特許第5881844号(P5881844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5881844
(24)【登録日】2016年2月12日
(45)【発行日】2016年3月9日
(54)【発明の名称】グリセロール含有機能液
(51)【国際特許分類】
   C10M 163/00 20060101AFI20160225BHJP
   C10M 129/08 20060101ALN20160225BHJP
   C10M 159/24 20060101ALN20160225BHJP
   C10M 159/22 20060101ALN20160225BHJP
   C10M 159/20 20060101ALN20160225BHJP
   C10M 129/76 20060101ALN20160225BHJP
   C10M 137/10 20060101ALN20160225BHJP
   C10N 10/04 20060101ALN20160225BHJP
   C10N 30/04 20060101ALN20160225BHJP
   C10N 30/06 20060101ALN20160225BHJP
   C10N 40/04 20060101ALN20160225BHJP
【FI】
   C10M163/00
   !C10M129/08
   !C10M159/24
   !C10M159/22
   !C10M159/20
   !C10M129/76
   !C10M137/10 A
   C10N10:04
   C10N30:04
   C10N30:06
   C10N40:04
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-541067(P2014-541067)
(86)(22)【出願日】2012年10月5日
(65)【公表番号】特表2014-533315(P2014-533315A)
(43)【公表日】2014年12月11日
(86)【国際出願番号】US2012058860
(87)【国際公開番号】WO2013070347
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2014年10月6日
(31)【優先権主張番号】13/294,269
(32)【優先日】2011年11月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】598037547
【氏名又は名称】シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リ、ユエ − ロン
【審査官】 牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−008695(JP,A)
【文献】 特開2004−331721(JP,A)
【文献】 特開平05−105895(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/087831(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10M 101/00〜177/00
C10N 10/00〜 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.主要量の潤滑粘度の油;
b.少なくとも0.05重量%のグリセロール;
c.1.23〜5.0重量%の少なくとも1種の、0〜60の活性剤の低いTBNを有
する低過塩基性スルホネート浄剤;
d.0.1〜5.0重量%の少なくとも1種の、200超〜400の活性剤の高いT
BNを有する高過塩基性スルホネート浄剤;
e.2.0〜3.0重量%の少なくとも1種の、60超〜200の活性剤の中位のT
BNを有する中過塩基性フェネート浄剤;
f.0.5〜3.0重量%の少なくとも1種の、200超〜400の活性剤の高いT
BNを有する高過塩基性フェネート浄剤;及

g.1.28〜2.0重量%の少なくとも1種の、60超〜200の活性剤の中位のT
BNを有する中過塩基性カルボキシレート浄剤、及び
h.少なくとも1種の耐摩耗添加剤
を含むトラクター油圧油
【請求項2】
トラクター油圧油0.5〜1.0重量%の14〜C18ジオールをも含んでいる、請
求項記載のトラクター油圧油
【請求項3】
トラクター油圧油がグリセロールモノオレエートをも含んでいる、請求項1記載のトラクター油圧油
【請求項4】
トラクター油圧油が0.5重量%より多いグリセロールモノオレエートを含まない、請求項記載のトラクター油圧油
【請求項5】
トラクター油圧油が少なくとも1種の浄剤を含む、請求項1記載のトラクター油圧油
【請求項6】
浄剤がアルカリ土類金属浄剤であり、該アルカリ土類金属浄剤がさらに少なくと
も1種の低過塩基性スルホネート、少なくとも1種の中過塩基性スルホネート、少なくと
も1種の高過塩基性スルホネート、又は少なくとも1種の非スルホネート浄剤を含む、
請求項記載のトラクター油圧油
【請求項7】
アルカリ土類金属浄剤が低過塩基性スルホネートである、請求項記載のトラクター油圧油
【請求項8】
非スルホネート浄剤が少なくとも1種のフェネート浄剤又は少なくとも1種のカル
ボキシレート浄剤である、請求項記載のトラクター油圧油
【請求項9】
該少なくとも1種の耐摩耗添加剤が亜鉛ジアルキルジチオホスフェ−トである、請求項
記載のトラクター油圧油
【請求項10】
トラクター油圧油中のグリセロールの量が0.05から1.0重量%までである、請求項1記載のトラクター油圧油
【請求項11】
金属表面を請求項1に記載のトラクター油圧油と接触させることを含む摩擦の低減方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は動力伝達液、油圧油、及び/又は可動部の潤滑を必要とするシステムに有用な機能液に関する。特に、本発明はトラクター油圧油に使用するための有機摩耗防止剤を含む機能液に関する。
【背景技術】
【0002】
現代の潤滑油配合剤はしばしば元の装置製造者により設定された厳格な仕様に向けて配合されている。このような仕様に適合するために、様々な添加剤が、潤滑粘度の基油とともに使用されている。応用分野に応じて、典型的な潤滑油組成物は、幾つか例を挙げれば、分散剤、浄剤、抗酸化剤、磨耗防止剤、防錆剤、腐食防止剤、発泡防止剤、及び摩擦調整剤を含んでもよい。様々な応用に応じて潤滑油組成物に入る添加剤の種類が決まるであろう。
【0003】
機能液とは、トラクター油圧油、オートマチック・トランスミッション液、連続可変性トランスミッション油、及びマニュアル・トランスミッション液を含む動力伝達液体、トラクター油圧油を含む油圧油、ギア油、パワーステアリング油、ウインドタービンに用いられる液体、及び伝動機構コンポーネントに関連する液体を含むが、これらには限定されない様々な液体を包含する用語である。例えばオートマチック・トランスミッション液のようなこれらの液体の各々において、著しく異なる機能特性の液体に対するニーズを生じさせてきた様々な設計を持った種々のトランスミッションにより、いろいろな異なるタイプの液体が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トラクター油圧油に関して、これらの液体は、エンジンを潤滑化することを除いてトラクターへのすべての潤滑応用に用いられる汎用製品である。また、本発明の目的のためのトラクター油圧油としては、いわゆるスーパートラクターオイルユニバーサル液(Super Tractor Oil Universal fluids)、即ちSTOU液も含まれ、これもまたエンジンを潤滑させる。これらの潤滑応用にはギアボックス(変速機)、パワー・テークオフ(動力取出装置)、及びクラッチ、リヤ・アクスル(後ろ車軸)、減速ギア、湿式ブレーキ、及び油圧装備品が挙げられる。トラクター油に含まれる成分は、最終的に得られる液体組成物が様々な応用に要求される必要な特性のすべてを提供するように注意して選ばなければならない。このような特性としては、湿式ブレーキを作動させ、動力取り出し(PTO)クラッチ性能を提供する能力を提供しながら同時に、油浸ブレーキの湿式ブレーキチャッター音を防止するための適切な摩擦特性を提供する能力が挙げられる。トラクター油は水耐性/ろ過性能だけでなく、十分な耐摩耗及び極圧特性を提供しなければならない。トラクター油の極圧(EP)特性はギア応用において重要であり、これはストレート平歯車テストのほか、まがりばかさ歯車テストに合格する液体の能力によって示すことができる。トラクター油は、ブロンズ、グラファイト性組成物と石綿からなる油浸ディスクブレーキに用いたときに適切な湿式ブレーキ性能を提供しながら、湿式ブレーキチャッター音テストに合格する必要があるであろう。トラクター油はグラファイト性及びブロンズクラッチを含むクラッチのような動力シフトトランスミッションクラッチのための摩擦保持を提供する能力を示す必要があるであろう。
【0005】
機能液がオートマチック・トランスミッション液である場合は、そのオートマチック・トランスミッション液はクラッチ板が動力を伝達するのに十分な摩擦を有していなければならない。しかし、液体の摩擦係数は、液体が操作中に熱くなってくるにつれて温度効果により減少する傾向がある。トラクター油圧油又はオートマチック・トランスミッション液が高温で高い摩擦係数を維持することは重要であり、そうでなければブレーキ系やオートマチック・トランスミッションは作動しないであろう。
【0006】
低速でギアの保護を維持するトラクター油圧油に用いるための代替的有機摩耗防止剤に対するニーズが存在する。
【0007】
JP05−105895は、動力伝達ユニット、とりわけ農業、建築、その他の産業機械に使用される湿式クラッチ及びブレーキ用の潤滑油組成物を教示し、これは100重量部の基油あたり二つ以上の水酸基を有する0.01〜10重量部のC2−C14脂肪族化合物を含んでいる。特にJP05−105895は、このような油がトランスミッション液として特に有用であることを教えている。グリセロールが二つ以上の水酸基を有する、そのようなC2−C14脂肪族化合物として開示はされているが、例示はされていない。
【0008】
Bayles,Jr.et al.,米国特許第5,284,591号は、主要量の炭化水素油と、少量だが液体の特性を改良するには十分な量の新規な添加剤からなる多目的機能液に関する。添加剤はカルシウム塩錯体、II族金属ジチオリン酸塩、ホウ酸化エポキシド、カルボン酸安定化剤、及び硫化組成物からなる。
【0009】
Stoffa et al.,米国特許第5,635,459号は、改良されたギア性能を有する機能液組成物に関し、これは潤滑粘度の油を含み、これに(a)ホウ酸化及び/又は非ホウ酸化塩の形態のアルカリ又はアルカリ土類金属塩錯体;(b)ジアルキルホスホロジチオイック酸の亜鉛塩と2−エチルヘキサン酸の混合物で、トリフェニルホスファイト又はオレフィンとともに加熱したものを含むEP/摩耗防止剤;及び(c)ホウ酸化エポキシドを添加した機能液組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は主要量の潤滑粘度の油と少なくとも約0.05重量%のグリセロールを含む機能液に関する。
【0011】
本発明は、主要量の潤滑粘度の油;少なくとも約0.05重量%のグリセロール;少なくとも約5.0重量%までの少なくとも1種の低過塩基性スルホネート浄剤;少なくとも約5.0重量%までの少なくとも1種の高過塩基性スルホネート浄剤;少なくとも約3.0重量%までの少なくとも1種の中過塩基性フェネート浄剤;少なくとも約3.0重量%までの少なくとも1種の高過塩基性フェネート浄剤;少なくとも約2.0重量%までの少なくとも1種の中過塩基性カルボキシレート浄剤;及び少なくとも1種の耐磨耗添加剤を含む機能液に関する。
【0012】
本発明は、機能液にグリセロールを添加することを含む機能液の調製方法であって、このグリセロールがグリセロールモノオレエートでない上記方法に関する。
【0013】
本発明は、希釈油にグリセロールを添加することを含む添加剤濃縮物の調製方法であって、その濃縮物が約1%から約99%までの該希釈剤を含む上記方法に関する。
【0014】
本発明は、金属表面を、主要量の潤滑粘度の油と少なくとも約0.05重量%のグリセロールを含む機能液と接触させることを含む、摩耗低減方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を詳細に検討するに先立って、以下の用語はそうでないとの明示的な断りがなければ、以下の意味を有するであろう。
【0016】
定義
「アルカリ土類金属」という用語は、カルシウム、バリウム、マグネシウム、ストロンチウム、又はそれらの混合物を指すものとする。
【0017】
「アルキル」という用語は、直鎖及び分岐鎖のアルキル基の両方を指すものとする。
【0018】
「金属」という用語はアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、又はそれらの混合物を指すものとする。
【0019】
「金属対基質比」という用語は、基質の当量に対する金属の全当量の比を指すものとする。過塩基性スルホネート浄剤は典型的には、12.5:1〜40:1、ある局面では13.5:1〜40:1、他の局面では14.5:1〜40:1、さらに他の局面では15.5:1〜40:1、さらに他の局面では16.5:1〜40:1の金属比を有する。
【0020】
TBN値はより多くのアルカリ性生成物を反映し、それ故、より大きなアルカリ性リザーブを反映する。試料のTBNはASTMテストNo.D2896又は他の等価な手順で決定することができる。一般的な用語では、TBNは、等価な中性化を与える水酸化カリウムのmg数に等しい数値として表現される、1グラムの潤滑組成物の中性化能である。従って、10というTBNは、1グラムの組成物が10mgの水酸化カリウムに等しい中性化能を有することを意味する。活性化剤のTBNは測定すべきである。
【0021】
「低過塩基性」又は「LOB」という用語は、約0〜約60の活性剤の低いTBNを有する過塩基性浄剤を指すものとする。
【0022】
「中過塩基性」又は「MOB」という用語は、約60超〜約200の活性剤の中位のTBNを有する過塩基性浄剤を指すものとする。
【0023】
「高過塩基性」又は「HOB」という用語は、約200超〜約400の活性剤の高いTBNを有する過塩基性浄剤を指すものとする。
【0024】
上述のように、本発明は、機能液に耐摩耗改良量のグリセロールを添加することにより機能液のブレーキ及びクラッチ性能を改良する方法を提供する。
【0025】
機能液
本発明の機能液は、鉱油、合成油又は植物油由来の基油を用いる。約40℃で少なくとも約2.5cStの粘度、及び約20℃以下に、好ましくは0℃以下に流動点を有する基油が望ましい。基油は合成又は天然源由来であってもよい。基油はAmerican Petroleum Institute Publication 1509(この内容はあらゆる目的で本明細書中に取り込まれるものとする)に定義されているように、グループIからグループVまでのベースストックの一つ又は組み合わせのいずれに由来するものであってもよい。
【0026】
本発明で基油として用いるための鉱油としては、例えば、パラフィン、ナフテン、及び潤滑油組成物に通常用いられる他の油が挙げられる。
【0027】
植物油としては、例えば、菜種油(キャノーラ油)又は大豆油が挙げられる。
【0028】
合成油としては、例えば、炭化水素合成油及び合成エステルの両方、及び望ましい粘度を有するこれらの混合物が挙げられる。炭化水素合成油としては、例えば、エチレンの重合から調製された油、即ちポリαオレフィン又はPAO、又はフィッシャー・トロプシュ法のような一酸化炭素と水素ガスを用いる炭化水素合成手順から調製された油が挙げられる。有用な合成炭化水素油としては、適切な粘度を有するαオレフィンの液状ポリマーが挙げられる。特に有用なのは、1−デセントリマーのようなC〜C12αオレフィンの水素化液状オリゴマーである。同様に、ジドデシルベンゼンのような適切な粘度のアルキルベンゼンも使用することができる。有用な合成エステルとしては、モノカルボン酸及びポリカルボン酸のエステルのほか、モノヒドロキシアルカノール及びポリオールが挙げられる。典型的な例は、アジピン酸ジドデシル、テトラカプロン酸ペンタエリトリトール、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジラウリル等である。モノ及びジカルボン酸及びモノ及びジヒドロキシアルカノールの混合物から調製された複合エステルもまた使用することができる。鉱油と合成油のブレンドもまた使用することができる。
【0029】
本発明の機能液はまた、本明細書に記載の摩擦調整量のグリセロールを含む。典型的には、機能液中に含まれるグリセロールの合計量は少なくとも約0.05重量%である。他の態様では、機能液は少なくとも約0.1重量%のグリセロール、又は少なくとも約0.15重量%のグリセロール、又は少なくとも約0.2重量%のグリセロール、又は少なくとも約0.3重量%のグリセロール、又は少なくとも約0.5重量%のグリセロールを含む。典型的には、機能液は約1重量%までのグリセロール、又は約0.75重量%までのグリセロール、又は約0.6重量%までのグリセロール、又は約0.5重量%までを含む。一つの態様では、機能液は約0.05重量%から約1重量%までのグリセロール、他の態様では、約0.05重量%から約0.3重量%までのグリセロール、及び他の態様では、約0.1重量%から約0.3重量%までのグリセロールを含む。
【0030】
一つの態様では、本発明の機能液はまたグリセロールに加えてグリセロール脂肪酸エステルを含んでもよい。グリセロール脂肪酸エステルが機能液に含まれている場合は、機能液はグリセロールを含むが、0.5重量%を超えるグリセロール脂肪酸エステルを含まない。一つの態様では、機能液はグリセロールを含むが、0.25重量%を超えるグリセロール脂肪酸エステルを含まない。一つの態様では、機能液はグリセロールを含むが、0.20重量%を超えるグリセロール脂肪酸エステルを含まない。一つの態様では、機能液はグリセロールを含むが、0.15重量%を超えるグリセロール脂肪酸エステルを含まない。一つの態様では、機能液はグリセロールを含むが、0.10重量%を超えるグリセロール脂肪酸エステルを含まない。一つの態様では、機能液はグリセロールを含むが、0.05重量%を超えるグリセロール脂肪酸エステルを含まない。
【0031】
具体的なグリセロール脂肪酸エステルはグリセロールモノオレエートである。本発明の目的のために、グリセロールモノオレエートは、グリセロールモノオレエートとして売られている市販の材料を指し、これは市販のグリセロールと、主としてオレイン酸である脂肪酸混合物の反応生成物である。反応生成物は一般にモノ、ジ、及びトリエステルの混合物を含んでいるが、モノエステルが主要なエステルである。市販のグリセロールモノオレエートの例としては、Priolube(登録商標)1408及びRadiasurf(登録商標)7149(即ち、グリセロールトリオレエートを含む脂肪酸のエステル)が挙げられる。
【0032】
一つの態様では、機能液はグリセロールを含むが、グリセロール脂肪酸エステル誘導体のいずれも含まない。
【0033】
一つの態様では、グリセロール脂肪酸エステル誘導体はグリセロールモノオレエート、ジオレエート、及びトリオレエートの混合物であり、グリセロールモノオレエートは混合物中でも最も濃度の高い種である。典型的には、混合物は約40〜60重量%のグリセロールモノオレエートを含む。
【0034】
一つの態様では、本発明の機能液は、機能液に添加されるグリセロールを含んでもよく、又はグリセロール脂肪酸エステル誘導体とは別に、添加剤パッケージに伴うグリセロールを含んでもよい。
【0035】
一つの態様では、本発明の機能液はまた、アルカンジオール、好ましくは1,2−アルカンジオールを含んでもよい。より好ましくは、1,2−アルカンジオールのアルカン構成成分は14〜18個の炭素原子を有する(即ち、C14−C18ジオール)。典型的には、アルカンジオールは当業界で周知の方法により合成することができ、その方法としては、適当な試薬を用いたアルケンの酸化;アルケンとホルムアルデヒドとの反応;及びケトンの水和が挙げられるが、これらに限らない。或いは、アルカンジオールはダイセル(Daicel Chemical Industries,Ltd.、東京、日本)から購入してもよい。
【0036】
一つの態様では、本発明の機能液はまた、少なくとも1種の低過塩基性浄剤、少なくとも1種の高過塩基性洗剤、及び少なくとも1種の耐摩耗添加剤を含んでもよい。
【0037】
過塩基性浄剤添加剤
過塩基性浄剤添加剤は当業界では周知であり、好ましくはアルカリ又はアルカリ土類金属過塩基性浄剤添加剤である。このような浄剤添加剤は、金属酸化物又は金属水酸化物を基質及び二酸化炭素ガスと反応させることにより調製される。基質は典型的には、酸であり、通常は、脂肪族置換スルホン酸、脂肪族置換カルボン酸、及び脂肪族置換フェノールからなる群から選ばれる酸である。
【0038】
「過塩基性」という用語は、金属塩、好ましくはスルホネート、カルボキシレート、及びフェネートの金属塩であって、存在する金属の量が化学量論的な量を超えるものを言う。このような塩は100%を超える変換濃度を有すると言われる(即ち、これらの塩は酸をその「通常の」、「中性の」塩に変換するのに必要な金属の理論的な量の100%を超える量を含む)。「金属比」という表現はしばしばMRと略され、従来技術で使用されるが、本明細書では、過塩基性塩における金属の全化学当量の、公知の化学反応性及び化学量論に従った中性塩における金属の化学当量に対する比を指すものとして使われる。従って、通常の又は中性の塩では、金属比は1であり、過塩基性においては、MRは1より大きい。これらは一般に、過塩基性、過剰塩基性、又は超塩基性の塩として呼ばれ、通常は有機硫黄酸、カルボン酸、又はフェノールである。
【0039】
過塩基性浄剤は、少なくとも1.1:1、好ましくは少なくとも2:1、より好ましくは少なくとも4:1、又は少なくとも10:1の金属対基質比を有する。
【0040】
スルホン酸としては、単核又は多核芳香族又は脂環式化合物が挙げられ、過塩基性の場合はスルホネートと呼ばれる。
【0041】
本発明において有用なスルホン酸の具体的な例は、マホガニースルホン酸;ブライトストックスルホン酸;110°Fで約100秒から210°Fで約200秒までのシーボルト(Saybolt)粘度を有する潤滑油分画由来のスルホン酸;例えば、ベンゼン、ナフタレン、フェノール、ジフェニルエーテル、ナフタレンジスルフィド、ジフェニルアミン、チオフェン、αクロロナフタレン等のモノ及びポリワックス置換スルホン及びポリスルホン酸;アルキルベンゼンスルホン酸(ここでアルキル基は少なくとも8個の炭素を有する)、セチルフェノールモノスルフィドスルホン酸、ジセチルチアントレンジスルホン酸、ジラウリルβナフチルスルホン酸、ジカプリルニトロナフタレンスルホン酸、及びドデシルベンゼン「ボトムス」スルホン酸等のアルカリールスルホン酸のような、他の置換スルホン酸である。
【0042】
ボトムス酸はプロピレンテトラマー又はイソブテントリマーでアルキル化されベンゼン環上に1、2、3又はそれ以上の分岐鎖C12置換基を導入したベンゼン由来である。ドデシルベンゼンボトムスは、主にモノ及びジドデシルベンゼンの混合物であって、家庭用洗剤の製造からの副生物として入手できる。直鎖アルキルスルホネート(LAS)の製造中に形成されたアルキル化ボトムスから得られた同様の生成物もまた、本発明に用いられるスルホネートを作成する際に役に立つ。
【0043】
例えばSOとの反応による浄剤製造生成物からのスルホネートの製造は当業者に周知である。例えば、いずれもKirk Othmer”Encyclopedia of Chemical Technology”(化学用語事典),第4版,発行元John Wiley&Sons,N.Y.(1997)中の項目”Sulfonation and Sulfation”(スルホン化と硫酸化),Vol.23,pp.146 et seq.及び”Sulfonic Acids”(スルホン酸),Vol.23,pp.194 et seq.参照。
【0044】
また、少なくとも約7個の炭素原子、しばしば少なくとも約12個の炭素原子を脂肪族基中に含む脂肪族スルホン酸、例えばパラフィンワックススルホン酸、不飽和パラフィンワックススルホン酸、ヒドロキシ置換パラフィンワックススルホン酸、ヘキサプロピレンスルホン酸、テトラアミレンスルホン酸、ポリイソブテンが20から7000個以上の炭素原子を含むポリイソブテンスルホン酸、クロロ置換パラフィンワックススルホン酸、ニトロパラフィンワックススルホン酸等;脂環式スルホン酸、例えば石油ナフテンスルホン酸、セチルシクロペンチルスルホン酸、ラウリルシクロヘキシルスルホン酸、ビス(イソブチル)シクロヘキシルスルホン酸等、が挙げられる。
【0045】
本明細書に記載されたスルホン酸又はその塩に関して、「石油スルホン酸」又は「石油スルホネート」という用語は、石油製品に由来するすべてのスルホン酸又はその塩を包含する。特に価値のある一群の石油スルホン酸は、スルホン酸プロセスにより石油ホワイトオイルの製造から副生物として得られるマホガニースルホン酸(その赤褐色の色からそう呼ばれている)である。
【0046】
過塩基性スルホン酸塩及びその作成技法の他の記載は、以下の米国特許番号
2,174,110;2,174,506;2,174,508;2,193,824;2,197,800;2,202,781;2,212,786;2,213,360;2,228,598;2,223,676;2,239,974;2,263,312;2,276,090;2,276,297;2,315,514;2,319,121;2,321,022;2,333,568;2,333,788;2,335,259;2,337,552;2,346,568;2,366,027;2,374,193;2,383,319;3,312,618;3,471,403;3,488,284;3,595,790;及び3,798,012
に見出すことができる。これらの特許の各々は参照することにより全体として本明細書中に取り込まれるものとする。
【0047】
一つの態様では、低過塩基性浄剤を用いる。好ましくは、低過塩基性浄剤は低過塩基性スルホネート浄剤である。より好ましくは、低過塩基性スルホネート浄剤は低過塩基性アルカリ土類金属スルホネート浄剤である。最も好ましくは、アルカリ土類金属は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、ストロンチウム、又はバリウムから選択される。さらにより好ましくは、低過塩基性アルカリ土類金属スルホネート浄剤は低過塩基性カルシウムスルホネート浄剤である。
【0048】
一つの態様では、中過塩基性浄剤を用いる。好ましくは、中過塩基性浄剤は中過塩基性カルシウムスルホネートである。
【0049】
好ましくは、高過塩基性浄剤は高過塩基性スルホネート浄剤である。より好ましくは、高過塩基性スルホネート浄剤は高過塩基性アルカリ土類金属スルホネート浄剤である。最も好ましくは、アルカリ土類金属は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、又はバリウムから選択される。さらにより好ましくは、高過塩基性アルカリ土類金属スルホネート浄剤は高過塩基性カルシウムスルホネート浄剤又は高過塩基性マグネシウム浄剤である。
【0050】
一つの態様では、非スルホネート含有浄剤を用いる。このような浄剤としては、カルボキシレート及びフェネート浄剤が挙げられるが、これらには限定されない。
【0051】
これらのカルボキシレート浄剤又はフェネート浄剤又はその両方は、グリセロール添加剤を含む機能液中に存在させることができる。
【0052】
使用される典型的なカルボキシレート浄剤は、米国特許7,163,911;7,465,696等に記載されているものであり、これらは参照することにより本明細書に取り込まれるものとする。
【0053】
使用される典型的なフェネート浄剤は、米国特許7,435,709等に記載されているものであり、これは参照することにより本明細書に取り込まれるものとする。
【0054】
耐摩耗添加剤
本発明に用いることのできる耐摩耗添加剤の例としては、亜鉛ジアルキル−1−ジチオホスフェート(第1級アルキル、第2級アルキル、及びアリール型)、ジフェニルスルフィド、メチルトリクロロステアレート、塩素化ナフタレン、フルオロアルキルポリシロキサン、ナフテン酸鉛、中性化ホスフェート、ジチオホスフェート、及び硫黄非含有ホスフェートが挙げられる。好ましくは、耐摩耗添加剤は、亜鉛ジアルキルトリホスフェートである。より好ましくは、亜鉛ジアルキルジチオホスフェートは第1級アルコール由来である。
【0055】
本発明の機能液で使用されるグリセロール、浄剤及び耐摩耗添加剤のほかに、機能液はまた、以下に記載の他の添加剤を含むこともできる。これらの添加剤成分はいかなる順序でもブレンドすることができ、成分の組み合わせとしてブレンドすることができる。
【0056】
他の添加剤成分
以下の添加剤成分は本発明で好ましく用いることができる成分の幾つかの例示である。これらの添加剤の例は本発明を説明するために提示するものであり、本発明を限定する意図はない。
【0057】
A.金属浄剤
硫化又は非硫化アルキル又はアルケニルフェネート、合成又は天然原料由来のスルホネート、カルボキシレート、サリチレート、フェナレート、マルチヒドロキシアルキル又はアルケニル芳香族化合物の硫化又は非硫化金属塩、アルキル又はアルケニルヒドロキシ芳香族スルホネート、硫化又は非硫化アルキル又はアルケニルナフテネート、アルカン酸の金属塩、アルキル又はアルケニルマルチ酸の金属塩、及びそれらの化学的及び物理的混合物。
【0058】
B.抗酸化剤
抗酸化剤は、金属表面上のスラッジやワニス様析出物のような酸化生成物により、及び粘度の上昇により、劣化が明らかとなる役務において、鉱油が劣化する傾向を減少させる。抗酸化剤としては、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチレン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデン−ビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−1,4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−4−(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド、及びビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)のようなフェノール型の(フェノール性の)酸化防止剤のような抗酸化剤が挙げられるが、これらには限定されない。ジフェニルアミン型の酸化防止剤としては、アルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、及びアルキル化−α−ナフチルアミンが挙げられるが、これらには限定されない。他の型の酸化防止剤としては金属ジチオカルバメート(例えば亜鉛ジチオカルバメート)及びメチレンビス(ジブチルジチオカルバメート)が挙げられる。抗酸化剤は一般に、エンジンオイルの合計量当たり、約0〜約10重量%、好ましくは0.05〜約3.0重量%の量でオイルに導入される。
【0059】
C.摩耗防止剤/極圧剤
これらの名称が意味するとおり、これらの剤は可動金属部分の摩耗を減少させる。このような剤の例としては、ホスフェート、ホスファイト、カルバメート、エステル、硫黄含有化合物、モリブデン錯体、亜鉛ジアルキルジチオホスフェート(第1級アルキル、第2級アルキル、及びアリール型)、硫化オイル、硫化イソブチレン、硫化ポリブテン、ジフェニルスルフィド、メチルトリクロロステアレート、塩素化ナフタレン、フルオロアルキルポリシロキサン、及びナフテン酸鉛が挙げられるが、これらには限定されない。
【0060】
D.錆止め剤(防錆剤)
1)非イオン性ポリオキシエチレン表面活性剤:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート、及びポリエチレングリコールモノオレエート。
【0061】
2)他の化合物:ステアリン酸及び他の脂肪酸、ジカルボン酸、金属石鹸、脂肪酸アミン塩、重スルホン酸の金属塩、多価アルコールの部分カルボン酸エステル、及びリン酸エステル。
【0062】
E.解乳化剤
アルキルフェノールとエチレンオキシドの付加生成物、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンソルビタンエステル
【0063】
F.摩擦調整剤
脂肪族アルコール、1,2−ジオール、ホウ素化1,2−ジオール、脂肪酸、アミン、脂肪酸アミド、ホウ素化エステル、及び他のエステル。
【0064】
G.多機能添加剤
硫化オキシモリブデンジチオカルバメート、硫化オキシモリブデン有機ホスホロジチオエート、オキシモリブデンモノグリセリド、オキシモリブデンジエチレートアミド、アミン−モリブデン錯体化合物、及びイオウ含有モリブデン錯体化合物。
【0065】
H.粘度指数改良剤
ポリメタクリレート型ポリマー、エチレン−プロピレンコポリマー、スチレン−イソプレンコポリマー、水素化スチレン−イソプレンコポリマー、ポリイソブチレン、及び分散剤型粘度指数改良剤。
【0066】
I.流動点降下剤
ポリメチルメタクリレート。
【0067】
J.発泡防止剤
アルキルメタクリレートポリマー及びジメチルシリコーンポリマー。
【0068】
K.金属不活剤
ジサリチリデンプロピレンジアミン、トリアゾール誘導体、メルカプトベンゾチアゾール、チアジアゾール誘導体、及びメルカプトベンズイミダゾール。
【0069】
L.分散剤
アルケニルスクシンイミド、他の有機化合物で修飾されたアルケニルスクシンイミド、エチレンカーボネート又はホウ酸による後処理により修飾されたアルケニルスクシンイミド、ポリアルコールとポリイソブテニルコハク酸無水物のエステル、フェネート−サリチレート、及びそれらの後処理アナログ、アルカリ金属又は混合アルカリ金属、アルカリ土類金属ホウ酸塩、水和アルカリ金属ホウ酸塩の分散物、アルカリ土類金属ホウ酸塩の分散物、ポリアミド無灰分散剤等又はこれらの分散剤の混合物。
【0070】
添加剤パッケージ
他の態様では、本発明はグリセロールを含む機能液のための添加剤濃縮物に関する。グリセロール含有濃縮物は、実質的に不活性な、通常は液体の有機希釈剤、例えば鉱油、ナフサ、ベンゼン、トルエン又はキシレン中に導入して添加剤濃縮物を形成するであろう添加剤パッケージ又は濃縮物として提供することができる。これらの濃縮物は通常は約1重量%から約99重量%の、或る態様では、約10重量%から約90重量%のそのような希釈剤を含む。典型的には、100℃で約4から約8.5cSt、好ましくは100℃で約4から約6cStの粘度を有する中性油を希釈剤として使用することができるが、合成油も、添加剤や最終的な潤滑油と相溶性のある他の有機液体と同様に使用することができる。
【実施例】
【0071】
本発明は、特に有利な方法の実施態様を示す以下の実施例によりさらに説明される。実施例は本発明を説明するために提供されているが、これらは本発明を限定することを意図するものではない。本願は、添付の請求項の精神と範囲から離れることなく当業者によってなされ得る様々な変更や置き換えを網羅することを意図している。
【0072】
例A
(i)Caスルホネート浄剤の27TBN油濃縮物 1.82重量%;
(ii)Caスルホネート浄剤の320TBN油濃縮物 1.89重量%;
(iii)7.3重量%リン(phosphorous)を含む第1級アルコール由来の亜鉛ジチオホスフェートの油濃縮物 1.44重量%;及び
(iv)グループII基油 残り
を含む基準となる配合を調製した。
【0073】
例B(比較)
潤滑油組成物を、例Aの基準配合を0.5重量%のモリブデンジチオカーバメート(旭電化工業株式会社からADEKA SAKURALUBE 505として市販)でトップ処理することにより調製した。
【0074】
例C(比較)
潤滑油組成物を、例Aの基準配合を0.5重量%のホウ酸ナトリウム分散物でトップ処理することにより調製した。
【0075】
例D(比較)
潤滑油組成物を、例Aの基準配合を0.5重量%のタローアミンのジエトキシレート(HuntsmanからSURFONIC T−2として市販)でトップ処理することにより調製した。
【0076】
例E(比較)
潤滑油組成物を、例Aの基準配合を0.5重量%のグリセリンオレイルエーテル(旭電化工業株式会社からADEKA FM-618Cとして市販)でトップ処理することにより調製した。
【0077】
例F(比較)
潤滑油組成物を、例Aの基準配合を0.5重量%の、C16及びC18の1,2−ヒドロキシアルカン(旭電化工業株式会社(東京、日本)からADEKA ECOROYAL FMD−168として市販)でトップ処理することにより調製した。
【0078】
例G(比較)
潤滑油組成物を、例Aの基準配合を1.0重量%の、旭電化工業株式会社(東京、日本)から購入できるADEKA ECOROYAL FMD−168でトップ処理することにより調製した。
【0079】
例H(比較)
潤滑油組成物を、例Aの基準配合を0.5重量%のグリセロールモノオレエートでトップ処理することにより調製した。
【0080】
例I(比較)
潤滑油組成物を、例Aの基準配合を0.3重量%のエチレングリコールでトップ処理することにより調製した。
【0081】
例J(比較)
潤滑油組成物を、例Aの基準配合を0.5重量%の1,3−ブタンジオールでトップ処理することにより調製した。
【0082】
実施例1
潤滑油組成物を、例Aの基準配合を0.3重量%のグリセロールでトップ処理することにより調製した。
【0083】
実施例2
潤滑油組成物を、例Aの基準配合を0.15重量%のグリセロールでトップ処理することにより調製した。
【0084】
低速ギア性能の評価
低速ギア性能をZFグループのZF V3テストを用いて評価した。このテストでは、FZGスタンドを速度(9rpm入力速度、13rpmピニオン速度)、荷重(第10段階)、及び温度(90℃で4時間、120℃で40時間、及び90℃で40時間)の制御条件下で120時間操作した。試験ギアを試験油で潤滑させた。試験の前と後にギアとピニオンを秤量した。ギアの重量損失とピニオンの重量損失を用いて試験液で得られる摩耗を評価した。試験に合格するには全重量損失(ギア重量損失+ピニオン重量損失)を30mg未満にしなければならない。
【0085】
低速ギア性能の結果を表1,2及び2aに示す。比較目的のために、様々な異なる摩擦調整剤を含む潤滑油組成物からの試験結果が含まれている。試験結果が80時間で30mg超の全重量損失となったら、試験を中断した。
【0086】
表1
S19−5低速ギア性能結果
【表1-1】
【0087】
【表1-2】
【0088】
試験結果は、グリセロールとグリセロールモノオレエートのみが広く様々な種類の摩擦調整剤に対するS19−5低速ギア試験を合格することができ、これによりグリセロールモノオレエートに対する代替的な摩擦調整剤を提供することを示している。
【0089】
例K
(i)硫化Caフェネート浄剤の114TBN油濃縮物 2.00重量%;
(ii)Caカルボキシレート浄剤の150TBN油濃縮物 1.28重量%;
(iii)7.3重量%リン(phosphorous)を含む第1級アルコール由来の亜鉛ジチオホスフェートの油濃縮物 1.50重量%;及び
(iv)グループII基油 残り
を含む基準となる配合を調製した。
【0090】
例L
潤滑油組成物を、例Kの基準配合を0.3重量%のグリセロールモノオレエートでトップ処理することにより調製した。
【0091】
実施例3
潤滑油組成物を、例Kの基準配合を0.1重量%のグリセロールでトップ処理することにより調製した。
【0092】
実施例4
(i)エチレンカーボネート処理分散剤 1.00重量%;
(ii)カルシウムフェネート浄剤の263TBNの油濃縮物 1.67重量%;
(iii)カルシウムスルホネート浄剤の320TBNの油濃縮物 0.79重量%;
(iv)7.3重量%リン(phosphorous)を含む第1級アルコール由来の亜鉛ジチオホスフェートの油濃縮物 1.28重量%;
(v)シール膨潤剤 1.00重量%;
(vi)発泡防止剤 20ppm;
(vii)ポリメチルアクリレート 0.50重量%;及び
(viii)グループII基油 残り
を含む基準となる配合を調製した。
【0093】
潤滑油組成物を、実施例4の基準配合を0.10重量%のグリセロールでトップ処理することにより調製した。
【0094】
実施例5
(i)発泡防止剤 3ppm;
(ii)カルシウムスルホネート浄剤の425TBN油濃縮物 1.88重量%;
(iii)7.3重量%リン(phosphorous)を含む第1級アルコール由来の亜鉛ジチオホスフェートの油濃縮物 1.28重量%;及び
(iv)グループII基油 残り
を含む基準となる配合を調製した。
【0095】
潤滑油組成物を、実施例5の基準配合を0.05%のグリセロールでトップ処理することにより調製した。
【0096】
実施例6
(i)マグネシウムスルホネート浄剤の395TBN油濃縮物 0.1重量%;
(ii)カルシウムスルホネート浄剤の320TBN油濃縮物 2.52重量%;
(iii)カルシウムスルホネート浄剤の27TBN濃縮物 1.23重量%;
(iv)7.3重量%リン(phosphorous)を含む第1級アルコール由来の亜鉛ジチオホスフェートの油濃縮物 1.53重量%;
(v)シール膨潤剤 0.7重量%;
(vi)発泡防止剤 30ppm;
(vii)チアジアゾール 0.035重量%、及び
(viii)グループII基油 残り
を含む基準となる配合を調製した。
【0097】
潤滑油組成物を、実施例6の基準配合を0.05重量%のグリセロールでトップ処理することにより調製した。
【0098】
実施例7
(i)カルシウムスルホネート浄剤の320TBN油濃縮物 2.52重量%;
(ii)カルシウムスルホネート浄剤の21TBN油濃縮物 1.23重量%;
(iii)7.3重量%リン(phosphorous)を含む第1級アルコール由来の亜鉛ジチオホスフェートの油濃縮物 1.53重量%;
(iv)シール膨潤剤 0.7重量%;
(v)発泡防止剤 30ppm;
(vi)チアジアゾール 0.035重量%;
(vii)オレイルアミド 0.5、及び
(viii)グループII基油 残り
を含む基準となる配合を調製した。
【0099】
潤滑油組成物を、実施例7の基準配合を0.05重量%のグリセロールでトップ処理することにより調製した。
【0100】
表2
S19−5 低速ギア性能結果
【表2】
【0101】
実施例3〜7の潤滑油は、グリセロールと様々な洗浄添加剤を含む潤滑油が80時間と120時間で総重量損失が低いという結果をもたらすことを示している。これらの結果に基づけば、グリセロールモノオレエートより少ない量でグリセロールを使用すると、摩擦調整の結果が良好であった。
【0102】
実施例8
(i)カルシウムフェネート浄剤の263TBN油濃縮物 0.5重量%;
(ii)カルシウムスルホネート浄剤の320TBN油濃縮物 2.0重量%;
(iii)第1級アルコール由来の亜鉛ジチオホスフェートの油濃縮物 1.28重量%;
(iv)グリセロール 0.15重量%;
(v)C14〜C18ジオール 0.5重量%
(vi)発泡防止剤 20ppm;
(ix)粘度指数向上剤 1.8重量%;及び
(x)流動点降下剤 0.2重量%、及び
(xi)グループII基油 残り
を含む基準となる配合を調製した。
【0103】
表2a
40時間、80時間及び120時間でのS19−5低速ギア性能結果
【表3】
【0104】
実施例8は、潤滑油組成物中のグリセロールとC14〜C18ジオールの組み合わせにより、S19−5低速ギア性能試験を合格する潤滑油組成物が得られる結果となることを示している。グリセロールとC14〜C18ジオールの組み合わせにより、試験を行った最大時間数(即ち120時間)で損失が10mgを超えない良好なギア摩耗結果が得られることが明らかである。
【0105】
例N
(i)マグネシウムスルホネート浄剤の395TBN油濃縮物 0.05重量%;
(ii)カルシウムスルホネート浄剤の320TBN油濃縮物 2.52重量%;
(iii)カルシウムスルホネート浄剤の21TBN油濃縮物 1.23重量%;
(iv)7.3重量%リン(phosphorous)を含む第1級アルコール由来の亜鉛ジチオホスフェートの油濃縮物 1.53重量%
(v)シール膨潤剤 0.5重量%;
(vi)発泡防止剤 20ppm;
(vii)チアジアゾール 0.04重量%;
(viii)オレイルアミド 0.5;
(ix)粘度指数向上剤 3.0重量%;
(x)流動点降下剤 0.2重量%、及び
(xi)グループII基油 残り
を含む基準となる配合を調製した。
【0106】
実施例9
潤滑油組成物を、例Nの基準配合を0.20重量%のグリセロールと0.25重量%のグリセロールモノオレエートでトップ処理することにより調製した。
【0107】
例O
潤滑油組成物を、例Nの基準配合を0.25重量%のグリセロールモノオレエートでトップ処理することにより調製した。
【0108】
実施例9と例Oの潤滑油をJDQ−95まがりばかさ歯車及び最終ドライブギア摩耗に従って評価し、実施例9及び例Oの潤滑油を参照油と比較した。特に、摩耗を測定するためにギアの点数付けを評価した。試験手順時間は50時間である。試験はSouthwest Research Institute,San Antonio,Texas,U.S.A.で行うことができる。
【0109】
表3
【表4】
【0110】
50試験時間で評価
2試験時間で評価
【0111】
実施例9は、すでにグリセロールモノオレエートを含む潤滑油組成物にグリセロールの或る量を添加するとJDQ95に合格するという結果になることを示している。これとは対照的に、グリセロールモノオレエートのみを含む潤滑油は試験のわずか2時間後にJDQ95を合格しなかった。グリセロールとグリセロールモノオレエートの組み合わせが良好なギア摩耗結果をもたらすことが明らかである。
本発明は以下の態様を包含する。
[1]
a.主要量の潤滑粘度の油、及び
b.少なくとも約0.05重量%のグリセロール
を含む機能液。
[2]
機能液が0.5重量%より多いグリセロールモノオレエートを含まない、[1]記載の機能液。
[3]
機能液が少なくとも1種の清浄剤を含む、[1]記載の機能液。
[4]
清浄剤がアルカリ土類金属清浄剤であり、該アルカリ土類金属清浄剤がさらに少なくと
も1種の低過塩基性スルホネート、少なくとも1種の中過塩基性スルホネート、少なくと
も1種の高過塩基性スルホネート、又は少なくとも1種の非スルホネート清浄剤を含む、
[3]記載の機能液。
[5]
アルカリ土類金属清浄剤が低過塩基性スルホネートである、[4]記載の機能液。
[6]
非スルホネート清浄剤が少なくとも1種のフェネート清浄剤又は少なくとも1種のカル
ボキシレート清浄剤である、[4]記載の機能液。
[7]
機能液がまた少なくとも1種の耐摩耗添加剤をも含んでいる、[1]記載の機能液。
[8]
該少なくとも1種の耐摩耗添加剤が亜鉛ジアルキルジチオホスフェ−トである、[7]記載の機能液。
[9]
機能液がトラクター油圧油である、[1]記載の機能液。
[10]
機能液中のグリセロールの量が約0.05から約1.0重量%までである、[1]記載の機能液。
[11]
機能液がまたグリセロールモノオレエートをも含んでいる、[1]記載の機能液。
[12]
機能液がまたC14〜C18ジオールをも含んでいる、[1]記載の機能液。
[13]
a.主要量の潤滑粘度の油;
b.少なくとも約0.05重量%のグリセロール;
c.少なくとも約5.0重量%までの少なくとも1種の低過塩基性スルホネート清浄剤;
d.少なくとも約5.0重量%までの少なくとも1種の高過塩基性スルホネート清浄剤;
e.少なくとも約3.0重量%までの少なくとも1種の中過塩基性フェネート清浄剤;
f.少なくとも約3.0重量%までの少なくとも1種の高過塩基性フェネート清浄剤;及

g.少なくとも約2.0重量%までの少なくとも1種の中過塩基性カルボキシレート洗浄
剤、及び
h.少なくとも1種の耐摩耗添加剤
を含む機能液。
[14]
機能液がまた少なくとも約2.0%までのC14〜C18ジオールをも含んでいる、[13]記載の機能液。
[15]
機能液にグリセロールを添加することを含む機能液の調製方法であって、該グリセロー
ルがグリセロールモノオレエートではない上記方法。
[16]
希釈油にグリセロールを添加することを含む添加剤濃縮液の調製方法であって、該濃縮
液が約1重量%から約99重量%までの該希釈液を含んでいる、上記方法。
[17]
金属表面を
a.主要量の潤滑粘度の油、及び
b.少なくとも約0.05重量%のグリセロール
を含む機能液と接触させることを含む摩擦の低減方法。