700Bは、DCステッパモータである。図12Aは、そのような実施形態の全体的な概略を示す。図12Bは、中空チューブおよび支持要素制御部のより近接した図を表す。これらの実施形態では、ギザギザであるナットよりむしろ、各回転可能なノブはギア720(720Aおよび720B)を有する。モータ700(700Aおよび700B)はギア710(それぞれ710Aおよび710B)を駆動し、次にそれがギア720(それぞれ720Aおよび710B)を駆動する。図12Cは、2つの回転可能なノブの切り取り図を表し、ノブの内側のねじ山、およびノブが係合するねじ山形成されたロッドを描写し、モータがどのようにして制御機構を作動させるかを示している。前記ギアリング要素は、基本的には、モータの回転の入力を、2つの軸上、直線的、独立した、かつ並列の動きに変換する。
【0172】
本発明は、いくつかの実施形態では、さらに腱ホルダを有する。本発明との使用に適合され得る当該技術分野で知られる任意の腱ホルダを用いてよい。
【0173】
用語「腱ホルダ(tendon holder)」とは、以下では、腱の把持およびそれを通じた縫合糸の通過を可能とする任意のデバイスをいう。
【0174】
ここで図13を参照する。図13は、本明細書に開示される本発明との使用に特に適した腱ホルダの好ましい実施形態を描写する。図13Aは、円環状の骨トンネル形成デバイス/縫合糸パサーの遠位部分の図を表し、腱ホルダを示している。腱ホルダは、把持部材800、スライダ810およびマニピュレータ820を有する。
【0175】
別の実施形態によれば、腱ホルダは、押す運動および/または引く運動の両方を可能とする単一のマニピュレータを有してもよい。
【0176】
スライダは、当該円環状トンネル形成器/縫合糸パサーの中空の細長いボディに連結され、ボディに沿って前後にスライドできる。例えば、それは、ボディにわたるスリップフィットを提供するように選ばれた内寸を有するチャンネルを有し得る。マニピュレータ820は、スライダの近位側に連結され、ボディの上側に位置する。略図中に見ることができるように、好ましい実施形態では、マニピュレータは、人間工学の形状を有し、デバイスのオペレータの親指で押したり引いたりできる。把持部材800は、スライダの遠位側に連結される。それは、細長いボディの上側に配置され、ボディの上側においてボディの遠位−近位軸に沿ってスライドし、かつ、ヘッドがボディに連結されている位置においてヘッドの下を通過する。略図中に見ることができるように、好ましい実施形態では、それは、細長い形状(例、高いよりも幅広い平行6面体)を有し、かつ、それがその移動の遠位端まで動いたときに、ヘッド90の遠位端の十分近くにまで到達し、把持部材の遠位端とヘッドの下側との間で腱を把持することができるために十分な長さを有する。最も好ましい実施形態では、把持部材がその移動の最も近い位置に引き込まれたとき、それは、円環状の骨トンネル形成デバイス/縫合糸パサーのボディの端部を越えては伸び出さない。腱ホルダを有するデバイスの実施形態3000の全体図を図13Bに示す。
【0177】
関節鏡視下手術の間に骨を貫通するトンネルを形成するための方法を開示することも本発明の範囲内である。当該方法は、(a)湾曲した骨トンネル形成デバイスを用意するステップを有し、該湾曲した骨トンネル形成デバイスは、(i)中空の細長いボディを有し、該中空の細長いボディは、剛性を有する円弧体を画定し、前記中空の細長いボディは、外科用ニードルを有し、該外科用ニードルは、前記円弧体により形成された経路に沿って骨を貫通するトンネルを形成するように構成されており、かつ、(ii)伸び出し可能および引き込み可能な支持要素を有し、該支持要素は、少なくとも1つの伸び出した形態から少なくとも1つの引き込んだ形態へと形態を変えることが可能であり、(b)骨の周囲に隣接させて前記デバイスの前記中空の細長いボディを配置するステップを有し、(c)前記ニードルを前記骨に固定するステップを有し、(d)前記引き込み可能な支持要素を前記円弧体により形成された経路に沿ってある位置まで伸び出させ、それにより、前記骨の周囲に沿った2つの地点において前記支持要素および前記中空の細長いボディにより前記骨を把持するステップを有し、(e)前記中空チューブおよび前記ニードルを作動させ、それにより前記円弧体の経路に沿って前記骨を貫通するトンネルを形成するステップを有し、前記骨を貫通するトンネルを形成する前記ステップは、ドリル加工なしで行われる。
【0178】
アンカーを使用せずに靱帯等の軟組織を骨に連結する方法を開示することも本発明の範囲内である。当該方法は、以下のステップを有する。ガイドワイヤが、外科用ニードルに十分な力を付与できるデバイスを貫通し、それにより、外科用ニードルが骨を貫通する。外科用ニードルまたはランスがガイドワイヤに連結され、次にデバイスの遠位端に接続される。次いでデバイスが所定ポジションに挿入される。支持要素が、ニードルが挿入され通過すべき骨に対して、該ニードルが係合されるべき側とは反対側において、該骨に係合する。即ち、それは、ニードルが骨の表面に当たったときに移動しようとするであろう側から骨を保持する。次に、当該デバイスが係合され、ニードル(およびそれに連結されたガイドワイヤ)を骨に貫通させる。縫合糸がガイドワイヤの近位端に連結される。ガイドワイヤが、縫合糸を担持しつつ骨を通じて引かれる。縫合糸が骨を貫通すると、ガイドワイヤが切り離され、廃棄される。
【0179】
ここで図14を参照する。図14は、シャフト(50)の脱連結が可能である実施形態を描写する。
【0180】
換言すれば、図14は、シャフトの迅速な接続(rapid connection)と脱接続のためのコネクタの概略図を表す。そのようなコネクタは、電動式制御部を有する実施形態のために特に有用である。
【0181】
本発明のいくつかの実施形態では、当該円環状の骨トンネル形成デバイスが1以上のモータにより機械的に駆動され、中空チューブおよび支持機構制御部を含むシャフトからの円環状の骨トンネル形成デバイス/縫合糸パサー(即ち、ヘッドおよび細長いボディ)の作動部分の迅速な接続と脱接続のためのコネクタを有してもよい。
【0182】
ここで図14を再び参照する。図14は、そのようなコネクタの一例を示す。該コネクタは、中空であるため、制御部およびその中の駆動機構の物理的接続を可能とし、かつ、少なくとも1つのピボット可能ジョイント900を有する。ピボット可能ジョイント900は、スロットを有し、スロットにマッチするように構成されたピンを有する固定化アクセプタ910を有し、かつ、接続後にジョイントおよびピンをスライドする(それにより接続を固定する)スライド可能なクロージャ(closure:閉包部)920を有する。
【0183】
使用される外科用ニードルの設計(例えば、断面、長さ等)および特性(例えば、機械的特性、剛性または軟性)は、骨内へのニードルの貫通を成功裏に可能とするために決定的な重要性を有することが当業者に理解されるはずである。
【0184】
上述したように、ニードルの決定的な特性の一つは、使用されるニードルの長さである。使用されるニードルが長すぎると、中空チューブによる貫通経路の方向の変化が抵抗を受け、実現が難しくなるであろう。
【0185】
別の実施形態によれば、ニードルは、わずかに湾曲したニードルのストレートなニードルである。本発明の別の実施形態によれば、ニードルの断面領域は、円形、三角形、長方形またはそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0186】
使用される手術用剛性中空チューブの設計(例えば、断面、長さ等)および特性(例えば、機械的特性、剛性または軟性、それが作られる材料)は、骨内へのその貫通を成功裏に可能とするために決定的な重要性を有することが当業者に理解されるはずである。
【0187】
本発明の一つの実施形態によれば、中空チューブの外径は約1〜約3mmの範囲内であり、別の実施形態によれば、内径(ガイドワイヤがそれを貫通する)は約0.5〜約1.5mmの範囲内であり、あるいはそれらの任意の組み合わせである。ここで図17を参照する。図17は、中空チューブの内径(参照数字1701として示される)およびその外径(参照数字1702として示される)の両方を描写する。当該図には、曲率半径(参照数字1703として示される)も描写されている。本発明の一つの実施形態によれば、曲率半径1703は約7.5mm〜約15mmの範囲内であり、特に12.5mmである。別の実施形態によれば、手術用剛性中空チューブは、硬化耐食鋼(hardened corrosion resistant steel)から選択される生体適合性の金属から作られる。
【0188】
ここで図15を参照する。図15は、三角形の断面を有する中空チューブ34を描写する。
【0189】
本発明の一つの実施形態によれば、ワイヤ130が中空チューブ34に通されることは注目すべきである。別の実施形態によれば、中空チューブ34および外科用ニードルは、前記ニードルの周囲(前記中空チューブの断面が円環状の場合)または前記中空チューブのリブ(該断面が三角形または長方形の場合)の少なくとも1つに沿って溝を有し、その全体を通じて前記ワイヤ130が通される。周囲またはリブの一つに沿った溝の形成は、その製造ラインを単純化することを当業者は理解するはずである。ここで図15bを参照する。図15bはそのような実施形態を描写する。この実施形態によれば、ワイヤ130は溝1500に沿っている。
【0190】
本発明の一つの実施形態によれば、三角形の頂点の一つは円弧体の中心に向かって位置している。このような実施形態は、骨内への貫通の間の最小の抵抗を確実にするであろう。
【0191】
ここで図16a−16bを参照する。図16a−16bは、使用されているニードル32がわずかに湾曲したニードルである湾曲したニードルである本発明の他の実施形態を描写する。このような湾曲したニードルは、ニードル32と支持要素54との間の嵌り合いおよびスリップフィットを確実にし、更には、ニードルおよび中空チューブが弧の方向に動くことを可能とする。
【0192】
図16bもまた、中空チューブ34がグローブ1500を有し、それに沿って前記ワイヤ130が通されている実施形態を描写する。
【0193】
使用される手術用剛性中空チューブの設計(例えば、断面、長さ等)および特性(例えば、機械的特性、剛性または軟性、それが作られる材料)が重要であることを当業者は理解するはずである。
【0194】
以上の説明において、好ましい実施形態を含む本発明の実施形態を描写および説明の目的で示してきた。これらは、網羅的であることや、開示された正確な形態に本発明を制限することを意図するものではない。上記の教示に照らして、自明な修正または変形が可能である。本発明の原理およびその現実的適用の最良の描写を提供するため、および、当業者が本発明を種々の実施形態においておよび企図する特定の用途に適する種々の修正と共に利用することを可能とするために、実施形態を選び、説明した。全てのそのような修正および変形は、公平に、法的に、および中立的に認められる広さに従って解釈された場合の特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲に含まれる。
図1A
図1B
図1C
図2a
図2b
図2c
図2d
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図6C
図6D
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15a
図15b
図16a
図16b
図17