(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881712
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】シール部材、真空容器および真空用配管
(51)【国際特許分類】
F16J 15/10 20060101AFI20160225BHJP
F16J 15/06 20060101ALI20160225BHJP
F16J 15/12 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
F16J15/10 R
F16J15/10 C
F16J15/10 T
F16J15/06 F
F16J15/06 H
F16J15/12 N
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-529825(P2013-529825)
(86)(22)【出願日】2011年8月25日
(86)【国際出願番号】JP2011069158
(87)【国際公開番号】WO2013027293
(87)【国際公開日】20130228
【審査請求日】2014年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】510144867
【氏名又は名称】株式会社アールバキュームラボ
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【弁理士】
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(74)【代理人】
【識別番号】100100413
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 温
(72)【発明者】
【氏名】山本 倫
【審査官】
塚原 一久
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭63−312595(JP,A)
【文献】
特開平06−159567(JP,A)
【文献】
特開平06−011082(JP,A)
【文献】
特開2006−161874(JP,A)
【文献】
特開2002−250445(JP,A)
【文献】
特開2002−098277(JP,A)
【文献】
特開2004−92678(JP,A)
【文献】
特開平7−260000(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00−15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
CF規格フランジに真空シールを行うためのシール部材であって、
前記CF規格フランジは、第1の円周に沿って形成されたナイフエッジと、前記第1の円周の外側に形成され且つ前記第1の円周と同心の第2の円周に沿って形成され且つ前記ナイフエッジに隣接して形成された溝とを有し、
前記シール部材は、前記第2の円周の直径より小さい直径を有する第3の円周に沿って形成された凸部と、前記第3の円周の内側に形成され且つ前記凸部の側面に接して配置されたリング状弾性体とを有し、
前記第2の円周はCF規格によって定められており、
前記凸部の第3の円周は、前記溝の第2の円周と位置合わせするものであり、
前記凸部は、前記溝に挿入するものであり、
前記リング状弾性体は、前記ナイフエッジで潰されるものであることを特徴とするシール部材。
【請求項2】
請求項1において、
前記CF規格フランジにおける前記ナイフエッジの先端の高さと前記溝の深さの差はCF規格によって定められていることを特徴とするシール部材。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記凸部を前記溝に挿入した際に、前記凸部における側面が、前記溝内における前記第2の円周の外側の側面と接することを特徴とするシール部材。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記シール部材は、蓋または真空用配管の端部に形成されるものであることを特徴とするシール部材。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記CF規格フランジは、真空用配管の端部、真空容器の開口部および前記真空容器の内部空間と繋げられた配管の端部のいずれかに形成されるものであることを特徴とするシール部材。
【請求項6】
CF規格フランジとシール部材を備えた真空容器であって、
前記CF規格フランジは、前記真空容器の開口部または前記真空容器の内部空間と繋げられた真空用配管の端部に形成されており、
前記シール部材は、前記CF規格フランジに真空シールを行うものであり、
前記CF規格フランジは、第1の円周に沿って形成されたナイフエッジと、前記第1の円周の外側に形成され且つ前記第1の円周と同心の第2の円周に沿って形成され且つ前記ナイフエッジに隣接して形成された溝とを有し、
前記シール部材は、前記第2の円周の直径より小さい直径を有する第3の円周に沿って形成された凸部と、前記第3の円周の内側に形成され且つ前記凸部の側面に接して配置されたリング状弾性体とを有し、
前記第2の円周はCF規格によって定められており、
前記凸部の第3の円周は、前記溝の第2の円周と位置合わせするものであり、
前記凸部は、前記溝に挿入するものであり、
前記リング状弾性体は、前記ナイフエッジで潰されるものであり、
前記CF規格フランジに前記シール部材で真空シールが行われていることを特徴とする真空容器。
【請求項7】
請求項6において、
前記CF規格フランジにおける前記ナイフエッジの先端の高さと前記溝の深さの差はCF規格によって定められていることを特徴とする真空容器。
【請求項8】
請求項6または7において、
前記凸部を前記溝に挿入した際に、前記凸部における側面が、前記溝内における前記第2の円周の外側の側面と接することを特徴とする真空容器。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか一項において、
前記シール部材は、前記真空容器の開口部または前記真空用配管の端部を塞ぐ蓋、および、前記真空容器の開口部または前記真空用配管の端部に接続される配管のいずれかに形成されていることを特徴とする真空容器。
【請求項10】
CF規格フランジとシール部材を備えた真空用配管であって、
前記CF規格フランジは、前記真空用配管の端部に形成されており、
前記シール部材は、前記CF規格フランジに真空シールを行うものであり、
前記CF規格フランジは、第1の円周に沿って形成されたナイフエッジと、前記第1の円周の外側に形成され且つ前記第1の円周と同心の第2の円周に沿って形成され且つ前記ナイフエッジに隣接して形成された溝とを有し、
前記シール部材は、前記第2の円周の直径より小さい直径を有する第3の円周に沿って形成された凸部と、前記第3の円周の内側に形成され且つ前記凸部の側面に接して配置されたリング状弾性体とを有し、
前記第2の円周はCF規格によって定められており、
前記凸部の第3の円周は、前記溝の第2の円周と位置合わせするものであり、
前記凸部は、前記溝に挿入するものであり、
前記リング状弾性体は、前記ナイフエッジで潰されるものであり、
前記CF規格フランジに前記シール部材で真空シールが行われていることを特徴とする真空用配管。
【請求項11】
請求項10において、
前記CF規格フランジにおける前記ナイフエッジの先端の高さと前記溝の深さの差はCF規格によって定められていることを特徴とする真空用配管。
【請求項12】
請求項10または11において、
前記凸部を前記溝に挿入した際に、前記凸部における側面が、前記溝内における前記第2の円周の外側の側面と接することを特徴とする真空用配管。
【請求項13】
請求項10乃至12のいずれか一項において、
前記シール部材は、前記真空用配管の端部を塞ぐ蓋または前記真空用配管の端部に接続される配管に形成されていることを特徴とする真空容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CF(Con flat)規格フランジに真空シールを行うためのシール部材、真空容器および真空用配管に関する。
【背景技術】
【0002】
真空容器はその容器内でスパッタデポジションやCVD(Chemical Vapor Deposition)成膜やドライエッチングなどの製造プロセス、RHEED(反射高エネルギー電子回折)測定やSEM(Scanning Electron Microscope)、TEM(Transmission Electron Microscope)といった電子顕微鏡などの分析を行うことに使用されている。
【0003】
真空容器に開口部が設けられている場合は、この開口部は、蓋状のフランジによって塞がれて真空シールされる。また、真空容器の開口部に配管を接続する場合は、この配管との接続部はフランジによって真空シールされる。
【0004】
フランジの規格は、主に、CF規格フランジ、JIS規格フランジ、ISOフランジがあり、ISOフランジにはISO−KFフランジ、ISO−MFフランジ、ISO−BTフランジがある。このような規格フランジのうちで現在多く使用されているのはCF規格フランジである。
【0005】
図3(A)は、真空容器の開口部を塞いで真空シールするための蓋状のCF規格フランジを示す平面図であり、
図3(B)は、
図3(A)に示す3B−3B線に沿った断面図であり、
図3(C)は、
図3(B)に示す囲まれた部分1Cを拡大した断面図である。
【0006】
図3(A)〜(C)に示すように、真空容器101の開口部101aにはCF規格フランジ102が形成されており、CF規格フランジ102は、接合面に形成された鋭く突き出したナイフエッジ11と溝12を有している。ナイフエッジ11は、直径φBの第1の円周108に沿って形成されている。溝12は、第1の円周108の外側に形成され、第1の円周108と同心である直径φAの第2の円周107に沿って形成され、ナイフエッジ11に隣接して形成されている。溝12の断面は、
図3(C)に示すように三角形のような形状を有している。また、CF規格フランジ102は、
図3(A)に示すように複数の穴106を有している。
蓋103にも上記と同様のナイフエッジ11と溝12が形成されている。
【0007】
CF規格フランジの真空シールは次のようにして行う。
まず、CF規格フランジ102の第2の円周107の内側に銅製の角型リング状パッキン104を挿入する。角型リング状パッキン104は第2の円周107の内側に隙間無く挿入できるような大きさとなっているため、角型リング状パッキン104は第2の円周107の内側に容易に位置合わせして挿入することができる。次に、蓋103の第2の円周107の内側に角型リング状パッキン104が挿入されるように蓋103を真空容器101の開口部101aに配置する。この際も角型リング状パッキン104と蓋103を容易に位置合わせできる。次に、蓋103とCF規格フランジ102をボルト105aとナット105bによって所定の力で締め付けることにより、銅製の角型リング状パッキン104をナイフエッジ11で潰す。これにより、CF規格フランジ102および蓋103それぞれと角型リング状パッキン104によって真空シールを行うことができる。
【0008】
図3に示すCF規格フランジ102では、真空シール材として銅製の角型リング状パッキン104を用い、接合面に形成された鋭く突き出したナイフエッジ11を銅製の角型リング状パッキン104に食い込ませることで真空シールを行うため、一度真空シールした後にそのシールを緩め、その後に再度真空シールを行おうとすると銅製の角型リング状パッキン104の食い込み傷の部分からリークしてしまう。このため、CF規格フランジ102では、一度シールした後にフランジを取り外した場合は、銅製の角型リング状パッキン104を再使用することができない。従って、例えば試料を真空容器101に導入するための開口部101aのように開け閉めを繰り返し行う場合には、銅製の角型リング状パッキン104をその都度取り替える必要があるため経済性が悪い。
【0009】
そこで、真空シール材として銅製の角型リング状パッキン104に替えてゴム製の角型リング状パッキンをCF規格フランジに用いることも提案されている。ゴム製の角型リング状パッキンであれば再使用できるため経済性が良くなるからである。
【0010】
しかしながら、銅製の角型リング状パッキン104では、形状が変化しないため、作業者は銅製の角型リング状パッキン104とCF規格フランジ102の第2の円周107との位置合わせ(即ち、銅製の角型リング状パッキン104の中心と第2の円周107の中心を合わせるというセンターリング)を容易に行うことができるけれど、ゴム製の角型リング状パッキンでは、形状が変化しやすいため、作業者がゴム製の角型リング状パッキンの中心と第2の円周107の中心を合わせるセンターリングを行うことは困難であり、センターリング作業に時間を要する。
【0011】
特に、CF規格フランジを傾けて取り付けなければならない場合は、作業者がゴム製の角型リング状パッキンの中心と第2の円周107の中心を合わせるセンターリングを行うことは極めて困難であり、センターリング作業に長時間を要する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一態様は、CF規格フランジの真空シール材を再使用可能なものとし、且つ作業者がセンターリングを容易に行えることを課題とする。
【0013】
一方、仮に、CF規格フランジと全く異なる構造でセンターリング作業が容易にできるようなフランジを新しく作製することは、当業者であれば簡単であるかもしれない。
しかし、本発明の一態様は、そのような新しく作製するフランジとは全くことなる技術思想である。
【0014】
つまり、既に世の中で真空容器等に多く使用されているフランジはCF規格フランジであるため、本発明の一態様は、このCF規格フランジにおいて真空シール材を再使用可能なものとし、且つ作業者がセンターリングを容易に行えるシール部材等を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、CF規格フランジに真空シールを行うためのシール部材であって、
前記CF規格フランジは、第1の円周に沿って形成されたナイフエッジと、前記第1の円周の外側に形成され且つ前記第1の円周と同心の第2の円周に沿って形成され且つ前記ナイフエッジに隣接して形成された溝とを有し、
前記シール部材は、前記第2の円周の直径より小さい直径を有する第3の円周に沿って形成された凸部と、前記第3の円周の内側に形成され且つ前記凸部の側面に接して配置されたリング状弾性体とを有し、
前記凸部を前記溝に挿入して前記リング状弾性体を前記ナイフエッジで潰すことにより、前記CF規格フランジに前記シール部材で真空シールを行うことを特徴とするシール部材である。
【0016】
また、本発明の一態様において、
前記凸部を前記溝に挿入した際に、前記凸部における側面が、前記溝内における前記第2の円周の外側の側面と接することが好ましい。
【0017】
また、本発明の一態様において、
前記シール部材は、蓋または真空用配管の端部に形成されるものであるとよい。
【0018】
また、本発明の一態様において、
前記CF規格フランジは、真空用配管の端部、真空容器の開口部および前記真空容器の内部空間と繋げられた配管の端部のいずれかに形成されるものであるとよい。
【0019】
本発明の一態様は、CF規格フランジとシール部材を備えた真空容器であって、
前記CF規格フランジは、前記真空容器の開口部または前記真空容器の内部空間と繋げられた真空用配管の端部に形成されており、
前記シール部材は、前記CF規格フランジに真空シールを行うものであり、
前記CF規格フランジは、第1の円周に沿って形成されたナイフエッジと、前記第1の円周の外側に形成され且つ前記第1の円周と同心の第2の円周に沿って形成され且つ前記ナイフエッジに隣接して形成された溝とを有し、
前記シール部材は、前記第2の円周の直径より小さい直径を有する第3の円周に沿って形成された凸部と、前記第3の円周の内側に形成され且つ前記凸部の側面に接して配置されたリング状弾性体とを有し、
前記真空容器は、前記凸部を前記溝に挿入して前記リング状弾性体を前記ナイフエッジで潰すことにより、前記CF規格フランジに前記シール部材で真空シールを行うことを特徴とする真空容器である。
【0020】
また、本発明の一態様において、
前記凸部を前記溝に挿入した際に、前記凸部における側面が、前記溝内における前記第2の円周の外側の側面と接することが好ましい。
【0021】
また、本発明の一態様において、
前記シール部材は、前記真空容器の開口部または前記真空用配管の端部を塞ぐ蓋、および、前記真空容器の開口部または前記真空用配管の端部に接続される配管のいずれかに形成されているとよい。
【0022】
本発明の一態様は、CF規格フランジとシール部材を備えた真空用配管であって、
前記CF規格フランジは、前記真空用配管の端部に形成されており、
前記シール部材は、前記CF規格フランジに真空シールを行うものであり、
前記CF規格フランジは、第1の円周に沿って形成されたナイフエッジと、前記第1の円周の外側に形成され且つ前記第1の円周と同心の第2の円周に沿って形成され且つ前記ナイフエッジに隣接して形成された溝とを有し、
前記シール部材は、前記第2の円周の直径より小さい直径を有する第3の円周に沿って形成された凸部と、前記第3の円周の内側に形成され且つ前記凸部の側面に接して配置されたリング状弾性体とを有し、
前記真空用配管は、前記凸部を前記溝に挿入して前記リング状弾性体を前記ナイフエッジで潰すことにより、前記CF規格フランジに前記シール部材で真空シールを行うことを特徴とする真空用配管である。
【0023】
また、本発明の一態様において、
前記凸部を前記溝に挿入した際に、前記凸部における側面が、前記溝内における前記第2の円周の外側の側面と接することが好ましい。
【0024】
また、本発明の一態様において、
前記シール部材は、前記真空用配管の端部を塞ぐ蓋または前記真空用配管の端部に接続される配管に形成されているとよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一態様によれば、CF規格フランジの真空シール材を再使用可能なものとし、且つ作業者がセンターリングを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】(A)は真空容器に設けられたCF規格フランジを示す平面図であり、(B)は(A)に示す1B−1B線に沿った断面図であり、(C)は(B)に示す囲まれた部分1Cを拡大した断面図である。
【
図2】(A)〜(C)は、
図1に示すCF規格フランジに、蓋に設けられたシール部材によって真空シールを行う様子を説明するための断面図である。
【
図3】(A)は真空容器を塞いで真空シールするための蓋状のCF規格フランジを示す平面図であり、(B)は(A)に示す3B−3B線に沿った断面図であり、(C)は(B)に示す囲まれた部分1Cを拡大した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0028】
本発明の一態様について
図1および
図2を参照しつつ説明する。
図1(A)〜(C)に示すように、真空容器101の開口部101aにはCF規格フランジ102が形成されており、CF規格フランジ102は、接合面に形成された鋭く突き出したナイフエッジ11と溝12を有している。ナイフエッジ11は、直径φBの第1の円周108に沿って形成されている。溝12は、第1の円周108の外側に形成され、且つ第1の円周108と同心である直径φAの第2の円周107に沿って形成され、且つナイフエッジ11に隣接して形成されている。溝12の断面は、
図1(C)に示すように三角形のような形状を有している。また、CF規格フランジ102は、
図1(A)に示すように複数の穴106を有している。
【0029】
図2(A)に示すように、蓋13の一方の面に形成されたシール部材は、凸部14とリング状弾性体であるOリング15を有している。また、蓋13の一方の面には溝15aが設けられており、この溝15a内にOリング15が嵌め込まれている。溝15aは凸部14に隣接して形成されている。
【0030】
図2(A)に示す凸部14は、
図1(C)に示す第2の円周107の直径φAより小さい直径φCを有する第3の円周17に沿って蓋13の一方の面に形成されている。Oリング15は、第3の円周17の内側に形成され、且つ凸部14の側面14aに接して配置されている。また、蓋13は、
図2に示すように複数の穴16を有している。
【0031】
なお、本実施形態では、リング状弾性体としてOリング15を用いているが、種々のリング状弾性体を用いてもよく、例えば角型リングを用いてもよい。
【0032】
次に、
図2(A)〜(C)を参照しつつ、真空容器101の開口部101aをCF規格フランジ102とシール部材を備えた蓋13によって真空シールする手順について説明する。
【0033】
まず、CF規格フランジ102の溝12内に蓋13の凸部14を挿入して嵌合することにより、CF規格フランジ102のナイフエッジ11のエッジ面に蓋13のOリング15を当てることができる。この際、凸部14における側面14bが、第2の円周107の内側の側面12aと接するような大きさで凸部14と溝12が形成されているため、蓋13の凸部14とCF規格フランジ102の溝12のセンターリング(位置合わせ)を作業者が容易に行うことができる(
図2(A),(B)参照)。
【0034】
次いで、蓋13を回転させることにより、蓋13の穴16とCF規格フランジ102の穴106を位置合わせする。次いで、これらの穴16,106に図示せぬボルトを挿入し、そのボルトをナットによって所定の力で締め付けることにより、Oリング15をナイフエッジ11のエッジ面で潰す。これにより、CF規格フランジ102にシール部材で真空シールを行うことができる(
図2(C)参照)。
【0035】
CF規格フランジ102は、CF規格フランジ102を製造した製造者によって
図1(C)に示す直径φAと直径φBと寸法C以外の寸法は多少異なるが、直径φAと直径φBと寸法Cの寸法は、規格によって定められているため、製造者にかかわらず一定である。本実施形態では、φAの寸法で溝12と凸部14のセンターリングを行うため、様々な製造者によって製造されたCF規格フランジ102において溝12と凸部14のセンターリングを作業者が容易に行うことができる。そして、直径φBと寸法Cが一定であることから、ナイフエッジ11でOリング15を確実に潰すことができる。従って、様々な製造者によって製造されたCF規格フランジ102にシール部材で真空シールを行うことが可能となる。
【0036】
また、本実施形態では、蓋13の一方の面に溝15aを設けることにより、Oリング15を溝15aに嵌め込むことができる。
【0037】
なお、本実施形態では、真空容器101の開口部101aにCF規格フランジ102を形成し、蓋13にシール部材を形成し、CF規格フランジ102にシール部材によって真空シールを行うことで真空容器101の開口部101を蓋13で真空シールしているが、次のように変更して実施してもよい。
【0038】
(1)真空用配管の端部にCF規格フランジ102を形成し、蓋13にシール部材を形成し、CF規格フランジ102にシール部材によって真空シールを行うことで真空用配管の端部を蓋13で真空シールしてもよい。
(2)真空容器101の内部空間と繋げられた配管の端部にCF規格フランジ102を形成し、蓋13にシール部材を形成し、CF規格フランジ102にシール部材によって真空シールを行うことで配管の端部を蓋13で真空シールしてもよい。
(3)真空容器101の開口部101aにCF規格フランジ102を形成し、真空用配管にシール部材を形成し、CF規格フランジ102にシール部材によって真空シールを行うことで真空容器101の開口部101と真空用配管との接続を真空シールしてもよい。
(4)一方の真空用配管の端部にCF規格フランジ102を形成し、他方の真空用配管の端部にシール部材を形成し、CF規格フランジ102にシール部材によって真空シールを行うことで一方の真空用配管と他方の真空用配管との接続を真空シールしてもよい。
(5)真空容器101の内部空間と繋げられた配管の端部にCF規格フランジ102を形成し、真空用配管の端部にシール部材を形成し、CF規格フランジ102にシール部材によって真空シールを行うことで配管と真空用配管との接続を真空シールしてもよい。
【0039】
以上説明したように、本実施形態では、既に世の中で真空容器等に多く使用されているCF規格フランジにおいて真空シール材を再使用可能なものとし、且つ作業者がセンターリングを容易に行えるシール部材等を提供することができる。従って、CF規格フランジを使用している多くの作業者の作業効率を飛躍的に高めることができる。
【符号の説明】
【0040】
11…ナイフエッジ
12,103…溝
12a…溝内の側面
13…蓋
14…凸部
14a,14b…凸部の側面
15…Oリング
15a…Oリングを嵌め込む溝
16,106…穴
17…第3の円周
101…真空容器
101a…開口部
102…CF規格フランジ
104…角型リング状パッキン
105b…ボルト
105a…ナット
107…第2の円周
108…第1の円周
φA…溝の第2の円周の直径
φB…ナイフエッジの第1の円周の直径