(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記粘着剤組成物は、フィルムに粘着層を形成してから36時間経過した後に測定されたゲル分率が70%以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、硬化に達する時間を短縮することが可能な偏光板用粘着剤組成物を提供する。
【0006】
本発明は、熟成時間が短縮され、最適には熟成室を必要としない偏光板用粘着剤組成物を提供する。
【0007】
本発明は、経時安定性と生産性が改善された偏光板用粘着剤組成物を提供する。
【0008】
本発明は、前記偏光板用粘着剤組成物を含む粘着層を含む偏光板を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の粘着剤組成物は、イソシアネート系硬化剤を含み、下記の式1で表される押された距離減少率が10%以下であってもよい。
【0010】
<式1>
押された距離減少率(%)=|(A−B)/A| x 100
【0011】
前記式は、前記粘着剤組成物を含有する粘着層が形成された偏光板をガラス板に付着させ、35℃及び45%の相対湿度で、Bは36時間、Aは24時間経過した後、25℃で2.25kgの力を1000秒間かけたときの粘着層の押された距離を示す。
【0012】
本発明の粘着剤組成物は、イソシアネート系硬化剤を含み、粘着層を形成してから4日経過した後に測定されたゲル分率と、1日経過した後で測定されたゲル分率との差が0超〜5%未満で、前記ゲル分率は下記の式2で表されることができる。
【0013】
<式2>
ゲル分率(%)=D/C x 100
【0014】
前記式において、Cは、特定時間が経過した後の粘着剤組成物の重さを示し、Dは、特定時間が経過し、25℃でエチルアセテートに12時間沈積した後、100℃のオーブンで12時間乾燥させた粘着剤組成物の不溶解分の重さを示す。
【0015】
一具体例において、前記イソシアネート系硬化剤は、化学式1の構造を有することができる。
【0016】
【化1】
・・<化1>
【0017】
前記式において、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、水素、―(CH
2)n1―NCO、及び―(CH
2)n2―NCOからなる群より選ばれ、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5のうち2つは、―(CH
2)n1―NCOと、―(CH
2)n2―NCOであり、n1とn2は、互いに独立的であり、2〜10の整数である。
【0018】
一具体例において、前記粘着剤組成物は、フィルムに粘着層を形成してから36時間経過した後に測定されたゲル分率が70%以上であってもよい。
【0019】
一具体例において、前記粘着剤組成物は、初期粘度(a)と、25℃で2日間放置した後の粘度(b)に対して、粘度変化率(△η)が10%未満であってもよい。
【0020】
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系共重合体と、前記化学式1のイソシアネート系硬化剤と、及び架橋促進剤と、を含むことができる。
【0021】
本発明の偏光板は、前記粘着剤組成物を含有する粘着層を含むことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の粘着剤組成物は、硬化に達する時間を短縮させることができる。また、本発明の粘着剤組成物は、熟成時間を短縮させ、最適には熟成室を必要としない。また、本発明の粘着剤組成物は、経時安定性と生産性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
本発明の偏光板用粘着剤組成物は、イソシアネート系硬化剤を含み、下記の式1で表される押された距離減少率が10%以下であってもよい。前記範囲である場合、粘着剤組成物の熟成時間を1日(24時間)に短縮可能であり、硬化に達するまでの時間が1日以内であることが分かる。望ましくは、押された距離減少率は0〜8%であってもよい。
【0025】
押された距離減少率は、粘着剤組成物を含有する粘着層が形成された偏光板をガラス板に付着させ、35℃及び45%の相対湿度で特定時間が経過した後、25℃で2.25kgの力を1000秒間かけたときに、粘着層の押された距離が減少した割合を示す。
【0026】
押された距離減少率は、下記の式1で表すことができる。
【0027】
<式1>
押された距離減少率(%)=|(A−B)/A| x 100
【0028】
前記式は、前記粘着剤組成物を含有する粘着層が形成された偏光板をガラス板に付着させ、35℃及び45%の相対湿度で、Bは36時間、Aは24時間経過した後、25℃で2.25kgの力を1000秒間かけたときの粘着層の押された距離を示す。
【0029】
押された距離減少率は、粘着剤組成物をポリエチレンテレフタレート離型フィルムにコーティングし、100℃で4分間乾燥させて得た25μmの厚さの均一な粘着層に対して測定することができる。
【0030】
押された距離減少率を測定する前に、粘着層が形成された偏光板は、30±5℃、相対湿度50±25%の恒温恒湿条件で保管されることができる。
【0031】
本発明の粘着剤組成物は、35℃及び45%の相対湿度で、24時間経過した後の粘着層の押された距離と、36時間経過した後の粘着層の押された距離と、から計算された押された距離減少率が10%以下であってもよい。
【0032】
また、本発明の粘着剤組成物はイソシアネート系硬化剤を含み、粘着層を形成してから4日経過した後に測定されたゲル分率と、1日経過した後に測定されたゲル分率との差が0超〜5%未満であってもよい。望ましくは、ゲル分率の差は1〜3%であってもよい。
【0033】
ゲル分率は、下記の式2で表すことができる。
【0034】
<式2>
ゲル分率(%)=D/C x 100
【0035】
前記式において、Cは、特定時間が経過した後の粘着剤組成物の重さを示し、Dは、特定時間が経過した後、25℃でエチルアセテートに12時間沈積し、100℃のオーブンで12時間乾燥させた粘着剤組成物の不溶解分の重さを示す。また、前記特定時間とは、前記4日又は1日の時間を意味する。
【0036】
粘着層は、通常の方法で形成することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート離型フィルムなどにコーティングし、60℃〜100℃で、1分〜4分間乾燥させて形成することができる。粘着層の厚さは5μm〜30μmであってもよいが、これらに制限されるわけではない。
【0037】
本発明の粘着剤組成物は、フィルムに粘着層を形成してから36時間経過した後に測定されたゲル分率が70%以上であってもよい。
【0038】
また、本発明の粘着剤組成物は、粘度変化率(△η)が10%未満であってもよい。粘度変化率は、下記の式3で表すことができる。
【0039】
<式3>
△η=|(b−a)|/a x 100
【0040】
前記式において、aは、初期粘度を示し、bは、25℃で2日間放置した後の粘度を示す。
【0041】
粘度は、粘度測定計(Brookfield LVDV―II、spindle no 63.6330rpm)を使用して測定できるが、これに制限されることはない。
【0042】
このような物性を有する本発明の粘着剤組成物は、アクリル系共重合体、下記の化学式1のイソシアネート系硬化剤、及び架橋促進剤を含むことができる。
【0044】
前記式において、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、水素、―(CH
2)n1―NCO、及び―(CH
2)n2―NCOからなる群より選ばれ、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5のうち2つは、―(CH
2)n1―NCOと、―(CH
2)n2―NCOであり、n1とn2は、互いに独立的であり、2〜10の整数である。
【0045】
アクリル系共重合体
アクリル系共重合体は、イソシアネート系硬化剤と反応できる水酸基を有する(メタ)アクリル系単量体の共重合体を含むことができる。望ましくは、アクリル系共重合体は、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体であってもよい。アクリル系共重合体の重量平均分子量は、400,000〜2,500,000g/mol、望ましくは800,000〜2,000,000g/molであってもよい。前記範囲である場合、高温高湿条件などでの耐久性に優れ、粘着剤コーティング性がよく備えられる。
【0046】
水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとは、末端又はエステル構造内に水酸基を含み、炭素数1〜20のアルキル基を有し、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合可能な(メタ)アクリル酸エステルを意味してもよい。例えば、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルとは、2―ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4―ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2―ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2―ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6―ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、1,4―シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、1―クロロ―2―ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,6―へキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、2―ヒドロキシ―3―フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4―ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2―ヒドロキシ―3―フェニルオキシ(メタ)アクリレート、4―ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上を含むことができる。水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル系共重合体のうち0.1〜10重量%、望ましくは1〜8重量%で含まれることができる。
【0047】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、エステル部分に炭素1個〜20個の線形又は分岐型のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことができる。例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n―ブチル(メタ)アクリレート、t―ブチル(メタ)アクリレート、iso―ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート及びラウリル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上を含むことができる。アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルは、アクリル系共重合体のうち90〜99.9重量%、望ましくは92〜99重量%で含まれることができる。
【0048】
アクリル系共重合体は、水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外に、他の共重合可能な単量体をさらに含むことができる。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸二重体、イタコン酸、マレン酸及びマレン酸無水物からなる群より選ばれる1種以上をさらに含むことができる
【0049】
アクリル系共重合体は、その製造方法に特別な限定がなく、溶液重合法、光重合法、バルク重合法、乳化重合法又はエマルジョン重合法によって製造することができる。望ましくは、アクリル系共重合体は溶液重合法を使用して製造され、重合温度は50〜140℃であることが望ましい。このとき、開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル又はアゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ系重合開始剤、及び/又は過酸化ベンゾイル又は過酸化アセチルなどの過酸化物を含む通常のものを使用することができる。
【0050】
イソシアネート系硬化剤
イソシアネート系硬化剤は、下記の化学式1の構造を有することができる。
【0052】
前記式において、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5は、水素、―(CH
2)n1―NCO、及び―(CH
2)n2―NCOからなる群より選ばれ、R
1、R
2、R
3、R
4及びR
5のうち2つは、―(CH
2)n1―NCOと、―(CH
2)n2―NCOとであり、n1とn2は、互いに独立的であり、2〜10の整数である。
【0053】
望ましくは、n1とn2は、3〜6の整数であってもよい。
【0054】
望ましくは、R
1とR
5は、―(CH
2)n1―NCOと、―(CH
2)n2―NCOであり、R
2〜R
4は水素であってもよい。
【0055】
望ましくは、―(CH
2)n1―NCOと、―(CH
2)n2―NCOは互いに同一であってもよい。
【0056】
具体的には、イソシアネート系硬化剤は、2,6ビス(ブチルイソシアネート)トルエンであってもよい。
【0057】
前記イソシアネート系硬化剤は、ベンゼン環とNCOとの間にアルキル基が存在するので、NCOの自由度が高まり、NCOのカルボニル(CO)炭素への電子流入が低下する。その結果、金属触媒下でアクリル系共重合体の水酸基とNCOとの間の求核反応が促進されることによって、粘着剤の熟成時間を著しく低下させることができる。
【0058】
アクリル粘着剤の凝集力によって十分な耐熱性を得るためには、一般に、硬化剤は、前記アクリル系共重合体100重量部に対して0.01以上10以下の重量部で配合することが望ましい。前記範囲である場合、柔軟性に優れた粘着剤を実現することができ、硬化速度を調節することができる。望ましくは、0.1〜2重量部で配合することができる。
【0059】
架橋促進剤
架橋促進剤は、アクリル共重合体とイソシアネート系硬化剤との架橋を促進する触媒機能を果たす。架橋促進剤は、金属触媒、金属からなる群より選ばれる1種以上であってもよい。
【0060】
架橋促進剤としては、スズ系金属化合物、亜鉛金属化合物、アミン類化合物、チタン系金属化合物、ビスマス系金属化合物、及びアルミニウム系金属化合物を挙げることができる。これらのうち、スズ系金属化合物を使用することが望ましい。このような架橋促進剤であるスズ系金属化合物の具体例としては、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズビス(アセチルアセトネート)、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジマレエートの4価又は2価の有機スズ系化合物を挙げることができる。
【0061】
また、亜鉛系金属化合物としては、酸化亜鉛、炭酸アンモニウム亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、2―エチルヘキサノエート亜鉛を挙げることができ、前記の群より選ばれる1種以上を含むことができるが、これらに制限されることはない。
【0062】
架橋促進剤は、アクリル系共重合体100重量部に対して0.01〜1.5重量部、望ましくは、0.05〜1.0重量部で含まれることができる。
【0063】
本発明の粘着剤組成物は、シランカップリング剤をさらに含むことができる。シランカップリング剤は、粘着剤組成物がガラス基板に接触するときに接触安定性を向上させ、耐熱性と耐湿性を改善し、粘着剤が高温、及び/又は高湿下で長時間放置された場合に、接着信頼性を向上させる作用をする。シランカップリング剤は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシランなどの重合性不飽和基含有ケイ素化合物、ガンマエポキシプロピルトリメトキシシラン、3―グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、3―グリシドオキシプロピルメチルジメトキシシラン、2―(3,4―エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシランなどのエポキシ構造を有するケイ素化合物、3―アミノプロピルトリメトキシシラン、N―(2―アミノエチル)―3―アミノプロピルトリメトキシシラン、N―(2―アミノエチル)―3―アミノプロピルメチルジメトキシシランなどのアミノ基含有ケイ素化合物、及び3―クロロプロピルトリメトキシシランなどからなる群より選ばれる1種以上を含むことができるが、これらに制限されることはない。シランカップリング剤は、アクリル系共重合体100重量部に対して0.001〜5重量部、望ましくは0.005〜1重量部で含まれることができる。前記範囲である場合、高温高湿下でも接着力が低下せず、浮き上がり、及び気泡が発生せず、再剥離特性及び光学特性に優れる。
【0064】
本発明の粘着剤組成物は、上述した成分に溶剤、硬化剤、紫外線安定剤、酸化防止剤、調色剤、補強剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤、及び可塑剤からなる群より選ばれた1種以上の添加剤をさらに含むことができる。前記のような成分を含む本発明の粘着剤組成物は、この分野の通常の方法を通して製造することができ、各添加剤の種類も当業者達に全て知られている。
【0065】
また、本発明は、本発明の粘着剤組成物を含有する粘着層を含むことを特徴とする偏光板を提供する。本発明の偏光板は、偏光フィルム、及び前記偏光フィルムの一面又は両面に形成され、上述した本発明に係る粘着剤組成物を含有する粘着層を含むことができる。
【0066】
偏光フィルム又は偏光素子の種類は、特に制限されない。例えば、偏光フィルムとしては、ポリビニルアルコール系樹脂からなるフィルムにヨードなどの偏光成分を含有させ、延伸して製造されるフィルムを使用することができる。前記ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマル、ポリビニルアセタール又はエチレン酢酸ビニル共重合体のけん化物などを使用することができる。偏光フィルムの厚さも特に制限されない。
【0067】
本発明の偏光板は、偏光フィルムの一面又は両面に、トリアセチルセルロースなどのセルロース系フィルム、ポリカーボネートフィルム又はポリエチレンテレフタレート系フィルムなどのポリエステル系フィルムなどの保護フィルムが積層された多層フィルムに形成することができる。保護フィルムの厚さも特に制限されない。
【0068】
偏光フィルム上に粘着層を形成する方法は特に制限されない。例えば、偏光フィルムに粘着剤組成物を塗布して乾燥させる方法、粘着剤組成物を剥離性基材の表面に塗布して乾燥させた後、前記剥離性基材を使用して粘着層を偏光フィルムの表面に転写して熟成させる方法などを使用することができるが、これらに制限されることはない。
【0069】
本発明の偏光板は、保護層、反射層、防眩層、位相差板、広視野角補償フィルム及び輝度向上フィルムからなる群より選ばれる一つ以上の機能性層をさらに含むことができる。本発明の粘着剤組成物は、前記機能性層のそれぞれに付着させることができる。
【0070】
以下、本発明の好適な実施例を通して本発明の構成及び作用をより詳細に説明する。ただし、これは、本発明の好適な例示として提示したものであって、如何なる意味でも、これによって本発明が制限されると解釈することはできない。
【0071】
ここに記載していない内容は、この技術分野で熟練した者であれば十分に技術的に類推することができるので、それについての説明は省略する。
【0072】
実施例
製造例:アクリル系共重合体の製造
窒素ガスが還流され、温度調節を容易するように冷却装置が設置された1Lの反応器に4―ヒドロキシブチルアクリレート1.0重量部及びn―ブチルアクリレート99.0重量部を添加し、エチルアセテート120重量部(アクリル系共重合体100重量部基準)を投入した。窒素ガスで60分間パージングして酸素を除去した後、温度を60℃に維持し、反応開始剤である2,2’―アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.03重量部(アクリル系共重合体100重量部基準)を45%の濃度でエチルアセテートに希釈して投入した。60℃で8時間反応させることによってアクリル系共重合体を製造した。製造されたアクリル系共重合体の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は1,600,000g/molであった。
【0073】
実施例1
前記製造例で製造されたアクリル系共重合体100重量部、2,6ビス(ブチルイソシアネート)トルエン(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.、FCH―50)0.125重量部、及びジブチルスズジラウレート(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.、促進剤S)0.05重量部を、溶剤であるメチルエチルケトンに投入して粘着剤組成物を製造した。
【0074】
実施例2
前記製造例で製造されたアクリル系共重合体100重量部、2,6ビス(ブチルイソシアネート)トルエン(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.、FCH―50)0.125重量部、ジブチルスズジラウレート(Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.、促進剤S)0.05重量部、及びガンマエポキシプロピルトリメトキシシラン(Shin―Etsu Chemical Co.,Ltd.、KBM403)0.3重量部を溶剤であるメチルエチルケトンに投入して粘着剤組成物を製造した。
【0075】
実施例3〜4
実施例2で架橋促進剤であるジブチルスズジラウレートの含量を表1のように変更したことを除いては、同一の方法を実施して粘着剤組成物を製造した。
【0076】
比較例1〜2
前記実施例3で硬化剤である2,6ビス(ブチルイソシアネート)トルエンの代わりに、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネートの付加物(L―45、Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.)又はトリメチロールプロパンのキシレンジイソシアネートの付加物(TD―75、Soken Chemical & Engineering Co.,Ltd.)を使用したことを除いては、同一の方法を実施して粘着剤組成物を製造した。
【0078】
*(A):2,6ビス(ブチルイソシアネート)トルエン
(B):トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネートの付加物(TDI)
(C):トリメチロールプロパンのキシレンジイソシアネートの付加物(XDI)
【0079】
前記で製造した粘着剤組成物に対して粘度変化、押された距離減少率及びゲル分率を測定し、その結果を下記の表2に示した。
【0080】
<物性測定方法>
1.粘度変化
前記実施例と比較例で製造された粘着剤組成物に対して初期粘度(a)と、25℃で2日間放置した後の粘度(b)を粘度測定計(Brookfield LVDV―II、spindle no 63.6330rpm)を使用して測定した。これにより、粘度変化率(%)(△η=|(b―a)/a| x 100)を計算した。粘度変化は、△η<10%である場合は○、10%≦△η<20%である場合は△、△η≧20%である場合は×と評価した。
【0081】
2.押された距離減少率
前記実施例と比較例で製造された粘着剤組成物をポリエチレンテレフタレート離型フィルムにコーティングし、100℃の強制循環式熱風乾燥器で4分間乾燥させて25μmの厚さの均一な粘着層を得た。製造された粘着層を厚さ185μmの偏光フィルムに接着加工して偏光板を得た。得た偏光板を接着面積1.5cm×1.5cmのガラス板に付着させ、35℃、45%RHの恒温恒湿器に保管した。保管しながら12時間の間隔で取り出し、25℃で2.25kgの力を1000秒間加えたとき、粘着層の押された距離をテクスチャーアナライザー(Texture analyzer)(stable micro system社、モデル:TA―XT plus)で測定した。これにより、押された距離減少率(%)を測定した。
【0082】
押された距離減少率(%)=|(A−B)/A| x 100
【0083】
ここで、AとBは、粘着剤組成物を含有する粘着層が形成された偏光板をガラス板に付着させ、それぞれt時間及びt+α時間後に、25℃で2.25kgの力を1000秒間かけたときの粘着層の押された距離を示し、前記tは、0≦t≦100、αは、0<α≦100を示す。
【0084】
a.24時間後の押された距離減少率=(12時間後の押された距離−24時間後の押された距離)/12時間後の押された距離 x 100
b.36時間後の押された距離減少率=(24時間後の押された距離−36時間後の押された距離)/24時間後の押された距離 x 100
c.96時間後の押された距離減少率=(24時間後の押された距離−96時間後の押された距離)/24時間後の押された距離 x 100
*24時間後の押された距離を測定するとき、Aは、24時間後の押された距離になる。
【0085】
3.ゲル分率
前記実施例と比較例で製造された粘着剤組成物をポリエチレンテレフタレート離型フィルムにコーティングし、100℃の強制循環式熱風乾燥器で4分間乾燥させて25μmの厚さの均一な粘着層を得た。上記の形成された粘着層上に離型フィルムを積層して転写テープを製造した。製造された転写テープを35℃、45%の恒温恒湿器に保管した。保管しながら12時間の間隔で取り出し、1.5cm×1.5cmのサイズに切断して重さ(C)を測定した。続いて、上記の切断された転写テープを25℃でエチルアセテートに12時間沈積した後、取り出して100℃のオーブンで12時間乾燥させて重さ(D)を測定した。前記(C)及び(D)により、ゲル分率を下記の式2によって計算した。
【0086】
<式2>ゲル分率(%)=D/C x 100
【0087】
前記式において、Cは、特定時間経過した後の粘着剤組成物の重さを示し、Dは、特定時間経過した後、25℃でエチルアセテートに12時間沈積し、100℃のオーブンで12時間乾燥させた粘着剤組成物の不溶解分の重さを示す。
【0089】
前記表2に示したように、本発明の粘着剤組成物は、硬化に達する時間を画期的に短縮させることができる。本発明のイソシアネート系硬化剤を含む粘着剤組成物は、既存のTDI又はXDI硬化剤を含む粘着剤組成物に比べて同一時間に対して押された距離減少率が低く、36時間後のゲル分率が70%以上であることが分かる(実施例1〜4、比較例1〜2参照)。また、本発明の粘着剤組成物は、36時間後にはゲル分率の変化がほとんどなく、4日(96時間)のゲル分率と1日(24時間)のゲル分率との差が5%未満である場合、実施例1〜4は、硬化に達する時間が短縮したことを示し、経時安定性と生産性を改善することができる。
【0090】
以上、添付の表を参照して本発明の各実施例を説明したが、本発明は、前記各実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で製造することができ、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須的特徴を変更せずとも他の具体的な形態で実施され得ることを理解するだろう。したがって、上述した各実施例は、全ての面で例示的なものであって、限定的なものでないことを理解しなければならない。