(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881699
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】飲料製造装置内のカプセルを検知するための機器
(51)【国際特許分類】
A47J 31/06 20060101AFI20160225BHJP
A47J 31/36 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
A47J31/06 320
A47J31/36 120
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-520064(P2013-520064)
(86)(22)【出願日】2011年7月13日
(65)【公表番号】特表2013-532498(P2013-532498A)
(43)【公表日】2013年8月19日
(86)【国際出願番号】EP2011061913
(87)【国際公開番号】WO2012010470
(87)【国際公開日】20120126
【審査請求日】2014年7月10日
(31)【優先権主張番号】10170042.5
(32)【優先日】2010年7月19日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599132904
【氏名又は名称】ネステク ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114270
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 朋也
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(72)【発明者】
【氏名】ヤーリッシュ, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ケーザー, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ペレンテス, アレクサンドル
【審査官】
大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2010/026053(WO,A1)
【文献】
特開昭55−003876(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0066431(US,A1)
【文献】
特開2005−199070(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2002/0048621(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/06
A47J 31/36
A47J 31/22
B01J 4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料製造装置内のカプセルを検知するための機器であって、
飲料原材料を含む前記カプセルを受け入れるための受容器であり、前記カプセルを挿置するための上部開口、および、底部を有する受容器を備える機器において、
前記受容器内における前記カプセルの外面の相対位置を検知するための少なくとも1つの手段であり、前記相対位置が、前記カプセルが前記受容器内に配置された際の、前記受容器のサイズを表す、手段と、
前記外面の検知された相対位置に関連するコードを生成するための手段と
を備えることを特徴とする、機器。
【請求項2】
前記検知手段が、前記カプセルの底部の位置を検知するように配置された伸縮可能な検知プランジャを備える、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
コードを生成するための前記手段が、前記検知手段の相対位置を測定し、かつ、2進コードを生成するための光学的測定手段または磁気センサを備える、請求項1または2に記載の機器。
【請求項4】
前記受容器が、前記受容器の前記底部に垂直な軸線の周囲を回転するように配置されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の機器。
【請求項5】
前記検知手段が、前記回転軸線と同軸であるシャフトに沿って摺動する、前記受容器の前記底部の内面の孔を通るロッドを備え、該ロッドには、前記受容器内に持ち上げられた前記ロッドの一端を維持するばねが設けられており、当該機器が、前記シャフトに沿って摺動する前記ロッドの前記一端の位置を測定するための手段をさらに備える、請求項4に記載の機器。
【請求項6】
前記ロッドが、前記受容器に取り付けられた円筒中空シャフト内を摺動し、前記受容器の前記底部の前記内面の中央に前記シャフトによって形成された孔を通り、前記ロッドには、前記受容器内に持ち上げられ且つ前記カプセルと接触する前記ロッドの一端を維持するばねが設けられており、前記ロッドの他端が、前記カプセルのサイズに応じた位置で、前記シャフト内を摺動することを特徴とする、請求項5に記載の機器。
【請求項7】
前記受容器内に前記カプセルがない場合、前記ロッドが、ニュートラルな位置にあり、この場合、前記受容器内における前記ロッドの前記一端が、前記上部開口の近くの最も高い位置まで持ち上げられ、前記シャフト内における前記ロッドの他端の位置は、前記受容器の前記底部の近くにあり、前記ばねが完全に解放されることを特徴とする、請求項5または6に記載の機器。
【請求項8】
前記ロッドが、前記受容器の前記シャフトと一体の芯部材上を摺動する1本のチューブによって形成されており、前記芯部材の直径は、前記チューブが、前記シャフトの内壁と前記芯部材の外面との間において前記シャフト内を自由に摺動するように決定されており、前記受容器内に位置する前記チューブの第1の端が、自由端によって閉じられており、前記自由端の外面は、前記受容器内に挿置された際に前記カプセルの前記底部と接触し、前記チューブの第2の端には、前記シャフトに形成されたスロットを横断する少なくとも1つの構成材が設けられていることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載の機器。
【請求項9】
前記ばねが、前記自由端と、前記シャフト内の前記芯部材の一端との間において前記チューブ内に配置されており、前記芯部材が、前記ばねの固定支持点であり、前記芯部材の他端が、前記シャフトの一端の近くにあり、かつ、前記受容器の回転を可能とするモータのシャフトとの結合用部材を形成していることを特徴とする、請求項8に記載の機器。
【請求項10】
前記シャフト内における前記ロッドの前記一端の位置を測定するための前記手段が、複数の光源と、対応する前記光源にそれぞれが関連付けられた複数の光センサとを含む光学センサを備えており、前記シャフトに沿って異なる位置に配置された前記光源のそれぞれが、前記ロッドの構成材に対して光線を発射し、該構成材が、前記光線を対応する前記光センサに向けて反射し、前記光センサが、前記カプセルのサイズまたは前記受容器内の前記カプセルの不在に関連した、前記ロッドの各位置に関する電気信号を生成することを特徴とする、請求項9に記載の機器。
【請求項11】
前記光学センサの前記光源によって発射される前記光線が、前記シャフトの前記スロットを横断する前記ロッドの前記構成材の外面に反射するか、または、前記ロッドの外面もしくは前記シャフト内の前記芯部材の前記外面によって吸収されるかのいずれかであり、対応する前記光センサが、前記光線の反射または吸収に関連して2進ビットを生成することを特徴とする、請求項10に記載の機器。
【請求項12】
前記シャフト内における前記ロッドの前記一端の位置を測定するための前記手段が、複数の光センサと、複数の光源とを含む光学センサを備えており、前記光センサのそれぞれが、前記シャフトの近傍において前記構成材の位置に対応する高さに、前記光源に向けて配置されており、前記構成材が、前記カプセルのサイズの働きにより、または前記受容器内の前記カプセルがないことにより、前記光源と前記光センサとの間において前記光線を遮断することを特徴とする、請求項10または11に記載の機器。
【請求項13】
前記光センサのそれぞれが、照射、または、前記ロッドの前記構成材による遮蔽に関連して2進ビットを生成することを特徴とする、請求項12に記載の機器。
【請求項14】
前記シャフトの一部が、前記シャフト内を摺動する前記ロッドの前記一端を、前記光学センサに関して検知可能とするために、透明プラスチック材料から構成されており、前記ロッドの前記一端には、前記シャフト内において、前記シャフトを閉じている前記芯部材の前記一端と、前記ロッドの最も高い位置によって決定される距離を置いて前記シャフト内に配置された当接部との間を摺動する構成材が設けられており、前記芯部材および前記ロッドまたは前記ロッドの前記構成材が、前記シャフトの透明な部分の近傍に配置された前記光センサに関して対比となるように、光を反射する材料または光を吸収する材料のいずれかによって塗装されていることを特徴とする、請求項10〜13のいずれか一項に記載の機器。
【請求項15】
前記シャフト、前記ロッド、および前記芯部材が、非磁性材料から作製されており、前記シャフト内を摺動する前記ロッドの前記一端には、永久磁石を含む構成材が設けられており、前記構成材が、前記シャフト内において、前記シャフトを閉じている前記芯部材の前記一端と、前記ロッドの最も高い位置によって決定される距離を置いて前記シャフト内に配置された当接部との間を摺動し、前記シャフト内における前記ロッドの前記一端の位置を測定するための前記手段が、複数のリードリレースイッチを含む磁気センサを備えており、前記複数のリードリレースイッチが、異なるカプセルのサイズに対応した、前記シャフトに沿った位置に配置され、前記リードリレースイッチが、前記受容器内に挿置される前記カプセルのサイズに関連して、または前記カプセルがないことに関連して前記シャフト内を摺動する前記ロッドの前記一端に取り付けられた前記永久磁石によって作動されることを特徴とする、請求項8〜14のいずれか一項に記載の機器。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の機器を備える飲料製造装置。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の機器と、使用時に飲料原材料を含むカプセルとの組合せであって、
前記カプセルが、前記受容器内に配置され、前記カプセルが、前記機器の前記検知手段と係合し、前記カプセルのサイズを表す相互係合を形成する外面を備え、コードが前記底部の検知された位置に関連して生成される、組合せ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料原材料を含むカプセルを使用することによって飲料を調製するための飲料製造装置に関連した検知機器に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料原材料を含むカプセルによって飲料を調製することは、周知である。一般に、カプセルは、コーヒーメーカーなどの飲料製造装置内に挿置され、液体が、カプセル内に供給され、こうして、飲料が、圧力や重力によって、カプセルから抽出される。
【0003】
遠心力を利用した飲料の調製は、周知である。この原理は、主に、カプセルの容器内に飲料原材料を供給し、受容器内に液体を供給し、そして、液体と粉末との相互作用を確実にする一方で、受容器内に液体の圧力勾配を形成する(なお、このような圧力は、受容器の中心部から周辺部にかけて徐々に高くなる)ために高速で受容器を回転させることを基礎としている。液体が、コーヒーベッドを通過するとき、コーヒー複合物の抽出が行われ、受容器の周辺部から流出する液体抽出物が得られる。
【0004】
「カプセル」という用語は、可撓性、剛性、または半剛性の、飲料原材料を含む任意の容器を意味する。その他、カプセルの同義語に、「ポッド」、「パッド」、「カートリッジ」、または「小袋」がある。カプセルは、使い捨てであってもよい。また、容器には、使用直前にカプセルを形成するために、使用者によって原材料が充填されてもよい。
【0005】
原材料という用語は、挽いたコーヒー、可溶性コーヒー、葉茶、可溶性茶、ハーブティー、乳粉末、料理粉末、乳児食品、およびこれらの組合せなど、任意の適切な飲料物質を意味している。
【0006】
機械センサ、光学センサ、または磁気センサを用いて飲料製造装置内のカプセルを識別するためのシステムが、存在している。しかしながら、一般に、これらのシステムには、あるカプセルと別のカプセルとを区別できるように、機械識別子、バーコード、または磁気標識など、カプセル上に特定のマーカーが必要である。このようなマーカーを付与することは、カプセルに関する技術的制約につながり、また、費用のかかることでもある。さらに、カプセル上の特定のマーカーは、カプセルを取り囲む蒸気環境または液体環境に弱い。したがって、マーカーの信頼性の高い読取りが、常に保証されているわけではない。国際公開第2010/026053号パンフレットは、遠心力を利用する制御された飲料製造装置に関する。カプセルは、カプセルの外面に付与されるバーコードを備えることができ、そのバーコードによって、調製される飲料に適した所定の抽出プロファイルを適用するために、カプセルの種類および/またはカプセル内に供給された原材料の種類を検出することが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、飲料製造装置において供給される液体の送出および物理的パラメータなどの作動淹出パラメータを確実に制御するために、受容器内に挿置されたカプセルを、より簡潔でより効果的な方法で検知するための機器を提供することである。具体的には、本発明は、標準的なバーコード、磁気タグ、または他の認識手段など、カプセル上の特定の従来のマーカーまたは識別子を使用する必要がないため、カプセルがさらに経済的になり、また、淹出状況下における誤作動の危険性が防止される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、飲料製造装置内のカプセルを検知するための機器であって、飲料原材料を含む前記カプセルを受け入れるための受容器であって、カプセルを挿置するための上部開口、および、底部を有する受容器を備える機器において、受容器内のカプセルの外面の相対位置を検知するための少なくとも1つの手段であって、前記相対位置は、カプセルが受容器内に配置された際の、受容器のサイズを表す手段と、前記外面の検知された相対位置に関連するコードを生成するための手段とを備えることを特徴とする機器によって、達成される。
【0009】
一般に、検知手段は、カプセルの底部の位置を検知するように配置された伸縮可能な検知プランジャを備えることが好ましい。
【0010】
コードを生成するための手段は、検知手段の相対位置を測定し、かつ、2進コードを生成するための光学的測定手段または磁気センサを備えることが好ましい。
【0011】
好ましい態様では、受容器は、前記受容器の底部に垂直な軸線の周囲を回転するように配置される。
【0012】
検知機器は、飲料製造装置の作動淹出パラメータを制御するために使用され得るコードを飲料製造装置に供給する。
【0013】
作動パラメータには、受容器の回転速度、ならびに/または、カプセルに供給され、前記カプセルを通過して流れる液体の送出および物理的パラメータが含まれてもよい。このような送出および物理的パラメータには、供給される液体の流量、体積、加熱温度、およびこれらの組合せが含まれてもよい。
【0014】
より詳細には、検知手段は、回転軸線と同軸であるシャフトに沿って摺動し、かつ、受容器の底部の内面の孔を通過するロッドを備え、前記ロッドには、受容器内に持ち上げられた、ロッドの端を維持するばねが設けられ、前記機器は、シャフトに沿って摺動するロッドの端の位置を測定するための手段をさらに備える。
【0015】
上記機器の構成によれば、シャフトは、受容器の底部の外面の中央に、垂直方向に取り付けられる。ロッドは、受容器の中央の近くの孔をそれぞれが通過する複数の部品に分割されてもよい。孔を越えた側では、ロッドの各部品は、受容器内に挿置されるカプセルのサイズの働きで、シャフトに沿って外側に摺動する。シャフトに沿った各部品の端の位置は、測定手段によって測定される。この構成は、ロッドの部品が通過する孔を通って液体が漏れる可能性があるため、受容器の内部と外部との間の水密性に関する欠点を有する場合がある。
【0016】
この可能性のある欠点を克服し、製造工程をより容易なものとするために、好ましい構成では、受容器の底部の中央に、および、前記受容器の底部の外面に垂直に取り付けられた円筒中空シャフトの軸線の周囲を回転する受容器が備えられる。シャフトは、受容器の底部の内面の中央に孔を形成する。上記機器は、シャフト内を摺動し、かつ、受容器の底部の内面の孔を通過するロッドを備える。ロッドには、受容器内に持ち上げられた、ロッドの一端がカプセルと接触した状態を維持するばねが設けられており、ロッドの他端は、カプセルのサイズに応じた位置まで、シャフト内を摺動する。したがって、一部がシャフトの外部ではなくシャフトの内部を摺動するロッドを含むこの解決策は、受容器の孔の下の、ロッドの周囲のみの1つのパッキングランド(packing gland:パッキン押さえ)によって受容器を水密にすることに、より適している。
【0017】
生成される飲料の中身およびタイプに応じて異なるサイズのカプセルが、利用可能である。ロッドの端の位置は、受容器内に挿入されるカプセルのサイズに応じて変化する。受容器の体積のほぼ全体を占める大カプセルは、ロッドを受容器の底部まで押す一方で、シャフト内の端の位置は、受容器の底部から最も離れることとなる。反対に、小カプセルは、シャフトの方向に短い距離だけロッドを押し、これにより、上記端は、受容器の底部により近くなる。
【0018】
受容器が空のとき、ロッドは、ニュートラルな位置にあり、この場合、受容器内のロッドの一端は、上部開口に近い最も高い位置まで持ち上げられる。このとき、シャフト内を摺動するロッドの他端は、受容器の底部に近くなる。したがって、持ち上げられるロッドを維持するばねは、完全に解放される。
【0019】
シャフト内のロッドの端の位置は、カプセルを受容器内に挿置して飲料を生成する機器を始動させると受容器と共に回転するロッドとの電気的接触部をもたない光学手段または磁気手段によって測定される。
【0020】
別の可能な実施形態では、前記外面の検知された相対位置に関連するコードを生成するための手段は、ロッドの相対位置の関数としての可変抵抗を測定するためのポテンショメータを備える。
【0021】
本発明は、非限定的な例として挙げた添付図面を参照し、以下の詳細な説明のおかげで、より理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】大サイズのカプセルを含む受容器を示しており、この場合、カプセルを検知するため機器のロッドは、受容器内の最も下の位置にある。
【
図2】中サイズのカプセルを含む受容器を示しており、この場合、カプセルを検知するための機器のロッドは、受容器内の中央の位置にある。
【
図3】小サイズのカプセルを含む受容器を示しており、この場合、カプセルを検知するための機器のロッドは、受容器内の高い位置にある。
【
図4】空の受容器を示しており、この場合、カプセルを検知するための機器のロッドは、受容器内のニュートラルな位置にある。
【
図5】シャフトのスロットを通過する光線の、ロッドの構成材(member)における反射/吸収に基づいた光学検知手段の概略図を示している。
【
図6】光線が、ロッドの構成材によって遮断されたり、遮断されなかったりする光バリアに基づいた光学検知手段の概略図を示している。
【
図7】シャフトの透明な部分を通過する光線の、ロッドによる反射/吸収に基づいた光学検知手段の概略図を示している。
【
図8】シャフト内を摺動するロッドの端に取り付けられた永久磁石によってオン/オフが切り替えられるリードリレーに基づいた磁気検知手段の概略図を示している。
【
図9】ロッドが受容器に取り付けられていないシャフト上を摺動し、光学検知手段がロッドおよびシャフトにおける光線の反射/吸収に基づいている機器の実施形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜
図4は、国際公開第2010/026053号パンフレットに記載されているような飲料調製システムにおいて使用され得るカプセル受容器1の例を示している。本発明のカプセル2を検知するための機器は、カプセル2内の原材料に遠心力を加える回転受容器1に適合するよう特別に設計されている。
【0024】
受容器1は、一般に、カプセル2を挿置するための上部開口、および、受容器を閉じる下底部を伴う円筒形状または円錐台形状のキャビティー(空洞部)を形成している。開口の直径は、カプセル2の本体よりもわずかに大きくなっている。開口の輪郭は、カプセル2が挿置された場合に開口の縁に載置されるように構成された、カプセルのリムの輪郭に適合している。下底部には、底部の外面の中央に、垂直方向に取り付けられた円筒中空シャフト3が設けられている。受容器1は、中空シャフト3の中心軸線Rの周囲を回転する。受容器の底部の内面の中央には、シャフト3の内部と連通する孔が設けられている。
【0025】
本発明の検知機器の機械部品は、受容器1の中央の孔を通過し、かつ、シャフト3内を摺動するロッド4を備える。ロッド4は、シャフト3の固定点と、受容器1内に出ているロッド4の端との間に配置されたばね8のおかげで、受容器1の内側に持ち上げられた状態に維持される。カプセルのサイズに応じて、受容器内の適切な位置に挿置された際のカプセル2の底部によって、ロッド4は、多かれ少なかれシャフト3の方向に押され、ばね8は、多かれ少なかれ圧縮される。
【0026】
カプセル2が受容器1内に配置されていないとき、ロッド4は、ニュートラルな位置にある。つまり、ばね8は、ロッド4を押すいかなる力も受けず、完全に解放される。したがって、シャフト3内のロッドの一端の位置は、受容器1の底部の近くにあり、一方、他端は、開口の近くにある。
【0027】
受容器内にカプセルを配置するには、カプセルに圧力を加えることが必要である。この圧力は、具体的には、淹出機器の液体供給アセンブリ(図示せず)を、国際公開第2010/026053号パンフレットに記載されているようなカプセルの上面に対して、物理的に押し当てることによって、得られる。液体供給アセンブリは、特定の閉鎖圧をカプセルの上面に加える表面を備える。結果として、カプセル2によって、ロッド4が押され、これにより、カプセル2のリムが、受容器1の上縁の輪郭全体に載置される。
【0028】
図1〜
図4は、受容器1内のカプセルのサイズに応じたロッド4の移動を可能とするいくつかの機械要素と関連付けられたロッド4の機械的実現の例を示している。
【0029】
ロッド4は、受容器1のシャフト3に固定された芯部材5上を摺動する金属またはプラスチックの1部品としてのチューブによって、形成されている。芯部材5の直径は、チューブがシャフト3の内壁と芯部材5の外面との間においてシャフト3内を自由に摺動できるように決定される。受容器内に位置する、チューブの第1の端は、自由端10によって閉じられている。なお、自由端10の外面は、受容器内に挿置された際のカプセルの底部と接触する。チューブの第2の端には、シャフト3に形成されたスロット7を横断する少なくとも1つの部材6が設けられている。回転中のバランスのため、チューブの第2の端には、対称的に配置された少なくとも2つの部材6が設けられており、シャフト3は、その外面の周囲に同様に対称的に配置された対応するスロット7を含んでいる。
【0030】
製造工程の設備およびコストに関する理由から、シャフト、ロッド、芯部材、ばねなどの機械構成部品は、円筒をベースにした形状に作製されることが好ましい。
【0031】
部材6の主な役割は、受容器1内のカプセル2のサイズまたは存在に応じた、ロッド4の端の位置を、測定手段によって外側から検知可能とすることである。別の役割は、受容器1側から引っ張ったときにロッド4がシャフト3から脱離することを防止することである。部材6は、ばね8が解放される最も高い位置にロッド4があるときは、スロット7の上縁に当接する。
【0032】
ばね8は、自由端10と、シャフト3内の芯部材5の一端との間において、チューブ内に配置されている。なお、芯部材5は、ばね8の固定支持点になっている。芯部材5の他端は、シャフト3の端を閉じており、また、受容器1の回転を可能とするモータのシャフト(図示せず)を取り付けるための結合用部材9を形成している。
【0033】
カプセル検知機器の各機械構成部品は、金属材料またはプラスチック材料のいずれからでも個々に作製され得ることに留意されたい。つまり、例えば、芯部材が金属製であり、ロッドのチューブがプラスチック材料製であってもよいし、または、この逆であってもよい。
【0034】
ロッド4の位置の測定手段11は、シャフト3内を摺動するロッド4の端の光学的読取りまたは磁気的検知に基づいている。
【0035】
光学的測定手段
ロッド3の端の位置は、シャフト3のスロット7を横断する部材6に働き掛ける光学センサ12によって読み取られる。光線13は、シャフト3に沿って異なる高さに配置された光源14を用いて、部材6に向けて発射される。部材6の検知可能な外部には、反射した光線を受光したときに電気信号を生成する、光センサのセル15に向けて光線13を反射する表面が備わっている。小サイズ、中サイズ、または大サイズのカプセル2によって決まる、ロッド4の各位置には、光源14および光センサ15を備える光学センサ12が対応付けられている。
【0036】
光学センサ12は、焦点調節光学部品を備える光源14、または備えない光源14と、焦点調節光学部品を備える光センサ15、または備えない光センサ15からなる。光源14は、インコヒーレント(レーザ)光、または、コヒーレント(レーザ)光のいずれかを発射する。光スペクトルは、任意であってもよいが、赤外バンドから選択されることが好ましい。
【0037】
図5は、
図1〜
図3によって示されているカプセル2の3つのサイズに合わせて配置された光学センサ12の概略図を示している。光学センサ12の光源14によって発射された光線13は、スロット7を横断する部材6の外面に反射するか、または、ロッド4の外面もしくはシャフト3内の芯部材5の外面によって吸収されるかのいずれである。対応する光センサ15は、光線13の反射または吸収に関して、2進ビット「0」または「1」を生成する。
【0038】
光線と接触する表面は、最適な条件で光を吸収または反射する適切な材料によって処理されている。
図5の例によれば、中サイズのカプセルは、2進コード「010」を生成し、大サイズのカプセルは、「001」を生成し、小サイズのカプセルは「100」を生成する。カプセル2が、受容器1内に挿置されていないとき、ロッド4の部材6は、センサ12によって測定される空間の外の最も高い位置にある。 したがって、光線13は、シャフト内の芯部材5によってすべて吸収され、この結果、センサ15は、2進コード「000」を生成する。さらに、コードのビットは、反射がビット「0」を生成する一方で、吸収がビット「1」を生成するようなセンサ15の構成において反転させてもよい。
【0039】
この2進コードは、カプセルのサイズを考慮することによって機械パラメータを管理する、飲料製造装置の制御装置に伝達される。これらのパラメータは、例えば、供給される水の水量、水温、圧力、流量、および受容器の回転速度などである。
【0040】
図6に示されている実施形態によれば、ロッド4の位置の光学的読取りは、光バリア原理に基づいていてもよく、この場合、光源14は、光センサ15に向けて配置される。カプセルの3つのサイズに対して、3対の光源および光センサが、必要とされる。光センサ15に向けられた光源14は、シャフト3の近くの、部材6の位置に対応する高さに配置される。部材6の幾何学的形状、ならびに、シャフト3の近くの光センサ15および光源14の位置は、カプセル2のサイズの働きにおいてロッド3の位置に応じて、光線13を遮断するか、または、遮断しないように、調整されている。
【0041】
図6は、ロッド3が中サイズのカプセルに応じた位置にある例を示している。この場合、光線13は、最も低い位置の光センサ15および最も高い位置の光センサ15を照射し、一方、中間の位置にあるセンサは、ロッド3の部材6によって遮蔽される。したがって、中サイズのカプセル2は、2進コード「101」を生成し、大サイズのカプセルは、コード「110」を生成し、小サイズのカプセルは、コード「011」を生成する。受容器1からカプセル2が取り除かれているとき、ロッド3は、その最も高い位置にあるため、センサ15のすべてが、それぞれの光線13によって照射され、この結果、コード「111」が生成される。前述の実施形態の場合のように、コードのビットは、照射されたセンサ15がビット「0」を生成する一方で、隠されたセンサがビット「1」を生成するように、反転させてもよい。
【0042】
図7に示されているさらなる実施形態によれば、シャフト3の一部は、シャフト3内を摺動するロッド4の端を、光学センサ12によって検知可能とするために、透明プラスチック原材料から構成されてもよい。したがって、シャフトには、ロッドの構成材を通すためのスロットは、もはや必要ではない。この場合、スロットは、ロッド4の脱離を防止するために構成された、シャフト3の内壁の当接部17と置き換えられる。当接部17は、ロッド4の最も高い位置、つまり、受容器1からカプセル2が取り除かれているときのロッド4の位置によって決まる距離だけ、シャフト3を閉じる芯部材5の端から離して配置される。したがって、シャフト3内を摺動するロッド7の端にある部材6は、シャフト3内の当接部17の形状および寸法に応じた寸法に形成されている。
【0043】
構成例では、シャフト3の透明壁を介した、ロッド4の位置の読取りのための適切な対比を実現するために、芯部材5が、光を吸収する黒色に塗装され、ロッド4のチューブが、光を反射する色に塗装されてもよいし、または、この逆であってもよい。別の実施形態では、ロッド4の端部のみが、ロッド4の塗装の範囲とされる一方で、残りの部分は、黒色に塗装される。双方の構成とも、ロッド4の位置は、
図5の実施形態で使用されたのと同様の光学センサ12によって読み取られる。したがって、光源14および光センサ15は、シャフト3の透明な部分の近くに配置される。
【0044】
図7の例では、ロッド4は、全体的に、光を反射するようになっており、芯部材5は、光を吸収するようになっている。中サイズのカプセル2は、2進コード「110」を生成し、大サイズのカプセルは、コード「111」を生成し、小サイズのカプセルは、コード「100」を生成する。カプセル2が取り除かれているときは、コード「000」が生成される。なぜなら、ロッド4の位置が、光学センサ12によって測定される空間の外に出ているからである。したがって、光線13は、芯部材5によってすべて吸収される。前述の実施形態の場合のように、コードのビットは、反射がビット「0」を生成する一方で、吸収がビット「1」を生成するように、反転させてもよい。
【0045】
さらなる実施形態では、シャフト3の透明な部分は、シャフト3内を摺動するロッド4の端を、光学センサ12によって検知可能とするように構成された1つまたは複数のスロットと置き換えられてもよい。
【0046】
図9に示されているさらなる実施形態では、シャフト3は、受容器1に取り付けられておらず、受容器1の回転は、モータのシャフトに取り付けられる結合用部材9を介してシャフト3により駆動されるロッド4によって可能とされている。
【0047】
チューブから構成されたロッド4は、受容器1の底部の中央にある孔を介して受容器1を横断しており、また、ロッド4および回転軸線Rと同軸であるシャフト3上を摺動する。
【0048】
孔の形状および前記孔を横断するロッド4の部分の形状は、楕円形、または、軸線Rの周囲における受容器1の回転を駆動するのに適した任意の他の形状であってもよい。受容器1の外部と内部との間の水密性は、孔の輪郭に対応した輪郭を有する、Oリングなどの連結具22によって獲得される。受容器内のロッド4の端を維持するばね8は、シャフト3の端とロッド4の自由端10との間に配置されている。シャフト3とロッド4との結合は、ロッド4の内壁の溝20を摺動する少なくとも1つのピン21 によって行われている。溝20の長さは、受容器内にカプセルがない場合の最も高い位置と、最大サイズのカプセルが受容器1内に挿置された場合に達せられる最も低い位置との間の、ロッド4が移動範囲とする距離によって、決定される。溝20の下端は、シャフト3が、受容器1からシャフト3を引っ張ることによって、ロッド4から脱離することを防止する当接部になっている。回転時のバランスに関する理由から、ロッド4の溝20と対応する2つ以上のピン21は、ロッド4内においてそれぞれ、シャフト3の周囲に対称的に分散されている。
【0049】
図9は、受容器1内にカプセルがない場合に、ロッド4が最も高い位置にあり、ばね8が完全に解放されている例を示している。ロッド4の端の位置は、
図5または
図7の実施形態の場合のように、光学センサ11によって読み取られる。シャフト3とロッド4との対比は、適切な塗装によって改善されてもよい。つまり、ロッド4が、光を反射する材料によって塗装される一方で、シャフト3が、光を吸収する材料によって塗装されたり、または、この逆に塗装されたりする。
【0050】
磁気センサ
さらなる実施形態では、光学センサは、水密の小さなガラス管内に密封されたスイッチ(リードリレー)を制御する永久磁石を用いた磁気センサと置き換えられる。
【0051】
磁気センサは、カプセルの異なるサイズに対応した、シャフト3に沿った位置に配置されたリードリレースイッチ19からなる。スイッチ19は、受容器1内に挿置されるカプセル2のサイズまたはカプセルの不在に関連してシャフト3内を摺動するロッド4の端に取り付けられた永久磁石18によって作動される。
【0052】
図8に示されているように、永久磁石18は、シャフト3内を摺動するロッド4の端に配置されている。磁石18は、ロッド4の端を囲む端部材またはリングの形態に構成されてもよい。また、この磁石18は、ロッド4の脱離を防止するために構成された、シャフト3の内壁の当接部17と接触する部材として使用されてもよい。
図7の透明シャフトを有する実施形態の場合のように、シャフトのスロットは必要ない。なぜなら、磁場は、吸収または逸脱されることなく、非磁性材料を横切るからである。したがって、この実施形態では、ロッド4のチューブ、シャフト3、および芯部材5は、アルミニウム、真鍮、またはプラスチック材料などの非磁性材料から作製されなければならない。
【0053】
永久磁石の磁場は、シャフト3を横切り、リードリレースイッチ19を開くか、または、これを閉じる。これらのスイッチ19は、機器の制御装置と接続された電気回路に配置され、また、シャフト3内を摺動するロッド4の端にある磁石18の位置に関連して2進コードを生成するように構成されている。
【0054】
図8の例では、中サイズのカプセルによって、磁石18が、中間スイッチ19に向けて配置されて、中間スイッチ19が、磁場の作用によって閉じられている。上側および下側のスイッチ19は、開いたままである。
【0055】
中サイズのカプセル2は、コード「010」を生成し、大サイズのカプセルは、コード「001」を生成し、小サイズのカプセルは、コード「100」を生成する。カプセル2が取り除かれているときは、コード「000」が生成される。なぜなら、磁石18の位置が、最も高い位置のスイッチ19よりも上方にあり、この場合、最も高い位置のスイッチ19は、下の2つのスイッチと同様に開いているからである。さらに、コードのビットは、閉じたスイッチがビット「0」を生成する一方で、開いたスイッチがビット「1」を生成するような磁気センサの構成によって、反転させてもよい。
【0056】
この実施形態の利点は、簡潔性に加えて、電力消費量が、光源および光センサへの電力供給を必要とする光学センサを有する実施形態と比較して低減されることである。
【0057】
本機器については、カプセルから液体を抽出するために遠心力を加えることを利用した飲料製造装置に関連して、より詳細に説明を行ってきたが、この機器は、液体を抽出するために別個のポンプまたは重力による圧力を利用した飲料製造装置であって、受容器が受容器の底部の中心を通過する垂直方向の軸線の周囲を回転しないような飲料製造装置の一部であってもよい。