【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題は、それぞれ熱センサ、アセンブリ、加熱システム及び飲料調製装置を対象とした本発明の独立請求項によって解決される。従属請求項は、個々の解決法の他の利点を展開している。
【0012】
第1の態様によれば、本発明は、
コネクタと、
電気結合回路と、
検知要素と
を備える熱センサに関する。なお、検知要素は、該検知要素の温度に応じて変化する少なくとも1つの測定可能な電気量を有する。
【0013】
検知要素は、前記電気量をコネクタのレベル(位置)で測定することができるよう、電気結合回路を介してコネクタに電気的に結合される。センサは、第1の表面及び第2の表面を有する支持体をさらに備えている。第1及び第2の表面は、互いに熱的に結合され、且つ、互いに電気的に隔離されている。検知要素は、第1の表面に熱的に結合される。第2の表面は、温度を測定すべき領域に熱的に結合されるように構成される。
【0014】
熱センサの第2の表面は、監視領域、典型的には加熱器の外面に直接固定されるか、或いは任意の熱結合手段(例えば金属などの熱伝導材料の層)によって前記監視領域に少なくとも熱的に結合されることが意図されている。第2の表面、第1の表面及び検知要素は熱的に結合されるため、監視領域によって放射される熱は、支持体を経て検知要素に直接伝達される。したがって加熱器の監視領域と検知要素自体との間の支持体を経て高速で熱を伝導することができる。一方、従来技術による従来の熱センサは、それらの検知要素が保護部材によって覆われているため、加熱器の監視領域と検知要素との間に直接熱結合を形成せず、このような鋳造コンパウンド、ケーシング、金属ハウジング又はコーティング、例えば前記保護部材が監視領域と接触している。従来技術の熱センサの保護部材は、熱伝導率の点で性能を低下させており、加熱器の監視領域の温度の変化に対して速やかに反応することができない。したがって周知の熱センサは、第1の態様による熱センサと比較すると、高速温度変化に対するステップ応答が遅い。第1の態様による熱センサの熱伝達特性は、飲料調製装置の中で使用されるように構成された、当分野で知られている従来の熱センサの熱伝達特性より約10〜20倍高くすることができることが測定された。
【0015】
さらに、第1の態様によれば、支持体の第1の表面及び第2の表面は電気的に隔離されている。したがって検知要素は第1の表面に熱的に結合されており、加熱器の監視領域及び検知要素は電気的に隔離されている。この構成によれば、検知要素を加熱器から電気的に隔離することができる。
【0016】
例えば支持体は、少なくとも15W/(m・K)の熱伝導率値、及び少なくとも10kV/mmの電気絶縁値を有している。
【0017】
このような特性により、センサと加熱器の接地保護との間で測定した場合に、少なくとも1500Vの絶縁耐力を有する支持体を実現することができる。
【0018】
このような特性を有し、且つ、適切に較正された熱センサは、90℃のレベルで+/−1.5%の絶対温度測定精度を有することが測定されている。
図5に示されているように、前記熱センサは、監視領域の温度変化に対して0.3s未満のステップ応答を示し、加熱器の調整効率を著しく改善する基礎をもたらしている。
【0019】
例えばセラミック材料で構築された支持体は、これらの性能をもたらす。
【0020】
第2の態様によれば、本発明は、
飲料調製装置内の液体回路を通して流通している液体を加熱するように構成された、受容領域を有する加熱器と、
第1の態様による熱センサであって、その支持体が固定手段によって受容領域にしっかりと保持され、したがって支持体の第2の表面が、加熱器によって受容領域を通して放出される熱に曝される、熱センサと
を備えるアセンブリに関する。
【0021】
例えばこのアセンブリの加熱器は、サーモブロック又は他の熱蓄積加熱器などのインライン加熱器であってもよい。また、加熱器は、瞬間加熱型加熱器であってもよい。
【0022】
このアセンブリの場合、熱センサの第2の表面が加熱器の受容領域に固定される。典型的には、支持体の第2の表面は、加熱器の外面の、加熱器の出口又は入口の近傍に配置することができる。
【0023】
一実施形態では、受容領域は、加熱器の外面の、前記加熱器の水出口の近傍のかなり平坦な表面としている。したがってポンプ作用の下で液体が流通していない場合であっても、加熱器から出る直前の液体の温度の変化だけではなく、加熱器の内部の液体の温度を監視することができる。センサへの熱伝達をさらに改善するためには、受容領域は相当に平坦であることが好ましい。
【0024】
固定手段は、ねじ、リベット、溶接、フック、ガイド、圧縮接続、接着剤、機械的締結システム、化学的締結システム、任意の他の適切な組立て手段又はこれらの手段の任意の組合せを備えることができる。このアセンブリは、加熱器及び第1の態様による熱センサを結合するための有効な解決法を実現する。
【0025】
一実施形態では、第1の態様による熱センサは、クランプによって加熱器表面の受容領域の表面に保持される。したがって第2の表面は、温度を測定すべき領域に直接し、中間部品が挿入されないため、熱伝達が改善される。
【0026】
より具体的には、受容領域、第2の表面、第1の表面及び検知要素は熱的に結合される。受容領域によって放射される熱は、支持体を経て検知要素に直接伝導される。したがって加熱器の監視領域と検知要素自体との間の支持体を経る高速熱伝達が達成される。一方、従来技術による従来のアセンブリは、検知要素が保護部材によって覆われているため、加熱器の受容領域と検知要素との間に直接的な熱結合を形成せず、このような鋳造コンパウンド、ケーシング、金属ハウジング又はコーティング、例えば前記保護部材が監視領域と接触している。従来技術の熱センサの保護部材は、加熱器と熱センサとの間の熱結合の点で性能を低下させており、したがって知られている熱センサは、加熱器の受容領域の温度の変化に対して速やかに反応することができない。
【0027】
さらに、第2の態様によれば、受容領域及び検知要素は、それらの間に配置された支持体によって電気的に隔離されている。
【0028】
一実施形態では、固定手段は、受容領域と第2の表面の間に熱伝導性接着剤の層を備えることができる。
【0029】
熱センサは、第2の表面の実質的な部分を除いてカバーボディで覆うことができる。
【0030】
カバーボディは、第2の表面の実質的な部分を覆うようには配置構成されていない。したがってカバーボディは、第2の表面と加熱器の受容領域との接触即ち熱結合を妨害しない。ケーシングは、主として検知要素、電気結合回路及び該電気結合回路と接触しているコネクタの端部を外的な侵食から保護する。また、カバーボディは、例えばその形状及び/又はその物理的な特性が、加熱器の受容領域に対して固定された熱センサの保持を許容する場合、締結手段として使用することも可能である。
【0031】
第3の態様によれば、本発明は、飲料調製装置内の液体回路を
通して流通している液体を加熱するように構成される加熱システムであって、
第2の態様によるアセンブリと、
とりわけ加熱器及び熱センサに結合された制御手段であって、熱センサから得られる温度測値に従って加熱器を制御するように構成された、制御手段と
を備える、加熱システムに関している。
【0032】
コントローラは、典型的には、必要な電力を加熱器に供給するためにエネルギー供給手段及び加熱器に結合される。コントローラは、加熱器の抵抗性加熱要素に供給される電流の強度を制御することができる。
【0033】
特に、制御手段は、液体回路を通して流通する液体を加熱するために、少なくとも1つの温度指令に基づいて、熱センサから得られる温度測値を使用して、特に加熱器を制御するように構成される。温度指令は、例えば命令、規則及び/又は実際の温度を入力パラメータとして取ったモデルを含むことができる。例えば温度指令は、受容領域の現在の実際の温度を考慮して90℃の出力温度を達成するために取られるアクションのシーケンスを含むことができる。例えば単純な温度指令は、実際の温度が90℃より高い場合、加熱器への電力供給の低減でなっていてもよく、或いは実際の温度が90℃より低い場合、加熱器への全電力の供給でなっていてもよい。
【0034】
低熱慣性の熱センサによってもたらされる、加熱器の受容領域の温度測値を使用することにより、制御手段は加熱器の温度指令を実施することができ、また、場合によっては、加熱器を通る液体の流れを調整するための手段であって、当分野で知られている解決法と比較すると、改良された安定性を有する、手段の温度指令を実施することができる。さらに、加熱器によって引き渡される実際の温度の精度が向上する。加熱器内の液体がその沸点に達するか、或いはそれを超えると、スケールの堆積が著しく増加するため、加熱システムは、この沸点に達したことに関する情報をより速やかに得るためのその容量が用意されている場合、第1の態様による熱センサの低い熱慣性、及び第2の態様によるアセンブリのおかげでこのような状況の発生を回避するか、或いは少なくすることができる。
【0035】
また、制御手段は、加熱器を通る液体の供給を制御するように配置構成することも可能である。この実施形態では、温度指令は、加熱器を経ての流れを考慮することも可能である。
【0036】
制御手段は、1つ又は複数のコントローラ及び/又はプロセッサ、水晶時計及びメモリ素子が載っている印刷回路基板PCBを含むことができる。
【0037】
第4の態様によれば、本発明は、第3の態様による加熱システムを備えた、液体回路を有する飲料調製装置であって、前記液体回路を通して流れる液体を加熱するように構成された飲料調製装置に関している。
【0038】
飲料を調製するために使用される液体の温度の精度は、多くの飲料、例えばコーヒー又は茶の味覚品質の主要な役割を果たしているため、究極的には、高速で反応する、正確に制御される加熱システムを有することにより、飲料調製装置は、最適感知品質の飲料を引き渡すことができる。
【0039】
以下、本発明について、略図を参照して説明する。