(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881723
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】唇用保湿組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20160225BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20160225BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20160225BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20160225BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20160225BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20160225BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
A61K8/06
A61Q19/00
A61K8/891
A61K8/37
A61K8/86
A61K8/894
A61K8/49
【請求項の数】18
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-539880(P2013-539880)
(86)(22)【出願日】2011年11月4日
(65)【公表番号】特表2013-542989(P2013-542989A)
(43)【公表日】2013年11月28日
(86)【国際出願番号】US2011059296
(87)【国際公開番号】WO2012071155
(87)【国際公開日】20120531
【審査請求日】2013年5月21日
(31)【優先権主張番号】12/952,624
(32)【優先日】2010年11月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598100128
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100171505
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 由美
(72)【発明者】
【氏名】スサック,ミランカ
(72)【発明者】
【氏名】カストロ,ジョン アール.
(72)【発明者】
【氏名】コーヘン,イサック デヴィット
【審査官】
手島 理
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−348310(JP,A)
【文献】
特表2010−535221(JP,A)
【文献】
特開2004−203788(JP,A)
【文献】
特開2005−225806(JP,A)
【文献】
特開平11−236308(JP,A)
【文献】
特表2011−512409(JP,A)
【文献】
特表2010−539174(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0323042(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、メチルトリメチコン、ジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、セチルジメチコン、またはこれらの混合物から選択される少なくとも1種の非極性シリコーン油、
室温で10〜400cstの範囲の粘度を有する、C12-20脂肪アルコールのC1-10脂肪族または芳香族カルボン酸エステルである少なくとも1種の有機油、
ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ポリアシルアジピン酸ビスジグリセリル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリ-ポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ベヘン酸/エイコサン二酸グリセリル、オレイン酸/リノール酸/リノレン酸ポリグリセリド、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート、またはこれらの混合物である少なくとも1種の両親媒性有機油、
アルキルジメチコンコポリオールである少なくとも1種の油中水型界面活性剤、および
ソルビタンから誘導される非イオン性有機界面活性剤である少なくとも1種の水中油型界面活性剤
を含有し、塗布後少なくとも3時間水和を維持する、油中水型エマルジョンの唇用トリートメント組成物。
【請求項2】
非極性シリコーン油が25℃で100-300センチポアズの範囲の粘度を有するジメチコンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
水が30重量%を超える量で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
全組成物の重量に対して
0.1-85%の前記非極性シリコーン油、
0.1-80%の前記有機油、
0.1-70%の前記両親媒性有機油、
0.1-75%の前記油中水型界面活性剤、および
0.01-80%の前記水中油型界面活性剤
を含有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
非極性シリコーン油がシクロペンタシロキサンとジメチコンの混合物である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
非極性シリコーン油が、メチルトリメチコン、および100-300センチポアズの範囲の粘度を有するジメチコンを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
C12-20脂肪アルコールのC1-10カルボン酸エステルが、クエン酸トリイソステアリル、トリカプリリン、リンゴ酸ジイソステアリル、オリーブ脂肪酸セテアリル(cetearyl olivate)、またはこれらの混合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
C12-20脂肪アルコールのC1-10カルボン酸エステルがクエン酸トリイソステアリルである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
C12-20脂肪アルコールのC1-10カルボン酸エステルがオリーブ脂肪酸セテアリル(cetearyl olivate)である、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
両親媒性有機油が、PEG-30ジポリヒドロキシステアレートを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項11】
アルキルジメチコンコポリオールがセチルジメチコンコポリオールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
水中油型界面活性剤が、ステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、オリーブ脂肪酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、またはこれらのPEG誘導体を含むソルビタン系界面活性剤である、請求項4に記載の組成物。
【請求項13】
以下を含有する油中水型エマルジョンの唇用トリートメント組成物:
100-500cstの範囲の粘度を有するジメチコンと、メチルトリメチコンである揮発性シリコーンとを含む0.1-85%の非極性シリコーン油;
クエン酸トリイソステアリル、トリカプリリン、リンゴ酸ジイソステアリル、オリーブ脂肪酸セテアリル、またはこれらの混合物を含む0.1-80%の有機油;
ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ポリアシルアジピン酸ビスジグリセリル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリ-ポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ベヘン酸/エイコサン二酸グリセリル、オレイン酸/リノール酸/リノレン酸ポリグリセリド、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート、またはこれらの混合物を含む0.1-70%の両親媒性有機油;
アルキルジメチコンコポリオールを含む0.1-75%の油中水型界面活性剤:および
ステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、オリーブ脂肪酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、またはこれらのPEG誘導体を含む0.01-80%の水中油型界面活性剤。
【請求項14】
前記有機油が、クエン酸トリイソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリル、およびオリーブ脂肪酸セテアリルの混合物を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
両親媒性有機油が、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ポリアシルアジピン酸ビスジグリセリル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリ-ポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、オレイン酸/リノール酸/リノレン酸ポリグリセリド、およびPEG-30ジポリヒドロキシステアレートの混合物を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項16】
油中水型界面活性剤がセチルジメチコンコポリオールである、請求項13に記載の組成物。
【請求項17】
水中油型界面活性剤がオリーブ脂肪酸ソルビタンを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項18】
グリセリンである少なくとも1種の保湿剤を更に含有する、請求項13に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、唇のトリートメントのための組成物および方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者からのよくある不満の1つは、着色された唇用の製品が時に唇上で乾燥することがあるということである。これは、唇用の製品に所望の色をもたらすための多量の顔料および粉末が含まれている場合によくあることである。これらのタイプの粒子は唇の上で乾燥し易い。水は究極の水和物質であると考えられている。しかしながら、逆説的ではあるが、水を含んで処方された唇用の製品は、無水の製品と比較して、唇上でよりいっそう乾燥し得る。その理由は、水が非常に速やかに乾燥する溶媒であるためである。水を含有する唇用の製品は、唇に適用した際に速やかに水和される感触をもたらす一方、水は急速に蒸発する。消費者は、製品の適用前よりもより乾燥した感触が唇に残ると報告している。
【0003】
化粧品処方作成者は、無水の標準品、そして唇のトリートメントの目的で一般に販売されている唇用の製品のような保湿効果のある含水の唇用製品を処方する方法を常に探索している。水ベースのリップスティックで唇上に保湿性の被膜を作るために、ある程度の耐水性および閉鎖性(occlusiveness)を有する含水リップスティックが最も有益である。すなわち、組成物中に存在する被膜形成成分は、水分を保持し、被膜表面からのその急速な蒸発を阻止する被膜を提供する必要がある。この場合、存在する水は唇に潤いを与えることができる。被膜が壊れ得る理由として、被膜の再乳化、機械的作用による除去、または活性成分(水)が被膜内に十分取り込まれていない場合が挙げられる。
【0004】
最も予想外のことには、非極性の油、両親媒性の油、および双方の型の界面活性剤(例えば油中水型および水中油型)を含む含水唇用製品が、多量の水分を含み、しかも特に唇の保湿のために販売されている製品と同等かそれよりも良好な保湿特性をもたらす優れた唇用製品を提供することが見出された。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、少なくとも1種の非極性シリコーン油、少なくとも1種の非極性有機油(organic oil)、少なくとも1種の両親媒性有機エモリエント油、少なくとも1種の油中水型界面活性剤、および少なくとも1種の水中油型界面活性剤を含有する、油中水型エマルジョンの唇用組成物に関する。
【0006】
本発明は更に、少なくとも1種の非極性シリコーン油、少なくとも1種の非極性有機油、少なくとも1種の両親媒性有機エモリエント油、少なくとも1種の油中水型界面活性剤、および少なくとも1種の水中油型界面活性剤を含有する組成物を適用することによって唇を保湿し、潤いを与えるための方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の組成物は油中水型エマルジョンの形態である。本組成物は、約0.1-95%、好ましくは1-85%、より好ましくは約5-75%の水を含有し得る(本明細書中で言及するパーセンテージは全て、他に記載のない限り、重量%である)。本組成物は約0.1-99%の油、好ましくは約1-85%、より好ましくは約2-50%の油を含有する。
【0008】
非極性シリコーン油
本組成物は少なくとも1種の非極性シリコーン油を含有する。用語「油」とは、そのように呼ばれる成分が室温(例えば25℃)で注ぐことの可能な液体であることを意味する。シリコーン油は揮発性であっても非揮発性であっても良い。非極性シリコーン油は、約0.1-85%、好ましくは約1-75%、より好ましくは約2-65%の範囲で存在し得る。
【0009】
揮発性シリコーンの例としては、直鎖状、環状、または分岐鎖状の揮発性シリコーン、例えばシクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、メチルトリメチコン等が挙げられる。
【0010】
好適な非揮発性シリコーン油としては、ジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、セチルジメチコン等が挙げられる。
【0011】
好ましいのは、非極性シリコーン油が少なくとも1種の揮発性シリコーンと少なくとも1種の非揮発性シリコーンとを含む場合である。より好ましいのは、非極性シリコーン油がメチルトリメチコン(約1.5センチストークス(cst)の粘度を有する)と約50-500cstの範囲の粘度を有するジメチコンとを含む場合である。
【0012】
非極性有機油
本発明の唇用製品は、室温で注ぐことの可能な少なくとも1種の非極性有機油を含有する。このような油は約0.1-80%、好ましくは約0.5-75%、より好ましくは約1-70%の範囲で存在し得る。非極性有機油の例としては、脂肪族または芳香族カルボン酸とアルコールとのモノ、ジ、またはトリエステルが挙げられる。こうしたエステルの例としては、例えば約2-40個の炭素原子を有する脂肪族もしくは芳香族アルコール、および脂肪族もしくは芳香族C2-40カルボン酸のエステルが挙げられ、例えばC12-20脂肪アルコール、例えばステアリル、ベヘニル、イソステアリル、セチルアルコール等のC1-10カルボン酸エステルである。より好ましいものは、室温で約10-400cstの範囲の粘度を有する非極性有機油である。
【0013】
更なる具体的な例としては、短鎖のカルボン酸と脂肪アルコールとのエステル、例えばヒドロキシル基で置換されていても良いC1-8カルボン酸とC10-22脂肪酸とのエステルである。C1-4カルボン酸の例としてはクエン酸、リンゴ酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、カプリル酸、カプロン酸等が挙げられる。脂肪アルコールとしてはステアリル、セテアリル、セチル、リノレイルアルコール等が挙げられる。このようなエステルの更なる具体的な例としては、限定するものではないが、クエン酸トリイソステアリル、トリカプリリン、リンゴ酸ジイソステアリル、オリーブ脂肪酸セテアリル(cetearyl olivate)等が挙げられる。
【0014】
両親媒性有機油
本組成物はまた、少なくとも1種の両親媒性有機油を含有する。用語「両親媒性」とは、その油が極性部分と非極性部分を有することを意味する。両親媒性の油は約0.1-70%、好ましくは約0.5-65%、より好ましくは約1-50%の範囲で存在する。
【0015】
両親媒性の油の例としては、1価、2価、もしくは多価アルコール、グリセロールもしくはポリグリコール、ペンタエリスリトール等で置換されたものが挙げられる。具体的な例としては、限定されるものではないが、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ポリアシルアジピン酸ビスジグリセリル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリ-ポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ベヘン酸/エイコサ二酸グリセリル、オレイン酸/リノール酸/リノレン酸ポリグリセリド、PEG-30ジポリヒドロキシステアレート等が挙げられる。
【0016】
油中水型界面活性剤
本組成物はまた、少なくとも1種の油中水型界面活性剤を含有する。好ましい範囲は約0.1-75%、好ましくは約0.5-70%、好ましくは約1-60%である。用語「油中水型界面活性剤」とは、好ましくは約4-6の範囲の親水性-親油性バランスを有する非イオン性界面活性剤を意味する。界面活性剤は有機のものであってもシリコーンベースのものであっても良い。好ましくは、好ましい実施形態において、油中水型界面活性剤はシリコーンベースのものである。より好ましいものは、一般にアルキルジメチコンコポリオールと呼ばれる油中水型シリコーン系界面活性剤である。具体的な例としては、アルキル置換ジメチコンコポリオール、例えばセチルジメチコンコポリオール、またはアルキル鎖が親油性をもたらす他のアルキル置換ジメチコンコポリオールが挙げられる。セチルジメチコンコポリオールはより具体的には反復EO(エチレンオキシド)またはPO(プロピレンオキシド)基の数を挙げて、例えばセチルPEG/PPG-10/1ジメチコン等と呼ばれる場合がある。好ましいものはまた、PEG-30ジポリヒドロキシステアレートである。
【0017】
水中油型界面活性剤
本組成物は少なくとも1種の水中油型界面活性剤を、好ましくは約0.01-80%、好ましくは約0.05-75%、より好ましくは約0.1-70%の範囲の量で含有する。こうした水中油型界面活性剤は好ましくは1種以上の非イオン性有機界面活性剤である。更なる例としてはソルビタン誘導体、例えばステアリン酸ソルビタン、トリイソステアリン酸ソルビタン、オリーブ脂肪酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、これらのPEG誘導体、例えばPEG2-300(2-300個のエチレングリコール反復単位)ソルビタン誘導体が挙げられる。
【0018】
他の成分
ワックス
本組成物は好ましくは1種以上のワックスを含有する。用語「ワックス」とは、室温で固体または半固体であり、30-120℃の範囲の融点を有する成分を意味する。存在する場合、このようなワックスは、組成物の約0.001-70%、好ましくは約0.005-65%、より好ましくは約0.01-60%の範囲であり得る。このようなワックスとしては、脂肪アルコール、例えばベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、リノレイルアルコール等が挙げられる。好ましいものはまた動物性、植物性または鉱物性のワックスであり、ミツロウ、合成ワックス、植物由来ワックス、例えばアストロカリウム・ムルムルのシードバター(astrocaryum murumuru seed butter)、ヒマワリ種子ワックス、ベイベリー(bayberry)ワックス等が挙げられる。
【0019】
増粘剤
本組成物は1種以上の水性ベースの増粘剤を含有し得る。存在する場合、推奨される範囲は約0.01-40%、好ましくは約0.05-35%、より好ましくは約0.1-30%である。好適な水性ベースの増粘剤の例としては、キサンタンガム、アクリレートベースのポリマー、例えばカーボポール、ジメチルタウレートベースのアクリルポリマー等が挙げられる。
【0020】
顔料および粒子
所望により、唇用組成物は顔料を含んでいても良い。粒子類の推奨される範囲は約0.1-70%、好ましくは約0.5-65%、より好ましくは約1-50%であり得る。好適な顔料としては、有機および無機の顔料、例えばD&CおよびFD&C顔料、あるいは酸化鉄、例えば赤色、黄色、黒色酸化鉄が挙げられる。好ましいものはまた、白色または無色であり得る非顔料粒子、より一般的には粉末と呼ばれるものである。例としてはナイロン、PMMA、二酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。
【0021】
保湿剤
本組成物中に1種以上の保湿剤を含めることが望ましい場合がある。存在する場合、推奨される範囲は約0.01-20%、好ましくは約0.05-15%、より好ましくは約0.1-10%である。保湿剤の例としては、1価、2価、または多価アルコール、例えばグリセロール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ペンタンジオール等が挙げられる。
【0022】
以下の実施例に関連づけて本発明を更に説明する。これらの実施例は説明目的のためにのみ記載するものである。
【実施例1】
【0023】
本発明に従って水を含有する唇用の製品を以下のように作製した。
【表1】
【0024】
キサンタンガム以外の水相成分を合わせて65℃に加熱した。次いでキサンタンガムを水相に添加し、溶解するまで約30分間混合した。水相混合物にグリセリンを添加した。油相成分を別個に容器中で合わせ、完全に融解するまで65℃に加熱した。この2つの相を高速プロペラ混合により合わせた。組成物を40℃に冷却した。スイープミキシングにより防腐剤を添加した。組成物を30℃に冷却し、容器に注ぎ入れた。
【実施例2】
【0025】
様々な唇用の製品を比較臨床試験のために以下のように選択し、および/または調製した:唇用組成物A、B、C、D、およびEを保湿特性について比較試験した。
【0026】
製品Aはワセリンである。
【0027】
製品Bは市販製品クリニーク リペアウェア インテンシブ リップトリートメント(Clinique Repair Wear Intensive Lip Treatment)である。その包装に記載された成分リストを以下に示す:
オクチルドデカノール、アジピン酸/カプリン酸/カプリル酸/ヘプタン酸ペンタエリスリチル、ワセリン、ポリアシルアジピン酸ビスジグリセリル-2、ポリエチレン、水添ジリノレイルアルコール、ステアロキシジメチコン、シリカ、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス(cera microcristillina)、精製水、コムギ胚芽(triticum vulgare germ)抽出物、コジョウコン(polygonum cuspidatum root)抽出物、テオブロマ・グランディフローラム(theobroma grandiflorum)シードバター、ペパーミント(mentha piperita)、アラビカコーヒーノキ種子(coffea arabica seed)抽出物、ローズマリー(rosmarinus officinalis)抽出物、酢酸トコフェロール、ロブスタコーヒーノキ種子(coffea robusta seed)抽出物、ヨーロッパダケカンバ(betula alba)抽出物、アストロカリウム・ムルムルバター(astrocaryum murumuru butter)、オオムギ(hordeum vulgare)抽出物、シアーバターノキ(butyrospermum parkii)、グリセリン、ポリア・ココス菌核粒子(poria cocos sclerotium)抽出物、リノレン酸、DNAナトリウム、サッカロミセス溶解液抽出物、リノール酸、コレステロール、RNAナトリウム、マレイン酸アスコルビルトコフェリル、セスキステアリン酸メチルグルコース(methyl glucose sequistearate)、ラウリルPCA、C20-40パレス-10、スクアラン、エチルヘキシルグリセリン、イソステアリン酸ポリグリセリル-4、ラウリン酸ヘキシル、セチルPEG/PPG-10/1 ジメチコン、アリルメタクリレーツクロスポリマー、ジカプリン酸プロピレングリコール、ノルジヒドログアイアレチン酸、ツルマメ(ダイズ)タンパク質、フィトスフィンゴシン、リン脂質(phospholids)、オレイン酸、アセチルカルニチンHCL、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリエトキシカプリルシラン(triethoxycaprylsilane)、ステアリン酸エチルヘキシル、パルミチン酸エチルヘキシル、硫酸カリウム、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース、BHT、フェノキシエタノール(+/- 以下を含み得る:マイカ、赤色7号レーキ (CI 15850)、黄色5号レーキ (CI 19140)、赤色22号レーキ (CI 45380)、赤色30号レーキ (CI 73360)、カルミン (CI 75470)、赤色33号レーキ (CI 17200)、赤色28号レーキ (CI 45410)、二酸化チタン (CI 77891)、酸化鉄 (CI 77491、CI 77492、CI 77499)、赤色6号 (CI 15850)、青色1号レーキ (CI 42090)、黄色6号レーキ (CI 15985))。
【0028】
製品Cはプロビオール(Probiol)NO3068 DMS−セラミド強化(Ceramide Enriched)と呼ばれる商品名の成分の混合物であり、水、PCAナトリウム、グリシン、スクアラン、水添レシチン、ペンチレングリコール、セラミド3、グリセリン、セリン、アラニンを含有する。
【0029】
製品Dは市販製品ランコム プリモディアル オプティマム レーブル リップトリートメント(Lancome Primodiale Optimum Levres Lip Treatment)である。その包装に記載された成分リストは以下のようであった:
水、シクロペンタシロキサン、水添ポリイソブテン、ジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマー、ジメチコン、グリセリン、ナイロン-12、マイクロクリスタリンワックス、フェニルトリメチコン、アンズ/アプリコットカーネルオイル、エチレン/アクリル酸コポリマー、シリカ、ジメチコンコポリオール、ポリソルベート20、酢酸トコフェロール、硫酸マグネシウムトコフェロール、ヨーロッパブナ(fagus sylvatica/fagus sylvatica)抽出物、ツルマメ/ダイズ油、メトキシ桂皮酸オクチル、イミダゾリジニル尿素、コルフェネシン(chorphenesin)、ポリカプロラクトン、プロピルパラベン、アクリレーツコポリマー、メチルパラベン、CI77491、酸化鉄(CI77492)。
【0030】
製品Eは上記の実施例1に記載の処方のものである。
【実施例3】
【0031】
19-76歳の女性パネリスト(平均年齢48歳)に製品A、C、およびEのうちの1種を適用した。試験開始前に、コルネオメーター(Corneometer(登録商標))CM825, Courage & Khazakaを使用して各パネリストの下唇の初期の皮膚水分量を測定した。コルネオメーターのプローブを唇の表面上に垂直においた。コルネオメーター単位として表される皮膚の水分量の測定値がスクリーン上に表示された。各被験者および測定について、標的表面上の異なるが互いに近接した部位で少なくとも5回測定を繰り返した。測定は最後の5回の測定値の標準偏差が2未満となるまで繰り返した。ベースラインの測定を行った後、パネリストには試験製品をその後1日4回で8日間、コルネオメーターによる水分量測定のために臨床試験センターに来る2時間前に1回、塗布するように説明した。水分量の測定は、最初の塗布から2時間後、2日後、および1週間後に行った。8日目に唇用製品の使用を中止した。パネリストには、次の2日間はいかなる唇用の製品も使用しないように求められた。10日目、パネリストは皮膚水分量のコルネオメーター測定のために試験センターを訪れた。ベースライン水分量の値を結果から差し引いた。10名のパネリストそれぞれの結果の平均は以下の通りであった。
【表2】
【0032】
上記の結果から、本発明の組成物を、双方とも最高水分量をもたらすが、美的観点からは市販品として許容できない水和標準品であるワセリンおよびプロビオールと比較すると、他の市販の製品に勝るものであることが証明される。本発明の組成物が多量の水を含有するにもかかわらず、これは事実である。
【実施例4】
【0033】
19-76歳の女性パネリストに製品A、B、C、D、およびEのうちの1種を適用した。試験開始前に、コルネオメーター(Corneometer(登録商標))CM825, Courage & Khazakaを使用して各パネリストの下唇の初期の皮膚水分量を測定した。コルネオメーターのプローブを唇の表面上に垂直においた。コルネオメーター単位として表される皮膚水分量の測定値がスクリーン上に表示された。各被験者および測定について、標的表面上の異なるが互いに近接した部位で少なくとも5回測定を繰り返した。測定は最後の5回の測定値の標準偏差が2未満となるまで繰り返した。ベースラインの測定を行った後、パネリストには試験製品を塗布するように説明した。水分量の測定は、最初の塗布から1 1/2、3、および6時間後に行った。ベースライン水和量の値を結果から差し引いた。パネリストの結果の平均は以下の通りであった。
【表3】
【0034】
ワセリン(製品A)およびプロビオール(製品C)は優れた水和プロファイルをもたらす基準処方であるが、唇用の製品として市販するには美的観点から好適ではない。従って、市販品として許容されるのに十分な美的魅力があり、基準品とほぼ同様の水和プロファイルを有する製品を調製することが目的であった。上記の結果から、本発明の組成物が1.5、3、および6時間の時点で最も多くの水和を示すことが証明される。本発明の組成物の長期間の水和は、製品A(ワセリン)適用3時間および6時間後よりも良好であり、基準品プロビオール適用3時間後の値に近いものである。
【0035】
本発明を好ましい実施形態と関連付けて記載してきたが、本発明の範囲を記載した特定の形態に限定することを意図するものではなく、反対に、代替物、改変物、および均等物が特許請求の範囲によって規定される本発明の精神および範囲内に含まれ得るように包含されることが意図される。