(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1〜3を参照して、本発明の一実施形態における靴下1を説明する。この靴下1は、ユーザが長時間歩いたり走ったりしても、足の骨格のアーチ構造の機能が低下するのを抑制することができる。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態の靴下を示す図である。
図1(a)は、右足用の靴下を横方向から見た状態を示す図であり、
図1(b)は、靴下の足底を示した図である。本発明の一実施形態の靴下1は、つま先部10、足底部20、足甲部30、踵部40および足首部50を備える。足底部20は、前方三角領域部22、X字型サポート部24、後方三角領域部26を有する。足甲部30は、指つけ根メッシュ部32、第1固定部34、メッシュ部36および第2固定部38を有する。足首部50は、第3固定部52、踵後ろ部54および口ゴム部56を有する。ここで、足のつま先方向を足の前方とし、足の踵方向を足の後方とし、足の底側を足の下とし、足の甲側を足の上とする。また、足の親指側を足の内側とし、足の小指側を足の外側とする。
【0012】
つま先部10は、つま先を覆う袋状の、靴下1の構成部分である。
【0013】
X字型サポート部24は、足の底の親指のつけ根に対応する部分から踵の外側に対応する部分へ延びるX字型サポート部構成要素24aと、小指のつけ根に対応する部分から踵の内側に対応する部分へ伸びるX字型サポート部構成要素24bとからなる。X字型サポート部24は、足の底の方から見るとX字状に見える。構成要素24aと構成要素24bとからなるX字型部分は、1つのX字形状の生地で構成するようにしてもよいし、I字型の2枚の生地を組み合わせて構成するようにしてもよい。前方三角領域部22は、つま先部10とX字型サポート部24とで囲まれた、靴下1の構成部分であり、前方に辺を有し後方に頂角を有する略三角形の形状を有する。後方三角領域部26は、X字型サポート部24と後述の踵部40とで囲まれた、靴下1の構成部分であり、前方に頂角を有し後方に辺を有する略三角形の形状を有する。
【0014】
踵部40は、少なくとも踵の下側を覆う、靴下1の構成部分である。
【0015】
指つけ根メッシュ部32は、足の指のつけ根部分を上方から覆う、靴下1の構成部分である。第1固定部34は、親指のつけ根に対応する部分から足の甲側を通って小指のつけ根に対応する部分に延びる、靴下1の構成部分である。第1固定部34は、X字型サポート部24の親指のつけ根に対応する部分および小指のつけ根に対応する部分と連結し、X字型サポート部24のつま先部10側の部分を固定している。メッシュ部36は、第1固定部34と後述の第2固定部38とX字型サポート部24とに囲まれた、足の甲の部分および足の裏の部分を覆う、靴下1の構成部分である。第2固定部38は、足の甲の部分のうち、足首に近接する足の甲の後部を覆う、靴下1の構成部分である。第2固定部38は、X字型サポート部24の踵の内側に対応する部分および踵の外側に対応する部分と連結し、X字型サポート部24の踵部40側の部分を固定している。
【0016】
第3固定部52は、足首の前方のうち、足の甲に近接する部分を覆う、靴下1の構成部分である。踵後ろ部54が、アキレス腱の下の踵の後ろを少なくとも覆う、靴下1の構成部分である。第3固定部52および踵後ろ部54で、足首の踵部40側の外周は覆われる。第3固定部52および踵後ろ部54は、X字型サポート部24の踵の内側に対応する部分および踵の外側に対応する部分と連結し、X字型サポート部24の踵部40側の部分を固定している。口ゴム部56は、足首を覆う筒状の、靴下1の構成部分である。
【0017】
次に、靴下1の各構成部分の弾性率について説明する。靴下1では、X字型サポート部24、第1固定部34、第2固定部38、第3固定部52および踵後ろ部54の弾性率は他の構成部分、すなわち、つま先部10、前方三角領域部22、後方三角領域部26、踵部40、指つけ根メッシュ部32、メッシュ部36および口ゴム部56の弾性率よりも高い。さらに、前方三角領域部22および後方三角領域部26の弾性率は、つま先部10、踵部40、指つけ根メッシュ部32、メッシュ部36および口ゴム部56の弾性率よりも高い。
【0018】
X字型サポート部24、第1固定部34、第2固定部38、第3固定部52および踵後ろ部54には、それぞれの構成部分の弾性率を高める編み組織および素材を有する高弾性材が使用される。高弾性材の編み組織は、たとえば、弾性糸が挿入されたタック編み(引き上げ編み)である。高弾性材のグランド(地)糸には、たとえば、表側ではナイロンおよびポリエステルが使用され、裏側ではポリエステルが使用されている。弾性糸にはポリウレタンが使用されている。
【0019】
なお、高弾性材の編み組織は、靴下1の構成部分の弾性率を高める編み組織であれば、とくに限定されないが、たとえば、弾性糸が挿入された浮き編みでもよいし、弾性糸が挿入されたタック編みと浮き編みとの混合でもよい。また、高弾性材の素材としては、弾性率の高い繊維であればとくに限定されないが、ナイロンやポリエステルのほかに弾性率の高いポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどを使用してもよい。また、編み組織が他の構成部分と同じであっても、他の構成部分に比べて、弾性糸の構成比率を高くする、弾性糸の繊度を太くする、弾性率の高い素材の弾性糸を使用する、樹脂をコーティングする、生地を張り合わせるなどして、高弾性材を形成してもよい。また、編み組織が他の構成部分と同じであっても、編みこむ糸を増やし、編み密度を高くする、度目などを詰め、編み密度を高くするなどして、高弾性材を形成してもよい。
【0020】
X字型サポート部24、第1固定部34、第2固定部38、第3固定部52および踵後ろ部54のそれぞれの高弾性材は、それぞれ同じものであってもよいし、異なったものでもよい。
【0021】
前方三角領域部22および後方三角領域部26の編み組織は、弾性糸が挿入されたタック編み(引き上げ編み)であり、前方三角領域部22および後方三角領域部26にはボス柄が形成されている。グランド糸には、ポリエステルが使用されており、弾性糸にはポリウレタンが使用されている。前方三角領域部22および後方三角領域部26のタック編みにおける弾性糸の挿入量を、X字型サポート部24、第1固定部34、第2固定部38、第3固定部52および踵後ろ部54のタック編みにおける弾性糸の挿入量に比べて減らすことによって、X字型サポート部24、第1固定部34、第2固定部38、第3固定部52および踵後ろ部54の弾性率よりも前方三角領域部22および後方三角領域部26の弾性率を小さくしている。
【0022】
つま先部10および踵部40の編み組織は、パイル編みであり、表側のグランド糸の素材はナイロンであり、裏側のグランド糸の素材は、ポリウレタン繊維にポリエステルをカバーリングしたFTYである。このような編み組織および素材を選択することによって、つま先部10および踵部40の伸縮性は高められ、靴下1のつま先部10および踵部40をユーザの足のつま先および踵にフィットさせることができる。
【0023】
指つけ根メッシュ部32およびメッシュ部36の編み組織は、メッシュ編みであり、表側のグランド糸の素材はポリエステルであり、裏側のグランド糸の素材は、ポリエステルおよびポリウレタンである。指つけ根メッシュ部32およびメッシュ部36の編み組織をメッシュ編みにすることによって、指のつけ根ならびに足の甲および足の裏の通気性がよくなり、足ムレを防止することができる。また、このような編み組織および素材を選択することによって、指つけ根メッシュ部32およびメッシュ部36の伸縮性は高められ、靴下1の指つけ根メッシュ部32およびメッシュ部36をユーザの足の甲にフィットさせることができる。
【0024】
口ゴム部56の編み組織はゴム編み(リブ編み)であり、表側のグランド糸の素材はポリエステルであり、裏側のグランド糸の素材は、ポリエステルおよびポリウレタンである。このような編み組織および素材を選択することによって、口ゴム部56のズレ落ちを防止することができる。
【0025】
以上のような構成部分を有する靴下1をユーザが履くと、靴下1には、引っ張り応力が生ずる。ここで、引っ張り応力とは、ユーザが靴下をはいたときの伸長に対する構成部分の抵抗力である。
図2および
図3を参照して、靴下1に生ずる引っ張り応力を説明する。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態の靴下1におけるX字型サポート部24の引っ張り応力を説明するための図である。
図2(a)は、ユーザが右足に履いた靴下1を内側から見た状態を示す図であり、
図2(b)は、ユーザが右足に履いた靴下1を下側から見た状態を示す図である。X字型サポート部24には、高弾性材が使用されているので、ユーザが靴下1を履いても
図2に示す矢印110〜140の方向にX字型サポート部24はあまり伸びない。このため、
図2に示す矢印110〜140の方向に伸びようとする力に抵抗して2方向の引っ張り応力が生ずる。それぞれの方向の引っ張り応力は、足の内側縦アーチ構造R1および外側縦アーチ構造R2(
図5参照)がそれぞれ機能が低下する方向に対して抵抗する方向に働くので、足の骨格のアーチ構造の機能が低下するのを抑制することができる。とくにX字型サポート部24は、踵後ろ部54で踵の後部分に保持されているので、踵部40が伸びて、X字型サポート部24の踵の内側部分および踵の内側部分が前方に移動して、X字型サポート部24の引っ張り応力が弱まることはない。
【0027】
図3は、本発明の一実施形態の靴下1における第1固定部34、第2固定部38、第3固定部52および踵後ろ部54の引っ張り応力を説明するための図であり、ユーザが右足に履いた靴下1を内側から見た状態を示す図である。第1固定部34には、高弾性材が使用されているので、
図3に示す矢印210の方向に第1固定部34が伸びようとする力に抵抗して引っ張り応力が生ずる。この引っ張り応力により、足の横アーチ構造R3(
図5参照)の機能が低下する方向に対して抵抗する方向の応力に生ずるので、足の骨格のアーチ構造の機能が低下するのを抑制することができる。また、第1固定部34の引っ張り応力により、X字型サポート部24の親指のつけ根部分および小指のつけ根部分が足に固定されるので、X字型サポート部24の親指のつけ根部分および小指のつけ根部分が後方にずれてX字型サポート部24の引っ張り応力が弱まるのを抑制することができる。
【0028】
第2固定部38には、高弾性材が使用されるので、
図3に示す矢印220の方向に第2固定部38が伸びようとする力に抵抗して引っ張り応力が生ずる。これにより、第2固定部38で足が締め付けられ、X字型サポート部24の踵部40側が固定される。
【0029】
第3固定部52および踵後ろ部54には、高弾性材が使用されるので、
図3に示す矢印230の方向に第3固定部52および踵後ろ部54が伸びようとする力に抵抗して引っ張り応力が生ずる。これにより、第3固定部52および踵後ろ部54で足首が締め付けられ、X字型サポート部24の踵部40側が固定される。
【0030】
踵後ろ部54が
図3に示す矢印240の方向にずれ落ちると、X字型サポート部24がゆるみ、X字型サポート部24の引っ張り応力が弱くなる。とくに、足首50の口ゴム部56は伸縮性が高いので、踵後ろ部54が
図3に示す矢印240の方向にずれ落ちてしまう可能性がある。しかし、第3固定部52の引っ張り応力により、それを防止することができる。また、第3固定部52がない場合であっても、第2固定部38の引っ張り応力によってもそれを防止することができる。
【0031】
靴下1のX字型サポート部24および踵後ろ部54は、
図1および
図2に示すように、
図6のテーピングと同様に、親指のつけ根部分から、踵の外側部分、踵の後ろ側部分、踵の内側部分を順次通り、小指のつけ根部分に至る。すわわち、X字型サポート部24および踵後ろ部54は、テーピングのテープ620の位置に対応する位置に設けられている。しかし、X字型サポート部24および踵後ろ部54は靴下1の構成部分であり、足に貼り付かないので、動いてしまう。このため、X字型サポート部24および踵後ろ部54だけでは、靴下1を履くことにより、
図6に示すテーピングと同様な効果を得ることは難しい。しかし、靴下1の第1固定部34、第2固定部38および第3固定部52により、X字型サポート部24および踵後ろ部54は足に固定されるので、靴下1は、
図6に示すテーピングと同様の効果を足に対して与えることができる。
【0032】
X字型サポート部24、第1固定部34、第2固定部38、第3固定部52および踵後ろ部54のそれぞれの弾性率は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0033】
上述したように、前方三角領域部22の弾性率は、第1固定部34の弾性率よりも小さい。このために、前方三角領域部22は、
図4の矢印310の方向に広がることにより、親指のつけ根部分と小指のつけ根部分を通る靴下の外周部分を全て第1固定部34で形成した場合に比べて、親指のつけ根と小指のつけ根を通る足の外周部分における靴下1の締め付けを弱くすることができる。これにより、親指のつけ根と小指のつけ根を通る足の外周部分がきつくなりすぎることがなくなり、足の血流が悪くなるのを抑制することができる。なお、親指のつけ根と小指のつけ根を通る足の外周部分がきつくなりすぎなければ、前方三角領域部34の弾性率を、X字型サポート部24および/または第1固定部34の弾性率と同じにしてもよいし、高くしてもよい。
【0034】
後方三角領域部26の弾性率は、第2固定部38の弾性率よりも小さい。このために、後方三角領域部26は、
図4の矢印320に示すように足の踵の形状に合わせて足の幅方向に広がることができる。これにより、X字型サポート部24を足の土踏まずにフィットさせることができ、心地よい着用感が得られる。
【0035】
以上の一実施形態による靴下1は、次のような作用効果を奏する。
(1)靴下1は、つま先部10と、足底部20と、足甲部30と、踵部40と、足首部50とを備え、足底部20がX字型のX字型サポート部24を有し、足甲部30がX字型サポート部24のつま先部10側を固定する第1固定部34をつま先部10側に有し、足甲部30がX字型サポート部24の踵部40側を固定する第2固定部38を足首部50側に有し、足首部50がX字型サポート部24の踵部側を固定する第3固定部52および踵後ろ部54を足甲部30側に有し、X字型サポート部24、第1固定部34、第2固定部38、第3の固定部52および踵後ろ部54が高弾性材から構成されるようにした。これにより内側縦アーチ構造および外側縦アーチ構造のそれぞれに向けて引っ張り応力を作用させることができ、長時間、歩いたり走ったりすることによる足の骨格のアーチ構造の機能の低下をより確実に抑制することができる靴下を提供することができる。また、足の裏でX字型にテープを配置するテーピングの効果と同様な効果を、靴下1を履くことによって、ユーザは受けることができる。
【0036】
(2)X字型サポート部が、足の親指のつけ根に対応する位置から踵の外側に対応する位置に延びるX字型サポート部構成要素24aおよび足の小指のつけ根に対応する位置から踵の内側部分に対応する位置に延びるX字型サポート部構成要素24bを有し、第1固定部34が、足甲部の足の親指のつけ根に対応する位置から小指のつけ根に対応する位置に延びる部分に配置され、第2固定部38が、足甲部30の足首部50に近接する足の甲の後部を覆う領域に配置され、第3固定部52および踵後ろ部51が、足首部50の外周の足甲部30側に配置されるようにした。これにより内側縦アーチ構造および外側縦アーチ構造のそれぞれに向けて引っ張り応力を作用させることができ、長時間、歩いたり走ったりすることによる足の骨格のアーチ構造の機能の低下をより確実に抑制することができる靴下を提供することができる。また、足の裏でX字型にテープを配置するテーピングの効果と同様な効果を、靴下1を履くことによって、ユーザは受けることができる。
【0037】
(3)靴下1は、X字型サポート部24とつま先部10とに囲まれた前方三角領域部22とをさらに含み、前方三角領域部22の弾性率が、X字型サポート部24および第1固定部34の弾性率よりも低くするようにした。これにより、親指のつけ根と小指のつけ根を通る足の外周部分がきつくなって、足の血流が悪くなるのを抑制することができる。
【0038】
(4)靴下1は、X字型サポート部24と踵部40とに囲まれた後方三角領域部26とをさらに含み、後方三角領域部26の弾性率が、X字型サポート部24および第2固定部38の弾性率よりも低くするようにした。これにより、X字型サポート部24を足の土踏まずにフィットさせることができ、心地よい着用感が得られる。
【0039】
以上の一実施形態の靴下1を次のように変形することができる。
X字型サポート部24の踵部
40側を固定できれば、第2固定部
38、第3固定部52および踵後ろ部54のうち、第2固定部
38のみを靴下1に形成してもよい。また、X字型サポート部24の踵部
40側を固定できれば、第2固定部
38、第3固定部52および踵後ろ部54のうち、第3固定部52および踵後ろ部54のみを靴下1に形成してもよい。さらに第2固定部
38、第3固定部52および踵後ろ部54のうち、第2固定部
38および踵後ろ部54のみを靴下1に形成してもよい。
【0040】
実施形態と変形例の一つ、もしくは複数を組み合わせることは可能である。変形例同士をどのように組み合わせることも可能である。
【0041】
以上の説明はあくまで一例であり、本発明は上記実施形態の構成になんら限定されるものではない。