特許第5881839号(P5881839)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ケーティー アンド ジー コーポレーションの特許一覧

特許5881839低発火性シガレットペーパーのコーティング組成物およびこれを用いるシガレット
<>
  • 特許5881839-低発火性シガレットペーパーのコーティング組成物およびこれを用いるシガレット 図000007
  • 特許5881839-低発火性シガレットペーパーのコーティング組成物およびこれを用いるシガレット 図000008
  • 特許5881839-低発火性シガレットペーパーのコーティング組成物およびこれを用いるシガレット 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881839
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】低発火性シガレットペーパーのコーティング組成物およびこれを用いるシガレット
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/02 20060101AFI20160225BHJP
   D21H 27/00 20060101ALI20160225BHJP
   D21H 19/10 20060101ALI20160225BHJP
【FI】
   A24D1/02
   D21H27/00 D
   D21H19/10 B
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-538690(P2014-538690)
(86)(22)【出願日】2012年7月19日
(65)【公表番号】特表2015-501153(P2015-501153A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】KR2012005749
(87)【国際公開番号】WO2013062211
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2014年4月24日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0109370
(32)【優先日】2011年10月25日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2012-0058304
(32)【優先日】2012年5月31日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507287319
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100169579
【弁理士】
【氏名又は名称】村林 望
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユン−シン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ボン−スー
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,ソン−ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン−オー
(72)【発明者】
【氏名】クォン,スン−チョル
【審査官】 礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2002/0179105(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0287248(US,A1)
【文献】 特開2003−089659(JP,A)
【文献】 特表2011−516621(JP,A)
【文献】 特表2006−517391(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0246055(US,A1)
【文献】 特開平10−316779(JP,A)
【文献】 特表2009−531056(JP,A)
【文献】 特開平08−134420(JP,A)
【文献】 特開平09−028366(JP,A)
【文献】 特表2005−508648(JP,A)
【文献】 特表平10−503803(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/149380(WO,A1)
【文献】 特表2002−515925(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0005847(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0231684(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/068279(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 1/00 − 3/18
D21H 19/10
D21H 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
α澱粉(pregelatinized starch)重量%乃至20重量%と、
マルトデキストリン(maltodextrin)5重量%乃至40重量%と、
エタノール(ethanol)10重量%乃至40重量%と、
水30重量%乃至80重量%と、
を含む低発火性シガレットペーパー(low ignition propensity cigarette paper)のコーティング組成物。
【請求項2】
抵抗性マルトデキストリン(resistant maltodextrin)、イヌリン(inulin)、またはこれら組み合わせをさらに含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
酸化α澱粉(oxidized pregelatinized starch)をさらに含む、請求項1または2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
プロピレングリコール(propylene glycol)、グリセリン(glycerin)、またはこれらの組み合わせをさらに含む、請求項3に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
D−ソルビトール(D−sorbitol)をさらに含む、請求項4に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記コーティング組成物は、前記α澱粉、前記マルトデキストリン、前記エタノール、および前記水のみを含む、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
前記α澱粉と前記マルトデキストリンの重量比率は、約1:0.5乃至約1:8.0である、請求項6に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
シガレットカラム部(cigarette column portion)と、
前記シガレットカラム部を囲んでおり、コーティング部(coating portion)を含む低発火性シガレットペーパーと、
を含み、
前記コーティング部は、乾燥された請求項1乃至7のいずれかに記載のコーティング組成物を含むシガレット。
【請求項9】
シガレットフィルター部(cigarette filter portion)をさらに含む、請求項8に記載のシガレット。
【請求項10】
前記シガレットフィルター部は、少なくとも一つのフィルター部材(filter member)を含む、請求項に記載のシガレット。
【請求項11】
前記シガレットフィルター部は、吸着剤または香味剤を少なくとも一つ含む、請求項10に記載のシガレット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
低発火性シガレットペーパーのコーティング組成物およびこれを用いるシガレットが提供される。
【背景技術】
【0002】
一般に、シガレットを製造するためには、まず多様な種類の葉たばこ(leaf tobacco)を所望の香りと味がするように配合して加工する。次いで、加工された葉たばこを切り刻んで刻みタバコ(cut tobacco leaf)を製造し、シガレットペーパー(cigarette paper)で刻みタバコを巻いてフィルターのないシガレットを製造する。次いで、必要に応じてフィルターのないシガレットにフィルターを付着する。
【0003】
シガレットフィルターは、活性炭、香味物質などを含むことができ、モノフィルターまたは多重フィルターから構成されてもよく、シガレットフィルター巻紙(cigarette filter wrapping paper)によって囲まれている。チップペーパー(tipping paper)によって刻みタバコとシガレットフィルターが連結され、チップペーパーは微細な孔を含むことができる。
【0004】
シガレットペーパーは、適切な気孔度と燃焼性によって喫煙の際に目標タール(target tar)および目標ニコチン(target nicotine)が履行されるように製造されるだけでなく、タバコ固有の喫味が与えられるように製造され得る。シガレットペーパーは、麻(flax)、木材パルプなどで製造することができる。
【0005】
低発火性シガレットペーパーには、澱粉のような物質がバンド(band)形態にコーティングされており、コーティングされたバンドの気孔度が低いため、タバコの燃焼がバンド部分に到達すれば刻みタバコに流入される酸素量が減少してタバコが消火され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一実施形態は、シガレットペーパーの気孔度を低めながらコーティングを含むシガレットペーパー製造工程の作業性を改善するためのものである。
【0007】
前記課題以外にも具体的に言及されていない他の課題の達成に使用され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態に係る低発火性シガレットペーパーのコーティング組成物は、α澱粉(pregelatinized starch)と、マルトデキストリン(maltodextrin)と、エタノール(ethanol)と、を含む。
【0009】
前記コーティング組成物は、抵抗性マルトデキストリン(resistant maltodextrin)をさらに含むことができる。
【0010】
前記コーティング組成物は、イヌリン(inulin)をさらに含むことができる。
【0011】
前記コーティング組成物は、酸化α澱粉(oxidized pregelatinized starch)をさらに含むことができる。
【0012】
前記コーティング組成物は、プロピレングリコール(propylene glycol)、グリセリン(glycerin)、またはこれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0013】
前記コーティング組成物は、D−ソルビトール(D−sorbitol)をさらに含むことができる。
【0014】
前記コーティング組成物全体に対して、前記α澱粉は約5重量%乃至約20重量%、前記マルトデキストリンは約5重量%乃至約40重量%、および前記エタノールは約10重量%乃至約40重量%であり得る。
【0015】
前記α澱粉と前記マルトデキストリンの重量比率は、約1:0.5乃至約1:8.0であり得る。
【0016】
本発明の一実施形態に係るシガレットは、シガレットカラム部(cigarette column portion)と、前記シガレットカラム部を囲んでおり、コーティング部(coating portion)を含む低発火性シガレットペーパーと、を含み、前記コーティング部は、α澱粉およびマルトデキストリンを含む。
【0017】
前記コーティング部は、イヌリン(inulin)をさらに含むことができる。
【0018】
前記コーティング部は、酸化α澱粉(oxidized pregelatinized starch)をさらに含むことができる。
【0019】
前記コーティング部は、D−ソルビトール(D−sorbitol)をさらに含むことができる。
【0020】
前記シガレットは、シガレットフィルター部(cigarette filter portion)をさらに含むことができる。
【0021】
前記シガレットフィルター部は、少なくとも一つのフィルター部材(filter member)を含むことができる。
【0022】
前記シガレットフィルター部は、吸着剤または香味剤を少なくとも一つ含むことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一実施形態は、シガレットペーパーの気孔度を低めながらコーティングを含むシガレットペーパー製造工程の作業性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係るシガレットを概略的に示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るシガレットを概略的に示す断面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るシガレットを概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
添付図面を参照して本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。図面において、本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似する構成要素については同一の図面符号を付した。また、広く知られている公知技術の場合、その具体的な説明は省略する。
【0026】
以下、本発明の実施形態に係るシガレットペーパーおよびシガレットについて図1乃至図3を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係るシガレットを概略的に示す斜視図であり、図2は、本発明の一実施形態に係るシガレットを概略的に示す断面図であり、図3は、本発明の一実施形態に係るシガレットを概略的に示す断面図である。
【0028】
図1および図2を参照すると、シガレット(cigarette)1は、火によって燃焼するシガレットカラム部(cigarette column portion)10と、タバコの煙をフィルタリングするシガレットフィルター部(cigarette filter portion)20とを含む。シガレットカラム部10は、シガレットペーパー19により巻かれており、シガレットフィルター部20は、シガレットフィルター巻紙28により巻かれていてもよい。シガレットカラム部10とシガレットフィルター部20は、チップペーパー(tipping paper)29により連結され得る。シガレットの周りは、ほぼ5mm乃至ほぼ30mmであり得る。シガレットフィルター部20は省略されてもよい。
【0029】
シガレットカラム部10は、多様な方法により加工された葉タバコから切り刻まれた刻みタバコ11を含む。
【0030】
シガレットフィルター部20は、第1フィルター部21を含むことができる。第1フィルター部21は、アセテートトウ、紙などで形成され得る。シガレットフィルター部20は、2つ以上のフィルター部材(filter member)を含む多重フィルターであり得る。例えば、図3を参照すると、シガレットフィルター部20は、第2フィルター部22および第3フィルター部23を含むことができる。その他にも、シガレットフィルター部20は、3つのフィルター部材、4つのフィルター部材などのマルチフィルター部材を含むことができる。
【0031】
シガレットフィルター部20は、吸着剤、香味剤などを含むことができる。例えば、吸着剤は活性炭などであり、香味剤はハーブの香り物質などであり得る。多重フィルターにおける1つ以上のフィルター部材は、吸着剤または香味剤のうちの少なくとも一つを含むことができる。例えば、図3を参照すると、第2フィルター部22または第3フィルター部23のうちの少なくとも一つは、吸着剤または香味剤のうちの少なくとも一つを含むことができる。
【0032】
シガレットペーパー19は、1つ以上のコーティング部(coating portion)18を含む。例えば、コーティング部18は、バンド形態であり得るが、バンド形態以外にも多様な形態を有することができる。コーティング部18の個数、厚さ、そして形態は多様に変形することができ、複数のコーティング部18の間隔も多様に変形することができる。コーティング部18は、シガレットペーパー19の気孔度を低めることができ、そのために、タバコの燃焼がコーティング部18に到達すればシガレットカラム部10に流入される酸素量が減少してシガレット1が消火され得る。コーティング部18を含むシガレットペーパー19を低発火性シガレットペーパーとも言う。コーティング部18にはコーティング組成物が塗布される。例えば、シガレットペーパー19の気孔度は、ほぼ85cu以下であり、コーティング部18の気孔度は、ほぼ5cu乃至ほぼ20cuであり得る。シガレットペーパーの基材紙(base paper)の厚さは、約30μm乃至約60μmであり、基材紙の坪量は、約15g/m乃至約40g/mであり得る。コーティング部18の厚さは、約5μm以下であり、コーティング部18の坪量は、約15g/m以下であり得る。シガレットペーパー19およびコーティング組成物全体重量に対するコーティング組成物の重量比率は、ほぼ40重量%以下であり得る。コーティング部18がバンド形態である場合、バンド1つ当りコーティング組成物の重量は、ほぼ2.5mg以下であり得る。
【0033】
コーティング組成物は、α澱粉(pregelatinized starch)、マルトデキストリン(maltodextrin)、およびエタノール(ethanol)を含む。
【0034】
α澱粉は、生澱粉(raw starch)を高温で急速乾燥することによって製造することができ、このような処理をα化処理とも言う。例えば、α澱粉は、約40%の生澱粉溶液を約摂氏100度以上で加熱した後、急速に乾燥することによって製造され得る。生澱粉は、低濃度で高粘度の特性を有し、冷水で分散または溶解されず、速い老化現象で固形化され得る。しかし、α澱粉は、低濃度で高粘度の特性を有さず、冷水でも簡単に分散または溶解され、老化現象を遅延させることができる。そのために、α澱粉は、コーティング工程の作業性を向上させることができる。α澱粉は、例えば、アミロベクチン(amylopectin)であり得る。アミロベクチンは、可溶性であるアミロースを除去した難溶性成分であり、網状構造を有し、柔らかなフィルムを形成する特性を有する。したがって、アミロベクチンは、外部衝撃に強い平滑性を有することができる。α澱粉は、コーティング組成物全体に対して約3重量%乃至約20重量%使用することができ、このような範囲で使用する場合、コーティング工程の作業性が向上することができる。
【0035】
マルトデキストリンは、α澱粉の老化速度を効果的に低めることができる。マルトデキストリンは、フィルム形成能と乾燥性に優れ、溶解性が高く、分子の大きさが小さいため、シガレットペーパーの内部浸透に有利である。マルトデキストリンは、エタノールに溶解されるので、エタノールと共に使用する場合、コーティング組成物の粘度を低めることができ、コーティング組成物の構成成分間の結合力を高めることができる。マルトデキストリンは、コーティング組成物全体に対して約5重量%乃至約40重量%使用することができ、このような範囲で使用する場合、フィルム形成能と乾燥性が向上することができる。
【0036】
エタノールは、コーティング組成物の固形分含量を高めることができ、α澱粉の粘度を低下させ、維持することができる。下記表1は、コーティング組成物全体を基準とするエタノールの含量によるコーティング組成物の粘度変化を示す。
【表1】
【0037】
また、エタノールは、コーティング組成物の使用可能期間を増加させることができる。エタノールは、コーティング組成物の水分の乾燥効率を向上させることができ、シガレットペーパーの水分吸収による強度低下を防止することができる。エタノールは、コーティング組成物全体に対して約10重量%乃至約40重量%使用することができ、このような範囲で使用する場合、コーティング組成物の粘度を効果的に維持することができ、乾燥性が向上することができる。エタノールは、シガレットペーパーの製造工程で気化して、コーティング部18には含まれなくてもよい。
【0038】
コーティング組成物は、水を含む。例えば、水は、約30重量%乃至80重量%使用することができる。水は、シガレットペーパーの製造工程で気化して、コーティング部18には含まれなくてもよい。
【0039】
コーティング組成物は、抵抗性マルトデキストリン(resistant maltodextrin)を含むことができる。抵抗性マルトデキストリンは、α澱粉とマルトデキストリンのフィルム形成の程度を調節することができ、排水性が高いため、乾燥効果を改善することができる。抵抗性マルトデキストリンは、コーティング組成物全体に対して約5重量%乃至約25重量%使用することができ、このような範囲で使用する場合、フィルム形成の程度を効果的に調節することができる。
【0040】
コーティング組成物は、イヌリン(inulin)を含むことができる。イヌリンは、コーティング組成物のフィルム形成能を向上させることができ、コーティング組成物の粘度を低めることができる。イヌリンは、コーティング組成物全体に対して約1重量%乃至約20重量%使用することができ、このような範囲で使用する場合、コーティング組成物のフィルム形成能が向上することができる。
【0041】
コーティング組成物は、酸化α澱粉(oxidized pregelatinized starch)を含むことができる。酸化α澱粉は、充填剤の役割を果たすことができる。酸化α澱粉は、コーティング組成物全体に対して約1重量%乃至約20重量%使用することができ、このような範囲で使用する場合、シガレットペーパーの酸素遮断能力が効果的に維持され得る。
【0042】
コーティング組成物は、プロピレングリコール(propylene glycol)を含むことができ、プロピレングリコールは、シガレットペーパー製造工程の作業性を改善することができる。プロピレングリコールは、コーティング組成物全体に対して約1重量%乃至約10重量%使用することができ、このような範囲で使用する場合、シガレットペーパー製造工程の作業性が効果的に改善され得る。プロピレングリコールは、シガレットペーパーの製造工程で気化して、コーティング部18には含まれなくてもよい。
【0043】
コーティング組成物は、グリセリン(glycerin)を含むことができ、グリセリンは、シガレットペーパー製造工程の作業性を改善することができる。グリセリンは、コーティング組成物全体に対して約1重量%乃至約10重量%使用することができ、このような範囲で使用する場合、シガレットペーパー製造工程の作業性が効果的に改善され得る。グリセリンは、シガレットペーパーの製造工程で気化して、コーティング部18には含まれなくてもよい。
【0044】
コーティング組成物は、D−ソルビトール(D−sorbitol)を含むことができ、D−ソルビトールは、シガレットペーパー製造工程の作業性を改善することができる。D−ソルビトールは、充填剤の役割を果たすことができる。D−ソルビトールは、コーティング組成物全体に対して約10重量%乃至約20重量%使用することができ、このような範囲で使用する場合、シガレットペーパーの酸素遮断能力が効果的に維持され得る。
【0045】
コーティング組成物は、シガレットペーパーの内部の空隙を満たすため、コーティング組成物の粘度が低ければシガレットペーパーの光学的特性が低下し得る。例えばコーティング組成物の粘度が過度に低ければ、シガレットペーパーの白色度および不透明度が減少し得る。したがって、コーティング組成物の粘度を適切に維持する必要がある。また、コーティング組成物の粘度が過度に低ければコーティング組成物のシガレットペーパー内の浸透速度が増加し、シガレットペーパー表面に残っているα澱粉の量が減少して、酸素流入の遮断能力が減少し得る。したがって、シガレットペーパーの光学的特性とコーティング組成物のシガレットペーパー内の浸透速度を考慮して、コーティング組成物の粘度を適切に維持することが好ましい。例えば、コーティング組成物の粘度は、約摂氏25度および約20rpmで約1000cps乃至約8500cpsであり、このような範囲の粘度を維持するために、α澱粉とマルトデキストリンの混合重量比率は、ほぼ1:0.5乃至ほぼ1:8.0であり得る。
【0046】
コーティング組成物で固形分の含量は、ほぼ50重量%以下であり得る。コーティング組成物で固形分の含量とエタノールの含量の重量比率は、約1:0.25乃至約1:0.85であり得る。
【0047】
シガレットペーパー19は、充填剤(filler)を含むことができ、そのために、シガレットペーパーの不透明度を高めることができ、シガレットペーパーに気孔度を付与することができ、シガレットペーパーの平滑度および灰高結性が改善され、シガレットペーパーの白色度が増加することができる。例えば、充填剤は、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化マグネシウムなどの物質がある。充填剤は、シガレットペーパー全体重量に対して約20重量%乃至約40重量%使用することができる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例を挙げて本発明についてより詳細に説明するが、下記実施例は本発明の実施例に過ぎず、本発明は下記実施例に限定されない。
【0049】
実施例1
α澱粉約15重量%、マルトデキストリン約25重量%、エタノール約15重量%、および水約45重量%を混合してコーティング組成物を製造する。製造されたコーティング組成物を気孔度が約60CUであるシガレットペーパーに塗布して、幅が約7mmであるバンドの2つが約20mm間隔でシガレットペーパーに形成される。バンドの気孔度は、約8CUである。製造されたシガレットペーパーを用いてシガレットを製造する。
【0050】
比較例1
アルギン酸ナトリウムが含まれているコーティング組成物を気孔度が約82CUであるシガレットペーパーに塗布して、幅が約7mmであるバンドの2つが約20mm間隔でシガレットペーパーに形成される。バンドの気孔度は、約12.5CUである。製造されたシガレットペーパーを用いてシガレットを製造する。
【0051】
シガレットの物理性の測定
前記実施例1および比較例1で製造されたシガレットの物理性を測定して下記表2に示した。
【表2】
【0052】
前記表2を参照すると、実施例1のシガレットおよび比較例1のシガレットの物理性は類似している。
【0053】
シガレットの煙成分の測定
前記実施例1および比較例1で製造されたシガレットの煙成分を測定して下記表3に示した。
【表3】
【0054】
前記表3を参照すると、実施例1のシガレットおよび比較例1のシガレットの煙成分は類似している。
【0055】
シガレットの燃焼強度の測定
前記実施例1および比較例1で製造されたシガレットの燃焼強度を測定して下記表4に示した。ASTMは、米国の燃焼強度測定方法であり、濾紙10枚上が置かれたシガレットの消火率を測定し、高いほど燃焼強度に優れている。FASE(free air self−extinguish)は、燻り(smoldering)状態での消火率が低いほど燃焼強度に優れている。
【表4】
【0056】
前記表4を参照すると、実施例1のシガレットの燃焼強度が比較例1のシガレットの燃焼強度より優れている。
【0057】
シガレット製造の作業性の測定
前記実施例1のシガレットの製造時、シガレット製造装置の停止回数は3回であり、前記比較例1のシガレットの製造時、シガレット製造装置の停止回数は4回であった。そのために、実施例1のシガレット製造の作業性が比較例1のシガレット製造の作業性より改善されたことが分かる。
【0058】
シガレットの官能評価
16名のパネルを通じて前記実施例1および比較例1で製造されたシガレットの品質を評価して下記表5に示した。
【表5】
【0059】
前記表5を参照すると、実施例1のシガレットおよび比較例1のシガレットの品質は類似している。
【0060】
以上で、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0061】
1…シガレット
10…シガレットカラム部
11…刻みタバコ
18…コーティング部
19…シガレットペーパー
20…シガレットフィルター部
21…第1フィルター部
22…第2フィルター部
23…第3フィルター部
28…シガレットフィルター巻紙
29…チップペーパー
図1
図2
図3