特許第5881703号(P5881703)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881703
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】コンパクトなスクロールファン組立体
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/00 20060101AFI20160225BHJP
   F04D 17/16 20060101ALI20160225BHJP
   F04D 29/42 20060101ALI20160225BHJP
   A62B 9/00 20060101ALI20160225BHJP
   A62B 23/00 20060101ALI20160225BHJP
   A62B 18/02 20060101ALI20160225BHJP
   H02K 7/14 20060101ALN20160225BHJP
【FI】
   F04D29/00 B
   F04D17/16
   F04D29/42 H
   A62B9/00 Z
   A62B23/00
   A62B18/02 B
   !H02K7/14 A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-527312(P2013-527312)
(86)(22)【出願日】2011年9月1日
(65)【公表番号】特表2013-542356(P2013-542356A)
(43)【公表日】2013年11月21日
(86)【国際出願番号】US2011050185
(87)【国際公開番号】WO2012031105
(87)【国際公開日】20120308
【審査請求日】2014年5月22日
(31)【優先権主張番号】61/379,113
(32)【優先日】2010年9月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】ハーゲン, ロナルド, エー.
(72)【発明者】
【氏名】マクラフリン, キース, ケー.
【審査官】 所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−218864(JP,A)
【文献】 特表2007−506482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/00
A62B 9/00
A62B 18/02
A62B 23/00
F04D 17/16
F04D 29/42
H02K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式空気浄化呼吸器で使用されるラジアルファン組立体であって、
羽根車と、
プリント基板(PCB)と、
第1のスクロールケーシング要素と第2のスクロールケーシング要素とを備えるスクロールケーシングと、を備え、前記プリント基板が、前記第2のスクロールケーシング要素として機能する、ラジアルファン組立体。
【請求項2】
電動式空気浄化呼吸器であって、
フィルタ組立体と、
第1のスクロールケーシング要素と第2のスクロールケーシング要素とを備える少なくとも1つのスクロールケーシングを含むラジアルファン組立体と、を備え、
リント基板が、前記第2のスクロールケーシング要素として機能する、電動式空気浄化呼吸器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動式空気浄化呼吸器で使用されるラジアルファン組立体であって、スクロールケーシングがプリント基板の少なくとも一部分を含むラジアルファン組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
ラジアルファン、又は遠心ファンとしても知られるスクロールファンは、様々なデバイスにおいて様々な目的に使用される。用途としては、例えば、温度調節器、車両及び機械類の冷却装置、個人的な快適さ、換気、ヒューム排出、粉塵除去、及び乾燥が挙げられる。特に、スクロールファンは、ドライヤー及びリーフブロワーからパーソナルコンピュータの冷却ユニット及び電動式空気浄化呼吸器に及ぶ様々なデバイスに使用することができる。
【0003】
典型的なスクロールファンは、スクロール形状のケース及び羽根車と呼ばれる可動構成要素を有する。羽根車の多くは中心軸で構成され、その周りに1式のブレード又はリブが配置される。空気は中心軸の中又は近くのファンに通常入る。次に、羽根車が回転するにつれて空気は中心軸からスクロール形状のファンケースの開口部に移動する。空気は偏向及び遠心力によって排気口へと外向きに回転する。スクロールファンはファンの吸気口に対して斜め又は垂直の角度で空気を吹き出す。スクロールファンは、所与の空気量に対して他のタイプのファンより大きな圧力を生成することが可能で、それは上述のような特定用途には望ましいことであり得る。
【0004】
スクロール形状のケース及び羽根車に加えて、スクロールファンは一般的に、モータ及び多くの場合制御回路を含む。従来のスクロールファン構造は、スクロールケーシング、スクロールケーシング内に封入される羽根車、羽根車を回転させるモータ、及び多くの場合モータ内に装着される小さなプリント基板(PCB)を有する。次に、モータ及びPCBは、コネクタリボン又は他の手段を経由してより大きなプリント基板に接続され得る。次に、スクロール及びより大きなPCBは各々の特定デバイス内に収容される。
【0005】
スペースは任意のスクロールファンの設計の重要な制約要因になり得る。電動式空気浄化呼吸器(PAPR)も例外ではない。スクロールファンを含むPAPRは、フード、ヘルメット、顔面マスク、スーツ、ベルトに装着される呼吸用マスク、及び他の形式を含む様々なデザインで提供され得る。これらのデザインの多くは、特にPAPRが携帯可能である、又は着用者によって持ち運ばれることを意図する場合、軽量な、人間工学的、かつコンパクトなデザインが特に重要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本開示は、電動式空気浄化呼吸器で使用されるラジアルファン組立体に関する。ラジアルファン組立体は、少なくとも羽根車、プリント基板、及びスクロールケーシングを含む。スクロールケーシングは第1のスクロールケーシング要素及び第2のスクロールケーシング要素を含む。第2のスクロールケーシング要素はプリント基板の少なくとも一部分を含む。
【0007】
別の態様では、本開示は、電動式空気浄化呼吸器(PAPR)に関する。PAPRは、少なくとも1つのフィルタ組立体及びラジアルファン組立体を含む。ラジアルファン組立体はスクロールケーシングを含む。スクロールケーシングはプリント基板の少なくとも一部分を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の本発明の異なる実施形態の詳細な説明を、添付の図面と併せて考慮することで、本発明のより完全な理解が可能である。
図1】例示的な電動式空気浄化呼吸器の図。
図2】電動式空気浄化呼吸器で使用するコンパクトなスクロールファン組立体を備えた送風機組立体の分解組立図。
図3】コンパクトなスクロールファン組立体の上面図。
図4】コンパクトなスクロールファン組立体の分解組立図。
図5】送風機組立体の切断図。
図6】本開示と一致する例示的なプリント回路基板の上面図。 以下に示す例示した実施形態の説明において、本発明を実施し得る様々な実施形態を実例として示す添付図面を参照する。本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態を利用することができ、また構造的変更を行なってもよいことを理解されたい。図面の縮尺は必ずしも正確ではない。図面で用いられる同様の番号は同様の構成要素を示すものとする。しかしながら、特定の図中のある要素を示す数字の使用は、同じ数字によって示される別の図中のその要素を限定するものではないことが理解されよう。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の好ましい実施形態を示す添付図面を参照して、本発明をより詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書で説明する実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろこれらの本実施形態は、本開示が徹底的かつ完全に、そして十分に本発明の範囲を当業者に伝達するように提供される。
【0010】
図1は例示的な電動式空気浄化呼吸器10(PAPR)を示す。電動式空気浄化呼吸器(PAPR)は健康に有害又は有毒な可能性のある粉塵、ヒューム、又はガスが存在すると分かっている、又は存在する危険性のある領域で作業するために一般的に使用される種類の呼吸用マスクである。PAPRは、呼吸用マスクの使用者に強制空気流(forced flower of air)を送達する電動モータ駆動式ファンを含む送風機組立体18を有する。フィルタ(単数又は複数)は送風機組立体に嵌着され、そこから空気がファンによって引き込まれる。空気は、送風機組立体18から呼吸管又はホース16を通って使用者11の封じ込められた環境へと通過する。そのような環境は、保護面14(図1に例示されるように)、ヘッドピース、又はスーツによって包囲されることが多い。図示した実施形態では、保護面は更に保護用ヘルメット12を含む。このようにして、ホース16は使用者の呼吸ゾーン58にろ過した空気を供給する。
【0011】
保護面14は着用者が良く見えるように比較的透明であり得、ポリカーボネート材料又は任意の他の好適な材料から形成され得る。保護用ヘルメット12は、使用者の顔面と接触して、使用者の呼吸ゾーン58内のろ過した空気と外部環境との間にバリアを設けるシール部材又は顔面シール13を更に含み得る。保護面14は、単一ユニットとして成型されてもよく、又は後で互いに取り付けられる多数の構成要素を含んでもよく、又は任意の他の適切な方法により構成されてもよい。
【0012】
図示した構成では、送風機組立体18はベルト19に装着され、使用者11によってウエストのまわりに着用される。あるいは、送風機組立体は、使用者が送風機組立体18を着用又は携帯できるバックパック又は任意の他のデバイスに装着され得る。ホース16は、空気の流れを送風機組立体18から、図示した実施形態で保護面14及びヘルメット12によって封じ込められる使用者の呼吸ゾーン58まで導くために使用される。
【0013】
PAPRの1つの特定の構造が上述されるが、PAPRの任意の変形又は構成を本開示に従って使用することができる。例えば、1つの構成ではフィルタ及び送風機組立体は、保護用ヘルメット又はフェースピース(呼吸補助PAPRとしても知られる)に直接装着されてもよい。
【0014】
図2は、電動式空気浄化呼吸器で使用するコンパクトなラジアルファン又はスクロールファン組立体30を備えた送風機組立体20の分解組立図を示す。多くのPAPRは、前述したように使用者によって着用される又は持ち運ばれるので、送風機組立体の寸法、重量、及び形状は重要な因子であり、使用者の快適さ及び移動性に寄与し得る。ファンはPAPR内の重要な構成要素である。モータの効率及び速度に加えて、羽根車の直径、羽根のデザイン、及びスクロールケーシングのシール等の因子は使用者に供給する空気圧及び空気量に影響し得る。
【0015】
図2は、空気量及び空気圧の水準を維持しながら、送風機組立体20内のファン組立体30に必要な全体のスペースを低減できるコンパクトなラジアルファン組立体30の実施例を示す。送風機の後側ケース22は、送風機組立体20の外部構造を提供する。後側ケース22は、使用者によって着用され得る又は持ち運ばれ得るベルト、ハーネス、バックパック、又は他の品目に送風機組立体20を取り付けるためのクリップ、ストラップを通し得るスロット、連動装置、又は1つ以上の他の特徴を含み得る。図示した実施形態では、ファン組立体30は送風機の後側ケース22に隣接して嵌合する。ファン組立体30は、第1のスクロールケーシング要素34、及び本実施形態において第2のスクロールケーシング要素として機能するプリント基板(PCB)31を含む。第1のスクロールケーシング要素34は、スクロールファンを通って気流を導く又は封じ込める機能をするスクロールケーシングの任意の部分であり得る。第1のスクロールケーシング要素34は、円筒形又はボウル状の形状が挙げられるがこれらに限定されない任意の実現可能な形状を有し得る。第1のスクロールケーシング要素34は、成型、鋳造、プレス加工、又は他の適切な製造方法によって形成され得る。
【0016】
第2のスクロールケーシング要素もまた、スクロールファンを通って気流を導く又は封じ込める機能をするスクロールケーシングの任意の部分であり得る。図示した実施形態ではPCB 31は第2のスクロールケーシング要素として機能するが、PCB 31は第2のスクロールケーシング要素の一部のみであってもよい。例えば、任意の適切な材料で作られた追加の構成要素がPCB 31に固定され、組み合わせたとき、第2のスクロールケーシング要素を形成してもよい。
【0017】
第1のスクロールケーシング要素34はPCB 31に装着され、フィルタ構成要素26を通って引き込まれ、スクロールの周りを回転し、使用者に供給される空気の経路を形成する。プリント基板31は、単層又は多層、剛性又は可撓性の形状において、有機基材又は無機基材を使用してもよい。送風機の前側ケース24、すなわち着用者の身体と反対に向いている送風機のケースの部分は、ファン組立体30を覆って嵌合し、送風機の後側ケース22と接続する。フィルタ構成要素26は送風機の前側ケース24の前方に嵌合する。フィルタ構成要素26は、例えば、クリップ、ねじ、スナップ、フィルタ構成要素26を摺動させてスロットに入れる等の様々な方法で、又は当該技術分野において周知の他の方法で、送風機の前側ケース24に取り付けられ得る。この構築は、ファン組立体が周囲空気をフィルタ構成要素26を通して羽根車36内及びスクロールケーシング(後述の図に図示される)の周りに引き込み、排気口37を経由して空気を使用者の呼吸ゾーンに押し入れることを可能にする。
【0018】
フィルタ構成要素26は、多様な材料のうちの任意の1つ以上を含んでもよく、多様な物質を標的としてもよい。例えば、フィルタ構成要素26は従来の濾床、ひだ付きの媒体、又は任意の他のタイプの濾過媒体、若しくは媒体の組合せを含むことができる。フィルタ媒体は、微粒子濾過媒体、化学的濾過媒体、又はこれら2つの任意の組合せを含んでもよい。化学品濾過媒体は1つ以上の吸着剤、触媒、又は化学反応性媒体を含むことができ、アンモニア、メチルアミン、ホルムアルデヒド、塩素、塩化水素、二酸化硫黄、酸性ガス、有機蒸気、又は任意の他の所望の気体又は汚染物質のような気体を標的とすることができる。一実施形態では、フィルタ構成要素26は曲線状であり得、よりコンパクトな構築又は人間工学的な構築を提供する。
【0019】
送風機組立体20は様々な異なる方法で構成し得る。ファン組立体30はフィルタ構成要素26の下流に好ましくは配置され、ファン組立体30が周囲空気から汚染物質を集めるのを防ぐ。しかしながら、別の実施形態では、フィルタ構成要素26は、ファン組立体30の下流に位置することが可能である。更に別の実施形態では、送風機の後側ケース22及び送風機の前側ケース24を含む代わりに、送風機のケースは単一構成要素とすることが可能である。送風機のケースは、2つ以上の構成要素を有する、又は図示されている構成とは異なる構成で2つの構成要素のみを含むことも可能である。送風機組立体20は、内部に嵌合するように構成される、又はヘルメット若しくはフェースピースに装着される、又は他のタイプのPAPRと共に使用されることも可能である。
【0020】
図3は、コンパクトなファンスクロール組立体30の上面図を示す。第1のスクロールケーシング要素34は、ねじ51を用いてプリント基板31に装着されスクロールファンケース54を形成する。あるいは、クリップ、締付具、スナップ、ピン等の任意の他の装着方法若しくはデバイス、又は当該技術分野において周知の任意の他の方法を使用して、第1のスクロールケーシング要素34をプリント基板31に固定させることが可能である。ガスケット61又は別のシール要素をPCB 31と第1のスクロールケーシング要素34の端部との間に配置し、PCB 31と第1のスクロールケーシング要素34との間に気密又はほぼ気密のシールをもたらすことができる。ガスケット61は一種の発泡体又はゴムなどのエラストマー材を含む任意の適切な材料で作ることができる。図示した実施形態では、PCB 31は装着された他の構成要素も有し、これには、バッテリコネクタ35、及びトランジスタ、マイクロコントローラ、ダイオード、レジスタなどの他の個別の電気部品42、送風機組立体20の制御回路で使用される他の構成要素、更にはPAPRの他の部品を含む。
【0021】
図4は、コンパクトなスクロールファン組立体30の分解組立図を示す。PCB 31はスクロールケーシングの一部分であり、ファンスクロール内で気流を導く又は封じ込めるように、スクロールケーシング構成要素として機能する。PCB 31はモータ55の装着面としても機能する。モータ55は少なくとも、固定子32、回転子組立体33、軸受タワー62、及びホール効果センサ68を含む。固定子32はPCB 31にはんだ付けされ得る、又は別の方法で固定され得る。軸受タワー62は、固定子32が固定される側と反対側のPCB 31の面に取り付けられる、又は固定され得る。軸受タワー62は、ねじ又は当該技術分野において周知の任意の他の固定方法を用いてPCB 31に取り付けられ得る。回転子33は固定子32上に装着できる。ホール効果センサ68ははんだ付けなどの方法でPCB 31に固定させることができ、回転子33の位置を感知する機能をする。この情報はより正確なモータ制御ができるようにモータ制御装置(図示せず)にフィードバックすることができる。
【0022】
モータ55と第1のスクロールファンケース要素34との両方をPCB 31に装着する1つの利点は、本質安全用途のための設計及び安全の要件を満たすための、単一でより大きなサイズのPCB 31の可用性である。従来のモータ設計はモータ55内に装着されるより小さなPCBを有し、モータ55を対応する駆動部品及び安全部品(典型的に第2のPCBに装着される)に接続するためにコネクタが使用される。モータ55をより大きなPCB 31に装着することで、モータの駆動電子機器及び安全部品を同じPCB 31に直接装着することができる。安全部品の例としては、モータ電圧が最大レベルを超えるのを防ぐために使用されるダイオードが挙げられる。次に、これらの構成要素は、追加のコネクタ構成要素又はリボンを必要とせずにPCBのトレースを使用してモータ55に接続することができる。これは結果として(This is turn)接続不良又は火花の可能性を低減することができ、設計が危険個所での使用の認証を受けるための安全要件を満たすことを可能にする。
【0023】
羽根車36は回転子組立体33に装着される。一実施形態では、羽根車36は摩擦を使用して回転子組立体33に装着できる。あるいは、羽根車36は回転子組立体33上に直接成型される、接着剤を使用して回転子組立体33に固定される、又は任意の他の適切な方法で固定され得る。第1のスクロールケーシング要素34がPCB 31に最後に装着され、PCB 31と共にスクロールファン組立体30のスクロールケーシング54を形成する。図示するように、本実施形態ではPCB 31の一部分のみがスクロールケーシング54の部品を形成する。別の実施形態では、PCB 31のより大きな表面積又はより小さな表面積がスクロールケーシング54の部品として使用され得る。あるいは、2つ以上の構成要素がスクロールケーシング54の形成に使用され得る。
【0024】
固定子32、回転子組立体33、軸受タワー62及びホール効果センサ68が組み合わさり、羽根車36を回転する電動モータ55を形成する。羽根車36が回転すると、周囲空気が吸入口38を通って引き込まれる。羽根車36の羽根52は、第1のスクロールケーシング要素34とPCB 31との両方によって形成されるスクロールケーシング54の空気通路53の湾曲部の周りに空気を押し込む。排気口部品37はスクロールケーシング54に取り付けられる。排気口部品37はホース16(図1に示す)をスクロールケーシング34に接続して、スクロールファン組立体30と使用者の呼吸ゾーン58(図1に示す)との間に気流を確保できる。
【0025】
電動モータ55は、スクロールファンとの併用に適している任意のタイプのモータであり得る。例えば、直流(DC)ブラシレスモータ又はDCブラシモータなどのDCモータであってもよい。交流(AC)誘導モータ又はAC同期モータなどのACモータも使用され得る。PAPRへの電力供給に電池が使用される場合、ACモータの使用はDC電力をACモータが使用できる形態に変換するために更にインバータの使用を必要とするので、DCモータの使用の方がACモータより有利な場合がある。
【0026】
PAPR 10の送風機組立体20への電力供給に電池が使用される場合、リチウムイオン、ニッケル金属水素化物、又はニッケルカドミウムを含む様々な電池が使用可能である。電池は任意の所望の方法でPAPR 10に接続され得る。例えば、電池は、送風機組立体20内に収容される、送風機組立体20の外側に取り付けられる、ケーブル経由で送風機センター20に取り付けられる、又は任意の他の手段で取り付けられ得る。一実施形態では、粉塵又は他の有害である可能性のある汚染物質によってコネクタピンが汚染されるのを防ぐために、電池コネクタ組立体35は、電池に気密シールを提供するように設計され得る。
【0027】
図示した実施形態では、羽根車36は後向き羽根52を有するが、羽根車36は任意の適切な羽根設計、例えば、前向き羽根、平坦羽根、又は任意の他の有効な設計を有してもよい。羽根車36は、後に互いに固定される数個の異なる部品にて製造されてもよく、又は羽根車36全体が、一体の構造であってもよい。例えば、羽根車36の基部及び羽根が単一構成要素として成型され、後に例えばリング等の環状構造物に固定されて羽根車36を形成してもよい。羽根車36は、成型又は任意の他の適切な方法により作製され得る。
【0028】
図5は、送風機組立体20の断面図を示す。図示したこの実施形態では、送風機の後側ケース22は、着用者に最も近い送風機ケースの部分を形成する。T字形のクリップ44は送風機の後側ケース22から突出し、送風機組立体20をベルト若しくは他のタイプのストラップ、保持具、又は衣服に固定するために使用され得る。この実例では、送風機の後側ケース22の表面はわずかに曲がっており着用者のウエストに順応する。PCB 31は送風機の後側ケース22に隣接して配置されてもよい。この特定の実施形態ではPCB 31は剛性であるが、代わりにPCB 31は送風機の後側ケース22又は送風機ケースの他の部分の形状により順応するように可撓性であり得る。フレキシブルPCBには可撓性基板に製造されるプリント回路が含まれ、折り重ねる又は曲げることができる。フレキシブルPCBは、回路が利用可能なスペースにより良好に装着する、又はより良い動きを可能にすることができる場合がある。
【0029】
軸受タワー62、固定子32、及び回転子33を含むモータ55は、PCB 31に装着される。羽根車36はモータ55によって回転する。第1のスクロールケーシング要素34はPCB 31に固定され、この実例では、羽根車36及びモータ55を覆い、同時に吸入口38に開口部を提供する。送風機の前側ケーシング24は羽根車を覆い、この実例では、送風機の後側ケース22に接続されスクロールファン組立体30を包む。前述のように、当該技術分野において周知の任意のタイプの送風機ケースが本開示に一致して使用され得る。フィルタ構成要素26は、上部に取り付けられる(図示するように)、又は送風機ケース22の前部の外方に向いている表面に装着される。前述のように、フィルタ構成要素26は、クリップ、ねじ、スナップ、フィルタ構成要素26を摺動させてスロットに入れる等の任意の取り付け方法を用いて、又は当該技術分野において周知の任意の他の方法で、送風機ケースに、又は送風機ケース内に固定され得る。あるいは、フィルタ構成要素26は、スクロールファン組立体30の下流、又はPAPRの他の望ましい位置に配置され得る。
【0030】
図6は、本開示に一致するプリント基板31の上面図を示す。この実例では、固定子32、電池コネクタ組立体35、及び他の電気部品42はPCB 31に装着される。追加的に、センサ43がPCB 31に装着できる。一実施形態では、センサ43はスクロールファン組立体30の空気流路内にある。
【0031】
当該技術分野において周知の任意のタイプのPCB 31が本開示と一致して使用され得る。PCBは、導電性経路又はトレース57を使用して電子部品を機械的に支持し、かつ電気的に接続するために一般に使用される。PCBのトレース及び電子部品のトレースは様々な方法で作製され得る。例えば、トレース57は非導電性基板上に積層される銅板からエッチングされ得る。基板は様々な材料で作製され得る。例えば、基板はエポキシ樹脂があらかじめ含浸された繊維と共に積層された複層誘電体で作製されてもよい。一般に使用される1つの誘電体はポリテトラフルオロエチレンである。あらかじめ含浸された繊維は、例えば、フェノール綿紙、綿紙とエポキシ、ガラス織布とエポキシ、ガラスマットとポリエステル等であってもよい。エポキシの層が積層されると、例えば、薄い銅箔で作られた導電層で被覆され得る。
【0032】
トレース57はいくつかの異なる方法で作ることができる。例えば、シルクスクリーン法を用いて一時的なマスクを塗布後に不要な銅を取り除き、所望の銅のトレースだけを残すことができる。所望の銅トレースを覆うそのようなマスクは、シルクスクリーン印刷を用いて耐エッチングインクを塗布して銅箔を保護することで作ることができる。その後のエッチングにより不要なインクを取り除くことができる。フォトエッチング方法はフォトマスクと化学エッチングを用いて、基板から銅箔を取り除く。フォトマスクは、コンピュータ援用製造ソフトウェアを使用して、技術者によって提供されるデータを用いてフォトプロッタで作成し得る。PCBミリングは2軸又は3軸の機械的ミリング装置を使用して基板から銅箔を平削りする。ミリングは、より少数量又はプロトタイプの数量に特に有用であり得る。トレース57は、所望のトレースのみが透き通るように逆マスクがPCB上の銅層又は導電層を覆って塗布されるアディティブ法で作製することもできる。次に、追加の銅又は導電性材料が基板の覆われていない部分にめっき処理され得る。
【0033】
PCB 31は基板の両側の主表面にトレースを有し得る。PCBに穿設される穴、バイアは、導電性材料の環状リングで充填されることが多く、PCBの両側の導体又はトレースの熱的接続及び電気的接続を可能にする。更には、多層PCBとして知られるPCBは、PCBの内部にトレース層を有するものもある。これらは個別にエッチングされた薄型基板を接合することにより形成され得る。
【0034】
PCB 31上のトレース57は、フォトレジストなどの材料でコーティングされ露出した銅がエッチング処理されるのを防ぐことができる。はんだ付けされるべきでない領域、又はトレースを含まない領域は、はんだマスクコーティングで覆うことができる。そのようなコーティングは、はんだが導体間でブリッジングし、短絡を起こすのを防ぐことができる。
【0035】
他のコーティングがPCB 31に塗布され得る。例えば、エポキシ樹脂又はシリコーンなどのコンフォーマルコーティングをPCBの全表面に塗布する、又はPCBの表面の一部分のみに塗布することができる。例えば、第1のスクロールケーシング要素に最も近いPCB 31の部分はコンフォーマルコーティングでシールされ得る。例示的な1つのコーティングは、3M Company(St.Paul,Minnesota)製の3M(商標)Novec(商標)コーティング液である。コーティングは、PCB表面上の任意の露出したトレース又はバイアをシールするのに役立ち、PCBの表面に装着される任意の構成要素の保護に加えて、PCBの表面の保護を提供し得る。いくつかの実施形態では、そのようなコーティングを第1のスクロール要素に最も近いPCBの側面に施すことで流体バリアとして機能し得る。これはファンの効率、そして結果的にはPAPRの効率を上昇させ得る。
【0036】
センサ43は、第1のスクロールケーシング要素34も装着されるPCB 31の同じ表面に、PCB 31上の任意の適切な位置に装着できる。更には、センサ43は、PCB 31の対向面に装着されてもよく、又はスクロールケーシングの内部に配置されるようにスクロールファンの空気経路の場所に装着されてもよい。センサ43は、温度、空気圧、モータの位置、モータ速度等のパラメーター、又は他の所望のパラメーターを監視し得る。本開示と一致して使用し得るセンサの実施例としては、Freescale(商標)(Austin,Texas)が販売するMPL115Aディジタルバロメータ、又はHoneywell,Inc.(Morristown,New Jersey)が販売するASDXシリーズ圧力センサ、又は他の適切なセンサが挙げられる。
【0037】
他の電気部品42(受動型又は能動型)は、PCB 31の任意の所望位置に装着できる。例えば、マイクロプロセッサ、抵抗器、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、継電器、無線トランシーバ、任意のその他の、又はそのような構成要素の組み合わせが本開示と一致して使用されてもよい。構成要素42は、スクロールケーシングの内部に、スクロールケーシングの外部に、又は第1のスクロールケーシング要素の反対側のPCB 31の面に装着できる。
【0038】
電子機器42はPAPRの任意の部分の、又はPAPR全体の制御電子機器になり得る。制御電子機器42は、例えば、PAPRの空気流量を管理する、残りの電池寿命を計算する、フィルタの負荷及び任意の他の所望のパラメーターを監視するのに使用され得る。
【0039】
個別の構成要素又は1つ以上の導体としてのコネクタ35は、PCB 31及びPCB 31上の任意の構成要素を電源に接続するために使用され得る。上述のように、一実施形態において、電源は電池であり得る。あるいは、交流電力の形式であってもよい。PCB 31の電源は任意の所望の方法で配置され得る。例えば、電源は、PCB 31に電気的に接続してPCB 31に、又はPCB 31以外のところに装着してもよく、あるいはPCBから取り外しされてもよい。
【0040】
前述の説明及び関連した図に提示された教示の利益を得て、本発明に関係する当業者にとって本発明の多くの修正及び他の実施形態が考案される。したがって、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるものでなく、修正及び他の実施形態は添付特許請求の範囲内に含まれるものとすることを理解すべきである。特定の用語が本明細書で使用されるが、それらは一般的でかつ記述的な意味のみで使用され限定する目的ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6