(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弁室の内周上部には、前記フロート弁の昇降動作をガイドするフロート弁ガイドリブが、軸方向に伸びると共に周方向に所定間隔で設けられており、このフロート弁ガイドリブの上端部が、前記薄肉リブの外周側の端部に連結されている請求項3記載の弁装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1〜6を参照して、本発明の弁装置の一実施形態について説明する。
【0015】
図1及び
図2に示すように、この弁装置10は、仕切壁35を介して下方に弁室R1、上方に通気室R2が形成されたハウジング20と、このハウジング20の前記弁室R1内に昇降可能に配置されたフロート弁70と、前記ハウジング20の通気室R2内に昇降可能に配置されたチェック弁80とを有している。
【0016】
図1に示すように本実施形態におけるハウジング20は、略筒状をなしたハウジング本体30と、このハウジング本体30の下方開口部に装着されるロアキャップ50と、前記ハウジング本体30の上方開口部に装着されるアッパーキャップ60とから構成されている。そして、ハウジング本体30及びロアキャップ50により、燃料タンク内に連通する弁室R1が画成され、ハウジング本体30及びアッパーキャップ60により、燃料タンクの外部に連通する通気室R2が画成されている(
図2参照)。
【0017】
また、前記ハウジング本体30は、所定径で拡径した略円筒状の下方筒部32と、この下方筒部32の上部に連設され、同下方筒部32よりも縮径した略円筒状の上方筒部33とからなる周壁31を有している。この周壁31の上方筒部33の、所定位置に前記仕切壁35が設けられている。なお、上方筒部33の仕切壁35より上方は、更にやや縮径した形状をなしている。この仕切壁35の中央に、円形状の開口部37が形成されており、前記弁室R1と前記通気室R2とが連通されている。
【0018】
更に、周壁31の上方筒部33の、上方開口部周縁に複数の係合孔33aが形成され、同上方筒部33の上端部に複数の係合凹部33bが形成されている。また、
図2に示すように、上方筒部33の外周の軸方向途中には、環状のシールリング装着凹部33cが形成され、これにシールリングSが装着されていると共に、このシールリング装着凹部33cの下方には、環状の肉抜き凹部33dが形成されている。
【0019】
一方、前記周壁31の下方筒部32の所定位置には、前記弁室R1に連通する透孔32aが複数形成されている。この透孔32aに対応する位置であって、前記周壁31の上方筒部33の下端からは、下方筒部32との間に隙間を介して、燃料飛散防止壁39が形成されており、透孔32aから弁室R1内に流入した燃料を衝突させて、燃料の勢いを弱めて、フロート弁70が閉じる前に前記開口部37から通気室R2内に燃料が漏れることを防止する役割をなしている。更に、下方筒部32の下部外周には、周方向に沿って所定間隔をあけて、複数の係合突起32bが突設されている。
【0020】
前記仕切壁35の上面側、すなわち、前記通気室R2の内周であって、前記周壁31の上方筒部33の内周面には、チェック弁80の昇降動作をガイドする、チェック弁ガイドリブ40が複数設けられている。
図2〜4に示すように、この実施形態におけるチェック弁ガイドリブ40は、前記仕切壁35の上面に連結されて、上方筒部33の軸方向に沿って上方に伸びると共に、上方筒部33の周方向に沿って均等な間隔をあけて複数突設されている。
【0021】
図4(a)に示すように、各チェック弁ガイドリブ40は、前記上方筒部33の内周面に連結された外周側端部に対して、内周側端部が仕切壁中央の開口部37に向けて、突出した形状をなしている。また、
図2及び
図3に示すように、各チェック弁ガイドリブ40は、半径方向内方への突出量が大きい幅広の下部41と、この下部41の上部に連設されて、下部41よりも幅狭の上部43とからなる。
【0022】
なお、本実施形態では、上記チェック弁ガイドリブ40は、通気室R2の内周に12個設けられているが、この個数に限定されず、チェック弁80をガイド可能であればよい。チェック弁ガイドリブ40の個数としては、6〜18個であることが好ましい。チェック弁ガイドリブ40の個数が6個未満の場合は、チェック弁80がガタ付きやすくなり、18個を超えると、チェック弁80の外周と上方筒部33の内周との間を流れる燃料蒸気の流路面積が不足しがちになり、燃料タンク内の圧力上昇時に燃料蒸気を流動させにくくなる。
【0023】
一方、
図2、
図3及び
図4(b)に示すように、前記仕切壁35の下面側には、前記開口部37の周縁に設けられた弁座37aと、同弁座37aの外周から所定間隔をおいて放射状に伸びる複数の薄肉リブ45とが形成されている。そして、
図4(b)に示すように、この薄肉リブ45は、ハウジング本体30の軸方向に沿って見たとき、仕切壁35の上面側に設けられた複数のチェック弁ガイドリブ40,40と重ならないように、それらの間に配置されている。また、各薄肉リブ45の外周側の端部は、前記周壁31の上方筒部33の内周面に連結され、内周側端部は、前記弁座37aに至らずに、その手前で切れており、薄肉リブ45と弁座37aとの間に、リブのない平坦部分46が形成されている。
【0024】
本実施形態では、上記薄肉リブ45は、前記チェック弁ガイドリブ40の間に配置されるため、チェック弁ガイドリブ40と同じ個数、すなわち、弁座37aの外周に12個設けられているが、必ずしもチェック弁ガイドリブ40と同じ個数である必要はなく、チェック弁ガイドリブ40に重ならない位置で、かつ、周方向に均等に配置されていればよい。また、薄肉リブ45の個数は特に限定されないが、6〜18個であることが好ましい。薄肉リブ45の個数が6個未満の場合は、射出成形時の溶融樹脂の通路となる、薄肉リブ45用のキャビティC2(
図6参照)の個数が少なくなり、射出成形時にハウジング本体30のキャビティ全体に溶融樹脂が流動しにくくなり、18個を超えると、薄肉リブ45の幅が狭くなり、上記キャビティC2が幅狭となるため、射出成形時における溶融樹脂の流動性が低下する。
【0025】
更に
図2、
図3及び
図4(b)に示すように、前記弁室R1の内周上部、すなわち、前記周壁31の上方筒部33の、仕切壁35より下面側の上部内周には、フロート弁70の昇降動作をガイドする、フロート弁ガイドリブ47が複数設けられている。この実施形態における各フロート弁ガイドリブ47は、前記仕切壁35の下面に連結されて、上方筒部33の軸方向に沿って下方に所定長さで伸びると共に、上方筒部33の周方向に沿って均等な間隔をあけて複数突設されている。なお、各フロート弁ガイドリブ47は、フロート弁70が下降したときに、その上方部分に至る長さで伸びている(
図5参照)。
【0026】
また、
図4(b)に示すように、各フロート弁ガイドリブ47は、開口部37の外周に均等な間隔で放射状に配設された複数の薄肉リブ45に対して一つおきに重なるように、薄肉リブ45の外周側端部に、その上端部が連結されて配設されている。更に、各フロート弁ガイドリブ47の内周側端部は、前記薄肉リブ45のほぼ半分の長さに至るまで突出している。
【0027】
なお、この実施形態における上記フロート弁ガイドリブ47は、12個の薄肉リブ45に対して一つおきに重なるように、その半数の6個が設けられているが、この個数は特に限定されず、6〜8個であることが好ましい。フロート弁ガイドリブ47の個数が6個未満の場合は、フロート弁70がガタ付きやすくなり、8個を超えると、ハウジング本体30の内周とフロート弁70の外周との隙間が小さくなり、燃料タンク内の圧力上昇時に燃料蒸気を流動させにくくなると共に、燃料タンク内の圧力下降時に外部空気を導入しにくくなる。
【0028】
上記構造のハウジング本体30の下方開口部に装着されるロアキャップ50は、有底円筒状をなしており、その外周面に、前記ハウジング本体30の係合突起32bが係合する、係合孔51が形成されている。
【0029】
また、
図1に示すように、上記ハウジング本体30の上方開口部に装着されるアッパーキャップ60は、上面が閉塞した蓋状をなしており、その周面にスリット61を介して撓み可能とされ、前記ハウジング本体30の係合孔33aに係合する係合爪63と、上端周縁から突設され、前記ハウジング本体30の係合凹部33bに係合する係合凸部65とが形成されている。
【0030】
以上のように、ハウジング本体30、ロアキャップ50及びアッパーキャップ60で構成されたハウジング20は、その上部外周に図示しない外部ケースが装着されるようになっており、この外部ケースを介して弁装置10が、図示しない燃料タンクに取付けられるようになっている。
【0031】
前記弁室R1内に昇降可能に配置されるフロート弁70は、この実施形態の場合、下方に配置された基部71と、この基部71よりも外径が小さく、基部71の上面中央から上方に向けて突出した挿入部73とを有している。
図2及び
図5に示すように、前記挿入部73の上方部分は、上述した複数のフロート弁ガイドリブ47の内周に挿入され、その昇降動作がガイドされるようになっている。
【0032】
また、前記挿入部73の上端中央からは弁頭73aが突設され、これが前記ハウジング本体30の弁座37aに接離して、仕切壁35に形成された開口部37を開閉するようになっている(
図2及び
図5参照)。更に、フロート弁70の下面中央には肉抜き凹部75が形成され、その外周には環状のバネ収容凹部77が形成されている。また、フロート弁70の基部71の外周には、軸方向に伸びるリブ79が周方向に均等な間隔をあけて複数突設されており、前述したフロート弁ガイドリブ47と併せて、フロート弁70の昇降動作をガイドするようになっている。この実施形態では8個のリブ79が設けられているが、その個数や形成位置は特に限定されない。
【0033】
そして、上記形状のフロート弁70をハウジング本体30の弁室R1内に収容して、その挿入部73の上方部分を複数のフロート弁ガイドリブ47の内周に挿入すると共に、フロート弁用スプリング55を、フロート弁70のバネ収容凹部77に収容し、その他端をロアキャップ50の底面に支持させる。この状態でハウジング本体30の下方開口部外周にロアキャップ50の外周面を被せて、ハウジング本体30の係合突起32bをロアキャップ50の係合孔51に係合させることにより、ハウジング本体30の下方開口部にロアキャップ50が装着され、弁室R1内にフロート弁70が昇降可能に収容されるようになっている(
図2及び
図5参照)。
【0034】
上記のように弁室R1内に収容されたフロート弁70は、燃料が浸漬していない状態では、その自重によりフロート弁用スプリング55を圧縮して、ロアキャップ50の底部上に載置され、ハウジング本体30の開口部37が開いた状態に保持される(
図2参照)。そして、燃料タンク内の燃料液面が上昇して、フロート弁70が所定高さまで浸漬されると、フロート弁用スプリング55の付勢力にフロート弁70自体の浮力が加わって、フロート弁70が上昇して、弁頭73aが弁座37aに当接して、開口部37を閉塞するようになっている(
図5参照)。
【0035】
一方、前記通気室R2内に昇降可能に配置されたチェック弁80は、
図1及び
図2に示すように、上下両面に通孔81a,81bが設けられたケーシング81と、このケーシング81内に昇降可能に配置され、上方の通孔81aに接離する弁体83と、この弁体83を上方の通孔81aに向けて付勢する内蔵スプリング85とから主として構成されている。そして、このチェック弁80は、ハウジング20の通気室R2内に昇降可能に収容され、前記仕切壁35の開口部37の上面周縁に接離するようになっている。
【0036】
そして、通気室R2内に収容されたチェック弁80のケーシング81の上面に、チェック弁用スプリング87の下端を当接させ、アッパーキャップ60の下面にチェック弁用スプリング87の上端を当接させ、ハウジング本体30の係合凹部33bにアッパーキャップ60の係合凸部65を係合させると共に、同ハウジング本体30の係合孔33aにアッパーキャップ60の係合爪63を係合させる。これによって、チェック弁用スプリング87が圧縮された状態で、ハウジング20の上方開口部にアッパーキャップ60が装着される。その結果、チェック弁用スプリング87によりチェック弁80がハウジング20の開口部37に向けて付勢されて、同開口部37が常時は閉塞されるようになっている。
【0037】
本実施形態の弁装置10は以上のような構造をなしているが、各部材は合成樹脂によりそれぞれ射出成形されている。そのうち、ハウジング本体30について説明すると、このハウジング本体30の仕切壁35の上面側であって、仕切壁35の下面側に形成された薄肉リブ45に適合する複数の位置に、ハウジング本体30の射出成形時のゲート部Gが、ゲート痕をなして配置されている(
図4(a)参照)。同
図4(a)に示すように、この実施形態では、開口部37の外周に均等な間隔で放射状に突設された薄肉リブ45に対して3つおきとなる位置で、かつ、薄肉リブ45の内周側端部に整合する位置に、ゲート部Gがそれぞれ配置され、合計3つのゲート部Gが配置されている。
【0038】
このゲート部Gは、射出成形時のゲートの位置を表しており、この実施形態では、弁座37aの外周に均等に配置された、ゲート部Gのある3箇所のゲートから樹脂が射出されるようになっている。ただし、このゲートの数(ゲート部Gの数)は、特に限定されず、2箇所、4箇所等であってもよい。各ゲートは、弁座37aの外周に周方向に沿って均等にかつ軸方向から見たとき薄肉リブ45に重なる位置に配置されていればよい。
【0039】
上記ゲート部Gに関連して、ハウジング本体30の射出成形工程について説明すると、このハウジング本体30は、
図6に示すような、相対的にスライド可能な複数の型1,2,3等からなる型枠のキャビティC内に、溶融した合成樹脂が充填されて凝固することにより、成形されるようになっている。
【0040】
図6には、ハウジング本体30の成形用のキャビティCの要部が示されており、仕切壁35及び弁座37a用のキャビティC1と、その下方に設けられた薄肉リブ45用のキャビティC2と、前記キャビティC1の上方に設けられたチェック弁ガイドリブ40用のキャビティC3と、前記キャビティC2の下方に設けられたフロート弁ガイドリブ47用のキャビティC4と、このキャビティC4に隣接して設けられた周壁31用のキャビティC5とを有している。前記キャビティC1の上面側であって、前記キャビティC2の内周側端部に整合する位置に、ゲートG1が立設されている。なお、チェック弁ガイドリブ40用のキャビティC3は、この断面上では表れないため、想像線で記載している。
【0041】
そして、ハウジング本体30が射出成形される際には、図示しない射出成型機から供給される溶融樹脂が、キャビティC内を次のように流動する。すなわち、ゲートG1に供給された溶融樹脂は、まず、仕切壁35及び弁座37a用のキャビティC1に流入し(矢印Y1参照)、このキャビティC1を介して、薄肉リブ45用のキャビティC2、及び、チェック弁ガイドリブ40用のキャビティC3にそれぞれ流入する(矢印Y2参照)。その後、溶融樹脂は、前記キャビティC2を通って、フロート弁ガイドリブ47のキャビティC4に流入し(矢印Y3参照)、このキャビティC4を介して、周壁31用のキャビティC5に流入して(矢印Y4参照)、ハウジング本体30全体のキャビティの隅々に流入する。その後、キャビティC内に流入した溶融樹脂が冷却して凝固した後、型1,2,3を適宜スライド移動させて、キャビティCから成形品を抜型することにより、ハウジング本体30が得られるようになっている。
【0042】
上記のように本実施形態では、仕切壁35の上面側であって、薄肉リブ45に適合する複数の位置に、ハウジング本体30の射出成形時のゲート部Gが配置されているので(
図4(a)参照)、ハウジング本体30の射出成形時に、ゲートG1に供給された溶融樹脂を、放射状に延設された薄肉リブ45用のキャビティC2を通して、スムーズに流動させることができ、ハウジング本体30の成形性を高めることができる。特に、放射状に延設された薄肉リブ45の内周側端部に、複数のゲート部Gが配置されているので、溶融樹脂を半径方向内方の複数箇所から半径方向外方に向けて、迅速に流動させることができ、成形性を高めることができる。
【0043】
更に、薄肉リブ45を設けたことにより、そのキャビティC2をゲートC1と整合した位置に設定することで、同キャビティC2をゲートG1から供給される溶融樹脂の流路とすることができるので、薄肉リブ45の厚みを厚くしたり幅を広くしたりすることによって、溶融樹脂の流路を大きくすることができ、溶融樹脂を他のキャビティに充填させやすくすることができる。
【0044】
また、本実施形態では、薄肉リブ45の外周側端部に、フロート弁ガイドリブ47の上端部が連結されており、薄肉リブ45用キャビティC2の外周端部と、フロート弁ガイドリブ47用キャビティC4の上方端部とが連通しているので、射出成形時に、溶融樹脂を、キャビティC2を通じてキャビティC4に連続してスムーズに流動させることができると共に、前記キャビティC4を通じて周壁31用のキャビティC5に溶融樹脂を流動させて、溶融樹脂をハウジング本体30全体のキャビティの隅々に、スムーズに行き渡らせることができ、その成形性を更に高めることができる。
【0045】
そして、この弁装置10においては、
図4(a),(b)に示すように、仕切壁35の下面側であって、開口部37の外周に放射状に延設された複数の薄肉リブ45と、仕切壁35の上面側の通気室R2の内周に周方向に均等に突設された複数のチェック弁ガイドリブ40とが、ハウジング本体30を軸方向から見たときに、重ならないように周方向に交互に形成されているので、仕切壁35の上面側及び下面側において、開口部37の外周に生じるヒケを、仕切壁35の上下で均等に分散させることができると共に、開口部37の周方向に沿っても均等に分散させることができ、これにより開口部37の真円度を向上させることができる。
【0046】
また、
図2及び
図4(b)に示すように本実施形態では、仕切壁35の下面側に放射状に延設された複数の薄肉リブ45は、その内周側端部が弁座37aに至らずに手前で切れて、薄肉リブ45と弁座37aとの間に平坦部分46が形成され、薄肉リブ45と弁座37aとが連結されていないので、射出成形後、冷却時に薄肉リブ45に生じるヒケの影響が、開口部37の内周に生じにくくなり、開口部37の真円度をより向上させることができる。
【0047】
次に、上記構造をなした弁装置10の動作について説明する。
【0048】
上記弁装置10は、キャニスタに連結されたエバポ配管に連通した図示しない外部ケースを介して、燃料タンクの上壁に取付けられるようになっている。そして、燃料液面がフロート弁70に浸漬していない場合は、フロート弁70が下降して、仕切壁35の開口部37の下方側が開いた状態となっている(
図2参照)。また、燃料タンク内の圧力が所定値を超えていない状態では、チェック弁用スプリング87で付勢されたチェック弁80により、開口部37の上方側が閉塞されている(
図2参照)。
【0049】
上記状態で燃料タンク内の圧力が所定値を超えると、チェック弁用スプリング87の付勢力に抗してチェック弁80が上昇して開口部37の上方側が開き、燃料蒸気が開口部37を通って通気室R2に流入して、燃料タンク外のキャニスタ等へ送られて、燃料タンク内の圧力が低減される。一方、燃料タンク内の圧力が外気圧よりも低下すると、外気が通気室R2内に導入されて弁体83が押圧され、内蔵スプリング85の付勢力に抗して弁体83が下方に移動して、ケーシング81上方の通孔81aが開き、外気がケーシング81下方の通孔81b及びハウジング20の開口部37を通って、弁室R1内に導入されて燃料タンク内へと流入し、燃料タンク内の負圧状態が解消される。
【0050】
そして、車両が旋回したり大きく傾いたりして、燃料タンク内の燃料液面が上昇して、フロート弁70に燃料が所定高さ以上浸漬すると、フロート弁用スプリング55の付勢力及びフロート弁70自体に生じる浮力によって、フロート弁70が浮き上がり、
図5に示すように、弁頭73aが弁座37aに当接して開口部37が閉塞される。その結果、燃料が開口部37を通って通気室R2内に流入することが阻止されて、燃料タンク外への燃料漏れを防止することができる。
【0051】
そして、この弁装置10においては、上述したように開口部37の真円度を向上させることができるので、弁座37aに弁頭73aが当接して開口部37が閉塞されるときの、フロート弁70と開口部37とのシール性を向上させることができ、上記のような燃料タンク外への燃料漏れをより確実に防止することができる。
【0052】
また、この実施形態では、フロート弁70が昇降動作するときに、フロート弁ガイドリブ47により、フロート弁70の挿入部73がガイドされると共に、ハウジング20の下方筒部32の内周面に近接したリブ79により、フロート弁70の基部71がガイドされるので、フロート弁70を傾くことなく上昇させて、弁頭73aを弁座37aにしっかりと当接させて、そのシール性を高めることができる。
【0053】
更に、仕切壁35の下面側に、放射状に延設された複数の薄肉リブ45を設けたことにより、弁室R1の上方空間の容積を少なくすることができるので、フロート弁70が上昇したときに、その上面と仕切壁35との間で、燃料が溜まる量を減少することができ、その結果、フロート弁70の動的性能を向上させることができると共に、開口部37から通気式R2内へ燃料が流入することを効果的に防止することができる。