特許第5881752号(P5881752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5881752トランジスタアウトラインハウジング及びその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881752
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】トランジスタアウトラインハウジング及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/02 20060101AFI20160225BHJP
   H01S 5/022 20060101ALI20160225BHJP
   H01L 23/04 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   H01L31/02 B
   H01S5/022
   H01L23/04 A
   H01L23/04 E
【請求項の数】11
【外国語出願】
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-6611(P2014-6611)
(22)【出願日】2014年1月17日
(65)【公開番号】特開2014-138190(P2014-138190A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2014年3月28日
(31)【優先権主張番号】10 2013 100 510.1
(32)【優先日】2013年1月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】504299782
【氏名又は名称】ショット アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schott AG
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100170601
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ヘトラー
(72)【発明者】
【氏名】ケネス タン
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルグ ミッターマイヤー
(72)【発明者】
【氏名】カーステン ドーゲムラー
【審査官】 山本 元彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−087559(JP,A)
【文献】 特開2007−227724(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0192221(US,A1)
【文献】 特開2008−130834(JP,A)
【文献】 特開2007−294660(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00−31/0392、31/08−31/119
H01S 5/00−5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ伝送用の受信機ダイオードまたは送信機ダイオードを備えるデバイス(5)を収容するための基部(2)を具備し、
前記デバイス(5)は、複数のボンディング・ワイヤー(7)を利用して、接続リード線(3)に接続されており、
前記接続リード線(3)は、前記基部(2)を貫通するパッセージ(8)内を通り、前記基部(2)から絶縁され、シーリング・コンパウンド(9)により前記基部(2)内に保持されている、TOハウジング(1)において、
前記各ボンディング・ワイヤー(7)の長さを短縮するために、少なくとも1本の接続リード線(3)は、前記デバイス側において前記パッセージ(8)内における断面に対して拡大された断面を有し、もしくは、前記パッセージ(8)内で非対称に配置され、もしくは、アングル加工されており、または、前記受信機ダイオードもしくは前記送信機ダイオードを備えた前記デバイス(5)は、前記パッセージ(8)の領域内に突出しており、
それにより生じるキャパシタンスの増大を少なくとも部分的に補償するために、少なくとも1本の接続リード線(3)が、電気的な接続側において、前記パッセージ(8)を越えてのびる余分な長さ部分を有しており、
前記ボンディング・ワイヤー(7)は、それ自体に関するインダクタンスLを有し、前記パッセージ(8)の内の前記接続リード線(3)は、それ自体に関するキャパシタンスCを有し、
前記パッセージ(8)を越えてのびる前記接続リード線(3)の余分な長さ部分(11)により、それに関するインダクタンスLを有し、L−C−L回路が規定されており、前記L−C−L回路は、高周波域において、30Ωから80Ωの間のインピーダンスを有し、Lが80pHから300pHの間、Cが0.065pFから0.024pFの間、およびLが80pHから300pHの間である、ことを特徴とするTOハウジング(1)。
【請求項2】
前記接続リード線に接続されている1つの回路基板(12)が、前記基部(2)から離間されており、
さらに前記接続リード線が、前記余分な長さ部分(11)の領域においては、前記回路基板(12)と前記基部との間のエア・ギャップ中に配置されている、請求項1に記載のTOハウジング(1)。
【請求項3】
前記シーリング・コンパウンド(9)はガラス・シーリング・コンパウンドであり、かつ、前記受信機ダイオードまたは送信機ダイオードを備えた前記デバイス(5)はチップとして構成されていることを特徴する、請求項1または2に記載のTOハウジング(1)。
【請求項4】
前記TOハウジングに、受信機ダイオードまたは送信機ダイオードが実装されており、前記TOハウジングは、30Ωから120Ωの間のインピーダンスを有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のTOハウジング(1)。
【請求項5】
前記電気的な接続(10)は1つのフレキシブル・プリント基板(12)に接続されていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のTOハウジング(1)。
【請求項6】
前記少なくとも1本の接続リード線(3)は、0.1mmから3mmだけ前記パッセージ(8)を越えて突出していることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のTOハウジング(1)。
【請求項7】
前記パッセージ(8)の前記断面の形状は、前記送信機ダイオードまたは受信機ダイオードに向かって、テーパ状または段付き形状に先細りしていることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のTOハウジング(1)。
【請求項8】
前記TOハウジングは、受信機ダイオードまたは送信機ダイオードを実装しており、前記ボンディング・ワイヤー(7)は、1mm未満の長さを有することを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のTOハウジング(1)。
【請求項9】
毎秒20ギガビットを上回るデータ伝送速度でデータを伝送するように構成された、請求項1乃至のいずれか1項に記載のTOハウジング(1)。
【請求項10】
前記L−C−L回路は、高周波域において、40Ωから60Ωの間のインピーダンスを有することを特徴とする、請求項1乃至のいずれか1項に記載のTOハウジング。
【請求項11】
TOハウジング(1)の製造方法であって、
データ伝送用の受信機ダイオードまたは送信機ダイオードを有するデバイス(5)を収容するための基部(2)を準備する工程と、
前記受信機ダイオードまたは送信機ダイオードを有する前記デバイス(5)を、ボンディング・ワイヤー(7)を利用して接続リード線(3)に接続する工程とを具備し、
前記接続リード線(3)は、前記基部(2)を貫通するパッセージ(8)を通じてのびており、シーリング・コンパウンド(9)により前記基部(2)内で密封されており、
前記ボンディング・ワイヤー(7)の長さを短縮するために、少なくとも1本の接続リード線は、前記デバイス(5)側において、前記パッセージ(8)内における断面に対して拡大された断面を有し、もしくは、前記パッセージ(8)内で非対称に配置され、もしくは、アングル加工されており、または、前記デバイス(5)は、前記パッセージ(8)の領域内に突出するように配置されており、
それにより生じるキャパシタンスの増大を少なくとも部分的に補償するために、少なくとも1本の接続リード線(3)が、前記パッセージ(8)を越えて伸びる余分な長さ部分を有するように設けられており、
前記ボンディング・ワイヤー(7)は、それ自体に関するインダクタンスLを有し、前記パッセージ(8)の内の前記接続リード線(3)は、それ自体に関するキャパシタンスCを有し、
前記パッセージ(8)を越えてのびる前記接続リード線(3)の余分な長さ部分(11)により、それに関するインダクタンスLを有し、L−C−L回路が規定されており、前記L−C−L回路は、高周波域において、30Ωから80Ωの間のインピーダンスを有し、Lが80pHから300pHの間、Cが0.065pFから0.024pFの間、およびLが80pHから300pHの間である、TOハウジングの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波用途向けのトランジスタアウトライン(TO:Transistor Outline)ハウジング、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な高周波用途向けのトランジスタアウトライン(TO)ハウジングが知られている。
【0003】
特に文献ドイツ特許第10221706B4号明細書に、高周波用途向けのTOハウジングが説明されている。
【0004】
そのようなハウジングは通例、打抜き加工された(punched)金属部品として構成されている基部(base)を有している。
【0005】
この基部は、高周波用途においては送信機ダイオード又は受信機ダイオードとして使用されるフォトダイオードを有するチップやレーザ・ダイオードを収容するために利用されるものである。
【0006】
また通例、TOハウジング上に、送信機ダイオードまたは受信機ダイオードのほかの電子コンポーネント、特に1つの増幅器アッセンブリが配置されている。
【0007】
このチップは、該基部を貫通する複数の信号線を介して接続されている。
【0008】
これらの信号又は接続線は、通例はガラス製であるシーリング化合物(compound)の中に埋め込まれており、それにより該基部に対して絶縁されるとともに、機械的に固定されている。
【0009】
さらに、TOハウジングは、このガラス製シーリング化合物により気密封止されている。
【0010】
高度化の一途を辿る伝送性能に対する要求を受けて、そのようなTOハウジングを含んでいるパッケージには、可能な帯域幅を拡大することが求められている。
【0011】
市販のTOハウジングを含む従来型のモジュールは、現在では、最大で毎秒10ギガビットの伝送速度でデータの伝送を可能にする。
【0012】
しかし将来的には、毎秒20ギガビットを上回るデータ伝送速度、特に毎秒25ギガビットから28ギガビットまでのデータ伝送速度を達成できるようにすべきである。
【0013】
これを可能にするためには、そのようなモジュールの信号伝送用素子のインピーダンスが、とりわけ重要な意味を持つ。
【0014】
一般的に使用されているモジュールは、実際にはインピーダンスと呼ばれる、約50Ωの電気的インピーダンスを有している。
【0015】
言うまでもなく、インピーダンスは周波数の関数であるが、このインピーダンスは、本発明の文脈においては、それぞれの構成部品(デバイス)が通常動作される高周波数域におけるインピーダンスである。
【0016】
この高周波域においては、インピーダンスの変化は、反射に起因する信号損失に影響を与えてしまう。このため、送信機モジュールまたは受信機モジュールの信号パスのインピーダンスを、これに接続されているモジュールのインピーダンスに同調させることが望まれる。
【0017】
特に、0GHzから30GHzまでの範囲内の伝送損失および反射損失は、可能な限り低く抑えられなければならない。
【0018】
この文脈における問題は、TOハウジングの接続線(connection leads)と送信機dダイオードまたは受信機ダイオードが配置されるチップとの間のボンディング・ワイヤー(bonding wire)にある。ボンディング・ワイヤー部が長いと、インダクタンスが発生し、それによりTOハウジングを含むモジュールの帯域幅が低減することになる。
【0019】
さらに問題であるのは、ガラスによりシールされるパッセージ(passages)(リードスルー)にある。そこでは、ガラスの誘電率が比較的高い上に、パッセージ(passages)が比較的細長いものであるために、信号損失につながる一種のキャパシタンス特性が生じてしまうからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】ドイツ特許第10221706B4号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明の課題は、帯域幅が拡大されることにより高周波域における使用に適している、1つの金属基部を備える従来型構造のTO(Transistor Outline)ハウジングを提供することにある。
【0022】
特に、毎秒10ギガビットを大幅に上回るデータ伝送速度を可能にするものとする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上述の発明の課題は、それぞれの独立請求項に記載されるTOハウジング、及びTOハウジングの製造方法により解決される。
【0024】
本発明の好ましい実施形態および展開構成例は、それぞれの従属請求項から読み取ることができる。
【0025】
本発明は、受信機ダイオードまたは送信機ダイオードを備えるデバイスを収容するためのベースを有している、高周波用途向けのTOハウジングに関するものである。
【0026】
該モジュールは特に、複数の半導体デバイス、いわゆるチップ、1つのフォトダイオードおよび/またはレーザ・ダイオードから構成されているが、そこではこのチップに、さらに別の電子デバイスが、特に1つの増幅器アッセンブリが含まれている。
【0027】
該基部は、金属製部品であり、特に実質的に円筒形状または矩形の構成部品として、構成されていると好適である。
【0028】
受信機ダイオードおよび/または送信機ダイオードは、データを伝送するために使用される。これは当業者には知られており、それ以上解説するには及ばない。
【0029】
送信機ダイオードまたは受信機ダイオードを備えるデバイス、又はこのデバイスに接続された増幅器ユニットは、複数のボンディング・ワイヤーを利用して、それぞれの接続リード線に接続されている。そこではこれらの接続リード線が、高周波技術を利用したデータ伝送に利用されるようになっている。
【0030】
該デバイスは通常、該基部の上に置かれ、次に少なくとも2つのボンディング・ワイヤーを利用して接触(contact)、すなわちそれぞれの接続リード線に接続されるようになっている。
【0031】
そのための様々な方法として、特に熱圧着ボンディング(thermo-compression bonding)、サーモソニック・ボール・ウェッジ・ボンディング(thermosonic ball-wedge bonding)、ならびに超音波ウェッジ・ウェッジ・ボンディング(ultrasonic wedge-wedge bonding)が、当業者には知られている。
【0032】
該デバイスは、本発明においては、例えば、増幅器ユニットを備えるチップと、これに接続されている、特にSMDデバイスとして構成された送信機ダイオードまたは受信機ダイオードとを含むモジュールとして、構成されるものであってもよい。
【0033】
該接続リード線は、パッセージ(passage:通路)内で、該基部を通じてのびており、さらにシーリング・コンパウンドを利用して、該基部に対して絶縁されるとともに、該基部内に固定されている。
【0034】
特に、ガラス・シーリング・コンパウンドが使用されるようになっている。誘電率が可能な限り低いガラス、特に硼珪酸ガラスが使用されると好適である。
【0035】
特に、送信機ダイオードまたは受信機ダイオードの各々に対して、データ伝送のために2本の接続リード線が割り当てられている。
【0036】
該接続リード線は、通例、該基部の上面または下面に対して実質的に垂直に、すなわち、これらのリード線が貫通するパッセージ(passage)の主たる延伸方向に対して平行に延びている。
【0037】
本発明の実施形態の一例においては、1つのパッセージの内部に、2本の接続リード線が、並べて配置されている。これは、微分型または平衡型の伝導形態である。
【0038】
本発明の別の実施形態においては、1つの接続リード線に対して1つのパッセージを提供し、さらに、該基部を介したリターン・パス(return path)を提供する。
【0039】
本発明の核心を成す思想は、ボンディング・ワイヤー(bonding wires)の長さの短縮に関するものであるが、ここで、ボンディング・ワイヤーの長さは、本発明の主意においては、該ボンディング・ワイヤーが1つの接触点から別の接触点まで延びている間の距離を指す。
【0040】
ボンディング・ワイヤーの長さを短縮するために、本発明にしたがって、様々な対策が考えられる。
【0041】
第1に、少なくとも1本の接続リード線が、送信機ダイオードまたは受信機ダイオードを備えるデバイス側の断面積を、該パッセージの内部における断面積よりも拡大することが考えられる。
【0042】
そのためには特に、この接続リード線に1つの板状もしくはきのこ形の部分が備えられるとよい。
【0043】
断面積をこのように拡大することにより、接続リード線は、モジュールに隣接した部分が肥厚化され、ボンディング・ワイヤーのための接触点が、該モジュールの接触点により近いところに位置することになる。
【0044】
さらにもう1つの可能性が、該パッセージ(passage)の内部における端子線の非対称な配置方式である。
【0045】
すなわち一方では、端子線を該パッセージの内部中央に配置するのではなく、その位置を該モジュールに向かってずら(offset)して配置することが考えられる。
【0046】
ほかにも該接続リード線を、該パッセージの内部に、それと共軸にではなく、斜めに差し込んで、該モジュールの接触点の方を指し示すようにすることも考えられる。
【0047】
さらにもう1つの可能性が、アングル加工された(angled)構成形態であるが、そこでは該接続リード線の各アングル加工部が、該モジュールの方向を指し示すようになっている。
【0048】
それ以外にも、受信機ダイオードまたは送信機ダイオードを備えるデバイス、すなわち特にチップを該パッセージの領域内に突出させるように構成することにより、ボンディング・ワイヤーの長さを短縮することができる。
【0049】
すなわちこのチップは、上面図において該パッセージと少なくとも部分的に重なり合って、接続リード線の接触点に、より近接したものとなっている。
【0050】
もっとも、ボンディング・ワイヤーの長さを短縮するための上述の様々な設計変更に随伴して、該パッセージの領域内では、接続リード線のキャパシタンスが、全長にわたり、または長さの一部にわたり、増大しかねないことが今では判明している。
【0051】
インピーダンスZは、高周波域においては、公然周知であるように、インダクタンスLとキャパシタンスCとの比の平方根として規定されている。
【0052】
このときに該パッセージの領域内のキャパシタンスが増大すると、インピーダンスは低下するが、その結果、高周波伝送路には、信号反射による損失の増大を来すことになる。
【0053】
ところが今では本発明の発明者により、少なくとも1本の接続リード線を、シーリング化合物をともなう基部におけるパッセージの領域から少なくとも部分的に突出させることにより、上述のキャパシタンスの増大を、補償できることが突き止められたのである。
【0054】
しかしながらこの接続リード線のその際の突出量は、最も高い周波数スペクトルの波長の4分の1以下となっている。
【0055】
この接続リード線の突出部(protruding portion)(または余分な長さ部分(excess length))は、好ましくは該接続リード線の一部であり、そこでは、該接続リード線が、露出する(即ち、空気により覆われる)ように延びており、この接続リード線が接続されている1つの回路基板と、シーリング・コンパウンドにより被覆されることになるパッセージとの間に位置している。つまり、この接続リード線の接続は、シーリング・コンパウンドから距離をおいたところで確立されている。しかし、該余分な長さ部分の範囲において、該接続リードは、該シーリング・コンパウンドよりも誘電率が低い材料で取り囲むようにすることもありえる。
【0056】
回路技術面からも、本発明を記述することができる。
【0057】
該接続リード線の考えられる長さは、通常、有効スペクトルの最も高い周波数の波長の4分の1よりも短いために、これらの線は、集中デバイス(concentrated devices)として計算することができる。
【0058】
該チップを該接続リード線と接続するボンディング・ワイヤーは、それに関するインダクタンスLを有している。
【0059】
該パッセージ内に配置された接続リード線は、ガラス製シーリング・コンパウドの誘電率が高いために、キャパシタンスCを規定する。
【0060】
本発明は、追加のインダクタンスLueが、該接続リード線が空気により覆われている、TOハウジングの下面における余分な長さ部分によって生じていることを提案する。
【0061】
回路技術的には、前述のように導電性要素の等価回路の文脈において、L−C−LUE回路がこの方法により規定される。
【0062】
特に、該余分な長さ部分の寸法が適切に決定されることにより、信号パスのインピーダンスが適合化され、その結果、該インピーダンスは、反射を最小限化するように該回路上の導電パスのインピーダンスと一致される。
【0063】
インダクタンスLueの大きさは、回路基板と基部間のスペースを通じて適合される。
【0064】
このスペースを正確に維持するために、一実施形態は、TOハウジングの下面に取り付けられているスペーサを提供し、該スペーサは、該回路基板に対する予め規定された距離を保障するように、隆起状に形成されている。
【0065】
それにより、高周波域におけるインピーダンスを、30Ωから80Ωの間、好適には40Ωから60Ωの間に設定することができる。
【0066】
インダクタンスLは80pHから300pHの間、Cは0.065pFから0.024pFの間、および/またはLueは80pHから300pHの間であると好適である。
【0067】
該余分な長さ部分の長さは、例えば次のようにして決定されるとよい。
【0068】
まず最初に、該ボンディング・ワイヤーの長さに応じて、集中デバイスとして考えられる該ボンディング・ワイヤーのインダクタンスが決定される。例えば、ボンディング・ワイヤーの長さが80μmから300μmまでである場合は、該インダクタンスは、80pHから300pHの間となる。
【0069】
続いて該余分な長さ部分が、スミス・チャートを使用して、例えば20GHzの高周波数に基づき、決定もしくは推定されることができる。
【0070】
またその際には、シーリング・コンパウンドの誘電率のせいで、シーリング・コンパウンドの中に埋め込まれた接続リード線が、通例は50Ωである理想的な見かけのインピーダンスを有していない点に配慮するようにしている。その結果、スミス・チャートのインピーダンス・ポイントの位置が、誘導性の半部(inductive half)から容量性の半部(capacitive half)へシフトすることになる。
【0071】
同様に集中デバイスであると看做される該パッセージの下側の該余分な長さ部分は、当業者にとっては公然周知である方法により計算することができるインピーダンスを規定する。さらに、該パッセージと該余分な長さ部分との間のインピーダンスの差は、結果的に、スミス・チャートの左側に向かうインピーダンスジャンプをもたらすことになる。
【0072】
その後には、このスミス・チャートに基づいて、接続点における正規化インピーダンスが、このスミス・チャートの実軸と概ね符合するように、すなわち該インピーダンス・ポイントがスミス・チャートの容量性の半部へと上方にシフトするように、該余分な長さ部分の寸法を決定することができる。
【0073】
この種のTO−CANは、回路基板、特に1つのリジッド・タイプ、フレックス・リジッド・タイプ、および/またはマルチレイヤー・タイプのプリント基板を利用して、接続されるようにするとよい。
【0074】
送信機ダイオードまたは受信機ダイオードを実装したTOハウジングは、好ましくは、30Ωから120Ωの間のインピーダンスを有する。
【0075】
シーリング・コンパウンドにより充填されたパッセージから突出する部分の該接続リード線の長さは、0.1mm〜3mm、好ましくは0.15mm〜1mmである。
【0076】
本発明の展開構成例においては、少なくとも1つの接続リード線の断面積は、電気接続のサイドにおける断面積が該パッセージ中の断面積に比べて拡大している。
【0077】
すなわち、所望のインピーダンスを設定するために、該パッセージ内部に位置する接続リード線は、より小さくなっている。
【0078】
送信性能(transmission performance)を向上するためには、ほかにも、少なくともその断面において、角張った、特に矩形の接続リード線を形成することが考えられる。
【0079】
本発明の一実施形態においては、該パッセージの断面形状が、送信機ダイオードまたは受信機ダイオード側に向かって先細りするように、特にテーパ状に、または段付き形状に、構成されている。
【0080】
該パッセージがこのように先細りすることによって、接続リード線が該TOハウジングの内部に入り込む領域においては、該パッセージの断面積が小さくなるために、その結果、それ以外の設計上の対策を不要として、デバイスをさらに該接続リード線の近くに置くことができるようになる。
【0081】
あるいはその代わりに、またはそれと組み合わせて、1つの補助的な基部を、特に金属基部を、接続リード線の脇に追加して備え、この基部の上に該デバイスを置くようにすることも考えられる。
【0082】
ほかにも、該パッセージの領域に1つの開口部を有する中間プレートを設けた該ハウジングを提供し、該開口部から該接続リード線が該ハウジングの内部へと突出しするようにすることも考えられるが、そこではこの開口部は、該パッセージよりも小さい径を有する。
【0083】
該デバイスは、該接続リード線に近いところで、該中間プレート上に配置されるようにしてもよい。
【0084】
ボンディング・ワイヤーの長さは、1mm未満、非常に好ましくは0.5mm未満、特に極めて好ましくは0.25mm未満であると、好適である。
【0085】
本発明にしたがい送信機ダイオード又は受信機ダイオードを備えたTOハウジングは、毎秒20ギガビットを上回る伝送速度でのデータ伝送に使用することができる。
【0086】
本発明は、それ以外にもさらに、TOハウジングの製造方法、特に上記で説明したようなTOハウジングの製造方法にも関している。
【0087】
まず最初に、1つの送信機ダイオードまたは受信機ダイオードが備えられた1つのデバイスを収容するための1つの基部を準備する。
【0088】
この基部は、特に金属打抜き部品として構成されたものであるとよい。
【0089】
受信機ダイオードまたは送信機ダイオードを備えたこのデバイスは、ボンディング・ワイヤーを利用して、接続リード線に接続されている。
【0090】
これらの接続リード線は、パッセージを通じて貫通し、シーリング・コンパウンド、特にガラス・シーリング・コンパウンドを利用して、基部の内部でシールされている。
【0091】
本発明にしたがった方法においては、ボンディング・ワイヤーの長さを短縮するために、少なくとも1本の接続リード線が、パッセージ内部での断面積に対して、デバイス側で拡大された断面積を有するように形成され、もしくはパッセージにおいて非対称に配置され、又は接続リード線がアングル加工を施して形成される。
【0092】
ほかにもこのデバイスは、その少なくとも一部をリードスルーの領域内に突出させるようにするとよい。
【0093】
ゾーン毎に異なるキャパシタンスの増大を少なくとも部分的に補償するために、少なくとも1本の接続リード線を、端子側でシーリング・コンパウンドにより充填されたパッセージから突出させるようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0094】
図1】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図2】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図3】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図4】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図5】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図6】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図7】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図8】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図9】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図10】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図11】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図12】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図13】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図14】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図15】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図16】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図17】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図18】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図19】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図20】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図21】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図22】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図23】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図24】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図25】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図26】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図27】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図28】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図29】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図30】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図31】一実施形態に係るグラフである。
図32】一実施形態に係るグラフである。
図33】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図34】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
図35】一実施形態に係るTOハウジングの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0095】
以下では本発明の対象を、図1から図32までの図面に基づき、概略的に描かれている幾つかの実施例を引き合いに出しながら、詳しく解説するものとする。
【0096】
図1には、TOハウジング1の概略的な断面図が示されている。このTOハウジング1は、金属製の基部2を有しているが、この図にはその一部が示されている。
【0097】
基部2は、1つのデバイス5を収容するために利用されるものであるが、このデバイス5は、チップとして構成されて、1つの送信機ダイオードおよび/または受信機ダイオード(不図示)がこれに含まれている。
【0098】
デバイス5は、信号リード線を接続するための接点を有しており、ボンディング・ワイヤー7を利用して、これらの信号リード線3に接続されるほかにも、それぞれの帰線を形成するために基部にも接続されている。
【0099】
断面図に見られるように、信号リード線3は、基部2を通じるパッセージ8を通してのびており、このために、信号リード線3は、ガラスのシーリング・コンパウンド9中に埋め込まれている。
【0100】
TOハウジングの上側において、信号リード線3は、一種のプレート6として、もしくはきのこ形に構成されており、したがって信号リード線3の断面積は、該上側において拡大されている。
【0101】
それにより、ボンディング・ワイヤー7のポイント・ツー・ポイント式接続のための接触点13は、デバイス5により近い位置に位置することになる。したがってボンディング・ワイヤー7の長さを大幅に短縮することができる。
【0102】
また下側において、接続リード線3は、マルチレイヤー・タイプのプリント基板として構成された回路基板12に接続されている。
【0103】
ほかにも該下側には、デバイス5への給電に利用されるさらに別のリード線4を確認することができる。
【0104】
この種のTOハウジングには通例、ほかにもさらに複数の帰線および接地線が備えられるが、これらは基部を通じて形成されている。
【0105】
電気端子10の上方には、接続リード線3の付加的なインダクタンスを生成する余分な長さ部分11がある。
【0106】
この付加的なインダクタンスによって、プレート6により発生される付加的なキャパシタンスが少なくとも部分的に補償されることになり、その結果、本発明のTOハウジングは、10GHzを大幅に上回る周波数域においても、十分な伝送パフォーマンスを可能にする。
【0107】
この付加的なインダクタンスの大きさは、回路基板12を基部2から離間させるために利用される余分な長さ部分11の長さを通じて、調節することができる。この余分な長さ部分11は、回路基板12と基部2との間のエアギャップに起因して、付加的なインダクタンスを生成する。
【0108】
図2は、チップの形態をとるデバイス5に実装されたTOハウジング1の概略的な透視図を示す。
【0109】
この例示的実施形態においては、デバイス5は、シーリング・コンパウンド9により満たされているパッセージ8の領域へと突出している。さらに、接続リード線3は、その上端においてきのこ頭形状に構成されている。
【0110】
図3の平面図に見られるように、これらの対策の結果、ボンディング・ワイヤー7の長さは非常に短くなっている。
【0111】
図4および図5は、本発明のさらなる実施形態が示されているが、そこでは接続リード線3のきのこ形状の部分が、図2および図3に示される実施形態と比べ、かなり大きな直径を有しており、パッセージ8の周縁部にほぼ近接するところまで達している。
【0112】
したがって、デバイス5は、ボンディング・ワイヤー7とほぼ同じくらい短い長さで、基部2の中心に向かってより近づくように配置されることができ、その結果、それはパッセージ8の領域内への突出量は少なくなるが、基部を介してのチップの放熱性が向上されることになる。
【0113】
図6から図8を引き合いに出して、本発明のさらなる実施形態を解説する。
【0114】
この実施形態においては、接続リード線3が、その上面がアングル加工されて、デバイス5の方を指し示している。
【0115】
デバイス5は、放熱性を向上するために、パッセージ8の完全に外側に配置されている。
【0116】
図8に示される詳細図においては、接続リード線3がデバイス5のところまで延びていることを確認することができるが、それにより、ボンディング・ワイヤーに求められるのは接触を確立することだけとなり、ボンディング・ワイヤーを長い距離にわたり張り渡すことは最早不要となる。
【0117】
図9から図11には、本発明のさらに別の実施形態が示されている。
【0118】
そこでは接続リード線3が同様にアングル加工されている。
【0119】
しかし接続リード線3のアングル加工部は、互いに向き合っている。
【0120】
デバイス5は、パッセージ8の領域内へと突出している。
【0121】
図11に示される詳細図において確認することができるように、この実施形態によっても、ボンディング・ワイヤー7は短縮されることになる。
【0122】
ここでは、接続リード線3のアングル加工部のボンディングを、側面側から行うことができる点が長所となっている。
【0123】
図12および図13には、本発明のさらに別の実施形態が示されており、そこでは接続リード線3が、一旦デバイス5に向かって延びた後、さらにもう1つのアングル部によりそれぞれの端面同士が向き合うように、二重にアングル加工されている。
【0124】
したがって、接続リード線3は、側方からの接触が可能である上に、同時にパッセージ8を架橋するようになっている。
【0125】
図14から図16には、本発明のさらに別の実施形態が示されている。
【0126】
図14には、透視図が示される。この実施形態においては、それぞれの端部がきのこ形状に構成されている接続リード線3を確認することができる。
【0127】
図15には平面図が示される。特に、パッセージ8の領域内へと部分的に突出しているデバイス5を確認することができる。
【0128】
図16には、図15の線A−Aに沿って切り取ったときの断面図が示される。
【0129】
シーリング・コンパウンド9により満たされたパッセージ8が、その上端のところでテーパ状に構成されていることを確認することができる。
【0130】
したがって、基部2は、この領域内に突出しており、その結果、デバイス5は、シーリング・コンパウンド9によりシールされることなく、接続リード線3に向かってさらに近接させて配置することが可能となる。
【0131】
ボンディング・ワイヤー7の長さも同様に、非常に短いものとなっている。
【0132】
図17から図19を引き合いに出して、本発明のさらに別の実施形態について解説するものとする。
【0133】
図17にはTOハウジングの透視図が示され、図18にはその平面図が示される。
【0134】
接続リード線3はきのこ形状の頭部を有し、また少なくとも送信機ダイオードまたは受信機ダイオードを備えたデバイスが、パッセージ8の領域内へと突出していることを確認することができる。
【0135】
図19は、図18の線A−Aに沿って切り取ったときの断面図であり、図19において確認することができるように、該パッセージは、プレート14によりその上端を閉止されており、接続リード線3だけがこのプレート14を貫通して突出している。シーリング・コンパウンド9は、このプレート14の下側に配置されており、またこのプレート14は、デバイス5用の担体(support)として利用されるようになっている。
【0136】
図20から図22には、本発明のさらに別の実施形態が示されている。
【0137】
図20に示される透視図においても、また図21に示される平面図においても、いずれも接続リード線が1本ずつ内部を貫通するように取り廻されている2つのパッセージを確認することができ、このパッセージの直径は、この図においては非常に小さくなっており、その結果、デバイス5をそれぞれの接続リード線3に近接させて配置することができるようになっている。
【0138】
図22は、図21の線A−Aに沿って切り取ったときの断面図であり、この図のように、パッセージ8の領域内に段部(step)を有するように該基部を構成することによって、この構成形態が得られる。
【0139】
したがって、図21および図22に示される2つのパッセージ8は、両方とも、この段部の下側で、シーリング・コンパウンド9により充填されている1つのリードスルー8に合併されている。
【0140】
デバイス5は、この段部のおかげで、端子線3に直接接するように、簡単に置くことができる。
【0141】
図23から図25には、本発明のさらに別の実施形態が示されている。
【0142】
図23および図24において確認することができるように、同じく上側には、図20および図21と同様に、2つのパッセージ8を認めることができる。
【0143】
図24の線A−Aに沿って切り取ったときの断面図である図25において確認することができるように、この実施形態においては、図20から図22に示される実施形態とは異なり、基部2の上に、それぞれの接続リード線3を通すための2つの小さな開口部を設けた中間プレート15が配置されている。
【0144】
デバイス5は、この中間プレート15の上に、接続リード線3に直接隣接するように載せられている。
【0145】
この中間プレート15の下側では、接続リード線がシーリング・コンパウンド9により充填されている。
【0146】
図26から図28の図には、本発明のさらに別の実施形態が示されている。
【0147】
図26および図27に示される図においては、デバイス5がパッセージ8の領域内へと突出していることを確認することができる。
【0148】
図28は、図27の線A−Aに沿って切り取ったときの断面図であり、この図では、接続リード線3に隣接して配置されている担持プレート16が基部2に設けられており、該担持プレート16は、該パッセージの領域内に部分的に突出しており、基部2内に部分的に突出している。デバイス5は、接続リード線3に直接隣接する該担持プレート16上に配置されている。
【0149】
図29および図30には、本発明のさらに別の実施形態が示されている。
【0150】
この実施形態においては、きのこ形状を有する接続リード線3が非対称に配置されて、デバイス5に向かってオフセットされている。
【0151】
それにより、ボンディング・ワイヤー7の長さを同様に低減することができる。
【0152】
特に、この実施形態を、これまでの図に示されている様々な変形実施形態と組み合わせることが推奨される。
【0153】
図31に示される座標系には、実装済みの本発明にしたがったTOハウジングの、周波数に対する反射減衰量(return loss)がプロットされている。
【0154】
X軸には周波数がGHz単位で、Y軸には反射減衰量がdB単位で示されている。
【0155】
20GHzから30GHzまでの周波数域においては、反射減衰量が−15dBよりも小さくなることを確認することができる。
【0156】
図32には挿入減衰量が示されるが、そこではX軸に再び周波数がGHz単位で、Y軸には挿入減衰量がdB単位で記載されている。25GHzまでは挿入減衰量が−1.5dBよりも小さくなっている。
【0157】
図33および図34には、完全に実装されたTOハウジングが示されている。
【0158】
図33において確認することができるように、このTOハウジング1には1つのデバイス5が含まれているが、このデバイス5は、送信機ダイオードまたは受信機ダイオードを有し、基部2上に搭載された2つのチップから成り、複数のボンディング・ワイヤー7を利用して接続リード線3に接続されている。
【0159】
特に図34においてはっきりと確認することができるように、この実施例においては、このデバイスが、一方のチップの上にはめ合わされている1つのフォトダイオード18と、複数のボンディング・ワイヤー7を利用してそれぞれの端子線3に接続されている1つの増幅器アッセンブリ17とから成っている。増幅器アッセンブリ17およびフォトダイオード18は、さらに別のボンディング・ワイヤー19を利用して、互いに接続されている。
【0160】
送信機ダイオードまたは受信機ダイオードが備えられたこのデバイスは、本発明の主意においては、互いに接続される複数のデバイス、特にチップから成るとよい。
【0161】
図35を引き合いに出しながら、本発明のさらにもう1つの実施形態について解説するものとするが、そこでは余分な長さ部分11が空気に取り囲まれるようにはなっていない。
【0162】
この変形実施形態においては、この余分な長さ部分11の領域内に、シーリング・コンパウンド9よりも誘電率が低い材料20が配置されている。
【0163】
それによっても同様に、パッセージ8のキャパシタンスを補償するインダクタンスが形成されることになる。
【0164】
言うまでもなく、材料20の誘電率により、余分な長さ部分11の寸法は異なってくる、特に余分な長さ部分11は若干長くされることになる。
【0165】
材料20は、スプレーコートされるシーリング材であっても、また例えば回路基板12の表面、またはTOハウジング1の表面に、接着されるか、または緩くはめ込まれるようになっている、小さな板であってもかまわない。
【0166】
この材料20は同時に、接続リード線3の電気接続10が正しく位置決めされていることを保証するスペーサーとして利用することができる。
【0167】
ほかにもこの材料20は、TOハウジング1の底の一部を占めるとよいが、それと並び、TOハウジングの底全体を占めるようにしてもよい。
【0168】
ここに図示される変形実施形態は、図1に示される変形実施形態に相当するものである。
【0169】
しかし言うまでもないが、上述の誘電率が低い材料によるTOハウジングと回路基板間の充填は、本出願書類に説明される全ての変形実施形態において実施されるようにするとよい。
【0170】
本発明により、高帯域幅用としても使用可能なTO基部を簡単に構成することができる。そのような実装済みのTO基部は、特に光ファイバー・イーサネット(登録商標)・ネットワークまたはファイバー・チャネル・ネットワーク用として使用することができる。
【符号の説明】
【0171】
1 TOハウジング
2 基部
3 接続リード線
4 さらに別の線
5 デバイス
6 プレート
7 ボンディング・ワイヤー
8 リードスルー
9 シーリング・コンパウンド
10 電気端子
11 突出部
12 フレキシブル・プリント基板
13 接触点
14 プレート
15 中間プレート
16 担持プレート
17 増幅器アッセンブリ
18 フォトダイオード
19 ボンディング・ワイヤー
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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